JP2003267784A - 窒化アルミニウム焼結体の製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム焼結体の製造方法

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JP2003267784A JP2002068089A JP2002068089A JP2003267784A JP 2003267784 A JP2003267784 A JP 2003267784A JP 2002068089 A JP2002068089 A JP 2002068089A JP 2002068089 A JP2002068089 A JP 2002068089A JP 2003267784 A JP2003267784 A JP 2003267784A
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Nobuyuki Yoshino
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱衝撃を与えたり、結晶粒の大きさと粒度分布
の制御を行わなくても、曲げ強度400MPa以上、熱
伝導率150W/m・k以上の窒化アルミニウム焼結体
を、歩留まりよく生産性を高めて製造する。 【解決手段】窒化アルミニウム粉末と、希土類化合物か
らなる焼結助剤と、アクリル系樹脂からなる有機バイン
ダーとを含む成形体をつくり、それを炭素残留分が2.
0%(質量%、以下同じ)となるように脱脂した後、1
500℃以上からの昇温速度を10℃/分以上として急
速加熱する。この場合において、成形体の窒化アルミニ
ウム粉末と焼結助剤の割合が、平均粒子径3μm以下、
酸素量2%以下の窒化アルミニウム粉末100部(質量
部、以下同じ)に対し、希土類化合物を酸化物換算で1
〜10部、アルミナ0.1〜5部であることが好まし
い。また、脱脂と焼成は連続して行うことが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化アルミニウム
焼結体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体搭載用セラミックス基板の
表面に、導電性を有する金属回路層をろう材で接合し、
更に金属回路層の所定位置に半導体素子を搭載した回路
基板が用いられている。回路基板が信頼高く動作するた
めには、半導体素子が発生する熱を放散し、半導体素子
の温度が過大とならないようにすることが肝要であり、
セラミックス基板材料には、電気絶縁性に加えて、優れ
た放熱特性を発現するように高熱伝導率が要求されてい
る。近年、回路基板の小型化、パワーモジュールの高出
力化が進む中、小型軽量化モジュールにおいては、窒化
アルミニウム基板が注目されている。
【0003】窒化アルミニウム基板となる窒化アルミニ
ウム焼結体は、例えば、窒化アルミニウム粉末と焼結助
剤と有機バインダーを含む成形体を、空気、窒素、不活
性ガス等の雰囲気下、350〜600℃に加熱して有機
バインダー成分を除去する脱脂工程、カーボンヒーター
等の抵抗発熱炉(バッチ炉)を用いて、窒素等の非酸化
性ガス雰囲気下、焼結温度1800〜2000℃で4〜
10時間保持する焼成工程、焼成炉の電源を切って放冷
する冷却工程を経由して製造されている。
【0004】窒化アルミニウムは、共有結合性が強く難
焼結性材料であるため、焼結助剤が用いられる。焼結助
剤としては、イットリア(Y23)等の希土類酸化物を
基本に、酸化カルシウム(CaO)等のアルカリ土類金
属酸化物等の種々の化合物が提案されている(例えば特
開昭60−127267号公報、特開昭61−1007
1号公報、特開昭60−71575号公報)。
【0005】焼結助剤の作用は、窒化アルミニウム粉末
に含まれる酸素と反応して液相を生成し、窒化アルミニ
ウム焼結体の緻密化を行うと共に、熱伝導性を阻害する
酸素やFe、Ca等の陽イオン金属成分を粒界相に固定
することによって高熱伝導化が行われる、と考えられて
いる。
【0006】たとえば、イットリア(Y23)は、窒化
アルミニウム粉末の酸素及び窒化アルミニウム粒子表面
のアルミナと反応して、イットリウム・アルミニウム・
ガーネット(3Y23・5Al23)、イットリア・ア
ルミナ化合物(Y23・Al 23)、イットリア・アル
ミナ・金属化合物(2Y23・Al23・Mxy)等の
複合酸化物を形成し、緻密化と高熱伝導化を促進する。
また、これらの複合酸化物は、焼成時は窒化アルミニウ
ム粒子の周囲に液相を生成するが、焼成後は窒化アルミ
ニウム結晶粒の粒界相にガラス質又は結晶質となって残
存し、窒化アルミニウム焼結体の構成成分となってい
る。
【0007】このように、焼結助剤特に希土類酸化物を
基本する焼結助剤の使用によって、窒化アルミニウム焼
結体は著しく緻密化し高熱伝導化を達成できたが、その
機械的特性、特に曲げ強度においてまだ不十分であっ
た。曲げ強度が小さいと、窒化アルミニウム基板面に設
けられた金属回路層に半導体素子を実装する際に破損し
たり、半導体素子の作動に伴う繰り返しの熱サイクルに
よって、金属回路層の接合部付近の窒化アルミニウム基
板にクラックが発生しやすくなり、耐熱サイクル特性及
び信頼性が高まらないという問題があった。とくに最近
では、パワーモジュール用セラミックス基板や半導体製
造装置用治具等においては、従来以上に厳しいヒートサ
イクル下における使用が多くなってきており、耐熱衝撃
性ひいては曲げ強度を向上させる必要が急務となってい
る。
【0008】そこで、窒化アルミニウム焼結体の機械的
強度を向上させるために、例えば特開平6−21984
9号公報には、窒化アルミニウム焼結体に熱衝撃を与え
る方法が、特開平7−172921号公報には、Si成
分、Al23等の添加により焼結体の結晶粒の大きさと
粒度分布を制御する方法などが提案されている。
【0009】しかしながら、上記熱衝撃を与える方法で
は、熱伝導率を害することなく曲げ強度を向上すること
ができるが、曲げ強度は400MPa以下であり、十分
な強度改善効果が得られていない。また、上記焼結体の
結晶粒の大きさと粒度分布を制御する方法では、微細な
窒化アルミニウム粉を原料に用いる必要があり、また焼
結体の1μm毎の粒度構成割合を厳密に制御しなければ
ならないため、生産性に問題があった。
【0010】一方、特開2000−3277号公報に
は、アクリル共重合体を有機バインダーとし、窒化アル
ミニウム焼結体の残留炭素量を極力少なくしてプラズマ
耐食性を向上させる発明が提案されている。しかし、こ
の公報には、脱脂工程で所定量の炭素を積極的に残し、
その後に焼成を行って、曲げ強度400MPa以上、熱
伝導率150W/m・k以上の窒化アルミニウム焼結体
を歩留まりよく生産性を高めて製造することについては
記載されていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
に鑑み、熱衝撃を与えたり、結晶粒の大きさと粒度分布
の制御を行わなくても、曲げ強度400MPa以上、熱
伝導率150W/m・k以上の窒化アルミニウム焼結体
を、歩留まりよく生産性を高めて製造する方法を提供す
ることである。本発明の目的は、アクリル系樹脂を有機
バインダーとする成形体を成形し、それを所定量の炭素
分を残留するよに脱脂した後、急速加熱することによっ
て達成することができる。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、窒
化アルミニウム粉末と、希土類化合物からなる焼結助剤
と、アクリル系樹脂からなる有機バインダーとを含む成
形体を、脱脂後焼成する工程を経由させて窒化アルミニ
ウム焼結体を製造する方法において、上記脱脂を、残留
炭素分が2.0%(質量%、以下同じ)以下(0を含ま
ず)となるように行い、また上記焼成を、1500℃以
上からの昇温速度を10℃/分以上にして1600〜1
900℃まで高め、この温度範囲内で保持して行うこと
を特徴とする窒化アルミニウム焼結体の製造方法であ
る。この場合において、成形体の窒化アルミニウム粉末
と焼結助剤の割合が、平均粒子径3μm以下、酸素量2
%以下の窒化アルミニウム粉末100部(質量部、以下
同じ)に対し、希土類化合物を酸化物換算で1〜10
部、アルミナ0.1〜5部であることが好ましい。ま
た、脱脂と焼成は連続して行うことが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳しく説明す
る。
【0014】本発明は、窒化アルミニウム粉末と、希土
類化合物からなる焼結助剤と、アクリル系樹脂からなる
有機バインダーとを含む成形体を、脱脂後焼成する工程
を経由させることを基本技術とし、脱脂と焼成の各条件
を適正化したところに大きな特徴がある。
【0015】本発明で使用される窒化アルニミウム粉末
は、直接窒化法、アルミナ還元法等公知の方法で製造さ
れた粉末で十分であるが、酸素含有量が2%以下、炭素
量1000ppm以下であることが好ましい。酸素含有
量が2%超であるか、炭素量1000ppm超である
と、窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率を150W/m
K以上にすることが困難となる。また、窒化アルミニウ
ム粉末の粒度は、平均粒子径で3μm以下、特に1μm
以下が好ましい。平均粒子径が3μmを超えると、焼結
密度が低下し、曲げ強度および熱伝導率に悪影響を及ぼ
す恐れがある。
【0016】希土類化合物からなる焼結助剤としては、
Y、La、Ce、Ho、Yb、Gd、Nb、Sm、Dy
等の希土類元素の酸化物、フッ化物、炭酸塩、水酸化
物、硝酸塩から選ばれた一種又は二種以上が使用され
る。希土類化合物はアルミナと併用されることが好まし
い。焼結助剤の粒度は、平均粒子径で10μm以下、特
に1μm以下であることが好ましい。平均粒子径が10
μmを超えると、焼結密度が低下し、曲げ強度及び熱伝
導率に悪影響を及ぼす場合がある。
【0017】焼結助剤の割合は、窒化アルミニウム粉末
100部に対して希土類化合物が酸化物換算で1〜10
部であることが好ましく、アルミナと併用する場合は、
アルミナ0.1〜5部であることが好ましい。希土類化
合物が酸化物換算で1部未満であると、焼結体の密度が
上がらず、曲げ強度や熱伝導率が向上しない恐れがあ
る。また、10部を超過すると、相対的に窒化アルミニ
ウム粉末の割合が少なくなるので、窒化アルミニウム焼
結体の熱伝導率を150W/mK以上にすることが困難
となる。アルミナが0.1部未満では更なる緻密化の向
上効果が少なく、逆に5部を超えると酸素量が多くな
り、焼結体の熱伝導率を阻害する恐れがある。窒化アル
ミニウム粉末と焼結助剤の混合には、ボールミル、ロッ
ドミル、ボールトンミルやミキサー等が使用される。
【0018】本発明において、アクリル系樹脂を有機バ
インダーとして用いる理由は、アクリル系樹脂は、窒素
雰囲気下の脱脂温度条件において、他の有機バインダー
よりも熱分解性が良く、残留炭素分の制御が容易に行う
ことができるからである。アクリル系樹脂としては、ポ
リメチルメタクリエート、ポリエチルメタクリエート、
ポリブチルメタクリエート等が使用できる。
【0019】アクリル系樹脂の割合は、窒化アルミニウ
ム粉末100部に対して0.5〜30部、特に1〜10
部であることが好ましい。0.5部より少ないと、十分
な成形体強度が得られず、容易に割れを生じる。また、
30部より多いと、脱脂処理に多大な時間がかかる上
に、脱脂体の強度が低くなる。
【0020】成形体は、窒化アルミニウム粉末、焼結助
剤、有機バインダー、必要に応じて可塑剤、分散剤等を
混合し、押出成形法、ドクターブレード法、プレス成形
法等により所望形状に成形することによって製造され
る。ドクターブレード法は、成形が容易であるが、有機
溶剤を乾燥除去する際に防爆設備が必要となり、またス
ラリーの特性上、1mm以上の厚いシートを成形するの
は困難となる。プレス成形法では、0.5mm以下の薄
物の成形が困難である。これに対し、押出成形は、シー
トの厚みの選択の自由度が大きく、また窒化アルミニウ
ム粉末をオレイン酸等の疎水基を有する有機化合物等で
前処理しておくことによって水系成形が可能となり、連
続化とコスト低減化を図ることができる。
【0021】本発明において、上記成形体は、残留炭素
分が2.0%以下(0を含まず)、好ましくは0.2〜
1.0%にまで脱脂されることが重要となる。具体的に
は、窒素ガス雰囲気中、温度350〜600℃で1〜2
0時間保持されて脱脂される。これによって、焼成時に
窒化アルミニウム粒子と液相化した焼結助剤との濡れ性
が著しく向上し、曲げ強度400MPa以上、熱伝導率
150W/m・k以上の窒化アルミニウム焼結体を歩留
まりよく生産性を高めて製造することが可能となる。残
留炭素分が2.0%を超えると、過剰のカーボンが焼結
性を阻害するため緻密な焼結体が得られなくなる。
【0022】この理由は定かでないが、以下のように考
えられる。すなわち、残留炭素分は焼成工程において、
Al23+3C+N2→2AlN+3CO、に従い、窒
化アルミニウムを生成する。この窒化アルミニウムは微
細な粒子であり、表面エネルギーが高く、液相との濡れ
性が良いので、残留炭素分を制御することにより、後述
するように、AlNの2粒子界面に存在する粒界相の量
が3重点に存在する量よりも多くなることに関係してい
る。
【0023】本発明においては、脱脂体は次いで焼成さ
れる。焼成は、窒素等の非酸化性ガス雰囲気下、160
0〜1900℃の温度で0.1〜10時間、好ましくは
0.5〜5時間保持して行われる。本発明で重要なこと
は、温度1500℃からの昇温速度を10℃/分以上の
急速加熱を行って所定の保持温度まで昇温することであ
る。この昇温速度は、従来法のバッチ炉を用いた典型例
の1〜2℃/分、どんなに速くても5℃/分程度であっ
たことと比較して特異的である。
【0024】本発明において、10℃/分以上の急速加
熱を行う理由は、次のとおりである。すなわち、焼結助
剤として、例えばイットリア(Y23)とアルミナ(A
23)を用いた場合、イットリアはアルミナ(添加ア
ルミナと窒化アルミニウム粒子表面に存在するアルミナ
の両方)と反応し、希土類アルミニウム酸化物を生成す
る。この場合の反応性は、窒化アルミニウム粒子表面に
存在するアルミナよりも添加アルミナの方が活性とな
る。このため、昇温速度が速くなるほど、イットリアは
添加アルミナと優先的に希土類アルミニウム酸化物を生
成するようになり、窒化アルミニウム粒子の表面にはア
ルミナ層が保たれる状態となる。1500℃以上の温度
では、希土類アルミニウム酸化物は液相を生成するが、
この液相は酸化物であるために窒化アルミニウム粒子表
面に存在するアルミナ層との濡れ性が向上し、3重点よ
りも2粒子界面により多くの粒界相が出現する、ことと
関係している。窒化アルミニウム粒子の表面にはアルミ
ナ層が存在しているため、アルミナと併用しなくても同
様の挙動が発現する。昇温速度の上限はなく、できるだ
け速いことが望ましい。
【0025】本発明においては、上記脱脂と焼成とを連
続して行うことによって生産性が更に高まる。しかも、
ワーク間の熱履歴に差が生じないために品質のばらつき
も小さくなる。具体的には、プッシャー、ベルト、ロー
ラー等により、成形体を入口から、脱脂ゾーン、焼成ゾ
ーン、冷却ゾーンへと連続的に搬送し、出口から焼結体
を取り出すことができる連続炉を用いることである。
【0026】以下、この連続炉を用いる方法について、
図面に基づき更に詳しく説明する。図1は、本発明で好
適に使用される連続炉の概念図、図2は、その概略正面
図である。
【0027】この例は、インナーボックス5とアウター
ボックス3を備えた多重箱を有し、PN2 in>PN2 out
なるように調節された連続炉の一端のインナーボックス
内に、成形体8を供給しつつ、脱脂・焼成・冷却の各工
程を連続して行わせ、他端から焼結体を取り出すもので
ある。ここで、PN2 inはインナーボックス内の非酸化性
ガス分圧であり、PN2 out はインナーボックスとアウタ
ーボックスとの間の非酸化性ガス分圧である。非酸化性
ガスとしては、窒素ガスが最適であるが、それ以外にも
ヘリウムガス、水素ガス、一酸化炭素ガス、あるいは窒
素ガスを含めこれらのガスの二種以上の混合ガスが用い
られる。
【0028】多重箱は、連続炉の炉壁1内に収容されて
いる。成形体と焼結体の搬送には、インナーボックス内
に設置されたプッシャー、ベルト、ローラー等によって
行われる。図には、プッシャー6の例が示されている。
成形体の搬入口と焼結体の取り出し口は、連続炉内の酸
素濃度が高まらないようにダンパー等の仕切りを設ける
ことが好ましい。脱脂ゾーン、焼成ゾーンの長さは、上
記条件で処理が行えるように決められている。
【0029】多重箱を構成するインナーボックス5とア
ウターボックス3の材質には、窒化硼素・窒化珪素等の
窒化物セラミックス、炭化ケイ素等の炭化物セラミック
ス、更には炭素質等が用いられる。カーボンガスの影響
を最小限にするため、インナーボックスの材質を相対密
度70%以上の窒化硼素とするのが好ましい。インナー
ボックスの大きさは処理量で決定され、アウターボック
スの大きさは、PN2 in>PN2 out の調整が容易に行える
ように決定される。具体的には、インナーボックスとア
ウターボックスとの間の容積が、インナーボックス容積
よりも大きいことが望ましく、特に2倍以上大きいこと
である。
【0030】炉壁1とヒーター2は、インナーボックス
の外側に位置するので、それらの材質はコスト的に優位
な炭素質が好適となる。ヒーター2は、インナーボック
スとアウターボックスの間に配置することが好ましく、
これによってインナーボックス内の均熱を高める利点が
ある。ヒーターのかわりに、高周波加熱、マイクロ波加
熱を加熱源として用いることができる。
【0031】PN2 in>PN2 out の調整は、例えば非酸化
性ガスを直接インナーボックス内のみに導入し、アウタ
ーボックスにはインナーマッフルを経由した非酸化性ガ
スのみが流れるようにガスの出入り口の形状や設置場所
を調整する方法、インナーボックス内に導入する非酸化
性ガス流量をアウターボックス内に導入するそれよりも
多くする方法等によって行うことができる。
【0032】成形体8は、セッター7の上に敷粉を介し
て複数個が段積みされる。セッターと敷粉には窒化硼素
質のものが好適に使用される。また、搬送時の振動やベ
ルトのがたつきによる成形体ずれ防止のために段積みさ
れた最上面にタングステン等の重しをのせることが好ま
しい。
【0033】本発明の製造方法によれば、窒化アルミニ
ウム焼結体の組織は、窒化アルミニウム粒子とその粒子
間を埋める粒界相からなるものであって、窒化アルミニ
ウム粒子の大きさは0.5〜20μmで、粒界相は希土
類アルミニウム酸化物を主体とし、しかもAlNの2粒
子界面に存在する粒界相の量が3重点に存在する量より
も多くなる。好ましくは、2粒子界面に存在する粒界相
の割合が60%以上、特に70%以上、更には80%以
上であり、3重点に存在する粒界相の割合が40%以
下、特に30%以下、更には20%以下にすることが可
能である。これによって、曲げ強度400MPa以上、
熱伝導率150W/m・k以上の窒化アルミニウム焼結
体となる。
【0034】ここで、希土類アルミニウム酸化物とは、
希土類元素をRとすると、RxAlyOz(x、y、z
>0)で表される化合物である。たとえば、希土類元素
がイットリウムである場合、Y4Al29、YAlO3
3Al512などの酸化物である。これらの酸化物は、
単一でも2種以上でもよいが、単一で粒界相を構成して
いることが好ましい。なぜならば、2種以上の酸化物で
粒界相が構成されていると、それぞれの熱膨張率の違い
や、溶解−析出の挙動の違いによって、残留応力が粒界
相に発生しやすく、高曲げ強度を有する窒化アルミニウ
ム焼結体とすることが困難となるからであり、しかも冷
却時に3重点に初晶が形成され、それを核として粒界相
が3重点に凝集遍析して高曲げ強度の発現を阻害するよ
うになる。これと同様な理由によって、粒界相は希土類
アルミニウム酸化物を主体とする、具体的には95%以
上(100%を含む)で構成されていることが好まし
い。残部成分は、原料の不純物等に由来するCa、Mg
等の不可避酸化物である。
【0035】希土類アルミニウム酸化物の定量は、アル
カリ溶解法(分析化学,Vol.37,No.12,p
p.1133−1137(1996)に準ずる)によっ
て窒化アルミニウム粒子を溶解し、未溶解物を105℃
−2時間乾燥した後、粉砕して粉末状にしたものをX線
回折法により各々のピーク強度比から求めることができ
る。
【0036】また、3重点とは、窒化アルミニウム焼結
体の研磨破面を走査型電子顕微鏡等で観察した際に窒化
アルミニウム3粒子間に挟まれてできる粒界相であり、
2粒子界面とは、相対する窒化アルミニウムの2粒子の
面と面の間に形成される粒界相を意味する。3重点と2
粒子界面における粒界相の存在比は、窒化アルミニウム
焼結体の破面を研磨した後、走査型電子顕微鏡等で観察
した像をもとに、それらの面積比によって求めることが
できる。
【0037】
【実施例】以下、実施例と比較例をあげて更に具体的に
本発明を説明する。
【0038】実施例1〜11 比較例1、2 窒化アルミニウム粉末100部に対し、希土類化合物
(平均粒径約1.0μm)、α−Al23(平均粒径
0.7μm)を表1に示す割合で配合してボールミルに
より混合した。さらに、有機系バインダーとしてアクリ
ル樹脂を表1に示す量を配合し、水10部を配合しミキ
サーにより混合した。ついで、スクリュー式成型機によ
り、シート(幅80mm、厚さ1.2mm)を成形し、
100℃で1時間乾燥した後、50×50mmの形状に
切り落として成形体を得、表面に離形剤として窒化硼素
粉末スラリーを塗布しながら、窒化硼素製セッターの上
に20枚段積みし、最上面にタングステン板を配置し
た。
【0039】ついで、この成形体の段積みされたものを
セッターごとプッシャー搬送式の連続炉の一端から供給
し、窒素雰囲気中、脱脂・焼成・冷却を行い、他端から
窒化アルミニウム焼結体を取り出した。このような処理
操作を連続的に行った。なお、上記連続炉は、アウター
ボックス3が炭素質、インナーボックス5が窒化硼素質
であり、両者の間に炭素製ヒーター2が設置されてい
る。窒素ガスは、非酸化性ガス導入管4を通してインナ
ーボックス内に直接流入されており、インナーボックス
に形成された所定の穴からアウターボックス内に流入
し、非酸化性ガス排出管から炉外に排出される構造とな
っている(図2参照)。PN2 inは0.105MPaであ
り、PN2 out は0.101MPaである。また、脱脂ゾ
ーンは350〜600℃を1時間かけて通過させ、焼成
ゾーンは1500〜1800℃を表1に示す昇温速度と
なるように通過させた。脱脂体の残留炭素量を、赤外線
吸収法を用いた炭素硫黄分析装置により測定し、表1に
示した。
【0040】比較例3 アクリル樹脂の代わりにセルロース系バインダー(信越
化学工業社製商品名「メトローズ60SH−400
0」)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして窒化
アルミニウム焼結体を製造した。
【0041】得られた窒化アルミニウム焼結体につい
て、密度、室温の3点曲げ強度及び熱伝導率を測定し、
測定数10点の平均値と、最大値、最小値を求めた。密
度は、アルキメデス法により測定した。曲げ強度は、窒
化アルミニウム焼結体から強度試験体(40×20×1
mm)を研削加工し、JIS R 1601に準じて室
温で測定した。熱伝導率は、円板試験体(直径10mm
×3mm)を作製し、レーザーフラッシュ法により測定
した。それらの結果を表2に示す。
【0042】また、2粒子界面における粒界相と3重点
における粒界相との存在比率を上記に従い、測定した。
その結果を表2に示す。なお、粒界相は、いずれもYA
lO 3、又はY3Al512を主体としていることをX線
回折によって確認した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】表1、2からわかるように、本発明の製造
方法によれば、熱伝導率150W/m・K、3点曲げ強
度が400MPa以上の窒化アルミニウム焼結体を、焼
結体間のばらつきを少なくして(歩留まりよく)、生産
性を高めて製造することができた。
【0046】
【発明の効果】本発明の窒化アルミニウム焼結体の製造
方法によれば、熱衝撃を与えたり、結晶粒の大きさと粒
度分布の制御を行わなくても、曲げ強度400MPa以
上、熱伝導率150W/m・k以上の窒化アルミニウム
焼結体を、歩留まりよく生産性を高めて製造することが
できる。
【0047】本発明で製造された窒化アルミニウム焼結
体は、厳しい使用条件で用いられる回路基板、例えばパ
ワーモジュール用の回路基板のセラミックス基板として
好適な材料である。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続炉の概念図
【図2】連続炉の一例を示す概略正面図
【符号の説明】
1 炉壁 2 ヒーター 3 アウターボックス 4 非酸化性ガス導入管 5 インナーボックス 6 プッシャー 7 セッター 8 成形体 9 非酸化性ガス排出管 PN2 in インナーボックス内の非酸化性ガス分圧 N2 out インナーボックスとアウターボックスとの間の
非酸化性ガス分圧
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉野 信行 福岡県大牟田市新開町1 電気化学工業株 式会社大牟田工場内 Fターム(参考) 4G001 BA03 BA08 BA36 BB03 BB08 BB36 BC34 BC51 BC52 BD23

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化アルミニウム粉末と、希土類化合物
    からなる焼結助剤と、アクリル系樹脂からなる有機バイ
    ンダーとを含む成形体を、脱脂後焼成する工程を経由さ
    せて窒化アルミニウム焼結体を製造する方法において、
    上記脱脂を、残留炭素分が2.0質量%以下(0を含ま
    ず)となるように行い、また上記焼成を、1500℃以
    上からの昇温速度を10℃/分以上にして1600〜1
    900℃まで高め、この温度範囲内で保持して行うこと
    を特徴とする窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】 成形体の窒化アルミニウム粉末と焼結助
    剤の割合が、平均粒子径3μm以下、酸素量2質量%以
    下の窒化アルミニウム粉末100質量部に対し、希土類
    化合物を酸化物換算で1〜10質量部、アルミナ0.1
    〜5質量部であることを特徴とする請求項1記載の窒化
    アルミニウム焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】 脱脂と焼成を連続して行うことを特徴と
    する請求項1又は2記載の窒化アルミニウム焼結体の製
    造方法。
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