JP4280043B2 - 積層型電子部品の製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層型電子部品の製法に関し、特にセラミックスと内部電極とが交互に積層された素子本体の対向する側面に、内部電極端が露出する凹溝を交互に形成し、凹溝が形成された側面に、内部電極と交互に接続する外部電極が形成された積層型電子部品の製法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、同時焼成タイプの積層型電子部品に製法として、特開平6−151999号公報に記載されるようなものが知られている。
【0003】
この公報に開示された積層型電子部品は、先ず、内部電極パターンが一対のグリーンシートで挟持された複数のシート積層体に貫通孔を形成し、この貫通孔にポリビニルアルコールからなる飛散物質を充填し、ポリビニルアルコールが充填されたシート積層体を交互に位置をずらして積層し、この積層体を貫通孔で切断して、内部に飛散物質が設けられた凹溝を、対向する側面に内部電極パターン一層置きに交互に形成して素子本体成形体を形成する。
【0004】
この後、素子本体成形体を所定温度で脱バインダ処理し、焼成することにより凹溝を有する素子本体を作製し、この素子本体の凹溝内にセラミック製の絶縁材料を充填し、この凹溝が形成された素子本体の側面にAgからなる導電性ペーストを塗布し、焼き付けることにより、積層型電子部品を作製していた。
【0005】
このような製法では、従来のダイシングなどにより一つ一つ溝加工をすることなく、凹溝を一挙に形成することができ、加工時間を短縮でき、また製造工程を簡略化できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に記載された製法では、脱バインダ時に飛散する物質として、ポリビニルアルコールを単独で用いているため、脱バイ〜焼成(熱処理)における低温状態では、凹溝間のグリーンシートの変形を抑制できるものの、脱バイ〜焼成時における高温状態では、グリーンシートが固化しないうちに凹溝内のポリビニルアルコールが分解飛散し、凹溝を形成するグリーンシートが変形し、クラックが発生したり、寸法通りの凹溝の形成が困難であり、素子本体の製造歩留まりが低いという問題があった。
【0007】
本発明は、寸法通りの凹溝を一挙にかつ確実に形成できる積層型電子部品の製法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層型電子部品の製法は、バインダ樹脂を含有する複数のセラミックグリーンシートと複数の内部電極パターンとを積層してなり、前記内部電極パターン端が露出するとともに脱バインダ処理工程から焼成処理工程までの間に飛散する飛散物質が充填された凹溝を、対向する側面に前記内部電極パターン一層置きに交互に形成してなる素子本体成形体を作製する工程と、該素子本体成形体を脱バインダ処理および焼成処理して、セラミックスと内部電極とが交互に積層され、かつ対向する側面に、前記内部電極端が露出する凹溝が交互に形成された素子本体を作製する工程と、前記凹溝が形成された前記素子本体の対向する側面に、前記内部電極と交互に接続する外部電極をそれぞれ形成する工程とを具備する積層型電子部品の製法であって、前記飛散物質が、低温域で分解飛散する低温分解有機物と、前記低温域よりも高温の高温域で分解飛散する高温分解有機物とを含有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の積層型電子部品の製法では、前記素子本体成形体が、前記内部電極パターンを一対の前記セラミックグリーンシートで挟持してなる複数のシート積層体にそれぞれ貫通孔を形成する工程と、該貫通孔に前記飛散物質を充填する工程と、前記貫通孔に前記飛散物質が充填された前記シート積層体を、交互に位置をずらして複数積層して積層体を作製する工程と、該積層体を前記貫通孔部分で積層方向に切断して、対向する側面に、前記飛散物質が充填された前記凹溝を前記内部電極パターン一層置きに形成する工程とを具備して形成されることを特徴とする。
【0010】
このような製法では、素子本体成形体の凹溝内に設けられる飛散物質が、低温域で分解飛散する低温分解有機物と、高温域で分解飛散する高温分解有機物とを含有するため、脱バイ〜焼成(熱処理)工程における低温時においては低温分解有機物と高温分解有機物により、また高温時には高温分解有機物により、凹溝を形成するグリーンシートが固化するまで凹溝形状を保持でき、これにより、凹溝の変形を防止できるとともに、凹溝におけるクラックや積層界面のデラミネショーンなどの欠陥がない寸法通りの凹溝を確実にかつ一挙に形成できる。
【0011】
また、本発明の積層型電子部品の製法では、前記低温分解有機物が高分子樹脂であり、前記高温分解有機物がフェノール粉末、アクリルビーズ、カーボンビーズ、もしくはカーボンファイバーであることを特徴とする。従来の積層型電子部品の製法のように貫通孔(凹溝)内が高分子樹脂で充填される場合、シート積層体を複数積層し、加圧して一体化する場合に、セラミックグリーンシートよりも貫通孔内の高分子樹脂が軟化し、積層方向における収縮(寸法変化)が大きいため、凹溝を形成するセラミックグリーンシートが貫通孔側へ変形し、凹溝底面におけるセラミックグリーンシートにクラックが発生したり、変形が生じ易いが、本発明では、高分子樹脂のみならず、高温で分解するフェノール粉末、アクリルビーズ、カーボンビーズ、もしくはカーボンファイバー(固形物を用いたため、貫通孔内における飛散物質の積層方向における収縮を、貫通孔周辺のシート積層体に近づけることができ、凹溝の変形やクラックの発生をさらに抑制できる。
【0012】
また、本発明の積層型電子部品の製法では、前記低温分解有機物が、前記セラミックグリーンシートに用いられる前記バインダ樹脂と同一であることを特徴とする。これにより、加圧して一体化する場合における飛散物質の積層方向への収縮をセラミックグリーンシートにさらに近づけることができ、また、低温域での脱脂状態をセラミックグリーンシートに近づけることができ、凹溝近傍におけるクラックやデラミネーションを抑制できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1乃至図7は本発明の積層型電子部品の製法を説明するための工程図で、先ず、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3などの圧電体セラミックスの仮焼粉末と、アクリル樹脂や、ブチラール樹脂などの有機高分子からなる有機バインダーと、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、例えばスリップキャステイング法により、厚み50〜250μmのセラミックグリーンシートを作製する。
【0017】
このグリーンシートを所定の寸法に打ち抜いた後、図1(a)に示すようにグリーンシート1の片面に、内部電極となる、例えば銀、銀−パラジウム、Cuを主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法により1〜10μmの厚みに印刷し、乾燥させて内部電極パターン3を形成する。
【0018】
この後、内部電極パターン3上に、図1(b)に示すように、作製したグリーンシート5を、内部電極パターン3を挟むように重ね、加圧してシート積層体7を作製する。尚、図1(a)のように、広いグリーンシート1の中央部に導電性ペーストを塗布し、この導電性ペーストを覆うようにグリーンシート5を積層し、これをカットして、図1(b)に示すようなシート積層体7を作製する。このようなシート積層体7を多数作製する。
【0019】
次に打ち抜き装置を用いて、図2に示すように、複数のシート積層体7にそれぞれ多数の貫通孔9を規則的に整列した状態で形成する。これらの貫通孔9は、凹溝の大きさによって寸法は異なってくるが、例えば幅2mm、長さ10mm程度の大きさの長方形形状とする。
【0020】
そして、図3(a)に示すように、複数のシート積層体7に形成した多数の貫通孔9に飛散物質11を充填する。この飛散物質11は、脱バイ〜焼成時(熱処理時)に飛散する物質からなるもので、低温域で分解飛散する低温分解有機物と、高温域で分解飛散する高温分解有機物とから構成されている。
【0021】
低温分解有機物としては、アクリル樹脂や、ブチラール樹脂などの有機高分子樹脂等があるが、本発明では、シート積層体7を加熱加圧して一体化する時における飛散物質11の積層方向への収縮をグリーンシート1に近づけることができ、シート積層体7と充填シート(飛散物質11)の収縮差に伴う積層界面の空隙、もしくは変形を防止するために、また、低温域での飛散物質の脱脂時の重量変化をグリーンシート1に近づけることができ、凹溝21近傍におけるクラックやデラミネーションを抑制できるという点から、セラミックグリーンシート1に用いられるバインダ樹脂を、低温分解有機物として用いることが望ましい。
【0022】
特に、低温分解有機物として、シート積層体7同士の加熱圧着時の接着力、及び脱バイ時の易分解性の点からアクリル樹脂が望ましい。尚、本発明では、低温分解有機物とは、600℃までに分解飛散する有機物である。
【0023】
また、高温分解有機物としては、フェノール粉末、アクリルビーズ、カーボンビーズ、もしくはカーボンファイバーがある。焼成温度近くまで、残留するという点、及びアクリル樹脂やブチラール樹脂などの有機高分子樹脂と混合してシート状飛散物質の作製が容易という点から、高温分解有機物としては、カーボンビーズ、もしくはカーボンファイバーが望ましい。尚、本発明においては、750℃でも分解せずに残留する有機物である。
【0024】
低温分解有機物と高温分解有機物の混合比率は、高温分解有機物100重量部に対して低温分解有機物を25〜60重量部であることが望ましく、特に収縮を合致させるという点から、低温分解有機物は35〜45重量部であることが望ましい。
【0025】
貫通孔9に充填される飛散物質11は、低温分解有機物と高温分解有機物を混合したスラリー状のものであっても良く、また、低温分解有機物と高温分解有機物の混合物をシート状に成形し、このシート状飛散物質11を貫通孔9内に収納しても良い。
【0026】
シート状に成形された飛散物質11を貫通孔9内に収納することにより、飛散物質11の貫通孔9からのはみ出しを防止することができる。シート状の飛散物質11を、シート積層体7の貫通孔9内に収容するには、図3(b)に示すように、シート積層体7の表面に飛散物質シート13を積層し、これを、貫通孔9を形成するために作製したプレス型により、押出量を制御して打ち抜き加工し、この後、シート積層体7の表面に積層された飛散物質シート13を剥離することにより、貫通孔9内にシート状の飛散物質11が収容されたシート積層体7を作製できる。
【0027】
シート積層体7の貫通孔9に、シート状の飛散物質11を充填する場合、上記のようにして、貫通孔9内にシート状の飛散物質11を収容したシート積層体7を加圧して、シート積層体7とシート状の飛散物質11との厚み差を小さくすることが望ましい。特に厚み差は5μm以下とすることが望ましい。これにより、加圧一体化する工程において、シート積層体7とシート状飛散物質11の収縮率を同等にすることが可能となり、シート積層体7とシート状飛散物質11の収縮差に伴う積層界面の空隙、もしくは変形を防止することが可能となる。
【0028】
これらのシート状の飛散物質11は、上記した高温分解有機物と、アクリル樹脂や、ブチラール樹脂などの低温分解有機物と、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、グリーンシート1と同様に、例えばスリップキャステイング法により、厚み50〜250μmにて作製される。
【0029】
この後、貫通孔9に飛散物質11が充填されたシート積層体7を、交互に位置をずらして積層し、その後、50〜200℃で加熱を行いながら加圧して一体化し、図4に示すような積層体を作製する。
【0030】
この後、積層体を、図4(a)、(b)で示す一点鎖線で、即ち、貫通孔9で切断して、図5に示すように、内部に飛散物質11が充填された凹溝21が、対向する側面に内部電極パターン3一層置きに形成された、素子本体成形体23を作製する。
【0031】
この素子本体成形体23は、対向する側面に内部電極パターン3一層置きに凹溝21が形成されており、これらの凹溝21の底面には内部電極パターン3端が露出し、さらに凹溝21内には熱処理により分解する飛散物質11が充填されている。
【0032】
その後、大気中において400〜800℃で5〜40時間の脱バイを行なう。この際、飛散物質11が分解飛散し、素子本体成形体23の対向する側面に凹溝21が形成される。その後、900〜1200℃で2〜5時間で本焼成が行われ、図6に示すように、圧電体27と内部電極29が交互に積層された素子本体31が作製される。この素子本体31は柱状で、対向する側面には、底面に内部電極29端が露出する凹溝21が、一側面において内部電極29一層おきに形成されている。
【0033】
この後、例えば、素子本体31の凹溝21が形成された側面において、凹溝21以外の素子本体31の側面に露出した内部電極29およびこの内部電極29の近傍の圧電体27表面に、銀ガラス導電性ペーストを塗布乾燥し、この銀ガラス導電性ペーストに金属板33を押圧するように荷重を加えた状態で700〜950℃で熱処理することにより、銀ガラス導電性ペースト中のガラスが溶融し、溶融したガラス中に存在する銀成分が内部電極29の端部に集合し、図7に示すように、素子本体31の側面から突出する突起状導電性端子35が形成されるとともに、該突起状導電性端子35の先端部に金属板からなる外部電極33を接合する。
【0034】
この後、凹溝21内に絶縁樹脂39を充填し、また、内部電極29端が露出している素子本体31の他の側面にも絶縁樹脂39を被覆して、積層型電子部品を作製できる。
【0035】
以上のような積層型電子部品の製法では、素子本体成形体23の凹溝21内に充填された飛散物質11が、低温域で分解飛散する低温分解有機物と、高温域で分解飛散する高温分解有機物とを含有するため、脱バイ〜焼成工程の低温時においては低温分解有機物と高温分解有機物により、また高温時には高温分解有機物により、凹溝21を形成するグリーンシート1、5が固化するまで形状を保持でき、これにより、凹溝21の変形を防止できるとともに、凹溝21におけるクラックや積層界面のデラミネショーンなどの欠陥がない寸法通りの凹溝を確実にかつ一挙に形成できる。本発明の積層型電子部品の製法は、積層型圧電トランス、積層型コンデンサ、積層型圧電アクチュエータ等の積層型電子部品の製法に好適に用いられる。
【0036】
【実施例】
チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3からなる圧電体セラミックスの仮焼粉末と、アクリル樹脂からなるバインダーと、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、スリップキャステイング法により、厚み150μmのセラミックグリーンシートを作製した。
【0037】
このグリーンシートの片面に内部電極となる銀−パラジウムを主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法により5μmの厚みに印刷し、導電性ペーストを乾燥して内部電極パターンを形成した後、さらにこの内部電極パターン表面に前記グリーンシートを積層し、図1(b)に示すような、内部電極パターンをグリーンシートで挟持したシート積層体を複数作製した。
【0038】
これらのシート積層体の所定個所に、図2に示すように、長方形形状(幅2mm、長さ10mm)の複数の貫通孔を形成した。その後、表1に示すような低温分解有機物と高温分解有機物を、高温分解有機物100重量部に対して低温分解有機物40重量部となるように混合し、これを表1に示すようにシート状に成形してシート状飛散物質を形成したり、ゾル状の混合体からなる飛散物質を作製し、図3に示すように、これを貫通孔に充填積層した。尚、シート状の飛散物質は厚み150μmとし、図3(b)(c)のようにしてシート状の飛散物質を貫通孔内に収容し、その後、加圧してシート積層体とシート状の飛散物質と加圧一体化し、厚み差が±5μm以上のシート状積層体を除去した。一方、ゾル状の混合体からなる飛散物質は、シート積層体とシート状の飛散物質との差を±5μm以下となるように、貫通孔内に充填した。
【0039】
尚、アクリル樹脂は500℃程度、ポリビニールアルコールは500℃程度で、アクリルビーズは500℃程度で、カーボンビーズは800℃程度で、カーボンファイバーは800℃程度で分解飛散するものである。
【0040】
そして、貫通孔の位置を交互にずらして積層し、その後、150℃で加熱を行いながら加圧して一体化し、図4の一点鎖線で示すように、積層体を貫通孔で切断して、内部に飛散物質が設けられた凹溝を、前記内部電極パターン一層置きに形成した、図5に示すような素子本体成形体を作製した。
【0041】
【表1】
Figure 0004280043
【0042】
素子本体成形体は、対向する側面に内部電極パターン一層置きに凹溝が形成されており、これらの凹溝の底面には内部電極パターン端が露出し、さらに凹溝内に熱処理により分解する飛散物質が充填されていた。これら各素子本体成形体の断面を観察した結果、凹溝の変形はなかった。
【0043】
その後、800℃で5時間の脱バイを行ない、飛散物質を分解飛散させ、図6に示すように、素子本体成形体の対向する2側面に凹溝を形成した。この素子本体成形体の凹溝の形成状態を観察した。その結果、ポリビニルアルコール単体、アクリル樹脂単体で作製した試料No.1、2では、凹溝を形成するグリーンシートが変形し倒れており、脱バイ後にて、クラックが生じているものもあった。これに対して、低温分解有機物と高温分解有機物を飛散物質として用いた本発明の試料では、溝部の変形は全くなかった。
【0044】
その後、1100℃で5時間で本焼成を行い、素子本体を得た。この後、素子本体の対向する側面に外部電極を形成し、積層型電子部品を作製した。素子本体の凹溝の形成状態を観察したところ、本発明の積層型電子部品では、凹溝部の変形がなく、寸法通りの凹溝を確実にかつ一挙に形成できていることを確認した。また、接合界面を観察しても、クラックやデラミネーションも発生していなかった。
【0045】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の積層型電子部品の製法では、素子本体成形体の凹溝内に設けられる飛散物質が、低温域で分解飛散する低温分解有機物と、高温域で分解飛散する高温分解有機物とを含有するため、脱バイ〜焼成における低温時においては低温分解有機物と高温分解有機物により、また高温時には高温分解有機物により、凹溝を形成するグリーンシートが固化するまで形状を保持でき、これにより、凹溝の変形を防止できるとともに、凹溝におけるクラックや積層界面のデラミネショーンなどの欠陥がない寸法通りの凹溝を確実にかつ一挙に形成でき、信頼性及び量産性の高い積層型電子部品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型電子部品の製法に用いられるシート積層体の工程図であり、(a)はグリーンシート上に内部電極パターンを形成した平面図、(b)は内部電極パターンをグリーンシートで挟持した断面図である。
【図2】シート積層体に多数の貫通孔を規則的に形成した平面図である。
【図3】(a)は貫通孔に飛散物質を充填したシート積層体を示す断面図、(b)(c)はシート状飛散物質を貫通孔に充填する工程図である。
【図4】(a)は飛散物質が充填されたシート積層体を交互に位置をずらして積層した状態を示す断面図、(b)はその平面図である。
【図5】素子本体成形体の断面図である。
【図6】素子本体の断面図である。
【図7】積層型電子部品の断面図である。
【符号の説明】
1、5・・・グリーンシート
3・・・内部電極パターン
7・・・シート積層体
9・・・貫通孔
11・・・飛散物質
21・・・凹溝
23・・・素子本体成形体
27・・・圧電体
29・・・内部電極
31・・・素子本体
33・・・外部電極

Claims (4)

  1. バインダ樹脂を含有する複数のセラミックグリーンシートと複数の内部電極パターンとを積層してなり、前記内部電極パターン端が露出するとともに脱バインダ処理工程から焼成処理工程までの間に飛散する飛散物質が充填された凹溝を、対向する側面に前記内部電極パターン一層置きに交互に形成してなる素子本体成形体を作製する工程と、該素子本体成形体を脱バインダ処理および焼成処理して、セラミックスと内部電極とが交互に積層され、かつ対向する側面に、前記内部電極端が露出する凹溝が交互に形成された素子本体を作製する工程と、前記凹溝が形成された前記素子本体の対向する側面に、前記内部電極と交互に接続する外部電極をそれぞれ形成する工程とを具備する積層型電子部品の製法であって、前記飛散物質が、低温域で分解飛散する低温分解有機物と、前記低温域よりも高温の高温域で分解飛散する高温分解有機物とを含有することを特徴とする積層型電子部品の製法。
  2. 前記素子本体成形体が、前記内部電極パターンを一対の前記セラミックグリーンシートで挟持してなる複数のシート積層体にそれぞれ貫通孔を形成する工程と、該貫通孔に前記飛散物質を充填する工程と、前記貫通孔に前記飛散物質が充填された前記シート積層体を、交互に位置をずらして複数積層して積層体を作製する工程と、該積層体を前記貫通孔部分で積層方向に切断して、対向する側面に、前記飛散物質が充填された前記凹溝を前記内部電極パターン一層置きに形成する工程とを具備して形成されることを特徴とする請求項1記載の積層型電子部品の製法。
  3. 前記低温分解有機物が高分子樹脂であり、前記高温分解有機物がフェノール粉末、アクリルビーズ、カーボンビーズ、もしくはカーボンファイバーであることを特徴とする請求項1又は2記載の積層型電子部品の製法。
  4. 前記低温分解有機物が、前記セラミックグリーンシートに用いられる前記バインダ樹脂と同一であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の積層型電子部品の製法。
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