JP2002300852A - 養魚飼料用粘結剤とこれを用いた養魚飼料及び餌料 - Google Patents

養魚飼料用粘結剤とこれを用いた養魚飼料及び餌料

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JP2002300852A
JP2002300852A JP2001107925A JP2001107925A JP2002300852A JP 2002300852 A JP2002300852 A JP 2002300852A JP 2001107925 A JP2001107925 A JP 2001107925A JP 2001107925 A JP2001107925 A JP 2001107925A JP 2002300852 A JP2002300852 A JP 2002300852A
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Katsuhiro Nakaguchi
勝博 中口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 配合飼料中の粘結剤の添加量を低減しても、
粘結性、保形性、海水保形性等を維持・向上させること
ができ、養魚餌料を給餌する際の崩壊による海面汚染
(濁り)や餌料の散逸(散り)を抑制・低減できる養魚
餌料の提供。 【解決手段】 高粘度低エーテル化度のカルボキシメチ
ルセルロース又はその塩(A)と低粘度高エーテル化度
のカルボキシメチルセルロース又はその塩(B)とを含
有する養魚飼料用粘結剤、及び飼料(C)に、該養魚飼
料用粘結剤を配合してなる養魚飼料、及び飼料(C)
に、該養魚飼料用粘結剤、油脂成分(D)、生餌(E)
及び水を配合した後、造粒してなる養魚餌料にて提供。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、養殖等において使
用する養魚飼料用粘結剤とこれを用いた養魚飼料及び養
魚餌料、さらに詳しくは、配合飼料中の粘結剤の添加量
を低減しても、養魚餌料の粘結性、保形性、海水保形性
を維持・向上でき、しかも海面汚染や餌料の散逸を抑制
・低減できる養魚飼料用粘結剤、さらにはこれら粘結剤
を用いた養魚飼料や養魚餌料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、我が国の漁業は、国際的な協定
(国連海洋法条約)によって、漁業ができる水域が沿岸
から200海里に制約され、公海の遠洋漁業も他国と協
定(日ロ沖合漁業協定、日中新漁業協定等)しないとト
ラブルが起こる時代を迎え、魚業水域は著しく狭めら
れ、制限をうけている。また、漁業就業者も、高齢化、
他産業への流出等により減少している。このために、近
海、遠洋で獲れる漁獲量は、減少の一途をたどってい
る。一方、最近の健康志向により、魚介類がコレストロ
ールの含有量がすくなく、EPA(エコサペンタエン
酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)等の特殊不飽和脂
肪酸を多く含有し、血清コレステロール値を下げ高脂血
症や動脈硬化を防止し、高血圧、脳梗塞、脳溢血、くも
膜下出血、虚血性心疾患等を予防したり、癌細胞の発生
・進展を抑制する効果、頭がよくなり学習能力を高める
作用があるとも言われているので、魚介類の需要量は増
加しており、最近の回転寿司ブーム、和食回帰、グルメ
指向、人口構成の高齢化等が更に拍車をかけている。
【0003】こうした状況下、減少する漁獲量と増加す
る需要に対処するために、タイ、ハマチ、ヒラメ、ア
ジ、トラフグ、ギンザケ等の海面養殖による養魚が盛ん
になっている。しかし現在、海面養殖の餌料としては、
多獲魚であるイワシ、サバ、コウナゴ、サンマ、アミ、
エビ等の生魚及び冷凍魚等をミンチ、切断、丸の形状で
投与している為に、水溶性栄養成分の溶出が多く、か
つ、ミンチ等は水中での散逸・バラケが多い為、魚の補
食率が低くなり、魚場海の汚染、栄養の偏り、給餌の手
間、歩留り及び品質の低下等の問題がある。一方、魚
粉、油粕、穀類、糖類、栄養剤(ビタミン類、ミネラル
類)及び、その他の養魚用餌料用の粉末原料に粘結剤を
混合し、造粒機、押出切断機等により作ったドライペレ
ットがペレット状養魚飼料としてあるが、これは、コス
トが低く、保管中に変質がすくなく、給餌作業も機械化
でき、養魚場の汚染もイワシ、サバ、サンマ、アミ、エ
ビ等をミンチ、切断、丸の形状で投与した生餌より少な
い利点はあるが、ある種の海産魚に給餌した場合、海産
魚は海水を飲んでから過剰の体内の塩分を排出し、えら
からも水分を補給しているため、水分のないドライペレ
ットの使用は上記の生理作用を阻害し好ましくないこと
もある。またドライペレットは淡水魚用として開発され
たものであり、cpmタイプ(カリフォルニアペレット
ミル社)の造粒機で製造されているが、蒸気で供給する
程度の少ない水分しかない為、機械的な強力な加圧でペ
レット化しており、海産魚、特にヒラメ、ハマチ、トラ
フグ等の雑食性でない魚類が必要とする柔軟性を持った
ペレットは得られない。また、ドライペレットは給餌に
際し、極短時間で吸水崩壊し散逸するので、海面を汚染
する問題もある。
【0004】この様な経過から、生餌とドライペレット
の長所をいかし、欠点を成る可く少なくしたならば、更
に優れた養魚飼料ができると言う発想のもとに、水分を
多く含むモイストペレット状養魚用餌料(本発明では、
モイストペレットと呼称することもある。)が開発さ
れ、従来の生魚、ドライペレット等の上記した問題点を
改良できた他、魚の口の大きさに合わせてペレット径を
変更できるし、また魚の成長の割合に応じて生餌との配
合割合、或いはビタミンなどの栄養剤の配合割合を調整
することができる利点があるので、急速に普及してき
た。標準的なモイストペレット中の水分は、生餌中の水
分と配合飼料中の水分からくるものであり、生餌と配合
飼料の比率が等量の場合、約50重量%である。モイス
トペレットの養魚餌料は、魚粉、油粕、ビタミン類、ミ
ネラル類、穀類、成長促進剤、海草、海藻及び粘結剤を
混合した配合飼料と生餌を混練造粒して製造される。モ
イストペレットは、粘結剤の使用によりペレット状に造
粒されているため、生簀中での養魚餌料の散逸が防止で
き、餌料の効率が高まると共に、水溶性栄養分の溶出が
低減でき、海洋汚濁の防止、養殖魚の高品質化等に効果
がある。粘結剤としては従来よりカルボキシメチルセル
ロースナトリウム塩(CMC)、アルギン酸ナトリウ
ム、グァーガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウ
ム、ポリアクリル酸ナトリウム、α−澱粉等が主に使用
されている。
【0005】グァーガムは保水性は有しているが、保形
性が十分でなく、また天然物であるために品質が一定し
なく、腐敗しやすく水質汚染が著しい欠点がある。アル
ギン酸ナトリウムは天然物である為、産地によって成分
がことなり品質が不安定であるという問題点を有してい
る事と、ゲル生成機能を応用して造粒しているので、魚
の摂餌後の消化吸収に、やや疑問が提起されており、ポ
リアクリル酸ナトリウム等はカルシウム塩によるゲル化
作用で保形性は良くなるが、保水性が十分でなく、α−
澱粉は長時間練ったり、放置しておくと劣化し、その粘
結力や弾性が急激に低下してしまい、その結果、飼料の
水中への離散による汚染や、魚の摂餌効率の低下を招く
欠点があり、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩
(CMC)は保水性はよいが保形性にやや難点がある。
しかしながら、これらの粘結剤のうち、アルギン酸ナト
リウム、グァーガム、キサンタンガム、アルギン酸ナト
リウム、ポリアクリル酸ナトリウム、α−澱粉等は、コ
ストが高かったり、モイストペレットの養魚餌料用の粘
結剤として最も重要な性質である保水性が劣ったりする
ので、主流とはなりえず、カルボキシメチルセルロース
ナトリウム塩(CMC)は、天然素材であるセルロース
を用いた半合成の水溶性高分子であって、用途に応じて
エーテル置換度、分子量(水溶液粘度)、ゲル分率等を
自由に調整でき、工業的に大規模に製造されているので
他の粘結剤よりコスト競争力があり、天然素材であるか
ら安全であり食品添加剤として認可されており、モイス
トペレットの養魚餌料用の粘結剤として最も重要な性質
である保水性も、他の粘結剤よりすぐれているので、モ
イストペレットの養魚餌料用の粘結剤として最も多く使
用されている。
【0006】しかしながら、モイストペレット養魚餌料
の粘結剤としてこれまで使用されてきたカルボキシメチ
ルセルロースナトリウム塩(CMC)は、保水性は十分
であったが、粘結性、水中での保形性において、より優
れた機能を持つことが望まれている。その理由は、配合
飼料中の粘結剤は生魚、魚粉、油粕、穀類、海草、海藻
等と比較し魚の胃袋・腸にて消化が悪く、消化が悪いと
糞詰まりの原因になるのではないかとの懸念もあり、ま
たコストダウンにも寄与するので、配合飼料中の粘結剤
の配合割合は低減することが望まれているからである。
しかしながら、配合飼料中の粘結剤の配合割合を低減す
ると、混練後の粘結性が不足し、造粒してペレット状と
した養魚餌料の保形性が低く崩壊し易くなって、生簀中
に給餌する際に、「濁り」や「散り」が起こり、海面汚染や
餌料の散逸を生じる問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、こう
した従来の配合飼料中の粘結剤の問題点に鑑み、粘結剤
の添加量を低減しても、養魚餌料の粘結性、保形性、海
水保形性を維持・向上でき、しかも海面汚染や餌料の散
逸を抑制・低減できる優れた性能の養魚飼料用粘結剤、
さらにはこれら粘結剤を用いた養魚飼料や養魚餌料を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究の
結果、特定の物性を有するカルボキシメチルセルロース
又はその塩を2種併用して用いることにより、配合飼料
中の粘結剤の添加量を低減しても、粘結性、保形性、海
水保形性等を維持・向上できることを見出し、本発明を
完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明の第1の発明によれば、
高粘度低エーテル化度のカルボキシメチルセルロース又
はその塩(A)と低粘度高エーテル化度のカルボキシメ
チルセルロース又はその塩(B)を少なくとも含有する
ことを特徴とする養魚飼料用粘結剤が提供される。
【0010】また、本発明の第2の発明によれば、第1
の発明において、高粘度低エーテル化度のカルボキシメ
チルセルロース又はその塩(A)は、平均エーテル化度
が0.5〜1.0モル/C6で、1%水溶液粘度が90
00〜13000amPa・sであり、一方、低粘度高
エーテル化度のカルボキシメチルセルロース又はその塩
(B)は、平均エーテル化度が1.0〜1.5モル/C
6で、1%水溶液粘度が1500〜4500amPa・
sであることを特徴とする養魚飼料用粘結剤が提供され
る。
【0011】また、本発明の第3の発明によれば、第1
又は第2のいずれかの発明において、高粘度低エーテル
化度のカルボキシメチルセルロース又はその塩(A)
と、低粘度高エーテル化度のカルボキシメチルセルロー
ス又はその塩(B)との混合比は、重量比で9:1〜
7:3であることを特徴とする養魚飼料が提供される。
【0012】また、本発明の第4の発明によれば、飼料
(C)に、第1〜3のいずれかの発明に記載の養魚飼料
用粘結剤を配合してなるを特徴とする養魚飼料が提供さ
れる。
【0013】さらに、本発明の第5の発明によれば、飼
料(C)に、第1〜3のいずれかの発明に記載の養魚飼
料用粘結剤、油脂成分(D)、生餌(E)及び水を配合
した後、造粒してなることを特徴とする養魚餌料が提供
される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】1.高粘度低エーテル化度のカルボキシメ
チルセルロース又はその塩(A) 本発明において、養魚飼料用粘結剤の1成分として使用
する、高粘度低エーテル化度のカルボキシメチルセルロ
ース又はその塩(A)は、高吸水性と機械的強度が強い
特性を生かして、魚粉、油粕、ビタミン類、ミネラル
類、穀類、成長促進剤、海草、海藻、生餌等相互の粘結
を担うものである。こうしたカルボキシメチルセルロー
ス又はその塩(A)は、特に限定されないが、通常は、
平均エーテル化度が0.5〜1.0モル/C6で、1%
水溶液粘度が9000〜13000amPa・s、好ま
しくは10000〜12000amPa・sのものが用
いられる。(A)の平均エーテル化度が0.5モル/C
6未満であると、カルボキシメチルセルロース又はその
塩(A)の水に対する溶解性が低下し、養魚餌料の製造
時の配合飼料に対する粘結性が不十分となり、養魚飼料
が水中で崩壊しバラけて養魚場の海水を汚染し望ましく
ない。また、(A)の平均エーテル化度が1.0モル/
C6を超えると、1%水溶液粘度が9000〜1300
0amPa・sの高粘度低エーテル化度のカルボキシメ
チルセルロース又はその塩(A)の製造は安定的に行え
ず、品質的にも、コスト的にも問題があり望ましくな
い。
【0016】なお、本発明において「平均エーテル化度
(DSと呼称することもある。)」とは、セルロースの
1つのC6(無水グルコース単位)に、カルボキシメチ
ル基がエーテル結合でもってグルコースの水酸基を何個
置換しているかを示す平均置換度を意味する。
【0017】高粘度低エーテル化度のカルボキシメチル
セルロース又はその塩(A)の1%水溶液粘度が900
0amPa・s未満であると、養魚飼料用粘結剤を使用
した養魚餌料の製造時の配合飼料に対する粘結性が低下
し、吸水性もわるくなり、特にモイストペレットの製造
および品質に問題を生じ、13000amPa・sを超
えるものは、製造上安定して得られなく、また養魚飼料
用粘結剤を使用した養魚餌料の製造時の押出性や造粒性
が低下し易すく養魚飼料ペレットの切口がわるくなり、
「濁り」や「散り」がおこり、養魚場の海水を汚染し望
ましくない。
【0018】2.低粘度高エーテル化度のカルボキシメ
チルセルロース又はその塩(B) 本発明において、養魚飼料用粘結剤の他の1成分として
使用する、低粘度高エーテル化度のカルボキシメチルセ
ルロース又はその塩(B)は、(B)の水に対する溶解
性と接着力・結合力が強い特性を生かして、魚粉、油
粕、ビタミン類、ミネラル類、穀類、成長促進剤、海
草、海藻、生餌等相互の粘結を担うものである。
【0019】こうしたカルボキシメチルセルロース又は
その塩(B)は、特に限定されないが、通常は、平均エ
ーテル化度が1.0〜1.5モル/C6で、1%水溶液
粘度が1500〜4500amPa・s、好ましくは2
000〜4000amPa・sのものが用いられる。
(B)の平均エーテル化度が1.0モル/C6未満であ
ると、カルボキシメチルセルロース又はその塩(B)の
水に対する溶解性が低下し、養魚餌料の製造時の配合飼
料に対する接着力・粘結性が不十分となり、養魚飼料が
水中で崩壊しバラけて養魚場の海水を汚染し望ましくな
い。また、(B)の平均エーテル化度が1.5モル/C
6を超えると、粘着力が強すぎ養魚飼料ペレット同士が
互いにくっつき塊状化し、給餌作業が困難になりのぞま
しくなく、また(B)の平均エーテル化度が1.5モル
/C6を超えるものは、製造が困難であり、強いて製造
すると、高価なモノクロール酢酸の付加率が低下しコス
ト高となり望ましくない。
【0020】低粘度高エーテル化度のカルボキシメチル
セルロース又はその塩(B)の1%水溶液粘度が150
0amPa・s未満であると、養魚飼料用粘結剤を使用
した養魚餌料の製造時の配合飼料に対する粘結性が低下
し、吸水性もわるくなり、特に養魚飼料用ペレットが養
魚場の海水中でバラけ、海水を汚染し望ましくない。ま
た、養魚飼料用ペレット同士がベタ付き給餌作業に支障
をきたす。一方、低粘度高エーテル化度のカルボキシメ
チルセルロース又はその塩(B)の1%水溶液粘度が、
4500amPa・sを超えるものは、製造上安定的し
て得られない。
【0021】3.カルボキシメチルセルロース又はその
塩(A)とカルボキシメチルセルロース又はその塩
(B)との配合比 本発明で使用する2種のカルボキシメチルセルロース又
はその塩(高粘度低エーテル化度のカルボキシメチルセ
ルロース又はその塩(A)と低粘度高エーテル化度のカ
ルボキシメチルセルロース又はその塩(B))は、9:
1〜7:3の重量比を併用する必要がある。併用比が
9:1未満であると、養魚餌料の切口が悪くなり、給餌
する際に「濁り」や「散り」が起こり、海面汚染や餌料の散
逸を生じる。併用比が7:3を超えると、養魚餌料が柔
らかくなりベタ付き、養魚餌料同士が密着する現象が起
き易い。
【0022】4.塩の種類 本発明で使用するカルボキシメチルセルロースの塩は、
特に限定されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等
のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。こ
れらの塩の混合物であってもよい。カルボキシメチルセ
ルロースとしては、通常、ナトリウム塩が使用される。
【0023】5.飼料(C) 本発明において、飼料(C)とは、養魚飼料用粘結剤と
配合して養魚餌料を製造するための原料の1つである。
養魚飼料は、少なくとも本発明の養魚飼料用粘結剤、及
び飼料を含有していれば良いが、他の成分として養魚餌
料を製造するための油脂成分や水、さらには本発明の作
用を阻害しない範囲で種々の添加剤等を含有していても
良い。
【0024】上記飼料飼料(C)としては、通常一般に
養魚飼料に使用されている飼料を使用でき、動物性飼
料、植物性飼料等が挙げられる。これらは1種を単独で
使用しても良いが、好ましくは、動物性飼料や植物性飼
料等を複数種配合し、必要に応じて栄養剤を配合した配
合飼料を用いるのが好ましい。動物性飼料原料として
は、魚粉、肉粉、骨肉、ホワイトフィッシュミール、オ
キアミミール、イカミール、フェザーミール等が挙げら
れる。植物性飼料原料としては、油粕類、穀類、糠類、
製造粕類等が挙げられる。栄養剤としては、ビタミン類
としてビタミンB1 、ビタミンB2 、ビタミンB6 、ビ
タミンB12、ビタミンC、ナイアシン、イノシトール、
パラアミノ安息香酸等が、ミネラル類としてりん、カル
シウム、カリウム、ナトリウム等が要求に応じて配合さ
れる。
【0025】6.油脂成分(D) 本発明においては油脂原料としては、カロリー源であ
り、タラ肝油、スケソウタラ肝油、イワシ油、牛脂、豚
脂、大豆油、綿実油等が挙げられ、その添加量は対象と
する魚種、体長、季節により任意に決定されるが、一般
には配合飼料に対して10〜50重量%添加すれば充分
である。これらは1種を単独で使用しても、2種以上を
併用しても良い。
【0026】7.生餌(E) 本発明において、生餌(F)とは多獲魚であるイワシ、
サバ、コウナゴ、サンマ、アミ、エビ等の生魚及び冷凍
魚等をミンチ、切断、丸の形状にしたものである。
【0027】8.水 本発明においては、水は水道水でよい。海水は、海水中
の塩分の影響で粘結剤の粘度が発現しないこともあるの
で、なるべく海水は使用しない方がよい。
【0028】9.養魚飼料用粘結剤 本発明において、養魚飼料用粘結剤とは、生餌用の多獲
魚であるイワシ、サバ、コウナゴ、サンマ、アミ、エビ
等の生魚及び冷凍魚等のミンチ、切断物、丸(小物でそ
のままのもの)等、魚粉、油粕、穀類、糖類、栄養剤
(ビタミン類、ミネラル類)、油脂、及び水などから選
択された原料をペレット成形機中で攪拌混合するとき、
微細に粉砕され原料同士を結合し、ペレット状養魚飼料
の粘結性、保形性、海水保形性等を維持・向上させるこ
とができ、養魚餌料を給餌する際の崩壊による海面汚染
(濁り)や餌料の散逸(散り)を抑制・低減する機能を
付与するものである。
【0029】本発明では、高粘度低エーテル化度のカル
ボキシメチルセルロース又はその塩(A)と低粘度高エ
ーテル化度のカルボキシメチルセルロース又はその塩
(B)を少なくとも含有することを特徴とする養魚飼料
用粘結剤が提供される。上記(A)と(B)は、高粘度
低エーテル化度のカルボキシメチルセルロース又はその
塩(A)は、平均エーテル化度が0.5〜1.0モル/
C6、かつ1%水溶液粘度が10000〜12000a
mPa・sであり、低粘度高エーテル化度のカルボキシ
メチルセルロース又はその塩(B)は、平均エーテル化
度が1.0〜1.5モル/C6、かつ1%水溶液粘度が
2000〜4000amPa・sであり、高粘度低高エ
ーテル化度のカルボキシメチルセルロース又はその塩
(A)と、低粘度高エーテル化度のカルボキシメチルセ
ルロース又はその塩(B)とを9:1〜7:3の重量比
で含有されているが、最も好ましい。高粘度低エーテル
化度のカルボキシメチルセルロース又はその塩(A)と
低粘度高エーテル化度のカルボキシメチルセルロース又
はその塩(B)は、それぞれ単独で使用しても、本発明
の優れた効果は発現しないが、相乗作用によって、それ
ぞれの長所だけがのこり、一方の短所は、他方が補って
くれたものと思われる。他の粘結性としては、アルギン
酸ナトリウム、グァーガム、キサンタンガム、アルギン
酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、α−澱粉等
から選択されたものを、本発明の養魚飼料用粘結剤の特
性を阻害しない範囲で配合してもよい。
【0030】10.養魚飼料 本発明において、本発明の養魚飼料用粘結剤、及び飼料
(C)を少なくとも含有することを特徴とする養魚飼料
とは、下記の様に各種のタイプがあり、本発明の養魚飼
料用粘結剤は、それらのいずれのタイプの養魚飼料の粘
結剤として使用することができるが、特にモイストペレ
ット状養魚用餌料に好適に使用される。
【0031】10−1.ドライペレット状養魚飼料 魚粉、油粕、穀類、糖類、栄養剤(ビタミン類、ミネラ
ル類)及び、その他の養魚用餌料用の粉末原料に粘結剤
を混合し、造粒機、押出切断機等により作った水分を数
%しか含有しない(原料や粘結剤の微量の水分は存在す
る。)ペレット状養魚飼料である。魚粉、油粕、穀類、
糖類、栄養剤(ビタミン類、ミネラル類)及び、その他
の養魚用餌料用の粉末原料に、馬鈴薯澱粉或いはα澱粉
等を添加した配合飼料に、カルボキシメチルセルロー
ス、海藻粉末及びグルテン加水分解物の三者を混合した
ものを添加する事により、一軸或いは二軸エクストルー
ダーを使用して成型するタイプの油脂多量添加ドライペ
レットもある。
【0032】10−2.モイストペレット状養魚用餌料 モイストペレットの養魚餌料は、魚粉、油粕、ビタミン
類、ミネラル類、穀類、成長促進剤、海草、海藻及び粘
結剤を混合した配合飼料と生餌を混練造粒して製造され
る。
【0033】10−3.シングルモイストペレット状養
魚用餌料 近年、生餌用の多獲魚であるイワシ、サバ、コウナゴ、
サンマ、アミ、エビ等の生魚及び冷凍魚等の入手が、乱
獲、気象異変、価格高騰等のため困難になってきてい
る。これまで生餌と魚粉、油粕、穀類、糖類、栄養剤
(ビタミン類、ミネラル類)及び、その他の養魚用餌料
用の粉末原料との比率は等量当たりが基準であったが、
上記原料の比率を高くするか、場合によっては、生餌を
全く使用出来ないこともある。このような事情から生餌
を全く使用せず上記原料と油脂原料および水とから成る
“シングルモイストペレット”が開発されている。この
シングルモイストペレットは、生餌を使用せず魚粉、油
粕、穀類、糖類、栄養剤(ビタミン類、ミネラル類)及
び、その他の養魚用餌料用の粉末原料、粘結剤、油脂原
料、及び水とから成り、通常のモイストペレットと同様
のペレット機で製造される。一般にシングルモイストペ
レットは上記原料100重量部、油脂原料3〜50重量
部および水10〜100重量部から構成されている。
【0034】11.その他の添加剤 本発明においては、その他の添加剤としては、通常一般
に養魚飼料に使用されている添加剤を使用でき、例え
ば、保存料、酸化防止剤、防かび剤、甘味料、香料等が
挙げられる。これらは1種を単独で使用しても、2種以
上を併用しても良い。
【0035】12.各成分の配合割合 本発明の養魚飼料用粘結剤及び飼料を少なくとも含有す
る養魚飼料における各成分の配合割合は特に限定されな
い。
【0036】13.養魚餌料の製造方法 本発明の養魚飼料用粘結剤は、養魚餌料を製造する際に
使用する粘結剤として使用する。養魚餌料の製造方法
は、本発明の養魚飼料用粘結剤を配合すれば特に限定さ
れず、通常一般の養魚餌料の製造方法と同様に行うこと
ができる。上記養魚餌料の製造に際しては、従来一般に
使用される混練や造粒の機能を有する製造装置を使用で
きる。
【0037】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を用いて本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定
されるものではない。
【0038】[試験例]
【0039】1.試験方法 (1)硬さ、ベタ付、切口 造粒直後の養魚餌料の状態を、目視・感触による官能評
価により行った。尚、評価基準は下記の通りである。 ◎:優良 ○:良 △:やや良 ▲:やや不良 ×:不良
【0040】(2)濁度 実施例1〜3、比較例1〜4の養魚餌料5個を、合成海
水(200ml)中に設置した金網(60mesh)上
に投入し、マグネチックスターラーを用いて合成海水を
10分間攪拌した。その後、金網ごと養魚餌料を除去し
て、合成海水を300meshの金網で濾過し、濾液の
濁度を濁度計(日本電色工業(株)製、Water A
nalyzer−2000)を用いて測定した。尚、濾
液の濁度が低いほど、保形性に優れることを示す。
【0041】(3)海水保形性 上記試験(2)において10分間攪拌した合成海水中の
養魚餌料の保形状態を、目視・感触による官能評価によ
り行った。尚、評価基準は下記の通りである。 ◎:保形性優良 ○:保形性良 △:保形性やや良 ▲:保形性やや不良 ×:保形性不良
【0042】2.試験結果 表1に上記試験結果を示す。表1から明らかなように、
実施例の養魚餌料は、硬さ、ベタ付、切口、濁度及び海
水中保形性が、比較例より優れている。
【0043】実施例1〜3、比較例1〜4 表1に示す組成の養魚飼料用粘結剤を使用し、下記の組
成の配合飼料と表1に示す配合となるように配合して養
魚飼料とした。さらに養魚飼料50重量部に生餌(鰯ミ
ンチ)50重量部を添加して20分間混練し、モイスト
ペレッター試験機((株)サンコーテクノ製)により造
粒して(直径9mm)の円筒形の養魚餌料を作成した。 [配合飼料組成]魚粉(60重量%)、大豆粕(20重
量%)、小麦粉(8重量%)、米糠(8重量%)コーン
グルテンミール(3重量%)、第一燐酸カルシウム(1
重量%)(合計100重量%)
【0044】
【発明の効果】本発明の養魚飼料用粘結剤は、特定の物
性を有するカルボキシメチルセルロース又はその塩を2
種併用して用いることにより、配合飼料中の粘結剤の添
加量を低減しても、粘結性、保形性、海水保形性等を維
持・向上させることができ、養魚餌料を給餌する際の崩
壊による海面汚染(濁り)や餌料の散逸(散り)を抑制
・低減できる。
【0045】
【表1】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高粘度低エーテル化度のカルボキシメチ
    ルセルロース又はその塩(A)と、低粘度高エーテル化
    度のカルボキシメチルセルロース又はその塩(B)とを
    含有することを特徴とする養魚飼料用粘結剤。
  2. 【請求項2】 高粘度低エーテル化度のカルボキシメチ
    ルセルロース又はその塩(A)は、平均エーテル化度が
    0.5〜1.0モル/C6で、1%水溶液粘度が900
    0〜13000amPa・sであり、一方、低粘度高エ
    ーテル化度のカルボキシメチルセルロース又はその塩
    (B)は、平均エーテル化度が1.0〜1.5モル/C
    6で、1%水溶液粘度が1500〜4500amPa・
    sであることを特徴とする請求項1に記載の養魚飼料用
    粘結剤。
  3. 【請求項3】 高粘度低エーテル化度のカルボキシメチ
    ルセルロース又はその塩(A)と、低粘度高エーテル化
    度のカルボキシメチルセルロース又はその塩(B)との
    混合比は、重量比で9:1〜7:3であることを特徴と
    する請求項1又は2に記載の養魚飼料用粘結剤。
  4. 【請求項4】 飼料(C)に、請求項1〜3のいずれか
    1項に記載の養魚飼料用粘結剤を配合してなるを特徴と
    する養魚飼料。
  5. 【請求項5】 飼料(C)に、請求項1〜3のいずれか
    1項に記載の養魚飼料用粘結剤、油脂成分(D)、生餌
    (E)及び水を配合した後、造粒してなることを特徴と
    する養魚餌料。
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