JP2004124129A - 溶射用粉末 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐摩耗性に優れた溶射皮膜を確実に得ることができるとともに、付着効率を向上させることができる溶射用粉末を提供する。
【解決手段】溶射用粉末は、タングステンカーバイドと金属との複合材であるサーメット、あるいは、タングステンカーバイドとタングステンカーバイド以外のセラミックスと金属との複合材であるサーメットからなり、一次粒子の平均粒子径が2.5μm以上5μm未満であるタングステンカーバイドを50重量%以上含有する。溶射用粉末を構成する粒子の機械的強度は、100〜600N/mmであることが好ましい。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タングステンカーバイドを主体とするサーメットからなる溶射用粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】
タングステンカーバイドは、硬度が高く優れた耐摩耗性を有しているが、それ単独では溶射することが困難なことから、通常、金属と複合化したサーメット、あるいは、タングステンカーバイド以外のセラミックスとともに金属と複合化したサーメットの形で溶射材として溶射に供される。
【0003】
特許文献1には、タングステンカーバイドと金属との複合材であるサーメットからなる溶射用粉末として、一次粒子の平均粒子径が1〜7μmであるタングステンカーバイドを50重量%以上含有するものが開示されている。特許文献2には、タングステンカーバイドとタングステンカーバイド以外のセラミックスと金属との複合材であるサーメットからなる溶射用粉末として、一次粒子の平均粒子径が5〜20μmであるタングステンカーバイドを50重量%以上含有するものが開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−88311号公報
【特許文献2】
特開2001−234320号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1に開示される溶射用粉末では、タングステンカーバイドの高耐摩耗性に基づいた耐摩耗性に優れる溶射皮膜を得られない場合があった。また、特許文献2に開示される溶射用粉末は、耐摩耗性に優れる溶射皮膜こそ得られるものの、付着効率が悪いという欠点があった。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、耐摩耗性に優れた溶射皮膜を確実に得ることができるとともに、付着効率を向上させることができる溶射用粉末を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、サーメットからなる溶射用粉末であって、一次粒子の平均粒子径が2.5μm以上5μm未満であるタングステンカーバイドを50重量%以上含有することを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の溶射用粉末において、前記サーメットがタングステンカーバイドと金属との複合材であることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の溶射用粉末において、前記サーメットがタングステンカーバイドとタングステンカーバイド以外のセラミックスと金属との複合材であることを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の溶射用粉末において、前記溶射用粉末を構成する粒子の機械的強度が100〜600N/mmであることを要旨とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態について説明する。
【0011】
本実施形態の溶射用粉末は、タングステンカーバイドと金属との複合材であるサーメットからなる。
溶射用粉末に含まれるタングステンカーバイドの量は、50重量%以上であり、好ましくは70重量%以上である。タングステンカーバイドの一次粒子の平均粒子径は、2.5μm以上5μm未満であり、好ましくは3μm以上4μm以下である。タングステンカーバイドには、WC(一炭化一タングステン)とWC(一炭化二タングステン)の2種類があるが、好ましいタングステンカーバイドはWCである。
【0012】
一方、溶射用粉末に含まれる金属の量は、50重量%以下であり、好ましくは30重量%以下である。溶射用粉末に含まれる金属は、金属単体であっても合金であってもその混合物であってもよい。金属単体としては、例えば、コバルト、ニッケル、鉄及びそれらの混合物が挙げられる。合金としては、例えば、コバルト合金、ニッケル合金、鉄合金及びそれらの混合物が挙げられる。
【0013】
溶射用粉末を構成する粒子の機械的強度は、100〜600N/mmが好ましく、200〜500N/mmがより好ましい。前記機械的強度は、粒子の破壊が起こる圧縮荷重から下記の計算式により求められるものであって、例えば島津製作所社製の微小圧縮試験装置「MCTE−500」を用いて測定される。なお、前記微小圧縮試験装置は、一定速度で増加する圧縮荷重を圧子でもって粒子に加えたときに測定される、圧子の変位量が急激に増加するときの圧縮荷重から粒子の機械的強度を求めるものである。
(粒子の機械的強度)=2.8×(粒子の破壊が起こる圧縮荷重)/π/(粒子径)
溶射用粉末の粒度分布は、溶射時に使用する溶射機の種類や溶射条件に応じて適宜設定することが好ましく、例えば5〜75μm、10〜45μm、15〜45μm、20〜63μm、25〜75μmに設定される。なお、前記粒度分布の下限の値は、レーザ回折式粒度測定機(例えば堀場製作所社製の「LA−300」)を用いて求められる値であって、その値以下の粒度を有する粒子の割合が5%以下となる値である。また、前記粒度分布の上限の値は、ロータップ法(JIS R6002)で求められる値であって、その値以上の粒度を有する粒子の割合が5%以下となる値である。すなわち粒度分布が5〜75μmであれば、レーザ回折式粒度測定機を用いて求められる5μm以下の粒子の割合が5%以下であり、ロータップ法で求められる75μm以上の粒子の割合が5%以下であることを示す。
【0014】
本実施形態の溶射用粉末は、造粒−焼結法により製造される。すなわち、タングステンカーバイド粉末及び金属粉末を適当な分散媒に分散させたスラリーを噴霧造粒法により造粒し、それを焼結した後に解砕、分級することで製造される。ここで使用されるタングステンカーバイド粉末の平均粒子径は、2.5μm以上5μm未満であり、好ましくは3μm以上4μm以下である。一方、金属粉末の平均粒子径は、好ましくは10μm以下である。
【0015】
本実施形態によって得られる効果について、以下に記載する。
・ 本実施形態の溶射用粉末によれば、耐摩耗性に優れた溶射皮膜を確実に得ることができる。これは、溶射用粉末に含まれるタングステンカーバイドの一次粒子の平均粒子径が2.5μm以上と比較的大きいことが理由と考えられる。一般に、サーメットからなる溶射用粉末を溶射して形成される溶射皮膜では、溶射用粉末中の金属成分がマトリックス相となって、そのマトリックス相に溶射用粉末中のセラミックス粒子が分散した状態となる。このとき、セラミックス粒子のサイズが小さいと、各セラミックス粒子のマトリックス相に対する接触面積が小さくなるため、各セラミックス粒子を溶射皮膜中に保持する力は小さくなる。従って、溶射皮膜に対して摩擦力が加わったときにセラミックス粒子が溶射皮膜から容易に脱落してしまい、溶射皮膜は優れた耐摩耗性を発揮することができない。しかし、タングステンカーバイドの一次粒子の平均粒子径が2.5μm以上であれば、各セラミックス粒子のマトリックス相に対する接触面積が比較的大きくなるので、各セラミックス粒子を溶射皮膜中に保持する力もそれに伴って大きくなる。よって、溶射皮膜に対して摩擦力が加わったときのセラミックス粒子の脱落を抑制することができ、その結果、溶射皮膜は、セラミックス粒子の高耐摩耗性に基づいて、優れた耐摩耗性を発揮することができる。
【0016】
また、セラミックス粒子のサイズが小さいと、溶射中にセラミックス粒子の表面が酸化される度合いが大きくなる。セラミックス粒子の酸化された部分は、溶射皮膜において欠陥部となって溶射皮膜の耐摩耗性を低下させる。しかし、タングステンカーバイドの一次粒子の平均粒子径が2.5μm以上であれば、各セラミックス粒子の溶射中の酸化を大幅に抑制することができ、耐摩耗性に優れた溶射皮膜を形成することができる。
【0017】
・ 本実施形態の溶射用粉末によれば、溶射時の付着効率を向上させることができる。これは、溶射用粉末に含まれるタングステンカーバイドの一次粒子の平均粒子径が5μm未満であることが理由と考えられる。すなわち、タングステンカーバイドの一次粒子の平均粒子径が過度に大きいと、溶射用粉末が軟化又は溶融してなる溶射粒子が、基材(被溶射体)に衝突した際に、基材に付着しないではね返る傾向が大きくなる。しかし、タングステンカーバイドの一次粒子の平均粒子径が5μm未満であれば、溶射粒子のはね返りが抑制されるため、付着効率は向上する。
【0018】
・ 溶射用粉末に含まれるタングステンカーバイドがWC(一炭化一タングステン)であれば、溶射の過程でタングステンカーバイドと金属とが反応することにより化合物相が生成するのを抑制することができ、化合物相の生成による溶射皮膜の特性の低下を抑制することができる。
【0019】
・ 溶射用粉末を構成する粒子の機械的強度が100N/mm以上であれば、溶射用粉末が溶射炎中で容易に崩壊し細粒化してしまうことを防ぐことができるため、スピッティングの発生を抑制することができる。また、200N/mm以上であればこの効果を一層高めることができる。ここでスピッティングとは、溶融した溶射用粉末が溶射装置の噴射ノズルの内壁に付着・堆積し、その堆積物が脱落し皮膜内部に混入する現象をいう。スピッティングは、溶射用粉末の粒度が比較的小さい時に発生しやすい。これは、粒度が比較的小さい溶射用粉末は溶射中に加熱されやすく、過溶融されることにより噴射ノズルの内壁に付着しやすくなるためである。スピッティングが発生すると、噴射ノズル口が閉塞したり、溶射中にノズル内壁の付着物が脱落して皮膜内部に取り込まれてしまうことがあり、溶射効率が低下することにより溶射皮膜形成の妨げとなったり、溶射皮膜の品質低下の原因となる。
【0020】
・ 溶射用粉末を構成する粒子の機械的強度が600N/mm以下であれば、溶射用粉末が溶射炎中で軟化・溶融されやすくなるため、付着効率を高めることができる。また、500N/mm以下であればこの効果を一層高めることができる。
【0021】
・ 造粒−焼結法により製造されるサーメットは、球状に近い形状を有し比較的粒度が揃っているため、良好な流動性を備えている。また、多孔質で比表面積が大きく溶融しやすいので溶射効率が高いという利点も有する。従って、本実施形態の溶射用粉末も、これらの利点を有する。
【0022】
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態について説明する。
本実施形態の溶射用粉末は、タングステンカーバイドとタングステンカーバイド以外のセラミックスと金属との複合材であるサーメットからなる。
【0023】
溶射用粉末に含まれるタングステンカーバイドの量は、50重量%以上であり、好ましくは70重量%以上である。タングステンカーバイドの一次粒子の平均粒子径は、2.5μm以上5μm未満であり、好ましくは3μm以上4μm以下である。タングステンカーバイドには、WC(一炭化一タングステン)とWC(一炭化二タングステン)の2種類があるが、好ましいタングステンカーバイドはWCである。
【0024】
溶射用粉末に含まれるタングステンカーバイド以外のセラミックスの量は、好ましくは30重量%以下である。タングステンカーバイド以外のセラミックスの一次粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上5μm以下である。タングステンカーバイド以外のセラミックスとしては、例えば、クロムカーバイド、タンタルカーバイド、チタンカーバイド等の金属炭化物が挙げられる。
【0025】
溶射用粉末に含まれる金属の量は、好ましくは5〜30重量%である。溶射用粉末に含まれる金属は、金属単体であっても合金であってもその混合物であってもよい。金属単体としては、例えば、コバルト、ニッケル、鉄及びそれらの混合物が挙げられる。合金としては、例えば、コバルト合金、ニッケル合金、鉄合金及びそれらの混合物が挙げられる。
【0026】
溶射用粉末を構成する粒子の機械的強度は100〜600N/mmが好ましく、200〜500N/mmがより好ましい。
溶射用粉末の粒度分布は、溶射時に使用する溶射機の種類や溶射条件に応じて適宜設定することが好ましく、例えば5〜75μm、10〜45μm、15〜45μm、20〜63μm、25〜75μmに設定される。
【0027】
本実施形態の溶射用粉末は、造粒−焼結法により製造される。すなわち、タングステンカーバイド粉末、タングステンカーバイド以外のセラミックス粉末及び金属粉末を適当な分散媒に分散させたスラリーを噴霧造粒法により造粒し、それを焼結した後に解砕、分級することで製造される。ここで使用されるタングステンカーバイド粉末の平均粒子径は、2.5μm以上5μm未満であり、好ましくは3μm以上4μm以下である。タングステンカーバイド以外のセラミックス粉末の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上5μm以下である。金属粉末の平均粒子径は、好ましくは10μm以下である。
【0028】
本実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 前記実施形態では溶射用粉末を造粒−焼結法により製造したが、焼結−粉砕法、すなわち、タングステンカーバイド粉末(及びタングステンカーバイド以外のセラミックス粉末)と金属粉末とを混合し圧縮成型してから焼結し、得られた焼結体を機械的に粉砕した後に分級する方法で製造するようにしてもよい。
【0029】
・ 前記実施形態の溶射用粉末に自溶合金等の金属粉末を混合してもよい。前記実施形態の溶射用粉末と金属粉末を混合したものも、溶射材として使用することができ、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0030】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1〜7及び比較例1〜4)
タングステンカーバイドを88重量%及びコバルトを12重量%含有するサーメットからなる溶射用粉末を、高速フレーム溶射機(PRAXAIR/TAFA社製JP−5000)を用いて、基材(SS400鋼板)上に溶射して300μm厚の溶射皮膜を作製した。このときの溶射条件は以下の通りである。酸素流量:1900scfh(893l/min)、灯油流量:5.1gph(0.32l/min)、溶射距離:380mm、バレル:8インチ(約200mm)、溶射用粉末供給量:75g/min
作製した溶射皮膜について、JIS H8682−1に準拠して摩耗試験を行なった。すなわち、スガ摩耗試験機を用い、研磨紙(CP180(US CAMI規格))によって荷重3.15kgf(≒31N)で溶射皮膜の表面を摩擦した。そのときの摩耗体積が、SS400鋼板で同様の摩耗試験を行なったときの摩耗体積を1としたときに0.020未満のものを◎、0.020以上0.030未満のものを○、0.030以上0.040未満のものを△、0.040以上のものを×と評価した。その結果を表1に示す。
【0031】
また、次の式に従って算出される付着効率が43%以上のものを○、38%以上43%未満のものを△、38%未満のものを×と評価した。その結果も表1に示す。付着効率〔%〕={(溶射後の基材の重量−溶射前の基材の重量)/溶射に使用した溶射用粉末の重量}}×100
さらに、スピッティングに関して評価するべく、上記溶射条件にて10分間及び30分間の連続溶射を行った後に溶射機の噴射口ノズル内壁に対する溶射用粉末の付着状態を観察した。そして、30分間連続溶射した後であっても溶射用粉末の付着が認められなかったものを◎、10分間連続溶射した後では付着が認められなかったが30分間連続溶射した後には付着が認められたものを○、10分間連続溶射した後に付着が認められたものを△、10分間連続溶射する間に噴射口ノズル内壁から堆積物の脱落が観察されたものを×と評価した。その結果も表1に示す。
【0032】
【表1】
Figure 2004124129
上記表1及び下記表2,3に示す「総合評価」は、耐摩耗性に関する評価の◎を50点、○を40点、△を20点、×を0点とし、付着効率に関する評価の○を30点、△を15点、×を0点とし、スピッティングに関する評価の◎を20点、○を15点、△を10点、×を0点としたときに、その合計が100点のものを◎、90点以上99点以下のものを○、65点以上89点以下のものを△、64点以下のものを×と評価したものである。
【0033】
(実施例8〜14及び比較例5〜8)
タングステンカーバイドを86重量%、コバルトを10重量%及びクロムを4重量%含有するサーメットからなる溶射用粉末を、高速フレーム溶射機(PRAXAIR/TAFA社製JP−5000)を用いて、基材(SS400鋼板)上に溶射して300μm厚の溶射皮膜を作製した。このときの溶射条件は、酸素流量を1850scfh(870l/min)、灯油流量を6.0gph(0.38l/min)に変更した点を除いては実施例1〜7及び比較例1〜4の場合と同じである。
【0034】
作製した溶射皮膜について、JIS H8682−1に準拠して摩耗試験を行なった。すなわち、スガ摩耗試験機を用い、研磨紙(CP180(US CAMI規格))によって荷重3.15kgf(≒31N)で溶射皮膜の表面を摩擦した。そのときの摩耗体積が、SS400鋼板で同様の摩耗試験を行なったときの摩耗体積を1としたときに0.025未満のものを◎、0.025以上0.035未満のものを○、0.035以上0.045未満のものを△、0.045以上のものを×と評価した。その結果を表2に示す。
【0035】
また、次の式に従って算出される付着効率が38%以上のものを○、33%以上38%未満のものを△、33%未満のものを×と評価した。その結果も表2に示す。付着効率〔%〕={(溶射後の基材の重量−溶射前の基材の重量)/溶射に使用した溶射用粉末の重量]}×100
さらに、上記溶射条件にて10分間及び30分間の連続溶射を行った後に溶射機の噴射口ノズル内壁に対する溶射用粉末の付着状態を観察し、先に記載した判定基準に従ってスピッティングに関して評価した。その結果も表2に示す。
【0036】
【表2】
Figure 2004124129
(実施例15〜21及び比較例9〜12)
タングステンカーバイドを73重量%、クロムカーバイドを20重量%及びニッケルを7重量%含有するサーメットからなる溶射用粉末を、高速フレーム溶射機(PRAXAIR/TAFA社製JP−5000)を用いて、基材(SS400鋼板)上に溶射して300μm厚の溶射皮膜を作製した。このときの溶射条件は、実施例1〜7及び比較例1〜4の場合と同じである。
【0037】
作製した溶射皮膜について、JIS H8682−1に準拠して摩耗試験を行なった。すなわち、スガ摩耗試験機を用い、研磨紙(CP180(US CAMI規格))によって荷重3.15kgf(≒31N)で溶射皮膜の表面を摩擦した。そのときの摩耗体積が、SS400鋼板で同様の摩耗試験を行なったときの摩耗体積を1としたときに0.035未満のものを◎、0.035以上0.045未満のものを○、0.045以上0.055未満のものを△、0.055以上のものを×と評価した。その結果を表3に示す。
【0038】
また、次の式に従って算出される付着効率が40%以上のものを○、36%以上40%未満のものを△、36%未満のものを×と評価した。その結果も表3に示す。付着効率〔%〕={(溶射後の基材の重量−溶射前の基材の重量)/溶射に使用した溶射用粉末の重量]}×100
さらに、上記溶射条件にて10分間及び30分間の連続溶射を行った後に溶射機の噴射口ノズル内壁に対する溶射用粉末の付着状態を観察し、先に記載した判定基準に従ってスピッティングに関して評価した。その結果も表3に示す。
【0039】
【表3】
Figure 2004124129
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0040】
・ サーメット粉末と金属粉末との混合物からなる溶射用粉末であって、前記サーメット粉末は、一次粒子の平均粒子径が2.5μm以上5μm未満であるタングステンカーバイドを50重量%以上含有することを特徴とする溶射用粉末。このようにしても、耐摩耗性に優れた溶射皮膜を確実に得ることができるとともに、付着効率を向上させることができる。
【0041】
(定義)
・ タングステンカーバイド及びそれ以外のセラミックスの一次粒子の平均粒子径は、フィッシャーサブシーブサイザー(FSSS)法により測定される平均粒子径をいう。
【0042】
・ 金属粉末の平均粒子径は、レーザ回折式粒度測定機(例えば堀場製作所社製の「LA−300」)により測定される平均粒子径をいう。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、耐摩耗性に優れた溶射皮膜を確実に得ることができるとともに、付着効率を向上させることができる溶射用粉末を提供しうる。

Claims (4)

  1. サーメットからなる溶射用粉末であって、一次粒子の平均粒子径が2.5μm以上5μm未満であるタングステンカーバイドを50重量%以上含有することを特徴とする溶射用粉末。
  2. 前記サーメットがタングステンカーバイドと金属との複合材であることを特徴とする請求項1に記載の溶射用粉末。
  3. 前記サーメットがタングステンカーバイドとタングステンカーバイド以外のセラミックスと金属との複合材であることを特徴とする請求項1に記載の溶射用粉末。
  4. 前記溶射用粉末を構成する粒子の機械的強度が100〜600N/mmであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の溶射用粉末。
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