JP2015074573A - 焼成用さや及び電子部品の製造方法 - Google Patents

焼成用さや及び電子部品の製造方法 Download PDF

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Yasumasa Fujita
泰誠 藤田
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Abstract

【課題】容易に製造できる焼成用さや及びこれを用いた電子部品の製造方法を提供することである。【解決手段】被焼成体の焼成時に該被焼成体が載置される焼成用さや10であって、15%以上40%以下の気孔率を有するセラミック基材12と、前記セラミック基材12の主面に設けられている窒化ホウ素膜14と、を備えていること、を特徴とする焼成用さや10。【選択図】図2

Description

本発明は、焼成用さや及びこれを用いた電子部品の製造方法に関し、より特定的には、金属粉末及びガラスを含んだ電極を備えている電子部品の製造に用いられる焼成用さや及びこれを用いた電子部品の製造方法に関する。
電子部品の製造工程では、金属粉末及びガラスを含んだ導電性ペーストを積層体に塗布し、所定の温度及び雰囲気で焼成を行って電極を形成する。このような電極の焼成工程では、セッターと呼ばれる焼成用さやが用いられる。焼成用さやは、金属基材又はセラミック基材、及び、金属基材又はセラミック基材の表面上に設けられた窒化ホウ素膜を備えている。窒化ホウ素はガラスと低い濡れ性を有している。これにより、電極が焼成用さやに固着することが抑制される。
しかしながら、窒化ホウ素は、金属やセラミック等に対しても低い濡れ性を有している。そのため、窒化ホウ素膜は、金属基材又はセラミック基材に対して密着しにくい。
そこで、特許文献1に記載の立方晶窒化ホウ素を被覆した材料が知られている。特許文献1に記載の立方晶窒化ホウ素を被覆した材料では、鉄系金属を含まない基体、或いは鉄系金属の触媒作用を封じた鉄系金属を含む基体の表面に、一次元、或いは二次元規則性をもつ直線状の溝を複数形成し、その上に立方晶窒化ホウ素をコーティングしている。これにより、溝の垂直方向に対する膜密着性が向上する。
しかしながら、特許文献1に記載の立方晶窒化ホウ素を被覆した材料では、基体の表面に溝を研磨等により形成する工程が必要であるので、製造工程数が増加するという問題がある。特に、立方晶窒化ホウ素の密着性を向上させるためには、微細な溝を形成する必要があるので、立方晶窒化ホウ素を被覆した材料の製造が困難となる。
特開2011−174110号公報
そこで、本発明の目的は、容易に製造できる焼成用さや及びこれを用いた電子部品の製造方法を提供することである。
本発明の一形態に係る焼成用さやは、被焼成体の焼成時に該焼成体が載置される焼成用さやであって、15%以上40%以下の気孔率を有するセラミック基材と、前記セラミック基材の主面に設けられている窒化ホウ素膜と、を備えていること、を特徴とする。
本発明の一形態に係る電子部品の製造方法は、金属粉末及びガラスを含んだ電極を備えた電子部品の製造方法であって、15%以上40%以下の気孔率を有するセラミック基材と、該セラミック基材の主面に設けられている窒化ホウ素膜と、を備えている焼成用さやの該窒化ホウ素膜上に前記電子部品を載置して、前記電極を焼成すること、を特徴とする。
本発明によれば、焼成用さやを容易に製造できる。
焼成用さやの外観斜視図である。 図1の焼成用さやのA−Aにおける断面構造図である。 外部電極の焼成時における焼成用さや及び電子部品を示した外観斜視図である。
以下に本発明の一実施形態に係る焼成用さや及びこれを用いた電子部品の製造方法について説明する。
(焼成用さやの構成)
図1は、焼成用さや10の外観斜視図である。図2は、図1の焼成用さや10のA−Aにおける断面構造図である。以下では、焼成用さや10の主面に対する垂直方向を上下方向と定義し、焼成用さや10を上側から平面視したときの各辺の延在する方向を左右方向及び前後方向と定義する。
焼成用さや10は、チップ型電子部品の外部電極の焼成に用いられるセッターである。焼成用さや10は、図1に示すように、セラミック基材12及び窒化ホウ素膜14を備えている。
セラミック基材12は、長方形状の板であり、対向する2つの主面(上面及び下面)と、対向する2つの主面の外縁をとり囲む側面と、を有する。セラミック基材12は、アルミナ系、ムライト系又はSiC系のセラミックにより作製されている。また、セラミック基材12の上面にZrO2のコーティングが施されていてもよい。本実施形態に係る焼成用さや10では、セラミック基材12は、ムライト系のセラミックにより作製されている。セラミック基材12は、図2に示すように、無数の気孔Pが形成された多孔質部材である。セラミック基材12の気孔率は、15%以上40%以下である。セラミック基材12の厚みは1mm〜5mmであり、セラミック基材12の前後方向及び左右方向の長さは100mmである。ただし、セラミック基材12のサイズはこれに限らない。
窒化ホウ素膜14は、セラミック基材12の上面を覆うように設けられている。窒化ホウ素膜14は、例えば、立方晶窒化ホウ素、六方晶窒化ホウ素、乱層構造窒化ホウ素、非晶質窒化ホウ素等により作製される。窒化ホウ素材料は離型性を有する。また、窒化ホウ素材料は金属の触媒作用により変質するが、セラミックに対しては変質することが少ない。本実施形態に係る焼成用さや10では、窒化ホウ素膜14は、立方晶窒化ホウ素により作製されている。
また、図2に示すように、セラミック基材12には無数の気孔Pが形成されているので、セラミック基材12の上面には凹凸が形成されている。そして、窒化ホウ素膜14は、セラミック基材12の上面に形成された凹凸を埋めるように形成されている。すなわち、窒化ホウ素膜14は、セラミック基材12の上面の凹凸に食い込んでいる。窒化ホウ素膜14の膜厚は、5μm以上1000μm以下である。なお、図2はイメージ図であるので、図2における気孔Pの直径や窒化ホウ素膜14の膜厚等のサイズは実際のサイズとは異なっている。
(焼成用さやの製造方法)
次に、焼成用さや10の製造方法について図面を参照しながら説明する。
まず、ムライト系のセラミック粉末を準備する。そして、セラミック粉末に対して、平均粒径40μmの架橋アクリル樹脂ビーズを混合する。そして、セラミック粉末及び樹脂ビーズの混合物に対して、所定の溶媒を混ぜることによりセラミックスラリーを作製する。
次に、セラミックスラリーを型に流し込み、乾燥させる。その後、セラミックスラリーの成形体を型から取り出して、1650℃で30時間の条件で焼成を行う。焼成の際に、樹脂ビーズが焼失し、多孔質のセラミック基材12を得ることができる。
次に、セラミック基材12の主面に窒化ホウ素膜14を形成する。まず、窒化ホウ素粒子と所定の溶媒(水)とを混ぜることにより、窒化ホウ素スラリーを得る。
次に、窒化ホウ素スラリーをスプレーによりセラミック基材12の主面に対して塗布し、一昼夜乾燥させる。これにより、焼成用さや10が完成する。なお、比較的に厚い窒化ホウ素膜14を形成したい場合には、スプレーによる塗布と乾燥とを複数回繰り返せばよい。また、スプレーによる塗布の代わりに、ドクターブレード法や含浸処理法等が用いられてもよい。また、乾燥時間短縮のため、乾燥炉による強制乾燥を実施してもよい。
(電子部品の製造方法)
以下に、本発明の一実施形態に係る電子部品の製造方法について図面を参照しながら説明する。図3は、外部電極24の焼成時における焼成用さや10及び電子部品20を示した外観斜視図である。
電子部品20は、図3に示すように、本体22及び2つの外部電極24を備えている。本体22は、前後方向に長手方向を有する直方体状をなしており、例えば、複数の絶縁体層が上下方向に積層された積層体である。また、本体22は、図示しないコイルやコンデンサ等の回路素子を内蔵している。なお、本体22として、積層体の代わりに、樹脂等が固められた素体が用いられてもよい。
2つの外部電極24は、本体22の前後方向の2つの端面を覆っており、端面に隣接する上面、下面及び2つの側面の一部にも設けられている。
まず、本体22を作製する。具体的には、大判のセラミックグリーンシート上にスクリーン印刷により、回路素子となる導体層を形成する。導体層を接続する必要のある場合は、ビアホール導体を形成する。なお、導体層の形成工程及びビアホール導体の形成工程は、一般的なこれらの形成工程と同じであるので、説明を省略する。
次に、セラミックグリーンシートを積層する。具体的には、セラミックグリーンシートを1枚ずつ積層及び仮圧着して、マザー積層体を得る。そして、マザー積層体に対して静水圧プレスなどにより圧着を行う。
次に、マザー積層体をダイサー等によりカットすることにより、複数の未焼成の本体22を得る。更に、未焼成の本体22を焼成することにより、焼成された本体22を得る。
次に、本体22の両端面に、金属粉末(例えば、Cu粉末)及びガラスを含んだ導電性ペーストを塗布して、外部電極24の下地電極を形成する。更に、下地電極が形成された本体22を図3に示すように、焼成用さや10の窒化ホウ素膜14上に並べて載置する。そして、焼成炉において、800℃以上1000℃以下の温度、及び、1.0×10-14MPa以下の酸素濃度の条件下で外部電極24の下地電極を焼成する。
最後に、下地電極の表面にNiめっき及びSnめっきを施す。これにより、電子部品20が完成する。
(効果)
本実施形態に係る焼成用さや10によれば、窒化ホウ素膜14がセラミック基材12に対して密着するようになる。より詳細には、セラミック基材12は、15%以上40%以下の気孔率を有する多孔質部材である。そのため、図2に示すように、セラミック基材12の上面には微細な凹凸が形成されている。これにより、窒化ホウ素膜14は、セラミック基材12の上面の凹凸を埋めるように形成される。よって、アンカー効果によって、窒化ホウ素膜14がセラミック基材12により強固に密着するようになる。また、窒化ホウ素材料は離型性を有するので、窒化ホウ素膜14の上に載置された電子部品20がくっつきにくくなる。以上より、電子部品20の外部電極24の下地電極の焼成時に、電子部品20が窒化ホウ素膜14に固着したり、窒化ホウ素膜14がセラミック基材12からはがれたりすることが抑制される。
また、本実施形態に係る焼成用さや10によれば、焼成用さや10を容易に製造することができる。より詳細には、焼成用さや10では、セラミック基材12が多孔質部材であることにより、セラミック基材12の主面に凹凸が形成されている。このような多孔質部材であるセラミック基材12の作製には、セラミック基材12の材料となるセラミックスラリーに樹脂ビーズを混入し、セラミックスラリーを型に流し込んで成形した後に焼成すればよい。よって、本実施形態に係る焼成用さや10によれば、セラミック基材12の主面に凹凸を形成するために、セラミック基材12に対して加工を施す必要がない。その結果、焼成用さや10を容易に製造することが可能となる。なお、セラミック基材12は、15%以上40%以下の気孔率を有していることが好ましいことが、後述する実験結果より分かっている。
また、本実施形態に係る電子部品20の製造方法では、焼成用さや10を用いて、1.0×10-14MPa以下の酸素濃度の条件下で外部電極24の下地電極を焼成している。これにより、焼成時における電子部品20の固着や窒化ホウ素膜14のはがれが抑制されることが後述する実験結果より分かっている。
また、電子部品20の外部電極24の焼成温度の上限は、1000℃であることが好ましい。焼成温度が1000℃を超えると、外部電極24中のCuが過焼結を起こして、外部電極24と本体22内の導体とが接続されないためである。
(第1の実験)
本願発明者は、セラミック基材12の好ましい気孔率を求めるために、以下に説明する第1の実験を行った。まず、本願発明者は、以下に示す焼成用さや10の5種類のサンプルA〜サンプルEを50枚ずつ作製した。
サンプルA:気孔率10%,窒化ホウ素膜14の膜厚50μm
サンプルB:気孔率15%,窒化ホウ素膜14の膜厚50μm
サンプルC:気孔率30%,窒化ホウ素膜14の膜厚50μm
サンプルD:気孔率40%,窒化ホウ素膜14の膜厚50μm
サンプルE:気孔率50%,窒化ホウ素膜14の膜厚50μm
サンプルA〜サンプルEのその他の製造条件は、焼成用さや10の製造方法において説明した条件であるので説明を省略する。
次に、サンプルA〜サンプルEに複数の電子部品20を載置し、外部電極24の下地電極の焼成を500回繰り返して、窒化ホウ素膜14の膜厚を測定した。電子部品20のサイズは長さ3.2mm、幅2.25mmのものを用いた。電子部品20の個数は約1000個/焼成用さや、焼成温度は800℃〜900℃、焼成時間は0.5時間〜1時間とした。窒化ホウ素膜14の膜厚の測定では、マイクロメーターにより1枚のサンプルに対して9か所における窒化ホウ素膜14の膜厚を測定し、これらの第1の平均値を求めた。更に、50枚のサンプルのそれぞれの第1の平均値の第2の平均値を求めて窒化ホウ素膜14の膜厚とした。表1は、第1の実験の結果を示した表である。第1の実験では、300回の焼成を行っても、窒化ホウ素膜14の膜厚が5μm以上残存しているサンプルについて良と判定した。表では、良をGと表記し、不良をNGと表記した。なお、5μm以上のサンプルを良と判定した理由は、後述する第3の実験において、電子部品20の固着(電子部品20と窒化ホウ素膜14との固着)及び窒化ホウ素膜14のはがれ(窒化ホウ素膜14のセラミック基材12からのはがれ)を防止するためには、窒化ホウ素膜14の膜厚が5μm以上であることが好ましいことが分かっているためである。
Figure 2015074573
表1によれば、10%の気孔率を有するサンプルAでは、150回の焼成が行われると、窒化ホウ素膜14の膜厚が4μmとなった。よって、サンプルAについては、不良と判定した。一方、15%以上の気孔率を有するサンプルB、サンプルC及びサンプルDでは、300回以上の焼成が行われても、窒化ホウ素膜14の膜厚が5μm以上であった。なお、サンプルEでは、300回以上の焼成が行われても、窒化ホウ素膜14の膜厚が5μm以上であることが明らかであるので、実験を行わなかった。よって、電子部品20の固着及び窒化ホウ素膜14のはがれを防止する観点から、セラミック基材12の気孔率は、15%以上が好ましいことが分かる。
以上のように、セラミック基材12の気孔率が高くなるにしたがって、窒化ホウ素膜14が残存しやすいことが分かる。以下に理由を説明する。
外部電極24の下地電極の焼成は、1回行うたびに、ブラシなどにより電子部品20を焼成用さや10から掻き落とす(ブラッシング)。そのため、ブラッシングの度に窒化ホウ素膜14が僅かに削られる。窒化ホウ素膜14が削られて薄くなると、窒化ホウ素膜14の強度が低下する。
ただし、1回のブラッシングにより窒化ホウ素膜14が削られる量は、セラミック基材12の気孔率に関係なく一律である。しかしながら、セラミック基材12の気孔率が低くなれば、窒化ホウ素膜14のセラミック基材12に対する密着性が低くなるので、窒化ホウ素膜14がセラミック基材12からはがれやすくなる。よって、低い気孔率を有するサンプル及び高い気孔率を有するサンプルのいずれにおいても同様に窒化ホウ素膜14が薄くなったとしても、低い気孔率を有するサンプルの方が、高い気孔率を有するサンプルに比べて、窒化ホウ素膜14のはがれが発生しやすい。
ここで、窒化ホウ素膜14の膜厚の測定では、マイクロメーターにより1枚のサンプルに対して9か所における窒化ホウ素膜14の膜厚を測定し、これらの第1の平均値を求めた。窒化ホウ素膜14にはがれが発生していない場合には、窒化ホウ素膜14の膜厚の減少はブラッシングによる削れに依存する。このとき、低い気孔率を有するサンプルの窒化ホウ素膜14の膜厚と、高い気孔率を有するサンプルの窒化ホウ素膜14の膜厚とは、略等しい。ただし、前記の通り、低い気孔率を有するサンプルの方が、高い気孔率を有するサンプルに比べて、窒化ホウ素膜14のはがれが発生しやすい。窒化ホウ素膜14のはがれが発生すると、第1の平均値が低下し、更に、第2の平均値が低下する。その結果、低い気孔率を有するセラミック基材12の窒化ホウ素膜14の膜厚が、高い気孔率を有するセラミック基材12の窒化ホウ素膜14の膜厚よりも小さくなる。
(第2の実験)
本願発明者は、セラミック基材12の好ましい気孔率を求めるために、以下に説明する第2の実験を行った。まず、本願発明者は、焼成用さや10の5種類のサンプルA〜サンプルEを50枚ずつ作製した。サンプルA〜サンプルEの条件については、既に説明したので省略する。
次に、サンプルA〜サンプルEに電子部品20を載置し、外部電極24の下地電極の焼成を500回繰り返して、セラミック基材12に割れが発生した割合を調べた。表2は、第2の実験の結果を示した表である。表2において、例えば、サンプルEの50回の欄に10%と記載されている意味は、1回目〜50回目までの焼成において、50枚のサンプルEの内の5枚のサンプルEに割れが発生したことを意味する。第2の実験では、300回の焼成を行っても、セラミック基材12に割れが発生しなかったサンプルについて良と判定した。
Figure 2015074573
表2によれば、50%の気孔率を有するサンプルEでは、50回の焼成が行われると、セラミック基材12に割れが発生した。一方、40%以下の気孔率を有するサンプルB、サンプルC及びサンプルDでは、300回以上の焼成が行われても、セラミック基材12に割れが発生しなかった。なお、サンプルAでは、300回以上の焼成が行われても、セラミック基材12に割れが発生しないことが明らかであるので、実験を行わなかった。よって、セラミック基材12の割れの観点から、セラミック基材12の気孔率は、40%以下が好ましいことが分かる。
以上のように、第1の実験及び第2の実験によれば、セラミック基材12の気孔率は、15%以上40%以下が好ましいことが分かる。
(第3の実験)
次に、本願発明者は、窒化ホウ素膜14の好ましい膜厚を求めるために、以下に説明する第3の実験を行った。まず、本願発明者は、以下に示す焼成用さや10の5種類のサンプルF〜サンプルIを100枚ずつ作製した。なお、サンプルF〜サンプルIのその他の製造条件は、焼成用さや10の製造方法において説明した条件であるので説明を省略する。
サンプルF:気孔率30%,窒化ホウ素膜14の膜厚3μm
サンプルG:気孔率30%,窒化ホウ素膜14の膜厚5μm
サンプルH:気孔率30%,窒化ホウ素膜14の膜厚50μm
サンプルI:気孔率30%,窒化ホウ素膜14の膜厚100μm
サンプルF〜サンプルIのその他の製造条件は、焼成用さや10の製造方法において説明した条件であるので説明を省略する。
次に、サンプルF〜サンプルIに複数の電子部品20を載置し、外部電極24の下地電極の焼成を500回繰り返して、電子部品20が窒化ホウ素膜14に固着した割合(以下、固着率と称す)、及び、窒化ホウ素膜14にはがれが発生した割合(以下、はがれ率と称す)を調べた。すなわち、第3の実験では、窒化ホウ素膜14の性能劣化を調べた。電子部品20が1つでも固着した場合には、固着が発生したと判定した。同様に、窒化ホウ素膜14に1箇所でもはがれが発生した場合には、はがれが発生したと判定した。なお、電子部品20のサイズは長さ3.2mm、幅2.25mmのものを用いた。電子部品20の個数は約1000個/焼成用さや、焼成温度は800℃〜900℃、焼成時間は0.5時間〜1時間とした。
表3は、第3の実験の結果を示した表である。表3において、例えば、サンプルFの75回の欄に固着率が3%と記載されている意味は、1回目〜75回目までの焼成において、100枚のサンプルFの内の3枚のサンプルFに固着が発生したことを意味する。同様に、表3において、例えば、サンプルFの75回の欄にはがれ率が2%と記載されている意味は、1回目〜75回目までの焼成において、100枚のサンプルFの内の2枚のサンプルFにはがれが発生したことを意味する。そして、第3の実験では、300回の焼成を行っても、固着率及びはがれ率の合計が5%より小さいサンプルについて良と判定した。なお、1枚の焼成用さやに、固着およびはがれの両方が発生した場合は、はがれの方にカウントした。
Figure 2015074573
表3によれば、窒化ホウ素膜14の膜厚が3μmであるサンプルFでは、75回の焼成が行われると、固着率とはがれ率の合計が5%以上となった。一方、窒化ホウ素膜14の膜厚が5μm以上であるサンプルG、サンプルH及びサンプルIでは、300回以上の焼成が行われても、固着率及びはがれ率の合計が5%より小さかった。よって、電子部品20の固着及び窒化ホウ素膜14のはがれの観点(すなわち、窒化ホウ素膜14の性能の観点)から、窒化ホウ素膜14の膜厚は、5μm以上であることが好ましいことが分かる。
(第4の実験)
次に、本願発明者は、焼成用さや10を用いた電子部品20の製造方法における好ましい条件を調べるために、以下に説明する第4の実験を行った。具体的には、焼成時の雰囲気の酸素濃度が高くなれば、窒化ホウ素膜14が昇華してしまい離型性が低減するので、その確認実験を行なった。そこで、本願発明者は、サンプルCを用いて、焼成時の雰囲気の酸素濃度を変化させて、電子部品20の外部電極24の下地電極の焼成を100回繰り返した。酸素濃度は、1.0×10-17MPa、1.0×10-15MPa、1.0×10-14MPa、1.0×10-13MPa、1.0×10-12MPa、1.0×10-10MPaとした。また、焼成温度の最高温度を900℃とした。
本願発明者は、サンプルの外観を観察して、窒化ホウ素膜14の昇華の有無を判定した。更に、窒化ホウ素膜14のはがれ及び電子部品20の固着の発生の有無も判定した。そして、100回の焼成後に、昇華、はがれ又は固着のいずれもが発生しなかったサンプルを良と判定した。表4は、第4の実験の結果を示した表である。
Figure 2015074573
表4によれば、酸素濃度が1.0×10-13MPa以上である場合には、100回以下の焼成で、昇華、はがれ又は固着のいずれかが発生した。一方、酸素濃度は、1.0×10-14MPa以下である場合には、焼成を100回行っても、昇華、はがれ又は固着が発生しなかった。よって、焼成用さや10を用いた電子部品20の製造方法では、酸素濃度は、1.0×10-14MPa以下であることが好ましい。なお、酸素濃度は、1.0×10-20MPa以上であることが好ましい。1.0×10-20MPaより値が小さいと、外部電極24中のガラス成分が揮発する可能性があるからである。
(その他の実施形態)
本発明に係る焼成用さや及びこれを用いた電子部品の製造方法は、前記実施形態に係る焼成用さや10及びこれを用いた電子部品20の製造方法に限らない。
なお、窒化ホウ素膜は、セラミック基材12の上面及び下面に設けられてもよいし、上面のみに設けられていてもよい。また、セラミック基材12の側面を含む全面に設けられていてもよい。
本発明は、焼成用さや及びこれを用いた電子部品の製造方法に有用であり、特に、焼成用さやを容易に製造できる点において優れている。
10 焼成用さや
12 セラミック基材
14 窒化ホウ素膜
20 電子部品
22 本体
24 外部電極

Claims (4)

  1. 被焼成体の焼成時に該被焼成体が載置される焼成用さやであって、
    15%以上40%以下の気孔率を有するセラミック基材と、
    前記セラミック基材の主面に設けられている窒化ホウ素膜と、
    を備えていること、
    を特徴とする焼成用さや。
  2. 前記窒化ホウ素膜の厚さは、5μm以上であること、
    を特徴とする請求項1に記載の焼成用さや。
  3. 金属粉末及びガラスを含んだ電極を備えた電子部品の製造方法であって、
    15%以上40%以下の気孔率を有するセラミック基材と、該セラミック基材の主面に設けられている窒化ホウ素膜と、を備えている焼成用さやの該窒化ホウ素膜上に前記電子部品を載置して、前記電極を焼成すること、
    を特徴とする電子部品の製造方法。
  4. 1.0×10-14MPa以下の酸素濃度の条件下において前記電極を焼成すること、
    を特徴とする請求項3に記載の電子部品の製造方法。
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