JP2001089270A - シリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法 - Google Patents

シリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法

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JP2001089270A JP26234399A JP26234399A JP2001089270A JP 2001089270 A JP2001089270 A JP 2001089270A JP 26234399 A JP26234399 A JP 26234399A JP 26234399 A JP26234399 A JP 26234399A JP 2001089270 A JP2001089270 A JP 2001089270A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリコン含浸工程における変形や歪みまたは
未含浸を低減し、従来より加工性を向上させたシリコン
含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法を提供する。 【解決手段】 最大粒径が115μm以下で平均粒径が
10μm以上25μm以下である炭化珪素粉末に、粒径
が0.1μm以上1μm以下である炭素粉末を2重量%
以上7重量%以下添加混合し、混合物を所定形状の成形
体に成形する工程と、前記成形体を非酸化性雰囲気中1
500℃以上2300℃以下で焼成し、気孔径が103
nm以上104 nm以下である多孔焼成体を得る工程
と、得られた多孔焼成体を高純度シリコンを用いてシリ
コン含浸処理し、該含浸時における焼成体の体積膨張が
0.05%以上0.15%以下となるように炭素と反応
焼結させる工程と、前記シリコン含浸処理後の焼結体表
面を、CVD気相成長法により炭化珪素膜コートする工
程とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体製造工程に
おいてシリコンウエハ等を熱処理する際のウエハボー
ト、チューブ等熱処理用器具に用いられるシリコン含浸
炭化珪素セラミックス部材の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】半導体製造においては、不純物金属等の
不純物による汚染およびいわゆるパーティクル汚染等の
微粒子による汚染を回避することが最も重要な問題であ
る。すなわち、これらによる汚染は、製品ウエハの結晶
欠陥の発生、結晶の異常成長、抵抗値の変化、耐圧の変
化等、製品ウエハの歩留まりを著しく低下させる原因と
なる。これらの問題の発生を回避し半導体製品の歩留ま
り向上と安定操業を確保するため、半導体製造装置用の
部材には、従来よりパーティクル発生が可及的に少ない
石英ガラスやCVDコートシリコン含浸炭化珪素セラミ
ックス等の高純度品が使用されてきた。
【0003】石英ガラス部材は、比較的安価で容易に高
純度品が得られるため、従来から半導体製造装置用の熱
処理部材として多用されている。しかし、熱処理温度が
1100℃以上になると軟化して変形するため、高温領
域での使用に制限がある。また、曲げ強度が100MP
a程度と低いため、破損の心配がある。さらに、半導体
製造プロセスでしばしば使用されるフッ酸やフッ酸と硝
酸の混酸溶液等の洗浄液に対して耐性がなく、容易に腐
食され、消耗してしまうことから、繰り返し使用に限界
があり、結果として耐用性に劣るという欠点を有してい
る。
【0004】これに対し、CVDコートシリコン含浸炭
化珪素セラミックス部材は、1200℃以上の高温にお
いても安定して使用することができる。また、前記フッ
酸、混酸等にも耐久性を有するため、耐用期間も長いと
いう長所を有している。しかし、CVDコートシリコン
含浸炭化珪素セラミックス部材は、石英ガラス部材と比
較するとコストが数倍も高く、特に、大口径シリコンウ
エハの処理に対応できる大型の部材については、そのコ
スト差がさらに広がる傾向にある。
【0005】さらに、近年、半導体の高集積化が急速に
進み、このため低温プロセスにおいても、CVDコート
シリコン含浸炭化珪素セラミックス部材を使用する必要
性が生じてきた。これは、半導体を形成する工程におい
て、シリコンウエハにポリシリコン膜、酸化膜および窒
化膜等を堆積(デポジション)する熱工程があり、この
処理時に部材等にもシリコンウエハ同様に膜がデポジシ
ョンし、使用を繰り返す度に追加堆積することに起因す
る。これらの堆積したデポジション膜(デポ膜)は、部
材の使用中に、部材との熱膨張率の違いから、剥離し
て、パーティクルとなり製品ウエハを汚染するため、定
期的に洗浄を行い、該部材等に堆積したデポ膜を除去し
なければならない。また、半導体の集積度が増すと、よ
り細かいパーティクルをも十分に管理除去することが必
要となり、堆積したデポ膜を除去するための洗浄サイク
ルも短くなる。よって、たとえイニシャルコストが高く
ても、前記混酸等の洗浄液に耐性のあるCVDコートシ
リコン含浸炭化珪素セラミックス部材を使用する場合が
増しており、このことからも、CVDコートシリコン含
浸炭化珪素セラミックス部材の低コストおよび高品質に
対する要求が益々強まっている。
【0006】半導体製造装置用CVDコートシリコン含
浸炭化珪素セラミックス部材(CVDコートSi−Si
Cセラミックス部材)の一般的な製造方法は、まず、炭
化珪素粉末に炭素粉末とバインダーを加えて、静水圧プ
レス成形(CIP成形)、押出成形、排泥鋳込み成形
(スリップ成形)等の方法により成形体を得た後、これ
を1500℃以上2300℃以下で焼成する。そして、
この焼成体にシリコンを含浸させるが、このシリコン含
浸後のセラミックス部材は非常に硬いため、通常は前記
焼成後におおよその所定形状に生加工を行い、これに高
純度シリコンを溶融含浸させる。そして、最終形状に仕
上げ加工した後、その表面にCVD法(化学気相成長
法)により炭化珪素(SiC)薄膜を形成させて製作し
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記CVDコートSi
−SiCセラミックス部材の製造方法における問題点
は、シリコン(Si)含浸工程における変形や歪みまた
は未含浸部分の発生等による歩留まり低下と加工コスト
が高いことがその主なものであり、これがコストアップ
の大きな原因となっている。すなわち、原料に混合した
カーボン粉末は、シリコン含浸により、Si+C →
SiCの反応を起こし、焼成体を構成する炭化珪素(通
常α−SiC)粒子間に新たにβ−SiCを生成させて
粒子間接合強度をさらに上げる働きをする。その一方
で、体積が約2倍に膨張するため、この膨張が均一でな
いと応力歪みが発生し、変形、歪みまたは反り等を生じ
る。さらにそれがひどい場合には、クラックを生じて歩
留まり低下を引き起こす。この弊害の影響は、部材の大
型化に伴いより顕著となり、このため、上記問題の解決
は当業界において早急に解決されるべき課題となってい
た。
【0008】本発明は上記技術的課題を解決さするため
になされたものであり、多孔炭化珪素焼成体へのシリコ
ン含浸処理工程での変形、歪みまたは反り等の発生が回
避されるとともに、シリコンの未含浸部分の発生がな
く、該工程での不良品発生率が少ないため、全体として
の製品歩留まりが向上したシリコン含浸炭化珪素セラミ
ックス部材の製造方法を提供することを目的とするもの
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、最大粒
径が115μm以下で平均粒径が10μm以上25μm
以下である炭化珪素粉末に、粒径が0.1μm以上1μ
m以下である炭素粉末を2重量%以上7重量%以下添加
混合し、混合物を所定形状の成形体に成形する工程と、
前記成形体を非酸化性雰囲気中1500℃以上2300
℃以下で焼成し、気孔径が103 nm以上104 nm以
下である多孔焼成体を得る工程と、得られた多孔焼成体
を高純度シリコンを用いてシリコン含浸処理し、該含浸
時における焼成体の体積膨張が0.05%以上0.15
%以下となるように炭素と反応焼結させる工程と、前記
シリコン含浸処理後の焼結体表面をCVD気相成長法に
より炭化珪素膜コートする工程とを含むことを特徴とす
るシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法が
提供される。
【0010】また、本発明によれば、上記製造方法の一
好適態様として、前記炭素粉末が、カーボンブラック、
天然黒鉛及び人造黒鉛から選ばれた少なくとも1種から
なることを特徴とするシリコン含浸炭化珪素セラミック
ス部材の製造方法、および、前記炭化珪素粉末がα−S
iC粉末からなることを特徴とするシリコン含浸炭化珪
素セラミックス部材の製造方法がそれぞれ提供される。
【0011】さらに、本発明によれば、上記シリコン含
浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法の他の好適態様
として、前記炭化珪素粉末と炭素粉末の混合物に、さら
にバインダーとしてフェノール樹脂、ポリビニルアルコ
ール樹脂、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、アクリル樹脂
エマルジョンから選ばれた少なくとも1種を配合したこ
とを特徴とするシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材
の製造方法が提供される。
【0012】また、さらに、本発明によれば、前記混合
物が、静水圧プレス成形法により成形されることを特徴
とするシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方
法、前記混合物が、押出成形法により成形されることを
特徴とする製造方法、および、前記混合物が、排泥鋳込
み成形法により成形されることを特徴とする製造方法が
それぞれ提供される。
【0013】また、本発明によれば、前記成形体の焼成
工程における焼成進行程度が、該焼成工程で焼成された
成形体を酸化性雰囲気中600℃以上1000℃以下で
加熱処理することにより、焼成前に成形体に添加配合さ
れた炭素成分を焼き抜き除去したものの3点曲げ強度が
1MPa以上15MPa以下となる進行程度まで焼成す
ることを特徴とするシリコン含浸炭化珪素セラミックス
部材の製造方法が提供される。
【0014】本発明に係る製造方法は、粗大粒子が存在
せず、粒径分布の狭い、特定粒径の炭化珪素粉末を主原
料とし、これに特定量の微粒炭素粉末を配合して成形
後、非酸化性雰囲気中、特定の進行程度に焼成すること
により、続いて実施される生加工処理に十分耐え得る程
度の焼結強度を有し、かつ、気孔径が103 nm以上1
4 nm以下と、適度でほぼ揃った多孔質の焼成体を得
る点を第1の構成上の特徴とするものである。さらに、
該焼成体をシリコン含浸処理する際、処理後の焼成体が
特定範囲の体膨張率でほぼ均等に膨張するように、焼成
体中に分散存在する前記微粒炭素とシリコンを十分に反
応焼結させ、反応で生成したβ−SiCにより、焼成体
を構成する炭化珪素焼成粒(通常α−SiCからなる)
をさらに強固に結合させる点を第2の構成上の特徴とす
るものである。このように、特定の均質気孔径を有する
本発明に係る炭化珪素多孔焼成体は、それをシリコン含
浸処理した場合、シリコンの該気孔内含浸速度が適度な
速さとなり、かつ、含浸が焼成体内全体に均質に行き渡
り、未含浸部分を生じることがない。
【0015】上記シリコン含浸処理により焼成体の気孔
内に滲入したシリコンは該焼成体組織内に存在する炭素
と反応し、β−SiCとなり、焼成体組織を構成するα
−SiC粒をより強固に接合する作用を奏する。その一
方で、該β−SiCの生成時には体積が約2倍になるた
め、均一に膨張しないと該多孔焼成体の組織内に局部応
力歪みを発生させ、変形もしくは歪み、反り等を生じ、
極端な場合には焼結体にひび割れ(クラック)を生じさ
せて製品の歩留まりを低下させる。したがって、上記多
孔焼成体のシリコン含浸処理が好適に実施されるには、
シリコンが適度な速度で、かつ、組織内を万遍なく滲入
でき、しかも該組織内に適量の炭素微粒子が均質に分散
していることが重要となる。
【0016】例えば、主原料として配合する炭化珪素
(SiC)粉末の粒径が大きいと、得られる焼成体の加
工性は向上するが、気孔径が大きくなり、また、その分
布幅も広がり、シリコン含浸速度にもより大きなバラツ
キが生ずる。シリコン含浸時に焼成体は周囲から加熱さ
れるため、焼成体の内部と表面部では多少の温度差が生
じ、表面部が幾分高く、シリコン含浸速度も内部に比べ
て速くなる。したがって、気孔径が大きく、含浸速度が
速すぎると、表面部の含浸が先に進行してしまい、内部
に未含浸部分を発生させる傾向を助長させる。このよう
に、焼成体表面部と内部でシリコンの含浸速度の差が大
きくなったり、未含浸部分の発生頻度が高まると、炭素
(C)とシリコン(Si)の反応にバラツキが生じ、焼
成体の変形量や歪みが増加する。
【0017】一方、配合する炭化珪素(SiC)粉末の
粒径が小さすぎると、得られる焼成体の加工性が低下
し、かつ、シリコン含浸時に歪みが発生し易くなり、後
の加工工程時等においてクラックの発生頻度を増加させ
る。すなわち、SiCの粒径が小さくなると、それだけ
比表面積が増大し、必要以上にSiC粒子間の焼結融着
が進み、焼成体の組織構造が強固になりすぎるため、こ
こにシリコンを含浸するとSiとCとの反応により生成
したSiCの膨張がうまく開放されず、内部応力歪みと
して蓄積される。このようにして蓄積された応力歪み
は、含浸処理後の加工工程時にクラックを発生させる誘
因となり、加工工程中のクラック発生頻度を増大させ
る。
【0018】さらに、適度の大きさで揃った気孔径を有
し、かつ、少なくとも生加工等の加工処理に耐え得る程
度の結合強度を有する焼成体を得るためには、焼成温度
や焼成雰囲気等の焼成条件の適正化が重要であり、特
に、焼成進行程度の適正化を図ることが好ましい。すな
わち、該焼成工程で焼成された成形体を、酸化性雰囲気
中600℃以上1000℃以下で加熱処理し、成形体中
に添加配合された炭素成分を焼き抜き除去したものの3
点曲げ強度を測定した場合、その強度が1MPa以上1
5MPa以下となる程度に焼成を進行させることが特に
好ましい。この焼成進行程度が上記範囲を外れた場合、
たとえSiCやC等の原料粉末が本発明で規定する範囲
のものであっても、上記特性を十分に備えた好適な焼結
体を得ることが困難となる。
【0019】また、さらに、本発明に係る製造方法にお
いては、前記焼成体のシリコン含浸工程において、滲入
したシリコンが焼成体組織中に分散存在する炭素粒子と
十分に反応焼結することが重要であり、その場合、該処
理後の焼結体は、体積膨張が前記0.05%以上0.1
5%以下となる。
【0020】このように、シリコン含浸前の焼成体の気
孔径が103 nm以上104 nm以下となるように、ま
た、シリコンを含浸し、SiCを生成させたときの体積
膨張率が0.05%以上0.15%以下となるように条
件設定する本発明の特定構成によれば、たとえ大口径半
導体製造装置用の大型部材であっても、加工性が良好で
高品質のものを歩留まり良く製造することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係るシリコン含
浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法をより具体的に
説明する。本発明に係る製造方法において、主原料とし
て用いられる炭化珪素粉末は、最大粒径が115μm以
下で、平均粒径が10μm以上25μm以下のものを用
いる。炭化珪素粉末の粒径が上記規定範囲より大きい
と、加工性は向上するが、得られる焼成体の気孔径が大
きくなるとともに、その分布幅も広がり、シリコン含浸
速度にもより大きなバラツキが生じる。シリコン含浸時
に焼成体は周囲から加熱されるため、焼成体の内部と表
面部で温度差が生じ、表面部が高く、シリコン含浸速度
も内部に比べて速くなる。したがって、気孔径が大き
く、含浸速度が速すぎると、表面部の含浸が先に進行し
てしまい、内部に未含浸部分が残存しやすくなる。これ
により、炭素とシリコンの反応が均一に進行せず、焼成
体の各部分における体積膨張率の差が大きくなり、焼成
体が変形し、場合によってはクラックを生じることとな
る。
【0022】一方、炭化珪素粉末の粒径が上記規定範囲
より小さい場合は、加工性が低下するとともに、得られ
る焼成体の気孔径が小さくなり、シリコン含浸工程にお
いて、含浸速度が小さくなる。また、炭化珪素粉末の粒
径が小さくなると、それだけ比表面積が増大し、SiC
粒子間の焼結融着が進み、焼成体の組織構造が強固にな
り過ぎる。したがって、ここにシリコンを含浸すると、
SiとCとの反応により生成したSiCの膨張がうまく
開放されず、内部応力歪みとして残留する。この残留応
力歪みは、後の加工工程時にクラックを発生させる誘因
となる。
【0023】炭化珪素粉末には、1500℃程度で生成
する立方晶形のβ−SiCと200℃以上で安定な六方
晶形のα−SiCが存在し、いずれも市販されている。
本発明に係る製造方法で用いる炭化珪素粉末原料として
は、特に限定されるものではない。本発明で規定した粒
度条件を満たす限り、いずれの粉末を用いてもよいが、
市販品として、高純度で金属不純物が少なく、粒度分布
が良く管理されて粗大粒の混入がなく、かつ、フッ酸、
混酸に対する耐食性に優れたα−SiC粉末の使用がよ
り好ましい。
【0024】次に、本発明において、上記炭化珪素粉末
と同時に用いられる炭素粉末原料としては、粒径が0.
1μm以上1μm以下である微粒粉末を用いる。上記炭
素粉末の粒径が、上記規定範囲より大きい場合は、組織
中での均一分散が困難となるだけでなく、シリコン含浸
工程での均質反応焼結が期待し難くなり、シリコン含浸
処理時の膨張にバラツキを生じやすくなる。また、上記
シリコン含浸工程中での反応の均一進行性を確保するた
めには、微粒の炭素がSiC粒子の周りに均一に分散し
ていることが重要である。したがって、粒径が微少なだ
けでなく、粒径分布が狭く、均一粒径に近いものが好ま
しく、粉末製造コスト上の観点も考慮して、本発明にお
いては、炭素粉末は粒径0.1μm以上1μm以下のも
のを使用する。
【0025】本発明に係る製造方法においては、上記炭
素粉末を、前記炭化珪素粉末100重量%に対し2重量
%以上7重量%以下、より好ましくは3重量%以上5重
量%以下配合する。炭素粉末の配合量が2重量%より少
ないと、SiC粒子間の焼結が進むとともにシリコンの
含浸性が低下し、未含浸部分が増加して、その部材を使
用した際にクラックを生じる頻度が増す。また、シリコ
ン含浸工程におけるシリコンと炭素の反応が少なすぎて
焼成体の組織(α−SiC粒子からなる)を強固に結合
するβ−SiCの生成が少なすぎ、α−SiC粒子同士
およびα−SiC粒子と含浸Siの接合が十分に向上し
ない。一方、配合量が7重量%より多いと、焼成後の強
度が得られず、該焼成体を十分にハンドリングできない
等の不都合を生ずる。
【0026】この炭素粉末は、焼成工程においては、S
iC粒子間の過度の焼結を抑制する。また、シリコン含
浸工程においては、シリコンとの良好な親和性により含
浸性(濡れ性)を向上させるとともに、シリコンと反応
してSiC粒子間に新しくSiCを形成し接合を強化す
る働きを奏する。該炭素粉末の製造原料としては、不純
物金属等を含まない所定純度を有する炭素源であれば特
に限定されるものではないが、カーボンブラック、天然
黒鉛もしくは人造黒鉛の粉末、または、これら粉末の1
種または2種以上の混合粉末を使用することが好まし
い。
【0027】本発明に係る製造方法においては、上記炭
化珪素粉末と炭素粉末の混合物に、成形体および焼成体
の強度向上のため、有機高分子系のバインダー、例え
ば、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ
酢酸ビニルエマルジョン、アクリルエマルジョン、メチ
ルカルボキシセルロース等から選ばれた1種または複数
種を配合することが好ましい。また、成形方法によって
は、分散剤や溶媒を添加しても良い。
【0028】次いで、この混合物を所定の成形体形状に
成形する。成形方法としては、この種のセラミック部材
の成形に用いられる成形法、例えば、機械プレス成形
法、静水圧プレス成形法、押出成形法、泥漿鋳込み成形
法、射出成形法等を特に限定されることなく用いること
ができるが、これらのうちでも、比較的単純な形状の部
材の成形には、静水圧プレス法(CIP成形法)や押出
法が、やや複雑な形状の部材には、排泥鋳込み成形法
(スリップ成形法)が好適である。
【0029】本発明に係る製造方法において、上記成形
体の焼成は、非酸化性雰囲気下、例えば、ヘリウム、ア
ルゴン等の不活性ガスや窒素ガス、または、減圧下にお
いて、1500℃以上2300℃以下で焼成(熱処理)
する。焼成温度がシリコン含浸時の熱処理温度より低い
と、シリコン含浸工程において寸法収縮が発生するた
め、該焼成温度はシリコン含浸時の熱処理温度より高い
温度で行うことが好ましい。また、炭化珪素は、210
0℃を越えると徐々に分解や再結晶し始め、2300℃
を越えるとそれらがさらに著しくなるため、焼成は17
00℃以上2100℃以下で行うのがより好ましい。
【0030】本発明の焼成工程においては、成形体の焼
成進行程度を適正化することが特に好ましい。すなわ
ち、上記焼成工程で焼成されたサンプル成形体を、例え
ば、大気中等の酸化性雰囲気中600℃以上1000℃
以下で加熱処理して、該サンプル成形体中に添加配合さ
れた炭素成分を焼き抜き除去する。この炭素焼き抜きサ
ンプルの3点曲げ強度を測定した場合、その強度が1M
Pa以上15MPa以下となる程度に焼成を進行させる
ことが好ましく、焼成進行程度が上記範囲をはずれた場
合、たとえSiCやC等の原料粉末が本発明の規定範囲
のものであっても、得られた焼成体の曲げ強度等が不足
し、本発明の特性を十分に備えた好適な焼結体を得るこ
とが困難となる。
【0031】本発明の焼成工程における焼成進行程度決
定のための上記炭素焼き抜き処理は、600℃以上10
00℃以下の温度範囲で実施することが必要である。該
処理温度が600℃より低いと、炭素成分の除去が十分
ではなく、1000℃より高いと、目的とする炭化珪素
焼成体そのものの焼成進行度がつかめない。
【0032】上記で規定した炭素焼き抜きサンプルの3
点曲げ強度(1MPa以上15MPa以下)を達成する
焼成進行程度を得るには、本発明で規定する範囲の炭化
珪素、炭素混合粉末の成形体の焼成時間や焼成温度を適
宜調整することにより、炭素焼き抜きサンプルが上記強
度範囲となる条件を求め、該求めた条件に基づき焼成工
程での焼成進行度条件を設定する。このようにして得ら
れた焼成体は、次に述べる生加工が十分可能な程度の機
械強度を有し、かつ、次のシリコン含浸工程における適
正速度でのシリコンの均等滲入に好都合である103
m以上104 nm以下の気孔径を有する。
【0033】シリコン含浸処理後の焼結体は非常に硬く
なるため、上記焼成後におおよその形状に生加工を行
い、純化処理した後、次の高純度シリコンの含浸処理に
付すことが好ましい。
【0034】純化処理には、HClやCl2 ガス雰囲気
下で熱処理する等の一般的方法を採用してよい。例え
ば、前記生加工した炭化珪素焼成体を不活性ガス及び/
又はHClやCl2 ガス雰囲気中で1200℃以上18
00℃以下で加熱純化処理する方法等を挙げることがで
きる。
【0035】シリコン含浸工程は、例えば、真空または
減圧アルゴンガスもしくは減圧窒素ガス等減圧不活性ガ
ス雰囲気中1430℃以上1600℃以下で該生加工お
よび純化処理した焼成体に高純度シリコンを含浸させ
る。高純度シリコンとしては、例えば、半導体単結晶の
原料として使用される高純度シリコン等を用いる。シリ
コン含浸工程においては、焼成体の気孔中に滲入した溶
融シリコンが該焼成体組織中に分散存在する炭素粒子と
十分に反応するまでの間、上記温度に保持する。これに
より、焼成体はシリコン含浸前に比べて0.05%以上
0.15%以下の範囲で体積膨張する。
【0036】上記シリコン含浸工程の後、最終形状に仕
上加工し、該仕上加工後のシリコン含浸焼結体の表面に
CVD法(化学気相成長法)により炭化珪素膜をコーテ
ィングし、製品である半導体製造装置用CVDコートシ
リコン含浸炭化珪素セラミックス部材を得る。
【0037】
【実施例】以下、本発明に係る半導体熱処理用部材の製
造方法を実施例に基づきさらに詳細に説明する。ただ
し、本発明は下記実施例に何ら制限されるものでない。 (実施例1)粒径が115μm以下であり、かつ、平均
粒径が20μmである炭化珪素粉末(SiC)に、平均
粒径が0.5μm(粒径0.1μm以上1μm未満)の
カーボンブラックと天然黒鉛の混合炭素粉末(C)を5
重量%配合した。これに、バインダーとしてフェノール
樹脂(前記混合粉末100重量部に対し3重量部)を加
え、これらの原料をヘンシェルミキサーで混合した後、
乾燥して造粒粉を得た。この造粒粉を成形型に充填し、
1000kg/cm2 の圧力でCIP成形により成形体
を作製した。この成形体をN2 雰囲気下、1800℃で
熱処理(焼成)し、焼成体を得た。この焼成体の気孔径
を測定し、表1に示した。また、下記に示した3点曲げ
強度測定方法により、測定したこの焼成体の曲げ強度は
11MPaであった。
【0038】また、得られた焼成体のうちから一部をサ
ンプルとして取り出し、これを炭素焼き抜き処理(電気
炉内、大気雰囲気中で、800℃、48時間熱処理し、
配合炭素粉末とバインダーによる炭素成分を焼抜き除去
する処理)し、得られた炭素焼き抜き処理サンプルの3
点曲げ強度を表1に示した。なお、上記炭素焼き抜き処
理サンプルの3点曲げ強度測定方法は下記の通りであ
る。すなわち、JISR1601に準じ、試験片10片
を、強度試験装置を用いてクロスヘッド降下速度0.5
mm/minで、それぞれの破壊荷重P(N)を測定
し、各々の3点曲げ強さσf (Pa)を次式により算出
し、その平均値を強度値とした。 σf =3PL/2bh2 ただし、Lは支点間距離(m)、bは試験片幅(m)、
hは試験片厚さ(m)をそれぞれ表す。
【0039】この焼成体を、図1に示すような半導体熱
処理装置用シリコンウエハ保持用ボートの各パーツ(ウ
エハ保持溝付き棒状部材2、頂部盤部材3、底部盤部材
4)に近い形状に生加工し、これらを原料と同じ処方の
接着ペーストを用いて、図1に示したウエハ保持用ボー
トに組み立てた。このウエハ保持用ボートは、ウエハ保
持用溝部1を備えた3本のウエハ保持溝付き棒状部材
2、該棒状部材2を上下で支える頂部盤部材3および底
部盤部材4の各パーツから基本的に構成される。このウ
エハ保持用ボートに組み立てた焼成体を常法で純化処理
し、減圧N2 雰囲気下、1600℃で高純度シリコンを
含浸させた。シリコン含浸工程における体積膨張率は
0.13%であり、変形も許容範囲内であり、未含浸部
分も見られなかった。
【0040】なお、体積膨張率は、室温で、マイクロメ
ーターおよびレーザー3次元測定器を用いて焼成体のシ
リコン含浸前と含浸後の体積を測定して下記式により求
めた。 体積膨張率=(Si含浸後焼成体の体積−Si含浸前焼
成体の体積)/Si含浸前焼成体の体積×100(%) シリコン含浸処理後、ウエハ保持用ボートの形状に最終
仕上加工した。この工程では切削抵抗が後記の従来例1
より低く、加工性が良好であり、加工時間も従来例1の
約1/2に短縮され、破損もしなかった。最終加工後、
CVD法により、表面を炭化珪素膜でコーティングし、
半導体熱処理装置用シリコンウエハ保持用ボート製品を
得た。この製品ウエハ保持用ボートを半導体製造の熱処
理工程で試用したところ、特に問題もなく、従来品と同
様に用いることができた。従来の製法(従来例1)で
は、シリコン含浸工程における歩留まりは70%以下で
あったが、本発明の製法(実施例1)では、歩留まりを
95%以上に向上させることができた。
【0041】(実施例2)粒径が115μm以下であ
り、かつ、平均粒径が10μmである炭化珪素粉末に平
均粒径が0.5μm(粒径0.1μm以上1μm未満)
のカーボンブラック粉末を5重量%配合した。これに、
バインダーとしてフェノール樹脂(前記混合粉末100
重量部に対し3重量部)、分散剤(同0.1重量部)お
よび溶媒として水(20重量部)を加え、これらの原料
をポット混合してスラリーを得た。このスラリーを石膏
型に鋳込み、チューブ形状の成形体を得た。この成形体
をN2 雰囲気下、1800℃で熱処理し、焼成体とし
た。この焼成体の気孔径を表1に示した。この焼成体の
3点曲げ強度は15MPaであった。
【0042】実施例1と同様の方法で測定した炭素焼き
抜き処理サンプルの3点曲げ強度を表1に示した。焼成
体を純化処理し、減圧N2 雰囲気下、1600℃で高純
度シリコンを含浸させた。シリコン含浸工程における体
積膨張率は0.07%であり、変形も許容範囲内であ
り、未含浸部分もなかった。シリコン含浸後、半導体熱
処理装置用チューブの形状に最終加工した。この工程で
は切削抵抗が従来品より低く、加工性が良好であり、破
損もしなかった。最終加工後、CVD法により、表面を
炭化珪素膜でコーティングし、半導体熱処理装置用チュ
ーブを得た。
【0043】この半導体熱処理装置用チューブを半導体
製造の熱処理工程で試用したところ、特に問題もなく、
従来品と同様に用いることができた。従来の製法では、
変形や径方向のつぶれにより歩留まりが低く、その対策
として、肉厚に成形した後、最終加工で研削加工を行っ
ていたが、本発明に係る製法によれば、変形やつぶれ等
が小さいため、最終加工の加工時間を約1/3に短縮で
きるとともに、歩留まりも向上させることができた。
【0044】(従来例1)粒径が160μm以下であ
り、かつ、平均粒径が30μmである炭化珪素粉末に平
均粒径が0.3μmのカーボンブラックと天然黒鉛の混
合粉末を5重量%配合した。これに、バインダーとして
フェノール樹脂(前記混合粉末100重量部に対し3重
量部)を加え、これらの原料をヘンシェルミキサーで混
合した後、乾燥して造粒粉を得た。この造粒粉を成形型
に充填し、1000kg/cm2 の圧力でCIP成形に
より成形体を得た。この成形体をN2 雰囲気下、180
0℃で熱処理し、焼成体を得た。この焼成体の気孔径を
表1に示した。また、この焼成体の3点曲げ強さは10
MPaであった。
【0045】炭素焼き抜き処理(大気中800℃で48
時間熱処理)後の焼成体サンプルは、非常に脆く、ハン
ドリングが困難であり、3点曲げ強度の測定をすること
ができなかった。焼成体を、図1に示す半導体熱処理装
置用ウエハ保持用ボートの各パーツに近い形状に生加工
し、これを接着ペーストを用いて図1のように組み立て
た。このウエハ保持用ボートに組み立てた焼成体を純化
処理し、減圧N2 雰囲気下、1600℃で高純度シリコ
ンを含浸させた。シリコン含浸工程における体積膨張率
は0.20%であり、歩留まりは70%以下であった。
不良の主な原因は、変形であった。
【0046】(従来例2)粒径が44μm以下であり、
かつ、平均粒径が5μmである炭化珪素粉末に平均粒径
が0.5μmのカーボンブラックを5重量%配合した。
これに、バインダーとしてフェノール樹脂(前記混合粉
末100重量部に対し3重量部)、分散剤(同0.1重
量部)および溶媒として水(同20重量部)を加え、こ
れらの原料をポット混合し、スラリーを得た。このスラ
リーを石膏型に鋳込み、チューブ形状の成形体を得た。
この成形体をN2 雰囲気下、1800℃で熱処理し、焼
成体を得た。この焼成体の気孔径を表1に示した。ま
た、この焼成体の3点曲げ強さは30MPaであった。
【0047】炭素焼き抜き処理(大気中800℃で48
時間熱処理)後のサンプルの3点曲げ強度を測定し表1
に示した。この焼成体を純化処理し、減圧N2 雰囲気
下、1600℃で高純度シリコンを含浸させた。シリコ
ン含浸工程における体積膨張率は0.04%であり、歩
留まりは50%以下であった。不良の主な原因は、シリ
コン未含浸部分を有することおよびシリコン含浸中の割
れであり、また、シリコン未含浸に起因すると思われる
不均一な膨張による変形も見られた。
【0048】(比較例1)粒径が115μm以下であ
り、かつ、平均粒径が30μmである炭化珪素粉末に平
均粒径が0.5μmのカーボンブラックと天然黒鉛の混
合物を5重量%配合した。これに、バインダーとしてフ
ェノール樹脂(前記混合粉末100重量部に対し3重量
部)を加え、これらの原料をヘンシェルミキサーで混合
した後、乾燥して造粒粉を得た。この造粒粉を成形型に
充填し、1000kg/cm2 の圧力でCIP成形によ
り成形体を得た。この成形体をN2 雰囲気下、1800
℃で熱処理し、焼成体を得た。この焼成体の気孔径を表
1に示した。また、この焼成体の3点曲げ強さは5MP
aであった。なお、炭素焼き抜き処理サンプルは、非常
に脆く、ハンドリングが困難であった。
【0049】焼成体は、十分な生加工を施すには、やや
強度が不足していたが、時間をかけ、図1に示すような
半導体熱処理装置用ウエハ保持用ボートの各パーツに近
い形状に生加工し、これを接着ペーストを用いて図1の
ように組み立てた。このシリコンウエハ保持用ボートに
組み立てた焼成体を純化処理し、減圧N2雰囲気下、1
600℃で高純度シリコンを含浸させた。シリコン含浸
工程における体積膨張率は0.20%であった。シリコ
ンウエハを保持するための溝棒が外側に膨張するように
変形し、寸法が許容範囲外であった。また、ウエハ保持
溝付き棒部材の内部には数カ所のシリコン未含浸部分が
観察された。
【0050】(比較例2)粒径が115μm以下であ
り、かつ、平均粒径が2μmである炭化珪素粉末に粒径
が0.5μmのカーボンブラックと天然黒鉛の混合物を
5重量%配合した。これに、バインダーとしてフェノー
ル樹脂(前記混合粉末100重量部に対し3重量部)を
加え、これらの原料をヘンシェルミキサーで混合した
後、乾燥して造粒粉を得た。この造粒粉を成形型に充填
し、1000kg/cm2 の圧力でCIP成形により成
形体を得た。この成形体をN2 雰囲気下、1800℃で
熱処理し、焼成体を得た。この焼成体の気孔径を表1に
示した。この焼成体の3点曲げ強さは40MPaであっ
た。なお、炭素焼き抜き処理後のサンプルの3点曲げ強
度を測定し表1に示した。この焼成体は、非常に硬く、
従来の乾式加工ができなかった。また、湿式加工では、
焼成体中のカーボン分が冷却水とともに流れてしまうた
め、生加工を行うことはできなかった。
【0051】よって、生加工を行わずに、図1に示すよ
うなウエハ保持用ボートの各パーツに加工し、これを接
着ペーストを用いて図1のように組み立てた。このウエ
ハ保持用ボートに組み立てた焼成体を純化処理し、減圧
2 雰囲気下、1600℃で高純度シリコンを含浸させ
た。シリコン含浸工程における体積膨張率は0.01%
であり、変形は許容範囲内であった。シリコン含浸後、
シリコンウエハを保持するためのウエハ保持用溝付き棒
状部材の溝加工の際、該棒部材が破損した。
【0052】(比較例3)粒径が115μm以下であ
り、かつ、平均粒径が20μmである炭化珪素粉末に粒
径が0.5μmのカーボンブラックと天然黒鉛の混合物
を10重量%配合した。これに、バインダーとしてフェ
ノール樹脂(前記混合粉末100重量部に対し3重量
部)を加え、これらの原料をヘンシェルミキサーで混合
した後、乾燥して造粒粉を得た。この造粒粉を成形型に
充填し、1000kg/cm2 の圧力でCIP成形によ
り成形体を得た。この成形体をN2 雰囲気下、1800
℃で熱処理し、焼成体を得た。この焼成体は、強度が非
常に低く、ハンドリングも困難であった。
【0053】(比較例4)粒径が115μm以下であ
り、かつ、平均粒径が20μmである炭化珪素粉末に粒
径が0.5μmのカーボンブラックと天然黒鉛の混合物
を1重量%配合した。これに、バインダーとしてフェノ
ール樹脂(前記混合粉末100重量部に対し3重量部)
を加え、これらの原料をヘンシェルミキサーで混合した
後、乾燥して造粒粉を得た。この造粒粉を成形型に充填
し、1000kg/cm2 の圧力でCIP成形により成
形体を得た。この成形体をN2 雰囲気下、1800℃で
熱処理し、焼成体を得た。この焼成体の気孔径を表1に
示した。この焼成体の3点曲げ強さは35MPaであっ
た。
【0054】なお、炭素焼き抜き処理後サンプルの3点
曲げ強度を測定し表1に示した。この焼成体を、図1に
示すような半導体熱処理装置用シリコンウエハ保持用ボ
ートの各パーツに近い形状に生加工し、これを接着ペー
ストを用いて図1のように組み立てた。この焼成体は、
比較例2ほどではないが、生加工するのには硬かった。
このウエハ保持用ボートに組み立てた焼成体を純化処理
し、減圧N2 雰囲気下、1600℃で高純度シリコンを
含浸させた。シリコン含浸工程における体積膨張率は
0.03%であり、変形も許容範囲内であった。シリコ
ン含浸後、ウエハ保持用溝付き棒状部材の溝加工の際、
数カ所にシリコン未含浸部分が観察された。また、切削
抵抗および最終加工時間は従来と同様であった。
【0055】(比較例5)粒径が115μm以下であ
り、かつ、平均粒径が20μmである炭化珪素粉末に平
均粒径が2μmのカーボンブラックと天然黒鉛の混合粉
末を5重量%配合した。これに、バインダーとしてフェ
ノール樹脂(前記混合粉末100重量部に対し3重量
部)を加え、これらの原料をヘンシェルミキサーで混合
した後、乾燥して造粒粉を得た。この造粒粉を成形型に
充填し、1000kg/cm2 の圧力でCIP成形によ
り成形体を得た。この成形体をN2 雰囲気下、1800
℃で熱処理し、焼成体を得た。この焼成体の気孔径を表
1に示した。この焼成体の3点曲げ強さは7MPaであ
った。炭素焼き抜き処理(大気中800℃で48時間熱
処理)後のサンプルは非常に脆く、ハンドリングが困難
であった。
【0056】この焼成体を、図1に示すような半導体熱
処理装置用シリコンウエハ保持用ボートの各パーツに近
い形状に生加工し、これを接着ペーストを用いて図1の
ように組み立てた。このウエハ保持用ボートに組み立て
た焼成体を純化処理し、減圧N2 雰囲気下、1600℃
で高純度シリコンを含浸させた。シリコン含浸工程にお
ける体積膨張率は0.20%であった。シリコン含浸
後、ウエハ保持用ボートの形状に最終加工した。加工性
に問題はなかったが、不均一な体積膨張により変形し
た。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る半導体製造
装置用CVDコートシリコン含浸炭化珪素セラミックス
部材の製造方法によれば、従来の製法よりも焼成体の加
工性が向上し、かつ、シリコン含浸工程における変形、
歪みおよび未含浸等による不良を低減させることがで
き、歩留まりを向上させることができる。したがって、
本発明によれば、加工性および歩留まりが向上するた
め、シリコンウエハの熱処理工程で使用されるボート、
チューブ等の半導体製造装置用CVDコートシリコン含
浸炭化珪素セラミックス部材を、従来よりも安価に製造
することができる。さらに、大型の部材であっても、低
コストで製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体熱処理装置用のウエハ保持用ボートの側
面概略図である。
【符号の説明】
1 ウエハ保持溝部 2 ウエハ保持溝付き棒状部材 3 頂部盤部材 4 底部盤部材

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】最大粒径が115μm以下で平均粒径が1
    0μm以上25μm以下である炭化珪素粉末に、粒径が
    0.1μm以上1μm以下である炭素粉末を2重量%以
    上7重量%以下添加混合し、混合物を所定形状の成形体
    に成形する工程と、 前記成形体を非酸化性雰囲気中1500℃以上2300
    ℃以下で焼成し、気孔径が103 nm以上104 nm以
    下である多孔焼成体を得る工程と、 得られた多孔焼成体を、高純度シリコンを用いてシリコ
    ン含浸処理し、該含浸時における焼成体の体積膨張が
    0.05%以上0.15%以下となるように炭素と反応
    焼結させる工程と、 前記シリコン含浸処理後の焼結体表面をCVD気相成長
    法により炭化珪素膜コートする工程とを含むことを特徴
    とするシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方
    法。
  2. 【請求項2】前記炭素粉末が、カーボンブラック、天然
    黒鉛及び人造黒鉛から選ばれた少なくとも1種からなる
    ことを特徴とする請求項1記載のシリコン含浸炭化珪素
    セラミックス部材の製造方法。
  3. 【請求項3】前記炭化珪素粉末がαーSiC粉末からな
    ることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか
    に記載のシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造
    方法。
  4. 【請求項4】前記炭化珪素粉末と炭素粉末の混合物に、
    さらにバインダーとしてフェノール樹脂、ポリビニルア
    ルコール樹脂、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、アクリル
    樹脂エマルジョンから選ばれた少なくとも1種を配合し
    たことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれ
    かに記載のシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製
    造方法。
  5. 【請求項5】前記混合物が、静水圧プレス成形法により
    成形されることを特徴とする請求項1から請求項4まで
    のいずれかに記載のシリコン含浸炭化珪素セラミックス
    部材の製造方法。
  6. 【請求項6】前記混合物が、押出成形法により成形され
    ることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれ
    かに記載のシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製
    造方法。
  7. 【請求項7】前記混合物が、排泥鋳込み成形法により成
    形されることを特徴とする請求項1から請求項4までの
    いずれかに記載のシリコン含浸炭化珪素セラミックス部
    材の製造方法。
  8. 【請求項8】前記成形体の焼成工程における焼成進行程
    度が、該焼成工程で焼成された成形体を酸化性雰囲気中
    600℃以上1000℃以下で加熱処理することによ
    り、焼成前に成形体に添加配合された炭素成分を焼き抜
    き除去したものの3点曲げ強度が1MPa以上15MP
    a以下となる進行程度まで焼成することを特徴とする請
    求項1から請求項7までのいずれかに記載のシリコン含
    浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法。
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