JP2004131828A - 高速フレーム溶射機及びそれを用いた溶射方法 - Google Patents

高速フレーム溶射機及びそれを用いた溶射方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐摩耗性に優れたセラミック溶射皮膜の形成を可能とする高速フレーム溶射機及びそれを用いた溶射方法を提供する。
【解決手段】燃焼室11で発生する燃焼炎を吐出口13aから外部に吐出するための流路となる第2の空孔13の中途には、前記燃焼炎に対して補助燃料を供給するための補助燃料供給部19が設けられる。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック溶射材を溶射するための高速フレーム溶射機及びそれを用いた溶射方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃焼炎を溶射のエネルギー源とする高速フレーム溶射法は、溶射粒子の飛行速度が他の溶射法のそれに比べて大きいという特徴を有している。しかし、燃焼炎の温度が比較的低いことから、融点の高いセラミック溶射材を溶射して耐摩耗性に優れた溶射皮膜を得ることは極めて困難であった(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0003】
一方、プラズマ炎を溶射のエネルギー源とするプラズマ溶射法は、プラズマ炎がセラミック溶射材を溶射するのに十分な温度を有することから、セラミック溶射皮膜を形成するための手法として従来汎用されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−60617号公報
【特許文献2】
特開11−222662号公報
【特許文献3】
特開平5−339699号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、溶射粒子の飛行速度がそれほど大きくないことから、プラズマ溶射法では緻密な溶射皮膜の形成が困難であった。そのため、プラズマ溶射法で得られる溶射皮膜は、セラミックス焼結体に比べて耐摩耗性などの特性が大きく劣るという欠点があった。こうしたことから、セラミックス焼結体に近い特性を有するセラミック溶射皮膜の形成を可能とする技術が求められている。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、耐摩耗性に優れたセラミック溶射皮膜の形成を可能とする高速フレーム溶射機及びそれを用いた溶射方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、燃焼室で発生し外部に向けて吐出される燃焼炎に対し、前記燃焼室よりも前記燃焼炎の流通方向下流位置に設けられた溶射材供給部から溶射材を供給することによって、前記溶射材を前記燃焼炎により軟化又は溶融して射出する高速フレーム溶射機であって、前記燃焼室よりも前記燃焼炎の流通方向下流位置に、前記燃焼炎に対して補助燃料を供給するための補助燃料供給部を設けたことを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の高速フレーム溶射機において、前記燃焼室と前記溶射材供給部との間に、前記燃焼炎の流通方向下流に向けて筒状の気流を噴射する噴射口を設けることによって、前記筒状の気流の内側において前記溶射材を前記燃焼炎により軟化又は溶融して射出することを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の高速フレーム溶射機において、前記補助燃料供給部を、前記溶射材供給部よりも前記燃焼炎の流通方向下流位置に設けたことを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、燃焼室で発生し外部に向けて吐出される燃焼炎に対し、前記燃焼室よりも前記燃焼炎の流通方向下流位置に設けられた溶射材供給部から溶射材を供給することによって、前記溶射材を前記燃焼炎により軟化又は溶融して射出する溶射方法であって、前記燃焼室よりも前記燃焼炎の流通方向下流位置に設けられた補助燃料供給部から、前記燃焼炎に対して補助燃料を供給することを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の溶射方法において、前記燃焼室と前記溶射材供給部との間に設けられた噴射口から前記燃焼炎の流通方向下流に向けて筒状の気流を噴射し、その気流の内側において前記溶射材を前記燃焼炎により軟化又は溶融して射出することを要旨とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の溶射方法において、前記溶射材供給部よりも前記燃焼炎の流通方向下流において前記燃焼炎に対し前記補助燃料を供給することを要旨とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の溶射方法において、前記溶射材がセラミック溶射材であることを要旨とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の溶射方法において、前記セラミック溶射材が粉末であって、そのD50%が25μm以下であることを要旨とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は請求項8に記載の溶射方法において、前記セラミック溶射材が粉末であって、そのD90%からD10%を減じ、さらにD50 で除した値が5.0以下であることを要旨とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項4から請求項9のいずれか一項に記載の溶射方法において、前記補助燃料供給部からの補助燃料の供給量が10l/min以上であることを要旨とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の高速フレーム溶射機(以下、溶射ガンともいう。)を示す。この溶射ガンは、燃料と酸素(あるいは空気)の燃焼炎により溶射材を軟化又は溶融して射出するものである。図1に示すように、溶射ガンは、燃料と酸素(あるいは空気)の燃焼の場となる燃焼室11を備えている。その燃焼室11に連通し、溶射ガンの後端(図1では左側)で外部に開口する第1の空孔12は、燃焼室11内に燃料及び酸素(あるいは空気)を導入するための流路となる。また、同じく燃焼室11に連通し、溶射ガンの前端(図1では右側)の吐出口13aで外部に開口する第2の空孔13は、燃焼室11内で燃料及び酸素(あるいは空気)が燃焼することにより発生する燃焼炎を吐出口13aから外部に吐出するための流路となる。
【0017】
第2の空孔13の中途には、前向きの(第2の空孔13における燃焼炎の流通方向下流に向いた)段差面14が形成されている。段差面14には、燃焼炎の流通方向下流に向けて筒状の気流15を噴射する噴射口16が形成されている。そのため、第2の空孔13を吐出口13aに向かって流通する燃焼炎は、噴射口16から噴射される筒状の気流15の内側を通過することになる。
【0018】
第2の空孔13の中途にあって前記噴射口16よりも燃焼炎の流通方向下流位置には、二つの溶射材供給部17が設けられている。これら溶射材供給部17は、前記筒状の気流15の内側を吐出口13aに向かって流通する燃焼炎に対して溶射材を供給するためのものである。溶射材供給部17は、図示しない溶射材供給機から延び溶射ガンの前端に接続された連結配管18の先端開口により構成されている。
【0019】
第2の空孔13の中途にあって前記溶射材供給部17よりも燃焼炎の流通方向下流位置には、二つの補助燃料供給部19が設けられている。これら補助燃料供給部19は、前記筒状の気流15の内側を吐出口13aに向かって流通する燃焼炎に対して補助燃料を供給するためのものである。補助燃料供給部19は、図示しない補助燃料供給機から延び溶射ガンの前端に接続された連結配管20の先端開口により構成されている。ちなみに、前記補助燃料の種類は、例えばアセチレン、プロパン、プロピレン等、特に限定されないが、発熱量が大きいことからアセチレンが好ましい。
【0020】
本実施形態の溶射ガンを用いて、酸素流量1900scfh(893ml/min)、燃料(灯油)流量5.1gph(0.32l/min)、連結配管20の内径2mm、補助燃料流量30l/minの条件で溶射した場合には、燃焼炎の温度は2500℃以上、吐出口13aにおける燃焼炎の速度は1000m/sec以上となる。それに対し、従来の構成の高速フレーム溶射機を用いて、酸素流量1900scfh(893ml/min)、灯油流量5.1gph(0.32l/min)の条件で溶射した場合には、燃焼炎の温度は1600〜1800℃である。またプラズマ溶射機であるSG−100(PRAXAIR社製)を用いて、Arガス圧力65psi(45MPa)、Heガス圧力100psi(69MPa)の条件で溶射した場合には、プラズマ炎の速度は500〜600m/secである。このように、本実施形態の溶射ガンは、従来に比べて高温度かつ高速度の燃焼炎を得ることができるため、緻密で耐摩耗性に優れたセラミック溶射皮膜を形成することができる。
【0021】
次に、上記のように構成された本実施形態の溶射ガンを用いてセラミック溶射材を溶射する溶射方法について説明する。
この溶射方法で使用されるセラミック溶射材は粉末であることが好ましく、具体的には、アルミナ、チタニア、ジルコニア、クロミア、マグネシア、酸化コバルト、イットリア、及びこれらの複合化合物であるムライト、コージエライト、スピネル等、ならびにこれらの混合物の粉末であることが好ましい。セラミック溶射材が粉末である場合、そのD50%は、下限に関しては、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、1μm以上が最も好ましい。D50%の上限に関しては、25μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、5μm以下が最も好ましい。またセラミック溶射材のD90%からD10%を減じ、さらにD50%で除した値は、5.0以下が好ましく、2.5以下がより好ましく、1.5以下が最も好ましい。ただし、本明細書中において、D50%は、レーザー回折法により測定される粒度分布測定データにおいて粒子径の小さい方から順次粒子の体積を積算した積算値が全粒子体積の90%に等しくなるときの粒子の粒径を意味する。また、D10%は、前記積算値が全粒子体積の10%に等しくなるときの粒子の粒径、D90%は、前記積算値が全粒子体積の90%に等しくなるときの粒子の粒径を意味する。
【0022】
本実施形態によって得られる効果について、以下に記載する。
・ 本実施形態の溶射ガンは、燃焼炎に補助燃料を供給してやることによって燃焼炎の温度を上げることができるので、従来の高速フレーム溶射法よりも溶射粒子の温度が高い。従って、本実施形態の溶射ガンを用いた溶射方法によれば、従来の高速フレーム溶射法では溶射が困難であったセラミックスのような高融点の溶射材であっても溶射することができる。
【0023】
・ 本実施形態の溶射ガンを用いてセラミック溶射材を溶射して形成されるセラミック溶射皮膜は、従来のプラズマ溶射法で形成されるセラミック溶射皮膜に比べてセラミックス焼結体に近い特性を有し、特に耐摩耗性は非常に良好である。高速フレーム溶射法の場合、溶射粒子の飛行速度が大きいため、溶射ガンから射出された溶射粒子は高い衝突力でもって基材上に堆積する。従って、高速フレーム溶射法で形成されるセラミック溶射皮膜は緻密であって、緻密であるが故に耐摩耗性が向上するものと思われる。
【0024】
・ 本実施形態の溶射ガンは、筒状の気流15の内側を吐出口13aに向かって流通する燃焼炎に対して溶射材を供給する。そのため、溶射材は、筒状の気流15の内側において燃焼炎により軟化又は溶融して射出されることとなる。したがって、溶射粒子がその流路の内壁に付着・堆積することによるスピッティングの発生を抑制することができる。スピッティングは溶射粒子の温度が高くなると発生しやすい傾向があるが、本実施形態の溶射ガンは、たとえ従来の高速フレーム溶射法に比べて溶射粒子の温度が高くとも、上記のように構成されているためにスピッティングの発生を抑制することができる。
【0025】
・ 本実施形態の溶射ガンでは、補助燃料供給部19が、溶射材供給部17よりも燃焼炎の流通方向下流位置に設けられている。そのため、溶射材供給部17から供給される溶射材は、補助燃料供給部19から供給される補助燃料により高温化された燃焼炎によってより確実に軟化又は溶融されることとなる。したがって、緻密で耐摩耗性に優れたセラミック溶射皮膜をより確実に得ることができる。溶射材供給部17から燃焼炎の流通方向下流に向かって25mm以内の箇所に補助燃料供給部19を設ければ、上記の効果はさらに向上する。補助燃料供給部と溶射材供給部との間の距離が25mmを超えると、溶射材が燃焼炎にうまく乗らないおそれがあり、溶融又は軟化されにくい溶射材が混在するためにセラミック溶射皮膜を形成することが困難になる場合がある。
【0026】
・ 本実施形態の溶射ガンを用いてD50%が0.1μm以上のセラミック溶射材を溶射すれば、緻密で耐摩耗性の高いセラミック溶射皮膜をより確実に得ることができる。また、セラミック溶射材のD50%が0.5μm以上であれば上記の効果を向上させることができ、1μm以上であれば上記の効果をさらに向上させることができる。なお、D50%が過度に小さいと、セラミック溶射材が燃焼炎にうまく乗らないといった弊害が発生してセラミック溶射皮膜を形成できない場合がある。
【0027】
・ 本実施形態の溶射ガンを用いてD50%が25μm以下のセラミック溶射材を溶射すれば、緻密で耐摩耗性の高いセラミック溶射皮膜をより確実に得ることができる。また、D50%が15μm以下のセラミック溶射材であれば上記の効果を向上させることができ、5μm以下のセラミック溶射材であれば上記の効果をさらに向上させることができる。なお、D50%が過度に大きいと、セラミック溶射材が溶融又は軟化しにくくなるためセラミック溶射皮膜を形成できない場合がある。
【0028】
・ 本実施形態の溶射ガンを用いてD90%からD10%を減じ、さらにD50%で除した値が5.0以下のセラミック溶射材を溶射すれば、緻密で耐摩耗性の高いセラミック溶射皮膜をより確実に得ることができる。また、前記値が2.5以下のセラミック溶射材であれば上記の効果を向上させることができ、前記値が1.5以下のセラミック溶射材であれば上記の効果をさらに向上させることができる。
なお、前記値が過度に大きいと、燃焼炎にうまく乗らないセラミック溶射材及び溶融又は軟化しにくいセラミック溶射材が混在するためにセラミック溶射皮膜を形成できない場合がある。
【0029】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 前記実施形態では、噴射口16よりも燃焼炎の流通方向下流位置に補助燃料供給部19を設けたが、噴射口16よりも燃焼炎の流通方向上流位置に補助燃料供給部19を設けるようにしてもよい。
【0030】
・ 前記実施形態では、溶射材供給部17よりも燃焼炎の流通方向下流位置に補助燃料供給部19を設けたが、溶射材供給部17よりも燃焼炎の流通方向上流位置に補助燃料供給部19を設けるようにしてもよい。また、溶射材供給部17よりも燃焼炎の流通方向上流位置及び同下流位置の両方に補助燃料供給部19を設けるようにしてもよい。
【0031】
・ 前記実施形態の高速フレーム溶射機において噴射口16を省略してもよい。このように構成しても、補助燃料によって従来の高速フレーム溶射法よりも溶射粒子の温度が高められるので、前記実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0032】
・ 前記実施形態では溶射材供給部17の数を二つとしたが、一つ又は三つ以上としてもよい。
・ 前記実施形態では補助燃料供給部19の数を二つとしたが、一つ又は三つ以上としてもよい。
【0033】
・ 前記実施形態の溶射ガンを用いてセラミック溶射材以外の溶射材を溶射してもよい。
【0034】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
表1,2に示す溶射ガンを用いて、同表1,2に示すセラミック溶射材を基材(SS400鋼板)に溶射して100μm厚のセラミック溶射皮膜を形成した。
このときに、以下に示す「皮膜形成」、「耐摩耗性」及び「緻密度」について評価した結果を表1,2に示す。
【0035】
<皮膜形成> 1パス当たりに形成されるセラミック溶射皮膜の膜厚が10μm以上のものを◎、7μm以上10μm未満のものを○、5μm以上7μm未満のものを△、3μm以上5μm未満のものを▲、3μm未満のものを×と評価した。
【0036】
<耐摩耗性> JIS H 8682−1に準拠して摩耗試験を行ない、セラミック溶射皮膜の耐摩耗性を評価した。すなわち、スガ摩耗試験機を用い、研磨紙(SiC#240)によって荷重2kgでセラミック溶射皮膜の表面を摩擦した。そのときの摩耗量(体積)が、SS400鋼板で同様の試験を行なったときの摩耗量(体積)を1としたときに0.4未満のものを◎、0.4以上0.6未満のものを○、0.6以上0.8未満のものを△、0.8以上1.0未満のものを▲、1.0以上ものを×と評価した。
【0037】
<緻密度> エヌサポート社製画像解析処理装置「NSFJ1−A」を使用してセラミック溶射皮膜の断面の気孔率を測定し、気孔率が3%未満のものを◎、3%以上5%未満のものを○、5%以上7%未満のものを△、7%以上10%未満のものを▲、10%以上のものを×と評価した。
【0038】
【表1】
Figure 2004131828
【0039】
【表2】
Figure 2004131828
なお、表1,2中のセラミックス溶射材のD50%、D90%及びD10%の値は、堀場製作所社製のレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA−300」を使用して測定した。「補助燃料供給部の位置」欄に示す数値は、溶射材供給部と補助燃料供給部との間の距離を示し、補助燃料供給部が溶射材供給部よりも燃焼炎の流通方向下流に位置する場合は正の値、補助燃料供給部が溶射材供給部よりも燃焼炎の流通方向上流に位置する場合は負の値で示す。「溶射ガンのタイプ」欄に示す「A」はウィティコジャパン社製の高速フレーム溶射機「θ−Gun」に二つの補助燃料供給部を設けた溶射機、「B」はウィティコジャパン社製の高速フレーム溶射機「θ−Gun」、「C」はPRAXAIR/TAFA社製の高速フレーム溶射機「JP−5000」、「D」はPRAXAIR社製のプラズマ溶射機「SG−100」を示す。これら各溶射機の使用条件を以下に示す。
【0040】
「θ−Gun」に補助燃料供給部を設けた溶射機の使用条件
酸素流量:1900scfh(893ml/min)、灯油流量:5.1gph(0.32l/min)、補助燃料供給部の連結配管の内径:2mm、溶射距離:150mm、ガン移動速度:750mm、ピッチ幅:6.0mm、溶射粉末供給量:30g/min
「θ−Gun」の使用条件
酸素流量:1900scfh(893ml/min)、灯油流量:5.1gph(0.32l/min)、溶射距離:150mm、ガン移動速度:750mm、ピッチ幅:6.0mm、溶射粉末供給量:30g/min
「JP−5000」の使用条件
酸素流量:1900scfh(893ml/min)、灯油流量:5.1gph(0.32l/min)、溶射距離:380mm、ノズル長さ:4インチ(約100mm)、ガン移動速度:750mm、ピッチ幅:6.0mm、溶射粉末供給量:30g/min
「SG−100」の使用条件
Arガス圧力:65psi(45MPa)、Heガス圧力:100psi(69MPa)、溶射距離:100mm、ガン移動速度:750mm、ピッチ幅:6.0mm、溶射粉末供給量:30g/min
表1,2に示すように、補助燃料供給部を備えた高速フレーム溶射機を使用した実施例1〜36ではセラミック溶射皮膜を形成できたのに対し、補助燃料供給部を備えていない高速フレーム溶射機を使用した比較例1,2,4,5ではセラミック溶射皮膜を形成することができなかった。また、実施例1〜36で得られたセラミック溶射皮膜は、プラズマ溶射機を使用した比較例3,6で得られたセラミック溶射皮膜に比べて、緻密であり、耐摩耗性に優れることが示された。
【0041】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の高速フレーム溶射機を用いてセラミック溶射材を溶射することを特徴とする溶射方法。
【0042】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、耐摩耗性に優れたセラミック溶射皮膜の形成を可能とする高速フレーム溶射機及びそれを用いた溶射方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の高速フレーム溶射機を示す断面図。
【符号の説明】
11…燃焼室、15…筒状の気流、16…噴射口、17…溶射材供給部、19…補助燃料供給部。

Claims (10)

  1. 燃焼室で発生し外部に向けて吐出される燃焼炎に対し、前記燃焼室よりも前記燃焼炎の流通方向下流位置に設けられた溶射材供給部から溶射材を供給することによって、前記溶射材を前記燃焼炎により軟化又は溶融して射出する高速フレーム溶射機であって、
    前記燃焼室よりも前記燃焼炎の流通方向下流位置に、前記燃焼炎に対して補助燃料を供給するための補助燃料供給部を設けたことを特徴とする高速フレーム溶射機。
  2. 前記燃焼室と前記溶射材供給部との間に、前記燃焼炎の流通方向下流に向けて筒状の気流を噴射する噴射口を設けることによって、前記筒状の気流の内側において前記溶射材を前記燃焼炎により軟化又は溶融して射出することを特徴とする請求項1に記載の高速フレーム溶射機。
  3. 前記補助燃料供給部を、前記溶射材供給部よりも前記燃焼炎の流通方向下流位置に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の高速フレーム溶射機。
  4. 燃焼室で発生し外部に向けて吐出される燃焼炎に対し、前記燃焼室よりも前記燃焼炎の流通方向下流位置に設けられた溶射材供給部から溶射材を供給することによって、前記溶射材を前記燃焼炎により軟化又は溶融して射出する溶射方法であって、
    前記燃焼室よりも前記燃焼炎の流通方向下流位置に設けられた補助燃料供給部から、前記燃焼炎に対して補助燃料を供給することを特徴とする溶射方法。
  5. 前記燃焼室と前記溶射材供給部との間に設けられた噴射口から前記燃焼炎の流通方向下流に向けて筒状の気流を噴射し、その気流の内側において前記溶射材を前記燃焼炎により軟化又は溶融して射出することを特徴とする請求項4に記載の溶射方法。
  6. 前記溶射材供給部よりも前記燃焼炎の流通方向下流において前記燃焼炎に対し前記補助燃料を供給することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の溶射方法。
  7. 前記溶射材がセラミック溶射材であることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の溶射方法。
  8. 前記セラミック溶射材が粉末であって、そのD50%が25μm以下であることを特徴とする請求項7に記載の溶射方法。
  9. 前記セラミック溶射材が粉末であって、そのD90%からD10%を減じ、さらにD50%で除した値が5.0以下であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の溶射方法。
  10. 前記補助燃料供給部からの補助燃料の供給量が10l/min以上であることを特徴とする請求項4から請求項9のいずれか一項に記載の溶射方法。
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