JP4349820B2 - 積層型電子部品の製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層型電子部品の製法に関し、特にセラミックスと内部電極とが交互に積層された素子本体の対向する側面に、内部電極と交互に接続する外部電極が形成された積層型電子部品の製法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、同時焼成タイプの積層型電子部品は、先ず、内部電極パターンが一対のグリーンシートで挟持された複数のシート積層体に貫通孔を形成し、この貫通孔にポリビニルアルコールからなる飛散物質やガラスセラミック等の絶縁材料を充填し、ポリビニルアルコールが充填されたシート積層体を交互に位置をずらして積層し、この積層体を貫通孔部分で切断して、内部に飛散物質や絶縁材料が設けられた凹溝を、対向する側面に内部電極パターン一層置きに交互に形成して素子本体成形体を形成する。
【0003】
この後、素子本体成形体を所定温度で脱バインダ処理し、焼成することにより凹溝、若しくは凹溝内に絶縁材料を有する素子本体を作製し、この素子本体の側面にAgからなる導電性ペーストを塗布し、焼き付けて外部電極を形成することにより、積層型電子部品を作製していた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような製法では、従来のダイシングなどにより一つ一つ溝加工をすることなく、凹溝、若しくは凹溝内に絶縁材料を有する素子本体を一挙に形成することができ、加工時間を短縮でき、また製造工程を簡略化できる。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−151999号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に記載された製法では、内部電極の端部がガラスセラミック等の絶縁材料で外部電極と絶縁されることになるが、圧電体を内部電極で挟持し伸縮する部分(活性部)と、挟持しておらず伸縮しない部分(不活性部)が形成されており、内部電極の端部に形成された絶縁材料が緻密である場合には、駆動時に活性部と不活性部の境界部分に応力集中が生じ、破損し易いという問題があった。近年においては高変位量を得るために、圧電体に高電界を印加することが行われているが、この場合には特に破損し易い傾向にある。
【0007】
また、上記公報に記載された製法で凹溝を形成する場合、脱バインダ時に飛散する物質として、ポリビニルアルコールを単独で用いているため、脱バイ〜焼成(熱処理)における低温状態では、凹溝間のグリーンシートの変形を抑制できるものの、脱バイ〜焼成時における高温状態では、グリーンシートが固化しないうちに凹溝内のポリビニルアルコールが分解飛散し、凹溝を形成するグリーンシートが変形するため、クラックが発生し、寸法通りの凹溝の形成が困難であり、素子本体の製造歩留まりが低いという問題があった。
【0008】
本発明は、素子本体の製造歩留まりを向上できる積層型電子部品の製法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層型電子部品の製法は、複数のセラミックグリーンシートと複数の内部電極パターンを積層してなる素子本体成形体を作製する素子本体成形体作製工程と、該素子本体成形体を熱処理して、セラミックスと内部電極とが交互に積層されるとともに、対向する側面における内部電極端が多孔質絶縁体によって交互に絶縁され、かつ前記セラミックスと前記多孔質絶縁体とで形成される側面が平坦である素子本体を作製する工程と、前記多孔質絶縁体が形成された前記素子本体の対向する側面に、前記内部電極と交互に接続する外部電極をそれぞれ形成する工程とを具備する積層型電子部品の製法であって、前記素子本体成形体作製工程が、前記内部電極パターンを一対の前記セラミックグリーンシートで挟持してなる複数のシート積層体にそれぞれ貫通孔を形成する工程と、該貫通孔内に無機粉末と有機成分とからなるシート状の多孔質絶縁成形体を収納する工程と、該貫通孔内に前記シート状の多孔質絶縁成形体が収納された前記シート積層体を、交互に位置をずらして複数積層することにより積層体を作製する工程と、該積層体を前記貫通孔部分で積層方向に切断して、対向する側面における前記内部電極パターンの端部が前記多孔質絶縁成形体で一層置きに交互に被覆された前記素子本体成形体を作製する工程とを具備することを特徴とする。
【0013】
このような積層型電子部品の製法では、素子本体成形体が、その対向する側面における内部電極パターンを無機粉末と有機成分からなる多孔質絶縁成形体で一層置きに交互に被覆して形成されており、かつ多孔質絶縁成形体が形成された素子本体成形体の側面が平坦であるため、素子本体成形体の熱処理(焼成)により、対向する側面における内部電極端が多孔質絶縁体によって交互に絶縁され、かつセラミックスと多孔質絶縁体で形成される側面が平坦である素子本体を容易に形成できる。
【0014】
また、本発明の製法では、従来のように、内部電極の端部を一層置きに絶縁するための凹溝を形成する必要がないため、また、従来の凹溝に該当する部分には多孔質絶縁体が形成されているため、脱バイ〜焼成(熱処理)工程において、無機粉末により凹溝に該当する部分の変形が防止され、従来のような、凹溝におけるクラックや積層界面のデラミネーションなどの欠陥がない、寸法通りの積層型電子部品を確実にかつ一挙に形成できる。
言い換えれば、本発明の製法は、いわば、素子本体成形体の凹溝内に無機粉末と有機成分からなる多孔質絶縁成形体が形成された形状ということができ、脱バイ〜焼成(熱処理)工程において、多孔質絶縁成形体の無機粉末によりグリーンシートが固化するまで形状を保持でき、これにより、変形を防止できるとともに、従来のような、凹溝におけるクラックや積層界面のデラミネショーンなどの欠陥がない寸法通りの積層型電子部品を確実にかつ一挙に形成できる。
【0017】
さらに、本発明の積層型電子部品の製法では、多孔質絶縁成形体の無機粉末は繊維状であることを特徴とする。このような製法では、多孔質絶縁体の気孔率を高めることができるとともに、繊維状の無機粉末により脱バイ〜焼成(熱処理)における形状変形を抑制できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1乃至図7は本発明の積層型電子部品の製法を説明するための工程図で、先ず、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3などの圧電体セラミックスの仮焼粉末と、アクリル樹脂や、ブチラール樹脂などの有機高分子からなる有機バインダと、可塑剤とを混合したスラリを作製し、例えばスリップキャステイング法により、厚み50〜250μmのセラミックグリーンシートを作製する。
【0020】
このグリーンシートを所定の寸法に打ち抜いた後、図1(a)に示すようにグリーンシート1の片面に、内部電極となる、例えば銀、銀−パラジウム、Cu、Ni等を主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法により1〜10μmの厚みに印刷し、乾燥させて内部電極パターン3を形成する。
【0021】
この後、内部電極パターン3上に、図1(b)に示すように、作製したグリーンシート5を、内部電極パターン3を挟むように重ね、加圧してシート積層体7を作製する。尚、図1(a)のように、広いグリーンシート1の中央部に導電性ペーストを塗布し、この導電性ペーストを覆うようにグリーンシート5を積層し、これをカットして、図1(b)に示すようなシート積層体7を作製する。このようなシート積層体7を多数作製する。
【0022】
次に打ち抜き装置を用いて、図2に示すように、複数のシート積層体7にそれぞれ多数の貫通孔9を規則的に整列した状態で形成する。これらの貫通孔9は、凹溝の大きさによって寸法は異なってくるが、例えば幅2mm、長さ10mm程度の大きさの長方形形状とする。
【0023】
そして、図3(a)に示すように、複数のシート積層体7に形成した多数の貫通孔9に無機ペーストを充填し、多孔質絶縁成形体11を作製する。多孔質絶縁成形体11を作製する無機ペーストは、無機粉末と有機成分からなるもので、例えば、セラミック粉末と、バインダと、アルコール系溶剤からなる溶媒とから構成されている。
【0024】
バインダとしては、アクリル樹脂や、ブチラール樹脂などの有機高分子樹脂等があるが、本発明では、積層成形体を加熱加圧して一体化する時における多孔質絶縁成形体11の積層方向への収縮をグリーンシート1に近づけることができ、シート積層体7と多孔質絶縁成形体11の収縮差に伴う積層界面の空隙、もしくは変形を防止するために、また、低温域での飛散物質の脱脂時の重量変化をグリーンシート1、5に近づけることができ、クラックやデラミネーションを抑制できるという点から、セラミックグリーンシート1、5に用いられるバインダ樹脂を、無機ペーストのバインダとして用いることが望ましい。特に、シート積層体7同士の加熱圧着時の接着力、及び脱バイ時の易分解性の点からアクリル樹脂が望ましい。
【0025】
無機ペーストの無機粉末は、例えば、ジルコニア粉末や、アルミナウィスカー、ガラスセラミックス粉末、ガラス粉末を用いることができるが、焼成後多孔質となることが重要である。
【0026】
また、グリーンシート1、5を形成するスラリの組成は、セラミック粉末100重量部に対して、バインダ3〜15重量部、溶剤20〜60重量部からなるものが用いられるが、無機ペーストの組成は、セラミック粉末100重量部に対して、バインダ20〜80重量部、溶剤20〜80重量部からなるものが用いられる。このように、セラミック粉末に対するバインダ量を多くすることにより多孔質とすることができ、セラミック(圧電体)の気孔率よりも、多孔質絶縁体の気孔率を大きくすることができる。また、多孔質絶縁体を多孔質とするには、焼成温度において完全に焼結しない無機粉末を用いることによっても多孔質とすることができる。
【0027】
貫通孔9に充填される多孔質絶縁成形体11は、無機ペーストをシート状に成形し、このシート状の多孔質絶縁成形体11を貫通孔9内に収納して形成される。
【0028】
シート状に成形された多孔質絶縁成形体11を貫通孔9内に収納することにより、多孔質絶縁成形体11の貫通孔9からのはみ出しを防止することができる。シート状の多孔質絶縁成形体11を、シート積層体7の貫通孔9内に収容するには、図3(b)に示すように、シート積層体7の表面に多孔質絶縁成形体シート13を積層し、これを、貫通孔9を形成するために作製したプレス型により、押出量を制御して打ち抜き加工し、この後、シート積層体7の表面に積層された多孔質絶縁成形体シート13を剥離することにより、貫通孔9内にシート状の多孔質絶縁成形体11が収容されたシート積層体7を作製できる。
【0029】
尚、多孔質絶縁成形体11の貫通孔9内への収容は、一旦シート積層体7に貫通孔9を形成した後、この貫通孔9が形成されたシート積層体7に多孔質絶縁成形体シート13を積層し、プレス型により多孔質絶縁成形体11を詰めても良い。
【0030】
シート積層体7の貫通孔9に、シート状の多孔質成形体11を充填する場合、上記のようにして、貫通孔9内にシート状の多孔質成形体11を収容したシート積層体7を加圧して、シート積層体7とシート状の多孔質成形体11との厚み差を小さくすることが望ましい。特に厚み差は5μm以下とすることが望ましい。これにより、加圧一体化する工程において、シート積層体7とシート状の多孔質絶縁成形体11の収縮率を同等にすることが可能となり、シート積層体7とシート状の多孔質絶縁成形体11の収縮差に伴う積層界面の空隙、もしくは変形を防止することが可能となる。
【0031】
これらのシート状の多孔質絶縁成形体11は、上記した無機ペーストを作製し、グリーンシート1と同様に、例えばスリップキャステイング法により、厚み50〜250μmにて作製される。
【0032】
この後、貫通孔9に多孔質成形体11が充填されたシート積層体7を、交互に位置をずらして積層し、その後、50〜200℃で加熱を行いながら加圧して一体化し、図4に示すような積層体を作製する。
【0033】
この後、積層体を、図4(a)、(b)で示す一点鎖線で、即ち、貫通孔9で切断して、図5に示すように、側面に多孔質絶縁成形体11が埋設され、この多孔質絶縁成形体11で、内部電極パターン3が一層置きに対向する側面で交互に絶縁された素子本体成形体23を作製する。
【0034】
この素子本体成形体23は、側面において、内部電極パターン3が一層置きに多孔質絶縁成形体11で絶縁され、内部電極パターン3の一方端部が外面に露出し、他方端部が多孔質絶縁成形体11で被覆されている。
【0035】
その後、大気中において300〜800℃で5〜80時間の脱バイを行なう。この際、素子本体成形体23、多孔質絶縁成形体11のバインダが分解飛散し、その後、900〜1200℃で2〜10時間で本焼成が行われ、素子本体成形体23のセラミックス(圧電体)が緻密化し、多孔質絶縁成形体11が多孔質となり、図6に示すように、圧電体27と内部電極29が交互に積層された素子本体31が作製される。この素子本体31は柱状で、対向する側面には、内部電極29の端部を絶縁するための多孔質絶縁体40が、内部電極29毎に交互に露出している。多孔質絶縁体40は素子本体31内に埋設され、多孔質絶縁体40と圧電体27で形成される側面は平坦とされている。
【0036】
圧電体27の気孔率は5%以下、特に3%以下であることが望ましく、多孔質絶縁体40の気孔率は10%以上、特に20%以上であることが望ましい。
【0037】
この後、例えば、素子本体31の多孔質絶縁体40が形成された側面において、素子本体31の側面に露出した内部電極29およびこの内部電極29の近傍の圧電体27表面に、銀ガラス導電性ペーストを塗布乾燥し、この銀ガラス導電性ペーストに金属板33を押圧するように荷重を加えた状態で400〜950℃で熱処理することにより、銀ガラス導電性ペースト中のガラスが溶融し、溶融したガラス中に存在する銀成分が内部電極29の端部に集合し、図7に示すように、素子本体31の側面から突出する突起状導電性端子35が形成されるとともに、該突起状導電性端子35の先端部に金属板からなる外部電極33を接合する。
【0038】
内部電極29の一方端部は外部電極33に電気的に接続するとともに、内部電極29の他方端部は、外部電極33とは多孔質絶縁体40で絶縁されている。
【0039】
この後、外部電極33と素子本体31の外面との間に絶縁樹脂39を充填し、また、内部電極29端が露出している素子本体31の他の側面にも絶縁樹脂39を被覆して、積層型電子部品を作製できる。
【0040】
以上のような積層型電子部品の製法では、従来の凹溝を形成した積層型圧電素子と同様な機能を有することができ、グリーンシート1、5が固化するまで形状を保持でき、これにより、変形を防止できるとともに、クラックや積層界面のデラミネショーンなどの欠陥がない寸法通りの積層型電子部品を確実にかつ一挙に形成できる。
【0041】
本発明の積層型電子部品及びその製法は、積層型圧電トランス、積層型コンデンサ、積層型圧電アクチュエータ等の積層型電子部品及びその製法に用いられるものであるが、特に積層型圧電アクチュエータ等の積層型圧電素子及びその製法に好適に用いることができる。
【0042】
【実施例】
チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3からなる圧電体セラミックスの仮焼粉末と、アクリル樹脂からなるバインダと、フタル酸エステルからなる可塑剤とを混合したスラリを作製し、スリップキャステイング法により、厚み150μmのセラミックグリーンシートを作製した。バインダは、仮焼粉末100重量部に対して7重量部とした。
【0043】
このグリーンシートの片面に内部電極となる銀−パラジウムを主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法により5μmの厚みに印刷し、導電性ペーストを乾燥して内部電極パターンを形成した後、さらにこの内部電極パターン表面に前記グリーンシートを積層し、図1(b)に示すような、内部電極パターンをグリーンシートで挟持したシート積層体を複数作製した。
【0044】
これらのシート積層体の所定個所に、図2に示すように、長方形形状(幅2mm、長さ10mm)の複数の貫通孔を形成した。その後、表1に示す無機粉末と、表1に示すバインダと、トルエンからなる溶媒を用い、バインダを、無機粉末100重量部に対して表1に示す割合となるように混合し、シート状に成形してシート状の多孔質絶縁成形体を形成し、図3に示すように、これを貫通孔に充填形成した。尚、シート状の多孔質絶縁成形体は厚み150μmとし、図3(b)(c)のようにしてシート状の多孔質絶縁成形体を貫通孔内に収容し、その後、加圧してシート積層体とシート状の多孔質絶縁成形体とを加圧一体化し、厚み差が±5μm以下とした。一方、ゾル状の混合体からなる無機ペーストは、シート積層体とシート状の多孔質絶縁成形体との差を±5μm以下となるように、貫通孔内に充填した。
【0045】
そして、貫通孔の位置を交互にずらして積層し、その後、150℃で加熱を行いながら加圧して一体化し、図4の一点鎖線で示すように、積層体を貫通孔で切断して、図5に示すような素子本体成形体を作製した。
【0046】
素子本体成形体は、対向する側面において、内部電極パターンが一層置きに交互に多孔質絶縁成形体で絶縁されていた。その後、500℃で5時間の脱バイを行ない、バインダを分解飛散させた。
【0047】
その後、1000℃で5時間で本焼成を行い、素子本体を得た。焼成後における外観検査を行い、また、素子本体の圧電体と多孔質絶縁体の気孔率をアルキメデス法にて測定し、これらの結果を表1に記載した。
【0048】
また、積層型圧電素子の耐久試験を行い、その結果を表1に記載した。尚、耐久試験は、500Nのプリロードをかけた試料に、150℃雰囲気中で150Vの電圧を印加し、108回駆動することにより行った。なお、試料No.5は、参考試料である。
【0049】
【表1】
【0050】
この表1から、本発明の積層型圧電素子では、焼成後の素子本体に変形がなく、内部電極端部が多孔質絶縁体で確実にかつ一挙に絶縁されていた。また、接合界面を観察しても、クラックやデラミネーションも発生していなかった。また、耐久試験後においてもクラックやデラミネーションも発生していなかった。
【0051】
一方、内部電極端が多孔質絶縁体で被覆されておらず、圧電体と同一材料で絶縁され、また、溝が形成されていない、従来のいわゆる部分電極構造の積層型圧電素子(試料No.1、2)では、耐久試験後に不活性部においてクラックが発生した。
【0052】
また、従来の溝を形成した試料No.7、8では、無機粉末を用いず、バインダとして低温で分解するアクリル樹脂を用いているため、焼成後に溝の変形が生じた。
【0054】
【発明の効果】
本発明の積層型電子部品の製法では、従来のように、内部電極端を一層置きに絶縁するための凹溝を形成する必要がないため、また、従来の凹溝に該当する部分には多孔質絶縁体が形成されているため、脱バイ〜焼成(熱処理)工程において、無機粉末により多孔質絶縁体で挟持された部分の変形が防止され、従来のような、凹溝におけるクラックや積層界面のデラミネショーンなどの欠陥がない、寸法通りの積層型電子部品を確実にかつ一挙に形成でき、信頼性及び量産性の高い積層型電子部品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型電子部品の製法に用いられるシート積層体の工程図であり、(a)はグリーンシート上に内部電極パターンを形成した平面図、(b)は内部電極パターンをグリーンシートで挟持した断面図である。
【図2】シート積層体に多数の貫通孔を規則的に形成した平面図である。
【図3】(a)は貫通孔に多孔質絶縁成形体を形成したシート積層体を示す断面図、(b)(c)はシート状の多孔質絶縁成形体を貫通孔に形成する工程図である。
【図4】(a)は多孔質絶縁成形体が形成されたシート積層体を交互に位置をずらして積層した状態を示す断面図、(b)はその平面図である。
【図5】素子本体成形体の断面図である。
【図6】素子本体の断面図である。
【図7】積層型電子部品の断面図である。
【符号の説明】
1、5・・・グリーンシート
3・・・内部電極パターン
7・・・シート積層体
9・・・貫通孔
11・・・多孔質絶縁成形体
23・・・素子本体成形体
27・・・圧電体
29・・・内部電極
31・・・素子本体
33・・・外部電極
40・・・多孔質絶縁体
Claims (2)
- 複数のセラミックグリーンシートと複数の内部電極パターンを積層してなる素子本体成形体を作製する素子本体成形体作製工程と、該素子本体成形体を熱処理して、セラミックスと内部電極とが交互に積層されるとともに、対向する側面における内部電極端が多孔質絶縁体によって交互に絶縁され、かつ前記セラミックスと前記多孔質絶縁体とで形成される側面が平坦である素子本体を作製する工程と、前記多孔質絶縁体が形成された前記素子本体の対向する側面に、前記内部電極と交互に接続する外部電極をそれぞれ形成する工程とを具備する積層型電子部品の製法であって、前記素子本体成形体作製工程が、前記内部電極パターンを一対の前記セラミックグリーンシートで挟持してなる複数のシート積層体にそれぞれ貫通孔を形成する工程と、該貫通孔内に無機粉末と有機成分とからなるシート状の多孔質絶縁成形体を収納する工程と、該貫通孔内に前記シート状の多孔質絶縁成形体が収納された前記シート積層体を、交互に位置をずらして複数積層することにより積層体を作製する工程と、該積層体を前記貫通孔部分で積層方向に切断して、対向する側面における前記内部電極パターンの端部が前記多孔質絶縁成形体で一層置きに交互に被覆された前記素子本体成形体を作製する工程とを具備することを特徴とする積層型電子部品の製法。
- 前記多孔質絶縁成形体の無機粉末は繊維状であることを特徴とする請求項1記載の積層型電子部品の製法。
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