JP2001234323A - 溶射粉末材、およびそれを使用した溶射方法並びに溶射皮膜 - Google Patents

溶射粉末材、およびそれを使用した溶射方法並びに溶射皮膜

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JP2001234323A
JP2001234323A JP2000038970A JP2000038970A JP2001234323A JP 2001234323 A JP2001234323 A JP 2001234323A JP 2000038970 A JP2000038970 A JP 2000038970A JP 2000038970 A JP2000038970 A JP 2000038970A JP 2001234323 A JP2001234323 A JP 2001234323A
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powder
powder material
thermal spraying
sprayed
thermal
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JP2000038970A
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English (en)
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Takeshi Itsukaichi
剛 五日市
Satoru Osawa
悟 大澤
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Fujimi Inc
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Fujimi Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速フレーム溶射において、スピッティング
が生じない、且つ、高い耐湿式摩耗特性を保証する溶射
粉末材とそれを用いた溶射方法並び溶射皮膜を提供す
る。 【解決手段】 WC、クロム及びニッケルを含み、粒径
が6〜63μmであり、炭素、クロム及びニッケルから
選ばれた、少なくとも一種の元素を固溶したW2C 固溶
体相を有する溶射粉末材であり、更にCu−Kα線を用
いて測定した粉末X線スペクトルにおいて、WC相の、
35.0〜36.0deg/2θに表れる第1ピークに
対する、前記W2C 固溶体相の、39.0〜44.0d
eg/2θに表れる第1ピークの強度比が0.35以下
(但し、0を含まず)である溶射粉末材、またそれを用
いた溶射方法並び溶射皮膜を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、WC、Cr、Ni
を含む溶射粉末材およびそれを使用した溶射方法並びに
溶射皮膜に関する。更に詳しくは、本発明は、湿式環境
下において優れた耐食性・耐摩耗性を有する溶射皮膜を
形成することができ、高速フレーム溶射において、溶射
ガン内部に粉末が付着および脱離、いわゆるスピッティ
ングを生じることなく、高い溶射効率を示すことができ
る、WC、Cr、Niを含む溶射粉末材、およびそれを
使用した溶射方法並びに溶射皮膜に関する。
【0002】
【従来の技術】各種産業機械や一般向け機械の金属製部
品には、耐食性、耐摩耗性、耐熱性など求められる特性
は用途にあわせて多岐にわたる。しかし、金属自体では
その要求特性が満たされない場合が多く、表面改質によ
り問題を解決しようとすることが多い。溶射法は、物理
的蒸着法や化学的蒸着法などとともに、実用化されてい
る表面改質技術の一つである。溶射は、基材の寸法に制
限がなく、広い面積の基材に対して一様な溶射皮膜を形
成できること、皮膜の形成速度が大きいこと、現場施工
が容易であること、比較的容易に厚膜が形成できること
などの特徴を有するため、近年、各種の産業にその適用
が拡大し、極めて重要な表面改質技術となってきた。
【0003】溶射法については、数多くの技術が開発さ
れている。その中でも高速フレーム溶射は、粉末粒子の
飛行速度が大きく、高速度で基材に衝突するため、緻密
で基材への密着性の高い皮膜が得られること、フレーム
(溶射炎)中への大気の混入が比較的少なく、しかも粉
末粒子の飛行速度が大きいので、フレーム中での滞留時
間が短くなり、粉末粒子が過熱されることが少なく、溶
射材料の変質が少ないことなどの特徴を有している。
【0004】溶射材料としてのWCは硬度が極めて高
く、耐摩耗性に優れているが、WC単体の溶射は困難で
あり、通常はCoやNi等の金属、またはそれらを含む
合金を結合材として、WCと混合もしくは複合化して使
用される。結合材にNiまたはNi基合金を使用したW
C、Cr及びNiを含む溶射粉末材からなる溶射皮膜
は、湿式環境下において優れた耐食性・耐摩耗性を示
し、産業界で広く使われ始めている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記溶
射粉末材は、高速フレーム溶射において、トラブルを生
じやすい。具体的には、加熱された粉末(特に微粉末)
が、溶射ガン内部に付着し、堆積され、更に過熱されて
内圧に負けたところで脱離し、塊となってガンから飛び
出し、その一部が基材に衝突・密着し、これを繰り返す
現象である。こうした現象を溶射業界ではスピッティン
グと呼ぶことがある。この現象を生じながら溶射された
皮膜は、過熱されたことによる変質相が局所的に分布
し、欠陥を伴った、不均質な構造を有する。また、一度
スピッティングが起こると、溶射時間と共に、その程度
は大きくなり、溶射作業の継続が困難となる。スピッテ
ィングの原因となるのは、溶射ガン内部で、過溶融され
た溶射粉末、すなわち、粒度の小さい、溶融されやすい
溶射粉末、もしくは、粉末強度が小さく、高圧フレーム
中で微細化しやすく、溶融されやすい溶射粉末と言われ
てきた。
【0006】この問題を回避する目的で、粒度の下限を
大きくした製品があるが、スピッティングが起こらない
反面、溶射効率は著しく低下する。また、製造工程にお
ける焼結温度を高く設定し、粉末強度を大きくすること
により、問題を解決する製品も存在するが、やはり溶射
効率は低下する。高速フレーム溶射機の中でも、TAF
A社製JP−5000やスルザーメテコ社製ダイヤモン
ドジェット(ハイブリッドタイプ)は、他の溶射機に比
べ、格段に緻密な皮膜を形成することが知られている
が、スピッティングを起こす傾向が大きく、こうした溶
射機に適した特性を有する溶射粉末材の登場が望まれて
いる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、造粒・焼結され
た、適切な量のW2C 固溶体相を含有する、WC、Cr
及びNiを含む溶射粉末材を製造することにより、高速
フレーム溶射において、スピッティングを生じることな
く、高い溶射効率を示す、WC、Cr及びNiを含む溶
射粉末が得られること、この溶射粉末を使用して形成さ
れた溶射皮膜は、湿式環境下において優れた耐食性、耐
摩耗性を有することを見出し、この知見に基づいて本発
明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、(1)WCを50重
量%以上と、Cr、Niを含む金属結合相とを含み、粒
径が6〜63μmである溶射粉末材であって、C、Cr
及びNiから選ばれた、少なくとも1種の元素を固溶し
たW2C 固溶体相を含むことを特徴とする溶射粉末材、
(2)更に、Cr32、Cr73、Cr236 から選ば
れた少なくとも1種のクロムカーバイドを含むことを特
徴とする溶射粉末材、また、(3)Cu−Kα線を用い
て測定した粉末X線スペクトルにおいて、WC相の、3
5.0〜36.0deg/2θに表れる第1ピークに対
する、前記C、Cr及びNiから選ばれた、少なくとも
1種の元素を固溶したW2C 相の、39.0〜44.0
deg/2θに表れる第1ピークの強度比が0.35以
下(但し、0を含まず)である溶射粉末材を提供するも
のである。
【0009】また更に、前記溶射粉末材を使用して、高
速フレーム溶射を行うことを特徴とする溶射方法、並び
に前記溶射粉末材を使用し高速フレーム溶射された溶射
皮膜を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明におけるWC、Cr及びN
iを含む溶射粉末材の組成は、十分な硬度を持つ皮膜を
形成するためにも、WCが50重量%以上、クロムカー
バイドが0〜30重量%、Cr、Niを含む合金が5〜
30重量%であることが好ましい。本発明の溶射粉末材
は、球形に造粒し、焼結してなるものが好ましい。本発
明の溶射粉末を球形に造粒し、焼結する方法に特に制限
はないが、各原料粉末を混合し、有機バインダー(例え
ばPVA:ポリビニルアルコール)と水(またはアルコ
ール等の溶剤)を加えスラリー状態とし、噴霧造粒機を
用いて造粒することにより、球形の顆粒を得ることがで
き、さらにこの顆粒を焼結し、解砕・分級することによ
り、球形のWC、Cr及びNiを含む溶射粉末材を得る
ことができる。
【0011】噴霧造粒機において、形成される顆粒の粒
度分布は5〜75μmであることが好ましい。粒度分布
5〜75μmの顆粒を焼結し、解砕・分級することによ
り、高速フレーム溶射に適した粒度分布6〜63μmの
溶射粉末を得ることができる。噴霧造粒機により球形に
造粒した粉末を300〜500℃で脱脂を行った後、真
空またはアルゴンガス雰囲気下において、1200〜1
400℃において焼結する。焼結を真空またはアルゴン
ガス雰囲気下で行うことにより、酸化の問題を排除する
ことができる。
【0012】本発明の方法によれば、この焼結後の粉末
は、Cu−Kα線を用いて測定した粉末X線スペクトル
において、WC相の、35.0〜36.0deg/2θ
に表れる第1ピークに対する、C、Cr、及びNiから
選ばれた少なくとも1種の元素を固溶したW2C 相の、
39.0〜44.0deg/2θに表れる第1ピークの
強度比が0.35以下(但し、0を含まず)であること
が望ましい。
【0013】W2C 固溶体相のピークがX線スペクトル
で同定できない場合(強度比=0)、高速フレーム溶射
において、スピッティングを生じる傾向が大きくなる恐
れがある。また、W2C 固溶体相の強度比が、0.35
を超える場合には、溶射効率は40%に満たなく、著し
く低下する。焼結後固化したWC、Cr及びNiを含む
溶射粉末材を解砕する。解砕方法には特に制限はなく、
公知の解砕機を用いて解砕することができる。解砕によ
り顆粒一個一個が分離した球形の顆粒となる。
【0014】解砕されたWC、Cr及びNiを含む溶射
粉末材は、必要に応じて分級することができる。例え
ば、溶射粉末材を粒度分布6〜38μm、10〜45μ
m、15〜45μm、15〜53μm、20〜63μm
に分級し、高速フレーム溶射装置の種類や出力に応じて
使い分けることができる。
【0015】高出力タイプの高速フレーム溶射装置、例
えば、TAFA社製JP−5000やスルザーメテコ社
製ダイヤモンドジェット(ハイブリッドタイプ)には、
スピッティングを回避する目的で、粒度分布15〜45
μmあるいはそれ以上の粒度下限の大きいWC、Cr及
びNiを含む溶射粉末材が通常使用される。本発明によ
れば、粒度分布は6〜63μm、望ましくは10〜45
μmである、WC、Cr及びNiを含む溶射粉末材を用
い、溶射機に高速フレーム溶射装置を使用して、スピッ
ティングを生じず、高い溶射効率を示し、耐食性・耐摩
耗性に優れた溶射皮膜を形成することができる。
【0016】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定
されるものではない。なお、実施例および比較例におい
て、溶射粉末特性は、下記の方法により測定した。 (1)溶射効率 溶射による基材の重量増加を測定し、使用した溶射粉末
材の重量に対する比として求めた。脱脂および粗面化し
た7.5cm×25cmの炭素鋼板を基材とし、溶射機
にはTAFA社製JP−5000を用いた。溶射条件は
以下に示す。 酸素流量:1900scfh 灯油流量:5.5gph 粉末流量:100g/min 溶射距離:380mm
【0017】(2)スピッティングの評価 溶射機にはTAFA社製JP−5000を用い、5分
間、溶射を行った。溶射条件は溶射効率の評価と同条件
である。スピッティングの有無については、以下の3項
目により評価した。 ・試験中の目視。 ・テストピースが均一に溶射されているか否か。局部的
に塊となって皮膜に付着している部分があるか否か。 ・試験後、溶射ガンのノズル内に溶融した粉末が付着し
ているか否か。
【0018】(3)耐湿式摩耗特性の評価 特願平10−360766号公報に記載の湿式摩耗試験
機を用いて評価した。研磨材には市販のA#8(JIS
R6111)を使用し水を加えてスラリー濃度を80
重量%とした。基準試料には機械構造用炭素鋼鋼管ST
MK12Cを用いた。溶射皮膜厚さは300μmとし
た。評価方法は基準試料摩耗体積(mm3)に対する試
料の摩耗量(mm3 )の比を摩耗比として算出した。試
験時間は200hr(摺動距離:5.67×105 m)
とした。
【0019】実施例1:WC粉末70重量%と、Cr3
2粉末15重量%と、Ni・Cr合金粉末15重量%
の混合物に対し、PVA及び水を加え撹拌し、そのスラ
リーを噴霧造粒することにより球形に造粒し、アルゴン
ガス雰囲気下、1330℃において焼結した。その後そ
れを解砕・分級して、10〜45μmの粒度分布を有す
るWC/Cr32/Ni・Cr合金複合の溶射粉末材を
得た。
【0020】この粉末を、Cu−Kα線を用いて粉末X
線スペクトルを測定したところ、35.8deg/2θ
に表れたWC相の第1ピークに対する、41.5deg
/2θに表れたW2C 固溶体相の第1ピークの強度比
は、0.034であった。高速フレーム溶射装置にTA
FA社製JP−5000を用い、上記の溶射粉末を、脱
脂および粗面化した7.5cm×25cmの炭素鋼板を
基材として溶射し、溶射皮膜を形成した。溶射効率は4
5%であった。スピッティングに関しては、目視によっ
ては観察されず、溶射皮膜は均一に形成されており、ま
た溶射ガンノズル内部に付着は発生していなかった。摩
耗比は、0.096であった。
【0021】実施例2:WC粉末75重量%と、Ni・
Cr合金粉末25重量%の混合物に対し、PVA及び水
を加え撹拌し、そのスラリーを噴霧造粒することにより
球形に造粒し、アルゴンガス雰囲気下、1280℃にお
いて焼結したのち、解砕・分級して、10〜45μmの
粒度分布を有する、WC/Ni・Cr合金複合の溶射粉
末材を得た。この粉末を、Cu−Kα線を用いて粉末X
線スペクトルを測定したところ、35.6deg/2θ
に表れたWC相の第1ピークの強度に対する、40.9
deg/2θに表れたW2C 固溶体相の第1ピークの強
度比は、0.150であった。高速フレーム溶射装置に
TAFA社製JP−5000を用い、上記の溶射粉末材
を、脱脂および粗面化した7.5cm×25cmの炭素
鋼板を基材として溶射し、溶射皮膜を形成した。溶射効
率は42%であった。スピッティングに関しては、目視
によっては観察されず、溶射皮膜は均一に形成されてお
り、また溶射ガンノズル内部に付着は発生していなかっ
た。摩耗比は、0.104であった。
【0022】実施例3:WC粉末70重量%と、Cr3
2粉末15重量%と、Ni・Cr合金粉末15重量%
の混合物に対し、PVA及び水を加え撹拌し、そのスラ
リーを噴霧造粒することにより球形に造粒し、アルゴン
ガス雰囲気下、1340℃において焼結したのち、解砕
・分級して、10〜45μmの粒度分布を有する、WC
/Cr32/Ni・Cr合金複合の溶射粉末材を得た。
この粉末を、Cu−Kα線を用いて粉末X線スペクトル
を測定したところ、35.8deg/2θに表れたWC
相の第1ピークの強度に対する、40.9deg/2θ
に表れたW2C 固溶体相の第1ピークの強度比は、0.
342であった。高速フレーム溶射装置にTAFA社製
JP−5000を用い、上記の溶射粉末材を、脱脂およ
び粗面化した7.5cm×25cmの炭素鋼板を基材と
して溶射し、溶射皮膜を形成した。溶射効率は40%で
あった。スピッティングに関しては、目視によっては観
察されず、溶射皮膜は均一に形成されており、また溶射
ガンノズル内部に付着は発生していなかった。摩耗比
は、0.112であった。
【0023】比較例1:WC粉末70重量%と、Cr3
2粉末15重量%と、Ni・Cr合金粉末15重量%
の混合物に対し、PVA及び水を加え撹拌し、そのスラ
リーを噴霧造粒することにより球形に造粒し、アルゴン
ガス雰囲気下、1350℃において焼結した。その後そ
れを解砕・分級して、10〜45μmの粒度分布を有す
る、WC/Cr32/Ni・Cr合金複合の溶射粉末材
を得た。この粉末を、Cu−Kα線を用いて粉末X線ス
ペクトルを測定したところ、35.7deg/2θに表
れたWC相の第1ピークの強度に対する、41.3de
g/2θに表れたW2C 固溶体相の第1ピークの強度比
は、0.418であった。高速フレーム溶射装置にTA
FA社製JP−5000を用い、上記の溶射粉末材を、
脱脂および粗面化した7.5cm×25cmの炭素鋼板
を基材として溶射し、溶射皮膜を形成した。溶射効率は
37%であった。スピッティングに関しては、目視によ
り観察はされず、溶射皮膜は均一に形成されており、ま
た溶射ガンノズル内部に付着は発生していなかった。摩
耗比は、0.123であった。
【0024】比較例2:WC粉末70重量%と、Cr3
2粉末15重量%と、Ni・Cr合金粉末15重量%
の混合物に対し、PVA及び水を加え撹拌し、そのスラ
リーを噴霧造粒することにより球形に造粒し、アルゴン
ガス雰囲気下、1300℃において焼結した。その後そ
れを解砕・分級して、10〜45μmの粒度分布を有す
る、WC/Cr32/Ni・Cr合金複合の溶射粉末材
を得た。この粉末を、Cu−Kα線を用いて粉末X線ス
ペクトルを測定したところ、35.7deg/2θにW
C相の第1ピークを確認できたが、W2C 固溶体相の第
1ピークは確認できなかった。WC相の第1ピークに対
するW2C 固溶体相の第1ピークの強度比は0であっ
た。高速フレーム溶射装置にTAFA社製JP−500
0を用い、上記の溶射粉末材を、脱脂および粗面化した
7.5cm×25cmの炭素鋼板を基材として溶射し、
溶射皮膜を形成した。溶射効率は48%であった。スピ
ッティングに関しては、溶射を開始し3分ほど経過した
ところで、粉末の塊が火花のように飛び散る様子が観察
され、試験終了までその現象が続いた。形成された溶射
皮膜は、所々に塊が付着していた。また、溶射ガンノズ
ル内部は溶融した粉末が多く付着していた。摩耗比は
0.095であった。
【0025】比較例3:WC粉末75重量%と、Ni・
Cr合金粉末25重量%の混合物に対し、有機バインダ
ー及び水を加えて撹拌し、そのスラリーを噴霧造粒する
ことにより球形に造粒し、アルゴンガス雰囲気下、13
00℃において焼結した。その後それを解砕・分級し
て、10〜45μmの粒度分布を有する、WC/Ni・
Cr合金複合の溶射粉末材を得た。この粉末材を、Cu
−Kα線を用いて粉末X線スペクトルを測定したとこ
ろ、35.6deg/2θに表れたWC相の第1ピーク
の強度に対する、41.0deg/2θに表れたW2
固溶体相の第1ピークの強度比は、0.517であっ
た。高速フレーム溶射装置にTAFA社製JP−500
0を用い、上記の溶射粉末材を、脱脂および粗面化した
7.5cm×25cmの炭素鋼板を基材として溶射し、
溶射皮膜を形成した。溶射効率は34%であった。スピ
ッティングに関しては、目視により観察はされず、溶射
皮膜は均一に形成されており、また溶射ガンノズル内部
に付着は発生していなかった。摩耗比は、0.149で
あった。
【0026】比較例4:WC粉末75重量%と、Ni・
Cr合金粉末25重量%の混合物に対し、有機バインダ
ー及び水を加え撹拌し、そのスラリーを噴霧造粒するこ
とにより球形に造粒し、アルゴンガス雰囲気下、125
0℃において焼結したのち、解砕・分級して、10〜4
5μmの粒度分布を有する、WC/Ni・Cr合金複合
の溶射粉末材を得た。この粉末を、Cu−Kα線を用い
て粉末X線スペクトルを測定したところ、WC相の第1
ピークは35.6deg/2θに確認することができた
が、W2C 固溶体相の第1ピークは確認することができ
なかった。WC相の第1ピークに対するW2C 固溶体相
の第1ピークの強度比は0であった。高速フレーム溶射
装置にTAFA社製JP−5000を用い、上記の溶射
粉末材を、脱脂および粗面化した7.5cm×25cm
の炭素鋼板を基材として溶射し、溶射皮膜を形成した。
溶射効率は45%であった。スピッティングに関して
は、溶射を開始し1分ほど経過したところで、粉末の塊
が火花のように飛び散る様子が観察され、試験終了まで
その現象が続いた。形成された溶射皮膜は、所々に塊が
付着していた。また、溶射ガンノズル内部は溶融した粉
末が多く付着していた。摩耗比は0.151であった。
【0027】比較例5:A社製の、20〜45μmの粒
度分布を有する、WC/20%Cr/7%Ni粉末を、
Cu−Kα線を用いて粉末X線スペクトルを測定したと
ころ、35.7deg/2θに表れたWC相の第1ピー
クの強度に対する、41.3deg/2θに表れたW2
C 固溶体相の第1ピークの強度比は、0.392であ
った。高速フレーム溶射装置にTAFA社製JP−50
00を用い、上記の溶射粉末材を、脱脂および粗面化し
た7.5cm×25cmの炭素鋼板を基材として溶射
し、溶射皮膜を形成した。溶射効率は35%であった。
スピッティングに関しては、目視により観察はされず、
溶射皮膜は均一に形成されており、また溶射ガンノズル
内部に付着は発生していなかった。摩耗比は、0.16
0であった。
【0028】比較例6:B社製の、17〜53μmの粒
度分布を有する、WC/27%Ni・Cr合金粉末を、
Cu−Kα線を用いて粉末X線スペクトルを測定したと
ころ、35.7deg/2θに表れたWC相の第1ピー
クの強度に対する、41.0deg/2θに表れたW2
C 固溶体相の第1ピークの強度比は、0.984であ
った。高速フレーム溶射装置にTAFA社製JP−50
00を用い、上記の溶射粉末材を、脱脂および粗面化し
た7.5cm×25cmの炭素鋼板を基材として溶射
し、溶射皮膜を形成した。溶射効率は32%であった。
スピッティングに関しては、目視により観察はされず、
溶射皮膜は均一に形成されており、また溶射ガンノズル
内部に付着は発生していなかった。摩耗比は、0.17
3であった。
【0029】比較例7:耐湿式摩耗特性の比較のため、
C社製の、15〜45μmの粒度分布を有する、WC/
12%Co粉末を用いて同様の試験を行った。Cu−K
α線を用いて粉末X線スペクトルを測定したところ、W
C相の第1ピークは35.7deg/2θに確認できた
が、W2C 固溶体相の第1ピークは確認できなかった。
WC相の第1ピークの強度に対する、W2C 固溶体相の
第1ピークの強度比は0であった。高速フレーム溶射装
置にTAFA社製JP−5000を用い、上記の溶射粉
末材を、脱脂および粗面化した7.5cm×25cmの
炭素鋼板を基材として溶射し、溶射皮膜を形成した。溶
射効率は45%であった。スピッティングに関しては、
目視により観察はされず、溶射皮膜は均一に形成されて
おり、また溶射ガンノズル内部に付着は発生していなか
った。摩耗比は、0.246であった。
【0030】上記実施例1〜3、および比較例1乃至7
の試験結果を表1に示す。また、図1は上記実施例1に
おけるCu−Kα線を用いて粉末X線スペクトルを測定
した結果を示す線図であり、wはWC、w2はW2C 固
溶体、nはNi固溶体、cはCrCのスペクトルを示
す。図2および図3は比較例1および2の場合の各粉末
X線スペクトルを測定した結果を示す線図である。
【0031】
【表1】
【0032】実施例1、2の本発明の溶射粉末材は、溶
射効率が高く、スピッティングも生じず、高い耐湿式摩
耗特性を有する。これに対してW2C 固溶体相を多く含
む比較例1、3、5および6は溶射効率が著しく低い。
またW2C 固溶体相をほとんど含まない比較例2および
4は、スピッティングを生じる傾向が大きい。また、金
属相にコバルトを使用した比較例7は、溶射効率が高
く、スピッティングも生じないが、耐湿式摩耗特性は優
れているとは言えない。
【0033】
【発明の効果】本発明のWC、Cr及びNiを含む溶射
粉末材は、高速フレーム溶射作業において溶射効率が高
く、スピッティングが発生しない。また、得られる溶射
皮膜は、極めて高い耐湿式摩耗特性を有する。即ち、本
発明は、 1)WC、Cr及びNiを含み、粒径が6〜63μmで
ある溶射粉末材であって、C、Cr及びNiから選ばれ
た、少なくとも1種の元素を固溶したW2C 固溶体相を
有する溶射粉末材により、スピッティングを防止するこ
とができ、 2)更に、Cr32、Cr73、Cr236 から選ばれ
た少なくとも1種のクロムカーバイドを含むことによ
り、スピッティング防止効果を更に向上することができ
る。 3)また、 Cu−Kα線を用いて測定した粉末X線ス
ペクトルにおいて、WC相の、35.0〜36.0de
g/2θに表れる第1ピークに対する、W2C 固溶体相
の、39.0〜44.0deg/2θに表れる第1ピー
クの強度比が0.35以下(但し、0を含まず)である
溶射粉末材により、スピッティングを発生しないばかり
か、高い耐湿式摩耗特性を得ることができる。 4)更に、前記溶射粉末材を使用した高速フレーム溶射
での溶射方法により、スピッティングがなく、高い溶射
効率の溶射を行うことができる。 5)更にまた、前記溶射粉末材を使用した、高速フレー
ム溶射により、安定した高い耐湿式摩耗特性の溶射皮膜
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1の粉末X線スペクトルを測
定した結果を示す線図である。
【図2】 比較例1における粉末X線スペクトルを測定
した結果を示す線図である。
【図3】 比較例2における粉末X線スペクトルを測定
した結果を示す線図である。
【符号の説明】
w WCのスペクトル、w2 W2C 固溶体のスペクト
ル、n Ni固溶体のスペクトル、c クロムカーバイ
ドのスペクトル。
フロントページの続き (72)発明者 大澤 悟 愛知県西春日井郡西枇杷島町地領2丁目1 番地の1 株式会社フジミインコーポレー テッド内 Fターム(参考) 4K031 AA01 AB08 AB09 CB02 CB03 CB09 CB18 CB22 CB28 CB45 DA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 WCを50重量%以上と、Cr、Niを
    含む金属結合相とを含み、粒径が6〜63μmである溶
    射粉末材であって、C、Cr及びNiから選ばれた、少
    なくとも1種の元素を固溶したW2C 固溶体相を含むこ
    とを特徴とする溶射粉末材。
  2. 【請求項2】 Cr32、Cr73、Cr236 から選
    ばれた少なくとも1種のクロムカーバイドを含むことを
    特徴とする請求項1に記載の溶射粉末材。
  3. 【請求項3】 Cu−Kα線を用いて測定した粉末X線
    スペクトルにおいて、WC相の、35.0〜36.0d
    eg/2θに表れる第1ピークに対する、前記C、Cr
    及びNiから選ばれた、少なくとも1種の元素を固溶し
    たW2C 相の、39.0〜44.0deg/2θに表れ
    る第1ピークの強度比が0.35以下(但し、0を含ま
    ず)であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    溶射粉末材。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の溶射
    粉末材を使用して、高速フレーム溶射を行うことを特徴
    とする溶射方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれかに記載の溶射
    粉末材を使用して、高速フレーム溶射されたことを特徴
    とする溶射皮膜。
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