JP2005200287A - 窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】量産性に優れ、しかも曲げ強度と破壊靱性値が高い、高熱伝導性の窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】焼結助剤を添加して焼結した窒化アルミニウム焼結体であって、その焼結体組織が窒化アルミニウム結晶粒子の累積値50%粒径が3μm以上10μm未満、且つ窒化アルミニウム結晶粒子の累積値90%粒径と累積値10%粒径の差が、2.5〜6.0μmであり、且つ、焼結体表面及び内部において測定される窒化アルミニウム相と該粒界相とのX線回折強度比の測定値が、内部の測定値に対して表面の測定値が0.8以下である粒界相欠乏層が、表面から1〜100μmの厚みで存在する。
【選択図】なし

Description

本発明は、曲げ強度と破壊靱性値が共に高い、高熱伝導性の窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法に関する。
窒化アルミニウムは、GTO(Gate Turn Off Thyristor)サイリスタやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の半導体素子の高出力化による発熱量の増大に伴なって、高い熱伝導率を有する性質を利用した半導体実装用基板をはじめとした各種放熱材料や絶縁材料として利用範囲が益々広がっている。
このうち、特に高出力の半導体実装用基板の用途では、半導体を実装するために窒化アルミニウム焼結体に銅等の薄板を接合したり、実装基板を更に別のヒートシンク材(放熱フィンなどの金属部材)に接着するなど、窒化アルミニウム自身に種々の大きな応力が掛かる中で使用されることが多い。
そのため、かかる用途においては、これまでの高熱伝導性に加えて、従来よりさらに高い機械的強度や破壊靭性値を有する窒化アルミニウム焼結体が必要とされるようになった。
従来、窒化アルミニウム焼結体の破壊靭性を向上させるため、得られる窒化アルミニウム焼結体の結晶粒子の粒度分布を広くすることが提案されている。
例えば、粒度分布が異なる二種類の窒化アルミニウム粉末を原料として使用することによって焼結体の粒度分布を広げる方法(特許文献1、2及び3参照)が挙げられる。
しかしながら、上記方法によって得られる窒化アルミニウム焼結体は、高い破壊靱性を示すものの、曲げ強度、熱伝導率に関しては改善の余地があった。即ち、
上記窒化アルミニウム焼結体の製造方法には、平均粒径が0.5〜3μmの小さい窒化アルミニウム粉末と平均粒径が3〜15μmの大きい窒化アルミニウム粉末とを混合して使用されるが、平均粒径の大きい窒化アルミニウム粉末は、一般に、焼結性が劣る直接窒化法により得られた粉末が使用され、また、平均粒径の小さい窒化アルミニウム粉末は、焼結性の良い還元窒化法により得られた粉末が使用されていた。その理由は、還元窒化法による平均粒径が大きい窒化アルミニウム粉末は工業的に生産されていないことにあった。
そのため、前記方法によれば、焼結性の異なる二種類の窒化アルミニウム粉末を均一に焼成するためには、複雑なプロセスや精密な焼成温度の制御を必要とするばかりでなく、得られる窒化アルミニウム焼結体の物性は、破壊靱性値が3.0MPa・m1/2以上であっても、曲げ強度は400〜500MPa程度で、曲げ強度の更なる改良の余地が残されていた。
特開2001−2474号公報 特開2001−89247号公報 特開2002−220283号公報
したがって、本発明の目的は、高熱伝導率で、しかも曲げ強度と破壊靱性値とが共に高い窒化アルミニウム焼結体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記窒化アルミニウム焼結体を簡易な方法によって製造することが可能な製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行なってきた。その結果、焼結体を構成する窒化アルミニウム結晶粒子の粒度分布を特定のパターンに制御し、且つ、該焼結体の表層における粒界相の存在割合を特定の範囲以下に低減せしめることにより、得られる窒化アルミニウム焼結体の靭性を著しく改良することができると同時に、曲げ強度の向上をも併せて実現し得ることを見出し、本発明を提案するに至った。
即ち、本発明は、焼結助剤を含有する窒化アルミニウム焼結体であって、該焼結体を構成する窒化アルミニウム結晶粒子の粒径分布曲線における、累積値50%粒径が3μm以上、10μm未満であり、累積値90%粒径と累積値10%粒径との差が2.5〜6.0μmであり、且つ、窒化アルミニウム相と該粒界相とのX線回折強度比の測定値が内部におけるX線回折強度比の測定値に対して0.8以下である粒界相欠乏層が、表面から1〜100μmの厚みで存在することを特徴とする窒化アルミニウム焼結体である。
また、本発明は、上記窒化アルミニウム焼結体を得るために、還元窒化法によって得られた窒化アルミニウム粉末と焼結助剤よりなる特定の粒度の窒化アルミニウム組成物を焼成し、且つ、その表層に特定の助剤除去処理を施すことにより、前記窒化アルミニウム焼結体を簡易に得ることが可能であることを見出した。
即ち、本発明によれば、還元窒化法により得られた窒化アルミニウム粉末と焼結助剤からなる平均粒径が1〜3μmで、累積値90%粒径と累積値10%粒径の差が2.5〜6.0μmの窒化アルミニウム組成物を、非酸化雰囲気中で窒化硼素粉末と接触させた状態で、最適緻密化温度より10〜40℃高い温度で加熱処理することを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の製造方法が提供される。
尚、窒化アルミニウム焼結体の結晶粒について、累積値の結晶粒径は、粒度分布曲線において最小の粒子から累積した値である。本発明においては、焼結体の任意の断面の微構造を画像解析して求めた一つ一つの結晶粒子の粒径を面積の小さい方から累積して作成した粒度分布曲線に基づいてそれぞれの粒径を算出したものである。例えば、前記の窒化アルミニウム結晶粒子の各累積値の粒径は、粒度分布曲線より導かれる累積曲線において、それぞれ該当する割合に対応する結晶粒子の粒径を示す。
本発明において、粒界相とは、焼結助剤単独、焼結助剤同士が反応して生成した相、または焼結助剤と窒化アルミニウム中の不純物とが反応して生成した相で窒化アルミニウム相の結晶粒子粒界に存在する相のことを言う。例えば、焼結助剤が酸化イットリウムの場合、一般的に窒化アルミニウム原料粉末中に含まれる不純物酸素と反応して3Y・5Al(以下、YAGと称す)、Y・Al(以下、YALと称す)、2Y・Al(以下、YAMと称す)等からなる粒界相を形成する。
また、上記粒界相のXRD強度比は、測定部位に存在する窒化アルミニウム相のXRD強度をI(AlN)、測定部位に存在するすべての粒界相のXRD強度を合計した強度をI(粒界)とした場合、I(粒界)/I(AlN)で表わされる。
本発明の窒化アルミニウム焼結体は、前記のように、結晶粒径について特定の粒度分布を有すると共に、その表面に粒界相欠乏層を有することにより、優れた靭性と曲げ強度を示し、しかも、良好な熱伝導性を示す。また、その表層にθ−アルミナを付与することで、より機械的特性を向上することができる。
したがって、本発明により、高熱伝導性に加え、優れた機械的特性が付与され、窒化アルミニウムの工業材料としての用途をますます広げるものであり、その工業的価値は大である。
また、その製造方法も、還元窒化法で得られた窒化アルミニウム粉末を使用し、所定の粒度に調整した窒化アルミニウム組成物により、上記窒化アルミニウム焼結体を容易に製造することが可能である。
(窒化アルミニウム焼結体の結晶粒の粒度分布)
本発明の窒化アルミニウム焼結体の特徴の一つは、窒化アルミニウム結晶粒子が前記特定の粒度分布を有することにある。即ち、窒化アルミニウム焼結体の結晶粒子の粒度分布曲線において、累積値50%粒径が3μm以上10μm未満であって、且つ累積値90%粒径と累積値10%粒径の差が2.5〜6.0μmである。
上記結晶粒子の累積値50%粒径が10μm以上の場合、曲げ強度が低下し、後述の粒界相欠乏層を形成したとしても、十分な曲げ強度を達成することができない。また、上記累積値50%粒径が3μm未満の場合、十分な熱伝導率が得られない。窒化アルミニウム焼結体に十分高い曲げ強度を付与しようとする場合、累積値50%粒径は10μm未満、さらに8μm以下であることが好ましい。
また、窒化アルミニウム結晶粒子の累積値90%粒径と累積値10%粒径の差が2.5μm未満である狭い粒度分布を持った焼結体は、高い曲げ強度を得ることが可能であるが、高い破壊靭性値は得られない。これに対して、広い粒度分布を有し、粗大な結晶粒子と微細な結晶粒子が組み合わされた本発明の窒化アルミニウム焼結体は、破壊時に進行するクラックが、結晶粒子を迂回して粒界に沿って進行する部分と結晶粒子内を進行する部分と複雑に亀裂が進行し、破壊エネルギーが大きくなる為、より高い破壊靭性値が得られる。
ただし、窒化アルミニウム結晶粒子の粒度分布が広すぎると曲げ強度が低下するため、窒化アルミニウム結晶粒子の累積値90%粒径と累積値10%粒径の差は6.0μm以下、好ましくは5.5μm以下であることが好ましい。
(窒化アルミニウム焼結体の粒界相欠乏層)
本発明における窒化アルミニウム焼結体は、表面から1〜100μm、好ましくは、5〜60μmの範囲で粒界相の存在割合の小さい層である粒界相欠乏層を有することを特徴としている。即ち、粒界相のXRD強度比について、上記表層部が、焼結体内部の測定値に対して表面の測定値が0.8以下、好ましくは、0.1〜0.7である必要がある。
上記粒界相欠乏層の範囲が焼結体表面から100μmを超えて存在する場合、曲げ強度の向上が不十分となる為本発明の目的を達成することができない。
また、上記粒界相欠乏層のXRD強度比が内部のXRD強度比に対して0.8を超える場合には、粒界相欠乏層の存在による破壊靭性値と曲げ強度の向上が不十分となり、本発明の目的を達成することができない。一方、表層部の粒界相を完全に取り除くことは困難であり、下限は0.1程度である。
なお、本明細書において、上記焼結体内部のXRD強度比の測定値は、該XRD強度比が焼結体の厚み方向において最も高い部分の測定値であり、焼結体全体の厚みの約1/2の厚みにおける測定値を採用する。
本発明の窒化アルミニウム焼結体内部の粒界相の存在量は、0.20〜0.80重量%であることが好ましい。
本発明の窒化アルミニウム焼結体は、後述の製造方法に示すように、原料として還元窒化法によって得られる窒化アルミニウム粉末を使用して得られるものが特に好ましい。
そして、前記構成を満足し、また、還元窒化法によって得られる窒化アルミニウム粉末を使用して得られる窒化アルミニウム焼結体は、IF法による破壊靭性値が3MPa・m1/2以上、特に、3〜4MPa・m1/2、また、3点曲げ強度が500MPa以上、特に、500〜750MPa、更に、熱伝導率が170W/m・K以上、特に、170〜220W/m・Kである窒化アルミニウム焼結体を得ることが可能である。
上記の効果、特に強度面での高い効果が達成できる一つの要因として、焼結性に優れた、還元法による窒化アルミニウム粉末の使用により、より低温で焼成を行っても密度の高い窒化アルミニウム焼結体を得ることが可能であり、高温での焼成時に焼結助剤が表層に浸出することによる表面欠損が出来難くなることによるものと推定される。
(アルミナ層の形成)
更に、本発明の窒化アルミニウム焼結体は、該焼結体の表層にアルミナが存在しており、かつ、該アルミナがθ−アルミナで構成されていることが、曲げ強度を更に向上するために好ましい。
上記θ−アルミナの層は、99%以上、好ましくは99.9%以上がθ−アルミナで構成されていることが好ましく、また、その厚みは、0.01〜2.0μmの厚みであることが好ましい。即ち、θ−アルミナの層の厚みが、2.0μm超える場合は、曲げ強度が低下してθ−アルミナ層が剥離しやすくなるため好ましくない。また、0.01μm未満の場合は、曲げ強度の向上効果が低下する。 なお、本発明におけるθ−アルミナは、該焼結体表面の薄膜X線回析により同定することができる。また、上記θ−アルミナが存在している層の厚さは、該焼結体破断面の表面近傍の任意の5点をSEM観察し、それぞれのSEM写真で該酸化層の厚さを求め、その平均値で表すことができる。
本発明の窒化アルミニウム焼結体は、その用途に応じて任意の形状を採ることができる。具体的には、板状が一般的であるが、その他、円筒状、球状等の形状を採ることができる。
(窒化アルミニウム焼結体の製造方法)
本発明の窒化アルミニウム焼結体の製造方法は、特に制限されないが、工業的に有利に実施する方法として下記の方法が挙げられる。
即ち、還元窒化法により得られた窒化アルミニウム粉末と焼結助剤からなる平均粒径が1〜3μmで、累積値90%粒径と累積値10%粒径の差が2.5〜6.0μmの窒化アルミニウム組成物を、非酸化雰囲気中で窒化硼素粉末と接触させた状態で、最適緻密化温度より10〜40℃高い温度で加熱処理することを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の製造方法が提供される。
本発明の製造方法において、窒化アルミニウム粉末として還元窒化粉末を用いることが一つの特徴である。
ここで、還元窒化粉末とは、アルミナとカーボンの混合粉末を窒素やアンモニアガス等の還元雰囲気中、焼成して得られた窒化アルミニウム粉末をいい、高純度で耐酸化性に優れていることが特徴である。また、還元窒化粉末は、直接窒化粉末(原料に金属アルミニウム粉末を用い、窒素やアンモニアガス雰囲気中、窒化反応させて窒化アルミニウムを得、粉砕、分級処理した窒化アルミニウム粉末をいう)に比べて、焼結性に優れ、より低温での焼成が可能となり、しかも高純度である為、高熱伝導性の窒化アルミニウム焼結体が得られ易い。
従来、還元窒化法では、平均粒径が4μm未満の窒化アルミニウム粉末しか作れなかったが、原料アルミナを窒化する際の窒素流量や層厚等の窒化条件を厳密に調整することにより、平均粒径が4μm以上でしかも一次粒子径が0.4〜3.0μmの大きさの窒化アルミニウム粉末を工業的に製造することが可能となり、この点も本発明に好都合であるといえる。
即ち、平均粒径の大きいものから小さいものまで還元窒化法で作られた窒化アルミニウム粉末を使用することにより、その焼結性と広い粒径分布により、直接窒化法で作られた窒化アルミニウム粉末を使用する方法では達成できなかった高強度、高靭性の両特性を備えた焼結体の組織制御を容易に達成することが可能である。
本発明で用いられる窒化アルミニウム粉末は、平均粒径(本発明においては、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定した凝集粒子の平均粒径をいう。)の大きいものと小さいものの二種類以上を組み合わせて、或いは広い粒度分布のものを単独で使用することで、前記した広い粒度分布の窒化アルミニウム組成物を得ることができる。
例えば、粒度分布の異なる二種類の窒化アルミニウム粉末を組み合わせて使用する場合の粒度構成は、平均粒径4〜9μmの窒化アルミニウム粉末に対し、平均粒径0.8〜2μmの窒化アルミニウム粉末を80重量%以下の割合で使用する方法が例示される。
上記平均粒径が大きな窒化アルミニウム粉末は、平均粒径が4μm以上であればよいが、焼結性及び曲げ強度の向上の点から、9μm以下であることが好ましい。
一方、平均粒径が小さい窒化アルミニウム粉末は、平均粒径が2μm以下であればよいが、得られる窒化アルミニウム焼結体の熱伝導性向上の点から、0.8μm以上であることが好ましい。
また、平均粒径4μm以上の窒化アルミニウム粉末に対し、平均粒径2μm以下の窒化アルミニウム粉末の割合は、破壊靱性値向上の点から、70重量%以下であることが好ましい。
更に、前記窒化アルミニウム粉末は、熱伝導性に優れた窒化アルミニウム焼結体を得るために、酸素含有量や陽イオン不純物の少ないことが好ましい。即ち、AlNを窒化アルミニウム組成とするとき、不純物となる酸素含有量が1.5重量%以下、陽イオン不純物が0.3重量%以下である窒化アルミニウムが好適である。また、酸素含有量が0.4〜1.3重量%、陽イオン不純物が0.2重量%以下である窒化アルミニウム粉末がより好適である。
この場合、窒化アルミニウムは、アルミニウムと窒素の1:1の化合物であり、これ以外のものは不純物として扱う。但し、窒化アルミニウム粉末の表面は空気中で不可避的に酸化されて、Al−N結合がAl−O結合に置き換わっているが、この結合Alは陽イオン不純物とみなさない。
従って、Al−N、Al−Oの結合をしていない金属アルミニウムは陽イオン不純物である。
本発明の製造方法において、焼結助剤は焼結体中に粒界相を形成する。上記焼結助剤としては、公知のものが特に制限なく使用できるが、緻密でかつ高熱伝導率を有する焼結体を得ることを勘案すると、酸化イットリウムが最も好適である。勿論、酸化イットリウム以外の焼結助剤も使用可能であり、具体的に示せば、LaO、CeO、HoO、Yb、Gd、Nb、Sm、Dy等の希土類化合物、CaOやMgO、SrOなどのアルカリ土類化合物などの1種または2種以上の混合物を挙げることができる。
その添加量は、窒化アルミニウム粉末100重量部に対して1.0〜8.0重量%の範囲で用いてよい。
本発明の窒化アルミニウム焼結体の製造方法において、上記原料を所定の形状に成形するために結合剤が好適に使用される。かかる結合剤としては、一般にセラミックス粉末の成形に用いられる公知のものが何ら制限されずに使用できるが、熱重量分析法において、分解温度が1400℃以下であるものが好ましい。
本発明において好適に使用される結合剤をより具体的に示せば、例えば、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリ2−エチルヘキシルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリアクリレート、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンオキサイド及びポリプロピレンオキサイド等の含酸素有機高分子体;石油レジン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の炭化水素系合成樹脂; ポリ塩化ビニール;ワックス及びそのエマルジョン等の有機高分子が1種または2種以上混合して使用される。その中でも、上記含酸素有機重合体を結合体として使用すると、該窒化アルミニウム粉末との優れた化学親和性に基づき強固な結合力を発揮するので、特に好ましい。
また、結合剤として使用する上記有機高分子体の分子量は特に制限されないが、一般には3,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜300,000のものを用いると、高強度で柔軟性のあるグリーンシートを得ることが出来る。
前記の窒化アルミニウム粉末と結合剤との混合割合は、結合剤の種類や後述する有機溶媒の種類、また、成形体の厚み、大きさ及び積層等の用途によっても異なるが、窒化アルミニウム粉末100重量部に対して4〜30重量部であることが好ましい。上記範囲より少ない場合には、シート強度が低下するためシート成形時に成形体にクラックが発生し、また、上記範囲より多い場合には、グリーンシートの脱脂性等が低下し、これを焼成して得られる焼結体の物性が低下するため、好ましくない。良好なグリーンシートを得、焼結体を得るためには、窒化アルミニウム粉末100重量部に対して、5〜20重量部の添加がさらに好ましく採用される。
また、本発明の製造方法において、高熱伝導率を有する窒化アルミニウム焼結体を安定的に得るために、有機成分として前記結合剤と共に表面活性剤を使用することが好ましい。
上記表面活性剤は、公知のものが何ら制限されず用いることができる。その中でも、ノニオン系の表面活性剤が好適であり、具体的に例示すると、カルボキシル化トリオキシエチレントリデシルエーテル、ジグリセリンモノオレート、ジグリセリンモノステアレート、カルボキシル化ヘプタオキシエチレントリデシルエーテル、テトラグリセリンモノオレート、ヘキサグリセリンモノオレート、ポリオキシエチレンスルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、プロピレングリコールモノステアレート、グリセリンモノステアレート、グリセリントリステアレート、グリセリンモノオレート、グリセリントリオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノオレート等が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して使用してもよい。
上記の表面活性剤は、通常窒化アルミニウム100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.02〜3.0重量部の範囲から選択して使用される。表面活性剤が0.01重量部より少ない場合には有機結合剤と窒化アルミニウム粉末との分散が不十分となり、10重量部より多い場合は、グリーンシートの強度が低下するため好ましくない。
また、グリーンシートに柔軟性を付与する目的で必要に応じて可塑剤が使用される。可塑剤としては、一般のセラミックス粉末の成形に使用される公知のものを特に限定することなく使用することができる。好適に使用される可塑剤を具体的に例示すれば、ポリエチレングリコール及びその誘導体;ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ベンジルブチルフタレート及びジオクチルフタレート等のフタル酸エステル類;ブチルステアレート等のステアリン酸エステル類;トリクレゾールフォスフェート;トリ−N−ブチルフォスフェート;グリセリン等である。
これらの可塑剤の添加量は、窒化アルミニウム粉末の性状、結合剤の種類、溶媒の種類及び使用量等によって異なり一概に限定できないが、一般には窒化アルミニウム粉末100重量部に対して15重量部以下、好ましくは0.4〜15重量部の範囲から適宜選択して使用すればよい。
本発明において、窒化アルミニウムグリーンシートを得るためには、一般に、有機溶媒を使用して混合が行われる。好ましく用いられる有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソプロピルケトン等のケトン類;エタノール、プロパノール及びブタノール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;或いはトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、及びブロムクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類の1種または2種以上の混合物が挙げられる。有機溶媒の量は、20〜200重量部の範囲から選択される。
本発明において、上記窒化アルミニウム粉末と焼結助剤とよりなる原料を混合する方法としては、特に制限されないが、ボールミル混合機を用い、且つ特定の硬度のミルボールを使用することが好ましい。すなわち、混合時に使用するミルボール表面の材質の硬度が900kgf/mm(ビッカース硬度)以上、ミルボール全体の密度が3〜6.5g/cm、ミルボール径が5〜25mmの範囲にあることが好適である。
このような特性をもつミルボールについて、例示すると、セラミックス製の、具体的には、Al、ZrO、Si、SiAlON、AlN製のボールが挙げられる。その中で、特にアルミナ製のミルボールが本発明の窒化アルミニウム焼結体を得ることを勘案すると好ましい。
また、混合条件(ミルボールの充填率、回転数など)は、本発明の構成要件である所定の粒度の窒化アルミニウム組成物の粒度となるように使用するミルボールの硬度、密度、径に応じて適宜決定すればよい。
前記の各成分を混合して泥しょうと呼ばれる粘調なスラリーを作製する。その後、必要に応じてフィルターでろ過し、必要に応じて脱泡槽と呼ばれる装置で気泡の除去及び必要に応じて脱溶媒して所定の粘度に調整を行ない、ドクターブレード法等のシート成形機を用いてシート状に成形し、該シート状の成形物を、室温から溶媒の沸点の温度で乾燥する方法により、該窒化アルミニウム組成物を得ることができる。
こうして得られた窒化アルミニウム組成物は、公知の方法によって脱脂、焼成される。上記の脱脂は、一般に、酸素や空気などの酸化性ガス、或いは水素などの還元性ガス、アルゴンや窒素などの不活性ガス、二酸化炭素及びこれらの混合ガス或いは水蒸気を混合した加湿ガス雰囲気中で行われ、脱脂温度は、結合剤の種類や脱脂雰囲気によって、300〜1200℃の範囲から任意に選択される。また、脱脂時間は30分〜10時間の範囲で、結合剤の種類や脱脂雰囲気に応じて適宜選択すれば良い。本発明における窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率を達成するためには、脱脂雰囲気、温度、保持時間を調節して脱脂体の酸素濃度を3.0重量%以下、好ましくは0.9〜2.5重量%の範囲である。
本発明において、上記脱脂体の焼成温度は、一般に、1650℃〜1800℃の範囲から選択された温度にて焼結することにより、高い曲げ強度と破壊靱性値を兼ね備えた焼結体が得ることができる。また、焼成時の保持時間は特に限定されないが、通常30分〜40時間、更に好ましくは1〜30時間が好適である。
焼成温度が1650℃より低いと緻密な焼結体が得られないため、結果として得られる焼結体の曲げ強度や熱伝導率が低くなる。また、焼成温度が1800℃より高い場合、焼結体の粒成長の促進により焼結体の窒化アルミニウム結晶粒径が10μm以上となり、本発明の曲げ強度を有する焼結体が得られない。なお、上記非酸化性雰囲気としては、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、水素などのガス単独或いは混合ガスよりなる雰囲気または真空(または減圧)雰囲気が使用される。
本発明において該脱脂体を収容して焼成する際の焼成容器は、一般的に窒化アルミニウムの焼成に使われる公知の容器が使用できる。例えば、窒化アルミニウム製或いは窒化硼素製の密閉容器がある。
本発明において、窒化アルミニウム焼結体の表層に粒界相欠乏層を形成する方法は、窒化アルミニウム組成物を、非酸化性雰囲気中で窒化硼素粉末と接触させた状態で、最適緻密化温度より10〜40℃高い温度で加熱処理することができる方法であれば良く、窒化アルミニウム焼結時或いは焼結後に窒化硼素粉末を表面に存在せしめて上記熱処理を行なうことができる。
上記最適緻密化温度は、理論密度に対する相対密度が99%以上の焼結体を得ることのできる焼成温度をいう。
上記窒化硼素粉末については、特に限定されないが、焼結時に均一に接触するためには、平均粒径が10μm以下であることが好ましい。また、前記脱脂体或いは焼結体の表面に窒化硼素粉末を存在させる方法は何ら制限はないが、均一な厚みの助剤欠乏層を有する焼結体を得るためには、表面に均一に塗布することが好ましい。例えば、窒化硼素粉末を水またはアルコール等の有機溶媒に分散させスラリー状にしたものをスプレーあるいはロールコーターにより塗布する方法などがある。更に、窒化硼素粉末を塗布する量については特に制限はないが、0.1〜0.5mg/cmの範囲が表面に均一に塗布するのに好適である。
本発明の製造方法において、更に曲げ強度の高い窒化アルミニウム焼結体を得るためには、上記の窒化アルミニウム焼結体を水蒸気分圧が1.0kPa以下の酸素雰囲気下、800〜1000℃の温度で、0.5〜30時間処理することが好ましい。
上記酸素雰囲気の水蒸気分圧が1.0kPaより高い場合は、緻密で密着性の良いθ−アルミナが得られないため好ましくない。また、上記処理温度が800℃より低い場合は、θ−アルミナが形成されないため好ましくない。1000℃より高い場合は、形成したθ−アルミナがさらにα−アルミナに変態してしまうことにより、周囲の窒化アルミニウム結晶粒子による拘束力が低下して、曲げ強度の向上が小さくなり、さらに、窒化アルミニウム結晶粒子との密着性が悪くなるため好ましくない。
また上記処理時間が0.5時間より短い場合は、θ−アルミナの形成が不十分で、曲げ強度が改善されず好ましくない。一方、30時間より長くすると、θ−アルミナが存在する層が厚くなりすぎて、逆に窒化アルミニウム結晶粒子による拘束力が低下するため、曲げ強度の向上が小さくなり、さらに、窒化アルミニウム結晶粒子との密着性が悪くなるため好ましくない。
上記した条件の中でも、酸素雰囲気の水蒸気分圧が0.70kPa以下であることが、処理温度は830〜970℃であることが、処理時間は1〜20時間であることが、曲げ強度の信頼性を勘案すると、さらに好適である。また、上記処理の雰囲気は、大気中等の酸素雰囲気が好適に採用される。
さらに、上記処理による窒化アルミニウム焼結体の重量増加が、0.005〜0.080mg/cmの範囲にあることが、該焼結体の熱伝導率の低下をほとんど生じさせずして曲げ強度が処理前の1.1〜1.4倍にし好適である。
上記した処理雰囲気や温度、時間は、所定の厚みのθ−アルミナが得られればよく、処理する未処理窒化アルミニウム焼結体の表面粗さ等の表面状態に応じて、上記範囲内で適宜調節すればよい。
本発明の窒化アルミニウム焼結体は、そのままで、電子部品等の構造材料として使用することができるが、パワーモジュール等の金属接合基板、ファインパターン等のメタライズ面を有する回路基板等として使用することも可能である。
上記金属接合基板において、金属としては、銅、アルミニウム等が好適に使用でき、その厚みは、0.1〜1mm程度が一般的である。また、金属層の形成は、上記金属を活性金属ろう材法等の公知の方法により、窒化アルミニウム焼結体表面に接合することによって行なうことが可能である。
本発明をさらに具体的に説明するために、以下に実施例及び比較例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、以下の実施例及び比較例における各種の物性の測定は次の方法により行なった。
1)窒化アルミニウム粉末及び窒化アルミニウム組成物の粒度分布
LEED&NORTHRP製「MICROTRACII」を用いて、レーザー回折法により求めた。原料の窒化アルミニウム粉末は、水に分散させて測定した。窒化アルミニウム組成物の粒度分布は、ボールミル混合後のスラリーをエタノールに分散させて測定した。
2)焼結体相対密度
東洋精機製「高精度比重計D−H」を使用して、アルキメデス法により求めた焼結体密度と理論焼結体密度の相対値を相対密度とした。
3)破壊靭性値
JIS R1607に準じた方法により、(株)アカシ製ビッカース硬さ試験機AVK−COにて測定されたビッカース硬さからI.F.法により算出した。押し込み荷重49N。保持時間15秒。5サンプルの平均値を測定値とした。
4)曲げ強度
JIS R1601に準じて、クロスヘッド速度0.5mm/分、スパン30mmで3点曲げ強度測定を行なった。試験片の幅は4mmで平面研削して作製した。曲げ強度は、5サンプルの平均値を測定値とした。
5)熱伝導率
理学電気(株)製の熱定数測定装置PS−7を使用して、レーザーフラッシュ法により測定した。厚み補正は検量線により行なった。
6)窒化アルミニウム結晶粒径
焼結体微構造の写真から、画像解析システム(IP−1000PC、旭化成工業製)を使用して以下の方法により各粒径を求めた。
まず、評価する焼結体の任意の断面を鏡面に研磨し、窒化アルミニウム結晶粒子の粒成長が起こらない温度である1600〜1650℃で数分間熱処理した。この処理により、結晶粒界部分のみがエッチングされて、窒化アルミニウム結晶粒子及び粒界相結晶粒子の一つ一つが識別できる表面を得ることができる。
次いで、その表面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、なるべく平均的な組織であって、観察粒子200〜300個が一つの視野に入るような倍率で微構造の写真を得て、観察粒子数が1000〜2000個になるように複数枚の写真を用意した。微構造の写真では、窒化アルミニウム結晶粒子がグレーから濃灰色、粒界結晶粒子が白色で表されるので、これらの粒子の識別は容易に行なうことができる。
これらの微構造の写真を、画像解析システムを使って窒化アルミニウム結晶粒子の1000〜2000個の粒子の面積と円相当径を求めた。なお、窒化アルミニウム結晶粒子や粒界相結晶粒子はほぼ等軸状であり、粒径は円相当径であらわすことができる。
7)焼結体内部に対する焼結体表面の粒界相のXRD強度比の比
理学電気(株)製「RINT−1400」を用いて表面と内部のX線回折測定した。内部のサンプルは、試料厚みの約半分の厚みまで研削した面とした。
X線源:Cu−Kα 40kV−200mA
2θ走査範囲:10°〜70°
2θ走査速度:5°/分
2θ走査ステップ幅:0.02°
測定回数:1回/試料
得られた回折ピークは窒化アルミニウムに同定されるピークと焼結助剤から生成した1種あるいは数種類の粒界相に同定されるピークである。窒化アルミニウム相のXRD強度は(hkl)=(100)、(101)、(002)のピークの合計とし、また、各粒界相のXRD強度は、相対強度の比較的大きな2〜4つのピーク強度の合計とした。例えば、YAG相では(hkl)=(532)、(521)、(321)のピーク強度の合計、YAL相では(hkl)=(112)、(220)のピーク強度の合計、YAM相では(hkl)=(110)、(112)、(222)、(510)の強度の合計とし、すべての粒界相のXRD強度は、YAGとYALとYAMのピーク強度の合計とした。そこで、窒化アルミニウム相のXRD強度をI(AlN)、すべての粒界相のXRD強度をI(粒界)とした場合、粒界相の強度比はI(粒界)/I(AlN)で表わされ、さらに焼結体表面における粒界相のXRD強度比をI(表面)、内部における前記強度比をI(内部)とすると、粒界相のXRD強度比における焼結体内部に対する表面の比はI(表面)/I(内部)として表わされる。
8)粒界相欠乏層の厚みの求め方
焼結体表面から内部に向かって10μmずつ研削を行ない、その都度上記のXRD強度測定を行なう。上記のI(表面)/I(内部)が0.8を超えたところの研削厚みを粒界相欠乏層の厚みとした。
9)焼結体の表面酸化層の厚み測定
日本電子(株)製「JSM−5400」を用いて、焼結体破断面の任意の5ヶ所を倍率10000倍でSEM観察し、SEM写真からそれぞれの平均厚みを測定し、その平均値を厚み測定値とした。
10)焼結体の表面酸化層の同定
理学電気(株)製「RINT−1200」を用い、薄膜X線回析により、以下の条件で表面酸化層の同定を行なった。
X線源:Cu−Kα 40kV−50mA
2θ走査範囲:30°〜140°
2θ走査速度:1°/分
2θ走査ステップ幅:0.05°
θ固定角度:1°
発散スリット:0.2mm
高さ制限スリット:5mm
受光スリット:5mm
モノクロメータ:Graphaite(002)
モノクロメータ受光スリット:0.8mm
測定回数:2回/試料。
11)焼結体重量変化
熱処理前後の焼結体重量を電子天秤で測定した。熱処理後の焼結体重量から熱処理前の焼結体重量を減し、その重量差を焼結体表面積で除して単位面積あたりの焼結体重量変化を求めた。
実施例1
内容積が10Lのナイロン製ポットにビッカース硬さ1200でボール径10mmのアルミナ製ボールを見掛け充填率で40%入れ、次いで、表1に示す窒化アルミニウム粉末Aを70重量部、窒化アルミニウム粉末Bを30重量部、酸化イットリウムを5重量部、表面活性剤としてソルビタントリオレート2重量部、溶媒としてトルエン21重量部、エタノール12.25重量部、ブタノール1.75重量部を添加して、一回目のボールミル混合を16時間行なった後、この混合物に結合剤としてポリビニルブチラール8重量部、可塑剤としてジブチルフタレート3.5部、溶媒としてトルエン27重量部、エタノール15.75重量部、ブタノール2.25重量部を入れて二回目のボールミル混合を18時間行ない、白色の泥しょう(以下スラリーという)を得た。得られたスラリーは、目開き10μmのフィルターでろ過した後、脱溶媒し、粘度を20000〜30000cpsに調整した。その後、ドクターブレード法によりシート成形を行ない、室温で1時間、60℃で2時間、100℃で1時間乾燥して幅20cm、厚さ0.75mmのグリーンシートを作製した。さらに、打ち抜きプレス加工機により、□50.8mmのグリーン体に加工した。
このようにして得られたグリーン体に、平均粒径7μmの窒化硼素粉末を水に分散させたスラリーを乾燥状態で0.3mg/cmの量になるようにスプレー塗布し乾燥させた後、乾燥空気中で580℃の温度で4時間脱脂処理し、酸素濃度が2.10重量%の脱脂体を得た。その後、脱脂体を窒化硼素製の焼成容器にいれて、窒素雰囲気中で1750℃の温度(最適緻密化温度+20℃)で、4時間焼成した。得られた焼結体の密度、熱伝導率、曲げ強度、破壊靱性値、窒化アルミニウム結晶粒径、粒界相欠乏層の厚みを測定した。測定結果を表2に示した。
実施例2
窒化アルミニウム粉末Aと窒化アルミニウム粉末Bの混合比率を変更したこと以外は、実施例1と同様にして焼結体を得、評価を行なった。結果を表2に示した。
実施例3
ボールミルでの一回目の混合時間を10時間に変更したこと以外は実施例1と同様にして焼結体を得、評価を行なった。結果を表2に示した。
実施例4
焼成温度を1760℃(最適緻密化温度+30℃)に変更したこと以外は実施例1と同様にして焼結体を得、評価を行なった。結果を表2に示した。
実施例5
焼成温度を1740℃(最適緻密化温度+10℃)で50時間焼成したこと以外は実施例1と同様にして焼結体を得、評価を行なった。結果を表2に示した。
実施例6
窒素雰囲気中で最適緻密化温度の1730℃で4時間焼成した後、窒化硼素粉末を付着させたまま、再度、窒化硼素製の容器に入れ、窒素雰囲気中で1750℃(最適緻密化温度+20℃)で2時間加熱処理したこと以外は、実施例1と同様にして焼結体を得、評価を行なった。結果を表2に示した。
実施例7
実施例1の方法にて作製した焼結体を、水蒸気分圧0.61kPa(露点0℃)の大気中、950℃で15時間熱処理した。得られた熱処理後の焼結体の、曲げ強度、破壊靱性値、熱伝導率を測定した。また、焼結体表面酸化層を、薄膜X線回折で同定し、さらに破断面のSEM観察により、その厚みを測定した。
上記の結果を表3に示した。
実施例8〜10
熱処理温度及び時間を変更したこと以外は、実施例7と同様にして焼結体を得、評価を行なった。結果を表3に示した。
比較例1
窒化アルミニウム粉末Bを単独で100重量部投入したこと以外は、実施例1と同様にして焼結体を得、評価を行なった。結果を表2に示した。
比較例2
ボールミルでの一回目の混合時間を4時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして焼結体を得、評価を行なった。結果を表2に示した。
比較例3
直接窒化法で製造した窒化アルミニウム粉末Cを70重量部、還元窒化法で製造した窒化アルミニウム粉末Bを30重量部の割合で投入したこと以外は、実施例1と同様にして焼結体を得、評価を行なった。結果を表2に示した。
比較例6
焼成温度を1730℃(最適緻密化温度)で行なったこと以外は、実施例1と同様にして焼結体を得、評価を行なった。結果を表2に示した。
比較例7
焼成温度を1780℃(最適緻密化温度+50℃)で行なったこと以外は、実施例1と同様にして焼結体を得、評価を行なった。結果を表2に示した。
比較例8
焼成温度を1740℃(最適緻密化温度+10℃)で100時間焼成したこと以外は実施例5と同様にして焼結体を得、評価を行なった。結果を表2に示した。
比較例9
焼結体の熱処理温度と時間を1150℃、1時間に変更したこと以外は、実施例7と同様にして焼結体を得、評価を行なった。薄膜X線回折にて、表層がα−アルミナであることが確認された。結果を表3に示した。
比較例10
焼結体の熱処理時間を90時間に変更したこと以外は、実施例7と同様にして焼結体を得、評価を行なった。結果を表3に示した。
Figure 2005200287
Figure 2005200287
Figure 2005200287

Claims (5)

  1. 焼結助剤を含有する窒化アルミニウム焼結体であって、該焼結体を構成する窒化アルミニウム結晶粒子の粒径分布曲線における、累積値50%粒径が3μm以上、10μm未満であり、累積値90%粒径と累積値10%粒径との差が2.5〜6.0μmであり、且つ、窒化アルミニウム相と該粒界相とのX線回折強度比の測定値が内部におけるX線回折強度比の測定値に対して0.8以下である粒界相欠乏層が、表面から1〜100μmの厚みで存在することを特徴とする窒化アルミニウム焼結体。
  2. IF法による破壊靭性値が3MPa・m1/2以上、3点曲げ強度が500MPa以上、熱伝導率が170W/m・K以上であることを特徴とする請求項1記載の窒化アルミニウム焼結体。
  3. 粒界相欠乏層の表面がθ−アルミナで構成されていることを特徴とする請求項1記載の窒化アルミニウム焼結体。
  4. 還元窒化法により得られた窒化アルミニウム粉末と焼結助剤からなる平均粒径が1〜3μmで、累積値90%粒径と累積値10%粒径の差が2.5〜6.0μmの窒化アルミニウム組成物を、非酸化雰囲気中で窒化硼素粉末と接触させた状態で、最適緻密化温度より10〜40℃高い温度で加熱処理することを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  5. 請求項4に記載の製造方法で作られた窒化アルミニウム焼結体を、水蒸気分圧が1kPa以下の酸素雰囲気下、800〜1000℃の温度で0.5〜30時間加熱処理することを特徴とする窒化アルミニウム焼結体製造方法。

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