JP2007308731A - 焼結用セッター材 - Google Patents
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Abstract
【課題】焼結時における炭素材による被焼結体への浸炭現象や、被焼結体と炭素材との溶着を抑制すると共に、繰返し使用における耐久性に優れ、かつ低コストの炭素系セッター材を提供すること。
【解決手段】織布又は不織布状の炭素繊維の表面に気相成長法によってSiC、Si3N4、Al2O3、AlN、BN等のセラミックスの被膜を0.1〜5μm厚に形成したものを焼結用セッター材とする。このセッター材はグラファイト又はC/Cコンポジットからなる焼結用治具の表面に載置するか、機械的に固定するか、又は、接着剤によって接着固定して使用することができる。
【選択図】なし
【解決手段】織布又は不織布状の炭素繊維の表面に気相成長法によってSiC、Si3N4、Al2O3、AlN、BN等のセラミックスの被膜を0.1〜5μm厚に形成したものを焼結用セッター材とする。このセッター材はグラファイト又はC/Cコンポジットからなる焼結用治具の表面に載置するか、機械的に固定するか、又は、接着剤によって接着固定して使用することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、合金製品やセラミックス製品などを焼結する際に用いるセッター材に関する。
従来、合金製品やセラミックス製品などを焼結する際には、被焼結体と受台とが反応して焼付き等が起こるのを防止するために被焼結体と受台との間に敷板や敷粉などのいわゆる焼結用セッターを配置することが行われている。
この焼結用セッターとしては、被焼結体及び受台と反応しないことのみならず、耐熱性、耐熱伝導性に優れていること、軽量で滑強度が高いこと、被焼結体に不純物が混入しないこと、作業性や取り扱い性に優れ、被焼結体の焼結工程における生産性が高いことなどの特性が要求される。
このような特性が要求される焼結用セッターの材料としては、これまで、セラミックス系、金属系、炭素系などの材料が用いられてきた。
この焼結用セッターとしては、被焼結体及び受台と反応しないことのみならず、耐熱性、耐熱伝導性に優れていること、軽量で滑強度が高いこと、被焼結体に不純物が混入しないこと、作業性や取り扱い性に優れ、被焼結体の焼結工程における生産性が高いことなどの特性が要求される。
このような特性が要求される焼結用セッターの材料としては、これまで、セラミックス系、金属系、炭素系などの材料が用いられてきた。
セラミックス系の材料としてはシリカ(SiO2)やアルミナ(Al2O3)などの焼結体が用いられており、また、これらのセラミック基板の表面を微粒子状のアルミナやジルコニア(ZrO2)等の金属酸化物の粉末を被覆したものも提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、これらのセラミックス系のセッター材は、一般に熱伝導性が悪く、また、セラミック基板に金属酸化物の粉末を被覆したものは、セラミック基板と金属酸化物粉末との密着性が不十分であるため剥離しやすく、繰返し使用性に劣るという問題がある。
また、金属系セッター材は、熱伝導性は良好であるものの、耐熱性に劣るという欠点を有している。
また、金属系セッター材は、熱伝導性は良好であるものの、耐熱性に劣るという欠点を有している。
これに対し、炭素系材料は、耐熱性や熱伝導性が良好で、比較的軽量であり、複雑な形状ものを容易に作製することができるなどの特徴を有することから、焼結用セッター材および受台として多用されている。
この炭素系セッター材としては、例えばコークスなどの粉粒体をピッチを用いて成形し、焼成、黒鉛化したものや、炭素粉末又は炭素繊維とアルミナ等の粉末とをメチルセルロース及び熱硬化性樹脂をバインダーと混練し、シート化して焼成したものが用いられている。
この炭素系セッター材としては、例えばコークスなどの粉粒体をピッチを用いて成形し、焼成、黒鉛化したものや、炭素粉末又は炭素繊維とアルミナ等の粉末とをメチルセルロース及び熱硬化性樹脂をバインダーと混練し、シート化して焼成したものが用いられている。
このような炭素系セッター材は、焼結用セッター材として優れているものの、被焼結体が合金製品の場合、焼結中に合金製品に炭素が混入するいわゆる浸炭の問題が生じることがある。従って、この浸炭の問題を解決するために、従来から、表面にカーボンブラック、アルミナ、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ジルコニウム、窒化ホウ素などの粉末を敷粉として使用することが行われていた。
しかしながら、被焼結体が炭化タングステン(WC)などの超硬合金である場合には以下に示すような問題が生じることがある。すなわち、超硬合金は、例えばWC粉末を、コバルトを結合剤として加圧、成形して1300〜1700℃程度の温度で焼結することによって作製され、各種の鋼や鋳鉄などの切削用工具として用いられるが、この超硬合金は焼結時に炭素系セッター材との間で反応や溶着が起こりやすく、前記したようなセッター材表面に各種の粉末を敷粉として使用するという方法では、被焼結体の溶着、浸炭不良、変形などが生じやすい。また、粉末を敷粉として使用する方法では、使用する毎に清掃除去と敷粉の追加と散布を行う必要があり、作業性が低下するという問題もある。
そこで、炭素系セッター材表面に、超硬合金と反応や溶着を起こしにくい物質の被膜を形成することが試みられている。例えば特許文献2には、硝酸アルミニウムの水溶液を含浸させた高純度炭素基板を高温焼結することによって、基板の細孔にAl2O3が充填された超硬合金チップ焼結用トレーが開示されている。しかしながら、この焼結用トレーにおいては、基板の細孔中のAl2O3は脱落しにくく粉末を再塗布する必要はないものの、焼結時にAl2O3と超硬合金とが比較的反応しやすいため、寿命が短く、還元生成したAlが超硬合金中に拡散して超硬合金の品質を低下させるという問題がある。
また、特許文献3には、超硬合金又はサーメットの焼結用トレーとして、20重量%以上のZrO2を有する平均厚さ10μm以上のY2O3膜を被覆したグラファイトトレーを使用することが開示されている。しかしながら、このグラファイトトレーは、被覆層がAl2O3であるものよりも安定であるために寿命の点ではかなり改善されてはいるものの、高価であり経済性に問題がある。
更に、特許文献4には、炭素材の表面に酸化エルビウム等のランタン系希土類金属酸化物を主成分とする被覆膜を形成することにより品質的に安定した製品の焼結を可能にした硬質焼結合金用の焼結用セッターが開示されている。しかしながら、この焼結用セッターは、被覆膜として高価なランタン系希土類金属酸化物を用いているうえ、被覆膜の形成にプラズマ溶射法等を採用しているため、コスト高となるのを免れないばかりか、炭素材と被覆膜との熱膨張差によって繰返し使用することで被覆膜が炭素材から剥離しやすくなり寿命が短いという欠点がある。
近年自動車業界等では金属粉末成形体を焼結してなる各種焼結金属製品の性能向上が図られており、前記した浸炭の問題は重要になってきていることに加えて、その生産量も大量になってきており、その製造に必要となる焼結用セッターの使用量も多量となってきている。このため、焼結用セッターについてもその生産性が高く安価であることがますます求められている。
本発明は、炭素系セッター材において、焼結時における炭素材による被焼結体への浸炭現象や、被焼結体と炭素材との溶着を抑制すると共に、繰返し使用における耐久性に優れ、かつ低コストの炭素系セッター材を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は下記に記載する通りの構成を有する焼結用セッター材及び該焼結用セッター材を用いた焼結方法である。
(1)炭素繊維シートの繊維表面にセラミックスの被膜を形成してなる焼結用セッター材。
(2)セラミックスがSiC、Si3N4、SiO2、B2O3、ZrO2、Al2O3、AlN及びBNよりなる群から選ばれる一種であることを特徴とする上記(1)記載の焼結用セッター材。
(3)炭素繊維シートが炭素繊維の織布又は不織布であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の焼結用セッター材。
(4)セラミックス被膜の厚さが0.1〜5μmであることを特徴とする上記(1)〜(3)に記載の焼結用セッター材。
(5)セラミックス被膜が気相成長法により形成されたことを特徴とする上記(1)〜(4)に記載の焼結用セッター材。
(6)セラミックス被膜が、セラミックス前駆体の溶液を炭素繊維シートに塗布又は含浸した後、該セラミックス前駆体を熱分解することによって得られたことを特徴とする上記(1)〜(5)に記載の焼結用セッター材。
(7)上記(1)〜(6)に記載の焼結用セッター材を用いて被焼結品を焼結することを特徴とする焼結方法。
(8)焼結用セッター材をグラファイト又はC/Cコンポジットからなる焼結用治具の表面に載置するか、機械的に固定するか、又は、接着剤によって接着固定して使用することを特徴とする上記(7)に記載の焼結方法。
(9)被焼結品が超硬合金又は磁性合金であることを特徴とする上記(7)又は(8)に記載の焼結方法。
(1)炭素繊維シートの繊維表面にセラミックスの被膜を形成してなる焼結用セッター材。
(2)セラミックスがSiC、Si3N4、SiO2、B2O3、ZrO2、Al2O3、AlN及びBNよりなる群から選ばれる一種であることを特徴とする上記(1)記載の焼結用セッター材。
(3)炭素繊維シートが炭素繊維の織布又は不織布であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の焼結用セッター材。
(4)セラミックス被膜の厚さが0.1〜5μmであることを特徴とする上記(1)〜(3)に記載の焼結用セッター材。
(5)セラミックス被膜が気相成長法により形成されたことを特徴とする上記(1)〜(4)に記載の焼結用セッター材。
(6)セラミックス被膜が、セラミックス前駆体の溶液を炭素繊維シートに塗布又は含浸した後、該セラミックス前駆体を熱分解することによって得られたことを特徴とする上記(1)〜(5)に記載の焼結用セッター材。
(7)上記(1)〜(6)に記載の焼結用セッター材を用いて被焼結品を焼結することを特徴とする焼結方法。
(8)焼結用セッター材をグラファイト又はC/Cコンポジットからなる焼結用治具の表面に載置するか、機械的に固定するか、又は、接着剤によって接着固定して使用することを特徴とする上記(7)に記載の焼結方法。
(9)被焼結品が超硬合金又は磁性合金であることを特徴とする上記(7)又は(8)に記載の焼結方法。
本発明のセッター材は、被焼結体がセラミックス被膜を形成した炭素繊維と接触しているため、炭素繊維と被焼結体とが直接接触することがなく、また、その接触面積が少ないため、焼結時における炭素材による被焼結体への浸炭現象や、被焼結体と炭素材との溶着を抑制することができる。
また、炭素単繊維の表面積が小さいことにより、炭素単繊維表面のセラミック被膜との熱膨張差が小さくなること、及び炭素繊維シートが柔軟性を持っていることにより、セラミック被膜の割れ、剥がれがなく、繰返し使用における耐久性に優れるのでコスト的にも有利である。
炭素繊維にセラミックスを被覆した材料を用いるため、金属又はセラミックス焼結体を使用したものに比べて軽く、コストが安く、また、被焼結体の種類に応じセラミックス被膜の選定が可能である。
粉末材料を用いていないので、劣化した場合においても粉末の飛散が起こらず、焼成雰囲気や設備を汚染することがない。
また、炭素単繊維の表面積が小さいことにより、炭素単繊維表面のセラミック被膜との熱膨張差が小さくなること、及び炭素繊維シートが柔軟性を持っていることにより、セラミック被膜の割れ、剥がれがなく、繰返し使用における耐久性に優れるのでコスト的にも有利である。
炭素繊維にセラミックスを被覆した材料を用いるため、金属又はセラミックス焼結体を使用したものに比べて軽く、コストが安く、また、被焼結体の種類に応じセラミックス被膜の選定が可能である。
粉末材料を用いていないので、劣化した場合においても粉末の飛散が起こらず、焼成雰囲気や設備を汚染することがない。
本発明の焼結用セッター材(以下、「セッター材」ともいう。)は、炭素繊維からなる織布又は不織布を基材とし、この基材表面にセラミックスからなる被覆層を形成することによって得られる。
本発明で用いる炭素繊維としては特に制限はなく、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、ピッチ系など各種原料から製造された平織、朱子織、綾織などの織布を一次元または多次元方向に配向した繊維体、フェルト、等を用いることができる。
この炭素繊維の厚みは0.1mm以上とすることが好ましい。
本発明で用いる炭素繊維としては特に制限はなく、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、ピッチ系など各種原料から製造された平織、朱子織、綾織などの織布を一次元または多次元方向に配向した繊維体、フェルト、等を用いることができる。
この炭素繊維の厚みは0.1mm以上とすることが好ましい。
本発明においては、この炭素繊維の表面にセラミックス被膜を形成する。セラミックの材料としてはSiC、Si3N4、SiO2、B2O3、ZrO2、Al2O3、AlN、BN、Mo2C、ZrC、TiC、TiN、MgO2を用いることができるが、SiC、Si3N4、SiO2、B2O3、ZrO2、Al2O3、AlN、BNが好ましい。
セラミック被膜の厚さは、炭素繊維とセラミックス被膜の密着性及び熱膨張差によるセラミックス被膜の割れ、剥がれを発生させないよう制御しなければならず、0.1〜5μmであることが好ましい。
セラミック被膜の厚さは、炭素繊維とセラミックス被膜の密着性及び熱膨張差によるセラミックス被膜の割れ、剥がれを発生させないよう制御しなければならず、0.1〜5μmであることが好ましい。
被膜を形成する方法としては、気相成長法により炭素繊維上に目的のセラミックス物質を堆積させる方法、セラミックスの前駆体物質(例:有機金属化合物)の溶液を塗布又は含浸した後、前駆体物質を熱分解して目的のセラミックス物質に変換する方法等を用いることができる。気相成長法としては、被膜のセラミックスの種類によりCVD法、PVD法およびイオンプレーティング法を適宜選択して用いることができる。
例えば、CVD法により炭素繊維上にBN被膜を形成させる場合には、原料ガスとしてBCl3+NH3を用い、希釈ガスとしてArを用いて析出温度1200〜2000℃、全ガス圧3〜60torrの条件で反応させて炭素繊維基材上にBNの被膜を形成する。
CVD法により炭素繊維上にAl2O3被膜を形成させる場合には、原料ガスとしてAlCl3+HCl+CO2を用い、希釈ガスとしてH2を用いて、析出温度800〜1000℃、全ガス圧30〜80torrの条件で反応させて炭素繊維上にAl2O3の被膜を形成する。
CVD法により炭素繊維上にSiC被膜を形成させる場合には、原料ガスとしてCH3SiCl3を用い、希釈ガスとしてH2を用いて、析出温度1200〜1500℃、全ガス圧0.1〜1torrの条件で反応させて炭素繊維上にSiCの被膜を形成させる。
CVD法により炭素繊維上にAl2O3被膜を形成させる場合には、原料ガスとしてAlCl3+HCl+CO2を用い、希釈ガスとしてH2を用いて、析出温度800〜1000℃、全ガス圧30〜80torrの条件で反応させて炭素繊維上にAl2O3の被膜を形成する。
CVD法により炭素繊維上にSiC被膜を形成させる場合には、原料ガスとしてCH3SiCl3を用い、希釈ガスとしてH2を用いて、析出温度1200〜1500℃、全ガス圧0.1〜1torrの条件で反応させて炭素繊維上にSiCの被膜を形成させる。
このようにして得られたセラミック被覆炭素繊維をセッター材として用いるが、使用に際しては、これを炭素系材料からなる焼結用治具(焼結用トレー、敷板)の上に載置して用いても良いし、焼成用治具に機械的に固定するか、炭素系接着剤を用いて接着固定して用いても良い。
焼成用治具としての焼結用トレーや敷板を構成する炭素系材料としてはグラファイト、炭素繊維強化炭素複合材(以下「C/C複合材」という)を用いることができる。
セッター材とグラファイト又はC/C複合材とを接着するための炭素系接着剤としては、炭化焼成時の炭化収率が高いものを使用することが好ましく、例えば次の組成のものを用いることができる。
フェノール樹脂 100重量部
ポリカルボジイミド樹脂 0〜200重量部(好ましくは30〜80重量部)
ピッチ 5〜10重量部
黒鉛粉末 30〜60重量部
上記組成の混合物をミル、混練機によって混練したのち、セッター材とグラファイト又はC/C複合材との間に塗布等により中間層として介在させ、これを炭化焼成することによりセッター材をグラファイト又はC/C複合材のトレーまたは受台に接着固定する。
上記のように接着剤を用いてセッター材を固定することにより、焼結中およびハンドリングにおけるセッター材のズレを防止することができ、作業性の向上を図ることができる。
フェノール樹脂 100重量部
ポリカルボジイミド樹脂 0〜200重量部(好ましくは30〜80重量部)
ピッチ 5〜10重量部
黒鉛粉末 30〜60重量部
上記組成の混合物をミル、混練機によって混練したのち、セッター材とグラファイト又はC/C複合材との間に塗布等により中間層として介在させ、これを炭化焼成することによりセッター材をグラファイト又はC/C複合材のトレーまたは受台に接着固定する。
上記のように接着剤を用いてセッター材を固定することにより、焼結中およびハンドリングにおけるセッター材のズレを防止することができ、作業性の向上を図ることができる。
本発明のセッター材は、超硬合金や磁性合金の焼結に特に好適に使用することができる。超硬合金は、Co及び/またはNi及び/またはFeを本質的に基にするバインダー中に、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo及び/またはWの炭化物、窒化物及び/または炭窒化物を基にする硬質成分を主に含有する合金であり、これらは、硬質成分及びバインダー相を形成する粉末を含んでいる粉末混合物を混練し、加圧成形して焼結する工程によって製造される。
以下に、本発明を実施例に基づいて本発明の構成及び効果をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
各実施例及び比較例で得たセッター材については以下の評価方法によってその特性を評価した。
各実施例及び比較例で得たセッター材については以下の評価方法によってその特性を評価した。
<浸炭性評価試験>
作製したセッター材を用いてグラファイトの上に敷き、セッター材の上に試験片を載せて次の試験1及び試験2を行った。
(試験1)
セッター材をグラファイトの上に敷き、セッター材の上に超硬合金(WC)のチップを載せて真空中800℃で1時間保持し、試験片及びセッター材のそれぞれの変色・劣化を目視で評価した。
(試験2)
セッター材をグラファイトの上に敷き、セッター材の上に鉄(S20C)のチップを載せて真空中1000℃で1時間保持し、試験片及びセッター材のそれぞれの変色・劣化を目視で評価した。
前記の評価は次の基準で行った。
○ : 変色・劣化なし
× : 変色・劣化あり
作製したセッター材を用いてグラファイトの上に敷き、セッター材の上に試験片を載せて次の試験1及び試験2を行った。
(試験1)
セッター材をグラファイトの上に敷き、セッター材の上に超硬合金(WC)のチップを載せて真空中800℃で1時間保持し、試験片及びセッター材のそれぞれの変色・劣化を目視で評価した。
(試験2)
セッター材をグラファイトの上に敷き、セッター材の上に鉄(S20C)のチップを載せて真空中1000℃で1時間保持し、試験片及びセッター材のそれぞれの変色・劣化を目視で評価した。
前記の評価は次の基準で行った。
○ : 変色・劣化なし
× : 変色・劣化あり
<剥がれ評価試験>
前記の試験2を10回繰返したのち、炭素繊維の表面のセラミックス被膜の剥がれの有無を目視で観察した。評価は次の基準で行った。
○ : 剥がれなし
△ : 局所的剥がれあり
× : 50%以上の剥がれあり
前記の試験2を10回繰返したのち、炭素繊維の表面のセラミックス被膜の剥がれの有無を目視で観察した。評価は次の基準で行った。
○ : 剥がれなし
△ : 局所的剥がれあり
× : 50%以上の剥がれあり
[実施例1]
基材として不織布状の炭素繊維(厚さ2.0mm、面積100mm2、群栄化学社製 型番:CN157)をCVD装置内にセットし、原料ガスとしてBCl3+NH3を用い、希釈ガスとしてArを用いて析出温度1500℃、全ガス圧10torrの条件でCVD法により、炭素繊維上に1μm厚のBN被覆層を形成した。
得られたBN被覆炭素繊維をセッター材としてグラファイトの上に敷き、試験1では超硬合金(WC)をセッター材の上に載置して前記の評価試験を行った。
評価試験の結果を表1に示す。
また、被覆層の厚さとセラミック被膜の剥がれとの関係を調べるために、前記のCVD反応の被覆条件において、被覆層形成時間を1/60、1/10、2倍、10倍、20倍にして、膜厚をそれぞれ0.05μ、0.1μ、2μ、10μ、50μmにしたBN被覆炭素繊維を製造し、各BN被覆炭素繊維について前記と同様の剥がれ評価試験を行った。
評価試験の結果を表2に示す。
更に、前記で得たBN被覆炭素繊維を前記グラファイトの表面にカーボン接着剤(日清紡社製 ST−201)を用いて接着した。接着は当該接着剤を均一に刷毛塗りした後、BN被覆炭素繊維を馬簾で伸ばしながら貼り付けた。大気中250℃12時間で乾燥及び硬化させた後、不活性雰囲気で1500℃焼成を行い炭化した。このグラファイトに接着したセッター材を用いて前記と同様の浸炭性評価試験を行った結果、表1に実施例1として示したと同様の結果が得られた。
基材として不織布状の炭素繊維(厚さ2.0mm、面積100mm2、群栄化学社製 型番:CN157)をCVD装置内にセットし、原料ガスとしてBCl3+NH3を用い、希釈ガスとしてArを用いて析出温度1500℃、全ガス圧10torrの条件でCVD法により、炭素繊維上に1μm厚のBN被覆層を形成した。
得られたBN被覆炭素繊維をセッター材としてグラファイトの上に敷き、試験1では超硬合金(WC)をセッター材の上に載置して前記の評価試験を行った。
評価試験の結果を表1に示す。
また、被覆層の厚さとセラミック被膜の剥がれとの関係を調べるために、前記のCVD反応の被覆条件において、被覆層形成時間を1/60、1/10、2倍、10倍、20倍にして、膜厚をそれぞれ0.05μ、0.1μ、2μ、10μ、50μmにしたBN被覆炭素繊維を製造し、各BN被覆炭素繊維について前記と同様の剥がれ評価試験を行った。
評価試験の結果を表2に示す。
更に、前記で得たBN被覆炭素繊維を前記グラファイトの表面にカーボン接着剤(日清紡社製 ST−201)を用いて接着した。接着は当該接着剤を均一に刷毛塗りした後、BN被覆炭素繊維を馬簾で伸ばしながら貼り付けた。大気中250℃12時間で乾燥及び硬化させた後、不活性雰囲気で1500℃焼成を行い炭化した。このグラファイトに接着したセッター材を用いて前記と同様の浸炭性評価試験を行った結果、表1に実施例1として示したと同様の結果が得られた。
[実施例2]
実施例1で用いた炭素繊維を基材としてCVD装置内にセットし、原料ガスとしてAlCl3+HCl+CO2を用い、希釈ガスとしてH2をそれぞれ用い、析出温度1000℃、全ガス圧50torrの条件でCVD反応により、炭素繊維上に1μm厚のAl2O3被膜を形成した。被膜の厚さは平均1μmであった。
得られたAl2O3被覆炭素繊維をセッター材として、実施例1と同様にして評価試験を行った。
評価試験の結果を表1に示す。
実施例1で用いた炭素繊維を基材としてCVD装置内にセットし、原料ガスとしてAlCl3+HCl+CO2を用い、希釈ガスとしてH2をそれぞれ用い、析出温度1000℃、全ガス圧50torrの条件でCVD反応により、炭素繊維上に1μm厚のAl2O3被膜を形成した。被膜の厚さは平均1μmであった。
得られたAl2O3被覆炭素繊維をセッター材として、実施例1と同様にして評価試験を行った。
評価試験の結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1で用いた炭素繊維を基材としてCVD装置内にセットし、原料ガスとしてCH3SiCl3を用い、希釈ガスとしてH2を用い、析出温度1500℃、全ガス圧0.3torrの条件でCVD反応により、炭素繊維上に1μm厚のSiC被覆層を形成した。
得られたSiC被覆炭素繊維をセッター材として、実施例1と同様にして評価試験を行った。
評価試験の結果を表1に示す。
実施例1で用いた炭素繊維を基材としてCVD装置内にセットし、原料ガスとしてCH3SiCl3を用い、希釈ガスとしてH2を用い、析出温度1500℃、全ガス圧0.3torrの条件でCVD反応により、炭素繊維上に1μm厚のSiC被覆層を形成した。
得られたSiC被覆炭素繊維をセッター材として、実施例1と同様にして評価試験を行った。
評価試験の結果を表1に示す。
[比較例1]
セッター材として厚み4.9mmのグラファイト板を用い、実施例1と同様にして評価試験を行った。
評価試験の結果を表1に示す。
セッター材として厚み4.9mmのグラファイト板を用い、実施例1と同様にして評価試験を行った。
評価試験の結果を表1に示す。
[比較例2]
基材として厚み4.9mmのグラファイト板をCVD装置内にセットし、実施例1と同様のCVD反応条件で該グラファイト上に1μm厚のBN被覆層を形成した。このBN被覆グラファイトをセッター材として実施例1と同様にして評価試験を行った。
評価試験の結果を表1に示す。
基材として厚み4.9mmのグラファイト板をCVD装置内にセットし、実施例1と同様のCVD反応条件で該グラファイト上に1μm厚のBN被覆層を形成した。このBN被覆グラファイトをセッター材として実施例1と同様にして評価試験を行った。
評価試験の結果を表1に示す。
[比較例3]
基材として厚み4.9mmのグラファイト板をCVD装置内にセットし、実施例2と同様のCVD反応条件でグラファイト上に1μm厚のAl2O3被覆層を形成した。このAl2O3被覆グラファイトをセッター材として実施例1と同様にして評価試験を行った。
評価試験の結果を表1に示す。
基材として厚み4.9mmのグラファイト板をCVD装置内にセットし、実施例2と同様のCVD反応条件でグラファイト上に1μm厚のAl2O3被覆層を形成した。このAl2O3被覆グラファイトをセッター材として実施例1と同様にして評価試験を行った。
評価試験の結果を表1に示す。
[比較例4]
基材として厚み4.9mmのグラファイト板をCVD装置内にセットし、実施例3と同様のCVD反応条件でグラファイト上に1μm厚のSiC被覆層を形成した。このSiC被覆グラファイトをセッター材として実施例3と同様にして評価試験を行った。
評価試験の結果を表1に示す。
基材として厚み4.9mmのグラファイト板をCVD装置内にセットし、実施例3と同様のCVD反応条件でグラファイト上に1μm厚のSiC被覆層を形成した。このSiC被覆グラファイトをセッター材として実施例3と同様にして評価試験を行った。
評価試験の結果を表1に示す。
上記表1に示された結果から明らかなように、本発明の実施例のセッター材は比較例のセッター材と比べて、耐変色・劣化性、セラミック層の耐剥がれ性において優れている。
本発明のセッター材は、焼結時における炭素材による被焼結体への浸炭現象や、被焼結体と炭素材との溶着がなく、また、繰返し使用における耐久性に優れているので、超硬合金又は磁性合金等の材料を焼結する際に用いるセッター材として好適に使用することができる。
Claims (9)
- 炭素繊維シートの繊維表面にセラミックスの被膜を形成してなる焼結用セッター材。
- セラミックスがSiC、Si3N4、SiO2、B2O3、ZrO2、Al2O3、AlN及びBNよりなる群から選ばれる一種であることを特徴とする請求項1記載の焼結用セッター材。
- 炭素繊維シートが炭素繊維の織布又は不織布であることを特徴とする請求項1又は2に記載の焼結用セッター材。
- セラミックス被膜の厚さが0.1〜5μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の焼結用セッター材。
- セラミックス被膜が気相成長法により形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の焼結用セッター材。
- セラミックス被膜が、セラミックス前駆体の溶液を炭素繊維シートに塗布又は含浸した後、該セラミックス前駆体を熱分解することによって得られたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の焼結用セッター材。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の焼結用セッター材を用いて被焼結品を焼結することを特徴とする焼結方法。
- 焼結用セッター材をグラファイト又はC/Cコンポジットからなる焼結用治具の表面に載置するか、機械的に固定するか、又は、接着剤によって接着固定して使用することを特徴とする請求項7に記載の焼結方法。
- 被焼結品が超硬合金又は磁性合金であることを特徴とする請求項7又は8に記載の焼結方法。
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