JP2009179488A - 射出成形用窒化アルミニウム組成物、窒化アルミニウム焼結体および窒化アルミニウム焼結体の製造方法 - Google Patents

射出成形用窒化アルミニウム組成物、窒化アルミニウム焼結体および窒化アルミニウム焼結体の製造方法 Download PDF

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佳男 西原
Michinori Ariyoshi
充典 有吉
Megumi Yagura
恵 櫓
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Abstract

【課題】表面積が広く薄肉の窒化アルミニウム成形体、あるいは複雑形状の窒化アルミニウム成形体を製造する場合であっても、流動性が高く、脱脂性に優れ、グリーン成形体を作製した場合に保形性が良好である射出成形用窒化アルミニウム組成物を提供すること。
【解決手段】下記条件(1)および(2)を満たす窒化アルミニウム粉末100重量部、エチレン・酢酸ビニル共重合体3〜15重量部、ワックス3〜12重量部、および高級脂肪酸0.5〜5重量部を含有することを特徴とする射出成形用窒化アルミニウム組成物。
(1)D90/D10≦3.5
(2)D50≦1.0μm
〔D90は、窒化アルミニウム粒子の粒度分布における累積体積%が90%のときの粒子径であり、D10は、窒化アルミニウム粒子の粒度分布における累積体積%が10%のときの粒子径であり、D50は、窒化アルミニウム粒子の粒度分布における累積体積%が50%のときの粒子径である。〕。
【選択図】なし

Description

本発明は、射出成形に適した窒化アルミニウム(以下「AlN」とも記す。)組成物、該組成物から得られる窒化アルミニウム焼結体およびその製造方法に関する。
窒化アルミニウム(AlN)焼結体は、高熱伝導性、電気絶縁性などの優れた特性を有しているため、半導体実装用基板、半導体製造装置の部材など、様々な用途に用いられている。
しかしながら、窒化アルミニウム焼結体は、他の一般的なセラミックスと同様に高硬度で脆いため、機械加工により複雑な形状に成形することは困難である。複雑形状窒化アルミニウム焼結体の製造方法の一つとして、窒化アルミニウム粉末、焼結助剤、および有機結合剤(以下、「結合剤」とも記す)などの有機成分を含有する組成物を金型内に射出成形した後に、該射出成形体(以下、「グリーン成形体」とも記す)を脱脂し、焼結させるという手法が挙げられる。
この方法においては、金型にセラミックス粉末を含有した組成物を射出充填できるように、該組成物に適度な流動性を付与することが重要となる。そのため、ポリスチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を結合剤として用い、さらに、滑剤や可塑剤などを配合した射出成形用のセラミックス粉末含有組成物が数多く開示されている。上記組成物は射出成形機シリンダー内で加熱・可塑化され、金型に高速・高圧で導入された後に冷却され、所望の形状を有したグリーン成形体とされる。グリーン成形体を脱型するときに、そのグリーン成形体が割れないようにするための、また、脱脂時の変形を極力抑制するための保形性を有することも重要である。さらに、グリーン成形体中の結合剤をはじめとする有機成分は、脱脂工程にて十分に除去されなければ、焼結工程にさまざまな問題を引き起こす恐れがあるため、その配合量を少なくすることが望ましい。しかしながら、有機成分の配合量を少なくすると、セラミックス粉末を含有した組成物の流動性が悪化するという問題があり、良好な流動性、保形性、脱脂性を付与できる射出成形用のセラミックス粉末含有組成物が望まれている。
特開平11−278915号公報(特許文献1)には、平均粒径が0.1〜100μm程度の窒化アルミニウム粉末などセラミックス原料粉末に配合される、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ワックス(石油系ワックス、高級脂肪酸などの植物系ワックスなど)などを含有する射出成形用のセラミックス組成物が開示され、この組成物をセラミックス原料粉末に配合すれば、射出成形により成形された成形体の脱脂時間を短縮し、かつひび割れなどの欠陥が少ないセラミックス焼結体を製造することができると記載されている。
特開昭63−239143号公報(特許文献2)、特開平1−164755号公報(特許文献3)、特開平11−58336号公報(特許文献4)にも、セラミックス粉末、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ワックスおよびステアリン酸などを含有する射出成形用のセラミックス組成物が開示されている。
一方、特開平5−345660号公報(特許文献5)には、セラミックス粉末の粒度分布を制御することにより、有機成分の添加量が少なくても流動性、保形性が良好な組成物が開示されている。すなわち、粒度分布が
|Dmed−Dmod|/Dmed < 0.1
(Dmedはセラミックス粉末粒子のメジアン径を表し、Dmodはセラミックス粉末粒子のモード径を表す。)
を充足するセラミックス粉末を用いることが提案されている。
特開平11−278915号公報 特開昭63−239143号公報 特開平1−164755号公報 特開平11−58336号公報 特開平5−345660号公報
しかしながら、薄肉で数10cm2以上の投影面積を有した焼結体を製造する場合には
、特許文献1〜4に記載された射出成形用のセラミックス組成物を用いても、流動性と保形性を両立させることが不十分となる場合があった。
また、特許文献5に開示された一次粒子径が1.0μm以下と非常に小さく、凝集性の高いセラミックス粉末においては、上記条件を充足した場合でも、射出成形用セラミックス組成物の流動性が低い傾向にあった。特に、熱伝導性の高い窒化アルミニウム粉末を含有した組成物を射出成形した場合、組成物が金型内で急速に冷却されるため、組成物の流動性が不十分となる場合があった。
本発明者らは、鋭意研究した結果、特定の粒径、粒度分布を有した窒化アルミニウム粉末に、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ワックス、高級脂肪酸を特定の比率で配合することにより、有機成分量が少なくてもその流動性が高く、該組成物を射出成形して、得られるグリーン成形体の保形性が良好で、脱脂性にも優れ、寸法精度が良好な焼結体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明が提供する上記課題を解決するための手段は以下のとおりである。
[1]下記条件(1)および(2)を満たす窒化アルミニウム粉末100重量部、エチレン・酢酸ビニル共重合体3〜15重量部、ワックス3〜12重量部、および高級脂肪酸0.5〜5重量部を含有することを特徴とする射出成形用窒化アルミニウム組成物;
(1)D90/D10≦3.5
(2)D50≦1.0μm
〔D90は、窒化アルミニウム粒子の粒度分布における累積体積%が90%のときの粒子径であり、D10は、窒化アルミニウム粒子の粒度分布における累積体積%が10%のときの粒子径であり、D50は、窒化アルミニウム粒子の粒度分布における累積体積%が50%のときの粒子径である。〕。
[2] 120℃におけるメルトフローレイト(JIS K 7210、2.16kg荷重)が20〜100g/10分である請求項1記載の射出成形用窒化アルミニウム組成物。
[3]上記[1]または[2]に記載の射出成形用窒化アルミニウム組成物から得られた窒化アルミニウム焼結体。
[4]上記[1]または[2]に記載の射出成形用窒化アルミニウム組成物を用いて射出成形体を作製し、該射出成形体を脱脂し、次いで焼成することを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
本発明によれば、表面積が広く薄肉の窒化アルミニウム成形体、あるいは複雑形状の窒化アルミニウム成形体を製造する場合であっても、有機成分(バインダー)量が少ないにもかかわらず流動性が高く、脱脂性に優れ、グリーン成形体を作製した場合に保形性が良好な射出成形用窒化アルミニウム組成物、寸法精度の高い窒化アルミニウム焼結体、ならびにこれらの実現に好適な射出成形用窒化アルミニウム粉末が提供される。
また本発明によれば、高い寸法精度を確保できる、窒化アルミニウム焼結体の製造方法が提供される。
本発明の射出成形用窒化アルミニウム組成物は、特定の窒化アルミウム粉末と、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ワックスおよび高級脂肪酸とを特定の比率で含有している。以下、各成分について詳細に説明する。
〔窒化アルミニウム粉末〕
本発明に用いられる窒化アルミニウム粉末は、下記条件(1)および(2)を充足している。
(1)D90/D10が3.5以下、好ましくは2.0〜3.5、さらに好ましくは2.0〜3.0の範囲にある、
(2)D50が1.0μm以下、好ましくは0.5〜0.95μmの範囲にある。
〔ここで、D90は、窒化アルミニウム粒子の粒度分布における累積体積%が90%のときの粒子径であり、D10は、窒化アルミニウム粒子の粒度分布における累積体積%が10%のときの粒子径であり、D50は、窒化アルミニウム粒子の粒度分布における累積体積%が50%のときの粒子径である。〕。
90/D10あるいはD50が上記範囲よりも大きすぎると、窒化アルミニウム組成物の流動性が低下する傾向にある。
したがって上記条件(1)および(2)を充足する窒化アルミニウム粉末は、凝集が少なく、かつ粒子径が小さい。
(上記条件(1)および(2)を充足する窒化アルミニウム粉末の製造方法)
上記条件(1)および(2)を充足する窒化アルミニウム粉末は、その製造方法において特に制限はないが、例えば、以下のような方法により調製することができる。
上記条件(1)および(2)を充足する窒化アルミニウム粉末の前駆体である窒化アルミニウム粉末(以下「原料窒化アルミニウム粉末」ともいう。)、有機溶剤、必要により焼結助剤、界面活性剤をモーター撹拌機やボールミル等により混合し、窒化アルミニウム溶液(分散液)を得た後、特定の分散装置に導入して、原料窒化アルミニウム粉末を有機溶剤中に分散させ、窒化アルミニウムスラリーを調製する。
上記特定の分散装置としては、例えば、超音波分散装置、ビーズミル、貫通型高圧分散装置、衝突型高圧分散装置、多孔型高圧分散装置、だまとり型高圧分散装置、(衝突+貫通)型高圧分散装置、高圧ホモジナイザー等の高圧分散装置を挙げることができ、これらの分散装置を単独で或いは組み合わせて使用することができる。そのうち、本発明の射出成形用窒化アルミニウム粉末を効率よく得るためには、高圧分散装置、中でも、衝突型高圧分散装置を使用した混合を、少なくとも一工程採用することが好ましい。
上記の衝突型高圧分散装置は、基本的には、窒化アルミニウム溶液(分散液)を加圧することによって出口側に導き、該スラリーを2つの流路に分岐し、さらに流路を狭めるこ
とによって流速を加速し、対向衝突させる機能を有するものである。
上記衝突型高圧分散装置を用いると、窒化アルミニウム粒子が対向衝突する以外にも壁面への衝突や対向衝突後の圧力緩和過程などでも解砕または分散の効果があると言われているが、これらは対向衝突させることによる付随効果と見なされる。上記のように被処理液を加速したり衝突させたりする部分を構成する材料としては、材料の摩耗を抑えるためにダイヤモンドが好適に採用される。
このような装置の代表例を具体的に例示すると、スギノマシン製の商品名;アルティマイザー、マイクロフルイディクス製の商品名;マイクロフルイダイザー、及びナノマイザー(株)製の商品名;ナノマイザーなどを挙げることができる。上記で例示した装置はいずれも流通式であるため、出口側で取り出された被処理液は、その中に固形分として存在する窒化アルミニウム粒子等が一様に粉砕、解砕または分散等の処理を受けたことになるため、均一性が高く、一般的に使われている超音波分散やホモジナイザー等のバッチ式と異なり優れている。また、粉砕、解砕または分散処理が高効率で行われること、不純物の混入が極めて少ないこと、大量処理にも適応可能なことなど、工業的に利用するのには適している。
このような衝突型高圧分散装置は機種によって各種の装置定数や効率が異なるため、あるいは用いる窒化アルミニウム溶液(分散液)の種類によって分散の効率が異なるため、一概にその処理条件を定めることはできないが、一般には、分散効率は処理圧力(対向衝突させる直前のスラリ−の圧力)に依存するため、処理圧力が高いほどその効率も高くなる。
例えば、スギノマシン製アルティマイザーを用いた場合には、処理圧力が50MPa以上、さらに好ましくは80MPa以上、さらに好ましくは100MPa以上の場合、分散効率の高い処理が可能である。また、衝突型高圧分散装置で窒化アルミニウム溶液(分散液)を処理する回数は、通常1〜9回、好ましくは1〜3回、より好ましくは1〜2回の範囲から選ぶことができる。
上記分散機で処理した窒化アルミニウムスラリーをスプレードライヤー等、公知の乾燥機にて乾燥させ、上記条件(1)および(2)を充足する窒化アルミニウム粉末を調製することができる。なお、本明細書においては、窒化アルミニウム粉末を分散装置により分散させた後の状態の窒化アルミニウム溶液(分散液)を「窒化アルミニウムスラリー」、分散させる前の状態の窒化アルミニウム溶液(分散液)を単に「窒化アルミニウム溶液(分散液)」と表す。
上記原料窒化アルミニウム粉末の平均粒子径は通常1.0μm〜3.0μm、好ましくは1.0μm〜2.5μm、より好ましくは1.0μm〜2.0μmの範囲にある。窒化アルミニウム粉末の平均粒子径が上記範囲内にある場合には、より均一に分散しやすく、乾燥効率が良好となる。
本発明において窒化アルミニウム粉末の平均粒子径とは、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定した、窒化アルミニウムの凝集粒子の体積平均粒子径をいう。平均粒子径が上記範囲の窒化アルミニウム粉末である場合には、窒化アルミニウムスラリーの固形分濃度を高くでき、しかも均一に分散し易く、乾燥効率が良好である。また、上記条件(1)および(2)を充足する窒化アルミニウム粉末を容易に得ることができる。
上記原料窒化アルミニウム粉末としては、平均粒子径が上記範囲である窒化アルミニウム粉末を1種単独で使用してもよいし、平均粒子径の異なる2種以上の窒化アルミニウム
粉末を、平均粒子径が上記範囲となるように混合して使用してもよい。上記原料窒化アルミニウム粉末は、平均粒子径以外は特に制限はない。
上記原料窒化アルミニウム粉末の製造法に特に制限は無く、例えば還元窒化法で得られた窒化アルミニウム粉末、直接窒化法で得られた窒化アルミニウム粉末、またはこれら混合物を用いることができるが、最終的に得られる窒化アルミニウム焼結体が良好な熱伝導率を有する点では、還元窒化法で得られた窒化アルミニウム粉末が好ましい。
また、上記原料窒化アルミニウム粉末および本発明に用いられる窒化アルミニウム粉末の不純物については、特に制限はないが、酸素、陽イオン等の不純物が少ないものが好ましく、例えば、酸素含有量が好ましくは1.5重量%以下、より好ましくは0.4重量%〜1.3重量%の範囲であり、陽イオン不純物の含有量が好ましくは0.3重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下であることが好ましい。このような窒化アルミニウム粉末を原料とした場合には、熱伝導性に優れた窒化アルミニウム焼結体を得ることができる。
上記有機溶剤に特に制限は無く、一般的な有機溶剤を用いることができる。
有機溶剤の例としては、
アセトン、メチルエチルケトン、およびメチルイソプロピルケトンなどのケトン類;
エタノール、プロパノール、およびブタノールなどのアルコール類;
ベンゼン、トルエン、およびキシレンなどの芳香族炭化水素類;
トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、およびブロモクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類;
などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記有機溶剤は、上記原料窒化アルミニウム粉末100重量部に対して、通常20〜200重量部、好ましくは40〜150重量部の範囲の量で用いられる。
〔エチレン・酢酸ビニル共重合体〕
本発明の射出成形用窒化アルミニウム組成物は、結合剤としてエチレン・酢酸ビニル共重合体を、上記窒化アルミニウム粉末100重量部に対して3〜15重量部、好ましくは4〜13重量部、さらに好ましくは5〜10重量部含有している。上記エチレン・酢酸ビニル共重合体の含有量が3重量部未満であると得られるグリーン成形体の強度が低い。15重量部を超えると得られるグリーン成形体を脱脂する際に割れや膨れが発生する恐れがある。
上記エチレン・酢酸ビニル共重合体の190℃でのMFR(JIS K7210、2.16kg荷重)は、好ましくは50〜800g/10分、さらに好ましくは100〜700g/10分、最も好ましくは150〜600g/10分である。上記エチレン・酢酸ビニル共重合体のMFRが50g/10分未満の場合、得られる窒化アルミニウム組成物の流動性が不十分となり、MFRが800g/10分を超えると得られるグリーン成形体の保形性が不十分となる傾向にある。
また、上記エチレン・酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル単位の含量は、好ましくは10〜50重量%、さらに好ましくは15〜30重量%である。酢酸ビニル単位の含量が上記範囲内にあると、得られるグリーン成形体の保形性が良好となる。
また、本発明の射出成形用窒化アルミニウム組成物の効果が損なわれない範囲で、エチレン・酢酸ビニル共重合体以外の結合剤(以下「他の結合剤」ともいう。)を併用してもよい。
上記他の結合剤としては、特に制限は無く、一般的なセラミックス粉末成形用の結合剤を使用できる。
具体的な有機結合剤としては、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリ2−エチルヘキシルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリアクリレート、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリオキシエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド等の酸素含有有機高分子化合物;
石油レジン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの炭化水素系有機高分子化合物などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの結合剤のうち、酸素含有有機高分子化合物は、窒化アルミニウム粉末と優れた化学親和性を有し、強固に窒化アルミニウム粉末と結合できるという点で好ましい。
上記エチレン・酢酸ビニル共重合体および上記他の結合剤の使用形態には特に制限はなく、そのまま使用してもよいし、エマルジョンとして使用してもよい。
〔ワックス〕
本発明の射出成形用窒化アルミニウム組成物は、滑剤としてワックスを上記窒化アルミニウム粉末100重量部に対して、3〜12重量部、好ましくは4〜10重量部含有している。上記ワックスの含有量が3重量部未満であると、得られる射出成形用窒化アルミニウム組成物の流動性が低く、12重量部を超えると得られるグリーン成形体が脆くなり、成形時に割れが発生する恐れがある。
上記ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロワックス等の石油系ワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス、モンタンワックス等の鉱物系ワックス、(カルナバワック等の植物系ワックス)などが挙げられ、中でも石油系ワックス、鉱物系ワックスが好ましく、パラフィンワックス、マイクロワックスが特に好ましい。
また、上記ワックスの融点は、好ましくは50〜100℃、さらに好ましくは60℃から90℃である。融点が50℃未満の場合、得られるグリーン成形体の保形性が不十分となり、100℃を超えると得られる窒化アルミニウム組成物の流動性が不十分となりやすい。
〔高級脂肪酸〕
本発明の射出成形用窒化アルミニウム組成物は、滑剤としてさらに高級脂肪酸を、上記窒化アルミニウム粉末100重量部に対して0.5〜5重量部、好ましくは0.7〜4重量部、さらに好ましくは1〜3.5重量部含有している。本発明の射出成形用窒化アルミニウム組成物は、上記の量の高級脂肪酸を含有しているため、高いせん断応力がかかる射出成形用金型内、特に薄肉部での流動性が良好である。上記高級脂肪酸の含有量が0.5重量部未満であると、得られる射出成形用窒化アルミニウム組成物の流動性が低く、5重量部を超えると得られるグリーン成形体が脆くなり成形時に割れが発生する恐れがある。
上記高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸などが挙げられ、中でもラウリン酸、ステアリン酸が好ましい。
〔焼結助剤〕
本発明の射出成形用窒化アルミニウム組成物には、焼結体を緻密化して熱伝導率を向上させるために、焼結助剤を含有させることが好ましい。上記焼結助剤としては、公知の焼
結助剤、一般的には、希土類金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を使用することができる。
上記希土類金属化合物としてはイットリウム、ランタン、セリウム等の金属の酸化物等が挙げられ、上記アルカリ土類金属化合物としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の金属の酸化物、リン酸塩等が挙げられる。これら焼結助剤の中でも、得られる焼結体が緻密で熱伝導率が高いという点で、酸化イットリウムが好適である。
また、上記希土類金属化合物と上記アルカリ土類金属化合物とは併用しても良く、さらに、それぞれ数種類を用いても良い。上記焼結助剤のレーザー回折式粒度分布測定装置で測定した体積平均粒子径は、0.2〜5μmが好ましく、0.5〜3μmがさらに好ましい。焼結助剤の体積平均粒子径が上記範囲にあると、得られる窒化アルミニウム組成物の流動性が良好となる。
上記焼結助剤の配合量は、窒化アルミニウム粉末100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは2〜6重量部である。焼結助剤の配合量が上記範囲にあると、焼結体を十分緻密化してその熱伝導率を向上させることができる。
(他の成分)
本発明の射出成形用窒化アルミニウム組成物は、その他成分として、可塑剤、界面活性剤、脂肪族アミン等の解膠剤、鉱油、椰子油等の油、高級脂肪酸エステル、高級アルコール等の低分子量化合物等をさらに含有していてもよい。
上記可塑剤としては、特に制限は無く、具体的には、
ポリエチレングリコールおよびその誘導体;
ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ベンジルブチルフタレート、およびジオクチルフタレートなどのフタル酸エステル類;
ブチルステアレートなどのステアリン酸エステル類;
トリクレゾールフォスフェート、トリ−N−ブチルフォスフェート、グリセリンなどが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記可塑剤の配合量は、上記窒化アルミニウム粉末100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部である。
上記界面活性剤は、特に制限なく用いることができるが、ノニオン系界面活性剤が好ましい。このノニオン系界面活性剤としては、例えば、カルボキシル化トリオキシエチレントリデシルエーテル、ジグリセリンモノオレート、ジグリセリンモノステアレート、カルボキシル化ヘプタオキシエチレントリデシルエーテル、テトラグリセリンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、プロピレングリコールモノステアレート、グリセリンモノステアレート、グリセリントリステアレート、グリセリンモノオレート、グリセリントリオレート、ソルビタントリオレート、およびソルビタンモノオレートなど、またはこれら2つ以上の混合物を挙げることができる。
ら界面活性剤は、上記窒化アルミニウム粉末100重量部に対して、通常0.01重量部〜10重量部、好ましくは0.02重量部〜3.0重量部の範囲の量で使用することができる。
界面活性剤を上記範囲内で使用した場合には、エチレン・酢酸ビニル共重合体と窒化アルミニウムとの分散性が良好になる。
上記窒化アルミニウム溶液(分散液)中には、上述したエチレン・酢酸ビニル共重合体等の有機結合剤、ワックスおよび高級脂肪酸等の滑剤、焼結助剤、可塑剤などの全量また
はその一部が含まれていてもよい。
(射出成形用窒化アルミニウム組成物の製造方法)
本発明の射出成形用窒化アルミニウム組成物は、上記の窒化アルミニウム粉末、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ワックスおよび高級脂肪酸をはじめとする原料を混合することで調製できる。混合には、公知の方法(例えば、加圧ニーダー等の混合機によって乾式、またはボールミル等の混合機によって湿式により混合する方法)を採用できる。
本発明の射出成形用窒化アルミニウム組成物を乾式により調製する場合、製造方法は特に限定されないが、たとえば、上記原料を公知の混練装置により混合させ、製造することができる。
公知の混練装置としては、例えば、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、ディスクニーダー、連続式混練機等を挙げることができる。例えば、加圧ニーダーにより混練する場合、温度50〜200℃、好ましくは70〜150℃、時間5分〜10時間、好ましくは10分〜5時間の条件下で行うことができる。
原料を一度に全量仕込んで加圧混練してもよく、原料の一部を加圧混練した後、残余の原料を仕込んでさらに加圧混練してもよい。
また、本発明の射出成形用窒化アルミニウム組成物は、特に制限はされないが、たとえば、湿式によって以下のように調製することができる。すなわち、上記窒化アルミニウム粉末等の原料をモーター撹拌機やボールミル等により混合し、上記窒化アルミニウム粉末を分散させた溶液を得た後、これをスプレードライヤー等、公知の乾燥機にて該分散液を乾燥させることで該組成物を製造することができる。
本発明の射出成形用窒化アルミニウム組成物は、エチレン・酢酸ビニル共重合体などの添加量が少なくても高い流動性を有するため、該組成物を用いれば、表面積が広く薄肉の窒化アルミニウム成形体であっても、あるいは複雑な形状の焼結体であっても、高い寸法精度で容易に製造することができる。
<射出成形用窒化アルミニウム組成物>
本発明の射出成形用窒化アルミニウム組成物の120℃でのMFR(JIS K7120、2.16kg荷重)は、好ましくは20〜100g/10分、さらに好ましくは25〜90g/10分の範囲にある。MFRが上記範囲にあると、窒化アルミニウム組成物の流動性が高く、窒化アルミニウム組成物から形成されるグリーン成形体の強度も高い。
本発明の組成物のMFRは、たとえば、使用される窒化アルミニウム粉末の粒径や比表面積、充填量を勘案し、ワックスの量を増減させることにより増減させることができる。
[AlN焼結体の製造方法]
本発明の窒化アルミニウム焼結体の製造方法は、上述した本発明の射出成形用窒化アルミニウム組成物を用いて射出成形体を調製し、該射出成形体を脱脂し、次いで焼成することを特徴としている。
上述した射出成形用窒化アルミニウム組成物は、製造方法は特に制限されないが、造粒(ペレット化)されていることが望ましい。造粒には、フィーダー・ルーダー等、公知の装置を使用することができる。
射出成形には、公知の射出成形機および公知の金型を使用することができる。また、射出成形条件は、射出成形物の形状や使用する射出成形機の能力に応じて異なるが、一般には射出圧力5〜300MPa、好ましくは10〜250MPa、射出速度1〜300mm
/sec、好ましくは5〜200mm/sec、金型温度0〜150℃、シリンダー温度50〜300℃、好ましくは50〜200℃とすることができる。得られた成形体は、脱脂(脱有機成分)され後、焼成される。
脱脂は、常圧雰囲気、加圧雰囲気、減圧雰囲気等での加熱による方法、溶剤等による抽出による方法、および加熱と抽出とを組み合わせた方法等、公知の手法により行うことができる。
常圧雰囲気にて、空気中、窒素中、水素中等の任意の雰囲気で加熱することにより行うことが好ましいが、残留炭素量および残留酸素量の調整がし易い、空気中で脱脂を行うことがさらに好ましい。また、脱脂温度は、通常200〜900℃、好ましくは300〜600℃である。
次いで上記成形体を焼成し、窒化アルミニウム焼結体が得られる。焼成はアルゴン、窒素などの中性雰囲気中で行われる。
焼成用の容器として、非カーボン製、例えば、窒化アルミニウム焼結体、窒化ホウ素成形体等の容器を使用し、該容器中に上記成形体を収納して焼結を行ってもよい。
焼成は、温度1500〜2000℃、好ましくは1600〜1900℃で、少なくとも1時間、特に3時間以上実施することが好ましい。焼成時間の上限は特に制限はされないが、通常は6時間程度である。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。各種物性の測定方法は以下のとおりである。
<窒化アルミニウム粉末の粒度分布>
窒化アルミニウム粉末をホモジナイザーにてピロリン酸ソーダ中に分散させ、レーザー回折粒度分布装置(日機装株式会社製MICROTRAC HRA)にて粒度分布(D90/D10およびD50)を測定した。
<窒化アルミニウム粉末及びその原料粉末の陽イオン不純物含有量>
陽イオン不純物含有量(金属元素濃度)は、窒化アルミニウム粉末をアルカリ溶融後、酸で中和し、島津製作所製「ICP−1000」を使用して溶液のICP発光分析により定量した。
<窒化アルミニウム粉末及びその原料粉末の酸素含有量>
酸素含有量(酸素濃度)は、窒堀場製作所製「EMGA−2800」を使用して、グラファイトるつぼ中での高温熱分解法により発生したCOガス量から求めた。
<射出成形用窒化アルミニウム組成物の流動性評価>
1)MFR
JIS K7210に準拠して、120℃で測定した。
2)金型内流動性
スパイラルフロー金型を用い、成形温度150℃、金型温度35℃、射出圧力70MPaでの流動長を測定した。
<保形性>
図1に示すように、BN(窒化ホウ素)板上に、平板状試験片(50mm×100mm×1mmtの射出成形体)をその片端10mmがはみ出すように置き、これらを大気中で昇温速度10℃/分で200℃まで加熱し、200℃で3分間保持し、放冷した後の平板
状試験片の垂れの程度[mm](表1では「保形性[mm]」と表す。)を測定した。
<外観>
シワ、ヒビおよびワレ等の不具合の有無を確認した。脱脂体および焼結体の外観が良好であれば、脱脂性が良好であると判断した。
<焼成線収縮率>
焼結体寸法を測定し、以下の式から算出した。
焼成線収縮率(%)={(金型寸法)−(焼結体寸法)}÷(金型寸法)×100
[実施例1]
内容積が10Lのナイロン製ポットに、ビッカース硬さ1200でボール径10mmのアルミナ製ボールを見掛け充填率で40%入れた。ついで、窒化アルミニウム粉末(株式会社トクヤマ製Hグレード D50:1.26μm、D90/D10:4.0、酸素含有量:0.81重量%、陽イオン不純物含有量Ca:220ppm、Si:45ppm、Fe:15ppm)100重量部、トルエン10重量部、およびエタノール75重量部を添加して、ボールミル混合を16時間行い、窒化アルミニウム溶液(分散液)を得た。
得られた窒化アルミニウム溶液を、衝突型高圧分散装置((株)スギノマシン製、HJP−25005)により、200MPaの圧力で1回高圧分散処理し、窒化アルミニウムスラリーを得た。
得られた窒化アルミニウムスラリーをスプレードライヤーにて乾燥させ、窒化アルミニウム粉末を得た。得られた窒化アルミニウム粉末は、D50:0.91μm、D90/D10:2.7、酸素含有量:0.82重量%、陽イオン不純物含有量Ca:230ppm、Si:50ppm、Fe:15ppmであった。
得られた窒化アルミニウム粉末、平均粒子径が1.5μmの酸化イットリウム、MFRが400g/10min(190℃)で酢酸ビニル含量が28重量%のエチレン・酢酸ビニル共重合体、融点が69℃のパラフィンワックス、ステアリン酸、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)を表1に示す割合で加圧ニーダーを用いて、100℃で1時間混練した後に押出機で造粒し、ペレット状の射出成形用窒化アルミニウム組成物を得た。
次いで、得られた射出成形用窒化アルミニウム組成物のMFR及びスパイラルフロー長の測定結果を表1に示す。
さらに、得られた射出成形用窒化アルミニウム組成物を用いて、中央部に10mm×10mmの□状の穴を有した平板状の形状(50mm×100mm×1mmt)に射出成形した。得られた成形体を目視で確認し、ヒケやクラック、充填不良部分などの有無について評価した。
得られた成形体を空気雰囲気下、10℃/時間の速度で昇温して500℃で5時間脱脂した。脱脂体を目視にて確認しクラックや変形などの有無についた評価した。
次いで、脱脂体を窒素雰囲気下、1730度で6時間焼結を行い、焼結体を得た。得られた焼結体の外観検査を行なった。結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1で得られた窒化アルミニウム溶液(分散液)を、衝突型高圧分散装置((株)スギノマシン製、HJP−25005)により、200MPaの圧力で5回高圧分散処理し、窒化アルミニウムスラリーを得た。
得られた窒化アルミニウムスラリーをスプレードライヤーにて乾燥させ、窒化アルミニ
ウム粉末Bを得た。得られた窒化アルミニウム粉末Aは、D50:0.90μm、D90/D10:2.6、酸素含有量:0.84重量%、陽イオン不純物含有量Ca:240ppm、Si:52ppm、Fe:17ppmであった。
得られた窒化アルミニウム粉末を用いて、実施例1と同様にして射出成形用窒化アルミニウム組成物を作製、射出成形、脱脂、焼成を行なった。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1で得られた窒化アルミニウム溶液(分散液)を、衝突型高圧分散装置((株)スギノマシン製、HJP−25005)により、120MPaの圧力で1回高圧分散処理し、窒化アルミニウムスラリーを得た。
得られた窒化アルミニウムスラリーをスプレードライヤーにて乾燥させ、窒化アルミニウム粉末を得た。得られた窒化アルミニウム粉末は、D50:0.94μm、D90/D10:2.9、酸素含有量:0.81重量%、陽イオン不純物含有量Ca:230ppm、Si:50ppm、Fe:12ppmであった。
得られた窒化アルミニウム粉末を用いて、実施例1と同様にして射出成形用窒化アルミニウム組成物を作製、射出成形、脱脂、焼成を行なった。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、MFRが150g/10min(190℃)のエチレン・酢酸ビニル共重合体を使用したこと以外は実施例1と同様にして射出成形用窒化アルミニウム組成物を作製、射出成形、脱脂、焼成を行なった。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1において、融点が98℃のマイクロワックスを使用したこと以外は実施例1と同様にして射出成形用窒化アルミニウム組成物を作製、射出成形、脱脂、焼成を行なった。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
[実施例6、7]
実施例1において、エチレン・酢酸ビニル共重合体、パラフィンワックス及びステアリン酸を表1に示す割合に変更した以外は、実施例1と同様にして射出成形用窒化アルミニウム組成物を作製、射出成形、脱脂、焼成を行なった。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
Figure 2009179488
[比較例1]
窒化アルミニウム粉末(株式会社トクヤマ製Hグレード D50:1.26μm、D90/D10:4.0、酸素含有量:0.81重量%、陽イオン不純物含有量Ca:220ppm、Si:45ppm、Fe:15ppm)、平均粒子径が1.5μmの酸化イットリウム、MFRが400g/10min(190℃)で酢酸ビニル含量が28重量%のエチレン・酢酸ビニル共重合体、融点が69℃のパラフィンワックス、ステアリン酸、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)を表2に示す割合で加圧ニーダーを用いて、100℃で1時間
混練した後に押出機で造粒し、ペレット状の射出成形用窒化アルミニウム組成物を得た。得られた射出成形用窒化アルミニウム組成物のMFR及びスパイラルフロー長の測定結果を表2に示す。
次いで得られた射出成形用窒化アルミニウム組成物を実施例1と同様に、射出成形、脱脂、焼成を行なった。実施例1と同様に評価した結果を表2に示す。
[比較例2]
内容積が10Lのナイロン製ポットに、ビッカース硬さ1200でボール径10mmのアルミナ製ボールを見掛け充填率で40%入れた。ついで、平均粒子径1.5μmの窒化アルミニウム粉末A(株式会社トクヤマ製 Hグレード)100重量部、トルエン10重量部、およびエタノール75重量部を添加して、ボールミル混合を32時間行い、窒化アルミニウム溶液(分散液)を得た。
得られた窒化アルミニウム溶液を、スプレードライヤーにて乾燥させ、射出成形用窒化アルミニウム粉末を得た。得られた窒化アルミニウム粉末は、D50:1.05μm、D90/D10:3.8、酸素含有量:0.88重量%、陽イオン不純物含有量Ca:240ppm、Si:55ppm、Fe:18ppmであった。
得られた窒化アルミニウム粉末、平均粒子径が1.5μmの酸化イットリウム、MFRが400g/10min(190℃)で酢酸ビニル含量が28重量%のエチレン・酢酸ビニル共重合体、ステアリン酸、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)を表2に示す割合で加圧ニーダーを用いて、100℃で1時間混練した後に押出機で造粒し、ペレット状の射出成形用窒化アルミニウム組成物を得た。得られた射出成形用窒化アルミニウム組成物は、実施例1と同様にMFR及びスパイラルフロー長の測定を行なった。測定結果を表2に示す。
次いで、得られた射出成形用窒化アルミニウム組成物を実施例1と同様に射出成形、脱脂、焼成を行い、成形性及び外観の評価を行なった。結果を表2に示す。
[比較例3〜5]
実施例1において、エチレン・酢酸ビニル共重合体、パラフィンワックス及び高級脂肪酸を表2に示す割合に変更した以外は、実施例1と同様にして射出成形用窒化アルミニウム組成物を作製、射出成形、脱脂、焼成を行なった。実施例1と同様に評価した結果を表2に示す。比較例3及び5は、成形時離型の際に割れてしまい、成形体が取れなかったため、成形体及び焼結体での評価は行なえなかった。
Figure 2009179488
本発明によれば、表面積が広の薄肉の窒化アルミニウム基板や、複雑な形状の窒化アルミニウム焼結体(たとえば、LED用パッケージ、インクジェット用プリンタヘッド、放熱フィン、水冷ボックスなど)を、高い寸法精度で製造することができる。
図1は、実施例における保形性の測定方法を説明するための図である。

Claims (4)

  1. 下記条件(1)および(2)を満たす窒化アルミニウム粉末100重量部、エチレン・酢酸ビニル共重合体3〜15重量部、ワックス3〜12重量部、および高級脂肪酸0.5〜5重量部を含有することを特徴とする射出成形用窒化アルミニウム組成物;
    (1)D90/D10≦3.5
    (2)D50≦1.0μm
    〔D90は、窒化アルミニウム粒子の粒度分布における累積体積%が90%のときの粒子径であり、D10は、窒化アルミニウム粒子の粒度分布における累積体積%が10%のときの粒子径であり、D50は、窒化アルミニウム粒子の粒度分布における累積体積%が50%のときの粒子径である。〕。
  2. 120℃におけるメルトフローレイト(JIS K 7210、2.16kg荷重)が20〜100g/10分である請求項1記載の射出成形用窒化アルミニウム組成物。
  3. 請求項1または2に記載の射出成形用窒化アルミニウム組成物から得られた窒化アルミニウム焼結体。
  4. 請求項1または2に記載の射出成形用窒化アルミニウム組成物を用いて射出成形体を作製し、該射出成形体を脱脂し、次いで焼成することを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
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