JP2004536439A - 単一分離アームを備えた軸方向原料インジェクタ - Google Patents
単一分離アームを備えた軸方向原料インジェクタ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004536439A JP2004536439A JP2003516250A JP2003516250A JP2004536439A JP 2004536439 A JP2004536439 A JP 2004536439A JP 2003516250 A JP2003516250 A JP 2003516250A JP 2003516250 A JP2003516250 A JP 2003516250A JP 2004536439 A JP2004536439 A JP 2004536439A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- injector
- downstream
- separation arm
- wall
- faces
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H05—ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- H05H—PLASMA TECHNIQUE; PRODUCTION OF ACCELERATED ELECTRICALLY-CHARGED PARTICLES OR OF NEUTRONS; PRODUCTION OR ACCELERATION OF NEUTRAL MOLECULAR OR ATOMIC BEAMS
- H05H1/00—Generating plasma; Handling plasma
- H05H1/24—Generating plasma
- H05H1/26—Plasma torches
- H05H1/32—Plasma torches using an arc
- H05H1/42—Plasma torches using an arc with provisions for introducing materials into the plasma, e.g. powder, liquid
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C4/00—Coating by spraying the coating material in the molten state, e.g. by flame, plasma or electric discharge
- C23C4/12—Coating by spraying the coating material in the molten state, e.g. by flame, plasma or electric discharge characterised by the method of spraying
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C4/00—Coating by spraying the coating material in the molten state, e.g. by flame, plasma or electric discharge
- C23C4/12—Coating by spraying the coating material in the molten state, e.g. by flame, plasma or electric discharge characterised by the method of spraying
- C23C4/123—Spraying molten metal
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C4/00—Coating by spraying the coating material in the molten state, e.g. by flame, plasma or electric discharge
- C23C4/12—Coating by spraying the coating material in the molten state, e.g. by flame, plasma or electric discharge characterised by the method of spraying
- C23C4/134—Plasma spraying
-
- H—ELECTRICITY
- H05—ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- H05H—PLASMA TECHNIQUE; PRODUCTION OF ACCELERATED ELECTRICALLY-CHARGED PARTICLES OR OF NEUTRONS; PRODUCTION OR ACCELERATION OF NEUTRAL MOLECULAR OR ATOMIC BEAMS
- H05H1/00—Generating plasma; Handling plasma
- H05H1/24—Generating plasma
- H05H1/26—Plasma torches
- H05H1/32—Plasma torches using an arc
- H05H1/34—Details, e.g. electrodes, nozzles
- H05H1/3478—Geometrical details
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y10—TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
- Y10S—TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y10S239/00—Fluid sprinkling, spraying, and diffusing
- Y10S239/07—Coanda
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Plasma & Fusion (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
- Geometry (AREA)
- Plasma Technology (AREA)
- Feeding, Discharge, Calcimining, Fusing, And Gas-Generation Devices (AREA)
- Coating By Spraying Or Casting (AREA)
Abstract
【解決手段】加熱されたガスの供給源に接続するための原料インジェクタが、インジェクタの上流端から下流端まで延在する収束チャネルを含む。収束チャネル内の対角線上に分離アームが延在し、分離アームは、収束チャネルの入口端から出口端まで延在する2つの対称的な対向面を含む。原料注入通路が分離アームの下流端において軸方向に開口している。インジェクタから放出されるガス流は、均一性が高い状態で原料と接触し燃料を一緒に運ぶ。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱されたガスのジェットの軸内に原材料を供給するために使用されるインジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
溶射は、プラズマトロンあるいは燃料ガスの燃焼によって生成された高温ガスの流れの中に粉末や他の原材料を送り込む被覆方法である。原料は、高温のガス流によって一緒に運ばれ、ガス流から熱と運動量が移され、表面に衝突させられ、表面に付着して凝固する。これにより、順次形成される薄層、即ちラメラのクラッドによって比較的厚い溶射皮膜が形成される。
【0003】
いくつかの溶射応用例では、加熱されたガス流に原料を軸方向に注入することには、原料を、流れに対して、一般に半径方向の注入として記載される方向、即ちガス流の軸に向かう方向に送り込む従来の方法よりも優れた利点がいくつかある。軸方向の注入の利点は、主に、原料粒子の軌跡の直線性と方向をより適切に制御しかつその速度を高める可能性に関係する。しかしながら、これは、過去において、コア要素を配置し、このコア要素を通して原料を軸方向に注入することによって達成されていた。コア部材の周囲をガス流で包み込むという基本原理は、軸方向の注入を達成する望ましい方法であるように思われるが、実際には、コアがガス流の大きな乱れを引き起こす。従って、ガス流に生じる乱れを最小にすることによって軸方向の最適な粒子軌跡を達成するように原料を注入することが望ましい。
【0004】
原料を軸方向に注入するプラズマトーチは、a)複数プラズマトロン(pluri-plasmatron)又は複数ジェット(multiple-jet)型としても知られる複数の陰極を備えたもの、b)単一ジェット又は単一電極型としても知られる単一の陰極を備えたものの2つの主要なグループに分けることができる。
【0005】
軸方向注入による複数陰極プラズマトーチの例は、Jensenの米国特許第3,140,380号(特許文献1)、Winzelerらの第3,312,566号(特許文献2)、Rossの第5,008、511号(特許文献3)、Rossらの第5,556,558号(特許文献4)に見られる。これらの特許は、プラズマスプレートーチの軸のまわりに対称的に配列された複数のプラズマトロンを示しており、複数のプラズマを単一のプラズマ流に収束するノズル手段を備えている。また、単一のプラズマ流の軸に沿って原材料を注入する供給手段も設けられている。この型のプラズマトーチは、故障する可能性の高い複雑なトーチ構造を伴い、複数の陰極に電力を供給するために複数の電源を使用しなければならない。定期的な交換を必要とする複数の陰極と複数のアークチャンバを使用するため、そのようなプラズマトーチは運転コストが高くなる。複数の陰極と複雑な単一アークチャンバ構造を使用して軸方向注入を達成する別の手法は、米国特許第5,225,652号(特許文献5)、第5,406,046号(特許文献6)、及び第5,332,885号(特許文献7)に見られ、これらの3つは全てLandesに発行されたものである。
【特許文献1】
米国特許第3,140,380号公報
【特許文献2】
米国特許第3,312,566号公報
【特許文献3】
米国特許第5,008,511号公報
【特許文献4】
米国特許第5,556,558号公報
【特許文献5】
米国特許第5,225,652号公報
【特許文献6】
米国特許第5,406,046号公報
【特許文献7】
米国特許第5,332,885号公報
【0006】
軸方向注入による単一陰極型プラズマトーチは、トーチ構造があまり複雑でないことや運転及び製造コストが低いことなど、複数陰極システムよりも優れたいくつかの利点を有する。単一陰極法の代表的な構成は、Browningの米国特許第4,540,121号(特許文献8)、Berneckiらの第4,780,591号(特許文献9)、Delceaの第5,420,391号(特許文献10)、Delceaの第6,202,939号(特許文献11)、及びMuehlbergerらの第5,837,959号(特許文献12)に見られる。
【特許文献8】
米国特許第4,540,121号公報
【特許文献9】
米国特許第4,780,591号公報
【特許文献10】
米国特許第5,420,391号公報
【特許文献11】
米国特許第6,202,939号公報
【0007】
Berneckiらの米国特許第4,780,591号は、原料インジェクタ内に軸方向に位置決めされコア部材と、コアからインジェクタ内壁に延在し「C」形プラズマチャネルを画定するプラズマ分離アームとによるプラズマ流の部分的な分離(semi-splitting)を教示している。原料は、コア部材を通って軸方向に注入される。図面の図1に示したように、この手法は、インジェクタ内に非対称的なプラズマ流を作り出し、プラズマ流の一部分がコア部材を取り囲み、同時にアームが流れの他の部分を分離する。明らかな非対称性の他に、この特定タイプの流れの動力学によって、非対称的なジェットの乱れを引き起こす流れの衝突が生じる。
【0008】
また、Delceaの米国特許第5,420,391号は、Berneckiの591特許のような唯一のアームを設ける代わりに、軸方向に位置決めされたコア部材を教示しており、この特許では、複数の分離アームが、コア部材から外壁まで延在し、図2に示したように、コアのまわりに対称的に配列されたそら豆形(kidney-shaped)のプラズマチャネルを画定する。この構成により、コア部材のまわりをガスフローが対称的に取り囲むことができる。同様に、Rossの米国特許第5,556,558号は、単一プラズマ流を分離する代わりにコア部材のまわりを取り巻く関係で配置されたそら豆形のプラズマチャネルを教示しており、Rossは、プラズマチャネルごとに独立したプラズマジェットを提供する。Delceaの391特許の設計に固有であるが、特にプラズマチャネルが2つだけの場合、各チャネルは、チャネル間に円筒形又は円錐形のコア部材を収容するために、実質的にそら豆形の断面を画定するプラズマ成形壁を有する。中央のコア部材のまわりを流れる環状断面の単一ガス流を有するプラズマトーチは、インジェクタの内側経路を通っている間に2つの流体力学的変形を受け、即ち、最初に、コアのまわりの複数の流れへの流れの分離と、次に、それぞれの分離された流れがコア部材を囲むそら豆形チャネルの形状に従うときの容積変形である。インジェクタから出るとき、分離された流れは滑らかに合流して、本質的に環状断面を有する単一の流れにならなければならない。分離された流れが合流する領域(原料が流れに注入される領域でもある)は、かなり乱流が起き、その結果、合流した流れの中に軸方向ではない原料の軌跡が生じる。流体力学理論に従って、コアの壁と各分離アームの近くのチャネルキャビティの壁に沿って生じるガスフローの分離により、各分離チャネルの内側に乱流が生成される。このガスフローの分離は、コア部材のまわりで流れが強制的に分離されることによる逆圧力勾配(adverse pressure gradient)によって生じる。原料注入領域における流れの乱れによって、ランダムな原料軌跡を発生させる軸方向でない速度ベクトルが生じ、その結果、溶融した原料が出力ノズルの内壁に付着して凝固し、その結果、溶射プロセスが機能しなくなる。これらの現象は、図面の図2と図3に概略的に示されている。図2は、例えば、中央コア部材のまわりのそら豆状の流れにより各プラズマチャネル内に生じた2つの相反する断面での流れ勾配を示す。その影響は、a)各収束チャネル内に生じる相反する方向の流れと向流の勾配(counter-flow gradients)によるプラズマガスの乱れ(図2には、各チャネル内に1つのタイプの流れ勾配だけを示す)と、b)分離アームとコアの表面から分離する(離れる)ガスフローによるプラズマガスの乱れである。従って、原料は、非層的で乱れた流れに注入され、その結果、原料粒子の少なくとも数パーセントが、軸方向でない軌跡をたどる。これにより、原料粒子の一部分が出力ノズルの内壁の方に向けられ、その結果、出力ノズルの内壁と、場合によっては原料注入チップ自体の上に、溶融付着物が堆積する。図3に、ノズル堆積現象を概略的に示す。
【0009】
この「そら豆形の影響」は、Delceaの391特許において、図面の図4に概略的に示したように多数のプラズマチャネルを設けることによって、ある程度軽減することができる。例えば、6つ以上のチャネルを設けると、その断面は小さくなり、多少環状になるかまはたわずかに楕円になる。この手法によって、分離アームの数が比例して増え更に高温ガスにさらされる内部経路の総面積が増えることになる。その結果、これに応じて伝熱損失も増え、インジェクタの熱効率が低下する。
【0010】
2つのプラズマチャネルだけを使用しながらDelceaの391特許のトーチの問題に部分的に取り組んでいる1つの方法は、Delceaの米国特許第6,202、939号に示した通りである。Delceaの939特許は、また、1つのコア部材と2つの接続アームを提供し、コアは、2つのそら豆形チャネルによって取り囲まれている。軸方向の注入効果を高め、従って原料注入領域で生成される流れの乱れを多少抑えるために、ガス流のわずかな部分を原料投入チャネル内に分流する2つの小さい穴がコアに設けられる。
【0011】
溶射トーチの場合、原料の速度と原料への熱の移動を高めるために、流れ拡張出力ノズルを取り付けるのが普通である。通例、出力ノズルが長くなるほど、ガス流から原料に伝わる熱が多くなりその速度が速くなり、従って、得られる溶射被覆の密度が高くなる。出力ノズルの長さを制限する主な要素の1つは、ノズル通路に沿った溶融原料の軌跡である。原料の少なくとも一部分がノズルの内壁の方にそれて、内壁の低温表面で固化し堆積するように原料が注入されると、溶射トーチが故障する。
【0012】
軸方向の注入による従来技術の単一流プラズマトーチに影響を及ぼす最も大きい問題の1つは、原料とガス流の乱れた接触による「スピッティング(spitting)」である。「スピッティング」とは、出力ノズル内壁や燃料注入チップなどのトーチの内部通路上に固化した原料が、その後、高温のガスによって再溶融され、比較的大きい液滴として周期的に放出されるときに、トーチの出口から放出される原料の周期的な噴出であり、これは、溶射皮膜内に構造的欠陥として混ざることになる。
【0013】
単一流溶射トーチに取り付けるための優れた原料インジェクタを提供することが望ましく、このインジェクタは、流れとインジェクタの内部経路との相互作用によって生じる乱流を減少させた状態で単一の流れを分離し成形するための簡略化されかつ最適化された機構を備える。単一段(single step)の流線形分離機構を提供するように形成された内部経路を有する優れた原料インジェクタが必要とされており、本原料インジェクタにおいて、単一のガス流が、原料注入領域におけるガスの流れを最小にしかつガス流と原料の均一な接触を実現するように、邪魔になることが最も少なく(least intrusive)、かつ乱れが最も少ない形で分離される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、インジェクタを通して実質的に改善されたガスフローを提供する革新的な内部構造を有する軸方向原料インジェクタを提供する。
【0015】
更に他の特徴及び利点は、本発明の好ましい実施形態についての以下の詳細な説明、及び添付図面から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
最初に、図面の図5と図6を参照すると、本体1と長手軸4を有する原料インジェクタが示されている。適切な冷却剤を通すための通路13が本体1に設けられている。また、長手方向の外周の溝や間接型接触冷却など、原料インジェクタ本体を冷却する任意の従来の手段を使用することができる。好ましくは、インジェクタは、良好な熱伝導率を有する材料で作成されるべきである。従来の材料は、例えば、銅又は銅合金である。プラズマトロンのようなプラズマ発生器の出力あるいは燃料燃焼室のような加熱ガスの他の供給源への接続を容易にするために、本体1の入口端に適切なキャビティ6が形成されていてもよい。同様に、出力溶射ノズルの取り付けを容易にするために、本体1の出口端に適切なキャビティ7が形成されていてもよい。Delceaの米国特許第6,114,649号には、安定した電気アークを提供し、かつ均一でより高度に電離しより高いエンタルピーのプラズマ流を生成する好ましい1つのプラズマトロンが開示されている。また、本原料インジェクタと共に、任意の他のタイプのプラズマトロンを使用することもできる。長手軸4と同軸の収束チャネル2が、インジェクタ1の入口端3から出口端5まで延在し、出口端の下流の長手軸4上にある収束点10に向かって収束する截頭円錐形(frustro-conical)のジェット形成壁8を有する。収束チャネル2の内側に、壁8の対向する位置から対角線上に架かりかつ入口端3から出口端5へ長手方向に延在する分離アーム14が延在している。図2において、アーム14は、個別の部品であるように示したが、機械加工によりインジェクタ本体1内に直接形成してもよい。図7(a)で最もよく分かるように、実質的に、2つの対向面即ち壁面15と16が、分離アーム14を画定する。面15と16は、図1の線6−6を含む仮想分離アーム平面2.2に対して対称的に配置される。長手軸4と垂直な任意の断面平面と面15、16とが交差することによって形成される2本の対向線は、分離アーム平面2.2から等しい距離にある。従って、関連する従来技術と違って、面15と16は、それらの間に中央コア部材を画定しない。1つ又は複数の原料供給通路が、インジェクタの外側面から軸4の方に延び、軸4と同軸の原料投入通路11に開口している。通常、アーム14の下流端に、原料供給通路11と同軸に延在する噴射チップ9が設けられることがある。幾つかの種類の原材料は、硬質で摩耗性であり、従って壁面を摩耗させ、従って原料投入通路11の断面を増加させる傾向があるため、任意の適切な工学的方法によって、アーム14に、耐摩耗性スリーブ又はライニング12を設けることができる。必要に応じて、原料供給通路18を保護するために、類似の耐摩耗性スリーブ又はライニングを設けることができる。
【0017】
アーム14は、チャネル2を、対向し実質的に半円形の断面を有する2つの等くかつ対向する収束チャネルに分離する。半円形の2つの収束チャネルは、分離アーム平面2.2に対して対称的に配置されている。面15と16は、アームの分離作用によって生じるフローの乱れを最小にするように形成されなければならない。この結果を達成する1つの革新的な方法は、アーム14に空気力学的に流線形の形状を適用することによるものである。この点において、図7(a)〜(d)に、アーム14を形成するいくつかの実際的な方法を概略的に示す。図7(a)〜(d)の参照数字は、以下の段落で修正する場合以外は、図5と図6における対応する参照数字と同じである。
【0018】
図7(a)は、アーム14の1つの好ましい実施形態を示す。面15と16は、「迎え角ゼロ」の対称的な翼をシミュレートする2つの凸面として示されている。アーム14は、最大断面厚さ「tmax」と翼弦長「c」を有する。流線形の本体と翼プロファイルに適用可能な流体力学理論により、厚さの比「tmax/c」が、重要な流体力学パラメータであり、好ましい実施形態において約0.15〜0.4でなければならない。必要に応じて、分離アーム14の上側部分を横切って冷却液を通す1つ又は複数の通路19を設けることができる。
【0019】
図7(b)と(c)は、更に通常の機械加工技術によって達成することが更に容易な流線形に類似した形状の分離アーム14の2つの代替実施形態を示す。例えば、図7(b)は、互いに平行でかつ分離アーム平面2.2と平行な両側面15と16を有するアーム14を示す。流れの動力学を考慮するために、面15と16は、上流端が凸状に湾曲した上流壁17で終わり、下流端が、下流方向に頂点を有するくさび形の下流壁20で終わるように示されている。壁17と20は、分離アーム平面2.2に関して対称である。アーム14は、最大断面厚さ「tmax」と翼弦長さ「c」を有する。好ましい実施形態において、アーム14の厚さ比「tmax/c」は、約0.15〜0.4でなければならない。図7(c)は、下流方向に互いに向かって収束する対向面15と16を含むアーム14を示し、その最大収束は、図7(b)に関して説明したものと類似の下流のくさび形の壁20が利用されている。図7(b)に示した実施形態と同様に、面15と16を上流端でつなぐ凸状湾曲壁17が示されている。「C」形断面とも呼ばれることがある凸状湾曲壁17は、レイノルズ数Re>1000の場合に約1.2の近似的抗力係数を有し、ガス流と分離アーム14の上流端の間の衝撃を更に最小化する他の適切なプロファイルと置き換えることもできる。例えば、「C」形断面の代わりに、場合によっては1.2よりも小さい抗力係数を有するくさび形壁17を使用することができる。図7(c)のアーム14は、上流端の近くの最大断面厚さ「tmax」と、翼弦長さ「c」を有する。好ましい実施形態において、アーム14の厚さ比「tmax/c」は、約0.15〜0.4でなければならない。
【0020】
図7(d)は、面15と16の代替実施形態を示し、それぞれの面は、分離アーム平面2.2及び軸4に関して対称的に配置された追加の凸状湾曲26を有する。これらの追加の湾曲は、コア要素の存在によって生じる乱れなしに、分離された流れを軸方向にある程度巻き込む。
【0021】
アーム14の上流端が、凸状かつ対称的な壁面によって、細長い円筒状又は楕円状の本体の表面を近似するように形成された場合、「コアンダ効果」の発生を促進することができる。コアンダ現象は、その最も広範なレベルにおいて、固体表面による流れの振れとして定義することができる。特定の表面形状条件が提供された場合、流れは、流れが接する固体表面に付着し、従ってそのまわりに流れる傾向がある。図8に概略的に示したように、「コアンダ効果」の発生によって、ガス流22が上流壁17の表面に付着し、これによりガス流がアーム14の上流端にぶつかることによって起こる乱れが減少する。本質的に、図8に示したようなアーム14によって、更に後で説明するような、流線形の本体がガス流に完全に浸される効果が達成される。単一ガス流21は、凸状に形成された横断壁17として示された上流端でアーム14にぶつかり、分離された流れは、「コアンダ効果」によって、図7(d)の数字22で示したように壁17の両側に付着する。コア部材のような追加の表面プロファイルが面15と16に形成されないので、逆圧力勾配は生成されない。従って、アーム14の各側面の流れ23は、乱れが少ない状態で順方向に流れ続け、「コアンダ効果」によって面15と16に付着したままになるか、あるいは面15と16の近くを流れる。アーム14の各側面の流れ24は、くさび形の下流壁20の形状に従い、合流して乱れの小さい単一の流れ25になる。従って、原料を軸方向に注入するためにチップ9が設けられる場合、チップは、単一のガス流に浸され、ガスは、均一性が改善された状態で注入された原料と接する。
【0022】
図9に、本発明の実際的な使用例を概略的に示す。この例において、原料インジェクタは、プラズマ溶射トーチ装置内に組み込まれた状態が概略的に示されている。プラズマトロンなどのプラズマ発生器が、原料インジェクタの上流端に取り付けられている。本原料インジェクタと共に使用することができる好ましいプラズマトロンは、Delceaの米国特許第6,114、649号に開示されており、このプラズマトロンは、安定した電気アーク動作と、より高度に電離され、より高いエンタルピーのプラズマジェットの放出を実現する。図9において、プラズマ流は、分離アームによって、分離アームの両側面のまわりを乱れが小さい状態で流れる2つの相対する流れに分離される。粉末などの原料が、原料注入通路(簡略化するために図9には示していない)に軸方向に注入される。フロー拡張出力ノズルが、原料インジェクタの下流キャビティに取り付けられた状態が概略的に示されている。出力ノズルは、合流されたガス流と一緒に運ばれた原料とを受け取るように形成された入口を有する。ガスは、乱れがきわめて小さい状態で原料流のまわりを流れ、これにより原料との接触が均一になる。この結果、原料がガスと混ざり、出力ノズルの内腔に沿って実質的に軸方向に流れる。本発明の原料インジェクタを使用することによって、原料の軸方向の速度、軸方向の軌跡、及び原料とガス流との混合が、従来技術よりも改善され、その結果、溶射トーチの機能が改善され、大幅に改善された溶射皮膜が生成される。
【0023】
本原料インジェクタを使用して実際の実験の結果、出力ノズルの出口から約5〜6インチ(約127〜152mm)の距離でも、改善されたガスフロー特性を示すプラズマジェットが放出されることが分った。通常、プラズマ流がノズルから出るとき、その周辺部がかなり乱れ、従ってまわりの空気をかなり迅速に巻き込む。この望ましくない現象は、本原料インジェクタを使用したときに大幅に減少したように思われる。このインジェクタを介して原料を注入するとき、スピッティングは起きなかった。また、溶融した原料粒子の軸方向の軌跡を長くしかつ速度を速くすることができ、従って、プラズマ溶射付着と目標効率(target efficiency)ならびにプラズマ溶射密度と均一性が向上する。付着効率(deposit efficiency)は、「DE」と呼ばれることがあり、一般に、溶射装置に供給される原材料のうち溶射部分に実際に付着する割合として定義される。原料の残りは、受け取る熱又は運動量が不十分なため、溶射ターゲットに付着せずにはね返り、従って、溶射プロセスに利用されない。付着効率が低いと、コストが高くなり、溶射プロセス全体の経済性と競争力が低下することもある。本発明の原料インジェクタを使用した更に他の実験において、製造業者であるSulzer−Metcoによって付着効率が30〜40%であると報告されている、宇宙産業で広く溶射されているタイプの原料であるアブレーダブル溶射粉末(Abradable Spray Powder)のような特定の高価な原材料では、90%を超える高い付着効率が測定された。この特定のタイプの原料は、きわめて低密度であり、従って注入領域におけるガスフローの乱れの影響を受けやすい。従来技術の装置の殆どは、ノズルのスピッティングを回避するために、本原料を外部から注入するが、外部から注入は、一般に、付着効率が低下する。Berneckiらの米国特許第4,780,591号とDelceaの米国特許第5,420,391号に示した従来技術のプラズマトーチのような、軸方向注入を行う従来技術の装置によるアブレーダブル原材料のプラズマ溶射は、注入チップと出力ノズル上に比較的速く原料が堆積し、その結果、スピッティングが生じる。Delceaの米国特許第6,202,939号に従って作成された装置を使用したとき、類似のアブレーダブル原材料に関して、ノズル堆積が殆どない状態でより長い溶射時間を達成することができた。しかしながら、本発明の原料インジェクタを使用したときは、大きな改良が認められた。
【0024】
本発明の原料インジェクタを使用して、金属、合金、及びサーメットの原料粉末を試験的に溶射した。速度が向上し溶融が改善されたことを示すより長い溶融粒子の軌跡が認められた。また、軸性(axiality)が改善されたことを示す発散の少ない軌跡が観察され、これは、プラズマジェットと原料流の乱れの少ない接触によるものと考えられる。例えば、本インジェクタを使用してNi/Cr原料(80対20)を注入したとき、溶融原料の流れが、約2メートル(約79インチ)の長さを有する比較的細いビーム内に閉じ込められていることが観察された。そのような遠い距離における溶融原料ビームの発散は、既知の従来技術のインジェクタの場合よりもかなり少ないと思われる。この著しい改善は、本発明のインジェクタによって提供されるような、インジェクタ内のガスフローの少ない乱れとガス流との原料のより均一な接触に殆ど起因するものである。
【0025】
プラズマ又は熱的ジェット装置の熱効率は、一般に、冷却剤に失われるエネルギー部分を差し引いた後でガス流に残るエネルギーの割合として定義される。熱効率を計算する1つの手軽な方法は、冷却剤の流量とその入出温度を監視することである。このデータにより、ガス流から冷却剤に伝わり、従って有用な溶射プロセスから失われるエネルギーを計算することができる。軸方向原料インジェクタの場合、ガスの熱損失は、インジェクタ内部経路の表面を介した放射、対流及び伝導によって行われる。高温ガス流にさらされる表面積が大きくなると熱損失が増える。同時に、流れの乱れは、熱損失を更に増やす。流れに対向する流線形分離アームを1つだけを設け、一般に分離に伴うガスの乱れを減少させることによって、本発明の原料インジェクタは、関連した従来技術に示された他のインジェクタよりも約15〜20%高い熱効率であると推定される。この熱効率の向上によって、より多くの熱がジェット内に残り、これにより、本発明のインジェクタによって高い溶射速度、より高い付着効率、及びより良好な原料溶融が達成可能になる。
【0026】
本発明の実施形態を説明したが、添付の特許請求の範囲に定義されたような本発明の範囲及び精神から逸脱することなく変更可能であることは、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】Berneckiらの米国特許第4,780,591号による従来技術のインジェクタ内のガスフロー原理の図である。
【図2】Delceaの米国特許第5,420,391号による従来技術のインジェクタ内のガスフロー原理の図である。
【図3】Delceaの米国特許第5,420,391号によるの従来技術のインジェクタに取り付けられた出力ノズル内の原料軌跡の図である。
【図4】Delceaの米国特許第5,420,391号による従来技術のインジェクタの図であり、コア部材のまわりに配置された複数の6つのチャネルを示す。
【図5】図6の線5−5に沿った断面で切断した本発明の原料インジェクタの平面図である。
【図6】図5の線6−6に沿った断面で切断した本発明の原料インジェクタの概略正面図である。
【図7】(a)は、図5の線7−7に沿って切断した断面の概略等角図(isometric view)であり、分離アームの好ましい実施形態を示す。(b)は、図5の線7−7に沿って切断した断面の概略等角図であり、分離アームの好ましい代替実施形態を示す。(c)は、図5の線7−7に沿って切断した断面の概略等角図であり、分離アームの別の好ましい代替実施形態を示す。(d)は、図5の線7−7に沿って切断した断面の概略等角図であり、分離アームの更に別の好ましい代替実施形態を示す。
【図8】分離アームのまわりのガスフロー経路を示す図7(b)の分離アームの概略等角図である。
【図9】本発明の原料インジェクタの1つの実施形態を含む断面で切断したプラズマ溶射トーチの概略側面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 インジェクタ本体
2 チャネル
3 入口端
4 長手軸
5 出口端
8 壁
9 チップ
10 収束点
11 原料供給通路
12 ライニング
13 通路
14 分離アーム
15、17 面
【0001】
本発明は、加熱されたガスのジェットの軸内に原材料を供給するために使用されるインジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
溶射は、プラズマトロンあるいは燃料ガスの燃焼によって生成された高温ガスの流れの中に粉末や他の原材料を送り込む被覆方法である。原料は、高温のガス流によって一緒に運ばれ、ガス流から熱と運動量が移され、表面に衝突させられ、表面に付着して凝固する。これにより、順次形成される薄層、即ちラメラのクラッドによって比較的厚い溶射皮膜が形成される。
【0003】
いくつかの溶射応用例では、加熱されたガス流に原料を軸方向に注入することには、原料を、流れに対して、一般に半径方向の注入として記載される方向、即ちガス流の軸に向かう方向に送り込む従来の方法よりも優れた利点がいくつかある。軸方向の注入の利点は、主に、原料粒子の軌跡の直線性と方向をより適切に制御しかつその速度を高める可能性に関係する。しかしながら、これは、過去において、コア要素を配置し、このコア要素を通して原料を軸方向に注入することによって達成されていた。コア部材の周囲をガス流で包み込むという基本原理は、軸方向の注入を達成する望ましい方法であるように思われるが、実際には、コアがガス流の大きな乱れを引き起こす。従って、ガス流に生じる乱れを最小にすることによって軸方向の最適な粒子軌跡を達成するように原料を注入することが望ましい。
【0004】
原料を軸方向に注入するプラズマトーチは、a)複数プラズマトロン(pluri-plasmatron)又は複数ジェット(multiple-jet)型としても知られる複数の陰極を備えたもの、b)単一ジェット又は単一電極型としても知られる単一の陰極を備えたものの2つの主要なグループに分けることができる。
【0005】
軸方向注入による複数陰極プラズマトーチの例は、Jensenの米国特許第3,140,380号(特許文献1)、Winzelerらの第3,312,566号(特許文献2)、Rossの第5,008、511号(特許文献3)、Rossらの第5,556,558号(特許文献4)に見られる。これらの特許は、プラズマスプレートーチの軸のまわりに対称的に配列された複数のプラズマトロンを示しており、複数のプラズマを単一のプラズマ流に収束するノズル手段を備えている。また、単一のプラズマ流の軸に沿って原材料を注入する供給手段も設けられている。この型のプラズマトーチは、故障する可能性の高い複雑なトーチ構造を伴い、複数の陰極に電力を供給するために複数の電源を使用しなければならない。定期的な交換を必要とする複数の陰極と複数のアークチャンバを使用するため、そのようなプラズマトーチは運転コストが高くなる。複数の陰極と複雑な単一アークチャンバ構造を使用して軸方向注入を達成する別の手法は、米国特許第5,225,652号(特許文献5)、第5,406,046号(特許文献6)、及び第5,332,885号(特許文献7)に見られ、これらの3つは全てLandesに発行されたものである。
【特許文献1】
米国特許第3,140,380号公報
【特許文献2】
米国特許第3,312,566号公報
【特許文献3】
米国特許第5,008,511号公報
【特許文献4】
米国特許第5,556,558号公報
【特許文献5】
米国特許第5,225,652号公報
【特許文献6】
米国特許第5,406,046号公報
【特許文献7】
米国特許第5,332,885号公報
【0006】
軸方向注入による単一陰極型プラズマトーチは、トーチ構造があまり複雑でないことや運転及び製造コストが低いことなど、複数陰極システムよりも優れたいくつかの利点を有する。単一陰極法の代表的な構成は、Browningの米国特許第4,540,121号(特許文献8)、Berneckiらの第4,780,591号(特許文献9)、Delceaの第5,420,391号(特許文献10)、Delceaの第6,202,939号(特許文献11)、及びMuehlbergerらの第5,837,959号(特許文献12)に見られる。
【特許文献8】
米国特許第4,540,121号公報
【特許文献9】
米国特許第4,780,591号公報
【特許文献10】
米国特許第5,420,391号公報
【特許文献11】
米国特許第6,202,939号公報
【0007】
Berneckiらの米国特許第4,780,591号は、原料インジェクタ内に軸方向に位置決めされコア部材と、コアからインジェクタ内壁に延在し「C」形プラズマチャネルを画定するプラズマ分離アームとによるプラズマ流の部分的な分離(semi-splitting)を教示している。原料は、コア部材を通って軸方向に注入される。図面の図1に示したように、この手法は、インジェクタ内に非対称的なプラズマ流を作り出し、プラズマ流の一部分がコア部材を取り囲み、同時にアームが流れの他の部分を分離する。明らかな非対称性の他に、この特定タイプの流れの動力学によって、非対称的なジェットの乱れを引き起こす流れの衝突が生じる。
【0008】
また、Delceaの米国特許第5,420,391号は、Berneckiの591特許のような唯一のアームを設ける代わりに、軸方向に位置決めされたコア部材を教示しており、この特許では、複数の分離アームが、コア部材から外壁まで延在し、図2に示したように、コアのまわりに対称的に配列されたそら豆形(kidney-shaped)のプラズマチャネルを画定する。この構成により、コア部材のまわりをガスフローが対称的に取り囲むことができる。同様に、Rossの米国特許第5,556,558号は、単一プラズマ流を分離する代わりにコア部材のまわりを取り巻く関係で配置されたそら豆形のプラズマチャネルを教示しており、Rossは、プラズマチャネルごとに独立したプラズマジェットを提供する。Delceaの391特許の設計に固有であるが、特にプラズマチャネルが2つだけの場合、各チャネルは、チャネル間に円筒形又は円錐形のコア部材を収容するために、実質的にそら豆形の断面を画定するプラズマ成形壁を有する。中央のコア部材のまわりを流れる環状断面の単一ガス流を有するプラズマトーチは、インジェクタの内側経路を通っている間に2つの流体力学的変形を受け、即ち、最初に、コアのまわりの複数の流れへの流れの分離と、次に、それぞれの分離された流れがコア部材を囲むそら豆形チャネルの形状に従うときの容積変形である。インジェクタから出るとき、分離された流れは滑らかに合流して、本質的に環状断面を有する単一の流れにならなければならない。分離された流れが合流する領域(原料が流れに注入される領域でもある)は、かなり乱流が起き、その結果、合流した流れの中に軸方向ではない原料の軌跡が生じる。流体力学理論に従って、コアの壁と各分離アームの近くのチャネルキャビティの壁に沿って生じるガスフローの分離により、各分離チャネルの内側に乱流が生成される。このガスフローの分離は、コア部材のまわりで流れが強制的に分離されることによる逆圧力勾配(adverse pressure gradient)によって生じる。原料注入領域における流れの乱れによって、ランダムな原料軌跡を発生させる軸方向でない速度ベクトルが生じ、その結果、溶融した原料が出力ノズルの内壁に付着して凝固し、その結果、溶射プロセスが機能しなくなる。これらの現象は、図面の図2と図3に概略的に示されている。図2は、例えば、中央コア部材のまわりのそら豆状の流れにより各プラズマチャネル内に生じた2つの相反する断面での流れ勾配を示す。その影響は、a)各収束チャネル内に生じる相反する方向の流れと向流の勾配(counter-flow gradients)によるプラズマガスの乱れ(図2には、各チャネル内に1つのタイプの流れ勾配だけを示す)と、b)分離アームとコアの表面から分離する(離れる)ガスフローによるプラズマガスの乱れである。従って、原料は、非層的で乱れた流れに注入され、その結果、原料粒子の少なくとも数パーセントが、軸方向でない軌跡をたどる。これにより、原料粒子の一部分が出力ノズルの内壁の方に向けられ、その結果、出力ノズルの内壁と、場合によっては原料注入チップ自体の上に、溶融付着物が堆積する。図3に、ノズル堆積現象を概略的に示す。
【0009】
この「そら豆形の影響」は、Delceaの391特許において、図面の図4に概略的に示したように多数のプラズマチャネルを設けることによって、ある程度軽減することができる。例えば、6つ以上のチャネルを設けると、その断面は小さくなり、多少環状になるかまはたわずかに楕円になる。この手法によって、分離アームの数が比例して増え更に高温ガスにさらされる内部経路の総面積が増えることになる。その結果、これに応じて伝熱損失も増え、インジェクタの熱効率が低下する。
【0010】
2つのプラズマチャネルだけを使用しながらDelceaの391特許のトーチの問題に部分的に取り組んでいる1つの方法は、Delceaの米国特許第6,202、939号に示した通りである。Delceaの939特許は、また、1つのコア部材と2つの接続アームを提供し、コアは、2つのそら豆形チャネルによって取り囲まれている。軸方向の注入効果を高め、従って原料注入領域で生成される流れの乱れを多少抑えるために、ガス流のわずかな部分を原料投入チャネル内に分流する2つの小さい穴がコアに設けられる。
【0011】
溶射トーチの場合、原料の速度と原料への熱の移動を高めるために、流れ拡張出力ノズルを取り付けるのが普通である。通例、出力ノズルが長くなるほど、ガス流から原料に伝わる熱が多くなりその速度が速くなり、従って、得られる溶射被覆の密度が高くなる。出力ノズルの長さを制限する主な要素の1つは、ノズル通路に沿った溶融原料の軌跡である。原料の少なくとも一部分がノズルの内壁の方にそれて、内壁の低温表面で固化し堆積するように原料が注入されると、溶射トーチが故障する。
【0012】
軸方向の注入による従来技術の単一流プラズマトーチに影響を及ぼす最も大きい問題の1つは、原料とガス流の乱れた接触による「スピッティング(spitting)」である。「スピッティング」とは、出力ノズル内壁や燃料注入チップなどのトーチの内部通路上に固化した原料が、その後、高温のガスによって再溶融され、比較的大きい液滴として周期的に放出されるときに、トーチの出口から放出される原料の周期的な噴出であり、これは、溶射皮膜内に構造的欠陥として混ざることになる。
【0013】
単一流溶射トーチに取り付けるための優れた原料インジェクタを提供することが望ましく、このインジェクタは、流れとインジェクタの内部経路との相互作用によって生じる乱流を減少させた状態で単一の流れを分離し成形するための簡略化されかつ最適化された機構を備える。単一段(single step)の流線形分離機構を提供するように形成された内部経路を有する優れた原料インジェクタが必要とされており、本原料インジェクタにおいて、単一のガス流が、原料注入領域におけるガスの流れを最小にしかつガス流と原料の均一な接触を実現するように、邪魔になることが最も少なく(least intrusive)、かつ乱れが最も少ない形で分離される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、インジェクタを通して実質的に改善されたガスフローを提供する革新的な内部構造を有する軸方向原料インジェクタを提供する。
【0015】
更に他の特徴及び利点は、本発明の好ましい実施形態についての以下の詳細な説明、及び添付図面から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
最初に、図面の図5と図6を参照すると、本体1と長手軸4を有する原料インジェクタが示されている。適切な冷却剤を通すための通路13が本体1に設けられている。また、長手方向の外周の溝や間接型接触冷却など、原料インジェクタ本体を冷却する任意の従来の手段を使用することができる。好ましくは、インジェクタは、良好な熱伝導率を有する材料で作成されるべきである。従来の材料は、例えば、銅又は銅合金である。プラズマトロンのようなプラズマ発生器の出力あるいは燃料燃焼室のような加熱ガスの他の供給源への接続を容易にするために、本体1の入口端に適切なキャビティ6が形成されていてもよい。同様に、出力溶射ノズルの取り付けを容易にするために、本体1の出口端に適切なキャビティ7が形成されていてもよい。Delceaの米国特許第6,114,649号には、安定した電気アークを提供し、かつ均一でより高度に電離しより高いエンタルピーのプラズマ流を生成する好ましい1つのプラズマトロンが開示されている。また、本原料インジェクタと共に、任意の他のタイプのプラズマトロンを使用することもできる。長手軸4と同軸の収束チャネル2が、インジェクタ1の入口端3から出口端5まで延在し、出口端の下流の長手軸4上にある収束点10に向かって収束する截頭円錐形(frustro-conical)のジェット形成壁8を有する。収束チャネル2の内側に、壁8の対向する位置から対角線上に架かりかつ入口端3から出口端5へ長手方向に延在する分離アーム14が延在している。図2において、アーム14は、個別の部品であるように示したが、機械加工によりインジェクタ本体1内に直接形成してもよい。図7(a)で最もよく分かるように、実質的に、2つの対向面即ち壁面15と16が、分離アーム14を画定する。面15と16は、図1の線6−6を含む仮想分離アーム平面2.2に対して対称的に配置される。長手軸4と垂直な任意の断面平面と面15、16とが交差することによって形成される2本の対向線は、分離アーム平面2.2から等しい距離にある。従って、関連する従来技術と違って、面15と16は、それらの間に中央コア部材を画定しない。1つ又は複数の原料供給通路が、インジェクタの外側面から軸4の方に延び、軸4と同軸の原料投入通路11に開口している。通常、アーム14の下流端に、原料供給通路11と同軸に延在する噴射チップ9が設けられることがある。幾つかの種類の原材料は、硬質で摩耗性であり、従って壁面を摩耗させ、従って原料投入通路11の断面を増加させる傾向があるため、任意の適切な工学的方法によって、アーム14に、耐摩耗性スリーブ又はライニング12を設けることができる。必要に応じて、原料供給通路18を保護するために、類似の耐摩耗性スリーブ又はライニングを設けることができる。
【0017】
アーム14は、チャネル2を、対向し実質的に半円形の断面を有する2つの等くかつ対向する収束チャネルに分離する。半円形の2つの収束チャネルは、分離アーム平面2.2に対して対称的に配置されている。面15と16は、アームの分離作用によって生じるフローの乱れを最小にするように形成されなければならない。この結果を達成する1つの革新的な方法は、アーム14に空気力学的に流線形の形状を適用することによるものである。この点において、図7(a)〜(d)に、アーム14を形成するいくつかの実際的な方法を概略的に示す。図7(a)〜(d)の参照数字は、以下の段落で修正する場合以外は、図5と図6における対応する参照数字と同じである。
【0018】
図7(a)は、アーム14の1つの好ましい実施形態を示す。面15と16は、「迎え角ゼロ」の対称的な翼をシミュレートする2つの凸面として示されている。アーム14は、最大断面厚さ「tmax」と翼弦長「c」を有する。流線形の本体と翼プロファイルに適用可能な流体力学理論により、厚さの比「tmax/c」が、重要な流体力学パラメータであり、好ましい実施形態において約0.15〜0.4でなければならない。必要に応じて、分離アーム14の上側部分を横切って冷却液を通す1つ又は複数の通路19を設けることができる。
【0019】
図7(b)と(c)は、更に通常の機械加工技術によって達成することが更に容易な流線形に類似した形状の分離アーム14の2つの代替実施形態を示す。例えば、図7(b)は、互いに平行でかつ分離アーム平面2.2と平行な両側面15と16を有するアーム14を示す。流れの動力学を考慮するために、面15と16は、上流端が凸状に湾曲した上流壁17で終わり、下流端が、下流方向に頂点を有するくさび形の下流壁20で終わるように示されている。壁17と20は、分離アーム平面2.2に関して対称である。アーム14は、最大断面厚さ「tmax」と翼弦長さ「c」を有する。好ましい実施形態において、アーム14の厚さ比「tmax/c」は、約0.15〜0.4でなければならない。図7(c)は、下流方向に互いに向かって収束する対向面15と16を含むアーム14を示し、その最大収束は、図7(b)に関して説明したものと類似の下流のくさび形の壁20が利用されている。図7(b)に示した実施形態と同様に、面15と16を上流端でつなぐ凸状湾曲壁17が示されている。「C」形断面とも呼ばれることがある凸状湾曲壁17は、レイノルズ数Re>1000の場合に約1.2の近似的抗力係数を有し、ガス流と分離アーム14の上流端の間の衝撃を更に最小化する他の適切なプロファイルと置き換えることもできる。例えば、「C」形断面の代わりに、場合によっては1.2よりも小さい抗力係数を有するくさび形壁17を使用することができる。図7(c)のアーム14は、上流端の近くの最大断面厚さ「tmax」と、翼弦長さ「c」を有する。好ましい実施形態において、アーム14の厚さ比「tmax/c」は、約0.15〜0.4でなければならない。
【0020】
図7(d)は、面15と16の代替実施形態を示し、それぞれの面は、分離アーム平面2.2及び軸4に関して対称的に配置された追加の凸状湾曲26を有する。これらの追加の湾曲は、コア要素の存在によって生じる乱れなしに、分離された流れを軸方向にある程度巻き込む。
【0021】
アーム14の上流端が、凸状かつ対称的な壁面によって、細長い円筒状又は楕円状の本体の表面を近似するように形成された場合、「コアンダ効果」の発生を促進することができる。コアンダ現象は、その最も広範なレベルにおいて、固体表面による流れの振れとして定義することができる。特定の表面形状条件が提供された場合、流れは、流れが接する固体表面に付着し、従ってそのまわりに流れる傾向がある。図8に概略的に示したように、「コアンダ効果」の発生によって、ガス流22が上流壁17の表面に付着し、これによりガス流がアーム14の上流端にぶつかることによって起こる乱れが減少する。本質的に、図8に示したようなアーム14によって、更に後で説明するような、流線形の本体がガス流に完全に浸される効果が達成される。単一ガス流21は、凸状に形成された横断壁17として示された上流端でアーム14にぶつかり、分離された流れは、「コアンダ効果」によって、図7(d)の数字22で示したように壁17の両側に付着する。コア部材のような追加の表面プロファイルが面15と16に形成されないので、逆圧力勾配は生成されない。従って、アーム14の各側面の流れ23は、乱れが少ない状態で順方向に流れ続け、「コアンダ効果」によって面15と16に付着したままになるか、あるいは面15と16の近くを流れる。アーム14の各側面の流れ24は、くさび形の下流壁20の形状に従い、合流して乱れの小さい単一の流れ25になる。従って、原料を軸方向に注入するためにチップ9が設けられる場合、チップは、単一のガス流に浸され、ガスは、均一性が改善された状態で注入された原料と接する。
【0022】
図9に、本発明の実際的な使用例を概略的に示す。この例において、原料インジェクタは、プラズマ溶射トーチ装置内に組み込まれた状態が概略的に示されている。プラズマトロンなどのプラズマ発生器が、原料インジェクタの上流端に取り付けられている。本原料インジェクタと共に使用することができる好ましいプラズマトロンは、Delceaの米国特許第6,114、649号に開示されており、このプラズマトロンは、安定した電気アーク動作と、より高度に電離され、より高いエンタルピーのプラズマジェットの放出を実現する。図9において、プラズマ流は、分離アームによって、分離アームの両側面のまわりを乱れが小さい状態で流れる2つの相対する流れに分離される。粉末などの原料が、原料注入通路(簡略化するために図9には示していない)に軸方向に注入される。フロー拡張出力ノズルが、原料インジェクタの下流キャビティに取り付けられた状態が概略的に示されている。出力ノズルは、合流されたガス流と一緒に運ばれた原料とを受け取るように形成された入口を有する。ガスは、乱れがきわめて小さい状態で原料流のまわりを流れ、これにより原料との接触が均一になる。この結果、原料がガスと混ざり、出力ノズルの内腔に沿って実質的に軸方向に流れる。本発明の原料インジェクタを使用することによって、原料の軸方向の速度、軸方向の軌跡、及び原料とガス流との混合が、従来技術よりも改善され、その結果、溶射トーチの機能が改善され、大幅に改善された溶射皮膜が生成される。
【0023】
本原料インジェクタを使用して実際の実験の結果、出力ノズルの出口から約5〜6インチ(約127〜152mm)の距離でも、改善されたガスフロー特性を示すプラズマジェットが放出されることが分った。通常、プラズマ流がノズルから出るとき、その周辺部がかなり乱れ、従ってまわりの空気をかなり迅速に巻き込む。この望ましくない現象は、本原料インジェクタを使用したときに大幅に減少したように思われる。このインジェクタを介して原料を注入するとき、スピッティングは起きなかった。また、溶融した原料粒子の軸方向の軌跡を長くしかつ速度を速くすることができ、従って、プラズマ溶射付着と目標効率(target efficiency)ならびにプラズマ溶射密度と均一性が向上する。付着効率(deposit efficiency)は、「DE」と呼ばれることがあり、一般に、溶射装置に供給される原材料のうち溶射部分に実際に付着する割合として定義される。原料の残りは、受け取る熱又は運動量が不十分なため、溶射ターゲットに付着せずにはね返り、従って、溶射プロセスに利用されない。付着効率が低いと、コストが高くなり、溶射プロセス全体の経済性と競争力が低下することもある。本発明の原料インジェクタを使用した更に他の実験において、製造業者であるSulzer−Metcoによって付着効率が30〜40%であると報告されている、宇宙産業で広く溶射されているタイプの原料であるアブレーダブル溶射粉末(Abradable Spray Powder)のような特定の高価な原材料では、90%を超える高い付着効率が測定された。この特定のタイプの原料は、きわめて低密度であり、従って注入領域におけるガスフローの乱れの影響を受けやすい。従来技術の装置の殆どは、ノズルのスピッティングを回避するために、本原料を外部から注入するが、外部から注入は、一般に、付着効率が低下する。Berneckiらの米国特許第4,780,591号とDelceaの米国特許第5,420,391号に示した従来技術のプラズマトーチのような、軸方向注入を行う従来技術の装置によるアブレーダブル原材料のプラズマ溶射は、注入チップと出力ノズル上に比較的速く原料が堆積し、その結果、スピッティングが生じる。Delceaの米国特許第6,202,939号に従って作成された装置を使用したとき、類似のアブレーダブル原材料に関して、ノズル堆積が殆どない状態でより長い溶射時間を達成することができた。しかしながら、本発明の原料インジェクタを使用したときは、大きな改良が認められた。
【0024】
本発明の原料インジェクタを使用して、金属、合金、及びサーメットの原料粉末を試験的に溶射した。速度が向上し溶融が改善されたことを示すより長い溶融粒子の軌跡が認められた。また、軸性(axiality)が改善されたことを示す発散の少ない軌跡が観察され、これは、プラズマジェットと原料流の乱れの少ない接触によるものと考えられる。例えば、本インジェクタを使用してNi/Cr原料(80対20)を注入したとき、溶融原料の流れが、約2メートル(約79インチ)の長さを有する比較的細いビーム内に閉じ込められていることが観察された。そのような遠い距離における溶融原料ビームの発散は、既知の従来技術のインジェクタの場合よりもかなり少ないと思われる。この著しい改善は、本発明のインジェクタによって提供されるような、インジェクタ内のガスフローの少ない乱れとガス流との原料のより均一な接触に殆ど起因するものである。
【0025】
プラズマ又は熱的ジェット装置の熱効率は、一般に、冷却剤に失われるエネルギー部分を差し引いた後でガス流に残るエネルギーの割合として定義される。熱効率を計算する1つの手軽な方法は、冷却剤の流量とその入出温度を監視することである。このデータにより、ガス流から冷却剤に伝わり、従って有用な溶射プロセスから失われるエネルギーを計算することができる。軸方向原料インジェクタの場合、ガスの熱損失は、インジェクタ内部経路の表面を介した放射、対流及び伝導によって行われる。高温ガス流にさらされる表面積が大きくなると熱損失が増える。同時に、流れの乱れは、熱損失を更に増やす。流れに対向する流線形分離アームを1つだけを設け、一般に分離に伴うガスの乱れを減少させることによって、本発明の原料インジェクタは、関連した従来技術に示された他のインジェクタよりも約15〜20%高い熱効率であると推定される。この熱効率の向上によって、より多くの熱がジェット内に残り、これにより、本発明のインジェクタによって高い溶射速度、より高い付着効率、及びより良好な原料溶融が達成可能になる。
【0026】
本発明の実施形態を説明したが、添付の特許請求の範囲に定義されたような本発明の範囲及び精神から逸脱することなく変更可能であることは、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】Berneckiらの米国特許第4,780,591号による従来技術のインジェクタ内のガスフロー原理の図である。
【図2】Delceaの米国特許第5,420,391号による従来技術のインジェクタ内のガスフロー原理の図である。
【図3】Delceaの米国特許第5,420,391号によるの従来技術のインジェクタに取り付けられた出力ノズル内の原料軌跡の図である。
【図4】Delceaの米国特許第5,420,391号による従来技術のインジェクタの図であり、コア部材のまわりに配置された複数の6つのチャネルを示す。
【図5】図6の線5−5に沿った断面で切断した本発明の原料インジェクタの平面図である。
【図6】図5の線6−6に沿った断面で切断した本発明の原料インジェクタの概略正面図である。
【図7】(a)は、図5の線7−7に沿って切断した断面の概略等角図(isometric view)であり、分離アームの好ましい実施形態を示す。(b)は、図5の線7−7に沿って切断した断面の概略等角図であり、分離アームの好ましい代替実施形態を示す。(c)は、図5の線7−7に沿って切断した断面の概略等角図であり、分離アームの別の好ましい代替実施形態を示す。(d)は、図5の線7−7に沿って切断した断面の概略等角図であり、分離アームの更に別の好ましい代替実施形態を示す。
【図8】分離アームのまわりのガスフロー経路を示す図7(b)の分離アームの概略等角図である。
【図9】本発明の原料インジェクタの1つの実施形態を含む断面で切断したプラズマ溶射トーチの概略側面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 インジェクタ本体
2 チャネル
3 入口端
4 長手軸
5 出口端
8 壁
9 チップ
10 収束点
11 原料供給通路
12 ライニング
13 通路
14 分離アーム
15、17 面
Claims (25)
- スプレートーチのガスの流れに原料を軸方向に注入するための、長手軸を有する原料インジェクタであって、
(a)インジェクタの上流端でガスの流れを受け入れる入口端と、
(b)インジェクタの下流端でガスの流れを放出する出口端と、
(c)入口端と出口端の間に延在し、出口端の下流で長手軸上の収束点に向かって収束する截頭円錐形の壁を有する、長手軸と同軸の収束チャネルと、
(d)収束チャネルの壁の第1の領域から、第1の領域と反対側の第2の領域まで延在する分離アームであって、長手軸を含む分離アーム平面に対して対称的に配置され、入口端と出口端の間の方向に延在する1対の対向面を含む分離アームと、
(e)分離アーム内を通り、出口端から下流方向に原料を軸方向に導くために収束点の方に向けられた出口端を有する原料通路とを含む原料インジェクタ。 - 面が互いに平行である、請求項1に記載のインジェクタ。
- 面が下流方向に向かって互いに収束するように傾斜されて、くさび形分離アームを形成している、請求項1に記載のインジェクタ。
- 面が平面である、請求項1に記載のインジェクタ。
- 面が互いに平行である、請求項4に記載のインジェクタ。
- 面が下流方向に向かって互いに収束するように傾斜されて、くさび形分離アームを形成している、請求項4に記載のインジェクタ。
- 面が凸状に湾曲している、請求項1に記載のインジェクタ。
- 出口端よりも入口端に近い面の領域内において面の突出量が最大となる、請求項7に記載のインジェクタ。
- 分離アームが、面の上流端をつなぐ上流壁を更に含む、請求項1に記載のインジェクタ。
- 上流壁が凸状に湾曲している、請求項9に記載のインジェクタ。
- 上流壁が分離アーム平面に関して対称的である、請求項10に記載のインジェクタ。
- 上流壁がくさび形でその頂点が上流方向を向いている、請求項9に記載のインジェクタ。
- 上流壁が分離アーム平面に関して対称的である、請求項12に記載のインジェクタ。
- 分離アームが、面の下流端をつなぐ下流壁を更に含む、請求項1に記載のインジェクタ。
- 下流壁が凸状に湾曲している、請求項14に記載のインジェクタ。
- 下流壁が分離アーム平面に関して対称的である、請求項15に記載のインジェクタ。
- 下流壁がくさび形でその頂点が下流方向を向いている、請求項14に記載のインジェクタ。
- 下流壁が分離アーム平面に関して対称的である、請求項17に記載ののインジェクタ。
- 分離アームが面の下流端をつなぐ下流壁を更に含む請求項9のインジェクタ。
- 分離アームが面の下流端をつなぐ下流壁を更に含み、下流壁が凸状に湾曲している、請求項10に記載のインジェクタ。
- 分離アームが面の下流端をつなぐ下流壁を更に含み、下流壁が凸状に湾曲しており、下流壁が分離アーム平面に関して対称的である、請求項11に記載のインジェクタ。
- 分離アームが面の下流端をつなぐ下流壁を更に含み、下流壁がくさび形でその頂点が下流方向を向いている、請求項12に記載のインジェクタ。
- 分離アームが面の下流端をつなぐ下流壁を更に含み、下流壁がくさび形でその頂点が下流方向を向いており、下流壁が分離アーム平面に関して対称的である、請求項13に記載のインジェクタ。
- 面間の距離が最大となる箇所において切断した断面内で測定した分離アームの厚さと長さの比「tmax/c」が、0.15〜0.4の範囲である、請求項1に記載の原料インジェクタ。
- 面の突出量が最大となる箇所において切断した断面内で測定した分離アームの厚さと長さの比「tmax/c」が、0.15〜0.4の範囲である、請求項7に記載の原料インジェクタ。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US09/912,329 US6669106B2 (en) | 2001-07-26 | 2001-07-26 | Axial feedstock injector with single splitting arm |
PCT/CA2002/001169 WO2003011005A1 (en) | 2001-07-26 | 2002-07-24 | Axial feedstock injector with single splitting arm |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004536439A true JP2004536439A (ja) | 2004-12-02 |
Family
ID=25431736
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003516250A Pending JP2004536439A (ja) | 2001-07-26 | 2002-07-24 | 単一分離アームを備えた軸方向原料インジェクタ |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US6669106B2 (ja) |
EP (1) | EP1410697A1 (ja) |
JP (1) | JP2004536439A (ja) |
CA (1) | CA2453889A1 (ja) |
WO (1) | WO2003011005A1 (ja) |
Families Citing this family (17)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7717703B2 (en) * | 2005-02-25 | 2010-05-18 | Technical Engineering, Llc | Combustion head for use with a flame spray apparatus |
WO2006116844A1 (en) * | 2005-05-02 | 2006-11-09 | National Research Council Of Canada | Method and apparatus for fine particle liquid suspension feed for thermal spray system and coatings formed therefrom |
SE529053C2 (sv) | 2005-07-08 | 2007-04-17 | Plasma Surgical Invest Ltd | Plasmaalstrande anordning, plasmakirurgisk anordning och användning av en plasmakirurgisk anordning |
SE529056C2 (sv) | 2005-07-08 | 2007-04-17 | Plasma Surgical Invest Ltd | Plasmaalstrande anordning, plasmakirurgisk anordning och användning av en plasmakirurgisk anordning |
SE529058C2 (sv) | 2005-07-08 | 2007-04-17 | Plasma Surgical Invest Ltd | Plasmaalstrande anordning, plasmakirurgisk anordning, användning av en plasmakirurgisk anordning och förfarande för att bilda ett plasma |
WO2007065252A1 (en) * | 2005-12-06 | 2007-06-14 | Lucian Bogdan Delcea | Plasma spray nozzle system |
US7928338B2 (en) | 2007-02-02 | 2011-04-19 | Plasma Surgical Investments Ltd. | Plasma spraying device and method |
US7589473B2 (en) | 2007-08-06 | 2009-09-15 | Plasma Surgical Investments, Ltd. | Pulsed plasma device and method for generating pulsed plasma |
US8735766B2 (en) | 2007-08-06 | 2014-05-27 | Plasma Surgical Investments Limited | Cathode assembly and method for pulsed plasma generation |
KR100967016B1 (ko) * | 2007-09-20 | 2010-06-30 | 주식회사 포스코 | 플라즈마 토치장치 및 플라즈마를 이용한 반광 처리방법 |
DE102009006795A1 (de) * | 2009-01-30 | 2010-08-05 | Krones Ag | Befülleinrichtung |
GB0904948D0 (en) * | 2009-03-23 | 2009-05-06 | Monitor Coatings Ltd | Compact HVOF system |
US8613742B2 (en) | 2010-01-29 | 2013-12-24 | Plasma Surgical Investments Limited | Methods of sealing vessels using plasma |
US9089319B2 (en) | 2010-07-22 | 2015-07-28 | Plasma Surgical Investments Limited | Volumetrically oscillating plasma flows |
JP5491612B1 (ja) * | 2012-12-11 | 2014-05-14 | 三菱電機株式会社 | 流体噴射弁及び噴霧生成装置 |
EP4205515A2 (en) | 2020-08-28 | 2023-07-05 | Plasma Surgical Investments Limited | Systems, methods, and devices for generating predominantly radially expanded plasma flow |
CN117818009A (zh) * | 2024-02-22 | 2024-04-05 | 江门市蓬江区义海新材料有限公司 | 基于端口结构便于拆卸的pe管材加工模具 |
Family Cites Families (20)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US3140380A (en) | 1961-09-08 | 1964-07-07 | Avco Corp | Device for coating substrates |
US3312566A (en) | 1962-08-01 | 1967-04-04 | Giannini Scient Corp | Rod-feed torch apparatus and method |
US4330086A (en) * | 1980-04-30 | 1982-05-18 | Duraclean International | Nozzle and method for generating foam |
US4416421A (en) | 1980-10-09 | 1983-11-22 | Browning Engineering Corporation | Highly concentrated supersonic liquified material flame spray method and apparatus |
US4540121A (en) | 1981-07-28 | 1985-09-10 | Browning James A | Highly concentrated supersonic material flame spray method and apparatus |
US4504014A (en) * | 1983-01-31 | 1985-03-12 | D & W Industries, Inc. | Device for atomizing a liquid |
US4509694A (en) * | 1983-06-01 | 1985-04-09 | Canadian Patents & Development Limited | Cross-current airfoil electrostatic nozzle |
US4780591A (en) | 1986-06-13 | 1988-10-25 | The Perkin-Elmer Corporation | Plasma gun with adjustable cathode |
US4990739A (en) | 1989-07-07 | 1991-02-05 | The United States Of America As Represented By The Administrator Of The National Aeronautics And Space Administration | Plasma gun with coaxial powder feed and adjustable cathode |
US5008511C1 (en) | 1990-06-26 | 2001-03-20 | Univ British Columbia | Plasma torch with axial reactant feed |
DE4105407A1 (de) | 1991-02-21 | 1992-08-27 | Plasma Technik Ag | Plasmaspritzgeraet zum verspruehen von festem, pulverfoermigem oder gasfoermigem material |
DE4105408C1 (ja) | 1991-02-21 | 1992-09-17 | Plasma-Technik Ag, Wohlen, Ch | |
DE9215133U1 (ja) | 1992-11-06 | 1993-01-28 | Plasma-Technik Ag, Wohlen, Ch | |
US5420391B1 (en) | 1994-06-20 | 1998-06-09 | Metcon Services Ltd | Plasma torch with axial injection of feedstock |
US5556558A (en) | 1994-12-05 | 1996-09-17 | The University Of British Columbia | Plasma jet converging system |
US5837959A (en) | 1995-09-28 | 1998-11-17 | Sulzer Metco (Us) Inc. | Single cathode plasma gun with powder feed along central axis of exit barrel |
DK172813B1 (da) * | 1997-12-16 | 1999-06-17 | Cris Ni Aps | Forstøverplade, forstøver med en sådan forstøverplade samt anvendelse af en sådan forstøverplade |
US6114649A (en) | 1999-07-13 | 2000-09-05 | Duran Technologies Inc. | Anode electrode for plasmatron structure |
US6202939B1 (en) | 1999-11-10 | 2001-03-20 | Lucian Bogdan Delcea | Sequential feedback injector for thermal spray torches |
US6392189B1 (en) | 2001-01-24 | 2002-05-21 | Lucian Bogdan Delcea | Axial feedstock injector for thermal spray torches |
-
2001
- 2001-07-26 US US09/912,329 patent/US6669106B2/en not_active Expired - Lifetime
-
2002
- 2002-07-24 WO PCT/CA2002/001169 patent/WO2003011005A1/en not_active Application Discontinuation
- 2002-07-24 EP EP02750731A patent/EP1410697A1/en not_active Withdrawn
- 2002-07-24 CA CA002453889A patent/CA2453889A1/en not_active Abandoned
- 2002-07-24 JP JP2003516250A patent/JP2004536439A/ja active Pending
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US6669106B2 (en) | 2003-12-30 |
WO2003011005A1 (en) | 2003-02-06 |
CA2453889A1 (en) | 2003-02-06 |
EP1410697A1 (en) | 2004-04-21 |
US20030019947A1 (en) | 2003-01-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2004536439A (ja) | 単一分離アームを備えた軸方向原料インジェクタ | |
JP3007895B2 (ja) | 単一陰極プラズマ銃及びそれに用いる陽極アタッチメント | |
JP5690891B2 (ja) | アキシャルフィード型プラズマ溶射装置 | |
US6392189B1 (en) | Axial feedstock injector for thermal spray torches | |
CA2676909C (en) | Plasma spraying device and method | |
US6202939B1 (en) | Sequential feedback injector for thermal spray torches | |
EP0775436B1 (en) | Plasma torch with axial injection of feedstock | |
EP0361710A1 (en) | High-velocity flame spray apparatus | |
JP2001512364A (ja) | 改良されたプラズマ移行式ワイヤー・アーク溶射装置及び方法 | |
CA2571099A1 (en) | Hybrid plasma-cold spray method and apparatus | |
US6372298B1 (en) | High deposition rate thermal spray using plasma transferred wire arc | |
WO2019009206A1 (ja) | コールドスプレーガン及びそれを備えたコールドスプレー装置 | |
JPH0357833B2 (ja) | ||
JP2003073795A (ja) | プラズマ溶射用のトーチヘッド | |
CN100446870C (zh) | 下游送粉的冷气动力喷涂方法和装置 | |
CN101954324B (zh) | 一种低压等离子喷涂用等离子喷枪 | |
JP4449645B2 (ja) | プラズマ溶射装置 | |
WO2007091102A1 (en) | Kinetic spraying apparatus and method | |
JP4164610B2 (ja) | プラズマ溶射装置 | |
JP7156736B1 (ja) | アキシャルフィード式プラズマ溶射装置 | |
JPH0763034B2 (ja) | 軸供給型プラズマ加熱材料噴射装置 | |
US20150060413A1 (en) | Wire alloy for plasma transferred wire arc coating processes | |
Kushram et al. | Design of Spray Guns | |
JPH0455748B2 (ja) | ||
JPH04333557A (ja) | タングステンカーバイドの溶射方法 |