JP4348396B1 - 再生ターゲットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一軸方向に貫通した内空部12Aを有する外周治具12の内空部12Aに使用済みターゲット1を配置するとともに、内空部12Aにターゲット用原料粉末2を充填して、使用済みターゲット1のエロージョン部1A側の面をターゲット用原料粉末2で覆わせる粉末充填工程と、前記粉末充填工程で内空部12Aに充填したターゲット用原料粉末2を使用済みターゲット1との間に挟み込むように、変形可能な緩衝材3を配置する緩衝材配置工程と、内空部12Aに充填したターゲット用原料粉末2と使用済みターゲット1とを、前記緩衝材配置工程で配置した緩衝材3を介して一軸方向に加圧して焼結させる焼結工程と、を有する。
【選択図】図4
Description
本実施形態で用いるホットプレス用の治具10は、図1に示すように、外周治具12と、底面治具14と、押込み治具16と、からなり、いずれも炭素製である。外周治具12の形状は円筒状であり、上下方向(一軸方向)に貫通した内空部12Aを有する。本発明を実施する際には、外周治具12を板状の底面治具14の上に載置し、内空部12Aにホットプレスの対象物(使用済みターゲットおよび原料粉末)を配置する。押込み治具16の形状は、外周治具12の内空部12Aに丁度嵌り込む円柱状の形状である。
図2に示すように、本実施形態において用いる使用済みターゲット1は、すでにスパッタリングがなされて侵食されており、エロージョン部1Aを有する。エロージョン部1Aには、深い凹部である侵食溝1Bが存在する。また、スパッタリング用のターゲットは、一般的に、スパッタリング装置への取り付けのために、本体部よりも厚さの薄い段付き部を外周部に備えているが、本実施形態において用いる使用済みターゲット1も、図2に示すように段付き部1Cを外周部に備えている。
使用済みターゲット1の表面には、汚れが付着しているだけでなく、スパッタリング時に堆積した再デポ膜が付着している。これらの成分が再生ターゲット中に取り込まれると、スパッタリング時にパーティクル等の不具合発生の原因となるので、粉末充填工程の前に、使用済みターゲット1の表面の汚れや再デポ膜は極力取り除いておくことが好ましい。
図3は、粉末充填工程終了後の要部の状況を模式的に示す縦断面図である。
粉末充填工程で、外周治具12の内空部12A内への使用済みターゲット1の配置と、原料粉末2の充填を行った後、図4に示すように、充填した原料粉末2の全体を上側から覆うように緩衝材3を配置する。
緩衝材配置工程で配置した緩衝材3の上側から押込み治具16で加圧してホットプレスを行い、外周治具12の内空部12Aに充填されたターゲット用原料粉末2を焼結させて、使用済みターゲット1と原料粉末2とを一体化させる。
以上説明した実施形態では、図4に示すように、配置した緩衝材3の厚さが内空部12Aの水平面の全面において同じ厚さであったが、図5に示すように、使用済みターゲット1のエロージョン部1A側の面を覆うターゲット用原料粉末2の層の厚さが厚い部位ほど、その上側に配置する緩衝材3の量が多くなるように緩衝材3を配置してもよい。このように緩衝材3を配置することにより、原料粉末2の全体に等方的な圧力がより加わりやすくなり、使用済みターゲット1のエロージョン部1Aの侵食溝1Bに充填された原料粉末2や段付き部1Cに充填された原料粉末2にも圧力がより伝達されやすくなる。これにより、ホットプレスをすることによって得られる焼結体中のボイドをさらに減少させることができる。
粉末充填工程の前に、使用済みターゲット1のエロージョン部1A側の面の凹凸の程度を小さくするように切削加工を施す切削加工工程を設けてもよい。この工程を経ることにより、使用済みターゲット1のエロージョン部1A側の面の凹凸の程度が小さくなり、ホットプレスの際に原料粉末2の全体に等方的な圧力がより加わりやすくなる。これにより、ホットプレスをすることによって得られる焼結体中のボイドをさらに減少させることができる。
使用済みターゲットとして、88(Co−20Cr)−12TiO2ターゲットを用い、ホットプレス法により再生ターゲットの製造を行った。
図5に示すように、使用済みターゲットのエロージョン部側の面を覆うターゲット用原料粉末の層の厚さが厚い部位(エロージュン部の侵食溝および段付き部)の上側に配置する緩衝材の枚数を7枚、それ以外の部位に配置する緩衝材の枚数を4枚とした。用いた使用済みターゲットの質量は1030.85g、ターゲット用原料粉末の質量は449.15gであった。これら以外は実施例1と同様にしてホットプレスを行った。
ターゲット用原料粉末を充填する前に使用済みターゲットのエロージュン部の切削加工を行って、エロージュン部の凹凸の程度を小さくした。図8(A)は切削加工前の使用済みターゲットの厚さ方向の断面図であり、図8(B)は切削加工後の使用済みターゲットの厚さ方向の断面図である。用いた使用済みターゲットの質量は切削加工前で1098.72g、切削加工後で1081.52g、ターゲット用原料粉末の質量は501.28gであった。これら以外は実施例1と同様にしてホットプレスを行った。
通常のホットプレスと同様に、緩衝材を用いずにホットプレスを行った。用いた使用済みターゲットの質量は1100.24g、ターゲット用原料粉末の質量は349.76gであった。これら以外は実施例1と同様にしてホットプレスを行った。
通常のホットプレスと同様に、緩衝材を用いずにホットプレスを行った比較例1と比べて、緩衝材を配置してホットプレスを行った実施例1は、使用済みターゲットのエロージュン部の侵食溝に充填された原料粉末の焼結体においてボイドが極めて少なくなっていた。
1A…エロージュン部
1B…侵食溝
1C…段付き部
1D…外周面
2…ターゲット用原料粉末
3…緩衝材
10…治具
12…外周治具
12A…内空部
14…底面治具
16…押込み治具
Claims (13)
- 一軸方向に貫通した内空部を有する外周治具の該内空部に、金属の焼結体または金属と金属化合物の複合焼結体からなる使用済みターゲットを配置するとともに、該内空部に金属または金属と金属化合物からなるターゲット用原料粉末を充填して、該使用済みターゲットのエロージョン部側の面を該ターゲット用原料粉末で覆わせる粉末充填工程と、
前記粉末充填工程で前記内空部に充填した前記ターゲット用原料粉末を前記使用済みターゲットとの間に挟み込むように、無機繊維からなる変形可能な緩衝材を配置する緩衝材配置工程と、
前記内空部に充填した前記ターゲット用原料粉末と前記使用済みターゲットとを、前記緩衝材配置工程で配置した前記緩衝材を介して一軸方向に加圧して焼結させる焼結工程と、
を有することを特徴とする再生ターゲットの製造方法。 - 上下方向に貫通した内空部を有する外周治具の該内空部にエロージョン部側の面を上に向けて、金属の焼結体または金属と金属化合物の複合焼結体からなる使用済みターゲットを配置するとともに、該内空部に金属または金属と金属化合物からなるターゲット用原料粉末を充填して、該使用済みターゲットのエロージョン部側の面を該ターゲット用原料粉末で覆わせる粉末充填工程と、
前記粉末充填工程で前記内空部に充填した前記ターゲット用原料粉末の上側に、無機繊維からなる変形可能な緩衝材を配置する緩衝材配置工程と、
前記内空部に充填した前記ターゲット用原料粉末と前記使用済みターゲットとを、前記緩衝材配置工程で配置した前記緩衝材を介して上側から一軸方向に加圧して焼結させる焼結工程と、
を有することを特徴とする再生ターゲットの製造方法。 - 請求項1または2において、
前記緩衝材配置工程で、前記ターゲット用原料粉末の全体を覆うように前記緩衝材を配置することを特徴とする再生ターゲットの製造方法。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記緩衝材配置工程で、前記緩衝材を複数枚重ねて配置することを特徴とする再生ターゲットの製造方法。 - 請求項1〜4のいずれかにおいて、
前記粉末充填工程で前記使用済みターゲットのエロージョン部側の面を覆った前記ターゲット用原料粉末の層の厚さが厚い部位ほど、配置する前記緩衝材の量が多くなるように、前記緩衝材配置工程で前記緩衝材を配置することを特徴とする再生ターゲットの製造方法。 - 請求項5において、
配置する前記緩衝材の量を、配置する緩衝材の枚数によって調整することを特徴とする再生ターゲットの製造方法。 - 請求項6において、
前記ターゲット用原料粉末の全体を覆う緩衝材と、該ターゲット用原料粉末の一部のみを覆う緩衝材とを、交互に重ね合わせることを特徴とする再生ターゲットの製造方法。 - 請求項1〜7のいずれかにおいて、
前記緩衝材は、前記焼結工程における温度圧力に耐え得る無機繊維からなるブランケットであることを特徴とする再生ターゲットの製造方法。 - 請求項8において、
前記無機繊維は、カーボン繊維、ガラス繊維およびアルミナ繊維のうちの少なくとも1種であることを特徴とする再生ターゲットの製造方法。 - 請求項1〜9のいずれかにおいて、
前記粉末充填工程の前に、前記使用済みターゲットのエロージョン部側の面の清浄化処理を行う清浄化工程を設けることを特徴とする再生ターゲットの製造方法。 - 請求項1〜10のいずれかにおいて、
前記粉末充填工程の前に、前記使用済みターゲットのエロージョン部側の面の凹凸の程度を減らすように切削加工を施す切削加工工程を設けることを特徴とする再生ターゲットの製造方法。 - 請求項1〜11のいずれかにおいて、
前記ターゲット用原料粉末は、前記使用済みターゲットと同一組成の粉末であることを特徴とする再生ターゲットの製造方法。 - 請求項1〜12のいずれかにおいて、
前記焼結工程を不活性雰囲気中で行うことを特徴とする再生ターゲットの製造方法。
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