JP3877813B2 - 大型窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法 - Google Patents

大型窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高純度、高密度で且つ外観及び熱伝導率の均質性に優れた大型窒化アルミニウム焼結体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、静電チャック、ガスディフュージョンプレート、クランプリング等の半導体装置関連部材や高出力半導体素子の放熱板等の用途に使用される大型窒化アルミニウム焼結体は、一般に、窒化アルミニウム顆粒を用いてプレス成形法により製造される。ここで、該顆粒は、通常、窒化アルミニウム粉末を表面活性剤や結合剤、必要に応じて焼結助剤等と共に有機溶媒中で混合し泥しょうとした後、次いで、該泥しょうを噴霧乾燥法等で造粒して得られる。
【0003】
得られた顆粒の粒度分布は、通常ガウス分布を示し、該顆粒は、1t/cm2程度のプレス圧で成形され、得られたプレス体は、次いで脱脂、焼成され、窒化アルミニウム焼結体とされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにして得られた窒化アルミニウム焼結体は、形状の大型化に伴い焼結体組織の不均一性に由来して、外観色調のムラや熱伝導率のムラが発生し、均質な色調や熱伝導率を有する大型窒化アルミニウム焼結体を得ることが困難であった。
【0005】
そして、半導体装置関連部材等の用途においては、上記色調のムラは大型窒化アルミニウム焼結体の熱放射のムラを発生させ、熱伝導率のムラ同様、ウェハーの均熱が不十分となり、半導体素子の歩留り低下等の問題を生ずる
これらの問題は、特に、表面積が350cm2以上、または、最大長が150mm以上の窒化アルミニウム焼結体において顕著であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上記の問題点に鑑み、窒化アルミニウム焼結体の有する本来の優れた性質を均質に有する大型窒化アルミニウム焼結体を得ることを目的として鋭意研究を行ってきた。その結果、異なるガウス分布を有する窒化アルミニウム顆粒を使用することで脱脂前の窒化アルミニウムプレス体の相対密度を特定の範囲に制御することにより、均質な外観と熱伝導率を具備する大型窒化アルミニウム焼結体を開発することに成功し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明は、全表面積が350cm2以上、または、最大長が150mm以上の窒化アルミニウム焼結体であって、表面の色差値(△E)が1.5以下であり、且つ、平均熱伝導率が80W/m・K以上、熱伝導率の標準偏差が2W/m・K以下であることを特徴とする窒化アルミニウム焼結体である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の大型窒化アルミニウム焼結体の表面積は全表面積であり、350cm2以上、一般には、350〜8000cm2、または、最大長が150mm以上、一般には、150〜600mmのいずれかの条件を満足する大きさを有する窒化アルミニウム焼結体であれば特に制限されない。上記焼結体の形状としては、円状、角状、その他任意の平面形状を有する平板や凹凸や穴を有する板、または、長尺状、棒状等の形状が一般的である。
【0009】
本発明の大型窒化アルミニウム焼結体の特徴の一つは、表面の色差値(△E)が1.5以下であることである。上記の色差値(△E)は、下記式により求めたものである。
【0010】
【数1】
Figure 0003877813
【0011】
(ここで、Lは明度、aはa軸(赤−緑)の彩度及びbはb軸(黄−青)の彩度の成分を示す。)
測定は、基準点におけるL、a、bの測定値L0、a0、b0と各部位の測定値Ln、an、bnの差△Ln、△an、△bnの平均値を求め、該平均値を上記式にそれぞれ代入して色差値(△E)が計算される。
【0012】
本発明において、基準点は最大面積を有する面のほぼ中心と成る位置に選定し、他の測定点は約25cm2当たり1点となる割合で、測定点が焼結体表面上にほぼ均一に分布するように選定される。
【0013】
本発明の窒化アルミニウム焼結体において、上記の色差値(△E)が1.5を越える場合は、熱放射のムラが大きく、窒化アルミニウム表面の温度が均一とならないために好ましくない。該大型窒化アルミニウム焼結体の表面の均熱性を維持するためには、△Eが1.2以下であることが更に好ましい。
【0014】
また、本発明の窒化アルミニウム焼結体において、平均熱伝導率が80W/m・K以上、熱伝導率の標準偏差が2W/m・K以下であることが重要である。
【0015】
ここで、熱伝導率の測定点は、色差値と同様にして選定される。
【0016】
尚、上記熱伝導率は、全測定値の平均値であり、標準偏差は、これら測定値より、バラツキとして求めた値である。
【0017】
即ち、平均熱伝導率が80W/m・K未満の場合は、焼結体全体への熱伝達が不十分となり、均熱性の確保ができないために好ましくない。また、熱伝導率の標準偏差が2W/m・Kを越える場合は、伝熱性のバラツキが大きく、焼結体中の温度ムラが発生する。本発明の大型窒化アルミニウム焼結体の均熱性を十分に確保するためには、平均熱伝導率が150W/m・K以上であることが更に好ましく、180W/m・K以上であることが最も好ましい。また、熱伝導率の標準偏差が1.8W/m・K以下であることが更に好ましく、1.5W/m・K以下であることが最も好ましい。
【0018】
本発明の窒化アルミニウム焼結体の他の物性としては、曲げ強度が300N/mm2以上、曲げ強度の標準偏差が10N/mm2以下であることが好ましく、更に好ましくは、曲げ強度が330N/mm2以上、曲げ強度の標準偏差が8N/mm2以下である。
【0019】
焼結体組織の均質性については、焼結体の密度として、理論密度の95%以上、該密度の標準偏差は、0.12%以下が好ましく、該密度が98%以上、標準偏差が0.09%以下であることが更に好ましい。
【0020】
また、焼結体の結晶粒子の粒径は、2〜12μmで、該粒径の標準偏差が0.25μm以下であることが好ましく、該粒径が2.5〜10μm、標準偏差が0.2μm以下であることが更に好ましい。
【0021】
本発明の窒化アルミニウム焼結体の製造方法は、特に制限されるものではないが、次の方法が好ましく採用される。
【0022】
即ち、平均粒径が40〜50μmの窒化アルミニウム顆粒(A)と平均粒径が90〜120μmの窒化アルミニウム顆粒(B)とを重量比で(A)/(B)=1/10〜1/2の範囲で含む顆粒混合物を成形して相対密度が50〜62%の窒化アルミニウムプレス体を得、次いで、該プレス体を焼成することを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の製造方法である。
【0023】
本発明の該窒化アルミニウム顆粒を構成する窒化アルミニウム粉末は、公知のものが何ら制限無く使用される。一般に熱伝導性に優れた窒化アルミニウム焼結体を得るためには、酸素含有量や陽イオン不純物の少ないことが好ましい。即ち、AlNを窒化アルミニウム組成とするとき、不純物となる酸素含有量が1.5重量%以下、陽イオン不純物が0.3重量%以下である窒化アルミニウム粉末が好適である。更に、酸素含有量が0.4〜1.3重量%、陽イオン不純物が0.2重量%以下である窒化アルミニウム粉末がより好適である。
【0024】
尚、本発明における窒化アルミニウムはアルミニウムと窒素の1:1の化合物であり、これ以外のものをすべて不純物として扱う。但し、窒化アルミニウム粉末の表面は空気中で不可避的に酸化され、Al−N結合がAl−O結合に置き換っているが、この結合Alは陽イオン不純物とみなさない。従って、Al−N、Al−Oの結合をしていない金属アルミニウムは陽イオン不純物である。
【0025】
窒化アルミニウム粉末の粒子は、粒子径の小さく揃っているものが好ましい。例えば、平均粒子径(遠心式粒度分布測定装置、例えば、堀場製作所製のCAPA500などで測定した凝集粒子の平均粒径を言う。)が5μm以下、更には3μm以下であることが好ましい。
【0026】
本発明の該窒化アルミニウム顆粒を構成する窒化アルミニウム粉末以外の無機成分としては、窒化アルミニウムの焼結に使用することが公知の焼結助剤、例えば、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム等のアルカリ土類金属酸化物;酸化イットリウム、酸化ランタン等の希土類酸化物;アルミン酸カルシウム等の複合酸化物等が、窒化アルミニウム粉末との合計量中に占める割合が0.1〜10重量%の範囲で必要に応じて使用される。
【0027】
また、本発明の窒化アルミニウム顆粒は、上記の無機成分の他、有機成分より構成され、有機成分としては、通常、表面活性剤及び結合剤が用いられる。
【0028】
表面活性剤は、一般に、泥しょう中のセラミック粉末の分散性を高めるために用いられ、本発明の表面活性剤としては、公知のものが何ら制限無く採用されるが、特に、親水性親油性バランス(以下HLBと略す。)が4.5〜18のものが、窒化アルミニウムプレス体の成形密度が上がるため好ましく使用される。尚、本発明におけるHLBは、デ−ビスの式により算出された値である。
【0029】
本発明において好適に使用しうる表面活性剤を具体的に例示すると、カルボキシル化トリオキシエチレントリデシルエーテル、ジグリセリンものオレート、ジグリセリンモノステアレート、カルボキシル化ヘプタオキシエチレントリデシルエーテル、テトラグリセリンものオレート、ヘキサグリセリンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等が挙げられる。本発明における表面活性剤は、2種以上を混合して使用しても良く、その時のHLBは、それぞれの表面活性剤のHLBの相加平均で算出出来る。
【0030】
これらの表面活性剤は、通常、窒化アルミニウム粉末100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.02〜3.0重量部である。表面活性剤が0.01重量部より少ない場合には泥しょうの分散が不十分となり、10重量部より多い場合は、プレス体の強度が低下するために好ましくない。
【0031】
また、本発明において、結合剤は、一般にセラミック粉末の成形に用いられるものが何ら制限されず使用できる。例えば、ポリビニルブチラ−ル、ポリメチルメタクリレ−ト、ポリエチルメタクリレ−ト、ポリ2−エチルヘキシルメタクリレ−ト、ポリブチルメタクリレ−ト、ポリアクリレ−ト、セルロ−スアセテ−トブチレ−ト、ニトロセルロ−ス、メチルセルロ−ス、ヒドロキシメチルセルロ−ス、ポリビニルアルコ−ル、ポリオキシエチレンオキサイド及びポリプロピレンオキサイド等の含酸素有機高分子体;石油レジン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の炭化水素系合成樹脂;ポリ塩化ビニ−ル;ワックス及びそのエマルジョン等の有機高分子体が1種または2種以上混合して使用される。結合剤として使用する有機高分子体の分子量は特に制限されないが、一般には3,000〜1,000,000、好ましくは、5,000〜300,000のものを用いると、プレス成形により得られる窒化アルミニウム粉末成形体の密度が上昇するために好ましい。
【0032】
前記の窒化アルミニウム粉末と結合剤との混合割合は、窒化アルミニウム100重量部に対して結合剤を0.1〜30重量部である。結合剤の量が上記範囲より少ない場合には、強度不足のために良好なプレス体が成形できず、多い場合には、プレス成形し、焼成して得られる窒化アルミニウム焼結体の物性が低下するため好ましくない。本発明の均質で緻密質な顆粒を得るためには、2〜15重量部であることが更に好ましい。
【0033】
更に、必要に応じて、プレス成形時の圧力伝達を高めるための滑剤や顆粒の潰れ性を高めるための可塑剤等を窒化アルミニウム粉末100重量部に対して、5重量部以下の割合で使用しても良い。
本発明の窒化アルミニウム顆粒の製造に好ましく使用される有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン類;エタノ−ル、プロパノ−ル及びブタノ−ル等のアルコ−ル類;ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;あるいはトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及びブロムクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類の1種または2種以上の混合物が挙げられる。有機溶媒の量は、窒化アルミニウム100重量部に対して、20〜200重量部の範囲から選択され、使用される。
【0034】
前記した各成分は混合され、泥しょうと呼ばれる粘稠なスラリーとした後、スプレドライヤー法等の公知の造粒法により窒化アルミニウム顆粒とされる。
【0035】
本発明において、該窒化アルミニウム顆粒の重要な要件の一つは、平均粒径が小さい窒化アルミニウム顆粒(A)と平均粒径が大きい窒化アルミニウム顆粒(B)とを重量比で(A)/(B)=1/10〜1/2の割合で含んでいることである。
【0036】
ここで、顆粒(A)の平均粒径は、40〜50μmでなければならない。平均粒径が40μm未満の場合には、微小な顆粒が多くなり顆粒の流動性の低下により均質なプレス体が得られないために好ましくない。また、50μmを越える場合は、顆粒(A)と(B)とからなる顆粒混合物の効果が小さくなり、均質で緻密質のプレス体が得られにくく、低いプレス圧で、密度の高い均質なプレス体が得られないために好ましくない。
【0037】
また、顆粒(B)の平均粒径は、90〜120μmでなければならない。平均粒径が90μm未満の場合は、顆粒(A)と(B)とからなる顆粒混合物の効果が小さくなり、均質で緻密質のプレス体が得られにくく、低いプレス圧で、密度の高い均質なプレス体が得られないために好ましくない。また、120μmを越える場合は、プレス体が不均一となり易く良好なプレス体が得られないために好ましくない。
【0038】
顆粒(A)と(B)の混合比率は、(A)/(B)=1/10〜1/2の割合であることが重要である。(A)/(B)=1/10未満の場合及び1/2を越える場合のいずれも、均質で良好なプレス体が得られず、焼結体に色調のムラや熱伝導率等のムラが発生するために好ましくない。本発明の均質性に優れた窒化アルミニウムを得るためには、(A)/(B)=1/8〜1/3の割合であることが更に好ましい。
【0039】
上記顆粒の平均粒径は、一般に、造粒装置の運転条件、例えば、スプレードライヤー法のアトマイザーの回転数等の運転条件によって調整することができる。
【0040】
また、顆粒(A)、(B)の粒度分布より求めた標準偏差は、それぞれが15μm以下であることが好ましい。該粒度分布が15μmを越えた場合は、粒度分布が2山分布にならず、均質なプレス体が得られないために好ましくない。均質な外観と熱伝導率を有する窒化アルミニウム焼結体を得るためには、それぞれの標準偏差が13μm以下であることが更に好ましい。
【0041】
本発明の窒化アルミニウム顆粒の作製は、一般的には二つの異なる粒度分布をもつ顆粒をスプレードライヤー法等により作製し、これらを流動装置等を用いて均一に混合する方法が採用される。
【0042】
また、窒化アルミニウムの泥しょうをスプレードライヤーで噴霧する際に、スプレードライヤーのアトマイザーの噴霧穴を二種の穴径とし、小穴径数/大穴径数の比率を1/10〜1/2とし噴霧する方法等が採用される。この場合の粒度分布の標準偏差は、顆粒(A)及び(B)の粒度分布の外挿により求めることができる。
【0043】
こうして得られた顆粒は、プレス体に成形されるが、その際、公知の方法が何ら制限なく用いられる。特に、乾式プレス成形法、冷間等方圧プレス成形法(CIP法)等が単独或いは組み合わせた方法が好適に採用される。
【0044】
本発明において得られたプレス体の密度は、相対密度で50〜62重量%に制御することが重要である。50%未満の場合、焼結性が劣るために均質で緻密な焼結体が得られないために好ましくない。また、62%を越える場合は、脱脂性が悪く、脱脂に長時間を要するばかりか脱脂後のプレス体に多くの炭素が残存したり、脱脂時に割れが発生するために良好な焼結体を安定的に得ることができないために好ましくない。本発明の均質性に優れた窒化アルミニウム焼結体を得るためには相対密度が52〜60%であることが更に好ましい。
【0045】
ここで、プレス体の相対密度は、プレス体中の窒化アルミニウムの重量をプレス体の形状より求めた体積で除して、更に、その値を窒化アルミニウム焼結体の理論密度3.261kg/cm3で除して求めた値である。
【0046】
従来、プレス体の相対密度を50〜62%とするために、1t/cm2程度の高いプレス圧力が必要であるため、プレス体の密度が不均一となり易く、窒化アルミニウム焼結体の外観の色調ムラや熱伝導率のバラツキの原因となっていたが、本発明の2山の粒度分布を有する顆粒を用いることによって、低圧のプレス成形により均質で緻密質なプレス体、即ち、50〜62%の高い相対密度を有し均質なプレス体を得ることが可能となった。好適なプレス圧は、0.2〜0.7t/cm2であり、割れや欠けが発生せず、脱脂性が良好で、且つ、均質な大型窒化アルミニウムプレス体を得るためには、0.3〜0.6t/cm2のプレス圧の範囲でプレス成形を行うことが更に好ましい。
【0047】
こうして得られたプレス体は、公知の方法によって脱脂、焼成され、本発明の窒化アルミニウム焼結体が得られる。
【0048】
本発明ような大型品を脱脂する場合は、大気や酸素雰囲気中で行うことが好ましい。また、脱脂温度や昇温速度等の温度条件は、バインダー等の有機成分の種類やプレス体の形状によって異なるため、プレス体に割れが発生せず脱脂が完了する温度並びに昇温速度が任意に選択される。本発明に採用される温度条件としては、脱脂温度が400〜800℃、脱脂温度までの昇温速度が0.01〜1℃の範囲から選択されることが好ましい。
【0049】
その後、窒素等の非酸化雰囲気中、1700〜1950℃の温度で焼成される。好適には、1750〜1900℃の温度で、3〜20時間焼成され、本発明の窒化アルミニウム焼結体が得られる。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、高純度で且つ均質な組織を有し、外観や熱伝導率等の物性のバラツキが極めて小さい大型窒化アルミニウム焼結体を提供するものであり、高品質でしかも均質性が要求される大型の高放熱性材料として最適である。特に、近年、大型形状で、しかも、耐プラズマ性等の耐食性や熱放射特性等、組織の均質性、特に熱的均質性が極めて重要である半導体製造装置関連の部品材料として注目されており、本発明の窒化アルミニウム焼結体は好適に使用されうる。
本発明の窒化アルミニウム焼結体は、こうした高品質で均質性が要求される電子材料や構造材料等の極めて有用な工業材料となる。
【0051】
【実施例】
本発明をさらに具体的に説明するために、以下に実施例及び比較例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0052】
尚、以下の実施例及び比較例における各種の物性の測定は次の方法により行った。
【0053】
1) 比表面積
島津製作所製「フロ−ソ−ブ2300」を用いて、N2吸着によるBET法 で求めた。
【0054】
2) 平均凝集粒径
堀場製作所製「CAPA 500」を用いて、遠心沈降法により求めた。
【0055】
3) 不純物量
陽イオン不純物は、窒化アルミニウム粉末をアルカリ溶融後、酸で中和し、 島津製作所製「ICPS−1000」を使用して溶液のICP発光分光分析 により定量した。
【0056】
不純物カ−ボン量は、窒化アルミニウム粉末を酸素気流中で燃焼させ、堀場製作所製「EMIA−110」を使用して、発生したCO、CO2ガス量か ら定量した。
【0057】
不純物酸素量は、窒化アルミニウム粉末を堀場製作所製「EMGA−2800」を使用して、グラファイトるつぼ中での高温の熱分解法により発生したCOガス量から求めた。
【0058】
4) 顆粒平均粒径
化学工学協会編「化学工学便覧 改訂4版」973頁記載の粒度分布の累積分布50%値とり求めた。
【0059】
5) 顆粒粒度分布
化学工学協会編「化学工学便覧 改訂4版」973頁記載の方法に準じて顆粒粒径の頻度分布を求め、標準偏差を計算した。
【0060】
6) プレス体相対密度
プレス体相対密度は、プレス体中の窒化アルミニウムの重量をプレス体の形状より求めた体積で除して、更に、その値を窒化アルミニウム焼結体の理論密度3.261kg/cm3で除して求めた。
【0061】
7) 焼結体相対密度
東洋精機製「高精度比重計D−H」を使用して、アルキメデス法により焼結体密度を求め、窒化アルミニウムと焼結助剤からなる焼結体の理論密度で除して求めた。
【0062】
8) 焼結体結晶粒子の粒径
焼結体破面の倍率3500倍のSEM写真より、コード法を用いて求めた。
【0063】
9) 熱伝導率
理学電機(株)製「熱定数測定装置PS−7」を使用して、レ−ザ−フラッシュ法により測定した。厚さ補正は検量線により行った。
【0064】
10) 焼結体表面の色差値
日本電色工業(株)製「NR−3000A」を使用して、JIS Z 8730に準じて求めた。焼結体の中心を基準点とし、基準点の明度L、色相a、bの測定値と約25cm2当たり1点となる割合で、測定点が焼結体表面 上にほぼ均一に分布するように選定された各部位の測定値との差△L、△a、 △bの平均値を求め、下記式を用いて色差値(△E)を計算した。
【0065】
【数2】
Figure 0003877813
【0066】
11) 曲げ強度
JIS R−1601に準じて、3点曲げ強度を測定した。
【0067】
実施例1
内容積50Lのナイロン製ポットに鉄心入りナイロンボ−ルを入れ、次いで、表1に示す窒化アルミニウム粉末100重量部、酸化イットリウム5重量部、表面活性剤としてテトラグリセリンモノオレ−ト1重量部、結合剤としてn−ブチルメタクリレート3重量部、溶媒としてトルエンを100重量部を添加してボ−ルミル混合を十分に行った後、白色の泥しょうを得た。
【0068】
こうして得られた泥しょうをスプレドライヤー法により造粒し、平均粒径が44μmと108μmの大きさの窒化アルミニウム顆粒を作製した。標準偏差は、それぞれ8μmと9μmであった。平均粒径44μmの顆粒と108μmの顆粒を重量比で1/6となるよう流動装置を用いて混合した。得られた顆粒の粒度分布は2山分布を示した。結果を表2に示した。
【0069】
次いで、所定形状の金型を用いて、0.3t/cm2でプレス体を成形した。プレス体の相対密度は、54.8%であった。該プレス体は、大気中、0.2℃/minの速度で昇温し、600℃で8時間焼成し、次いで、内面に窒化ホウ素を塗布したカ−ボン製るつぼに入れ、窒素雰囲気中、1810℃で6時間焼成した。得られた焼結体の形状は、φ218mm×t16mm(表面積856cm2)であった。焼結体の密度と焼結体結晶粒子の平均粒径、焼結体表面の色差値及び熱伝導率、曲げ強度について、該焼結体の焼結体の中心と同心円である直径100mm及び200mmの円と該焼結体の中心を通り、焼結体を8等分する4本の等分線の交点部分を合わせた17箇所、即ち、裏表で合計34箇所を測定した。色差値を除いて、それぞれ平均値と標準偏差を求めた。上記の条件を表2に、結果を表3に示した。
【0070】
また、得られた大型窒化アルミニウム焼結体は、放熱性、電熱性が共に優れており、各種用途において該焼結体の均熱性が極めて良好であった。
【0071】
実施例2〜7
顆粒(A)と(B)の平均粒径と該顆粒の混合の重量比及びプレス圧を表2に示した条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、窒化アルミニウムプレス体を得、焼結体を得た。上記の条件を表2に、結果を表3に示した。
【0072】
また、得られた大型窒化アルミニウム焼結体は、放熱性、電熱性が共に優れており、各種用途において該焼結体の均熱性が極めて良好であった。
【0073】
実施例8〜12
焼成条件を表2に示した条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、窒化アルミニウムプレス体を得、焼結体を得た。上記の条件を表2に、結果を表3に示した。
また、得られた大型窒化アルミニウム焼結体は、放熱性、電熱性が共に優れており、各種用途において該焼結体の均熱性が極めて良好であった。
【0074】
実施例13
アトマイザーの小穴径数と大穴径数の比を1/6にして2山分布の顆粒を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、窒化アルミニウムプレス体を得、焼結体を得た。上記の条件を表2に、結果を表3に示した。
【0075】
また、得られた大型窒化アルミニウム焼結体は、放熱性、電熱性が共に優れており、各様とにおいて該焼結体表面の均熱性が極めて良好であった。
【0076】
比較例1、2
顆粒(A)と(B)を混合せずにそれぞれ単独で使用し、プレス圧を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、窒化アルミニウムプレス体を得、焼結体を得た。上記の条件を表2に、結果を表3に示した。
【0077】
比較例3、4
平均粒径44μmの顆粒と108μmの顆粒を表2に示した重量比で混合したこと以外は、実施例1と同様にして、窒化アルミニウムプレス体を得、焼結体を得た。結果を表2に示した。
【0078】
比較例5〜8
顆粒(A)と(B)の平均粒径を表2に示した条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、窒化アルミニウムプレス体を得、焼結体を得た。結果を表2に示した。
【0079】
比較例9
プレス圧を変えたこと以外は、実施例7と同様にして、窒化アルミニウムプレス体を得、焼結体を得た。上記の条件を表2に、結果を表3に示した。
【0080】
【表1】
Figure 0003877813
【0081】
【表2】
Figure 0003877813
【0082】
【表3】
Figure 0003877813

Claims (2)

  1. 全表面積が350cm2以上、または、最大長が150mm以上の窒化アルミニウム焼結体であって、表面の色差値(△E)が1.5以下であり、且つ、平均熱伝導率が80W/m・K以上、熱伝導率の標準偏差が2W/m・K以下であることを特徴とする大型窒化アルミニウム焼結体。
  2. 平均粒径が40〜50μmの窒化アルミニウム顆粒(A)と平均粒径が90〜120μmの窒化アルミニウム顆粒(B)とを重量比で(A)/(B)=1/10〜1/2の範囲で含む顆粒混合物を成形して相対密度が50〜62%の窒化アルミニウムプレス体を得、次いで、該プレス体を焼成することを特徴とする大型窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
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