JP2006199541A - 窒化アルミニウム粉末および、その製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム粉末および、その製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高い破壊じん性を有すると共に、高い熱伝導率及び曲げ強度を達成した窒化アルミニウム焼結体を得ることが可能な新規な窒化アルミニウム粉末およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 還元窒化法により得られ、1次粒子径について(1)0.1μm以上、1μm未満の1次粒子径の粒子の含有率が5〜85質量%、(2)1μm以上、5μm未満の1次粒子径の粒子の含有率が0〜40質量%、及び(3)5μm以上、10μm以下の1次粒子径の粒子の含有率が15〜95質量%(但し、(1)〜(3)の粒子の含有率の合計は100質量%である。)よりなる粒度分布を有し、且つ酸素含有率が0.4〜1.3質量%となるように表面酸化されたことを特徴とする窒化アルミニウム粉末である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高い破壊じん性を有すると共に、高い熱伝導率及び曲げ強度を達成した窒化アルミニウム焼結体を得ることが可能な新規な窒化アルミニウム粉末およびその製造方法に関する。
窒化アルミニウムは、GTO(Gate Turn Off Thyristor)サイリスタやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の半導体素子の高出力化による発熱量の増大に伴ない、高い熱伝導率を有する性質を利用した半導体実装用基板をはじめとした各種放熱材料や絶縁材料として利用範囲が益々広がっている。
このうち、特に高出力の半導体実装用基板の用途では、半導体を実装するために窒化アルミニウム焼結体に銅等の薄板を接合したり、実装基板を更に別のヒートシンク材(放熱フィンなどの金属部材)に接着したりするなど、窒化アルミニウム自身に種々の大きな応力が掛かる中で使用されることが多い。
そのため、かかる用途においては、これまでの高熱伝導性に加えて、従来よりさらに高い機械的強度(曲げ強度)や破壊じん性値を有する窒化アルミニウム焼結体が必要とされるようになった。
従来、窒化アルミニウム焼結体の破壊じん性を向上させるため、得られる窒化アルミニウム焼結体の結晶粒子の粒度分布を広くすることが提案されている。
例えば、粒度分布が異なる二種類の窒化アルミニウム粉末を原料として使用することによって焼結体の粒度分布を広げる方法(特許文献1、2及び3参照)が挙げられる。
特開2001−2474号公報 特開2001−89247号公報 特開2002−220283号公報
しかしながら、上記方法によって得られる窒化アルミニウム焼結体は、高い破壊じん性を示すものの、熱伝導率、曲げ強度に関しては改善の余地があった。即ち、上記窒化アルミニウム焼結体の製造には、1次粒子径が0.1〜1μmの小さな窒化アルミニウム粉末と1次粒子径が5〜10μmの大きな窒化アルミニウム粉末とを混合して使用されるが、平均粒径の小さい窒化アルミニウム粉末は、焼結性の良い還元窒化法により得られた粉末が使用される一方、1次粒子径の大きい窒化アルミニウム粉末は、一般に、焼結性が劣る直接窒化法により得られた粉末が使用されていた。その理由は、還元窒化法による1次粒径が大きい窒化アルミニウム粉末は工業的に生産されていないことにあった。
そのため、前記方法によれば、焼結性の異なる二種類の窒化アルミニウム粉末を均一に焼成するための複雑なプロセスや精密な焼成温度の制御を必要とするばかりでなく、得られる窒化アルミニウム焼結体の物性は、破壊じん性値が3.0MPa・m1/2以上であっても、曲げ強度は400〜500MPa程度と低いものであり、また、熱伝導性についても、更なる改良の余地が残されていた。
本発明者らは、上記に記述した粉末の課題を解決するべく鋭意研究を行った。その結果、還元窒化法による、1次粒子径が5〜10μmの大きな窒化アルミニウム粉末の開発に成功し、かかる大粒径の窒化アルミニウムと、還元窒化法による、1次粒子径が0.1〜1μmの小さな窒化アルミニウム粉末とを使用して焼結体を製造することによって、高い破壊じん性を有すると共に、高い熱伝導率及び曲げ強度を達成した窒化アルミニウム焼結体を得ることがことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、 還元窒化法により得られ、1次粒子径について下記の粒度分布を有し、且つ酸素含有率が0.4〜1.3質量%となるように表面酸化されたことを特徴とする窒化アルミニウム粉末である。
(1)0.1μm以上、1μm未満の1次粒子径の粒子の含有率が5〜85質量%
(2)1μm以上、5μm未満の1次粒子径の粒子の含有率が0〜40質量%
(3)5μm以上、10μm以下の1次粒子径の粒子の含有率が15〜95質量%
但し、(1)〜(3)の粒子の含有率の合計は100質量%である。
本発明の窒化アルミニウム粉末は、焼結性の良好な、還元窒化法によって得られた前記特定の広い分布と、酸素含有率が0.4〜1.3質量%となるように表面酸化された構造を有するため、これを焼結することによって得られる窒化アルミニウム焼結体において、前記粒度分布により主として達成される高い破壊じん性を示すのみでなく、かかる焼結性の向上により、特に特殊な焼結方法を採用することなく、きわめて高い熱伝導率及び曲げ強度をも発揮することができ、前記種々の用途において、取扱い時の破損を著しく減少することが可能となる。
上記効果の発現機構は明らかではないが、前記特定の粒度分布を構成する窒化アルミニウム粉末が還元窒化法により製造された窒化アルミニウムよりなるため、その表面に安定に酸化皮膜が形成されることによるものと推定している。即ち、上記本発明の窒化アルミニウム粉体は、安定して形成された酸化皮膜により、空気中の水分などの内部拡散による酸素含量の増加を防ぐ作用が全粒子におよぶため、粉末全体に高い焼結性が維持され、これが、粒度分布と相乗的に作用して、極めて高い曲げ強度を発現し、更に、高い熱伝導率を達成できるものと推定している。
また、焼結体に力が加わり亀裂が発生した場合でも、前記粒度分布の内の大きな粒子により形成される大粒径の結晶粒子の存在により、かかる大粒径の結晶粒子の位置で亀裂が止まり、従来にない高い破壊じん性を示すものと推定される。
本発明の窒化アルミニウム粉末は、還元窒化法にて製造された窒化アルミニウム粉末を配合し、その1次粒子径の分布を
(1)0.1μm以上、1μm未満の1次粒子径の粒子の含有率が5〜85質量%、好ましくは、10〜80質量%、更に好ましくは、20〜65質量%、
(2)1μm以上、5μm未満の1次粒子径の粒子の含有率が0〜40質量%、好ましくは、0〜30質量%、更に好ましくは、0〜25質量、%
(3)5μm以上、10μm以下の1次粒子径の粒子の含有率が15〜95質量%、好ましくは、20質量%〜90質量%、更に好ましくは、35質量%〜80質量%、
(但し、(1)〜(3)の粒子の含有率の合計は100質量%である。)
とすることが、前記目的を達成するために重要である。
即ち、上記粒度分布を構成する窒化アルミニウム粉末が還元法によって得られた窒化アルミニウム粉末ではない場合、本発明の目的を達成することができない。例えば、金属アルミニウムを窒素雰囲気下で窒化処理して得られた「直接窒化法」により得られた窒化アルミニウム粉末は、製法上酸化層の形成処理を必要としないため、窒化アルミニウム表面が空気中の水分によって酸化が進んで酸素量が増加し、焼結性を低下させる。また、かかる「直接窒化法」から得た窒化アルミニウム粉末は、元来金属不純物が多いため、これを酸化処理したとしても、高熱伝導率の焼結体を得ることが困難である。
尚、本発明の窒化アルミニウム粉末において、その全てが還元窒化法によって得られたものであることが好ましいが、本発明の効果を著しく低減しない割合で直接窒化法によって得られた窒化アルミニウム粉末を一部含有することは許容することができる。かかる割合は、前記(1)〜(3)の部分においてそれぞれ10質量%以下、好ましくは、5質量%以下であることが好ましい。
本発明において、窒化アルミニウム粉末を構成する0.1μm以上、1μm未満の1次粒子径の粒子の含有率が5質量%より少ない場合、緻密な焼結体を得ることができず高い該焼結体において熱伝導性、及び高い曲げ強度を達成することができない。
一方、本発明の窒化アルミニウム粉末を構成する0.1μm以上、1μm未満の1次粒子径の粒子の含有率が85質量%を超える場合、また、1μm以上、5μm未満の1次粒子径の粒子の含有率が40質量%を超える場合は、熱伝導性、曲げ強度については物性が向上するが、後記の大きい1次粒子径の割合を十分に確保することが出来ず、その結果、これを用いて得られる焼結体の破壊じん性が低下し、本発明の目的を達成することができない。
尚、1μm以上、5μm未満の1次粒子径の粒子は、含有されなくとも本発明の効果には特に影響を及ぼすことはない。
また、本発明の窒化アルミニウム粉末を構成する5μm以上、10μm以下の1次粒子径の粒子の含有率が15質量%より少ない場合、得られる焼結体の破壊じん性が低下し、本発明の目的を達成することができない。
一方、5μm以上、10μm以下の1次粒子径の粒子の含有率が95質量%を超える場合、緻密な焼結体を得ることができず高い該焼結体において熱伝導性、及び高い曲げ強度を達成することができない。
本発明において、上述した粒度分布による効果の発現機構として、本発明者らは、以下のように推定している。即ち、本発明の窒化アルミニウム粉末を構成する0.1μm以上、1μm未満の1次粒子径の粒子は、大きな粒子と粒子の隙間に入り込み、それが焼結することにより焼結体の緻密化とそれにともなう高熱伝導化および高強度化を図る。5μm以上、10μm以下の1次粒子径の粒子は、焼結体に亀裂が生じた時、その大きな粒子(5μm以上、10μm以下)の部位で亀裂の進行が止まり、焼結体の破壊を防ぎ、焼結体の高強度化、高じん性化を図る。尚、1μm以上、5μm未満の粒子が多い場合、緻密化、高強度化を図る0.1μm以上、1μm未満の1次粒子径の粒子と高強度化、高じん性化を図る5μm以上、10μm以下の1次粒子径の粒子が不足し、高強度化、高じん性化を図ることが出来なくなる。
本発明の窒化アルミニウム粉末は、上記粒度分布を有すると共に、酸素含有率が0.4〜1.3質量%、好ましくは、0.6〜1.2質量%、更に好ましくは、0.7〜1.1質量%となるように表面酸化されていることが重要である。本発明の窒化アルミニウム粉末は、還元窒化法によって製造されているため、表面酸化処理を行うことにより、表面に安定な酸化皮膜が形成されるが、酸化の程度が、酸素含有率として0.4質量%より少ない場合、酸素の内部拡散を十分に防止することができず、焼結性が低下し、その結果、得られる焼結体のじん性、曲げ強度が低下する。また、酸素含有率として1.3質量%より多い場合、得られる焼結体中の酸素濃度の増加により、熱伝導率が低下するば。
本発明の窒化アルミニウム粉末の他の構成は特に制限されないが、炭素量3000ppm未満、酸素、炭素を除く不純物量0.3質量%未満であることが好ましい。
(窒化アルミニウム粉末の製造法)
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法は、還元窒化法による方法であれば特に限定されないが、予め、前記粒度分布に調整された酸化アルミニウムを還元窒化することが、大粒径の酸化アルミニウムを効率よく窒化するために効率的である。
即ち、0.1μm以上、1μm未満の1次粒子径の含有率が5〜85質量%、1μm以上、5μm未満の1次粒子径の窒化アルミニウム粒子の含有率が0〜40質量%、5μm以上、10μm以下の1次粒子径の含有率が15〜95質量%(但し、上記含有率の合計は、100質量%である。)、の酸化アルミニウムをカーボンの存在下に、窒素ガスまたはアンモニアガスと加熱下に接触せしめて窒化アルミニウム粉末を得る方法が好適である。
また、その際、該窒化アルミニウム粉末を酸素の存在下に500〜900℃の温度で表面酸化処理を行うことが、酸素の粒子内への拡散を効果的に防止し、より酸素含有量の低い窒化アルミニウムを得るために好ましい。
勿論、本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法は、窒化アルミニウム粉末の粒度分布と同一の分布を有する酸化アルミニウム粉末を使用せず、それぞれの大きさを有する酸化アルミニウム粉末を還元窒化法により製造した後、これらを前記含有率となるように混合することもできる。
上記還元窒化法を更に詳細に説明すれば、酸化アルミニウム粉末をカーボンの存在下に窒素ガスまたは、アンモニアガスと加熱下に接触せしめて窒化アルミニウム粉末を得た後、該窒化アルミニウム粉末を酸素の存在下に500〜900℃の温度で表面酸化処理を行うことを特徴とする窒化アルミニウムの製造方法が挙げられる。
この方法において原料の酸化アルミニウム粉末としては、α、γ、θ、η等の結晶構造を持つものを挙げることができる。また、酸化アルミニウム粉末は、特に金属等の不純物の少ないものが好ましい。
前記方法において、原料のカーボンは、カーボンブラック、黒鉛および、高温においてカーボン源となり得るカーボン前駆体が使用できる。本発明において、カーボンブラックはファーネス法、チャンネル法などのカーボンブラックおよび、アセチレンブラックが使用できる。これらのカーボンブラックの粒径は、任意であるが0.01から20μmのものを用いるのが好ましい。
また、前記カーボン前駆体としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フランフェノール樹脂等の合成樹脂縮合物やピッチ、タール等の炭化水素化合物や、セルロース、ショ糖、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレン等の有機化合物が挙げられるが、固相のままないしは気相を経由して炭素化する化合物が好ましい。特に、フェノール樹脂等の合成樹脂やセルロース、ポリフェニレンなどが好ましい。これらのカーボンも、金属等の不純物が少ないものが好ましい。
本発明において酸化アルミニウムとカーボンを混合方法としては、酸化アルミニウムとカーボンが均一になるような方法であればいずれの方法でも良い。溶媒を使用した湿式ボールミル混合、溶媒を使用しない乾式ボールミル混合が好ましい。湿式ボールミル混合にしようする溶媒は、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が例示できる。溶媒は、前述のカーボン前駆体が溶解しないものが好ましい。この溶媒を除去するため定法によって酸化アルミニウムとカーボンの混合物を乾燥する。
酸化アルミニウムとカーボンの混合物の窒化は、窒素および/または、アンモニア気流中、1200から1900℃の条件下で行うのが良い。窒化温度が1200℃以下では窒化反応が遅く、1900℃以上では、粒子同士の焼結が激しくなり、1次粒子の粒度分布が維持できないからである。
上記還元窒化法において、酸化アルミニウムが、5μm以上の大粒径の粒子よりなるか、該粒子を含む場合は、特に、効率よく窒素ガスと接触させる必要がある。例えば、高温の窒素雰囲気下においてアルミナとカーボンの混合粉末を流動させる。また、坩堝(セッター)等への充填層厚を薄くする方法等の条件で窒化を行うことによって、従来では工業的に得ることのできなかった、還元窒化法による大粒径の窒化アルミニウム粉末を製造することができる。そして、これにより、本発明の窒化アルミニウム粉末を実現することが可能となったのである。
前記還元窒化法によって得られた窒化アルミニウム粉末は、その表面の酸化処理を行うことによって取扱い時の酸素の内部拡散を効果的に防止することができる。
かかる酸化処理は、酸素の存在下、好ましくは、酸素濃度5〜40容量%の雰囲気下で加熱することにより実施される。上記雰囲気下での加熱温度は、500〜900℃が好ましい。これは、500℃以下では表面酸化処理に時間を要し、900℃以上では、酸化層の形成厚みの制御が困難となり、粒子の内部まで酸化される場合があるからである。
酸化処理を行うことにより、窒化アルミニウム粒子表面に酸化アルミニウム膜が形成され、耐湿性が向上し、表面が空気中の水分によって参加され、酸素量が増加することを抑制する。また、焼結助剤として、酸化イットリウム、酸化カルシウム等を使用したとき、焼結助剤と表面酸化アルミニウム皮膜が反応し、焼結助剤としての働きもする。上記酸化層の厚みは、前記酸素濃度に調整された厚みの結果として具現化されるが、一般に、その厚みは、300〜2000Å程度である。
(窒化アルミニウム粉末の焼結方法)
本発明の窒化アルミニウム粉末は、公知の方法によって焼結することにより、高い破壊じん性を有すると共に、高い熱伝導率及び曲げ強度を有する焼結体を得ることができる。
上記焼結方法としては、窒化アルミニウム粉末を冷間等方圧プレスまたは、アクリル系、ポバール系、フェニル系、フェノール系、ポリイミド系等の樹脂を代表とする有機バインダーと共に成形し、窒化アルミニウムが実質的に酸化されない条件下に脱脂した後、炭素による還元雰囲気下、或いは中性雰囲気下で、温度1600〜2000℃の範囲で、1〜20時間焼成する条件が一般的である。
上記方法において、有機バインダーの量も特に制限されないが、窒化アルミニウム粉末100質量部に対して、0.1〜20質量部となる割合が一般的である。
また、上記焼結において、焼結助剤の使用も特に制限なく行うことができる。焼結助剤としては、 酸化カルシウム、酸化レアアース金属(例えば、セシウム、イットリウム、等)等が一般に使用され、窒化アルミニウム粉末への添加量は、0.1〜20質量%が適当である。
また、本発明の窒化アルミニウム粉体は、ホットプレス法で焼結することによっても、良好な物性を有する焼結体を得ることができ。ホットプレスの条件も、公知の条件が特に制限なく採用される。例えば、窒化ホウ素または、黒鉛等のモールドに窒化アルミニウム粉末を充填し、プレス圧力を1MPa〜400MPaにし、焼成温度を1600〜1800℃で1〜30時間焼成する。
以下、本発明を更に具体的に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、実施例、比較例において、各種物性は、下記の方法によって測定した。
1)1次粒子の粒度分布の測定
SEM写真から1次粒子径を求め、その径から1次粒子を球と仮定して、粒度分布を体積分布として求めた。
2)焼結体相対密度
東洋精機製「高精度比重計D−H」を使用して、アルキメデス法により求めた焼結体密度と理論焼結体密度の相対値を相対密度とした。
3)窒化アルミニウム粉末の酸素濃度
(株)堀場製作所製:酸素窒素同時分析装置(型式:EMGA‐550A)を使用して行った。即ち、窒化アルミニウム粉末中に含まれる酸素を不活性ガス、インパルス加熱融解法により抽出し、該酸素を一酸化炭素として非分散赤外線検出器にて測定するものである。
4)破壊じん性値
JIS R1607に準じた方法により、(株)アカシ製ビッカース硬さ試験機AVK−COにて測定されたビッカース硬さからI.F.法により算出した。押し込み荷重49N。保持時間15秒。5サンプルの平均値を測定値とした。
5)曲げ強度
JIS R1601に準じて、クロスヘッド速度0.5mm/分、スパン30mmで3点曲げ強度測定を行なった。試験片の幅は4mmで平面研削して作製した。曲げ強度は、5サンプルの平均値を測定値とした。
6)熱伝導率
理学電気(株)製の熱定数測定装置PS−7を使用して、レーザーフラッシュ法により測定した。厚み補正は検量線により行なった。
実施例1〜3、比較例1〜5
(窒化アルミニウム粉末の作製−1)
アルミナ粉末を下記A〜Cの3種類のアルミナに分級した。
アルミナ−A 1次粒子径:0.1μm以上、1μm未満
アルミナ−B 1次粒子径:1μm以上、5μm未満
アルミナ−C 1次粒子径:5μm以上、10μm以下。
次いで、上記分級したアルミナをそれぞれ280gとカーボン140gとを混合した後、これを黒鉛の坩堝に入れ窒素雰囲気下、1600℃にて12時間保持して還元窒化を行った。窒化後の粉末を空気中、600℃にて10時間表面酸化処理し、窒化アルミニウム粉末を得た。
尚、5μm以上、10μm以下のアルミナ粒子を還元窒化処理するときは、充填層厚を通常の40mmから30mmとした。
窒化後の粉末を空気雰囲気下において650℃で13時間、酸化処理を行った。
上記還元窒化法にて作った1次粒子径の異なる数種類の窒化アルミニウム粉末をボールミルにて混合を行い、下記の1次粒子径分布を持つ窒化アルミニウム粉末を得た。
AlN−A 1次粒子径:0.1μm以上、1μm未満
AlN−B 1次粒子径:1μm以上、5μm未満
AlN−C 1次粒子径:5μm以上、10μm以下。
(窒化アルミニウム粉末の作製−2)
前記A〜Cのアルミナをボールミルにて後記の所定の配合比に配合を行ったアルミナ280gとカーボンブラック140gを乾式の振動ボールミルにて混合を行った。混合粉末を窒素雰囲気下において1600℃で10時間還元窒化を行った。アルミナ粉末を窒素と効率良く接触させるため、窒化時の層厚は30mmとした。更に、窒化後の粉末を空気雰囲気下において650℃で13時間、酸化処理を行って、窒化アルミニウム粉末を得た。
尚、上術の方法によって得られた窒化アルミニウム粉末の酸素含率は、表面酸化前の値との対比により、窒化アルミニウム粉末の表面に存在することが確認された。
(焼結体の作製)
内容積が10Lのナイロン製ポットにアルミナ製ボールを見掛け充填率で40%入れ、次いで、これに前記窒化アルミニウム粉末の作製−1で得られたAlN−A〜Cの窒化アルミニウム粉末を表1に示す配合割合で混合した窒化アルミニウム粉末100重量部、酸化イットリウムを5重量部、表面活性剤を2重量部、更に、溶媒としてトルエン21重量部、エタノール12重量部、ブタノール2重量部を添加して、一回目のボールミル混合を16時間行なった後、この混合物に結合剤としてポリビニルブチラール8重量部、可塑剤を4重量部、溶媒としてトルエン27重量部、エタノール16重量部、ブタノール2重量部を入れて二回目のボールミル混合を18時間行ない、白色の泥しょう(以下、スラリーという)を得た。
得られたスラリーは、脱溶媒し、粘度を20000〜30000cpsに調整した。その後、ドクターブレード法によりシート成形を行ない、室温で1時間、60℃で2時間、100℃で1時間乾燥して幅20cm、厚さ0.75mmのグリーンシートを作製した。さらに、打ち抜きプレス加工機により、50.8mm角のグリーン体に加工した。
乾燥空気中で580℃の温度で4時間脱脂処理し、脱脂体を窒化硼素製の焼成容器にいれて、窒素雰囲気中で1750℃の温度で、4時間焼成した。
還元窒化法にて作った窒化アルミニウム粉末を実施例1〜3および、比較例1〜5に示す配合を行い、それから窒化アルミニウム焼結体を作製し、密度、曲げ強度、じん性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2006199541
実施例4〜6、比較例6〜10
前記窒化アルミニウム粉末の作製−2において、表2に示す粒度分布のアルミナから作製した、表2に示す粒度分布を持つ還元窒化法による窒化アルミニウム粉末を、実施例1と同様な条件で焼結して焼結体を作製した。得られた焼結体の密度、曲げ強度、じん性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2006199541
比較例11
表3に示す粒度分布を有する、直接窒化法にて得られた窒化アルミニウム粉末を、実施例と同様な方法によって焼結体を作製し、その密度、曲げ強度、じん性を評価した。結果を表3に示す。
比較例12
表3に示す粒度分布を有する、直接窒化法にて得られた窒化アルミニウム粉末を空気中で600℃、10時間表面酸化処理した。得られた窒化アルミニウムを、実施例と同様な方法によって焼結体を作製し、その密度、曲げ強度、じん性を評価した。結果を表3に示す。
Figure 2006199541

Claims (2)

  1. 還元窒化法により得られ、1次粒子径について下記の粒度分布を有し、且つ酸素含有率が0.4〜1.3質量%となるように表面酸化されたことを特徴とする窒化アルミニウム粉末。
    (1)0.1μm以上、1μm未満の1次粒子径の粒子の含有率が5〜85質量%
    (2)1μm以上、5μm未満の1次粒子径の粒子の含有率が0〜40質量%
    (3)5μm以上、10μm以下の1次粒子径の粒子の含有率が15〜95質量%
    但し、(1)〜(3)の粒子の含有率の合計は100質量%である。
  2. 下記の1次粒子径分布を持つ酸化アルミニウムとカーボンの存在下に窒素ガスまたは、アンモニアガスと加熱下に接触せしめて窒化アルミニウム粉末を得、該窒化アルミニウム粉末を酸素の存在下に500〜900℃の温度で表面酸化処理を行うことを特徴とする窒化アルミニウムの製造方法。
    (1)0.1μm以上、1μm未満の1次粒子径の含有率が10〜80質量%
    (2)1μm以上5μm未満の1次粒子径の含有率が0〜35質量%
    (3)5μm以上10μm以下の1次粒子径の含有率が20〜90質量%
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