JP2014240511A - 溶射皮膜の製造方法および溶射用材料 - Google Patents

溶射皮膜の製造方法および溶射用材料 Download PDF

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Abstract

【課題】 熱膨張係数差の大きい基材に対しても緻密で良好な特性を有する溶射皮膜を製造する方法と、かかる方法により製造される溶射皮膜とを提供する。【解決手段】熱膨張係数が10?10−6/K以上の基材に、溶射用材料を用いて溶射皮膜を製造する方法である。平均粒子径が500nm以上5μm以下の粒状の溶射材を含み、該溶射材の熱膨張係数が1?10−6/K以上10?10−6/K未満である溶射用材料を用い、この溶射用材料を、以下の条件;溶射温度:1000℃以上10000℃以下、溶射速度:少なくとも300m/s;で基材に対して溶射することで、基材に、下記;表面の中心から10mm?10mmの領域で測定される断面曲面における山の高さをHとしたとき、H≧100μmを満たす山の数がゼロである;で規定される表面形状を有する溶射皮膜を形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、溶射皮膜の製造方法および溶射用材料に関する。より詳細には、溶射皮膜の製造方法と、これに用いる溶射用材料、および溶射皮膜付物品に関する。
基材に皮膜を設けることにより新たな機能性を付与する技術は、従来より様々な分野において利用されている。ドライコーティング技術の一つである溶射法は、金属やセラミック、サーメット等からなる粒状の溶射材を燃焼炎あるいは電気エネルギー等の熱源により溶融させるとともにその溶射粒子を加速させて、基材の表面に吹き付け、堆積させることで、皮膜を形成する手法である。
なかでも、プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法等によるセラミック粉末の溶射技術は、セラミック材料の特長である耐熱性、耐摩耗性、耐腐食性および耐絶縁性等といった優れた化学的・機械的特性を、比較的経済的にかつ高速で厚膜として基材に付与できることから、ジェットエンジン、ガスタービンエンジン、製紙用ロール、ポンプ軸等の一般工業向けの金属製部材に広く適用されている。また、近年では、かかるセラミック溶射技術が医療・半導体分野で使用される機器の金属製部材等へも適用されており、上記の付加機能がより高精度に実現されるようになっている。
溶射皮膜の機能性は、一般的に、溶射用材料に含まれる皮膜を形成するための溶射材の本質的な物性に基づいており、より緻密な溶射皮膜を実現することでその機能性を溶射材のバルクの特性に近づけることが可能と考えられている。したがって、溶射材バルクの本質的な物性を、そのまま溶射皮膜で実現することが期待されている。
このような緻密な溶射皮膜を実現するためには、溶射用材料に含まれる溶射材として、例えば平均粒子径が500nm未満のナノ粒子といった、微小な粉末を用いるのが効果的であることが知られている(例えば、特許文献1等参照)。セラミック溶射皮膜については、例えば、平均粒子径が300nm以下程度の微細な溶射材を用いることで、気孔率が1%以下の緻密な皮膜を得ることができる。
特表2005-526910号公報
ところで、例えば上記の通りの緻密なセラミック溶射皮膜であっても、溶射材と熱膨張係数が大きく異なる材料からなる基材に対して形成された場合は、その特性がセラミックのバルク体と比較して必ずしも十分とはいえない場合があった。というのは、例えば図2に示されるように、溶射により微細な粒状の溶射材は溶融されて溶射粒子112となり、基材120に衝突される。そして、この溶射粒子112(輪郭は図示せず。)が堆積することで緻密な溶射皮膜110が形成される。ここで、緻密な溶射皮膜110と基材120とが冷却されると、両者の界面には熱収縮量の差に基づく応力が発生し得る。この応力は、セラミック溶射皮膜110に対しては主として圧縮の方向に作用するため、かかる圧縮応力が集中した部位の溶射皮膜110には、厚み方向に進展する気孔114(典型的には、連通孔であり得る。)が形成されたり、皮膜110の表面に大きなうねり(山状の突起であり得る。以下同じ。)116が生じたりするおそれがあった。かかる気孔114の存在は、例えば、溶射皮膜110による基材120への耐食性(環境遮断性であり得る。)、絶縁性等の機能性付与といった側面、および、溶射皮膜110自体の機械的特性等の側面から、回避すべき問題であった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、熱膨張係数の差が大きい基材に対しても、緻密で優れた環境遮断性を有する高品質な溶射皮膜を製造する方法を提供することを目的とする。また、かかる方法に用いる溶射用材料、および、かかる方法により製造された溶射皮膜を備える皮膜成形品を提供することを他の目的とする。
上記目的を実現するべく、本発明により、熱膨張係数が10×10−6/K以上の基材に、溶射用材料を用いて溶射皮膜を製造する方法が提供される。かかる製造方法は、平均粒子径が500nm以上5μm以下の溶射材を含み、該溶射材の熱膨張係数が1×10−6/K以上10×10−6/K未満である溶射用材料を用い、上記溶射用材料を、以下の条件;
溶射温度:1000℃以上10000℃以下
溶射速度:少なくとも300m/s
で上記基材に対して溶射することで、上記基材に、下記;
表面の基準点を中心とした10mm×10mmの領域で測定される断面曲面における山の高さをHとしたとき、
H≧100μm
を満たす山の数がゼロである、
で規定される表面形状を有する溶射皮膜を形成することを特徴としている。
また、他の側面から、本発明は、熱膨張係数が10×10−6/K以上の基材に溶射皮膜を製造するために用いる溶射用材料であって、
熱膨張係数が1×10−6/K以上10×10−6/K未満で、平均粒子径が500nm以上5μm以下の溶射材を含むことを特徴としている。また、かかる溶射用材料は、さらに、上記溶射材を分散させるための溶媒を備えていてもよい。かかる溶射材と分散媒とは、分散媒に溶射材が分散されたスラリーの形態で提供されてもよいし、溶射材と分散媒とが独立して別個に備えられていてもよい。
本発明においては、従来のように、例えば平均粒子径が500nm未満の微細な粒子を溶射材として用いる必要はなく、上記の通り比較的平均粒子径の大きな溶射材を用い、これを十分な速度にて基材に溶射することで、緻密な溶射皮膜を得るようにしている。かかる構成によると、溶射材は溶射により十分に軟化ないしは溶融された溶射粒子となって基材の表面に衝突し、扁平に変形されて、より広い面積をもって基材に付着し得る。このように溶射粒子が付着、堆積してゆき、凝固することで、溶射皮膜が形成される。ここで、例えば溶射皮膜の厚み方向で積み重なった溶射粒子は、微細な溶射材を用いた場合に比べてより広い面積で互いに密着している。また、溶射速度が十分に高いために基材と溶射粒子との間および溶射粒子間で、気孔の発生が抑えられている。したがって、溶射皮膜と基材とが冷却される間に、両者の界面に熱収縮量の差に基づく応力が発生しても、この応力はかかる界面における剪断抵抗等により緩和されて、局所的に集中することが抑制され得る。また、基材に堆積された溶射粒子間に気孔が形成されても、溶射粒子はより広い面積を持った扁平形状であるために、かかる気孔は厚み方向で連通され難い。
これにより、熱膨張係数の差の大きな基材と溶射材との組み合わせの溶射であっても、緻密な溶射皮膜を、その表面のうねり、すなわち上記で規定される100μm以上の高さの山の発生を抑えながら製造することができる。また、厚み方向に進展する気孔の発生についても抑制することができる。
なお、本明細書における「熱膨張係数」は、所定の温度領域において示差膨張式熱機械分析装置を用いて測定した平均線膨張係数(K−1)であり、試料の初期長さに対する所定の温度範囲における試料長さの変化量を測定温度差で割った値である。本明細書における各種のセラミック材料の熱膨張係数は、25℃から800℃を測定温度域とし、RIGAKU社製の熱機械分析装置(TMA:thermo-mechanical analyzer)、TMA8310を用いて測定した値を示している。熱膨張係数の測定は、JIS R 1618:2002 ファインセラミックスの熱機械分析による熱膨張の測定方法に準拠して実施することができる。
また、本明細書において「平均粒子径」とは、レーザ散乱回折法に基づく粒度分布測定装置により測定された体積基準の粒度分布における積算値50%での粒径(50%体積平均粒子径)を意味するものとする。本明細書において、平均粒子径の測定には、株式会社堀場製作所製のレーザ回折/散乱式粒度測定器、LA−300を使用して得た値を採用している。
さらに、本明細書における「溶射温度」とは、溶射材が溶射により溶融され、溶射粒子となって飛行している状態における温度である。かかる飛行状態にある溶射粒子を、特に、飛行粒子ともいう。本明細書では、溶射温度は、例えば、市販されているDPV-2000やSpray Watch等により、溶射距離がおよそ30mm〜90mmの範囲を飛行する溶射粒子の温度を測定することで確認することができる。本明細書では、溶射温度として、溶射距離がおよそ60mmの位置を飛行する溶射粒子について測定した温度を採用している。
本明細書における「溶射速度」とは、溶射材が加熱溶融されてなる溶射粒子が飛行している状態における速度である。かかる溶射速度は、例えば、上記のDPV-2000やSpray Watch等の市販されている装置により、溶射距離がおよそ30mm〜90mmの範囲を飛行する溶射粒子の速度を測定することで確認することができる。本明細書では、溶射速度として、溶射距離がおよそ60mmの位置を飛行する溶射粒子について測定した速度を採用している。
その他、溶射速度は、例えば、画像解析に基づき非接触で計測する粒子画像速度(PIV:Particle Image Velocimetry)法に基づき測定することもできる。具体的には、PIV法により、シート状のレーザ光を一定の時間間隔で放射し、その中を高速度で飛行する溶射粒子の像をビデオカメラ等の撮像装置で撮影し、溶射距離がおよそ30mm〜90mmの範囲を飛行する溶射粒子群の移動距離をレーザ光の発光間隔で除して算出される溶射粒子の平均的な飛行速度を、溶射速度としてもよい。
本明細書において溶射皮膜の表面性状に関する評価は、JIS B 0601:2001(ISO 4287:1997)に準拠して実施することができる。
本明細書において、溶射皮膜の表面性状は、溶射皮膜の表面の3次元形状を計測して得た断面曲面(3Dプロファイル)を基に評価することができる。例えば、具体的には、まず、触針式表面粗さ計にて、溶射皮膜の表面性状を皮膜サンプルの基準点(例えば、皮膜の中心部)を中心とした10mm×10mmの領域にて測定することで、断面曲面を取得する。次いで、かかる断面曲面を画像解析ソフトにて平均面補正して得た仮想平面から垂直上向きに突出した表面部分を山とする。ここで、断面曲面とは、触針式表面粗さ計にて測定された測定断面曲線の集合(測定点の集合であり得る。)により構成される曲面である。また、平均面補正とは、3次元の断面曲面から3点以上(本明細書では4点)を設定して最小二乗平面を算出する手法である。そして、平均面補正後の断面曲面における山の高さ(山頂高さ)をHとし、かかる山の高さHが100μm以上となる山の有無を調べることで、表面性状を評価することができる。
本明細書では、三次元表面粗さ計(株式会社ミツトヨ製、サーフテストエクストリーム SV−3000CNC)を用いて、断面曲面における山の高さHを算出するようにしている。かかる装置による高さ(Z軸)方向の分解能は0.2μmであるが、分解能が数μm程度(例えば、5μm程度)の測定が可能な装置であれば特に制限なく用いることができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記溶射材が、セラミック粒子、金属粒子またはこれらの混合物であることを特徴としている。
かかる構成によると、例えば、熱膨張係数が上記の範囲のセラミック粒子や金属粒子あるいはこれらの混合物からなる溶射材であっても、緻密な皮膜をその表面のうねりの発生を抑えながら製造することができるために好適である。かかる溶射材としては、例えば、比較的熱膨張係数の小さいセラミック粒子であることが好ましい。例えば、イットリア、アルミナ、ジルコニア、シリカ、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、サイアロン、窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の材料を主成分とする粒子であり得る。このような材料からなる溶射材を用いることで、本発明の効果がより顕著に発現され得るために好ましい。
また、本発明により、上記の溶射皮膜の製造方法に使用する溶射用材料を提供する。
なお、本明細書において「主成分」とは、組成において当該成分が75質量%以上の割合で含まれることを意味し、典型的には当該成分が85質量%以上、好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上(例えば、99.9質量%以上であり得る)含まれることをいう。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記溶射材が、フッ素(F)を構成元素として含むことを特徴としている。
また、本発明により、上記の溶射皮膜の製造方法に使用する溶射用材料を提供する。
かかる構成によると、例えば、製造された溶射皮膜の耐食性を高めることができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記基材が、アルミニウム、アルミニウム合金およびステンレス鋼からなる群から選択されるいずれか1つであることを特徴としている。
かかる構成によると、熱膨張係数が比較的大きく、溶射に伴う熱により膨張しやすい材料からなる基材を用いた場合に、本発明の効果がより顕著に発現され得るために好ましい。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記溶射用材料を、酸素支燃型高速フレーム(HVOF:High Velocity Oxygen Fuel)溶射することで溶射皮膜を形成することを特徴としている。
かかる構成によると、溶射材として平均粒子径の比較的大きな粒子を用いた場合であっても、溶射粒子を十分に軟化溶融し、加速させることができる。これにより、平均粒子径の大きな溶射材を含む溶射用材料を用いた場合であっても、緻密な溶射皮膜を形成することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記溶射用材料を、プラズマ溶射することで溶射皮膜を形成することを特徴としている。
かかる構成によると、平均粒子径の比較的大きな溶射材を用いた場合であっても、溶射粒子を十分に軟化溶融し、加速させることができる。これにより、平均粒子径の大きな溶射材を含む溶射用材料を用いた場合であっても、緻密な溶射皮膜を形成することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記溶射温度を、溶射材の融点をTm℃としたとき、1.1×Tm℃以上の温度に加熱することを特徴としている。
かかる構成によると、溶射材をより適切な溶融状態にして溶射を行うことができ、より緻密な溶射皮膜を好適に製造することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記溶射用材料が分散媒に上記溶射材を分散させたスラリーであって、該スラリーを上記溶射のために用いる溶射装置にアキシャルフィード方式で供給することを特徴としている。
かかる構成によると、比較的平均粒子径の大きい溶射材を用いた場合であっても、スラリー中の溶射材を溶射熱源に軸方向で投入するため、より多くの溶射材を皮膜形成に寄与させることができ、歩留まり良く溶射皮膜を製造することができる。
なお、「アキシャルフィード方式」とは、溶射熱源(例えば、プラズマアークや燃焼炎)の中心から、かかる溶射熱源の発生方向やトーチノズルの軸方向に溶射用材料を供給する手法である。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記溶射用材料が分散媒に上記溶射材を分散させたスラリーであって、該スラリーを上記溶射のために用いる溶射装置に2つのフィーダを用いて供給するとともに、両フィーダからの上記スラリーの供給量の変動周期が互いに逆位相となるように供給することを特徴としている。
かかる構成によると、比較的平均粒子径の大きい溶射材がスラリー中で凝集したり沈降するのを抑制し、スラリーをムラなくほぼ一定の割合で供給することが可能となる。これによって、皮膜組織にバラつきの少ない溶射皮膜を製造することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記溶射用材料が分散媒に上記溶射材を分散させたスラリーであって、該スラリーをフィーダにより上記溶射のために用いる溶射装置の直前でタンクにいったん貯留し、自然落下を利用して該タンク内の上記スラリーを上記溶射装置に供給することを特徴としている。
かかる構成によると、溶射装置直前のタンクにおいてスラリーの状態を整えることができるため、比較的平均粒子径の大きい溶射材がスラリー中で凝集したり沈降するのを抑制し、スラリーをムラなくほぼ一定の割合で供給することが可能となる。これによっても、皮膜組織にバラつきの少ない溶射皮膜を製造することができる。
以上のとおり、本発明により提供される溶射皮膜は、平均粒子径が比較的大きい溶射材を用いて形成されているため、基材と溶射皮膜との熱膨張係数の差に基づきこれらの界面に発生する応力が、局所的に集中するのが抑制されている。また、十分な溶射速度により形成されるため、例えば気孔率が1%以下と、緻密な膜であり得る。したがって、例えば、平均粒子径が微細な溶射材を用いて形成した溶射皮膜に比べて、皮膜表面のうねりの発生が低減され、また、局所的に厚み方向に進展して気孔が発生するのが抑制されている。以上のことから、かかる溶射皮膜を基材の表面に備えた皮膜形成品は、基材への耐食性、絶縁性等の機能性付与の側面、および、溶射皮膜自体の機能性等の側面において優れたものであり得、本発明はかかる皮膜形成品を好適に提供し得る。また、かかる皮膜形成品に備えられた溶射皮膜は、溶射材のバルクに匹敵する特性を備えたものであり得る。例えば、耐食性等を発現しうる環境遮断特性に優れた皮膜形成品であり得る。
したがって、かかる皮膜形成品は、溶射皮膜を構成する溶射材のバルクの特性に応じて種々の用途で好適に使用することができる。例えば、酸化アルミニウム溶射皮膜は、酸化アルミニウムが高い電気絶縁性、耐摩耗性および耐食性を示すことから、各種部材の保護皮膜等として好適に使用できる。また、酸化イットリウム溶射皮膜は、酸化イットリウムが高い耐プラズマエロージョン性を示すことから、半導体デバイス製造装置等のチャンバー内部の保護皮膜等として好適に使用できる。特に、フッ素化された酸化イットリウム溶射皮膜は、耐プラズマエロージョン性がより一層高められているために好ましい。本発明は、所望の用途に応じて適切な溶射皮膜を表面に備えた皮膜形成品を提供するものとして把握することができる。
一実施形態に係る溶射皮膜の構成を模式的に示した断面図である。 従来の溶射皮膜の構成を模式的に示した断面図である。 一実施形態で得られた溶射皮膜の3Dプロファイルの結果を示す図である。 他の実施形態で得られた溶射皮膜の3Dプロファイルの結果を示す図である。
以下、適宜図面を参照し、本発明の溶射皮膜の製造方法と、溶射用材料、およびこれらから製造される溶射皮膜とについて、好適な実施形態に基づいて説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(溶射皮膜の製造条件等)以外の事項であって、本発明の実施に必要な事柄(例えば、溶射装置の構成や、かかる溶射装置を用いた溶射方法等の、溶射に係る一般的事項)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の溶射皮膜における寸法関係を反映したものではない。
本発明が提供する溶射皮膜の製造方法は、熱膨張係数が10×10−6/K以上の基材に、溶射用材料を用いて溶射皮膜を形成するものである。そして、本質的に、下記の(1)〜(3)の構成を含むことを特徴としている。
(1)熱膨張係数が10×10−6/K以上の基材と、平均粒子径が500nm以上5μm以下の粒状の溶射材を含み、該溶射材の熱膨張係数が1×10−6/K以上10×10−6/K未満である、溶射用材料とを用意する。
(2)この溶射用材料を用い、以下の条件で上記の基材に対して溶射する。
溶射温度:1000℃以上10000℃以下
溶射速度:少なくとも300m/s
(3)これにより、基材に、下記で規定される表面形状を有する溶射皮膜を形成する。
表面の中心から20mm×20mmの領域で測定される断面曲面における山の高さをHとしたとき、H≧100μm、を満たす山の数がゼロである。
[基材]
被溶射材である基材としては、熱膨張係数が10×10−6/K以上であれば、各種の材料からなるものを用いることができる。かかる材料としては、例えば、各種の金属または合金等が挙げられる。具体的には、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄鋼、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、金、銀、ビスマス、マンガン、亜鉛、亜鉛合金等が例示される。なかでも、汎用されている金属材料のうち比較的熱膨張係数の大きい、各種SUS材(いわゆるステンレス鋼であり得る。)等に代表される鉄鋼、インコネル等に代表される耐熱合金、インバー,コバール等に代表される低膨張合金、ハステロイ等に代表される耐食合金、軽量構造材等として有用な1000シリーズ〜7000シリーズアルミニウム合金等に代表されるアルミニウム合金等からなる基材は、ここに開示される方法により好適に緻密で密着性の良い溶射皮膜を形成でき、本発明の利点が明瞭となり得る点で好ましい。かかる基材の熱膨張率の上限は特に限定されないが、好ましくは30×10−6/Kであり、より好ましくは25×10−6/Kである。
[溶射用材料の用意]
溶射用材料としては、少なくとも下記の溶射材を含むものを考慮することができる。
溶射材としては、平均粒子径が500nm以上5μm以下で、熱膨張係数が1×10−6/K以上10×10−6/K未満の粒状の各種の材料により構成することができる。
上記の熱膨張係数を有する材料としては、例えば、各種の無機材料、金属材料またはこれらの混合物が挙げられる。ここで、かかる混合物において無機材料と金属材料とは一体化された複合材料(例えば、サーメットであり得る。)の形態であっても良い。この様な溶射材としては、例えば、イットリウム(Y),アルミニウム(Al),ジルコニウム(Zr),シリコン(Si),チタン(Ti),クロム(Cr)および亜鉛(Zn)の酸化物、窒化物、炭化物およびこれらの混合物または複合体であり得る。例えば、具体的には、イットリア、アルミナ、ジルコニア、シリカ、酸化チタン、酸化クロム、酸化亜鉛、ムライト、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、サイアロン、窒化アルミニウム等のセラミック材料が挙げられる。また、チタン(Ti),クロム(Cr),モリブデン(Mo),白金(Pt),ジルコニウム(Zr)およびイリジウム(Ir)等の金属材料が挙げられる。これらは溶射皮膜に所望の特性を付与するために、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。あるいは、例えば、上記の材料に任意の元素(例えば希土類元素や、フッ素(F)等であり得る。)が所定の割合で置換またはドープされたものであっても良い。例えば、かかるセラミック材料としては、イットリア安定化ジルコニア、フッ化イットリア等が挙げられる。なお、コバルト等の金属元素を含有するとセラミックスの絶縁性等の電気的特性が低下することがあり得る。したがって、意図しない物質の混入は避けることが好ましく、溶射皮膜の純度は高い方が好ましい。かかる観点から溶射用材料の純度は高い方が好ましい。
平均粒子径が500nm未満であると、溶射材の粒径が小さすぎるために溶射皮膜に熱収縮時の圧縮応力が蓄積しやすく、溶射皮膜にうねりが生じたり、溶射皮膜の厚み方向に連通する気孔が形成されたりする可能性が高まるために好ましくない。平均粒子径は700nm以上であるとより好ましく、例えば、1μm以上とすることができる。一方で、平均粒子径が5μmを超えると、溶射材の粒径が大きすぎるために溶射粒子間に気孔が形成され易く、溶射皮膜の厚み方向に連通する気孔が形成されたりする可能性が高まるために好ましくない。平均粒子径は4μm以下であるとより好ましく、例えば、3μm以下とすることができる。
なお、溶射材の粒子の形態は、幾何学的に真球あるいはこれに近いものに限定されることなく、例えば、略球状、針状、棒状、薄片状、立方体状、無定形等の様々な形態であり得る。
以上の溶射材は、例えば単独で粉末(典型的には、乾粉)の形態等の溶射用材料として用意しても良いし、適切な分散媒に分散されたスラリー(サスペンション、インク、ペーストを包含する。)の形態等の溶射用材料として用意しても良い。
スラリー状の溶射用材料(以下、「溶射用スラリー」という場合がある。)として用いる場合、分散媒としては、水や有機溶媒、およびこれらの混合物等を考慮することができる。具体的には、例えば、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、トルエン、ヘキサン、灯油等が好適な例として挙げられる。かかる分散媒の種類は、溶射用スラリーの溶射方法に応じて適宜に選択することができる。すなわち、例えば、溶射用スラリーを高速フレーム溶射する場合には、水、有機溶剤、あるいはこれらの混合物を分散媒として用いるのが好ましい。また、例えば、溶射用スラリーをプラズマ溶射する場合には、有機溶剤を分散媒として用いることが好ましく、例えば、有機溶剤あるいは水と有機溶剤の混合物を用いることもできる。
溶射材の分散媒への分散は、例えば、溶射材と分散媒とを混合し、ホモジナイザー、翼式撹拌機などの混合機、分散機等を用いて実施することができる。
溶射用スラリーにおける溶射材の割合は特に制限はないが、例えば、固形分濃度として、10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは20質量%以上、例えば30質量%以上とすることができる。固形分濃度を10質量%以上とすることで、溶射用スラリーから単位時間あたりに製造される溶射皮膜の厚さ、すなわち溶射効率を向上させることができる。
溶射用スラリーにおける溶射材の割合は、85質量%以下とすることができ、好ましくは70質量%以下、例えば50質量%以下とすることができる。固形分濃度を85質量%以下とすることで、溶射用スラリーを溶射装置に供給するのに適した流動性を実現することができる。
なお、特に制限されるものではないが、溶射用スラリーの粘度は3000mPa・s以下とすることができ、好ましくは1000mPa・s以下、より好ましくは500mPa・s以下、例えば100mPa・s以下とすることができる。溶射用スラリーの粘度が低下することで、流動性をさらに向上させることができる。かかるスラリーの粘度は、例えば、ブルックフィールドB型粘度計により測定することができる。
以上の溶射用スラリーは、必要に応じて、分散剤、凝集剤、粘度調整剤等の添加剤をさらに含有させることができる。
かかる分散剤としては、アニオン性、カチオン性又は非イオン性の分散剤を用いることができる。具体的には、アニオン性分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸ナトリウム塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩などのポリカルボン酸系分散剤、ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩、ナフタレンスルホン酸アンモニウム塩などのナフタレンスルホン酸系分散剤、アルキルスルホン酸系分散剤、ポリリン酸系分散剤などが挙げられる。カチオン性分散剤としては、例えば、ポリアルキレンポリアミン系分散剤、第四級アンモニウム系分散剤、アルキルポリアミン系分散剤などが挙げられる。非イオン性分散剤としては、例えば、アルキレンオキサイド系分散剤、多価アルコールエステル系分散剤などが挙げられる。
凝集剤としては、アルミニウム系、鉄系、高分子系、有機化合物系等の各種の凝集剤を用いることができる。アルミニウム系凝集剤としては、例えば、硫酸アルミニウム(硫酸バンドともいう。)、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム(PAC、PAClともいう。)などが挙げられる。鉄系凝集剤としては、例えば、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄などが挙げられる。高分子凝集剤としては、アニオン性、カチオン性または非イオン性のいずれであってもよく、例えば、具体的には、イソブチレン−マレイン酸共重合体などが挙げられる。有機化合物系凝集剤としては、例えば、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、マレイン酸、無水マレイン酸などの有機酸が挙げられる。
粘度調整剤としては、非イオン性ポリマー、例えばポリエチレングリコールなどのポリエーテルが挙げられる。かかる粘度調整剤により、溶射用スラリーの粘度を所望の目的に応じて適切に調整することができ、溶射用スラリー中の溶射材の含有量が比較的高い場合であっても溶射用スラリーの流動性の低下を抑えることができる。
これらの添加剤は、溶射用スラリーを調製する際に、分散剤と同じタイミングで分散媒に加えるようにしてもよいし、別のタイミングで加えるようにしてもよい。
[溶射]
上記の溶射用材料を、上記の基材に対して、溶射温度:1000℃以上10000℃以下、溶射速度:少なくとも300m/sの条件にて溶射する。
溶射温度が1000℃に満たないと、上記の通りの比較的大きい平均粒子径を有する溶射材が十分に軟化および溶融されない可能性が生じ、溶射粒子が密着性良く基材に付着できないおそれがあるために好ましくない。溶射材がセラミック粒子の場合、好ましくは、溶射温度は2000℃以上である。溶射温度は、好ましくは溶射材の融点をTm℃としたとき、1.1×Tm℃以上の温度にまで加熱するのが好ましい。より好ましくは1.2×Tm℃以上の温度にまで加熱することである。溶射材をかかる温度に加熱することで、比較的大きい平均粒子径を有する溶射材であっても、その組成に適切な軟化または溶融状態を実現することができ、より緻密な溶射皮膜を形成することができる。なお、溶射温度の上限については特に制限はなく、溶射に用いる溶射装置の性能に応じて適宜決定することができる。例えば、作動ガスをアルゴン(Ar)とするプラズマ溶射装置によると、例えば、10000℃程度までの溶射温度を考慮することができる。
また、溶射速度が300m/sを下回ると、溶射粒子が基板に衝突する際のエネルギーが十分に得られない可能性があり、緻密かつ密着性の良い溶射被膜を形成できないおそれがあるために好ましくない。溶射速度は、500m/s以上の超音速であることが好ましく、例えば、700m/s以上であるのがより好ましい。なお、溶射速度の上限については特に制限はなく、使用する溶射装置の性能やコスト、および基材の強度等に応じて適宜決定することができる。例えば、溶射速度の上限は2000m/s程度を目安とすることができる。
なお、以上のような溶射条件は、例えば、一例として、プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法等の溶射方法を採用することで、好適に実現することができる。
プラズマ溶射法とは、溶射材を軟化または溶融するための溶射熱源としてプラズマ炎を利用する溶射方法である。電極間にアークを発生させ、かかるアークにより作動ガスをプラズマ化すると、かかるプラズマ流はノズルから高温高速のプラズマジェットとなって噴出する。プラズマ溶射法は、このプラズマジェットに溶射用材料を投入し、加熱、加速して基材に堆積させることで溶射皮膜を得るコーティング手法一般を包含する。なお、プラズマ溶射法は、大気中で行う大気プラズマ溶射(APS:atmospheric plasma spraying)や、大気圧よりも低い気圧で溶射を行う減圧プラズマ溶射(LPS:low pressure plasma spraying)、大気圧より高い加圧容器内でプラズマ溶射を行う加圧プラズマ溶射(high pressure plasma spraying)等の態様であり得る。プラズマ溶射によると、例えば、一例として、溶射材を5000℃〜10000℃程度のプラズマジェットにより溶融および加速させることで、溶射粒子を300m/s〜600m/s程度の速度にて基材へ衝突させて堆積させることができる。
また、高速フレーム溶射法としては、例えば、酸素支燃型高速フレーム(HVOF)溶射法、ウォームスプレー溶射法および空気支燃型(HVAF)高速フレーム溶射法等を考慮することができる。
HVOF溶射法とは、燃料と酸素とを混合して高圧で燃焼させた燃焼炎を溶射のための熱源として利用するフレーム溶射法の一種である。燃焼室の圧力を高めることにより、連続した燃焼炎でありながらノズルから高速(超音速であり得る。)の高温ガス流を噴出させる。HVOF溶射法は、このガス流中に溶射用材料を投入し、加熱、加速して基材に堆積させることで溶射皮膜を得るコーティング手法一般を包含する。HVOF溶射法によると、例えば、一例として、溶射用材料を2000℃〜3000℃の超音速燃焼炎のジェットにより溶融および加速させることで、溶射粒子を500m/s〜1000m/sという高速度にて基材へ衝突させて堆積させることができる。高速フレーム溶射で使用する燃料は、アセチレン、エチレン、プロパン、プロピレンなどの炭化水素のガス燃料であってもよいし、灯油やエタノールなどの液体燃料であってもよい。また、溶射材の融点が高いほど超音速燃焼炎の温度が高い方が好ましく、この観点では、ガス燃料を用いることが好ましい。
また、上記のHVOF溶射法を応用した、いわゆるウォームスプレー溶射法と呼ばれている溶射法を採用することもできる。ウォームスプレー溶射法とは、典型的には、上記のHVOF溶射法において、燃焼炎に室温程度の温度の窒素等からなる冷却ガスを混合する等して燃焼炎の温度を低下させた状態で溶射することで、溶射皮膜を形成する手法である。溶射材は、完全に溶融された状態に限定されず、例えば、一部が溶融された状態であったり、融点以下の軟化状態にあるものを溶射することができる。このウォームスプレー溶射法によると、例えば、一例として、溶射用材料を1000℃〜2000℃の超音速燃焼炎のジェットにより溶融および加速させることで、溶射粒子を500m/s〜1000m/sという高速度にて基材へ衝突させて堆積させることができる。
HVAF溶射法とは、上記のHVOF溶射法において、支燃ガスとしての酸素に代えて空気を用いるようにした溶射法である。HVAF溶射法によると、HVOF溶射法と比較して溶射温度を低温とすることができる。例えば、一例として、溶射用材料を1600℃〜2000℃の超音速燃焼炎のジェットにより溶融および加速させることで、溶射粒子を500m/s〜1000m/sという高速度にて基材へ衝突させて堆積させることができる。
ここに開示される発明においては、上記の溶射用スラリーを高速フレーム溶射またはプラズマ溶射で溶射すると、比較的粒径の大きな溶射材を含む場合であってもかかる溶射材を十分に軟化溶融することができ、また、溶射材の含有量の高い溶射用スラリーであっても流動性良く溶射することができ、緻密な溶射皮膜を効率よく形成することができるために好ましい。
なお、溶射装置への溶射用材料の供給はアキシャルフィード方式で行われること、すなわち溶射装置で生じるジェット流の軸と同じ方向に向けて溶射用材料の供給が行われることが好ましい。例えば、本発明のスラリー状の溶射用材料をアキシャルフィード方式で溶射装置に供給した場合、溶射用スラリーの流動性が良いために溶射用スラリー中の溶射材が溶射装置内に付着しにくく、緻密な溶射皮膜を効率よく形成することができるため好ましい。
また、一般的なフィーダを用いて溶射用材料を溶射装置に供給した場合、周期的に供給量の変動が起こるために安定供給が難しくなることが考えられる。この周期的な供給量の変動により、溶射用材料の供給量にムラが生じると、溶射装置内で溶射材が均一に加熱されにくくなり、不均一な溶射皮膜が形成される場合があり得る。そのため、溶射用スラリーを溶射装置に安定して供給するために、2ストローク方式、すなわち2つのフィーダを用いて、両フィーダからの溶射用スラリーの供給量の変動周期が互いに逆位相となるようにしてもよい。すなわち、一方のフィーダからの供給量が増加するときに、他方のフィーダからの供給量が減少するような周期になるように供給方式を調整してもよい。本発明の溶射用材料を2ストローク方式で溶射装置に供給した場合、溶射用材料の流動性が良いため、緻密な溶射皮膜を効率よく形成することができる。
スラリー状の溶射用材料を溶射装置に安定して供給するための手段としては、フィーダから送り出されたスラリーを溶射装置の直前に設けられた貯留タンクにいったん貯留し、かかる貯留タンクから自然落下を利用してスラリーを溶射装置に供給するか、あるいはポンプなどの手段によりタンク内のスラリーを強制的に溶射装置に供給するようにしてもよい。ポンプなどの手段で強制的に供給した場合には、タンクと溶射装置との間をチューブでつないだとしても、スラリー中の溶射材がチューブ内で付着しにくくなるために好ましい。タンク内の溶射用スラリー中の成分の分布状態を均一化するために、タンク内の溶射用スラリーを撹拌する手段を設けてもよい。
なお、溶射距離は、溶射装置のノズル先端から基材までの距離が30mm以上となるように設定するのが好ましい。溶射距離が近すぎると、溶射熱源が基材に近接するため基材が変質したり変形を生じたりするおそれがあるために好ましくない。
溶射距離はまた、200mm以下程度とすることが好ましい。かかる距離であると、十分に加熱された溶射粒子が当該温度を保ったまま基材に到達し得るため、より緻密な溶射皮膜を得ることができる。
溶射に際しては、基材を被溶射面とは反対側の面から冷却することが好ましい。かかる冷却は、水冷の他、適切な冷媒による冷却とすることができる。
[溶射皮膜]
図1は、一実施形態に係る溶射皮膜の構成を模式的に示した断面図である。
ここに開示される溶射皮膜10は、例えば図1に例示されるように、基材20の表面に溶射粒子12(輪郭は図示せず。)が堆積されて、凝固することで形成されている。溶射粒子12は、平均粒子径が比較的大きい溶射材を溶融することで形成され、高速に加速されて基材20の表面に吹き付けられる。このとき、典型的には、溶射粒子12は扁平に変形し、また基材20には凹みができて、溶射粒子12と基材20とは機械的な絡み合いを生じながら密着して接合され得る。そして、連続的な溶射により、かかる溶射粒子12の上にはさらに溶射粒子12が堆積され得る。このような溶射粒子12は、高温の状態で基材20等に到達するものの、短時間のうちに冷却されて凝固し得る。これにより、所定の厚みの溶射皮膜10が形成される。
ここで、溶射粒子12は十分に加熱され、軟化または溶融した状態で、高い速度で堆積するため、厚み方向で重なり合った溶射粒子12同士は気孔14の形成が抑制された状態で密着して接合し得る。また、基材の表面に平行な方向において隣接する溶射粒子12についても、溶射粒子12間での気孔14の形成が抑制された状態で密着して接合し得る。これにより、気孔率が例えば1%以下、典型的には0.7%以下、より好ましくは0.5%以下、さらに限定的には0.4%以下の緻密な溶射皮膜10が形成される。
また、溶射材の平均粒子径に対応して、かかる溶射粒子12についても比較的粒径が大きくなり得る。例えば、基材20に平行な面における溶射粒子12の円相当径は比較的大きなものであり得る。したがって、溶射皮膜の厚み方向で重なり合った溶射粒子12同士はより広い面積で接合し得る。かかる接合は、基材20の表面に平行な方向での剪断抵抗を高める要素となり得る。したがって、基材20と溶射皮膜10との熱膨張係数の差に基づき、溶射後に基材20が表面に平行な方向で大きく収縮しようとした場合であっても、溶射皮膜10がかかる変形を抑制するとともに、溶射皮膜10自体のうねりをも抑え得る。延いては、溶射皮膜10が基材20の収縮により圧縮応力を受けてうねったり、かかるうねりの発生に伴い圧縮応力が集中された部位の溶射粒子12の粒界に厚み方向で連続して気孔14が生じたりするのを、抑制することができる。これにより、表面に高さが100μmの山が形成されることがない程度にうねりの発生が抑制された、緻密な溶射皮膜10が形成される。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明を以下の実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<例1〜例12>
下記の表1に示す平均粒子径を有するセラミック粉末を溶射材として用い、乾粉状またはスラリー状の溶射用材料を用意した。乾粉状の溶射用材料についてはセラミック粉末をそのまま用いた。また、スラリー状の溶射用材料については、溶射材の含有量を40質量%で一定とし、分散媒を表1に示される溶射方法に応じて、プラズマ溶射法に供するスラリーについてはエタノールを、HVOF溶射法に供するスラリーについては水を用いて調製した。なお、表1におけるセラミック粉末の種類の欄に示された「Y2O3」はイットリアを、「Al2O3」はアルミナを、「F−Y2O3」はフッ化イットリアを示す。
このように用意した溶射用材料を、表1に示す条件で溶射することにより、厚さ300μmの溶射皮膜(例1〜例12)を形成した。
なお、基材には、表1に示されるように、SUS304(30mm×60mm×2.5mm)またはAl6061(50mm×50mm×5mm)のいずれかを用い、ブラスト処理により表面を粗面化加工したものを用いた。これらの基材の熱膨張係数についても表1に示した。
また、例5では、Al合金基材の表面に結合層(ボンドコート)としてNi−Cr合金を溶射してから、溶射皮膜を形成した。
各溶射方法における溶射条件は、以下の通りとした。
[プラズマ溶射]
すなわち、プラズマ溶射は、市販のプラズマ溶射機(Northwest Mettech社製、Axial III)を用いて行った。この溶射機の陰極と陽極との間に発生させたプラズマ炎に、大気圧にて、プラズマ作動ガスとしてのアルゴンガスを81L/min、ヘリウムガスを81L/min、水素ガスを18mL/minの流量で供給した。溶射時のプラズマ発生電力は88kWとした。これにより、溶射機のノズルから2000℃〜10000℃程度の高温高速のプラズマジェットを噴射させることができる。
このプラズマ炎中に乾粉状またはスラリー状の溶射用材料をアキシャルフィード方式で供給し、溶射ガンを240m/minの速度で移動させながら、溶射距離を50mmとして溶射皮膜を形成した。なお、乾粉状の溶射用材料の供給には、粉末供給機(テクノサーブ社製、Model AM30)を用い、溶射粒子を約15g/分の供給量で供給した。また、スラリー状の溶射用材料の供給には、スラリー供給機(Northwest Mettech社製、M650)を用い、スラリーを約3L/hourの供給量で供給した。スラリーを溶射装置に供給するに当たり、溶射装置のすぐ脇に貯留タンクを設置し、調製したスラリー溶射用材料をこの貯留タンクにいったん貯留した後、かかる貯留タンクから自然落下を利用してスラリーを溶射装置に供給するようにした。かかる条件にて、プラズマジェットに乗せて溶射されるアルミナ溶射粒子の溶射温度はおよそ2000℃、イットリア溶射粒子の溶射温度はおよそ2300℃であり、溶射速度はいずれもおよそ350m/sであることを確認した。
[HVOF溶射]
HVOF溶射法は、市販の高速フレーム溶射機(GTV社製、Top gun)を用いて行った。この溶射機に、燃料ガスとしてアセチレンガスを75L/min、助燃剤としての酸素ガスを230L/minの流量で供給しながら、フレームを発生させた。これにより、溶射機のノズルから1000℃〜2500℃程度の超音速ジェットを噴射させることができる。
このフレーム中に乾粉状あるいはスラリー状の溶射用材料をアキシャルフィード方式で供給し、溶射ガンを100m/minの速度で移動させながら、溶射距離を90mmとして溶射皮膜を形成した。なお、乾粉状の溶射用材料の供給には、粉末供給機(テクノサーブ社製、Model AM30)を用い、溶射粒子を約15g/分の供給量で供給した。また、スラリー状の溶射用材料の供給には、スラリー供給機(GTV社製)を用い、スラリーを約3L/hourの供給量で供給した。スラリーを溶射装置に供給するに当たり、溶射装置のすぐ脇に貯留タンクを設置し、調製したスラリー溶射用材料をこの貯留タンクにいったん貯留した後、かかる貯留タンクから自然落下を利用してスラリーを溶射装置に供給するようにした。かかる条件にて、超音速ジェットに乗せて溶射されるアルミナ溶射粒子の溶射温度はおよそ2000℃、イットリアおよびフッ化イットリア溶射粒子の溶射温度はおよそ2300℃であり、溶射速度はおよそいずれもおよそ700m/sであることを確認した。
[評価]
[熱膨張係数]
上記の通り形成された溶射皮膜の熱膨張係数を、JIS R 1618:2002 ファインセラミックスの熱機械分析による熱膨張の測定方法に準じて測定した。測定用の試料は、300μmの皮膜を形成後、皮膜と基材の界面で切断して用意した。その結果を、表1の溶射皮膜特性の「熱膨張係数」の欄に示した。
[表面形態]
触針式の三次元表面粗さ計(株式会社ミツトヨ製、サーフテストエクストリーム SV―3000CNC)を用いて、上記の通り形成された溶射皮膜の表面の性状を皮膜サンプルの中心部から10mm×10mmの領域で測定した。これにより得られた溶射皮膜表面の断面曲面に対し画像解析ソフト(株式会社ミツトヨ製、FORMTRACEPAK)にて平均面補正を行い、山の高さ(山頂高さ)Hを計測した。そして、Hが100μm以上となる山頂の個数を調べてHが100μm以上の山の有無を調べ、その結果を表1の溶射皮膜特性の「高さ100μm以上の山」の欄に示した。なお、試料の表面の3次元形状の計測条件は、X軸方向の測定長さを10mm、測定速度を1.0mm/s、測定ピッチを20μm、測定点数を501とし、Y軸方向の測定長さを10mm、測定ピッチを500μm、測定点数を21とした。また、触針(スタライス)は、触針先端形状:θ=30°の円錐形のものを用いた。
なお、参考のために、例2および例4の溶射皮膜についての3Dプロファイルの結果を、図3および図4にぞれぞれ例示した。図3に示される断面曲面においてみられる山のうち、山頂付近が白いコントラストで表示されている山が、Hが100μm以上の山である。この図3に示した例では、Hが100μm以上となる山が38個見られ、溶射皮膜にうねりが頻発しているのが確認できた。これに対し、図4に示した断面曲面では、Hが100μm以上の山は一つも見られず、溶射皮膜にうねりが発生していないことが確認できた。
[気孔率]
上記の通り形成された溶射皮膜の気孔率を、基材に略垂直な断面組織の観察像を画像解析することで求めた。具体的には、溶射皮膜を基材ごと切断して厚み方向の任意の断面を出し、かかる断面における溶射皮膜の組織を適切な倍率の顕微鏡で観察することで得られた観察像について、画像解析ソフトを用いて解析することで、気孔部と固相部とを分離する2値化を行い、単位断面積あたりの気孔部の面積として規定される気孔率を算出した。なお、本明細書において、気孔率の測定は、走査型電子顕微鏡(SEM;株式会社日立ハイテクノロジーズ製、S−3000N)による観察像(好適には、二次電子像、組成像あるいはX線像のいずれかであり得る。)に基づき、画像解析ソフト(株式会社日本ローパー製、Image−Pro Plus)を用いて画像解析することで行った。その結果を、表1の皮膜特性の「気孔率」の欄に示した。
[環境遮断性]
上記の通り形成された溶射皮膜の環境遮断性を、JIS Z 2371:2000 塩水噴霧試験方法の規定に準拠して評価した。具体的には、スガ試験機株式会社の塩水噴霧試験機STP−90V−3を用いて塩水噴霧試験を実施し、溶射皮膜の表面に錆の生成が確認できるまでの時間を測定することで、溶射皮膜の耐食性を評価した。換言すると、この試験により、溶射皮膜が基材を緻密に覆うことで、基材を環境雰囲気等から遮断する性能を評価することができる。
評価結果は、168h以上の噴霧時間で錆が発生しなかった溶射皮膜を良(○)、168h未満の噴霧時間で錆が発生した溶射皮膜を不良(×)の2段階で表わし、表1の皮膜特性の「環境遮断性」の欄に示した。すなわち、環境遮断性に優れる場合には良(○)、環境遮断性に劣る場合には不良(×)と評価した。
表1に示されるように、溶射材として平均粒子径が500nm未満の極微小な粉末を用いて形成した例1、2および10の溶射皮膜については、気孔率が0.5%と比較的緻密であるものの、溶射皮膜の表面の断面曲面に高さが100μm以上の山が有るのが認められ、溶射後の急冷により溶射皮膜に圧縮応力が発生し、溶射皮膜内に厚さ方向に連通する気孔が発生していることが予想された。これらの溶射皮膜の環境遮断性は、溶射材の形態に関わらず、何れも×であった。
溶射材として平均粒子径が500nm以上5μm以下の粉末を用いて形成した例3〜8、11および12の溶射皮膜については、溶射粒子の組成や、溶射方法、溶射材の形態に関わらず、溶射皮膜の断面曲面に高さが100μm以上の山は見られなかった。また、気孔率も0.5%以下と低く、環境遮断性は何れも○であった。すなわち、緻密で機能性がバルクに近い高品質の溶射皮膜を得ることができた。
溶射材として平均粒子径が5μmを超過する比較的粗大な粉末を用いて形成した例9の溶射皮膜については、溶射皮膜の表面の断面曲面に高さが100μm以上の山は見られなかった。しかしながら、気孔率が1.4%と比較的高めであり、環境遮断性は×であった。
なお、例5に示したように、基材と溶射皮膜との間にこれらの結合層(ボンドコート)を形成した場合であっても、良好な溶射皮膜が得られることがわかった。換言すると、例3〜4、6〜8、11および12では、結合層を介さずとも、結合層を形成した場合と同様の、緻密でうねりが無く基材に対して密着性の高い良好な溶射皮膜が得られることが確認できた。
なお、具体的には示していないが、上記の溶射皮膜の製造において、溶射温度を溶射材として用いたセラミック粉末の融点Tmの1.1倍、さらには1.2倍の温度とすることで、より緻密で硬質な溶射皮膜が得られることが確認できた。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、種々の改変が可能であることはいうまでもない。
10 溶射皮膜
12 溶射粒子
14 気孔
20 基材
110 溶射皮膜
112 溶射粒子
114 気孔
116 うねり
120 基材

Claims (18)

  1. 熱膨張係数が10×10−6/K以上の基材に、溶射用材料を用いて溶射皮膜を製造する方法であって、
    平均粒子径が500nm以上5μm以下の粒状の溶射材を含み、
    該溶射材の熱膨張係数が1×10−6/K以上10×10−6/K未満である、溶射用材料を用い、
    前記溶射用材料を、以下の条件;
    溶射温度:1000℃以上10000℃以下
    溶射速度:少なくとも300m/s
    で前記基材に対して溶射することで、
    前記基材に、下記;
    表面の基準点を中心とした10mm×10mmの領域で測定される断面曲面における山の高さをHとしたとき、
    H≧100μm
    を満たす山の数がゼロである、
    で規定される表面形状を有する溶射皮膜を形成する、製造方法。
  2. 前記溶射材が、セラミック粒子、金属粒子またはこれらの混合物である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記溶射材が、イットリア、アルミナ、ジルコニア、シリカ、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、サイアロン、窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の材料を主成分とする粒子である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記溶射材が、フッ素(F)を構成元素として含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記基材が、アルミニウム、アルミニウム合金およびステンレス鋼からなる群から選択されるいずれか1つである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記溶射用材料を、酸素支燃型高速フレーム溶射することで溶射皮膜を形成する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記溶射用材料を、プラズマ溶射することで溶射皮膜を形成する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記溶射温度を、溶射材の融点をTm℃としたとき、1.1×Tm℃以上の温度に加熱する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記溶射用材料が分散媒に前記溶射材を分散させたスラリーであって、
    該スラリーを前記溶射のために用いる溶射装置にアキシャルフィード方式で供給する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記溶射用材料が分散媒に前記溶射材を分散させたスラリーであって、
    該スラリーを前記溶射のために用いる溶射装置に2つのフィーダを用いて供給するとともに、
    両フィーダからの前記スラリーの供給量の変動周期が互いに逆位相となるように供給する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 前記溶射用材料が分散媒に前記溶射材を分散させたスラリーであって、
    該スラリーをフィーダにより前記溶射のために用いる溶射装置の直前でタンクにいったん貯留し、自然落下を利用して該タンク内の前記スラリーを前記溶射装置に供給する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 熱膨張係数が10×10−6/K以上の基材に溶射皮膜を製造するために用いる溶射用材料であって、
    熱膨張係数が1×10−6/K以上10×10−6/K未満で、平均粒子径が500nm以上5μm以下の溶射材を含む、溶射用材料。
  13. さらに、前記溶射材を分散させるための溶媒を備える、請求項12の溶射用材料。
  14. 前記溶射材が、セラミック粒子、金属粒子またはこれらの混合物である、請求項12または13に記載の溶射用材料。
  15. 前記溶射材が、イットリア、アルミナ、ジルコニア、シリカ、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、サイアロン、窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の材料を主成分とする粒子である、請求項12〜14のいずれか1項に記載の溶射用材料。
  16. 前記溶射材が、フッ素(F)を構成元素として含む、請求項12〜15のいずれか1項に記載の製造方法。
  17. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の溶射皮膜の製造方法により製造された溶射皮膜を基材の表面に備えた、皮膜形成品。
  18. 前記表面に垂直な断面における気孔率は1%以下である、請求項17に記載の皮膜形成品。
JP2013123038A 2013-06-11 2013-06-11 溶射皮膜の製造方法および溶射用材料 Pending JP2014240511A (ja)

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