JP3912153B2 - セラミック多層基板の製造方法 - Google Patents

セラミック多層基板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、予め焼成したセラミック基板に未焼成のセラミックグリーンシートを積層してセラミック多層基板を製造するセラミック多層基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、セラミック多層基板は、グリーンシート積層法で製造されることが多い。このグリーンシート積層法は、複数枚のセラミックグリーンシートにビアホールを形成した後、各セラミックグリーンシートのビアホールに導体ペーストを充填してビア導体を形成すると共に、各セラミックグリーンシートに導体ペーストで配線パターンを印刷する。その後、これら複数枚のセラミックグリーンシートを積層・熱圧着して生基板を作製した後、この生基板を焼成してセラミック多層基板を製造する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、生基板を焼成する過程で、15〜30%程度の焼成収縮が発生するため、基板の寸法精度を管理することが難しく、しかも、キャビティ等の凹凸のある多層基板では、基板両面の収縮応力が不均一になるため、焼成基板に反りが発生しやすく、特にキャビティの底面部の反りが大きくなるという欠点もあった。
【0004】
また、絶縁性のセラミックグリーンシートと、誘電体、磁性体等の異種材料のセラミックグリーンシートとを積層して複合セラミック多層基板を焼成する場合は、両者の焼結温度を一致させ、且つ、両者の焼成収縮挙動の違いを少なくして層間剥離を防止する必要があるため、材料の選択の幅が非常に狭く、設計の自由度が非常に狭いという欠点がある。
【0005】
近年、基板の焼成収縮を小さくして基板寸法精度を向上させる焼成方法として、特開2001−267743号公報に示すように、焼成済みのアルミナ基板上に、予め配線パターンを印刷した未焼成のセラミックグリーンシートを積層して熱圧着し、これを焼成してセラミック多層基板を製造することが提案されている。この焼成方法は、セラミックグリーンシートの焼成収縮を焼成済みのアルミナ基板で抑えることで、基板全体の焼成収縮を小さくしようとするものである。
【0006】
しかし、セラミックグリーンシートの焼成収縮力は大きいため、セラミックグリーンシートの焼成収縮をその片面から焼成済みアルミナ基板のみで抑えようとしても十分に抑えることができない。その結果、セラミックグリーンシートの焼成層と焼成済みのアルミナ基板との間に剥がれが発生したり、セラミックグリーンシートの焼成層にクラックが発生したり、基板の反りが発生することがあり、製品の歩留まりが悪いという欠点がある。
【0007】
また、基板の焼成収縮を小さくして基板寸法精度を向上させる効果の大きい焼成方法として、例えば特表平5−503498号公報や特開平9−92983号公報に示すように、加圧焼成法(拘束焼成法)が開発されている。この加圧焼成法は、焼成前の低温焼成セラミック基板(以下「生基板」という)の両面に、低温焼成セラミックの焼結温度(800〜1000℃)では焼結しない拘束用アルミナグリーンシートを積層し、この状態で、該生基板を加圧しながら、800〜1000℃で焼成した後、焼成基板の両面から拘束用アルミナグリーンシートの残存物をブラスト処理等で取り除いて低温焼成セラミック基板を製造するものである。
【0008】
しかし、キャビティ付きの低温焼成セラミック基板を上述した加圧焼成法で焼成すると、拘束用アルミナグリーンシートを介してキャビティの領域に加わる加圧力がキャビティ周縁に集中的に作用し、キャビティの底面には加圧力が全く作用しないため、キャビティの底面部が凸状に反ってしまい、キャビティの寸法精度を確保できないという欠点がある。
【0009】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、セラミック多層基板の各層を形成するセラミック材料の焼結温度、焼成収縮特性等に対する材料選択の自由度や各層の形状の自由度を大幅に拡大することができ、従来の製造方法では製造が困難であった構成のセラミック多層基板を、層間剥離や反り等がなく、寸法精度良く製造できるセラミック多層基板の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、予め焼成したセラミック基板(以下「焼成済み基板」という)と、該焼成済み基板の焼結温度とほぼ同一温度又はそれよりも低い温度で焼結する未焼成のセラミックグリーンシートとを積層して作製した積層体を焼成してセラミック多層基板を製造する方法であって、前記焼成済み基板を積層体の少なくとも両面に積層するように2枚以上の焼成済み基板と1枚以上の未焼成のセラミックグリーンシートとを積層して積層体を作製した後、この積層体をその両面に積層された焼成済み基板を介して加圧しながら又は加圧せずに前記未焼成のセラミックグリーンシートの焼結温度で焼成してセラミック多層基板を製造するようにしたものである。
【0011】
本発明のように、積層体の両面に焼成済み基板を積層すれば、焼成工程で、積層体両面の焼成済み基板がセラミックグリーンシートの焼成収縮を抑える拘束層として機能するようになるため、積層体の両面に拘束用グリーンシートを積層する必要がなくなり、工程数を少なくすることができる。しかも、焼成時にセラミックグリーンシートのX・Y方向の焼成収縮、反り、変形がその両面側から焼成済み基板によってほぼ均等に抑えられ、寸法精度が良く且つ層間剥離や反り等のないセラミック多層基板を製造することができる。
【0012】
この製造方法では、焼成済み基板と未焼成のセラミックグリーンシートとの間の焼結温度の相違や焼成収縮特性の相違等は問題とならないため、セラミック多層基板の各層を形成するセラミック材料の焼結温度、焼成収縮特性等に対する材料選択の自由度や各層の形状の自由度を大幅に拡大することができ、従来の製造方法では製造が困難であった構成のセラミック多層基板を、層間剥離や反り等がなく、寸法精度良く製造できる。
【0013】
この場合、対向する焼成済み基板間に、開口部を形成した未焼成のセラミックグリーンシートを挟み込むように積層することで、内層に空隙部を有するセラミック多層基板を製造するようにしても良い。このようにすれば、セラミック多層基板の内層に形成する空隙部の上下両面が焼成済み基板で形成されるため、空隙部の上下両面をセラミックグリーンシートで形成する場合と比較して、積層工程で内層の空隙部の上下両面が変形しなくなると共に、焼成工程で空隙部の上下両面が焼成収縮しなくなり、内層に空隙部を有するセラミック多層基板を拘束焼成法で寸法精度良く製造することが可能となる。
【0014】
また、対向する焼成済み基板間に、該焼成済み基板よりも小さい複数枚の未焼成のセラミックグリーンシートを基板面に沿って間隔をあけて配列した状態で積層することで、内層に基板面方向に貫通する空隙部を有するセラミック多層基板を製造するようにしても良い。このようにすれば、内層に基板面方向に貫通する空隙部を有するセラミック多層基板を拘束焼成法で寸法精度良く製造することが可能となる。
【0015】
また、積層体の片面又は両面に、開口部を形成した焼成済み基板を積層することで、該焼成済み基板の開口部と前記内層の空隙部とによってキャビティを形成するようにしても良い。このようにすれば、従来では製造が困難であった複雑な形状のキャビティを有するセラミック多層基板を拘束焼成法で寸法精度良く製造することが可能となる。
【0016】
ところで、積層体の内層に形成する空隙部の幅が大きくなると、焼成工程で、空隙部の上下両面(焼成済み基板)が自重により下方に反るように変形する可能性がある。
【0017】
この対策として、空隙部に、未焼成のセラミックグリーンシートの焼結温度では焼結しない不活性セラミック部材を充填し、焼成工程の終了後に空隙部内の不活性セラミック部材を除去するようにしても良い。このようにすれば、内層に形成する空隙部の幅が比較的大きい場合でも、焼成工程で、空隙部の上下両面(焼成済み基板)が自重により下方に反るように変形することを不活性セラミック部材によって防止できて、寸法精度の良い空隙部を形成することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
[実施形態(1)]
以下、本発明の実施形態(1)を図1及び図2に基づいて説明する。
【0019】
本実施形態(1)で製造するセラミック多層基板は、予め焼成した複数枚の焼成済み基板11間に、該焼成済み基板11よりも小さい複数枚の未焼成の低温焼成セラミックグリーンシート12を基板面に沿って間隔をあけて配列した状態で積層して、800〜1000℃で拘束焼成(加圧焼成又は無加圧焼成)したものである。これにより、セラミック多層基板の内層には、基板面方向に貫通する多数の空隙部13が形成されている。
【0020】
このセラミック多層基板は、例えば、空隙部13をガス流路として使用して、空隙部13に空気等のガスを流すことで、イオンやオゾンを発生するイオン発生器、オゾン発生器等として使用される。この場合は、各焼成済み基板11の両面のうちの空隙部13の上下面となる部分に、空隙部13内に流れるガスに電圧を印加するための電極パターンが印刷・焼成されている。また、各低温焼成セラミックグリーンシート12には、層間を電気的に接続するためのビアホールが形成され、このビアホールに導体ペーストが印刷により充填されている。更に、各低温焼成セラミックグリーンシート12の片面(又は両面)には、配線パターンが印刷されている。
【0021】
以上のような構成のセラミック多層基板は次のような工程を経て製造される。まず、焼成済み基板11を準備する。この焼成済み基板11は、セラミック基板を焼成したものであり、単層基板又は多層基板のいずれであっても良い。また、この焼成済み基板11を形成するセラミック材料は、絶縁性セラミック、誘電体セラミック、磁性体セラミック、圧電性セラミックのいずれであっても良く、要は、低温焼成セラミックグリーンシート12の焼結温度と同一温度又はそれよりも高い温度で焼結するセラミック材料を用いれば良い。また、焼成済み基板11が多層基板の場合は、各層を同種のセラミックで形成しても良いし、同時焼成可能な異種のセラミックで形成した層が混在する構成としても良い。
【0022】
この場合、絶縁性セラミックとは、基板の絶縁層を形成するのに用いるセラミックであり、例えば、低温焼成セラミック、アルミナ等の高温焼結性セラミックが挙げられる。焼成済み基板11を低温焼成セラミックで形成する場合は、低温焼成セラミックグリーンシート12と同種の低温焼成セラミックを用いても良く、勿論、低温焼成セラミックグリーンシート12の焼結温度と同一温度又はそれよりも高い温度で焼結する他の種類の低温焼成セラミックを用いても良いことは言うまでもない。
【0023】
更に、焼成済み基板11の両面(又は片面)に、電極パターン等の導体パターンを印刷・焼成する。この導体パターンは、焼成済み基板11と同時焼成したり、焼成済み基板11の焼成後に、後付けで印刷・焼成しても良い。また、焼成済み基板11に層間接続用のビア導体を形成する必要がある場合は、焼成済み基板11の焼成時にビア導体も同時焼成すると良い。尚、焼成済み基板12にRuO2 系等の厚膜抵抗体を同時焼成又は後付けで形成しても良い。
【0024】
次に、低温焼成セラミックグリーンシート12を準備する。このグリーンシート12を形成する低温焼成セラミック材料としては、例えば、CaO−SiO2 −Al2 3 −B2 3 系ガラス:50〜65重量%(好ましくは60重量%)とアルミナ:50〜35重量%(好ましくは40重量%)との混合物を用いると良い。この他、MgO−SiO2 −Al2 3 −B2 3 系ガラスとアルミナとの混合物、或は、SiO2 −B2 3 系ガラスとアルミナとの混合物、PbO−SiO2 −B2 3 系ガラスとアルミナとの混合物、コージェライト系結晶化ガラス等の800〜1000℃で焼成できる低温焼成セラミック材料を用いても良い。
【0025】
低温焼成セラミックグリーンシート12は、上記組成の低温焼成セラミック材料にバインダー(例えばポリビニルブチラール、アクリル系等の樹脂)、溶剤(例えばトルエン、キシレン、ブタノール等)及び可塑剤を配合して、十分に撹拌混合してスラリーを作製し、このスラリーを用いてドクターブレード法等でテープ成形して所定サイズに切断したものである。
【0026】
この低温焼成セラミックグリーンシート12に、ビアホール(図示せず)をパンチング加工等により打ち抜き加工した後、印刷工程に進み、低温焼成セラミックグリーンシート12のビアホールに、Ag、Ag/Pd、Au、Ag/Pt、Cu等の低融点金属の導体ペーストを充填すると共に、各低温焼成セラミックグリーンシート12に、上記と同種の低融点金属の導体ペーストを使用して配線パターン(図示せず)をスクリーン印刷する。
【0027】
印刷工程後、積層工程に進み、複数枚の焼成済み基板11間に、該焼成済み基板11よりも小さい複数枚の未焼成の低温焼成セラミックグリーンシート12を基板面に沿って間隔をあけて配列した状態で積層して、この積層体を熱圧着して仮止めする。この熱圧着の条件は、好ましくは、加圧力が105 〜107 Pa、加熱温度が40〜150℃である。尚、加圧焼成する場合は、この積層工程で、焼成済み基板11と低温焼成セラミックグリーンシート12とを重ね合わせるだけで、熱圧着を省略するようにしても良い。
【0028】
このようにして作製した積層体を、アルミナ、SiC等で形成されたセッター板(図示せず)間に挟み込んで、105 〜107 Paの圧力で加圧しながら、低温焼成セラミックグリーンシート12の焼結温度である800〜1000℃で焼成する。尚、無加圧で焼成しても良く、この場合は、積層工程で、積層体を熱圧着する必要がある。
【0029】
以上説明した本実施形態(1)では、複数枚の焼成済み基板11間に、該焼成済み基板11よりも小さい複数枚の未焼成の低温焼成セラミックグリーンシート12を基板面に沿って間隔をあけて配列した状態で積層して拘束焼成することで、内層に基板面方向に貫通する多数の空隙部13を有するセラミック多層基板を製造するようにした。このようにすれば、セラミック多層基板の内層に形成する空隙部13の上下両面が焼成済み基板11で形成されるため、空隙部13の上下両面をセラミックグリーンシートで形成する場合と比較して、積層工程で内層の空隙部13の上下両面が変形しなくなると共に、焼成工程で空隙部13の上下両面が焼成収縮しなくなり、内層に基板面方向に貫通する多数の空隙部13を有するセラミック多層基板を拘束焼成法で寸法精度良く製造することができる。
【0030】
しかも、積層体の両面に焼成済み基板11を積層し、焼成工程で、積層体両面の焼成済み基板11を低温焼成セラミックグリーンシート12の焼成収縮を抑える拘束層として利用するようにしたので、焼成工程で、積層体の両面に拘束用グリーンシートを積層する必要がなくなり、工程数を少なくすることができて、製造コストを低減することができる。
【0031】
尚、各層の空隙部13の大きさ、位置、個数は、図1の構成例に限定されるものではなく、各層の空隙部13の大きさ、位置、個数を層毎に変化させるようにしても良い。また、内層の一部の層に、空隙部13を形成しないようにしても良い。
【0032】
[実施形態(2)]
ところで、上記実施形態(1)の構成のセラミック多層基板では、内層に形成する空隙部13の幅が大きくなると、焼成工程で、空隙部13の上下両面(焼成済み基板11)が自重により下方に反るように変形する可能性がある。
【0033】
そこで、内層の空隙部13の幅が大きいセラミック多層基板を製造する場合には、図3に示す本発明の実施形態(2)のように、積層工程で、内層の空隙部13に不活性セラミック部材14を充填し、焼成工程の終了後に空隙部13内の不活性セラミック部材14を除去するようにすると良い。これ以外の事項は、前記実施形態(1)と同じで良い。
【0034】
この場合、不活性セラミック部材14は、低温焼成セラミックグリーンシート12の焼結温度(800〜1000℃)では焼結しない高温焼結性セラミック(例えばアルミナ、ジルコニア、マグネシア等)を用いれば良い。この不活性セラミック部材14は、セラミック粉末、ペースト、スラリー、グリーンシートのいずれの形態で使用しても良い。不活性セラミック部材14をペースト、スラリー、グリーンシートのいずれかの形態で使用する場合は、焼成の過程で、不活性セラミック部材14のペースト、スラリー、グリーンシート中の有機物が熱分解して飛散して、最終的にはセラミック粉末として残る。
【0035】
焼成後に空隙部13内の不活性セラミック部材14を除去する工程では、例えば、エアーガン、超音波洗浄、乾式・湿式ブラスト等を用いれば良い。
【0036】
尚、不活性セラミック部材14をペースト、スラリー、グリーンシートの形態で使用する場合は、積層工程で、空隙部13内全体を不活性セラミック部材14で埋め尽くすように充填する必要があるが、不活性セラミック部材14をグリーンシートの形態で使用する場合は、必ずしも、空隙部13内全体を不活性セラミック部材14のグリーンシートで埋め尽くす必要はなく、不活性セラミック部材14のグリーンシートと未焼成の低温焼成セラミックグリーンシート12との間に多少の隙間があっても良い。要は、不活性セラミック部材14のグリーンシートの厚みを未焼成の低温焼成セラミックグリーンシート12の厚みと同一に形成して、空隙部13内の不活性セラミック部材14の上下両面が焼成済み基板11に密着するようにすれば良い。
【0037】
以上説明した本実施形態(2)では、内層の空隙部13に、低温焼成セラミックグリーンシート12の焼結温度では焼結しない不活性セラミック部材14を充填して、焼成工程の終了後に空隙部13内の不活性セラミック部材14を除去するようにしたので、内層に形成する空隙部13の幅が比較的大きい場合でも、焼成工程で、空隙部13の上下両面(焼成済み基板11)が自重により下方に反るように変形することを不活性セラミック部材14によって防止できて、寸法精度の良い空隙部13を形成することができる。
【0038】
[実施形態(3)]
図4及び図5に示す本発明の実施形態(3)では、積層体の上面に積層する焼成済み基板15に開口部16を形成することで、該焼成済み基板15の開口部16と内層の空隙部13とによってキャビティ17を形成する。この場合、焼成済み基板15の開口部16は、焼成済み基板15の焼成前に打ち抜き加工等により形成すれば良い。また、開口部16の大きさは、内層の空隙部13よりも小さくても、大きくても、同一であっても良い。この構成のセラミック多層基板の製造方法は、前記実施形態(1)と同じでも良い。
【0039】
図4に示すように、焼成済み基板15の開口部16の大きさが内層の空隙部13よりも小さい場合に、焼成工程で、焼成済み基板15の開口部16の周囲部分が自重により下方に反るように変形することが問題になるときは、前記実施形態(2)と同じように、積層工程で、内層の空隙部13に不活性セラミック部材を充填し、焼成工程の終了後に空隙部13内の不活性セラミック部材を除去するようにすると良い。
【0040】
以上説明した本実施形態(3)では、従来では製造が困難であった複雑な形状のキャビティ17を有するセラミック多層基板を拘束焼成法で寸法精度良く製造することが可能となる。
【0041】
尚、上記実施形態(1)〜(3)は、いずれも、内層の空隙部13が一直線状に外部に貫通するように形成したが、空隙部13の形状は屈曲又は湾曲した形状であっても良い。また、積層工程前に未焼成の低温焼成セラミックグリーンシートに打ち抜き加工等により開口部を形成し、この開口部を形成した低温焼成セラミックグリーンシートを焼成済み基板間に挟み込むように積層することで、内層に密閉した空隙部を形成するようにしても良い。
【0042】
この場合、未焼成の低温焼成セラミックグリーンシートに形成する開口部の一部を、該グリーンシートの外縁まで延長して、内層に形成する空隙部を外部(大気)に連通させるようにしても良いことは言うまでもない。
尚、積層体の上面と下面に積層する焼成済み基板15にそれぞれ開口部を形成して、両面キャビティ付きのセラミック多層基板を製造するようにしても良い。
【0043】
[実施形態(4)]
図6に示す本発明の実施形態(4)では、焼成済み基板11を積層体の少なくとも両面に積層するように2枚以上の焼成済み基板11と1枚以上の未焼成の低温焼成セラミックグリーンシート12とを積層して積層体を作製した後、この積層体をその両面に積層された焼成済み基板11を介して加圧しながら又は加圧せずに低温焼成セラミックグリーンシート12の焼結温度で焼成してセラミック多層基板を製造するようにしたものである。
【0044】
この場合、セラミック多層基板の内層に焼成済み基板11を積層しない構成としても良く、勿論、内層に1枚又は2枚以上の焼成済み基板11を積層した構成としても良い。要は、積層工程で、積層体の少なくとも両面に焼成済み基板11が位置し、且つ、各焼成済み基板11間に1枚又は2枚以上の未焼成の低温焼成セラミックグリーンシート12が挟み込まれるように積層すれば良い。
【0045】
本実施形態(4)のように、積層体の両面に焼成済み基板11を積層すれば、焼成時に、積層体両面の焼成済み基板11が低温焼成セラミックグリーンシート12の焼成収縮を抑える拘束層として機能するようになるため、積層体の両面に拘束用グリーンシートを積層する必要がなくなり、工程数を少なくすることができて、製造コストを低減することができる。しかも、焼成時に低温焼成セラミックグリーンシート12のX・Y方向の焼成収縮、反り、変形がその両面側から焼成済み基板11によってほぼ均等に抑えられ、寸法精度が良く且つ層間剥離や反り等のないセラミック多層基板を製造することができる。
【0046】
更に、この製造方法では、焼成済み基板11と未焼成の低温焼成セラミックグリーンシート12との間の焼結温度の相違や焼成収縮特性の相違等は問題とならないため、セラミック多層基板の各層を形成するセラミック材料の焼結温度、焼成収縮特性等に対する材料選択の自由度や各層の形状の自由度を大幅に拡大することができて、セラミック多層基板の所定層(焼成済み基板11で形成される層)を絶縁性セラミックの他に、誘電体セラミック、磁性体セラミック、圧電性セラミック等によって形成することが可能となり、従来の製造方法では製造が困難であった機能材料を内蔵する複合セラミック多層基板を、層間剥離や反り等がなく、寸法精度良く製造できる。
尚、本実施形態(4)のセラミック多層基板においても、内層の一部の層に空隙部を形成するようにしても良い。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の請求項1のセラミック多層基板の製造方法によれば、焼成時に、積層体両面の焼成済み基板がセラミックグリーンシートの焼成収縮を抑える拘束層として機能するようになるため、積層体の両面に拘束用グリーンシートを積層する必要がなくなり、工程数を少なくすることができて、製造コストを低減することができる。しかも、セラミック多層基板の各層を形成するセラミック材料の焼結温度、焼成収縮特性等に対する材料選択の自由度や各層の形状の自由度を大幅に拡大することができ、従来の製造方法では製造が困難であった構成のセラミック多層基板を、層間剥離や反り等がなく、寸法精度良く製造できる。
【0048】
また、請求項2では、セラミック多層基板の内層に形成する空隙部の上下両面が焼成済み基板で形成されるため、積層工程で内層の空隙部の上下両面が変形しなくなると共に、焼成工程で内層の空隙部の上下両面が焼成収縮しなくなり、内層に空隙部を有するセラミック多層基板を拘束焼成法で寸法精度良く製造することが可能となる。
【0049】
また、請求項3では、対向する焼成済み基板間に、該焼成済み基板よりも小さい複数枚の未焼成のセラミックグリーンシートを基板面に沿って間隔をあけて配列した状態で積層するようにしたので、内層に基板面方向に貫通する空隙部を有するセラミック多層基板を、拘束焼成法で寸法精度良く製造することが可能となる。
【0050】
また、請求項4では、積層体の片面又は両面に、開口部を形成した焼成済み基板を積層するようにしたので、従来では製造が困難であった複雑な形状のキャビティを有するセラミック多層基板を拘束焼成法で寸法精度良く製造することが可能となる。
【0051】
また、請求項5では、内層の空隙部に不活性セラミック部材を充填し、焼成工程の終了後に空隙部内の不活性セラミック部材を除去するようにしたので、内層に形成する空隙部の幅が比較的大きい場合でも、寸法精度の良い空隙部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態(1)のセラミック多層基板の構成を模式的に示す縦断面図
【図2】実施形態(1)のセラミック多層基板の積層工程前の状態を示す斜視図
【図3】(a)は実施形態(2)のセラミック多層基板の積層・焼成工程の状態を模式的に示す縦断面図、(b)はセラミック多層基板の不活性セラミック部材除去後の状態を模式的に示す縦断面図
【図4】実施形態(3)のセラミック多層基板の構成を模式的に示す縦断面図
【図5】実施形態(3)のセラミック多層基板の構成を模式的に示す斜視図
【図6】実施形態(4)のセラミック多層基板の構成を模式的に示す縦断面図
【符号の説明】
11…焼成済み基板、12…低温焼成セラミックグリーンシート、13…空隙部、14…不活性セラミック部材、15…焼成済み基板、16…開口部、17…キャビティ。

Claims (4)

  1. 予め焼成したセラミック基板(以下「焼成済み基板」という)と、該焼成済み基板の焼結温度とほぼ同一温度又はそれよりも低い温度で焼結する未焼成のセラミックグリーンシートとを積層して作製した積層体を焼成してセラミック多層基板を製造する方法であって、
    前記焼成済み基板を前記積層体の少なくとも両面に積層するように2枚以上の焼成済み基板と1枚以上の未焼成のセラミックグリーンシートとを積層して積層体を作製する積層工程と、
    前記積層体をその両面に積層された焼成済み基板を介して加圧しながら又は加圧せずに前記未焼成のセラミックグリーンシートの焼結温度で焼成してセラミック多層基板を製造する焼成工程とを有するセラミック多層基板の製造方法において、
    対向する焼成済み基板間に、開口部を形成した未焼成のセラミックグリーンシートを挟み込むように積層することで、内層に基板面方向に貫通する空隙部を有するセラミック多層基板を製造することを特徴とするセラミック多層基板の製造方法。
  2. 予め焼成したセラミック基板(以下「焼成済み基板」という)と、該焼成済み基板の焼結温度とほぼ同一温度又はそれよりも低い温度で焼結する未焼成のセラミックグリーンシートとを積層して作製した積層体を焼成してセラミック多層基板を製造する方法であって、
    前記焼成済み基板を前記積層体の少なくとも両面に積層するように2枚以上の焼成済み基板と1枚以上の未焼成のセラミックグリーンシートとを積層して積層体を作製する積層工程と、
    前記積層体をその両面に積層された焼成済み基板を介して加圧しながら又は加圧せずに前記未焼成のセラミックグリーンシートの焼結温度で焼成してセラミック多層基板を製造する焼成工程とを有するセラミック多層基板の製造方法において、
    対向する焼成済み基板間に、該焼成済み基板よりも小さい複数枚の未焼成のセラミックグリーンシートを基板面に沿って間隔をあけて配列した状態で積層することで、内層に基板面方向に貫通する空隙部を有するセラミック多層基板を製造することを特徴とするセラミック多層基板の製造方法。
  3. 前記積層体の片面又は両面に、開口部を形成した焼成済み基板を積層することで、該焼成済み基板の開口部と前記内層の空隙部とによってキャビティを形成することを特徴とする請求項又はに記載のセラミック多層基板の製造方法。
  4. 前記空隙部に前記未焼成のセラミックグリーンシートの焼結温度では焼結しない不活性セラミック部材を充填し、前記焼成工程の終了後に前記空隙部内の不活性セラミック部材を除去することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のセラミック多層基板の製造方法。
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