JP7220527B2 - 焼成用道具材 - Google Patents

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Description

本発明は焼成用道具材に関し、セラミック電子部品等の焼成、熱処理用に使用される焼成用道具材に関する。
例えば、セッター、サヤ、匣鉢等のセラミック電子部品等の焼成、熱処理用に使用される焼成用道具材には、炭化珪素質焼結体が用いられている。これら焼成用道具材については、炉詰め効率の向上、焼成コスト低減の観点からますます薄肉化が要求され、特許文献1,2に示す炭化珪素質高温構造材料、薄板状炭化珪素焼結体が提案されている。
具体的に説明すると、特許文献1では、厚さが0.5~3mmで100cm 以上の面積を有する相対密度90%以上の板状炭化珪素質焼結体からなり、ドクターブレード法により成形したグリーンシートを積層、焼成して形成され、焼成後未加工の状態で表面粗さ(Ra)が1.0μm以下、反り(C)が0.1%以下である炭化珪素質高温構造材料が提案されている。
更に、この特許文献1では、炭化珪素粉末からなるスラリーからドクターブレード法により形成したグリーンシートを積層し、積層されたグリーンシートの表面のうち所定部分を表面粗さ(Ra)5μm以上に粗面化したのち焼成し、ついで粗面化された表面部分に溶射によりジルコニアを含有する被覆層を形成する炭化珪素質高温構造材料の製造方法が提案されている。
また、特許文献2では、平均粒径1μm以下の炭化珪素微粉末に焼結助剤、分散剤、有機バインダ、可塑剤、および有機溶剤を混合したスラリーからドクターブレード法によってグリーンシートを作成し、これを脱脂後、焼成する製造工程において、炭化珪素粉末100重量部に対して有機バインダを10~20重量部、可塑剤を8~15重量部添加することを特徴とする相対密度が90%以上の薄板状炭化珪素焼結体の製造方法が提案されている。
特開2002-316874 特開平10-297971
ところで、セラミック電子部品の焼成には、例えば、ローラーハースキルンに代表される連続炉が用いられ、年々焼成速度(昇温速度、降温速度)の高速化が進められている。
しかしながら、被焼成物が積載されるセッターなどの焼成用道具材の熱容量が大きい場合、焼成用道具材の温度は、炉内温度の昇降に追従するのが困難になり、意図したヒートカーブ(焼成速度特性)での焼成ができないという技術的課題があった。
この焼成用道具材の温度が炉内温度に迅速に追従し、意図したヒートカーブ(焼成速度特性)での焼成を実行するためには、上記特許文献1、2に示された炭化珪素質焼結体よりも、さらに薄く、軽量化、低熱容量化を図る必要があった。
また、この焼成用道具材の被焼成物が載置される表面には、焼成用道具材と被焼成物の付着を防止するための難反応性のジルコニア層が必要である。特許文献1では、密着力を向上させるために表面を粗面化加工し、粗面化された表面部分に溶射によりジルコニアを含有する被覆層を形成することが示されている。
この特許文献1に示されたジルコニアを含有する被覆層の形成には、粗面化加工が必要不可欠であり、生産コストが嵩むという課題があった。
本願発明者らは、このような状況下で鋭意研究し、従来の厚さよりも厚さが薄い、0.2mm~1mmとし、気孔率を15%~60%とすることで低密度とした炭化珪素質焼結体を用いた焼成用道具材を想到するに至り、本発明を完成した。
また、気孔率を15%~60%とすることで、焼成用道具材の炭化珪素質焼結体の表面粗さを、適度な表面粗さとすることができ、この表面にプラズマ溶射でコーティングすることで密着性の良い被膜が得られることを知見し、本発明を完成した。
本発明は、上記状況のもとなされたものであり、軽量化、低熱容量化を実現すると共に、適度な表面粗さを実現した焼成用道具材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた、本発明にかかる焼成用道具材は、被焼成物を載置し、前記被焼成物と共に焼成炉内に収容される、炭化珪素焼結体の表面に形成されたSiO層を有し、前記SiO 層の表面に、さらにムライト、アルミナ、ジルコニアの少なくとも1種のプラズマ溶射膜を有する焼成用道具材において、前記炭化珪素焼結体が平均粒径2.0乃至5.3μm炭化珪素を用いて形成され、炭化珪素粒子が互いに連結し、炭化珪素粒子間に連通気孔が形成された炭化珪素焼結体であって、少なくとも被焼成物を載置する部分の厚みが0.2mm以上1mm未満、かつ気孔率が15%以上60%以下であり、曲げ強度が100MPa以上200MPa以下であることを特徴としている。
このように、少なくとも被焼成物を載置する部分の厚みが0.2mm以上1mm未満、かつ気孔率が15%以上60%以下である焼成用道具材は、軽量化、低熱容量化を図ることができ、焼成用道具材の温度を炉内温度に迅速に追従させることができ、意図したヒートカーブ(焼成速度特性)での焼成を行うことができる。
ここで、少なくとも被焼成物を載置する部分の炭化珪素焼結体の表面に、SiO層を有している。
炭化珪素焼結体(SiC)は、酸素が存在する高温域(おおよそ700℃以上)で酸化が進む。この酸化によって焼成炉内の酸素濃度が変化する。特に、被焼成物を載置する部分を含む近傍の酸素濃度が変化するという問題が生じる。
上記したように少なくとも被焼成物を載置する部分の炭化珪素焼結体の表面に、SiO層を形成することで、炭化珪素焼結体(SiC)の酸化を抑制でき、焼成炉内の酸素濃度をコントロールすることができる。
また、前記炭化珪素焼結体に対し、酸化重量増加率が5%以上10%以下であることが望ましい。
このように、酸化重量増加率が5%以上10%以下の範囲内で、炭化珪素焼結体の表面にSiO層を形成することで、焼成用道具材として十分な強度を得ることができ、また表面に溶射膜を形成した場合でも剥離することのない焼成用道具材を得ることができる。
また、前記炭化珪素焼結体に対し、酸化重量増加率が5%以上10%以下である場合には、曲げ強度が100MPa以上200MPa以下の焼成用道具材を得ることができる。
前記曲げ強度が100MPa未満の場合には、耐久性が劣り、走行中に割れ等の破損が生じるおそれがある。
また、前記SiO層の表面に、さらにムライト、アルミナ、ジルコニアの少なくとも1種のプラズマ溶射膜を有することが望ましい。
前記したように気孔率が15%~60%であるため、表面の表面粗さを適度な表面粗さとすることができ、表面にプラズマ溶射でコーティングした際、密着性の良いプラズマ溶射膜を形成することができる。
本発明によれば、軽量化、低熱容量化を実現すると共に、適度な表面粗さを実現した焼成用道具材を得ることができる。
図1は、本発明にかかる実施形態を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。 図2は、本発明にかかる実施形態の表面状態を示す図である。
本発明にかかる焼成用道具材の実施の形態について説明する。この実施形態では焼成用道具材として、セッターを例にとって説明する。
セッター1は、図1に示すように、上面2と、下面3とから構成されている。
そして、このセッター1の上面2に、セラミック電子部品等の被焼成物が載置され、例えば、ローラーハースキルンに代表される連続炉(焼成炉)で、被焼成物が焼成される。
このセッター1は、炭化珪素焼結体で構成されている。
そして、上面2における少なくとも被焼成物を載置する部分の厚みtが、0.2mm以上1mm未満、かつ気孔率が15%以上60%以下に構成されている。この被焼成物を載置する部分とは、被焼成物を載置する領域を含む上面2の一部を意味するが、上面2の一部に限定されるものではなく、底板部全体の厚さを0.2mm以上1mm未満、かつ気孔率を15%以上60%以下としても良い。
ここで、厚みtを0.2mm以上1mm未満としたのは、セッター1(焼成用道具材)の軽量化、低熱容量化のためである。
このように、セッター1の低熱容量化が望まれるのは、セッター1の熱容量が大きいと被焼成物の加熱に要する熱量に比べ、セッター1の加熱に要する熱量割合が大きくなり、要求される焼成速度が得られない(高速化ができない)ためである。
セッター1(焼成用道具材)の熱容量は、セッター(焼成用道具材)材質の比熱[J/(K・g)]×セッター(焼成用道具材)重量[g]で算出され、熱容量を低減するにはセッター(焼成用道具材)重量をより小さくしなければならない。一方、厚さが厚さ0.2mm未満ではハンドリングが難しく、破損する虞がある。
したがって、前記厚みは0.2mm以上1mm未満であるのが好ましい。
また、気孔率を15%以上60%以下とするのは、セッター1(焼成用道具材)の軽量化、低熱容量化、量産性のためである。また、セッター1(焼成用道具材)に形成されるジルコニア層の密着性の向上のためである。セッター1(焼成用道具材)の表面にジルコニア層を設ける場合は、前記セッターの上下面に形成するのが好ましい。
セッター1は大量に使用されるため、量産性の高いプレス成形、ドクターブレード等のシート成形での製造が好ましいが、これらの製法では60%以上の気孔率を有するセッターの製造は難しい。またスラリーを発砲させキャスティングする等の方法は高気孔率化することができるが、製造コストが高くなる。また、厚みを0.2mm以上1mm未満とした場合、気孔率が60%を超える場合には、機械的強度が弱くなり、製造時の歩留低下、使用時の割れ発生が頻繁になる等のデメリットがある。
したがって、前記気孔率は60%以下とするのが好ましい。
一方、気孔率を15%未満の場合には、セッター(焼成用道具材)の重量が大きり、また熱容量が大きくなる。そのため、セッターの加熱に要する熱量割合が大きくなり、要求される焼成速度が得られず(高速化ができない)、好ましくない。
また、気孔率を15%未満の場合には、表面粗さが小さく、セッターに形成されるジルコニア層が剥離する虞がある。
したがって、前記気孔率は15%以下とするのが好ましい。
このセッター1の気孔Vの状態を図2に示す。この図2は、セッター1(炭化珪素焼結体)の表面(SiO層を形成した状態(プラズマ溶射膜を形成していない状態))を、電子顕微鏡を用いて、1000倍に拡大した組織図である。
セッター1は気孔Vと粒子Pとから形成されている。前記粒子Pは、平均粒径5~25μmであり、互いに連結していることが好ましい。気孔Vは、連通気孔であり通気性を有している。
また、少なくとも被焼成物を載置する部分の炭化珪素焼結体の表面に、SiO層が形成されている。
このSiO層の形成方法は、下記化学式に示すように、大気、酸素、酸素を含む混合ガス雰囲気で800℃~1600℃で加熱し、SiC表面を酸化することにより、SiO層を形成する(酸化処理)。
SiC+3/2O→ SiO+CO
このように、セッター1(炭化珪素焼結体)の表面に、SiO層を形成することで、炭化珪素焼結体(SiC)の酸化を抑制でき、焼成炉内の酸素濃度変化を抑制できる。
尚、被焼成物を載置する部分とは、被焼成物を載置する領域を含む上面2の一部を意味するが、上面2の一部に限定されるものではなく、上面全体に形成しても良い。特に、セッター1全体に、SiO層を形成するのがより好ましい。
少なくとも被焼成物を載置する部分の炭化珪素焼結体の表面のSiO層に、更にムライト、アルミナ、ジルコニアの少なくともいずれかまたは複数がプラズマ溶射法等でプラズマ溶射膜が形成されていることが好ましい。
SiC(SiO)上に直接積載して焼成できないセラミック電子部品(たとえば誘電体のBaTiO等)用の焼成用道具材の表面には、ジルコニアやアルミナ等の層を設ける必要がある。
このプラズマ溶射膜は、ムライト、アルミナ、ジルコニアのいずれかの一つの溶射膜でも良いが、ムライト、アルミナ、ジルコニアから選択される複数の溶射膜であっても良い。
特に、SiCに比較してジルコニア膜は熱膨張が大きいため、両層の間に中間の熱膨張を有するムライト膜、アルミナ膜を順に形成すると、夫々の溶射膜は剥離し難く、優れた耐剥離性を有する。
前記プラズマ溶射膜の厚さは、より薄い方が熱膨張の影響が小さくなるため極力薄くすることが好ましく、20μm~160μm程度が好ましい。
また、このプラズマ溶射膜の形成は、公知の方法、例えば、プラズマ溶射、スラリー塗布焼き付け、コールドスプレー、エアロゾルデポジションなどの方法が適用できる。
次に、このセッターの製造方法について説明する。
まず、セッターの成形には、ドクターブレード法によるシート成形、プレス成形法によるシート成形が好ましい。そして、ドクターブレード法で得られたグリーンシート、プレス法で得られた成形体を非酸化雰囲気で脱脂(400℃~800℃)、焼成(2100℃以上)し焼結体を得る。
具体的に一例を挙げれば、炭化珪素原料と有機溶剤、分散剤、バインダ、可塑剤を混合したスラリーから、ドクターブレード法によってグリーンシートを作製し、脱バインダ後、焼成することにより行われる。
前記炭化珪素原料は、特に限定されるものではなく、市販されているものを使用できる。
溶媒としては、例えば、プロパノール、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、水等を用いることができる。
また、バインダとしては、PVB(ポリビニルブチラール)、メチルセルロース、PVA(ポリビニルアルコール)、アクリル等を用いることができる。また、可塑剤としては、DBP(フタル酸ジブチル)、DEHP(フタル酸ビス(2-エチルヘキシル))、BBP(フタル酸ブチルベンジル)等を用いることができる。
前記焼成後、SiO層の形成がなされる。
このSiO層は、大気、酸素、酸素を含む混合ガス雰囲気で800℃~1600℃で加熱し、SiC表面を酸化することによって形成される。
更に、前記SiO層の形成後、セラミックコンデンサ、サーミスタ、フェライトコア、LTCCのような電子部品を焼成する場合、セッターとこれら電子部品とが反応しないよう、電子部品との反応が最も少ないジルコニアを電子部品との接触個所に被覆することが行われる。ジルコニア膜の膜厚は、10μm~200μm程度である。
また、SiCに比較してジルコニア膜は熱膨張が大きいため、両層の間に中間の熱膨張を有するムライト膜、アルミナ膜を順に形成するのが好ましく、優れた耐剥離性を有する。
このときのムライト膜の膜厚は、10μm~200μm程度である。また、アルミナ膜の膜厚は、10μm~200μm程度である。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は、下記実施例により限定解釈されるものではない。下記実施例及び比較例では、薄い平板状のセッターを用いた。
(実験1)
以下の実施例1乃至6及び比較例1,2に示すように、多孔質炭化珪素焼結体の気孔率を変化させ、被膜の剥離の状況を検証した。
(実施例1)
平均粒径4.5μmの炭化珪素原料に、溶媒としてエタノール、バインダとしてポリビニルブチラール(PVB)、可塑剤としてフタル酸ジブチル(DBP)をボールミルにて混合しスラリーを作製した。
このスラリーを用いてドクターブレード法にて、シート厚さが0.5mmになるようにスラリー厚さを調整してグリーンシートを作製した。
そして、このグリーンシートをアルゴン雰囲気中で、2300℃で焼結(再結晶)させ、縦150mm、横150mm、厚さ0.5mmの多孔質の薄板状の炭化珪素焼結体を得た。
この炭化珪素焼結体を大気中1400℃で加熱し、SiC表面にSiO層を形成した。
この炭化珪素焼結体の重量は23g、見掛け気孔率は39%であった。この見掛け気孔率は、JIS R 2205に基づいて測定した。
更に、その表面にプラズマ溶射にて、ムライト溶射層を30μmの厚さで形成し、さらにその表面にジルコニア溶射層を30μm形成した。
そして、得られた薄板状のセッターを、ローラーハースキルンにて通炉試験(最高昇温速度(℃/H)=100,000)を行った。
その結果、表1に示すように、5回通炉させたが、セッターの膜の剥離はなく、良好な被膜であることが確認された。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で、厚さ0.25mmのグリーンシートを作製し、実施例1と同様の焼成、酸化処理、溶射を行い、セッターを作製した。この溶射前の炭化珪素焼結体の重量は11g、見掛け気孔率は39%であった。
その結果、表1に示すように、5回通炉させたが、セッターの膜の剥離はなく、良好な被膜であることが確認された。
(実施例3)
平均粒径5.3μmの炭化珪素原料に、有機バインダとしてメチルセルロ―ス、水を添加し、プレス成形用の造粒粉を作製した。この造粒粉を1軸プレスにて成形圧力100MPaで成形し、縦150mm、横150mm、厚さ0.8mmのSiC成形体を得た。以降、実施例1と同様の焼成、酸化処理、溶射を行い、セッターを作製した。
溶射前の炭化珪素焼結体の重量は43g、見掛け気孔率は21%であった。
その結果、表1に示すように、5回通炉させたが、セッターの膜の剥離はなく、良好な被膜であることが確認された。
(実施例4)
平均粒径2.0μmの炭化珪素原料を用いて、見掛け気孔率、厚さを変えた炭化珪素焼結体を得た。具体的には、平均粒径2.0μmの炭化珪素原料を用いた以外は実施例1と同様の方法で、厚さ0.4mmのグリーンシートを作製し、実施例1と同様の焼成、酸化処理、溶射を行い、セッターを作製した。この溶射前の炭化珪素焼結体の重量は11g、見掛け気孔率は60%であった。
その結果、表1に示すように、5回通炉させたが、セッターの膜の剥離はなく、良好な被膜であることが確認された。
(実施例5)
平均粒径5.0μmの炭化珪素原料を用いて、見掛け気孔率、厚さを変えた炭化珪素焼結体を得た。具体的には、平均粒径5.0μmの炭化珪素原料を用いた以外は実施例1と同様の方法で、厚さ0.2mmのグリーンシートを作製し、実施例1と同様の焼成、酸化処理、溶射を行い、セッターを作製した。この溶射前の炭化珪素焼結体の重量は12g、見掛け気孔率は15%であった。
その結果、表1に示すように、5回通炉させたが、セッターの膜の剥離はなく、良好な被膜であることが確認された。
(参考例1)
平均粒径4.0μmの炭化珪素原料を用いて、見掛け気孔率、厚さを変えた炭化珪素焼結体を得た。具体的には、平均粒径4.0μmの炭化珪素原料を用いた以外は実施例3と同様の方法で、厚さ1mmのグリーンシートを作製し、実施例3と同様の焼成、酸化処理、溶射を行い、セッターを作製した。この溶射前の炭化珪素焼結体の重量は38g、見掛け気孔率は45%であった。
その結果、表1に示すように、5回通炉させたが、セッターの膜の剥離はなく、良好な被膜であることが確認された。
(比較例1)
平均粒径サブミクロンオーダーの炭化珪素原料に、焼結助剤としてホウ素とカーボンを加え、有機溶剤としてエタノール、分散剤としてマレイン系ポリアニオン、バインダとしてポリビニルブチラール(PVB)、可塑剤としてフタル酸ジブチル(DBP)をボールミルにて混合しスラリーを作製した。
このスラリーを用いてドクターブレード法にてシート厚さ1mmのグリーンシートを作製した。
このグリーンシートを4層重ね、圧着し、得られたシートをアルゴン雰囲気中2150℃で加熱し、多孔質の薄板状の炭化珪素焼結体を得た。薄板状の炭化珪素焼結体の重量は70gで気孔率は0%であった。この炭化珪素焼結体にプラズマ溶射を行ったが、剥離が発生し、溶射層を形成することはできなかった。その結果を表1に示す。
(比較例2)
平均粒径サブミクロンオーダーの炭化珪素原料に、焼結助剤としてホウ素とカーボンを加え、有機バインダとしてメチルセルロ―ス、水を添加し、プレス成形用の造粒粉を作製した。
この造粒粉を1軸プレスにて成形圧力100MPaで成形し、縦150mm、横150mm、厚さ2mmのSiC成形体を得た。
この成形体を比較例1と同様の方法で焼成し、多孔質の薄板状の炭化珪素焼結体を得た。この炭化珪素焼結体の重量は140g、気孔率は0%であった。この炭化珪素焼結体にプラズマ溶射を行ったが、被膜の剥離が発生し、溶射層を形成することはできなかった。その結果を表1に示す。
Figure 0007220527000001
上記実施例1~5,参考例1から分かるように、多孔質炭化珪素焼結体(気孔率15%~60%)で肉薄成形したセッター重量(溶射前)は11g~43gと、比較例1、2の緻密質炭化珪素焼結体(気孔率0%)の70g~140gに比較して半分以下に軽量化され、重量に比例する熱容量も低減される。
また、上記実施例1~5,参考例1では、連続炉(ローラーハースキルン)を高速で通炉させても割れ等の不具合はなく、また被膜の剥離も生じなかった。
一方、比較例1、2の緻密質炭化珪素焼結体では表面が滑らかなため、プラズマ溶射での被膜形成が剥離し、好ましいものではなかった。この剥離を防止するためには、表面を粗面化加工する必要がある。
即ち、本発明にかかる焼成用道具材にあっては、表面の気孔に溶射膜が食い込み、アンカー効果が働き、良好な密着性が得られる。
(実験2)
以下の実施例7乃至9及び比較例3、4に示すように、多孔質炭化珪素焼結体の酸化重量増加率を変化させ、被膜の剥離の状況、焼成用道具材の状況を検証した。
(実施例7)
実施例1と同様に、平均粒径4.5μmの炭化珪素原料に、溶媒としてエタノール、バインダとしてポリビニルブチラール(PVB)、可塑剤としてフタル酸ジブチル(DBP)をボールミルにて混合しスラリーを作製した。
このスラリーを用いてドクターブレード法にて、シート厚さが0.25mmになるようにスラリー厚さを調整してグリーンシートを作製した。
そして、このグリーンシートをアルゴン雰囲気中で、2300℃で焼結(再結晶)させ、縦150mm、横150mm、厚さ0.25mmの多孔質の薄板状の炭化珪素焼結体を得た。
この炭化珪素焼結体を大気中1350℃で加熱し、SiC表面にSiO層を形成した。この溶射前の炭化珪素焼結体の重量は10.9g、見掛け気孔率は39%であった。
このときの酸化重量増加率は、5.8%であった。この酸化重量増加率は、酸化処理前の重量をW0、酸化処理後の重量をW1とし、(W1-W0)/W0 ×100(%)によって求めた。
また、曲げ強度は、103MPaであった。
この曲げ強度は、75mm×30mm×T(厚さ)mmを試料とし、スパン30mmでの3点曲げ試験によって求めた。
更に、その表面にプラズマ溶射にて、ムライト溶射層を30μmの厚さで形成し、さらにその表面にジルコニア溶射層を30μm形成した。
そして、得られた薄板状のセッターを、ローラーハースキルンにて通炉試験(最高昇温速度(℃/H)=100,000)を行った。
その結果、表2に示すように、5回通炉させたが、セッターの膜の剥離はなく、良好な被膜であることが確認された。また、セッターの割れ、破損等がなく、良好であることが判明した。
(実施例8)
炭化珪素焼結体のSiC表面にSiO層を形成する温度を1450℃とし、他の条件は実施例7と同一とした。
この溶射前の炭化珪素焼結体の重量は11.1g、見掛け気孔率は38%であった。
このときの酸化重量増加率は、7.9%であった。また、曲げ強度は、140MPaであった。
更に、その表面にプラズマ溶射にて、ムライト溶射層を30μmの厚さで形成し、さらにその表面にジルコニア溶射層を30μm形成した。
そして、得られた薄板状のセッターを、ローラーハースキルンにて通炉試験(最高昇温速度(℃/H)=100,000)を行った。
その結果、表2に示すように、5回通炉させたが、セッターの膜の剥離はなく、良好な被膜であることが確認された。また、セッターの割れ、破損等がなく、良好であることが判明した。
(実施例9)
炭化珪素焼結体のSiC表面にSiO層を形成する温度を1550℃とし、他の条件は実施例7と同一とした。
この溶射前の炭化珪素焼結体の重量は11.3g、見掛け気孔率は36%であった。
このときの酸化重量増加率は、9.4%であった。また、曲げ強度は、189MPaであった。
更に、その表面にプラズマ溶射にて、ムライト溶射層を30μmの厚さで形成し、さらにその表面にジルコニア溶射層を30μm形成した。
そして、得られた薄板状のセッターを、ローラーハースキルンにて通炉試験(最高昇温速度(℃/H)=100,000)を行った。
その結果、表2に示すように、5回通炉させたが、セッターの膜の剥離はなく、良好な被膜であることが確認された。また、セッターの割れ、破損等がなく、良好であることが判明した。
(実施例10)
炭化珪素焼結体のSiC表面にSiO層を形成する温度を1200℃とし、他の条件は実施例7と同一とした。
この溶射前の炭化珪素焼結体の重量は10.7g、見掛け気孔率は43%であった。
このときの酸化重量増加率は、4.1%であった。また、曲げ強度は70MPaであった。
更に、その表面にプラズマ溶射にて、ムライト溶射層を30μmの厚さで形成し、さらにその表面にジルコニア溶射層を30μm形成した。
そして、得られた薄板状のセッターを、ローラーハースキルンにて通炉試験(最高昇温速度(℃/H)=100,000)を行った。
その結果、表2に示すように、5回通炉させたが、セッターの膜の剥離はなく、良好な被膜であったが、4回目のローラーハースキルン走行中(通炉中)にセッターの割れが生じた。
(実施例11)
炭化珪素焼結体のSiC表面にSiO層を形成する温度を1650℃とし、他の条件は実施例7と同一とした。
この溶射前の炭化珪素焼結体の重量は11.4g、見掛け気孔率は34%であった。
このときの酸化重量増加率は、10.8%であった。また、曲げ強度は220MPaであった。
更に、その表面にプラズマ溶射にて、ムライト溶射層を30μmの厚さで形成し、さらにその表面にジルコニア溶射層を30μm形成した。
そして、得られた薄板状のセッターを、ローラーハースキルンにて通炉試験(最高昇温速度(℃/H)=100,000)を行った。
Figure 0007220527000002
実施例7乃至11から分かるように、酸化重量増加率が5%未満の場合には、焼成用道具材として十分な強度を得ることができず、割れ等の破損が生じる虞がある。一方、酸化重量増加率が10%を越える場合、酸化処理時に高温になるため、変形する虞れや溶射膜の剥離の虞れがある。また、高温での酸化処理のため、エネルギーコスト、炉材コストが高くなり現実的ではない。したがって、酸化重量増加率が5%以上10%以下の範囲内で、炭化珪素焼結体の表面にSiO層を形成することで、焼成用道具材として十分な強度を得ることができる。 また、前記炭化珪素焼結体に対し、酸化重量増加率が5%以上10%以下である場合には、曲げ強度が100MPa以上200MPa以下の焼成用道具材を得ることができ、割れ等の破損が生じるおそれがなく、焼成用道具材としては好適に用いることができる。
1 セッター
2 上面
3 下面
t 厚み

Claims (2)

  1. 被焼成物を載置し、前記被焼成物と共に焼成炉内に収容される、炭化珪素焼結体の表面に形成されたSiO層を有し、前記SiO 層の表面に、さらにムライト、アルミナ、ジルコニアの少なくとも1種のプラズマ溶射膜を有する焼成用道具材において、
    前記炭化珪素焼結体が平均粒径2.0乃至5.3μm炭化珪素を用いて形成され、炭化珪素粒子が互いに連結し、炭化珪素粒子間に連通気孔が形成された炭化珪素焼結体であって、
    少なくとも被焼成物を載置する部分の厚みが0.2mm以上1mm未満、かつ気孔率が15%以上60%以下であり、
    曲げ強度が100MPa以上200MPa以下であることを特徴とする焼成用道具材。
  2. 前記炭化珪素焼結体に対し、酸化重量増加率が5%以上10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の焼成用道具材。
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