JP3998252B2 - 窒化アルミニウム焼結体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法に関する。
従来、エレベーター、車両、ハイブリッドカー等といったパワーモジュール用途には、半導体搭載用セラミックス基板の表面に、導電性を有する金属回路層をろう材で接合し、更に金属回路層の所定の位置に半導体素子を搭載したセラミック回路基板が用いられている。近年、回路基板の小型化、パワーモジュールの高出力化が進む中、セラミックス基板材料には、電気絶縁性に加えて、優れた放熱特性を発現するように高熱伝導率が要求されており、熱伝導率が高い窒化アルミニウム基板が注目されている。
窒化アルミニウム基板となる窒化アルミニウム焼結体は、例えば、窒化アルミニウム粉末と焼結助剤と有機バインダーを含む成形体を、空気中又は窒素等の不活性ガス雰囲気中、
350〜600℃に加熱して有機バインダー成分を除去する脱脂工程、カーボンヒーター等の抵抗発熱炉(バッチ炉)を用いて、窒素等の非酸化性ガス雰囲気中、焼結温度1800〜2000℃で4〜10時間保持する焼成工程、焼成炉の電源を切って放冷する冷却工程を経由して製造されている。
窒化アルミニウムは、共有結合性が強く難焼結性材料であるため、窒化アルミニウム焼結体を作製する場合、通常、焼結助剤が用いられる。焼結助剤としては、イットリア(Y)等の希土類酸化物を基本に、酸化カルシウム(CaO)等のアルカリ土類金属酸化物等の種々の化合物が提案されている
特開昭60−127267号公報 特開昭61−10071号公報 特開昭60−71575号公報
焼結助剤の作用は、窒化アルミニウム粉末に含まれる酸素と反応して液相を生成し、窒化アルミニウム焼結体の緻密化を行うと共に、熱伝導性を阻害する酸素やFe、Ca等の陽イオン金属成分を粒界相に固定することによって高熱伝導化を可能にすると考えられている。
例えば、イットリア(Y)は、窒化アルミニウム粉末中の酸素及び窒化アルミニウム粒子表面のアルミナと反応して、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(3Y・5Al、YAGと略記)、イットリア・アルミナ化合物(Y・Al、YALと略記)、イットリア・アルミナ・金属化合物(2Y・Al・M、2YAと略記)等の複合酸化物を形成し、緻密化と高熱伝導化を促進する。又、これらの複合酸化物は、焼成時は窒化アルミニウム粒子の周囲に液相を生成するが、焼成後は窒化アルミニウム結晶粒の粒界相にガラス質又は結晶質となって残存し、窒化アルミニウム焼結体の構成成分となる。
このように、焼結助剤特に希土類酸化物を基本とする焼結助剤を使用することにより、窒化アルミニウム焼結体は著しく緻密化し高熱伝導化を達成できる。しかしながら、その機械的特性、特に曲げ強度は未だ不十分であり、曲げ強度の向上が求められている。曲げ強度が小さいと、窒化アルミニウム基板面に設けられた金属回路層に半導体素子を実装する際に破損したり、半導体素子の作動に伴う熱サイクルの繰り返しによって、金属回路層の接合部付近の窒化アルミニウム基板にクラックが発生し易くなり、耐熱サイクル特性及び信頼性が高まらないという課題がある。特に最近では、パワーモジュール用セラミックス基板や半導体製造装置用治具等においては、従来以上に厳しい熱サイクル下における使用が多くなってきており、耐熱衝撃性ひいては曲げ強度を向上させることが急務となっている。
そこで、窒化アルミニウム焼結体の機械的強度を向上させるために、窒化アルミニウム焼結体に熱衝撃を与える方法や、Si成分、Al等の添加により焼結体の結晶粒の大きさと粒度分布を制御する方法などが提案されている。
特開平6−219849号公報 特開平7−172921号公報
しかしながら、上記熱衝撃を与える方法では、熱伝導率を害することなく曲げ強度を向上することができるが、曲げ強度は400MPa以下であり、十分な強度改善効果が得られていない。また、上記焼結体の結晶粒の大きさと粒度分布を制御する方法では、微細な窒化アルミニウム粉を原料に用いる必要があり、また焼結体の1μm毎の粒度構成割合を厳密に制御しなければならないため、生産性に問題がある。
さらに、アクリル共重合体を有機バインダーとし、窒化アルミニウム焼結体の残留炭素量を極力少なくしてプラズマ耐食性を向上させる方法が提案されている。しかし、脱脂工程で所定の残存炭素量に調整し、その後の焼成で、曲げ強度400MPa以上、熱伝導率150W/m・k以上の窒化アルミニウム焼結体を生産性良く製造する方法についての記載はない。
特開2002−3277号公報
本発明の目的は、上記課題に鑑み、熱衝撃を与えたり、結晶粒の大きさと粒度分布の制御を行わなくても、曲げ強度400MPa以上、熱伝導率150W/m・k以上の窒化アルミニウム焼結体を、生産性良く製造することである。
即ち、本発明は、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、及びメタクリル酸からなる群より選ばれる一種又は二種以上を重合してなり、ガラス転移温度が−50〜0℃であるポリマーを含む有機バインダー、窒化アルミニウム粉末、希土類化合物からなる焼結助剤及びアルミナを含有してなる成形体に、加熱脱脂処理及び焼結処理を順次施して得られる窒化アルミニウム焼結体の製造において、加熱脱脂処理を、残留炭素分が2.0質量%以下となるよう窒素雰囲気中、温度350〜600℃で1〜20時間保持して行い、焼結処理を常圧下、非酸化性雰囲気中で、a)1500℃までの昇温速度を20℃/分以下、b)1500℃から1600〜1900℃までの昇温速度を10℃/分以上、c)1600〜1900℃での保持時間を3〜15時間、d)1000℃までの冷却速度を30℃/分以下、とすることを特徴とする残留炭素分の少ない窒化アルミニウム焼結体の製造方法であり、平均粒子径3μm以下、酸素含有量2質量%以下、炭素含有量1000ppm以下の窒化アルミニウム粉末100質量部に対し、焼結助剤として、イットリア、酸化テルビウム、酸化プラセオジム、酸化セリウムの群から選ばれる一種以上の希土類化合物を酸化物換算で1〜10質量部、平均粒子径1μm以下、純度99%以上のアルミナを0.1〜5質量部、有機バインダーを0.5〜30質量部添加することを特徴とする残留炭素分の少ない窒化アルミニウム焼結体の製造方法であり、脱脂と焼成を連続して行うことを特徴とする残留炭素分の少ない窒化アルミニウム焼結体の製造方法である。
本発明によれば、熱衝撃を与えたり、結晶粒の大きさと粒度分布の特殊な制御等の処理を行わなくても、曲げ強度400MPa以上、熱伝導率150W/m・k以上の窒化アルミニウム焼結体を、生産性良く製造すること可能である。本発明で製造された窒化アルミニウム焼結体は、厳しい使用条件で用いられる回路基板、例えばパワーモジュール用の回路基板に好適な材料である。
本発明は、窒化アルミニウム粉末、希土類化合物からなる焼結助剤、アルミナ及び特定のアクリル系樹脂からなる有機バインダーを含む成形体を、脱脂後焼成することを基本技術とする。
本発明で使用される窒化アルニミウム粉末は、直接窒化法、アルミナ還元法等公知の方法で製造された粉末が使用可能であるが、酸素含有量が2質量%以下、炭素含有量1000ppm以下であることが好ましい。酸素含有量が2質量%を超えるか、炭素含有量が1000ppmを超えると、窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率を150W/m・K以上にすることが困難となる。また、窒化アルミニウム粉末の粒度は、平均粒子径で3μm以下、特に1μm以下が好ましい。平均粒子径が3μmを超えると、焼結密度が低下し、曲げ強度および熱伝導率に悪影響を及ぼす恐れがある。
希土類化合物からなる焼結助剤としては、Y、Tb、Pr、La、Ce、Ho、Yb、Gd、Nb、Sm、Dy等の希土類元素の酸化物、フッ化物、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩の群から選ばれる一種又は二種以上が使用可能である。特に焼結助剤としてイットリア、酸化テルビウム、酸化プラセオジム、酸化セリウムの群から選ばれる少なくとも一種以上の希土類化合物を用いることが好ましい。焼結助剤の粒度は、平均粒子径で10μm以下、特に1μm以下であることが好ましい。平均粒子径が10μmを超えると、焼結密度が低下し、曲げ強度及び熱伝導率に悪影響を及ぼす場合がある。また、希土類化合物は平均粒径1μm以下、純度99%以上のアルミナと併用されることが好ましい。アルミナの平均粒子径が1μmを超えると、焼結密度が低下し、曲げ強度及び熱伝導率に悪影響を及ぼす場合がある。また、アルミナの純度が99%未満のものを用いると、不純物濃度の増加により熱伝導率が低下し、焼結密度の低下により曲げ強度が低下する恐れがある。
焼結助剤の添加割合は、窒化アルミニウム粉末100質量部に対して希土類化合物が酸化物換算で1〜10質量部であることが好ましく、アルミナは0.1〜5質量部であることが好ましい。希土類化合物が酸化物換算で1質量部未満であると、焼結体の密度が上がらず、曲げ強度や熱伝導率が向上しない恐れがある。一方、10質量部を超えると、窒化アルミニウム粉末の割合が少なくなるので、窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率を150W/m・K以上にすることが困難となる。また、アルミナが0.1質量部未満では更なる緻密化の向上効果が少なく、逆に5質量部を超えると酸素量が多くなり、焼結体の熱伝導率を低下させる恐れがある。窒化アルミニウム粉末と焼結助剤、アルミナの混合には、ボールミル、ロッドミル、ボールトンミルやミキサー等が使用可能である。
本発明では、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、及びメタクリル酸からなる群より選ばれた一種又は二種以上を重合してなるポリマーを含む有機バインダーを用いる。上記の有機バインダーを用いる理由は、窒素等の非酸化性雰囲気中での脱脂処理において、他の有機バインダーよりも熱分解性が良く、残留炭素分の制御が容易に行うことができるからである。又、上記ポリマーのガラス転移温度は、−50〜0℃であることが好ましい。ポリマーのガラス転移温度が−50℃より低いと、十分な成形体強度が得られず、成型が困難となる。また、ガラス転移温度が0℃より高いと成型体が硬く、脆いものとなり割れが発生しやすくなる。
有機バインダーの添加割合は、窒化アルミニウム粉末100質量部に対して0.5〜30質量部、特に1〜10質量部であることが好ましい。0.5質量部より少ないと、十分な成形体強度が得られず、割れを生じ易い。一方、30質量部を超えると、脱脂処理に多大な時間がかかる上に、脱脂体の強度が低くなる場合がある。
成形体は、窒化アルミニウム粉末、焼結助剤、アルミナ、有機バインダー、必要に応じて可塑剤、分散剤等を混合し、押出成形法、ドクターブレード法、プレス成形法等により、所望の形状に成形することによって得られる。ドクターブレード法は、成形が容易であるが、有機溶剤を乾燥除去する際に防爆設備が必要となり、またスラリーの特性上、1mm以上の厚いシートを成形するのは困難である。プレス成形法は、0.5mm以下の薄物の成形が困難である。これに対し、押出成形は、シートの厚みの選択の自由度が大きく、また窒化アルミニウム粉末をオレイン酸等の疎水基を有する有機化合物等で前処理しておくことによって水系成形が可能となり、連続化とコスト低減化を図ることができる。
本発明において、上記成形体の加熱脱脂処理後の残留炭素分は、2.0質量%以下が好ましく、0.2〜1.0質量%がより好ましい。加熱脱脂処理の条件としては、例えば、窒素ガス雰囲気中、温度350〜600℃で1〜20時間保持することが挙げられる。これにより、焼結処理の際、窒化アルミニウム粒子と液相化した焼結助剤との濡れ性が著しく向上し、曲げ強度400MPa以上、熱伝導率150W/m・k以上の窒化アルミニウム焼結体を生産性良く製造することが可能となる。残留炭素分が2.0質量%を超えると、過剰の炭素が焼結を阻害するため緻密な焼結体が得られなくなる場合がある。
この理由は定かでないが、以下のように考えられる。すなわち、残留炭素分は焼成工程において、(Al+3C+N2→2AlN+3CO)の反応で、窒化アルミニウムを生成する。この窒化アルミニウムは微細な粒子であり、表面エネルギーが高く、液相との濡れ性が良い。そのため、残留炭素分を制御することにより、窒化アルミニウム粒子の界面に存在する粒界相の量が、粒子間空隙に存在する量よりも多くなり、焼結体の緻密化に寄与するものと考えられる。
本発明において、脱脂体の焼結処理は、常圧下、窒素等の非酸化性ガス雰囲気中で、1500℃までの昇温速度を20℃/分以下、1500℃からの昇温速度を10℃/分以上として1600〜1900℃まで昇温し、3〜15時間保持した後、1000℃までの冷却速度を30℃/分以下とすることが好ましい。1500℃までの昇温速度は、焼結体のサイズに応じて、最適な脱脂条件となるよう調整するが、20℃/分以下が一般的である。本発明で重要なことは、温度1500℃からの昇温速度を10℃/分以上として急速加熱を行い、所定の保持温度まで昇温することである。因みに、従来法のバッチ炉を用いた典型的な例では昇温速度が1〜2℃/分であり、最大でも5℃/分程度が限度である。
本発明において、焼結温度1500℃以上から、10℃/分以上の急速加熱を行う理由は、次の通りである。焼結助剤として、例えばイットリア(Y)とアルミナ(Al)を用いた場合、イットリアはアルミナ(添加アルミナと窒化アルミニウム粒子表面に存在するアルミナの両方)と反応し、イットリウムアルミニウム酸化物を生成する。この場合、窒化アルミニウム粒子表面に存在するアルミナよりも添加アルミナの方が反応性が良いため、昇温速度が速くなるほど、イットリアは添加アルミナと優先的にイットリウムアルミニウム酸化物を生成するようになり、窒化アルミニウム粒子の表面にはアルミナ層が保持された状態となる。1500℃以上の温度で、イットリウムアルミニウム酸化物は液相を生成するが、この液相は酸化物であるために窒化アルミニウム粒子表面に存在するアルミナ層との濡れ性が良く、窒化アルミニウムの粒子間空隙よりも窒化アルミニウム粒子界面により多くの粒界相が生成するようになり、焼結体の密度が向上すると考えられる。昇温速度の上限はなく、できるだけ速いことが望ましい。
本発明において、上記脱脂処理と焼結処理を連続して行うことは、生産性が更に高まるとともに、品質のばらつきが少なくなり好ましい。具体的には、プッシャー、ベルト、ローラー等により、成形体を入口から、脱脂ゾーン、焼成ゾーン、冷却ゾーンへと連続的に搬送し、出口から焼結体を取り出すことができる連続炉を用いることが挙げられる。
以下、この連続炉を用いる方法について、図面に基づき更に詳しく説明する。図1は本発明に好適な連続炉の概念図、図2はその概略正面図である。
この例は、インナーボックス5とアウターボックス3を備えた多重箱を有し、Pgasin>Pgasout となるように調節された連続炉の一端のインナーボックス内に、成形体8を供給しつつ、脱脂・焼成・冷却の各工程を連続して行わせ、他端から焼結体を取り出すものである。ここで、Pgasinはインナーボックス内の非酸化性ガス分圧であり、Pgasout はインナーボックスとアウターボックスとの間の非酸化性ガス分圧である。非酸化性ガスとしては、窒素ガスが最適であるが、それ以外にもヘリウムガス、水素ガス、一酸化炭素ガス、あるいは窒素ガスを含めこれらのガスの二種以上の混合ガスの使用が可能である。
多重箱は、連続炉の炉壁1内に収容されている。成形体と焼結体の搬送には、インナーボックス内に設置されたプッシャー、ベルト、ローラー等によって行われる。図には、プッシャー6の例が示されている。成形体の搬入口と焼結体の取り出し口は、連続炉内の酸素濃度が高まらないようにダンパー等の仕切りを設けることが好ましい。脱脂ゾーン、焼成ゾーンの長さは、上記条件で処理が行えるように決められている。
多重箱を構成するインナーボックス5とアウターボックス3の材質には、窒化硼素・窒化珪素等の窒化物セラミックス、炭化ケイ素等の炭化物セラミックス、更には炭素質等が用いられる。カーボンガスの影響を最小限にするため、インナーボックスの材質を相対密度70%以上の窒化硼素とするのが好ましい。インナーボックスの大きさは処理量で決定され、アウターボックスの大きさは、Pgasin>Pgasout の調整が容易に行えるように決定される。具体的には、インナーボックスとアウターボックスとの間の容積が、インナーボックス容積よりも大きいことが好ましく、特に2倍以上大きいことがより好ましい。
炉壁1とヒーター2は、インナーボックスの外側に位置するので、それらの材質はコスト的に優位な炭素質が好適である。ヒーター2は、インナーボックスとアウターボックスの間に配置することが好ましく、これによってインナーボックス内の均熱を高める利点がある。ヒーターの替わりに、高周波加熱、マイクロ波加熱を加熱源として用いることも可能である。
Pgasin>Pgasout の調整は、例えば非酸化性ガスを直接インナーボックス内のみに導入し、アウターボックスにはインナーマッフルを経由した非酸化性ガスのみが流れるようにガスの出入り口の形状や設置場所を調整する方法、インナーボックス内に導入する非酸化性ガス流量をアウターボックス内に導入するそれよりも多くする方法等によって行うことができる。
成形体8は、セッター7の上に敷粉を介して複数個が段積みされる。セッターと敷粉には窒化硼素質のものが好適に使用される。また、搬送時の振動やベルトのがたつきによる成形体のずれ防止のため、段積みされた最上面にタングステン等の重しをのせることが好ましい。
本発明によれば、窒化アルミニウム焼結体の組織は、窒化アルミニウム粒子とその粒子間を埋める粒界相からなる。窒化アルミニウム粒子の大きさは0.5〜20μmで、粒界相は主に希土類アルミニウム酸化物からなり、窒化アルミニウム粒子界面に存在する粒界相の量が、粒子間空隙に存在する量よりも多くなる。窒化アルミニウム粒子界面に存在する粒界相の割合は、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。これによって、曲げ強度400MPa以上、熱伝導率150W/m・k以上の窒化アルミニウム焼結体が得られる。
ここで、希土類アルミニウム酸化物とは、希土類元素をRとすると、RxAlyOz(x、y、z>0)で表される化合物である。たとえば、希土類元素がイットリウムである場合、YAl、YAlO、YAl12などの酸化物である。これらの酸化物は、単一でも二種以上でもよいが、単一で粒界相を構成していることが好ましい。なぜならば、二種以上の酸化物で粒界相が構成されていると、それぞれの熱膨張率の違いや、溶解−析出の挙動の違いによって、残留応力が粒界相に発生し易く、高曲げ強度を有する窒化アルミニウム焼結体を得ることが困難となるからであり、しかも冷却時に粒子間空隙に初晶が形成され、それを核として粒界相が粒子間空隙に成長、凝集、偏析して高曲げ強度の発現を阻害するようになる。これと同様な理由により、粒界相は希土類アルミニウム酸化物95質量%以上であることが好ましく、不純物に由来する酸化物の存在は好ましくない。
希土類アルミニウム酸化物の定量は、例えば、アルカリ溶解法(分析化学,Vol.37,No.12,pp.1133−1137(1996)に準ずる)によって窒化アルミニウム粒子を溶解し、未溶解物を105℃−2時間乾燥した後、粉砕して粉末状にしたものをX線回折法により各々のピーク強度比から求めることができる。
粒子間空隙とは、窒化アルミニウム焼結体の研磨破面を走査型電子顕微鏡等で観察した際に窒化アルミニウム3粒子以上に挟まれている粒界相であり、粒子界面とは、相対する窒化アルミニウムの2粒子間に形成される粒界相である。粒子間空隙と粒子界面における粒界相の存在比率は、窒化アルミニウム焼結体の破面を研磨した後、走査型電子顕微鏡等で観察した画像をもとに、求めることができる。
図1、2に示す連続炉を用いて、窒化アルミニウム焼結体を作製した。
窒化アルミニウム粉末100質量部に対し、焼結助剤、アルミナを表1に示す割合で配合してボールミルにより混合した。さらに、有機系バインダーを表1に示す量配合し、水10質量部を配合しミキサーにより混合した。ついで、スクリュー式成型機により、シート(幅80mm、厚さ1.2mm)を成形し、100℃で1時間乾燥した後、50×50mmの形状に切り落として成形体を得、表面に離形剤として窒化硼素粉末スラリーを塗布して、窒化硼素製セッターの上に20枚段積みし、最上面にタングステン板を配置した。
次いで、この成形体の段積みされたものをセッターごとプッシャー搬送式の連続炉の一端から供給し、窒素雰囲気中、連続炉にて脱脂・焼成・冷却を行い、他端から窒化アルミニウム焼結体を取り出した。なお、上記連続炉は、アウターボックス3が炭素質、インナーボックス5が窒化硼素質であり、両者の間に炭素製ヒーター2が設置されている。窒素ガスは、非酸化性ガス導入管4を通してインナーボックス内に直接流入されており、インナーボックスに形成された所定の穴からアウターボックス内に流入し、非酸化性ガス排出管から炉外に排出される構造となっている(図2参照)。Pgasinは0.105MPaであり、Pgasout は0.101MPaである。
成形体の脱脂処理は、温度350〜600℃の温度勾配を持つ脱脂ゾーンを5時間で通過させ、焼結処理は、600〜1800℃の温度勾配を持つ焼成ゾーンを11時間で通過させた。なお、脱脂、焼成、冷却ゾーンの昇温速度及び冷却速度は、放射型温度計を用いて測定した。
脱脂体の残留炭素量、並びに、焼結体の相対密度、曲げ強度、熱伝導率、粒子界面と粒子間空隙における粒界相の存在比率、粒界相の種類及びクラック発生率の測定結果を表2に示す。
〈使用材料〉
窒化アルミニウム粉末:電気化学工業社製商品名「AP−10」、平均粒子径0.8μm、酸素含有量1.2%、炭素含有量600ppm
焼結助剤a:イットリア、阿南化成社製商品名「SY」、平均粒径1.0μm
焼結助剤b:酸化テルビウム、三徳金属社製、平均粒径1.0μm
焼結助剤c:酸化プラセオジム、三徳金属社製、平均粒径1.0μm
焼結助剤d:酸化セリウム、三井金属社製、平均粒径1.0μm
アルミナ:α−アルミナ、住友化学社製、平均粒子径0.7μm、純度99.5%
有機バインダーイ:アクリル樹脂。ユケン工業社製、主成分;アクリル酸2エチルヘキシル−メタクリル酸メチル共重合体、ガラス転移温度 −45℃。
有機バインダーロ:セルロース系バインダー。信越化学工業社製商品名「メトローズ60SH−4000」。
有機バインダーハ:アクリル樹脂。ユケン工業社製、主成分;アクリル酸エチル−メタクリル酸共重合体、ガラス転移温度 −5℃。
〈測定方法〉
脱脂体の残留炭素量:赤外線吸収法を用いる炭素硫黄分析装置により測定した。
相対密度:各条件で作成した焼結体を粉砕し粉末状にした後、アルキメデス法により測定した。
曲げ強度:窒化アルミニウム焼結体から強度試験体(40×20×1mm)を研削加工し、JIS R 1601に準じて室温で測定した。
熱伝導率:円板試験体(直径10mm×3mm)を作製し、レーザーフラッシュ法により測定した。
粒子界面と粒子間空隙における粒界相の存在比率:窒化アルミニウム焼結体の破面を研磨した後、走査型電子顕微鏡で2000倍にて観察した画像をもとに、画像解析装置用により求めた。
クラック発生率:目視によりサンプル200点中のクラック発生数(X)を求め、発生率= (X÷200)× 100 を求めた。
粒界相の種類:各条件で作成した焼結体を粉砕し粉末状にした後、X線回折法によって分析した。
Figure 0003998252
Figure 0003998252
連続炉の概念図 連続炉の一例を示す概略正面図
符号の説明
1 炉壁
2 ヒーター
3 アウターボックス
4a〜4d 非酸化性ガス導入管
5 インナーボックス
6 プッシャー
7 セッター
8 成形体
9a〜9d 非酸化性ガス排出管
Pgasin インナーボックス内の非酸化性ガス分圧
Pgasout インナーボックスとアウターボックスとの間の非酸化性ガス分圧

Claims (3)

  1. アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群より選ばれる一種又は二種以上を重合してなり、ガラス転移温度が−50〜0℃であるポリマーを含む有機バインダー、窒化アルミニウム粉末、希土類化合物からなる焼結助剤及びアルミナを含有してなる成形体に、加熱脱脂処理及び焼結処理を順次施して得られる窒化アルミニウム焼結体の製造において、加熱脱脂処理を、残留炭素分が2.0質量%以下となるよう窒素雰囲気中、温度350〜600℃で1〜20時間保持して行い、焼結処理を常圧下、非酸化性雰囲気中で、
    a)1500℃までの昇温速度を20℃/分以下、
    b)1500℃から1600〜1900℃までの昇温速度を10℃/分以上、
    c)1600〜1900℃での保持時間を3〜15時間、
    d)1000℃までの冷却速度を30℃/分以下とすることを特徴とする残留炭素分の少ない窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  2. 平均粒子径3μm以下、酸素含有量2質量%以下、炭素含有量1000ppm以下の窒化アルミニウム粉末100質量部に対し、焼結助剤として、イットリア、酸化テルビウム、酸化プラセオジム、酸化セリウムの群から選ばれる一種以上の希土類化合物を酸化物換算で1〜10質量部、平均粒子径1μm以下、純度99%以上のアルミナを0.1〜5質量部、有機バインダーを0.5〜30質量部添加することを特徴とする請求項1記載の残留炭素分の少ない窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  3. 脱脂と焼成を連続して行うことを特徴とする請求項又は記載の残留炭素分の少ない窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
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