JP2002302754A - 溶射用希土類含有化合物粒子、これを溶射した溶射部材 - Google Patents

溶射用希土類含有化合物粒子、これを溶射した溶射部材

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JP2002302754A JP2001109099A JP2001109099A JP2002302754A JP 2002302754 A JP2002302754 A JP 2002302754A JP 2001109099 A JP2001109099 A JP 2001109099A JP 2001109099 A JP2001109099 A JP 2001109099A JP 2002302754 A JP2002302754 A JP 2002302754A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 融点が高い希土類含有化合物を溶射材料とし
て使用し、流動性がよく、溶射プラズマ炎中で完全に溶
融し、滑らかな溶射被膜が得られる純度の高い溶射用希
土類含有化合物粒子、これを溶射した溶射部材を提供す
る。 【解決手段】 本発明の溶射用希土類含有化合物粒子
は、粒度分布の90重量%における粒径D90が60μm
以下、嵩密度が1.6g/cm3未満、細孔半径1μm
以下の累積細孔容積が0.02cm3/g以上、アスペ
クト比が2以下の球形であることを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属、セラミック
ス等の基材表面に、溶射技術を用いて希土類含有化合物
の溶射被膜を形成する際に、従来の溶射材料を用いた溶
射被膜に比べ、平滑な高純度溶射被膜の形成を可能にす
る溶射用希土類含有化合物粒子、これを溶射した溶射部
材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、金属、セラミックス等の基材
表面に、金属酸化物を溶射して被膜を形成し、耐熱性、
耐磨耗性、耐蝕性を付与することが行なわれている。形
成される被膜の性状は、溶射条件にも影響されるが、こ
れに最も強い影響を及ぼすのは溶射材料である。溶射材
料には大きく分けると3種類ある。1つは、原料を電気
炉で溶融し、冷却凝固後、粉砕機で微粉化し、その後分
級して粒度調整した溶融粉砕粉であり、2つ目は、配合
された原料を焼結後、粉砕機で微粉化し、その後分級し
て粒度調整した焼結粉砕粉である。3つ目は、原料粉末
を有機バインダーでスラリー化し、噴霧乾燥型造粒機を
用いて造粒後、焼成した、場合によっては分級して粒度
調整した造粒粉である。これらの溶射材料は、コストや
目的によって使い分けられている。最近では、半導体製
造におけるプラズマプロセスにおいて、ハロゲン系腐蝕
ガス中でのウエハー処理部材として、そのプラズマ耐性
の高さから希土類含有化合物が着目される傾向にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】半導体製造装置に使用
される部材に、上記したような溶射被膜が形成される場
合、溶射被膜には大きく2つの特性が求められる。1つ
は、主要構成元素以外の不純物元素が少ないことであ
り、2つ目は、被膜の表面が滑らかで凹凸が少ないこと
である。このような溶射被膜の要求を満たすためには、
溶射条件よりも溶射材料をどのようにコントロールする
かが重要となってくる。溶射材料には大きく3つの特性
が求められる。1つは、溶射のプラズマ炎もしくは火炎
まで材料を安定して定量的に供給できること、2つ目
は、溶射プラズマ炎もしく火炎中で材料を完全に溶融で
きること、そして3つ目は、高純度であることである。
これらの3つの特性は、十数項目におよぶ粉体物性値と
元素分析で定量的に表現される。
【0004】溶射材料は、溶射ガンまで搬送チューブ等
の細い流路を経て供給される。溶射材料を溶射ガンに安
定して定量的に供給するために溶射材料に求められる粉
体物性は、その流動性に大きく影響される。従来用いら
れていた溶融粉砕粉や焼結粉砕粉は形状が不定形で、し
かも粒度分布が広く、搬送中に粒子が擦れて微粒子が発
生し、安息角が大きく流動性が悪いので、搬送チューブ
や溶射ガンで閉塞等が生じ、連続的に溶射できないなど
の問題がある。また、溶融粉砕粉は、構成元素以外の不
純物含有量が高いという欠点があり、さらに焼結粉砕粉
には、粉砕工程で不純物が混入しやすいという欠点があ
った。本発明では、造粒粉を球形にしているため、流動
性は比較的良く、また、造粒に使用する原料中の不純物
を低減することで、比較的高純度な造粒粉の作製が可能
である。
【0005】金属酸化物を溶射する場合、密着強度に優
れた滑らかな溶射被膜を形成するためには、フレーム炎
もしくはプラズマ炎中で溶射粒子を完全に溶融させる必
要がある。このため希土類含有酸化物は融点が高いの
で、完全に溶融させるには粒子径の小さい溶射材料が良
いが、噴霧造粒では、小さい粒子だけを製造することは
困難で、比較的大きな粒子も同時に製造される。比較的
大きな粒子は重量があるため、プラズマ炎中に供給され
ても溶け残りがあり、造粒粒子のまま溶射被膜中に取り
込まれ、被膜に凹凸を形成する要因の一つになってい
た。そこで、比較的大きな粒子を溶融させるためにプラ
ズマ出力を高めると、小さな粒子が蒸発、飛散し、溶射
歩留まりが低下するという問題が、造粒粉にはあった。
【0006】そこで、本発明は、融点が高い希土類含有
化合物を溶射材料として使用し、流動性がよく、溶射プ
ラズマ炎中で完全に溶融し、不純物を含まない滑らかな
溶射被膜が得られる純度の高い溶射用希土類含有化合物
粒子、これを溶射した溶射部材を提供することを目的と
している。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を鋭
意検討した結果、解決したものであり、すなわち、本発
明の溶射用希土類含有化合物粒子(以下、溶射粒子とい
う)は、粒度分布の90重量%における粒径D90(以
下、単にD90という)が60μm以下、嵩密度が1.6
g/cm3未満、細孔半径1μm以下の累積細孔容積が
0.02cm3/g以上、アスペクト比が2以下の球形で
あることを特徴としている。なお、本発明の溶射粒子
は、鉄族元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元
素を酸化物換算でそれぞれ5ppm以下とするのが好まし
い。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の溶射粒子は、嵩密度が
1.6g/cm3未満と小さく、かつ細孔半径1μm以下
の累積細孔容積が0.02cm3/g以上と大きいので、
粒子がプラズマ炎中に進入すると速やかに溶融され、結
果として、プラズマ出力を高めることなく、プラズマ炎
中で完全に溶融させることが可能となり、被膜製造の歩
留まりを低下させることなく、滑らかな被膜を形成する
ことができる。
【0009】この溶射粒子は、粒度分布におけるD90
60μm以下であり、D90が60μmを超えると、プラ
ズマ炎中で完全に溶融されず未融着粉を生じ、溶射被膜
中に後記したバインダーの炭素成分が残留し、被膜が汚
染されるとともに、被膜表面の凹凸の原因となるため好
ましくは20〜60μm、より好ましくは25〜50μ
mである。嵩密度は1.6g/cm3未満とされ、これ以
上では、溶融性が悪くなるため好ましくない。溶射粒子
の細孔半径1μm以下の累積細孔容積は、0.02cm
3/g以上であると溶射時の化合物の溶融性が良好となり
好ましく、さらに0.03〜0.40cm3/gとするの
がより好ましい。これが0.03cm3/g未満になる
と、溶射粒子の一つ一つの間隙が小さくなり溶融不良と
なるため好ましくない。
【0010】本発明の溶射粒子は、アスペクト比(=長
径/短径)が2以下と形状が球形に近く、粒度分布域が
狭いため、流動性の良い粒子でもある。アスペクト比は
走査型電子顕微鏡写真から求めることができ、アスペク
ト比が2を超えると、形状が球形の範疇から外れ、流動
性が悪くなる。下限値は特に限定されないが、1により
近いものが好ましい。
【0011】本発明の溶射粒子は、例えば、一次粒子の
平均粒径が特に0.05〜10μm、好ましくは0.5
〜10μmの希土類含有化合物を水、アルコール等にバ
インダーを加えてスラリー化し、これを転動型造粒機、
噴霧型造粒機、圧縮造粒機、流動造粒機等で造粒し、乾
燥した後、1200℃〜1800℃、好ましくは150
0℃〜1700℃の大気中で1〜10hr焼成すれば良
い。その結果、球状で流動性のよいD90が60μm以下
で、嵩密度が1.6未満、細孔半径1μm以下の累積細
孔容積が0.02cm3/g以上である溶射粒子、すなわ
ち溶射粉が得られる。この溶射粉は微粒子で構成され、
アスペクト比が1に近い球状溶射粉であり、なおかつ、
嵩密度が小さいため、プラズマ炎中での溶融が容易にな
り、より均一に溶融させることができ、かつ流動性に優
れているため、溶射ノズルの閉塞を生じることなく溶射
でき、得られる溶射被膜は滑らかである。
【0012】原料として用いる希土類含有化合物は、Y
を含む希土類の化合物、及びYを含む希土類に加えてA
l,Zr,Si,In等の元素を90重量%以下含む複合化合
物であることが好ましい。特には、Y,Eu,Gd,Tb,D
y,Ho,Er,Tm,Yb,Luから選ばれる重希土類元素を用
いた化合物が好適である。これらの希土類含有化合物と
しては酸化物が好ましいが、フッ化物や塩化物等のハロ
ゲン化物であっても良い。また、鉄族元素、アルカリ金
属元素、アルカリ土類金属元素を酸化物換算でそれぞれ
5ppm以下とすることで、高純度な被膜を形成すること
が可能となる。これらが5ppmを超えると、溶射被膜中
でこれらの元素と希土類元素とが反応して化合物を生
じ、斑点となる。さらに、ハロゲン化ガスやそのプラズ
マ炎に曝されると、生じた化合物によって部分的に腐食
を生じるため好ましくない。また、その下限値は0.1
ppm程度である。
【0013】上記造粒時に用いるバインダーとしては、
ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセ
ルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース
(HPC)、メチルセルロース(MC)等のセルロース
類、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレング
リコール(PEG)、ポリテトラフルオロエチレン(P
TFE)、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げら
れ、希土類含有化合物に対し0.1〜5重量%用いられ
る。
【0014】本発明の溶射粒子の溶射は、プラズマ溶射
或いは減圧プラズマ溶射で行われ、プラズマガスとして
は窒素/水素、アルゴン/水素、アルゴン/ヘリウム、
アルゴン/窒素、等を用いることができるが、特にこれ
らに限定されるものではない。被溶射基材としては、金
属、合金、セラミックス、ガラス等が挙げられる。具体
的には、Al,Ni,Cr,Zn,Zr等の金属及びこれらの合
金、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪
素、石英ガラス、ジルコニア等が挙げられる。また、基
材上の溶射被膜の厚さは50〜500μm、より好まし
くは150〜300μmである。このような溶射被膜を
施し耐蝕性部材として使用する場合、溶射被膜の厚さが
薄すぎると、被膜が僅かでも腐蝕するとすぐに交換が必
要となり、また、厚すぎても被膜内で剥離が生じるた
め、溶射被膜の厚さは上記範囲が好適とされる。
【0015】また、溶射被膜に含まれる鉄族元素、アル
カリ金属元素、アルカリ土類金属元素は、使用した溶射
粒子中の鉄族元素(Fe,Co,Ni)、アルカリ金属元素
(Na,K)、アルカリ土類金属元素(Ca,Mg)が酸化物
換算でそれぞれ5ppm以下であるので、従来の溶融粉砕
粉に比べて少なくすることができる。従来品のように鉄
族元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素が混
入している溶射粒子を用いて溶射被膜を形成すると、こ
の溶射被膜中には溶射粒子に混入していた鉄族元素、ア
ルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素が存在すること
になる。このため高純度を必要とする装置に使われる部
材には使用できない。
【0016】特に、液晶製造装置や、半導体製造装置に
使用される部材においては、これらの不純物が製品歩留
まりの低下を引き起こす。このため、これらの溶射部材
の製造に使用する溶射粒子中の鉄族元素、アルカリ金属
元素、アルカリ土類金属元素を酸化物換算でそれぞれ5
ppm以下、さらに好ましくはこれらの不純物総量で5ppm
以下とすると良い。このような溶射粒子すなわち溶射粉
を用いることにより、従来よりもハロゲン系ガスプラズ
マ炎に対する耐蝕性に優れ、部分腐蝕のない溶射被膜、
溶射部材が得られる。
【0017】また、本発明においては、目的とする溶射
部材の用途により被膜の表面粗さを選択すれば良いが、
特には被膜の表面粗さを60μm以下とするのが好まし
い。これによってプラズマ炎や耐蝕性ガス雰囲気下にお
いても良好な耐蝕性を有する。なお、表面粗さが60μ
mを超えると長時間使用するうちにパーティクルが発生
するため好ましくない。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施態様を、実施例及び比較
例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。 [実施例1]PVA(ポリビニルアルコール)15gを
溶かした純水16リットルに、平均粒子径1.1μmで
Fe23が0.5ppm以下の酸化イットリウム4kgを
分散させてスラリーを作製し、噴霧型造粒機でこのスラ
リーを噴霧乾燥させ球状造粒粉を作製した。さらに、こ
の造粒粉を大気中1600℃で2時間焼成し、球状溶射
粉とした。上記溶射粉製造工程で得られた溶射粉の粒径
をレーザー回折式の粒度測定器で測定したところ、D90
は38μmであった。嵩密度は1.16g/cm3で、B
ET法で測定した比表面積は1.2 m2/g、細孔半径
1μm以下の累積細孔容積は0.19cm3/gで、アス
ペクト比は1.10であった。この溶射粉を酸分解して
ICP分光分析(誘導結合高周波プラズマ分光分析)で
不純物濃度を測定したところ、Fe23 3ppm、CaO 3p
pmであり、原子吸光法で測定したNa2Oは4ppmであっ
た。さらに、この酸化イットリウム溶射粉をアルゴン/
水素で減圧プラズマ溶射して、アルミニウム合金基板上
に膜厚160μmの被膜を形成した。溶射中、ノズルの
閉塞も無く、溶射歩留は44%であった。得られた溶射
部材の滑らかさを表す指標として表面粗さ(JIS B
0601に準拠)を測定したところ、Rmaxにて35μm
であった。
【0019】[実施例2]HPC(ヒドロキシプロピル
セルロース)15gを溶かした純水16リットルに、平
均粒子径1.2μmでFe23が0.5ppm以下の酸化イ
ッテルビウム4kgを分散させてスラリーを作製し、噴
霧型造粒機でこのスラリーを噴霧乾燥させ球状造粒粉を
作製した。さらに、この造粒粉を大気中1500℃で2
時間焼成し、球状溶射粉とした。この溶射粉製造工程で
得られた酸化イッテルビウム溶射粉のD90は46μm、
嵩密度は1.3g/cm3で、BET法で測定した比表面
積は1.8 m2/g、細孔半径1μm以下の累積細孔容
積は0.23cm3/gで、アスペクト比は1.07であ
った。さらに、ICP分光分析で測定した不純物はFe2
3 1ppm、CaO3ppm、原子吸光法で測定したNa2Oは
4ppmであった。この溶射粉をアルゴン/水素で減圧プ
ラズマ溶射して、アルミニウム合金基板上に膜厚190
μmの被膜を形成した。溶射中、ノズルの閉塞も無く、
溶射歩留は45%であった。この溶射部材の表面粗さを
測定したところRmaxにて41μmであった。
【0020】[実施例3]CMC(カルボキシメチルセ
ルロース)15gを溶かした純水18リットルに、平均
粒子径0.9μmでFe23が0.5ppm以下の酸化イッ
トリウム2kgを分散させてスラリーを作製し、噴霧型
造粒機でこのスラリーを噴霧乾燥させ球状造粒粉を作製
した。さらに、この造粒粉を大気中1650℃で2時間
焼成し、球状溶射粉とした。上記溶射粉製造工程で得ら
れた酸化イットリウム溶射粉のD90は28μm、嵩密度
は1.1g/cm3で、BET法で測定した比表面積は
1.2 m2/g、細孔半径1μm以下の累積細孔容積は
0.09cm3/gで、アスペクト比は1.03であっ
た。さらに、ICP分光分析で測定した不純物はFe2
3 3ppm、CaO 3ppm、原子吸光法で測定したNa2Oは4
ppmであった。この溶射粉をアルゴン/水素で減圧プラ
ズマ溶射して、アルミニウム合金基板上に膜厚200μ
mの被膜を形成した。溶射中、ノズルの閉塞も無く、溶
射歩留は41%であった。得られた溶射部材の表面粗さ
を測定したところRmaxにて26μmであった。
【0021】[比較例1]PVA(ポリビニルアルコー
ル)15gを溶かした純水10リットルに、平均粒子径
1.1μmでFe23が0.5ppm以下の酸化イットリ
ウム10kgを分散させてスラリーを作製し、噴霧型造
粒機でこのスラリーを噴霧乾燥させ球状造粒粉を作製し
た。さらに、この造粒粉を大気中1600℃で2時間焼
成し、球状溶射粉とした。上記溶射粉製造工程で得られ
た溶射粉の粒径をレーザー回折式の粒度測定器で測定し
たところ、D90は94μmであった。嵩密度は1.1g
/cm3であり、BET法で測定した比表面積は1.4m2
/g、細孔半径1μm以下の累積細孔容積は0.21g/c
3で、アスペクト比は1.02であった。この溶射粉
を酸分解してICP分光分析でFe23濃度を測定したと
ころ、Fe23は3ppm、CaOは2ppm、原子吸光法で測定
したNa2Oは5ppmであった。さらに、この酸化イットリ
ウム溶射粉をアルゴン/水素で減圧プラズマ溶射して、
アルミニウム合金基板上に膜厚205μmの被膜を形成
した。溶射中、ノズルの閉塞も無く、溶射歩留は48%
であった。得られた溶射部材の表面粗さを測定したとこ
ろ、Rmaxにて88μmであった。
【0022】[比較例2]平均粒径4μmの酸化イット
リウムを溶融固化し、その後粉砕、分級して溶射粉を作
製した。この溶融粉砕法によって得られた酸化イットリ
ウム溶融粉砕粉のD90は74μm、嵩密度は2.1g/
cm3であり、ICP分光分析で測定したFe 23は55p
pm、CaOは40ppm、原子吸光法で測定したNa2Oは10
ppm、BET法で測定した比表面積は0.1m2/g、細
孔半径1μm以下の累積細孔容積は0.0055cm3/
gで、アスペクト比は3.5であった。この酸化イット
リウム溶融粉砕粉を、アルゴン/水素で減圧プラズマ溶
射して、アルミニウム合金基板上に膜厚190μmの被
膜を形成した。この溶射部材の表面荒さを測定したとこ
ろ、Rmaxにて69μmであった。
【0023】上記実施例1〜3で得られた溶射粉は、D
90が60μm以下で、嵩密度が1.6未満と小さく、ま
た、細孔半径1μm以下の累積細孔容積も0.02cm
3/g以上、アスペクト比も2以下で球状粒子であり、流
動性に優れ、溶射ノズルの閉塞を生じることなく溶射で
き、かつプラズマ溶射時に溶けやすく、さらにCaO、Fe
23、Na2O等の不純物が少ないため高純度の溶射膜が
でき、また、表面が滑らかなため、プラズマエッチング
工程においてパーティクルの発生を抑制することができ
る。他方、比較例1の造粒粉は、D90が94μmと大き
く、得られた溶射被膜の表面粗さが大きく、プラズマエ
ッチング工程においてパーティクルの発生を抑制するこ
とができずにパーティクルの発生が見られ、比較例2に
おいても同様に、溶射被膜の表面粗さは大きく、溶射表
面に斑点を有しており、プラズマエッチング工程で斑点
部の部分腐蝕が見られた。
【0024】さらに、実施例1〜3で得られた溶射被膜
は、CaO、Fe23、Na2O等の不純物が少なく、高純度
が必要される用途、例えば、液晶造装置用部材や半導体
製造装置用部材として好ましい。また、表面粗さも小さ
く、腐蝕性ガス雰囲気、例えば、ハロゲン系ガスプラズ
マ炎に対する耐蝕性部材として好ましい。他方、特に比
較例2の溶射被膜は、溶射粒子に混入していた鉄族元
素、アルカリ金属元素、アルカリ土類元素が存在してい
て、プラズマエッチング工程等に使用した場合、シリコ
ンウェハーを汚染し、工程不良の原因となり、半導体製
造装置等の高純度を要求される用途には使用できない。
また、表面粗さも73μmと粗く、プラズマエッチング
工程でのパーティクルの発生原因となり、このパーティ
クルもシリコンウェハー汚染の原因となり好ましくな
い。
【0025】
【発明の効果】本発明の溶射粒子は、流動性がよく、溶
射ノズルの閉塞を生じることなく溶射でき、プラズマ炎
中で完全に溶融させることのできる純度の高い球状粒子
である。また、滑らかでプラズマエッチング時に発生す
るパーティクルが少なく、純度の高い溶射被膜が得られ
る。さらに、この溶射被膜はプラズマ炎や耐蝕性ガス雰
囲気下においても良好な耐蝕性を有しており、この溶射
被膜の形成された溶射部材は、例えば、ハロゲン系プラ
ズマ耐蝕性部材として好適に使用することができ、特
に、液晶製造装置や半導体製造装置用の部材として優れ
ている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K031 AB08 AB09 CB02 CB07 CB42 DA04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒度分布の90重量%における粒径D90
    が60μm以下、嵩密度が1.6g/cm3未満、細孔半
    径1μm以下の累積細孔容積が0.02cm3/g以上、
    アスペクト比が2以下の球形であることを特徴とする溶
    射用希土類含有化合物粒子。
  2. 【請求項2】 鉄族元素、アルカリ金属元素、アルカリ
    土類金属元素を酸化物換算でそれぞれ5ppm以下とする
    請求項1に記載の溶射用希土類含有化合物粒子。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の溶射用希土類含
    有化合物粒子を基材に溶射してなることを特徴とする溶
    射部材。
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