JP2001247367A - 炭化珪素質焼結体およびその製造方法 - Google Patents

炭化珪素質焼結体およびその製造方法

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JP2001247367A
JP2001247367A JP2000058543A JP2000058543A JP2001247367A JP 2001247367 A JP2001247367 A JP 2001247367A JP 2000058543 A JP2000058543 A JP 2000058543A JP 2000058543 A JP2000058543 A JP 2000058543A JP 2001247367 A JP2001247367 A JP 2001247367A
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silicon carbide
powder
sintering
sintered body
slurry
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JP2000058543A
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Atsushi Sonezaki
敦 曽根崎
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Tokai Konetsu Kogyo Co Ltd
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Tokai Konetsu Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 泥漿鋳込み成形における着肉性に優れ、成形
体の乾燥収縮による亀裂発生が無く、焼結時の収縮率の
バラツキがきわめて少なく、高密度で高強度を有する炭
化珪素質焼結体およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 炭化珪素マトリックスが、平均粒子径が
1μm未満でアスペクト比が2.0〜3.0の炭化珪素
粉末40〜60重量%と残部が平均粒径が1μm未満で
アスペクト比2.0未満の炭化珪素粉末との混合粉末を
焼結して構成される。上記配合比率の炭化珪素粉末原料
に、ホウ素化合物粉末と無機系炭素粉末からなる焼結助
剤を含む泥漿を鋳込み成形し、生成された成形体を焼結
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭化珪素質焼結体
および炭化珪素質焼結体、詳しくは、泥漿鋳込み成形
(スリップキャスト)により生成された成形体を焼結し
てなる炭化珪素質焼結体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭化珪素焼結体は、高温における機械的
特性、耐熱衝撃性、耐酸化性、耐食性、剛性などに優れ
ているところから、高温下に使用される構造用材料、例
えば、半導体製造装置用部材、真空装置用部材などとし
て使用されている。また、熱伝導度が高いことから電子
部品への応用も検討されており、エレクトロニクス分野
での実用化も試みられている。
【0003】炭化珪素質焼結体を焼結する前段階として
の成形法としては乾式プレス成形法や泥漿鋳込み成形法
などがあるが、炭化珪素粉末と焼結助剤とを均一に混合
し、混合粉末を成形型に入れて加圧成形する乾式プレス
成形法では、原料粉末を均一に混合することが難しく、
とくに大型で複雑形状の成形体を得ることが困難であ
る。
【0004】これに対して、泥漿鋳込み成形法は、炭化
珪素粉末に必要に応じて焼結助剤と成形助剤を加えて水
などの溶媒中で懸濁させるとによって泥漿(スラリー)
を調製し、このスラリーを石膏型などの吸水性の材料で
作成した成形型に注入して脱水し成形体を得るもので、
金型やCIPを用いる乾式プレス成形の場合のように、
成形用顆粒を作製する工程がなく、スラリー状態から直
接成形体が得られるから、より均質な成形体を得ること
が期待でき、大型で複雑形状の成形体を容易に得ること
ができるという利点もある。
【0005】しかしながら、実際には、水などの溶媒に
炭化珪素粉末を均一に分散させることは容易ではなく、
粉末の種類や粒径に応じた分散剤の選択が重要となる。
粉末が均一に分散していない場合には、製品の乾燥時に
亀裂や割れが生じることもあり、着肉面と排泥面の乾燥
収縮率の違い、鋳込体の不均一性、型合わせ面の不適合
なども亀裂や割れの原因となる。
【0006】泥漿鋳込み成形においては、割れや亀裂を
なくし、寸法制御性が良好であって且つ所望の特性を有
する焼結体を再現性良く製造するためには、まずスラリ
ーの品質を安定させることが重要である。また、炭化珪
素質焼結体は難加工材料であるから、製品の製造コスト
を低減するために、成形体や仮焼体に粗加工を施した
後、本焼成を行い、仕上げ加工を行う工夫がなされてい
る。加工コストを下げるためには、成形体や仮焼体の粗
加工の割合を多くし、本焼成後の加工を少なくすること
が有効であり、そのためには、焼成時の焼成収縮率を厳
密に制御することが必要である。
【0007】発明者は、分散性に優れ、鋳込み成形での
着肉性向上、乾燥収縮による割れや亀裂のない成形体を
得るためのスラリーを作製するとともに、当該スラリー
を鋳込み成形して得られた成形体の焼結において、焼成
収縮率のバラツキがきわめて少ない炭化珪素質焼結体を
製造するために、製造コスト面も含め、原料の粒径、ス
ラリーの作製条件、焼結条件などについて多角的な観点
から見直しを行った。
【0008】まず、炭化珪素質焼結体を製造するための
炭化珪素粉末原料としては、従来、粒径1μm未満のも
のが使用されていたが、サブミクロン粒径の原料のみの
使用では、鋳込み成形での着肉性がわるく、スラリーの
含水量が多くなるため乾燥収縮率が大きくなり、成形体
に亀裂が生じ易いという難点があることが判った。
【0009】通常、炭化珪素の焼結助剤としては重要な
炭素は、合成樹脂、タール、あるいはカーボンブラック
のような炭素粉末の型で加えるが、スラリーの溶媒とし
て水を使用する場合にはタールや合成樹脂の多くは使用
できず、炭化珪素粉末に均一に混合させる目的に対して
は、水溶性フェノール樹脂が優れているが、この場合に
は樹脂が時間と共に硬化するため、スラリー流動性、成
形性がわるくなり、焼成収縮率が一定しないという問題
がある。カーボンは疎水性であり水に濡れ難く、原料粉
末が高濃度に分散した低粘度のスラリーを調製すること
は難しい。
【0010】分散性に優れた高濃度、低粘度のスラリー
を調製するために、酸化処理して、表面官能基のうちヒ
ドロキシル基とカルボキシル基の総和量を3μeq/m
2 以上に改質したカーボンブラックを使用することが提
案されている(特開平11−157943号)が、酸化
剤による処理、中和、濾過分離、洗浄、乾燥などの工程
が必要となるためコスト高の要因となる。
【0011】発明者は、泥漿鋳込み成形により生成され
た成形体を焼結して炭化珪素質焼結体を製造する場合に
おける上記の問題点を解消するために、原料の粒径、ス
ラリーの作製条件、焼結条件などについて再検討を加
え、その結果として、粒子径1〜15μmの炭化珪素粉
末を46〜51重量%含有し、残部が粒子径1μm未満
の炭化珪素粉末からなる炭化珪素粉末と、ホウ素化合物
粉末と無機系炭素粉末からなる焼結助剤を含む泥漿を鋳
込み成形し、生成された成形体を焼結することを特徴と
する炭化珪素質焼結体の製造方法を提案した(特願平1
1−345823号)。
【0012】この方法により得られる炭化珪素質焼結体
は、多くの点で満足すべき特性をそなえているが、使用
分野によっては、機械的強度、耐熱衝撃性、耐酸化性な
どの面で必ずしも十分な特性を有しておらず、成形体の
密度の向上や、乾燥収縮による割れ、亀裂を皆無にする
ために、さらに改善の余地がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の観点
から、とくにスラリーの作製条件についてさらに検討を
重ねた結果としてなされたものであり、その目的は、鋳
込み成形での着肉性に優れ、高密度で、且つ乾燥収縮に
よる割れや亀裂がない成形体を得ることができ、緻密性
が高く強度特性に優れた炭化珪素質焼結体の製造を可能
とする炭化珪素質焼結体の製造方法および該製造方法に
より得られる炭化珪素質焼結体を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の請求項1による炭化珪素質焼結体は、炭化珪
素マトリックスが、平均粒子径が1μm未満でアスペク
ト比が2.0〜3.0の炭化珪素粉末40〜60重量%
と残部が平均粒径が1μm未満でアスペクト比2.0未
満の炭化珪素粉末との混合粉末を焼結して構成されるこ
とを特徴とする。
【0015】本発明の請求項2による炭化珪素質焼結体
の製造方法は、平均粒子径が1μm未満でアスペクト比
が2.0〜3.0の炭化珪素粉末40〜60重量%と残
部がアスペクト比2.0未満の炭化珪素粉末からなる炭
化珪素粉末と、ホウ素化合物粉末と無機系炭素粉末から
なる焼結助剤を含む泥漿を鋳込み成形し、生成された成
形体を焼結することを特徴とする。
【0016】請求項3による炭化珪素質焼結体の製造方
法は、請求項2記載の方法において、無機系炭素粉末が
カーボンブラックであることを特徴とする。
【0017】請求項4による炭化珪素質焼結体の製造方
法は、請求項2または3記載の方法において、泥漿のp
Hを8〜11、粘度を500〜2000cpsに調整し
て成形し、生成された成形体を焼結することを特徴とす
る。
【0018】また、請求項5による炭化珪素質焼結体の
製造方法は、請求項2〜4記載の方法において、成形体
を、温度2100℃を越え2400℃以下、非酸化性雰
囲気下で常圧焼結することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の炭化珪素質焼結体は、炭
化珪素マトリックスが、平均粒子径が1μm未満でアス
ペクト比が2.0〜3.0の炭化珪素粉末40〜60重
量%と残部が平均粒径が1μm未満でアスペクト比2.
0未満の炭化珪素粉末との混合粉末を焼結して構成さ
れ、この構成によって、例えば密度が3.15g/cm
3 以上の高密度化が達成される。
【0020】原料の炭化珪素粉末としては、α型、β
型、非晶質あるいはこれらの混合粉末を使用することが
できる。炭化珪素粉末の好ましい粒子径、粒子形状およ
び配合比率は、平均粒子径が1μm未満でアスペクト比
が2.0〜3.0の炭化珪素粉末40〜60重量%と残
部が平均粒径が1μm未満でアスペクト比2.0未満の
炭化珪素粉末からなる。炭化珪素粉末の含有遊離シリカ
量は1.0重量%以下であることが望ましい。1.0重
量%を越えると、シリカが完全に除去し難く、粒成長を
伴い、緻密度が低下するため、高密度化が困難となる。
【0021】炭化珪素粉末の平均粒径が1μm以上で
は、粉末同士の接触面積が小さくなって高密度化が困難
となる。アスペクト比2.0〜3.0の炭化珪素粉末が
60重量%を越えると成形体の密度および焼結体の密度
が低下し、40重量%未満では成形体の乾燥収縮率が大
きくなり、割れや亀裂が生じ易くなる。
【0022】アスペクト比が3.0を越える炭化珪素粉
末を使用すると、成形体の密度が低下して高密度化が困
難となり、アスペクト比が2.0未満では、鋳込み成形
の着肉性が低下し、また充填密度が高くなり、成形体が
乾燥し難くなって乾燥ムラによる割れや亀裂が生じ易く
なる。なお、粒径は粒度分布から求め、粒子形状(アス
ペクト比)はSEM観察により測定する。
【0023】本発明の焼結助剤としての無機系炭素粉末
は、主として炭素からなる粉末であり、不可避的な量の
フェノール性OH基、カルボキシル基、カルボニル基、
ヒドロキシル基などの有機官能基を含有するものも包含
される。好ましい無機系炭素粉末としては、サーマルブ
ラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チ
ャンネルブラック、ランプブラック、ケッチェンブラッ
クなどのカーボンブラックが例示される。
【0024】無機系炭素粉末は、炭化珪素粉末100重
量%に対して1.5〜5重量%、好ましくは2〜2.5
重量%の割合で加えられる。無機系炭素粉末の炭素は、
SiO2 +3C=SiC+2COの反応により炭化珪素
粉末の表面のシリカ(酸化珪素)を還元するもので、こ
の量は、予め炭化珪素粉末の表面のシリカ量をフッ酸を
用いて定量し、化学量論的にその還元に十分な量を計算
することにより決定される。
【0025】無機系炭素粉末の添加量が、炭化珪素粉末
100重量%に対して1.5重量%未満ではシリカが多
く残存して焼結体の緻密化を阻害するため、高密度の焼
結体が得難い。添加量が5重量%を越えると、シリカは
十分に除去できるが、炭素が焼結体中に残存するため、
高密度の焼結体が得難い。
【0026】本発明において使用するホウ素化合物粉末
としては、室温で水に不溶な全てのホウ素化合物の粉末
が適用でき、非晶質ホウ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素、
リン化ホウ素などが例示される。これらのホウ素化合物
の添加量は、炭化珪素粉末100重量%に対して、ホウ
素として0.1〜0.5重量%が好ましく、0.1重量
%未満ではSiCの粒成長を抑制する効果が小さく、
0.5重量%を越えて添加すると、ホウ素化合物がSi
Cの粒成長を促進して焼結性を劣化させ、高密度の焼結
体が得難くなる。さらに好ましいホウ素化合物の添加量
は、炭化珪素粉末100重量%に対して0.15〜0.
3重量%である。
【0027】本発明においては、泥漿のpHを好ましく
は8.0〜11.0、さらに好ましくは9.0〜10.
0に調整するのが好ましい。pHが8.0未満の場合に
は、炭化珪素粉末や焼結助剤の分散状態が悪化し、スラ
リーが不均一化して、均質組織の成形体が得難く、また
着肉ムラが起き易くなり、焼結した炭化珪素質焼結体の
組織構造、焼成収縮率も不均一となる。pHが11.0
を越えるアルカリ領域では、成形体を生成する際、成形
型となる石膏型に損傷が生じ易く、離型性も良くない。
【0028】泥漿のpHはpH調整剤を添加することに
より調整される。pH調整剤としては、酸、アルカリ金
属水酸化物、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、アンモニアなどが適用される。
また、塩基性有機化合物、例えば、モノメチルアミン、
ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミ
ン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどの脂肪族の
一級、二級、三級アミン、エチレンジアミン、ジエチレ
ントリアミン、トリエチレンテトラアミンなどの脂肪族
ポリアミンなどが使用される。
【0029】泥漿(スラリー)の成形には、成形用バイ
ンダーを加えるのが好ましい。成形用バインダーとして
は、アクリル系エマルション、メチルセルロース、カル
ボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポ
リアクリルアミド、ポリアクリルニトリルなどが挙げら
れる。これらの成形用バインダーは、焼成温度への昇温
中に分解して微細な炭素質に変化するが、この炭素質は
炭化珪素粒子の大きさに比較して非常に小さいため、粒
子表面を被覆する効果がなく粒成長抑制作用を発揮する
ことはない。成形用バインダーの添加量は、成形体とし
て十分な強度を有する程度に添加すればよく、実施の状
況に応じて調整される。また、スラリーの形成のために
加える水は、とくに限定されないが、蒸留水または脱イ
オン水を使用するのが好ましい。
【0030】スラリーの混合において、炭化珪素微粉末
はきわめて凝集性が強く常に強固な凝集状態にあるた
め、混合において強い剪断力を与える必要があることか
ら、スラリーの混合には、振動ミル、アトライター、ボ
ールミル、コロイドミル、高速ミキサーのいずれか1種
の分散装置を使用するのが好ましい。
【0031】本発明における鋳込み成形に適するスラリ
ーの粘度は、500〜2000cps(センチポイズ)
に調整するのが好ましい。粘度が500cps未満で
は、スラリーの濃度が低くなり、鋳込み成形における着
肉性がわるく、高密度の成形体を得ることが難しい。2
000cpsを越えると、スラリー中の粉末が分散し難
くなり、スラリーの流動性も低下して泡立ちが激しくな
り、鋳込み成形を行うのが困難となる。
【0032】上記のようにして調製したスラリーを吸水
性を有する型に流し込み、所望の形状をそなえた成形体
とする。得られた成形体は、成形直後、十数%の水分を
含んでいるので、乾燥工程を経て、必要に応じて加工
し、所望の形状の成形体とする。成形体の密度は1.9
0g/cm2 以上であることが好ましく、密度が1.9
0g/cm2 未満では、最終的に得られる焼結体の高密
度化が困難となる。
【0033】ついで、成形体の焼結工程の好ましい態様
について説明すると、まず、生成された成形体について
常圧焼成により焼結を行う。常圧焼成は、アルゴンガス
雰囲気などの不活性ガス雰囲気中で行うのが好ましく、
大気中などの酸化雰囲気では、原料の炭化珪素が酸化す
るとともに炭素が燃焼してしまうため焼結体を緻密化さ
せることができない。また、窒素ガス雰囲気中では、原
料粉末成分の窒化が生じるため好ましくなく、真空中で
も、炭化珪素とシリカの反応、分解が促進されるため、
とくに1800℃以上の温度域における真空中での焼成
は避けるのが好ましい。真空を用いる場合には、180
0℃以下の温度までを真空中で処理し、それ以上の温度
に昇温する際に上記の不活性ガス雰囲気とする。
【0034】常圧焼成は、2100〜2400℃の温度
域に昇温し、この最高温度で1〜3時間保持することに
より行うのが好ましい。焼成温度が2100℃未満で
は、炭化珪素の拡散が不十分となって焼結が進行せず、
焼結体の緻密化が困難となる。2400℃を越えると、
炭化珪素の粒成長が顕著となり、粒内にポア(気泡)が
取り込まれて粒内ポアが生じるため緻密性が低下する。
【0035】上記の原料性状、とくに炭化珪素粉末の粒
径配合を特定し、また、原料性状、焼結助剤、泥漿(ス
ラリー)特性、焼成条件を組合わせることにより、成
形、焼結された炭化珪素質焼結体は十分に高密度化さ
れ、3.12g/cm3 以上、さらには3.15g/c
3 以上の高密度炭化珪素質焼結体を得ることができ
る。このような高密度炭化珪素質焼結体は、曲げ強度、
破壊強度などの力学的特性や電気的物性に優れている。
【0036】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。これらの実施例は本発明の一実施態様を示すも
のであり、本発明がこれに限定されるものではない。
【0037】実施例1 アスペクト比が2.0〜3.0で平均粒径を変えた炭化
珪素粉末とアスペクト比が2.0未満の炭化珪素粉末
(平均粒径0.7μm)を表1に示す比率で配合し、こ
の混合粉末100重量%に対して、焼結助剤としてカー
ボンブラック粉末(平均粒径70nm)を2重量%、B
4 C粉末(平均粒径0.78μ)をB換算で0.2重量
%添加したものをナイロン製ボールミルポットに投入し
た。
【0038】これに、イオン交換水32重量%、pH調
整剤として水酸化ナトリウムを適量添加し、バインダー
としてアクリルエマルション6重量%を添加し、ナイロ
ン球を投入して蓋をした後、約40時間ボールミル混合
を行い、鋳込み用炭化珪素粉末スラリーとした。
【0039】得られたスラリーを真空攪拌装置を用いて
脱泡処理して、pHと粘度を測定した後、板状(80m
m×80mm×5mm厚さ)および坩堝形状(直径60
mm×60mm厚さ)の石膏型に流し込み、放置して着
肉させた後、脱型(坩堝形状のものは排泥したのち脱
型)、常温、ついで120℃の温度で乾燥して成形体を
得た。
【0040】得られた成形体の密度、坩堝の肉厚を測定
した後、成形体を、黒鉛ヒータ炉で、アルゴンガス雰囲
気中、2100℃の温度に2時間保持することにより焼
成した。得られた焼結体の密度をアルキメデス法により
測定し、また、JIS1601に準じて、焼結体を3m
m×4mm×40mm長さの棒状に加工し、1μm粗さ
のダイヤモンド砥石で研磨仕上げを行い、スパン間距離
30mmの三点曲げ試験で、クロスヘッド速度を0.5
mm/分として室温の強度を測定し、焼結体の特性を評
価した。なお、強度は、1試料につきn=5で、その平
均値で示した。炭化珪素粉末の配合比率、平均粒径、ス
ラリーのpHおよび粘度を表1に、評価結果を表2に示
す。
【0041】実施例2〜3、比較例1〜2 アスペクト比が2.0〜3.0の炭化珪素粉末の配合比
率を表1示すように変化させた以外は、実施例1と同様
にして成形体および焼結体を作製し、実施例1と同様に
特性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0042】比較例3〜4 アスペクト比の異なる炭化珪素粉末を表1に示すように
配合した以外は、実施例1と同様にして成形体および焼
結体を作製し、実施例1と同様に特性を評価した。評価
結果を表2に示す。
【0043】比較例5 炭化珪素粉末の平均粒径を表1に示すように変えた以外
は、実施例1と同様にして成形体および焼結体を作製
し、実施例1と同様に特性を評価した。評価結果を表2
に示す。
【0044】比較例6 焼結助剤の炭素源として、カーボンブラックに代えて水
溶性フェノール樹脂を使用した以外は、実施例1と同様
にして成形体および焼結体を作製し、実施例1と同様に
特性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0045】比較例7〜8 スラリーのpH値を表1に示す値とした以外は、実施例
1と同様にして成形体および焼結体を作製し、実施例1
と同様に特性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0046】比較例9〜10 スラリーの粘度を表1に示す値とした以外は、実施例1
と同様にして成形体および焼結体を作製し、実施例1と
同様に特性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0047】
【表1】 《表注》焼結助剤のC:比較例6は水溶性フェール樹脂、その他 はカーボンブラック
【0048】
【表2】 《表注》平均肉厚:排泥鋳込み成形(1時間)における成形体の 着肉平均値
【0049】表2に示すように、本発明に従う実施例1
〜3は、成形体の密度が高く、着肉性が良好で、成形体
の亀裂発生が無く、焼成後、高密度の炭化珪素質焼結体
が得られた。
【0050】これに対して、アスペクト2.0〜3.0
の炭化珪素粉末の配合比率の低い比較例1においては、
鋳込み成形での着肉性が悪く、また成形体の密度が高い
ため成形体の乾燥性が悪く、乾燥ムラによる亀裂が生じ
ている。
【0051】アスペクト比2.0〜3.0の炭化珪素粉
末の配合比率の高い比較例2、およびアスペクト比の高
い炭化珪素粉末を配合した比較例3は、焼結体の密度が
低く、曲げ強度も十分でない。アスペクト比の低い炭化
珪素粉末のみからなる比較例4は、鋳込み成形における
着肉性が悪く、また成形体の密度が高いため成形体の乾
燥性が劣り、乾燥ムラによる亀裂が生じた。
【0052】平均粒子径が1.5μmの炭化珪素粉末を
使用した比較例5は、焼結体の密度が低く、曲げ強度も
不十分である。焼結助剤の炭素源に水溶性フェノール樹
脂を用いた比較例6は、スラリーの流動性が悪く、着肉
性が不十分で着肉ムラが生じ、乾燥収縮率が大きくなり
亀裂が発生した。
【0053】スラリーのpH値を8より酸性側にした比
較例7は、スラリー中の粉末の分散性、スラリーの流動
性が悪く、成形体に着肉ムラが生じ、乾燥収縮率が大き
く亀裂が発生している。また、成形体の密度が低いため
焼結体の密度も低くなっている。スラリーのpH値を1
1よりアルカリ性側の12にした比較例8は、離型性が
悪く、満足すべき成形体を得ることができなかった。
【0054】スラリーの粘度の低い比較例9は、スラリ
ー濃度が低く、鋳込み成形における着肉性が劣る。ま
た、成形体の密度が低いため密度の高い焼結体を得るこ
とができない。スラリー粘度が高く、3000cpsを
越える比較例10は、スラリーの泡立ちが激しく、流動
性が悪くなり、鋳込み成形に使用できないものとなっ
た。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、鋳込み成形における着
肉性に優れたスラリーを得ることができ、成形体の乾燥
収縮による亀裂発生が無く、焼成時の収縮率のバラツキ
がきわめて少なく、高密度で高強度を有する炭化珪素質
焼結体の製造を達成することができる。当該炭化珪素質
焼結体は、半導体工業、電子情報機器産業など多くの分
野において有用な材料として使用することが可能とな
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化珪素マトリックスが、平均粒子径が
    1μm未満でアスペクト比が2.0〜3.0の炭化珪素
    粉末40〜60重量%と残部が平均粒径が1μm未満で
    アスペクト比2.0未満の炭化珪素粉末との混合粉末を
    焼結して構成されることを特徴とする炭化珪素質焼結
    体。
  2. 【請求項2】 平均粒子径が1μm未満でアスペクト比
    が2.0〜3.0の炭化珪素粉末40〜60重量%と残
    部が平均粒子径が1μm未満でアスペクト比2.0未満
    の炭化珪素粉末からなる炭化珪素粉末と、ホウ素化合物
    粉末と無機系炭素粉末からなる焼結助剤を含む泥漿を鋳
    込み成形し、生成された成形体を焼結することを特徴と
    する炭化珪素質焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記焼結助剤の無機系炭素粉末がカーボ
    ンブラックであることを特徴とする請求項2記載の炭化
    珪素質焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記泥漿のpHを8〜11、粘度を50
    0〜2000cpsに調整して成形し、生成された成形
    体を焼結することを特徴とする請求項2または3記載の
    炭化珪素質焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記成形体を、温度2100℃を越え2
    400℃以下、非酸化性雰囲気下で常圧焼結することを
    特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の炭化珪素質
    焼結体の製造方法。
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