JP7330416B2 - 窒化アルミニウム焼結板、回路基板、並びに、積層基板 - Google Patents

窒化アルミニウム焼結板、回路基板、並びに、積層基板 Download PDF

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Description

本開示は、窒化アルミニウム焼結体、及びその製造方法、回路基板、並びに、積層基板に関する。
近年、モーター等の産業機器、及び電気自動車等の製品には、大電力制御用のパワーモジュールが用いられている。このようなパワーモジュールには、半導体素子から発生する熱を効率的に拡散するとともに、漏れ電流を抑制するため、セラミック板を備える回路基板等が用いられている。このようなセラミック板に用いられるセラミック焼結体は、通常、セラミック原料粉末を所定形状に成形してセラミック成形体とした後に、セラミック成形体を焼結することで製造される。
セラミック焼結体としては、窒化物、炭化物、硼化物、又は珪化物等で構成されるものが知られている。このうち、窒化アルミニウム焼結体は、熱伝導性及び電気絶縁性に優れている。このため、パワーモジュール等の電子部品のヒートシンク部材として用いられている。これらの用途への適性を高めるため、特許文献1では、焼結助剤として酸化物換算で3~20質量部のZr,Tiの群から選択される窒化物を用いて、窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率と機械的強度を高くする技術が提案されている。
特開2018-184316号公報
パワーモジュール等の電子部品は、一層の高性能化が図られており、これに伴って、電子部品に用いられる各種製品の性能への要求レベルが益々高くなっていくと考えられる。一方で、窒化アルミニウム焼結体は、例えば、窒化ケイ素焼結体に比べて、含有成分による電気絶縁性の変動が大きい。このため、窒化アルミニウム焼結体の電気絶縁性を安定的に高めることが可能な技術が必要である。
本開示は、電気絶縁性を十分に高くすることが可能な窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法を提供することを目的とする。本開示はまた、上述の窒化アルミニウム焼結体を備えることによって優れた信頼性を発揮し得る基板を提供することを目的とする。
本開示の一側面は、複数の窒化アルミニウム粒子と、上記窒化アルミニウム粒子間に分散する焼結助剤粒子と、を有し、上記焼結助剤粒子が3Y・5Al及びY・Alを含み、上記3Y・5Alの含有量が上記窒化アルミニウム粒子の合計量を基準として、4.0質量%以下である、窒化アルミニウム焼結体を提供する。
上記窒化アルミニウム焼結体は、焼結助剤粒子が3Y・5Al及びY・Alを含み、且つ3Y・5Alの含有量が上記範囲内であることによって、優れた体積抵抗率を発揮し得る。当該窒化アルミニウム焼結体は、高い電気絶縁性を求められるような電子部品の製造に好適に使用できる。
上記Y・Alの含有量が上記窒化アルミニウム粒子の合計量を基準として、7.5質量%以下であってよい。
上記窒化アルミニウム焼結体は、一対の主面を有する板状であり、上記主面における上記焼結助剤粒子の面積が3.5面積%以下であってよい。
上記焼結助剤粒子の平均粒径が0.8μm超であってよい。
上記窒化アルミニウム焼結体は、一対の主面を有する板状であり、厚さ方向に水平な断面における上記焼結助剤粒子のうち粒子径が大きいものから数えて10個の粒子を粗大粒子とした場合に、上記粗大粒子の平均粒径が3.5μm以下であってよい。
上記窒化アルミニウム焼結体は、一対の主面を有する板状であり、厚さ方向に水平な断面において一辺が50μmの正方形の領域内を設定した際に、当該領域内に存在する上記助剤粒子の個数が130個未満であってよい。
本開示の一側面は、上述の窒化アルミニウム焼結体と、当該窒化アルミニウム焼結体に取り付けられている導体部と、を備える、回路基板を提供する。
本開示の一側面は、上述の窒化アルミニウム焼結体と、当該窒化アルミニウム焼結体に取り付けられている金属板と、を備える、積層基板を提供する。
本開示の一側面は、窒化アルミニウム及び焼結助剤を含む混合物で構成される成形体を焼成して焼結体を得る焼成工程と、焼成工程後に、上記焼結体を焼成温度から室温まで冷却する冷却工程と、を有し、上記焼結助剤は酸化イットリウム及び酸化アルミニウムを含有し、上記焼成工程は、1600~1750℃で1時間以上加熱することによって、上記成形体から第一焼成体を得る工程と、1800℃以上1900℃未満で1時間以上加熱することによって、上記第一焼成体から上記焼結体を得る工程と、を含み、上記焼成工程の焼成時間は12.0時間以下であり、上記冷却工程は、上記焼成温度から1000~1500℃の温度まで10.0℃/分以下の降温速度で冷却する第一工程と、1000~1500℃の温度から室温まで16.0℃/分以上の降温速度で冷却する第二工程と、を含む、窒化アルミニウム焼結体の製造方法を提供する。
上記窒化アルミニウム焼結体の製造方法は、上述のような焼成工程及び冷却工程を有することによって、3Y・5Alの含有量が所定値以下となるような窒化アルミニウム焼結体を製造することができる。
上記製造方法において、上記酸化イットリウムに対する上記酸化アルミニウムの質量比が0.5未満であってよい。上記酸化イットリウムに対する上記酸化アルミニウムの質量比を上記範囲内とすることで、得られる窒化アルミニウム焼結板の曲げ強さを向上させることができる。
本開示によれば、電気絶縁性を十分に高くすることが可能な窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法を提供できる。本開示によればまた、上述の窒化アルミニウム焼結体を備えることによって優れた信頼性を発揮し得る基板を提供できる。
図1は、窒化アルミニウム焼結体の一例を示す斜視図である。 図2は、積層基板の一例を示す斜視図である。 図3は、回路基板の一例を示す斜視図である。 図4は、従来法で調製した窒化アルミニウム焼結板中に観測される焼結助剤粒子の異形粒子を示すためのSEM画像である。
以下、場合によって図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本明細書において例示する材料は特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。組成物中の各成分の含有量は、組成物中の各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
窒化アルミニウム焼結体の一実施形態は、複数の窒化アルミニウム粒子と、上記窒化アルミニウム粒子間に分散する焼結助剤粒子と、を有する。図1は、窒化アルミニウム焼結体の一例を示す斜視図である。窒化アルミニウム焼結板100は、一対の主面を有する板状に成形された窒化アルミニウム焼結体を示しているが、その形状は、例えば、シート状であってよく、通常、直方体形状である。
窒化アルミニウム焼結体において窒化アルミニウムは主成分であるが、窒化アルミニウムの含有量は、熱伝導性を向上させる観点から、例えば、90.0質量%以上、93.0質量%以上、又は95.0質量%以上であってよい。
上記焼結助剤粒子とは、焼結助剤に由来する成分を含む粒子である。上記焼結助剤粒子は、構成元素としてイットリウム及びアルミニウムを有する複合酸化物である、3Y・5Al及びY・Alを含む。上記焼結助剤粒子は上記複合酸化物として、3Y・5Al及びY・Alに加えて、2Y・Alを含んでもよい。以下、本開示において、3Y・5Alを「YAG」、2Y・Alを「YAM」、及びY・Alを「YA」とそれぞれ称する場合もある。
窒化アルミニウム焼結体が使用される温度領域が1100℃以下である場合、窒化アルミニウム粒子よりも焼結助剤粒子の導電性が高いことが知られている。しかし、本発明者らの検討によって、焼結助剤粒子の中でも、更にYAGの導電性がYAM及びYAよりも高いことが見い出された。また熱力学的にはYAGの安定性がYAM及びYAよりも高いことが知られている。このため、従来の方法で窒化アルミニウム焼結体を調製した場合には窒化アルミニウム焼結体中のYAG量が増える傾向にあり、YAG量が増えた場合には、より低温域であってもYAGの液相が形成され、窒化アルミニウム粒子の粒子間に拡散できるため、導電性パスが形成されやすく、高レベルの絶縁性を発揮し得ない場合があった。しかし、本開示の窒化アルミニウム焼結体においては、少なくとも焼成条件を調整し、上記YAMの含有量を所定範囲内となるように調整することによって、電気絶縁性に優れるものとなっている。
窒化アルミニウム焼結体において、上記3Y・5Alの含有量(YAG量)は、上記窒化アルミニウム粒子の合計量を基準として、4.0質量%以下であるが、例えば、3.5質量%以下、3.0質量%以下、2.5質量%以下、2.0質量%以下、1.5質量%以下、又は1.0質量%以下であってよい。YAG量が上記範囲内であることによって、電気絶縁性に更に優れる窒化アルミニウム焼結体とすることができる。YAG量は小さく抑えることが好ましいが、上記窒化アルミニウム粒子の合計量を基準として、例えば、0.1質量%以上、又は0.2質量%以上となる傾向にある。上記窒化アルミニウム焼結体におけるYAG量は上述の範囲内で調整してよく、上記窒化アルミニウム粒子の合計量を基準として、例えば、0.1~4.0質量%であってよい。
窒化アルミニウム焼結体において、上記Y・Alの含有量(YA量)は、上記窒化アルミニウム粒子の合計量を基準として、例えば、7.5質量%以下、又は7.3質量%以下であってよい。
窒化アルミニウム焼結体において、上記2Y・Alの含有量(YAM量)は、上記窒化アルミニウム粒子の合計量を基準として、例えば、5.0質量%以下、又は4.8質量%以下であってよい。
焼結助剤粒子においてYAG量の割合が小さいことがより高い電気絶縁性を得るためには望ましい。YAG量は、YA及びYAMの合計の含有量に対して、例えば、0.50以下、0.40以下、0.30以下、0.20以下、0.10以下、又は0.05以下であってよい。
本開示における窒化アルミニウム量、YAG量、YA量及びYAM量は、窒化アルミニウム焼結板に対するリートベルト法に基づくX線回折によって測定される値を意味する。具体的には、窒化アルミニウム焼結体に対するX線回折の測定条件は、2θ/θスキャン(連続スキャン法、走査速度0.017°/0.03秒)、管電圧:45kV、管電流:360mA、X線源:CuKα(λ=1.5406Å)、試料台回転:あり、測定範囲:2θ=10~70°、スリット幅DS:0.5°、ソーラースリット:2.5°とする。上記測定によって得られるグラフに対して、ピーク解析ソフトを用いてリートベルト解析を行う。解析したグラフにおいて、角度:33.21°付近の(100)面を窒化アルミニウムの結晶ピークとし、角度:18.07°付近の(211)面をYAGの結晶ピークとし、角度:41.81°付近の(220)面をYAの結晶ピークとし、角度:18.86°付近の(220)面をYAMの結晶ピークとして、それぞれのピークから窒化アルミニウム、YAG、YA及びYAMの強度を決定する。決定されたYAG、YA及びYAMの強度のそれぞれについて窒化アルミニウムのピーク強度に対する比を取ることによってYAG量、YA量及びYAM量を決定する。なお、ピーク解析ソフトは、例えば、BRUKER社製の「TOPAS」(製品名)等を使用できる。
窒化アルミニウム焼結板100の主面100Aにおいても焼結助剤粒子が観察され得る。主面において観察される焼結助剤粒子は、窒化アルミニウム焼結板100の製造過程で主面から系外に抜け出ようとする焼結助剤の残留ともいえる。主面における焼結助剤粒子の観測量が多いと、窒化アルミニウム焼結板100の主面での絶縁性が低下し、窒化アルミニウム焼結板100の厚み方向への電気の流れを生じ得る。このため、窒化アルミニウム焼結板100の主面における焼結助剤粒子の割合は低減されることが望ましい。
窒化アルミニウム焼結板100の主面100Aにおける上記焼結助剤粒子の面積は、例えば、3.5面積%以下、3.0面積%以下、2.5面積%以下、2.0面積%以下、1.5面積%以下、又は1.0面積%以下であってよい。窒化アルミニウム焼結板100の主面100Aにおける上記焼結助剤粒子の面積の下限値は、例えば、0.1面積%以上であってよい。上記焼結助剤粒子の面積の下限値上記範囲内であると窒化アルミニウム焼結板100の主面近傍における窒化アルミニウム粒子の成長を十分なものとし、厚み方向に沿った組織分布をより均一化させることができる。窒化アルミニウム焼結板100の主面100Aにおける上記焼結助剤粒子の面積は上述の範囲内で調整してよく、例えば、0.1~3.5面積%であってよい。
窒化アルミニウム焼結板100の主面100Aにおける焼結助剤粒子の面積は、以下の方法で測定される値を意味する。まず、窒化アルミニウム焼結板100の主面の走査型電子顕微鏡画像(1000倍で観察)を取得する。取得した画像における任意の位置において1.2mm×1.2mmの領域を決定し、画像解析ソフトを用いて二値化(閾値:140)し、焼結助剤粒子の総面積を測定する。同画像において、上述と同様にして、5個の領域について焼結助剤粒子の総面積を決定し、その算術平均値を焼結助剤粒子の面積とする。画像解析ソフトは、例えば、GNU GPLの下で配布されている「GIMP2」(商品名)又は「imageJ」(商品名)等を使用できる。
窒化アルミニウム焼結板100における焼結助剤量は、電気絶縁性を向上させる観点から調整してよい。窒化アルミニウム焼結板100の厚さ方向に水平な断面における焼結助剤粒子の総量は、例えば、5.5面積%以下、4.5面積%以下、3.5面積%以下、又は3.0面積%以下であってよい。窒化アルミニウム焼結板100の厚さ方向に水平な断面における焼結助剤粒子の総量は、例えば、1.5面積%以上、又は2.0面積%以上であってよい。窒化アルミニウム焼結板100の厚さ方向に水平な断面における焼結助剤粒子の総量は上述の範囲内で調整してよく、例えば、1.5~5.5面積%であってよい。
本明細書における焼結助剤粒子の総量は、以下の方法で測定される値を意味する。まず、窒化アルミニウム焼結板100の厚み方向に水平な断面の走査型電子顕微鏡画像(2000倍で観察)を取得する。測定対象は窒化アルミニウム焼結板100の表層から50μmまでの領域(表面層)と、厚みの半分の位置から上下100μmまでの領域(中間層)とする。取得した中間層の画像における任意の位置において、50μm×50μmの領域を決定し、画像解析ソフトを用いて二値化(閾値:140)し、焼結助剤粒子の総面積を測定する。同画像において、上述と同様にして、5個の領域について焼結助剤粒子の総面積を決定し、その算術平均値を焼結助剤粒子の総量とする。なお、焼結助剤粒子の形状は通常一定でない。そこで、焼結助剤粒子の総量は、測定対象となる粒子の外接円を想定し、その面積を一粒子の面積とする。近接する粒子の外接円が重なる場合には重なり部分の面積は差し引くものとする。画像解析ソフトは、例えば、GNU GPLの下で配布されている「GIMP2」(商品名)又は「imageJ」(商品名)等を使用できる。
窒化アルミニウム焼結板100は、厚さ方向に水平な断面における焼結助剤粒子のうち粒子径が大きいものから数えて10個の粒子を粗大粒子とした場合に、上記粗大粒子の平均粒径が、例えば、3.5μm以下、3.0μm以下、又は2.5μm以下であってよい。上記粗大粒子の平均粒径の下限値は、例えば、1.0μm以上、又は1.5μm以上であってよい。なお、粗大粒子の平均粒径は測定対象の粗大粒子の粒径の算術平均値である。上記粗大粒子の平均粒径は上述の範囲内で調整してよく、例えば、1.0~3.5μmであってよい。
窒化アルミニウム焼結板100は、厚さ方向に水平な断面において一辺が50μmの正方形の領域内を設定した際に、当該領域内に存在する焼結助剤粒子の個数が130個未満、100個以下、95個以下、又は90個以下であってよい。上記領域内に存在する焼結助剤粒子の個数は、例えば、70個以上、又は80個以上であってよい。上記領域内に存在する焼結助剤粒子の個数は上述の範囲内で調整してよく、例えば、70個以上130個未満、又は70~100であってよい。
焼結助剤粒子の平均粒径(d50)は、例えば、0.8μm超、又は0.9μm以上であってよい。d50の下限値が上記範囲内であることによって、助剤の凝集又は粒界への進行による変形粒子の形成を抑制することによって、導電性パスの生成を抑制し、焼結体の絶縁特性をより向上することができる。焼結助剤粒子の平均粒径(d50)の上限値は、例えば、5.0μm以下、4.0μm以下、3.0以下、又は2.5μm以下であってよい。d50の上限値が上記範囲内であることによって、優れた絶縁性を発揮すると共に、緻密化及び高熱伝導化等の他の特性を維持することができる。d50は上述の範囲内で調整してよく、例えば、0.8μm超5.0μm以下、又は0.9~3.0μmであってよい。
焼結助剤粒子のd90は、例えば、5.0μm以下、4.5μm以下、4.0μm以下、3.5μm以下、3.0μm以下、又は2.5μm以下であってよい。焼結助剤粒子のd90は、例えば、1.0μm以上、又は1.5μm以上であってよい。d90の下限値が上記範囲内であることによって、熱伝導率等の低下を抑制することができる。d90は上述の範囲内で調整してよく、例えば、1.0~5.0μm、又は1.0~3.0μmであったよい。
窒化アルミニウム焼結板100において、焼結助剤粒子の粒子径がより均一であることが望ましく、d90-d50の値が小さいことが好ましい。d90-d50の値の上限値は、例えば、3.5μm未満、3.0μm以下、2.5μm以下、2.0μm以下、1.6μm以下、1.4μm以下、又は1.0μm以下であってよい。d90-d50の値の上限値が上記範囲内であることで焼結助剤粒子の存在形態及び分布をより均一化させることができ、それによって絶縁特性を更に向上させることができる。d90-d50の値の下限値は、例えば、0.1μm以上、又は0.5μm以上であってよい。d90-d50の値の下限値が上記範囲内であることで、窒化アルミニウム焼結板100の製造をより容易にすると共に、コストの上昇を抑制することができる。d90-d50の値は上述の範囲内で調整してよく、例えば、0.1μm以上3.5μm未満、又は0.1~3.0μmであってよい。
本明細書におけるd50(平均粒径)及びd90は、電子顕微鏡画像解析によって測定される粒子径の累積頻度分布曲線において、小粒径からの積算値が全体の50%及び90%に達した時の粒子径を意味し、以下の方法で測定される値である。まず、窒化アルミニウム焼結板100の厚み方向に水平な断面の走査型電子顕微鏡画像(2000倍で観察)を取得する。測定対象は窒化アルミニウム焼結板100の主面から厚み方向に50μmだけ掘り下げた位置とする。取得した画像における任意の位置において、50μm×50μmの領域を決定し、画像解析ソフトを用いて、焼結助剤粒子の粒度分布を作成する。上述のようにして得られた、電子顕微鏡画像解析によって測定される粒子径の累積頻度分布曲線における小粒子径側からの累積頻度が50%となる粒子径及び90%となる粒子径をそれぞれ決定する。同画像において、上述と同様にして、5個の領域について粒子径を決定し、その算術平均値をそれぞれ焼結助剤粒子のd50及びd90とする。なお、焼結助剤粒子の形状は通常一定でない。そこで、焼結助剤粒子の粒径は、測定対象となる粒子の外周の最も離れた二点の距離、すなわち外接円の円相当径とする。画像解析ソフトは、例えば、GNU GPLの下で配布されている「GIMP2」(商品名)又は「imageJ」(商品名)等を使用できる。
焼結助剤粒子は、窒化アルミニウム焼結板を製造する際に焼結助剤が溶融し窒化アルミニウム粒子の成長に伴い、窒化アルミニウムの粒子間に液相が徐々に分画され、後に冷却され固化することで生じたものである。したがって、窒化アルミニウム粒子の成長を含む製造時の系の状況に伴って焼結助剤粒子の形状は異なり得る。従来の方法で製造される窒化アルミニウム焼結板においては、窒化アルミニウム粒子間の粒界に広く溶融状態の焼結助剤が行きわたった状態で固化されることによって、異形の粒子や焼結助剤粒子が結合したような形状の変形粒子が生じ得る(例えば、図4に示すような形状の粒子Pが生じ得る)。このような形状の焼結助剤粒子が存在する場合、当該焼結助剤が電流の通り道となり得るため絶縁性が低下し得る。換言すれば、焼結助剤粒子は、周囲を窒化アルミニウム粒子によって囲まれており、焼結助剤粒子間が隔離された状況であることがより好ましい。
窒化アルミニウム焼結板100の厚み方向に水平な断面において観察される変形粒子の数は、例えば、25個以下、20個以下、10個以下、又は5個以下であってよく、0個(観測されない)であってもよい。
窒化アルミニウム焼結板100の厚み方向に水平な断面において観察される変形粒子の個数の焼結助剤粒子の個数に対する割合は、例えば、20%以下、15%以下、10%以下、又は5%以下であってよく、0%(変形粒子がない)であってもよい。
窒化アルミニウム焼結板100の厚み方向に水平な断面において観察される変形粒子の面積は、例えば、50面積%以下、40面積%以下、30面積%以下、20面積%以下、又は10面積%以下であってよく、0面積%(変形粒子がない)であってもよい。
本明細書における変形粒子の個数及び面積は、上述の焼結助剤粒子の総量と同様の方法によって測定される。なお、変形粒子の個数及び面積は、窒化アルミニウム焼結板の中間層において測定するものとする。
窒化アルミニウム焼結板100の125℃における体積抵抗率は、例えば、2.50×1011Ω・cm以上、5.00×1011Ω・cm以上、2.00×1012Ω・cm以上、3.00×1012Ω・cm以上、5.00×1012Ω・cm以上、又は8.00×1012Ω・cm以上とすることができる。
体積抵抗率は、JIS C 2139:2008「固体電気絶縁材料-体積抵抗率及び表面抵抗率の測定方法」の記載に準拠して測定される値である。具体的には、実施例に記載の方法で測定できる。なお、測定装置は、例えば、三菱ケミカルアナリテック製のハイレスタUXMCP-HT800(商品名)等を用いることができる。測定温度は、125±1℃としてよい。
上述の窒化アルミニウム焼結体は、例えば、以下のような方法によって製造することができる。窒化アルミニウム焼結体の製造方法の一実施形態は、窒化アルミニウム及び焼結助剤を含む混合物で構成される成形体を焼成して焼結体を得る焼成工程と、焼成工程後に、上記焼結体を焼成温度から室温まで冷却する冷却工程と、を有する。
まず、原料を準備する。原料としては、例えば、窒化アルミニウム、焼結助剤、及び、必要に応じて添加剤を用いる。添加剤としては、バインダー、可塑剤、分散媒、及び離型剤等が挙げられる。バインダーとしては、例えば、可塑性又は界面活性効果を有するメチルセルロース系のもの、熱分解性に優れたアクリル酸エステル系のものが挙げられる。可塑剤としては、例えばグリセリンが挙げられる。分散媒としては、イオン交換水及びエタノール等が挙げられる。
窒化アルミニウムは、特に限定されるものではなく、金属アルミニウムを窒素雰囲気下で窒化する直接窒化法、及び、酸化アルミニウムをカーボンで還元する還元窒化法等、公知の方法で製造された窒化アルミニウム粉末を使用できる。
上記焼結助剤は酸化イットリウム及び酸化アルミニウムを含有する。焼結助剤は粒状物であってよい。例えば、酸化イットリウムに対する酸化アルミニウムの質量比(酸化アルミニウムの含有量/酸化イットリウムの含有量の値)は、例えば、0.5未満であってよい。これによって、窒化アルミニウム焼結板における酸化物の凝集を抑制することができる。酸化イットリウム及び酸化アルミニウムの配合割合は上述の範囲内で調整することができ、これによって窒化アルミニウム焼結体における酸化物の組成を調整することもできる。酸化アルミニウム及び酸化イットリウムは、焼結の際に、複合酸化物の液相を形成して焼結を促進する。これによって、窒化アルミニウム焼結体が十分に緻密化させることができる。
上記焼結助剤の含有量は、窒化アルミニウム100質量部に対して、例えば、1~10.0質量部であってよい。焼結助剤の含有量を上記範囲内とすることで、得られる窒化アルミニウム焼結体の密度を向上させ、曲げ強さをより向上させることができる。焼結助剤の含有量を上記範囲内とすることでまた、得られる窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率を向上させることができる。上記焼結助剤の含有量は焼結助剤の酸化物換算量で計算した値である。
また、酸化アルミニウムの含有量は、窒化アルミニウム100質量部に対して、例えば、0.1~5.0質量部であってよい。酸化アルミニウムの含有量を0.1質量部以上とすることで、得られる焼結体の密度をより向上させることができる。また酸化アルミニウムの含有量を5.0質量部以下とすることで、窒化アルミニウムの相対的な含有割合を増加させることができ、得られる焼結体の熱伝導率の低下をより抑制することができる。
窒化アルミニウム、焼結助剤及び必要に応じて添加される添加剤は、配合して混合し、成形原料として用いてよい。成形原料をドクターブレード法等の公知の方法によって例えばシート状に成形してよい。得られた成形体の脱脂を行ってもよい。脱脂方法は特に限定されず、例えば、成形体を空気中又は窒素等の非酸化雰囲気中で300~700℃に加熱して行ってよい。加熱時間は、例えば1~10時間であってよい。
窒化アルミニウム焼結体は、上述の成形体を焼成して得ることができる。焼成の工程(以下、焼成工程ともいう)は、不活性ガス雰囲気中で行ってよい。不活性ガスとしては、例えば、窒素であってよい。焼成工程は、大気圧下で行ってもよい。
上記焼成工程は、1600~1750℃で1時間以上加熱することによって、上記成形体から第一焼成体を得る工程(以下、第一焼成工程ともいう)と、1800℃以上1900℃未満で1時間以上加熱することによって、上記第一焼成体から上記焼結体を得る工程(以下、第二焼成工程ともいう)と、を含む。
を含む。
焼成工程の焼成時間(保持時間)の合計は、12.0時間以下であるが、例えば、10.0時間以下、8.0時間以下、7.0時間以下、5.0時間以下、又は4.0時間以下であってよい。焼成時間の合計を上記範囲内とすることによって、上記成形体又は窒化アルミニウム焼結体の表層における焼結助剤が成形体又は窒化アルミニウム焼結板の主面上に染み出し、焼結助剤粒子が形成されることを低減することができ。上記焼成工程の焼成時間の合計は、例えば、1.0時間以上、2.0時間以上、3.0時間以上、又は4.0時間以上であってよい。焼成時間の合計を上記範囲内とすることによって、焼結助剤を溶融させ、窒化アルミニウムの粒子の溶解を十分なものとし、より均一な環境で窒化アルミニウムの粒子を再成長させることができ、一層均一な粒度分布を有する窒化アルミニウム焼結体を調製できる。上記焼成工程の焼成時間は上述の範囲内で調整でき、例えば、1.0~12.0時間、1.0~10.0時間、又は1.0~4.0時間であってよい。また、第一焼成工程及び第二焼成工程における焼成時間(保持時間)は、いずれも2.0時間以上であることが好ましい。
第一焼成工程の保持温度(1600~1750℃)までの昇温速度は、例えば、10~30℃/分が好ましい。第一焼成工程の保持温度(1600~1750℃)から第二焼成工程の保持温度(1800℃以上1900℃未満)までの昇温速度は、例えば、1~10℃/分が好ましい。
冷却工程は、上記焼成温度(第二焼成工程の保持温度)から、室温まで冷却する冷却工程を有する。上記冷却工程は、上記焼成温度から1000~1500℃の温度(冷却温度)まで10.0℃/分以下の降温速度で冷却する第一工程(以下、第一冷却工程ともいう)と、1000~1500℃の温度(冷却温度)から室温まで16.0℃/分以上の降温速度で冷却する第二工程(以下、第二冷却工程ともいう)と、を含む。
第一工程では焼結板を緩やかに冷却することが好ましい。第一工程の降温速度の上限値は、例えば、5.0℃/分以下であってよい。第一工程の降温速度の下限値は、例えば、1.0℃/分以上であってよい。第一工程の降温速度は上述の範囲内で調整してよく、例えば、1.0~5.0℃/分であってよい。
第二工程では室温(例えば、25℃の冷却温度)まで急冷してもよい。第二工程の降温速度の下限値は、例えば、16.0℃/分以上、18.0℃/分以上、又は20.0℃/分以上であってよい。第二工程の降温速度の上限値は、例えば、30.0℃/分以下であってよい。なお、第二工程の降温速度は第一工程の降温速度より大きくする。第二工程の降温速度は上述の範囲内で調整してよく、例えば、16.0~30.0℃/分であってよい。
上述の製造方法によって得られた窒化アルミニウム焼結体は、必要に応じて所望の形状に加工してもよい。窒化アルミニウム焼結体は、例えば、一対の主面を有する板状に加工され、窒化アルミニウム焼結板とされてもよい。窒化アルミニウム焼結体に金属回路又は金属板等の金属部を取り付けて基板としてもよい。基板は、例えば、窒化アルミニウム焼結板の主面と銅板等の金属板の主面とを接合した積層基板であってよい。また、金属板の一部をエッチング等によって除去して導体部となる回路パターンが形成された回路基板であってもよい。このように、本開示の基板は、積層基板であってよく、回路基板であってもよい。
積層基板の一実施形態は、上述の窒化アルミニウム焼結板と、当該窒化アルミニウム焼結板に取り付けられている金属板と、を備える。図2は、積層基板の一例を示す斜視図である。積層基板200は、互いに対向するように配置された一対の金属板110と、一対の金属板110の間に窒化アルミニウム焼結板100と、を備える。金属板110としては、例えば、銅板等が挙げられる。窒化アルミニウム焼結板100と、金属板110の形状及びサイズは同じであってもよいし、異なっていてもよい。金属板110と窒化アルミニウム焼結板100は、例えば、ろう材によって接合されていてもよい。一対の金属板110の一方を放熱材とし、他方を回路パターンに加工してもよい。回路パターンは、レジストを用いて金属板110をエッチングして形成してもよい。これによって、漏れ電流等を十分に抑制することが可能な回路基板を形成したり、放熱基板を形成したりすることができる。
回路基板の一実施形態は、上述の窒化アルミニウム焼結板と、当該窒化アルミニウム焼結板に取り付けられている導体部と、を備える。図3は、回路基板の一例を示す斜視図である。回路基板300は、窒化アルミニウム焼結板100と、複数の導体部20と、金属板110と、を備える。導体部20は、窒化アルミニウム焼結板100の一方の主面100A上に設けられ、金属板110は、窒化アルミニウム焼結板100の他方面に設けられる。回路基板300をパワーモジュールに用いた場合に、金属板110は、放熱材として機能してもよい。
積層基板200及び回路基板300における窒化アルミニウム焼結板100は、電気絶縁性及び熱伝導性に優れる窒化アルミニウム焼結板で構成される。このため、パワーモジュール等の種々の製品に用いたときに優れた信頼性を有する。
以上、本開示の幾つかの実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、本開示の基板の形状及び構造は、図2及び図3のものに限定されない。例えば、窒化アルミニウム焼結板100の両方の主面に、回路パターンが形成されていてもよい。また、導体部20は、金属板110をエッチングして形成することに代えて、金属粉末を溶射し熱処理することによって形成してもよい。また、上述した実施形態についての説明内容は、互いに適用することができる。
以下、本開示について、実施例及び比較例を用いてより詳細に説明する。なお、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(窒化アルミニウム焼結体の作製)
窒化アルミニウム(AlN)の粉末100質量部に対して、焼結助剤として酸化イットリウム(Y)の粉末6.1質量部、及びα-酸化アルミニウム(Al)0.8質量部を配合し、ボールミルを用いて混合して混合粉末を得た。混合粉末100質量部に対し、セルロースエーテル系バインダー(信越化学工業株式会社製、商品名:メトローズ)を6質量部、グリセリン(花王株式会社製、商品名:エキセパール)を5質量部、及びイオン交換水を10質量部添加して、ヘンシェルミキサーを用いて1分間混合し、成形原料を得た。この成形原料を、スクリュー式押出成型機によって成形し、シート状の成形体(幅:80mm、厚み:0.8mm)を作製し、100℃で1時間乾燥した後、裁断して、縦:60mm×横:60mm形状の成形体を得た。
この成形体に、複数の上記積層体を積層体の質量が95kgとなるように調整した。得られた積層体を、空気中において570℃で10時間加熱して脱脂した。次に、脱脂体を、加熱炉に入れて、窒素ガス雰囲気中(大気圧)、20.0℃/分の昇温速度で25℃から1700℃まで昇温し、2時間加熱した。次に、1.0℃/分の昇温速度で1820℃まで昇温し、更に2時間保持した後、加熱炉内で5.0℃/分の降温速度で、1820℃から1500℃まで徐冷し、その後、更に、20.0℃/分の降温速度で25℃まで急冷した。このようにして、窒化アルミニウム焼結板を得た。
<窒化アルミニウム焼結板の分析>
得られた窒化アルミニウム焼結板について、焼結助剤粒子の組成、粒子径等の分析を行った。結果を表3に示す。
<窒化アルミニウム焼結板の絶縁性評価>
得られた窒化アルミニウム焼結板の体積抵抗率を測定した。測定は、三菱ケミカルアナリテック製のハイレスタUXMCP-HT800(商品名)を用い、JIS C 2139:2008「固体電気絶縁材料-体積抵抗率及び表面抵抗率の測定方法」の記載に準拠して行った。具体的には、まず窒化アルミニウム焼結板を厚さ1.0mmに加工し、窒化アルミニウム焼結板の両面に直径が10mmの銅を蒸着し、測定サンプル(基板)を調製した。得られた基板を測定電極で挟み、125℃の環境下で、1000Vの直流電流を流し、40秒間その状態を保持した際の40秒間経過した時点での絶縁抵抗値を測定し、その値を用いて、式(1)から体積抵抗率を算出した。結果を表3に示す。
体積抵抗率[Ω・cm]=絶縁抵抗値[Ω]×銅蒸着面積[cm]/窒化アルミニウム焼結板の厚み[cm] ・・・式(1)
(実施例2~7)
製造条件を表1に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、窒化アルミニウム焼結板を得た。
Figure 0007330416000001
(比較例1~4)
製造条件を表2に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、窒化アルミニウム焼結板を得た。
Figure 0007330416000002
<窒化アルミニウム焼結板の分析>
実施例2~7及び比較例1~4で得られた窒化アルミニウム焼結板について、実施例1と同様にして、焼結助剤粒子の組成、粒子径等の分析を行った。結果を表3に示す。
<窒化アルミニウム焼結板の絶縁性評価>
実施例2~7及び比較例1~4で得られた得られた窒化アルミニウム焼結板の体積抵抗率を、実施例1と同様にして測定した。結果を表3に示す。
Figure 0007330416000003
本開示によれば、電気絶縁性を十分に高くすることが可能な窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法を提供できる。本開示によればまた、上述の窒化アルミニウム焼結体を備えることによって優れた信頼性を発揮し得る基板を提供できる。
20…導体部、100…窒化アルミニウム焼結板、110…金属板、200…積層基板、300…回路基板。

Claims (8)

  1. 複数の窒化アルミニウム粒子と、前記窒化アルミニウム粒子間に分散する焼結助剤粒子と、を有し、一対の主面を有する窒化アルミニウム焼結板であって、
    前記焼結助剤粒子が3Y・5Al及びY・Alを含み、
    前記3Y・5Alの含有量が、前記窒化アルミニウム粒子の合計量を基準として、4.0質量%以下であり、
    前記主面における前記焼結助剤粒子の面積が3.5面積%以下である、窒化アルミニウム焼結板。
  2. 前記Y・Alの含有量が、前記窒化アルミニウム粒子の合計量を基準として、7.5質量%以下である、請求項1に記載の窒化アルミニウム焼結板。
  3. 厚さ方向に水平な断面における焼結助剤粒子の総量が、5.5面積%以下である、請求項1又は2に記載の窒化アルミニウム焼結板。
  4. 前記焼結助剤粒子の平均粒径が0.8μm超である、請求項1~3のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム焼結板。
  5. 厚さ方向に水平な断面における前記焼結助剤粒子のうち粒子径が大きいものから数えて10個の粒子を粗大粒子とした場合に、前記粗大粒子の平均粒径が3.5μm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム焼結板。
  6. 厚さ方向に水平な断面において一辺が50μmの正方形の領域を設定した際に、前記領域内に存在する前記焼結助剤粒子の個数が130個未満である、請求項1~5のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム焼結板。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム焼結板と、当該窒化アルミニウム焼結板に取り付けられている導体部と、を備える、回路基板。
  8. 請求項1~6のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム焼結板と、当該窒化アルミニウム焼結板に取り付けられている金属板と、を備える、積層基板。
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