JP2012188677A - 溶射用粉末 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶射効率のよい溶射用粉末を提供する。
【解決手段】本発明の溶射用粉末は、セラミックス粒子を含む溶射用粉末であって、セラミックス粒子のフラクタル次元の値が1.08以下であることを特徴とする溶射用粉末である。セラミックス粒子は造粒−焼結粒子であることが好ましく、セラミックス粒子の平均アスペクト比は1.30以下であることが好ましい。また、溶射用粉末が追加セラミックス粒子を含んでもよく、追加セラミックス粒子のフラクタル次元の値が1.08以上であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、セラミックス粒子を含む溶射用粉末に関する。
燃焼フレームやプラズマジェットなどを熱源として用いて金属、セラミックス、サーメットなどの溶射用粉末を基材に吹き付けることにより基材上に皮膜を形成する溶射は、表面改質方法の一種として広く知られている。また、このような高温プロセスに対して、近年では、基材の熱変質や熱変形を伴わずあらゆる材質及び形状の基材に溶射皮膜を形成することを目的に低温プロセス溶射の開発が進んでいる。
そのような溶射においても、溶射プロセスの温度に関係なく掲げられる共通の課題として溶射効率や溶射用粉末の供給効率の向上が挙げられる。溶射効率とは溶射装置に供給される溶射用粉末の量に対して、どれだけの溶射皮膜が形成されたかで計ることができる。一般的に、プラズマ溶射の場合は40〜70%、高速フレーム溶射の場合はそれよりも低く30〜50%であると言われており、溶射用粉末に対する溶射効率の向上の要求は依然として高い。
上記課題を克服すべく、種々の検討がなされている。例えば、特許文献1及び2には、酸化イットリウムを含む造粒−焼結セラミックス粒子からなる溶射用粉末について、その平均アスペクト比を規定することが開示されている。これらの発明は、平均アスペクト比を規定することで溶射用粉末の流動性を向上させ、その結果パウダーチューブの閉塞を防止するとともに溶射効率を向上させようとするものである。しかし、これらの発明だけでは溶射用粉末の流動性は十分に改良されておらず、更なる改良が望まれていた。
特開2006−225689号公報 特開2006−152408号公報
そこで本発明の目的は、溶射効率のよい溶射用粉末を提供することにある。
本発明者は鋭意検討の結果、平均アスペクト比が制御された溶射用粉末よりもさらに優れた流動性を有するセラミック溶射用粉末を見出した。即ち、上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様では、セラミックス粒子を含む溶射用粉末であって、セラミックス粒子のフラクタル次元の値が1.08以下である溶射用粉末を提供する。セラミックス粒子はセラミックス微粒子からなる造粒−焼結粒子であることが好ましい。セラミックス粒子の平均アスペクト比は1.30以下であることが好ましい。また、溶射用粉末が追加セラミックス粒子を含む溶射用粉末であって、追加セラミックス粒子のフラクタル次元の値が1.08以上であることが好ましい。
本発明によれば、流動性に優れ、且つ溶射効率のよい溶射用粉末を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態を説明する。
本実施形態の溶射用粉末は、セラミックス粒子を含み、セラミックス粒子のフラクタル次元の値が1.08以下である。
セラミックスは、溶射用粉末の原料として一般的に用いられるものであれば特に制限はなく、炭化物、ホウ化物、窒化物、ケイ化物および酸化物の少なくとも一種からなる単一成分のセラミックスまたは複合セラミックスなどが挙げられる。炭化物としては、例えば炭化タングステンや炭化クロムなどが挙げられる。ホウ化物としては、例えばホウ化モリブデンやホウ化クロムなどが挙げられる。窒化物としては、例えば窒化アルミニウムなどが挙げられる。また、酸化物としては、例えば酸化イットリウムなどが挙げられる。この場合、これらのセラミックスの任意の組み合わせであってもよい。
セラミックス粒子は、以下に定義する平均フラクタル次元の値について1.08という上限を有する。平均フラクタル次元の値は、粒子表面の凹凸度を定量化した値であり、平均アスペクト比と同様、粒子の形状を示す指標の一つである。しかし、平均アスペクト比が、粒子の外形形状に最も近似する楕円球の長軸の長さを同楕円球の短軸の長さで除することにより得られる値として定義されるのに対し、平均フラクタル次元の値は、粒子表面の凹凸度が高いほど、換言すれば粒子の表面形状が複雑であるほど、粒子の平均フラクタル次元の値は大きくなる。なお、平均フラクタル次元の値は、1以上2未満の範囲内の値をとる。例えば、原料粒子としての一次粒子、すなわちセラミックス微粒子を造粒及び焼結し、一次粒子の集合体として顆粒状の粒子を形成する造粒−焼結セラミックス粒子において、その表面形状を正確に把握するためには、これまで一般的に用いられてきた平均アスペクト比よりも平均フラクタル次元が有効である。この平均フラクタル次元の値が小さくなるにつれて、溶射用粉末の流動性が向上する。その結果、溶射装置への溶射用粉末の供給が容易かつ安定し、フレームまたは作動ガス中心部への粉末投入が容易となり、溶射プロセスの加熱影響や加速影響を強く受けることで溶射効率が向上する。このような点から、セラミックス粒子の平均フラクタル次元の値が1.06以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.05以下である。
セラミックス粒子の平均粒子径(体積平均径)の下限は、一般的な溶射用粉末に用いられるセラミックス粒子の平均粒子径の範囲であれば特に制限はなく、好ましくは0.01μmであり、より好ましくは0.1μmであり、さらに好ましくは1μmである。セラミックス粒子の平均粒子径が大きくなるにつれて、溶射用粉末の流動性が向上する。その結果、溶射装置への溶射用粉末の供給が容易となり、溶射効率も向上する。また、溶射用粉末中に含まれる溶射中に過溶融するおそれのある微小な遊離粒子の量が少なくなる。いわゆるスピッティングの発生が起こりにくくなる傾向がある。スピッティングとは、過溶融した溶射用粉末が溶射機の機構内に付着堆積してできる堆積物が溶射用粉末の溶射中に同内壁から脱落して溶射皮膜に混入する現象であり、溶射皮膜の性能を低下させる要因となる。この点、セラミックス粒子の平均粒子径が5μm以上である場合には、溶射用粉末の溶射時のスピッティングの発生を実用上特に好適なレベルにまで抑制することが容易となる。なお、セラミックス粒子の平均径の測定は、例えば、レーザー回折散乱法やBET法、光散乱法により行うことができる。レーザー回折散乱法によるセラミックス粒子の平均粒子径の測定は、例えば、株式会社堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度測定機“LA−300”を用いて行うことができる。
また、セラミックス粒子の平均粒子径(体積平均径)の上限も、一般的な溶射用粉末に用いられるセラミックス粒子の平均粒子径の範囲であれば特に制限はなく、好ましくは100μmであり、より好ましくは75μmであり、さらに好ましくは50μmである。セラミックス粒子の平均粒子径が小さくなるにつれて、溶射用粉末の溶射効率が向上する。また、溶射用粉末から形成される溶射皮膜の緻密度が増す結果、溶射皮膜の硬度が向上する。この傾向は、プロセス温度、すなわち溶射時の溶射用粉末の温度が低いほど顕著である。この点、セラミックス粒子の平均粒子径が50μm以下である場合には、溶射時の溶射用粉末の温度が低いプロセスで所要の硬度を有する溶射皮膜を溶射用粉末から形成するうえで特に有利である。
溶射用粉末を構成するセラミックス粒子は、造粒−焼結粒子であることが好ましい。造粒−焼結粒子は、溶融−粉砕粒子、焼結−粉砕粒子と比べて、流動性が良好であり、付着効率に優れる点および製造時の不純物の混入が少ない点で有利である。加えて、造粒−焼結セラミックス粒子の溶射用粉末から得られる溶射皮膜は組織が均一であり、皮膜特性が向上する。造粒−焼結粒子は、例えばセラミックス微粒子からなる原料粉末を造粒および焼結した後に解砕し、さらに必要に応じて分級して作製される。溶融−粉砕粒子は、原料粉末を溶融して冷却凝固させた後に粉砕し、さらに必要に応じて分級して作製される。焼結−粉砕粒子は、原料粉末を焼結および粉砕し、さらに必要に応じて分級して作製される。単純なセラミックス粒子からなる溶射用粉末は、目的に応じて予め粉砕または分級等を行い作製される。
溶射用粉末を構成するセラミックス粒子がセラミックス微粒子からなる造粒−焼結セラミックス粒子の場合、その造粒−焼結セラミックス粒子中の一次粒子、すなわち造粒−焼結セラミックス粒子を構成するセラミックス微粒子の平均粒子径(定方向平均径)の下限は、一般的な溶射用粉末に用いられる造粒−焼結セラミックス粒子中の一次粒子の平均粒子径の範囲であれば特に制限はなく、好ましくは0.01μmであり、より好ましくは0.05μmであり、さらに好ましくは0.1μmである。造粒−焼結セラミックス粒子中の一次粒子の平均粒子径が大きくなるにつれて、溶射用粉末の製造コストが低減する。なお、造粒−焼結セラミックス粒子中の一次粒子の平均粒子径の測定は、造粒−焼結セラミックス粒子の画像を解析することで測定でき、例えば、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡“S−3000N”を用いて行うことができる。
また、造粒−焼結セラミックス粒子中の一次粒子の平均粒子径(定方向平均径)の上限も、一般的な溶射用粉末に用いられる造粒−焼結セラミックス粒子中の一次粒子の平均粒子径の範囲であれば特に制限はなく、好ましくは6μmであり、より好ましくは1μmであり、さらに好ましくは0.6μmである。造粒−焼結セラミックス粒子中の一次粒子の平均粒子径が小さくなるにつれて、造粒−焼結セラミックス粒子の表面の凹凸が小さくなり、平均フラクタル次元が1に近づくため、溶射効率が向上する。また、溶射用粉末から形成される溶射皮膜の緻密度が増す。その結果、溶射効率及び溶射皮膜の硬度が向上もする。この傾向は、プロセス温度、すなわち溶射時の溶射用粉末の温度が低いほど顕著である。
溶射用粉末を構成するセラミックス粒子がセラミックス微粒子からなる造粒−焼結セラミックス粒子の場合、その造粒−焼結セラミックス粒子の圧縮強度の下限は、一般的な溶射用粉末に用いる造粒−焼結セラミックス粒子の圧縮強度の範囲であれば特に制限はなく、好ましくは1MPaであり、より好ましくは10MPaであり、さらに好ましくは100MPaである。造粒−焼結セラミックス粒子の圧縮強度が高くなるにつれて、溶射用粉末から形成される溶射皮膜の緻密度が増す。その結果、溶射効率及び溶射皮膜の硬度が向上もする。なお、造粒−焼結セラミックス粒子の圧縮強度の測定は、例えば、株式会社島津製作所製の微小圧縮試験装置“MCTE−500”を用いて行うことができる。
また、造粒−焼結セラミックス粒子の圧縮強度の上限も、一般的な溶射用粉末に用いる造粒−焼結セラミックス粒子の圧縮強度の範囲であれば特に制限はなく、好ましくは2000MPaであり、より好ましくは1500MPaであり、さらに好ましくは1000MPaである。造粒−焼結セラミックス粒子の圧縮強度が低くなるにつれて、溶射用粉末の溶射効率が向上する。
本実施形態に係る溶射用粉末、特に造粒−焼結セラミックス粒子は、例えば以下の手順で製造される。まず、原料粒子としてのセラミックス微粒子を分散媒に混合することによりスラリーを調製する。スラリーには適当なバインダを添加してもよい。次に、転動型造粒機、噴霧型造粒機又は圧縮造粒機を用いてスラリーから造粒粉末を作製する。こうして得られた造粒粉末を焼結し、必要に応じてさらに解砕及び分級することにより造粒−焼結セラミックス粒子は製造される。尚、造粒粉末の焼結は、真空中及び不活性ガス雰囲気中のいずれで行ってもよく、電気炉及びガス炉のいずれを用いてもよい。
セラミックス粒子の平均アスペクト比の上限は、好ましくは1.30、より好ましくは1.27、さらに好ましくは1.25である。なお、アスペクト比は、造粒−焼結セラミックス粒子の外形形状に最も近似する楕円球の長軸の長さを同楕円球の短軸の長さで除することにより得られる値として定義される。平均アスペクト比が小さくなるにつれて、溶射用粉末の溶射効率は向上する傾向がある。
本実施形態の溶射用粉末を溶射する方法は、特に限定されるものでなく、例えば、高速フレーム溶射、プラズマ溶射及び低温プロセス溶射のいずれであってもよい。高速フレーム溶射は、燃料を燃焼させた燃焼炎中に溶射用粉末を送り、粉末を溶融ないし半溶融の状態で基材に衝突させて積層させ皮膜を形成する溶射法であり、具体的には燃料として酸素を用いる高速酸素燃料(HVOF)溶射等が挙げられる。プラズマ溶射は、高温のプラズマにより溶射用粉末を加熱し、溶射用粉末を溶融させて基材に吹き付けて皮膜を形成する溶射法であり、具体的には減圧プラズマ溶射、大気プラズマ溶射等が挙げられる。低温プロセス溶射は、高速フレーム溶射やプラズマ溶射より低いプロセス温度の溶射法であり、具体的にはウォームスプレー溶射、コールドスプレー溶射及び高速空気燃料(HVAF)溶射等が挙げられる。
コールドスプレーとは、溶射用粉末の融点又は軟化温度よりも低い温度に加熱した作動ガスを超音速にまで加速し、その加速した作動ガスにより溶射用粉末を固相のまま高速で基材に衝突させることにより皮膜を形成する技術である。比較的高温の溶射プロセスの場合、一般に、融点又は軟化温度以上にまで加熱された溶射用粉末が基材に吹き付けられるため、基材の材質や形状によっては基材の熱変質や変形が起こることがある。そのため、あらゆる材質及び形状の基材に対して皮膜を形成することができるわけではなく、基材の材質及び形状が制限されるという欠点がある。また、溶射用粉末を融点又は軟化温度以上にまで加熱する必要があるために、装置も大型になり、施工場所等の条件が限られてくる。それに対し、コールドスプレー溶射は比較的低温で行われるため、基材の熱変質や変形を起こしにくく、また装置によっては比較的高温の溶射プロセスと比較して小型ですむという利点がある。さらに、使用する作動ガスが燃焼ガスではないために安全性に優れ、現地施工での利便性が高いという利点もある。
一般的に、コールドスプレーは、作動ガス圧により高圧型と低圧型に分類される。すなわち、作動ガス圧の上限が1MPaである場合を低圧型コールドスプレーといい、作動ガス圧の上限が5MPaである場合を高圧型コールドスプレーという。高圧型コールドスプレーでは、主としてヘリウムガスや窒素ガスもしくはそれらの混合ガス等の不活性ガスが作動ガスとして使用される。低圧型コールドスプレーでは、高圧型コールドスプレーで使用されるのと同じ種類のガス、あるいは圧縮空気が作動ガスとして使用される。
高圧型コールドスプレーにより溶射皮膜を形成する用途で前記実施形態の溶射用粉末を使用する場合、作動ガスは、好ましくは0.5〜5MPa、より好ましくは0.7〜5MPa、さらに好ましくは1〜5MPa、最も好ましくは1〜4MPaの圧力でコールドスプレー装置に供給されて、好ましくは100〜1000℃、より好ましくは300〜1000℃、さらに好ましくは500〜1000℃、最も好ましくは500〜800℃にまで加熱される。溶射用粉末は、好ましくは1〜200g/分、さらに好ましくは10〜100g/分の供給速度でもって作動ガスと同軸方向から作動ガスに供給される。スプレー時、コールドスプレー装置のノズル先端から基材までの距離(溶射距離)は、5〜100mmであることが好ましく、より好ましくは10〜50mmであり、コールドスプレー装置のノズルのトラバース速度は、好ましくは10〜300mm/秒、より好ましくは10〜150mm/秒である。また、形成する溶射皮膜の膜厚は、好ましくは50〜1000μmであり、より好ましくは100〜500μmである。
主としてヘリウムガスや窒素ガスもしくはそれらの混合ガス等の不活性ガスを作動ガスとして使用する低圧型コールドスプレーにより溶射皮膜を形成する用途で前記実施形態の溶射用粉末を使用する場合、作動ガスは、好ましくは0.3〜0.6MPa、より好ましくは0.4〜0.6MPaの圧力でコールドスプレー装置に供給されて、好ましくは100〜540℃、より好ましくは250〜540℃、最も好ましくは400〜540℃にまで加熱される。溶射用粉末は、好ましくは1〜100g/分、さらに好ましくは10〜100g/分の供給速度でもって作動ガスと同軸方向から作動ガスに供給される。スプレー時、コールドスプレー装置のノズル先端から基材までの距離は、5〜100mmであることが好ましく、より好ましくは10〜40mmであり、コールドスプレー装置のノズルのトラバース速度は、好ましくは5〜300mm/秒、より好ましくは5〜150mm/秒である。また、形成する溶射皮膜の膜厚は、好ましくは50〜1000μmであり、より好ましくは100〜500μm、最も好ましくは100〜300μmである。
主として圧縮空気を作動ガスとして使用する低圧型コールドスプレーにより溶射皮膜を形成する用途で前記実施形態の溶射用粉末を使用する場合には、作動ガスは、好ましくは0.3〜1MPa、より好ましくは0.5〜1MPa、最も好ましくは0.7〜1MPaの圧力でコールドスプレー装置に供給されて、好ましくは100〜600℃、より好ましくは250〜600℃、最も好ましくは400〜600℃にまで加熱される。溶射用粉末は、好ましくは1〜200g/分、さらに好ましくは10〜100g/分の供給速度でもって作動ガスと同軸方向から作動ガスに供給される。スプレー時、コールドスプレー装置のノズル先端から基材までの距離は、5〜100mmであることが好ましく、より好ましくは10〜40mmであり、コールドスプレー装置のノズルのトラバース速度は、好ましくは5〜300mm/秒、より好ましくは5〜150mm/秒である。また、形成する溶射皮膜の膜厚は、好ましくは50〜1000μmであり、より好ましくは100〜500μm、最も好ましくは100〜300μmである。
HVAF溶射により溶射皮膜を形成する用途で前記実施形態の溶射用粉末を使用する場合、支燃ガスである空気は、好ましくは0.4〜1.3MPa、より好ましくは0.4〜1.0MPa、最も好ましくは0.5〜0.7MPaの圧力でHVAF装置に供給されて、好ましくは800〜2000℃、より好ましくは1000〜1700℃、最も好ましくは1200〜1500℃にまで加熱される。溶射用粉末は、好ましくは50〜350g/分、より好ましくは80〜320g/分、さらに好ましくは100〜300g/分の供給速度でもって支燃ガスと同軸方向から支燃ガスに供給される。溶射時、HVAF装置のノズル先端から基材までの距離(溶射距離)は、100〜500mmであることが好ましく、より好ましくは150〜400mmであり、HVAF装置のノズルのトラバース速度は、好ましくは50〜900mm/秒、より好ましくは150〜750mm/秒である。また、形成する溶射皮膜の膜厚は、好ましくは50〜3000μmであり、より好ましくは100〜1000μm、より好ましくは200〜500μmである。
本実施形態によれば、以下の利点が得られる。
・ 特に、原料粒子としての一次粒子、すなわちセラミックス微粒子を造粒及び焼結し、一次粒子の集合体として顆粒状の粒子を形成する造粒−焼結セラミックス粒子において、その表面形状を正確に把握するためには、これまで一般的に用いられてきた平均アスペクト比よりも平均フラクタル次元が有効である。この平均フラクタル次元の値を規定することにより、より溶射効率のよい溶射用粉末を提供することができる。
前記実施形態は次のように変更してもよい。
・ 溶射用粉末中のセラミックス粒子は、不可避不純物あるいは添加剤などのセラミックス以外の成分を含有してもよい。
・ 溶射用粉末は、セラミックス粒子以外の成分を含有してもよい。ただし、セラミックス粒子以外の成分の含有量はできるだけ少ないことが好ましい。その理由は、セラミック粒子は通常、比重は金属粒子又はセラミックと金属の混合物からなるサーメット粒子等と比べて小さく、上記平均フラクタル次元の値が流動性に反映されやすいためと考えられる。そのため、セラミック粒子の含有量が少ないと、換言すれば、他の添加物や金属粒子等の含有量が多いと、セラミックス粒子以外の含有物の比重の影響を受けて、本発明が期待する効果を奏しない場合がある。よって、セラミック粒子の溶射粉末に対する含有量の下限は、好ましくは90重量%であり、より好ましくは95重量%である。また、上限は通常100重量%であり、添加剤などの混合により本発明の効果を損なわない程度に適宜調整される。
・ 本発明による溶射用粉末は、フラクタル次元の値が1.08以下であるセラミックス粒子を含むものであるが、このセラミックス粒子は2種類以上のセラミックス粒子を組み合わせたものであってもよい。ここで、組み合わせるセラミックス粒子は、全てが上記の条件を満たすものであってもよく、また一部若しくは全てがフラクタル次元の値が1.08以下の条件を満たさないものであってもよい。ただし、いずれの組合せにおいても、組み合わせた後の条件は上記の条件を満たす必要がある。
・ 本発明による溶射用粉末は、上記したようなフラクタル次元の値が1.08以下であるセラミックス粒子を含むものであるが、それとは別のセラミックス粒子として、特定の条件を満たすもの含んでもよい。以下、本発明においてこのようなセラミックス粒子を追加セラミックス粒子という。追加セラミックス粒子は、平均フラクタル次元の値について1.08という下限を有する。追加セラミックス粒子を含むと、形成される溶射皮膜の耐摩耗性が向上する可能性がある。この場合、追加セラミックス粒子の含有量は、特に限定は無いが、追加セラミックス粒子の含有量が多くなると、換言すれば、フラクタル次元の値が1.08以下であるセラミックス粒子の含有量が少なくなると、本発明が期待する効果を奏しない場合がある。よって、追加セラミックス粒子の含有量は、本発明が期待する効果を損なわない範囲であれば、適宜調整されてもよい。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1〜6及び比較例1の溶射用粉末として圧縮強度が約100MPaの各種の造粒−焼結セラミックス粒子を用意し、これを表1に示す条件で溶射することにより溶射皮膜を形成した。
Figure 2012188677
実施例1〜6及び比較例1の溶射用粉末及びそれら溶射用粉末から溶射皮膜を形成したときの溶射効率の詳細を表2に示す。
Figure 2012188677
表2の“種類”欄には、各溶射用粉末の造粒−焼結セラミックス粒子の種類を、すなわち、原料粒子として用いた粒子の種類をいう。
表2の“造粒−焼結セラミックス粒子の平均粒子径”欄には、各溶射用粉末の造粒−焼結セラミックス粒子の平均粒子径(体積平均径)を測定した結果を示す。この測定には、株式会社堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度測定機“LA−300”を使用した。
表2の“造粒−焼結セラミックス粒子の平均アスペクト比”欄には、各溶射用粉末に含まれる造粒−焼結セラミックス粒子の平均アスペクト比を、走査型電子顕微鏡画像の解析により測定した結果を示す。
表2の“造粒−焼結セラミックス粒子の平均フラクタル次元値”欄には、各溶射用粉末に含まれる造粒−焼結セラミックス粒子の平均フラクタル次元値を測定した結果を示す。平均フラクタル次元値の測定は、具体的には、各例の溶射用粉末に含まれる造粒−焼結セラミックス粒子のうち平均粒子径±3μm内の大きさの粒子径を有する5つの粒子についての走査型電子顕微鏡による二次電子像(倍率1000〜2000倍)に基づいて、株式会社日本ローバーの画像解析ソフトImage−Pro Plusを用いてディバイダー法により行った。
表2の“溶射効率”欄には、各溶射用粉末から溶射皮膜を形成したときの溶射効率を示す。具体的には、各溶射用粉末から形成された溶射皮膜の膜厚を示す。ここでは、表1に示す条件で溶射して得られた溶射皮膜の膜厚で評価し、90mm以上の溶射皮膜を形成できれば実用上好適なレベルであるといえる。
表2の“流動性”欄には、各溶射用粉末から溶射皮膜を形成したときの各溶射用粉末の流動性を示す。具体的には、溶射装置への各溶射用粉末の流動性を目視で確認し、流動性が普通の場合は“△”、流動性が良い場合は“○”、流動性がさらに良い場合は“◎”、流動性が悪い場合は“×”とした。
表2に示されるように、実施例1〜6の本発明の一実施形態である溶射用粉末の場合には、流動性もよく、効率よく溶射皮膜を形成することができた。それに対し、造粒−焼結セラミックス粒子の平均フラクタル次元値が1.086である比較例1の場合、流動性が悪く、効率よく溶射皮膜を形成することができなかった。

Claims (6)

  1. セラミックス粒子を含む溶射用粉末であって、
    前記セラミックス粒子のフラクタル次元の値が1.08以下であることを特徴とする溶射用粉末。
  2. 前記セラミックス粒子が造粒−焼結粒子である請求項1に記載の溶射用粉末。
  3. 前記セラミックス粒子の平均アスペクト比が1.30以下である請求項1または2に記載の溶射用粉末。
  4. 前記溶射用粉末が追加セラミックス粒子を含む溶射用粉末であって、
    前記追加セラミックス粒子のフラクタル次元の値が1.08以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶射用粉末。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の溶射用粉末を高速フレーム溶射して得られる溶射皮膜。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の溶射用粉末を低温プロセス溶射して得られる溶射皮膜。

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