JP2002294412A - プレス成形型フラットマスク用Fe−Ni系合金薄帯 - Google Patents

プレス成形型フラットマスク用Fe−Ni系合金薄帯

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JP2002294412A JP2001099104A JP2001099104A JP2002294412A JP 2002294412 A JP2002294412 A JP 2002294412A JP 2001099104 A JP2001099104 A JP 2001099104A JP 2001099104 A JP2001099104 A JP 2001099104A JP 2002294412 A JP2002294412 A JP 2002294412A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】フラットブラウン管用に使用可能なプレス成形
型シャドウマスクを安価に供給するため、耐落下衝撃変
形性を向上すべくプレス軟化焼鈍後のヤング率を増大さ
せ、湾曲タイプのシャドウマスクに使用されているFe
−Ni系合金薄帯を開発する。 【解決手段】 Ni:33〜37質量%、Nb及びTiを1種又は2
種の合計で0.05〜0.5%含有し、Mn:0.01〜0.1%を含有
し、残部Fe及び不可避的不純物から成り、不可避的不
純物のうち、C:0.0020〜0.0070%、Si:0.001〜0.030%、
N:0.0005〜0.0050%、S:0.0015%以下である板厚が0.05m
m以上0.3mm以下のFe-Ni系合金薄帯であって、こ
の冷間圧延薄帯を700℃以上の温度で焼鈍した後の板厚
5%以上を表面から除去した面の(200)面X線回折強度
構成比率α(200)を式1で表すと、α(200)が75%以下で
あり、軟化焼鈍後のヤング率を向上させたプレス成形型
フラットマスク用Fe-Ni系合金薄帯。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シャドウマスクの
電子線透過部分の形状を完全フラットになるようにプレ
スしたとしても、ブラウン管に組み込んだ状態での落下
衝撃による耐変形性に優れ、かつドーミングが生じない
低熱膨張を維持できるフラットマスク用合金薄帯に関す
るもので、特には結晶方位を制御することにより、耐落
下衝撃変形性の指標となるヤング率を向上させ、かつ低
熱膨張性を維持した上記フラットマスク用Fe−Ni系
合金薄帯に関する。
【0002】
【従来の技術】カラーブラウン管では、電子銃から打ち
出した電子ビームをガラスパネルの内側の蛍光体に当て
ることで画面を表示する。電子ビームの方向を磁力によ
り制御するのが偏向ヨークである。ガラスパネルの手前
には、電子ビームを所定の蛍光体に当たるように画素単
位に区切る機構が設けられており、マスクあるいは色選
別機構と呼ばれている。カラーブラウン管用のマスク
は、マスク素材をドット状若しくはスロット状にエッチ
ング加工した後プレス成形するシャドウマスク方式と、
すだれ状にエッチング後枠材に上下に強い引張り力をか
けて張り渡して架張するアパーチャグリル方式に大別さ
れる。それぞれの方式は一長一短があり、どちらの方式
も市場で用いられている。
【0003】ところで、表示画面を平坦にするフラット
画面の開発に向けて多くの試みが試されてきた。ここ
で、フラット画面とは、従来の球面表示画面がほぼ完全
に近い平面形態を有するものである。ブラウン管の画面
を平坦にしようとするとき大きな問題の一つになるの
は、シャドウマスクやアパーチャグリルをどのようにし
て平坦に近づけるかである。それぞれに難題を抱えてい
るが、プレスによりシャドウマスクの表面を平坦に近づ
けることは、アパーチャグリルのような架張方式のもの
よりも基本的に難しいとされている(例えば〔NIKKEI EC
TRONICS〕1999.7.26(No.748)128頁)。
【0004】これは、シャドウマスクは金属シートをプ
レス成形して製造するため、架張方式と違って、自己保
形カにより形状を維持する必要があり、基本的には、球
状でないと形状維持ができないためである。一方、フラ
ットマスクは、マスクをほとんど平坦にするため、形状
維持が困難である。これを解決するには、マスクの強度
を上げるしか方法がない。ここで云う「マスク強度」と
は、一般の金属の強度(例えば引張試験による強度)の意
味とは違い、ブラウン管組み立て後、ブラウン管全体に
衝撃を与え、マスクの変形が起きるかどうかである。具
体的には、ブラウン管を一定高さから落下させ、マスク
が変形するかどうかを試験する。このような衝撃変形に
対し強い、すなわち耐落下衝撃変形性を向上させたマス
クの開発が、フラット管には必要とされる。
【0005】そしてまた、フラット管には、優れたドー
ミング特性が要求される。つまり、マスクが球面からフ
ラットになるに従い、マスクの4隅での電子銃から放出
された電子ビームの入射角が鋭角となる。つまり、これ
は、マスクが熱膨張により僅かにずれるだけで、電子ビ
ームがミスランディングし、色ずれ害の問題が発生する
ことを意味する。これにより、熱膨張が従来のマスクよ
り格段に低い低膨張マスクの開発が必要となる。
【0006】フラットマスクを対象にしたものではない
が、熱膨張特性や耐衝撃性を改善する試みとして、特許
第2723718号(権利者:ヤマハ株式会社)では、2〜7
%のCoを含むFe−Ni−Co系合金(Super Inva
r)をシャドウマスクにすることで熱膨張係数を低下す
ることが提案されている。しかしながら、Coを2〜7
%含有させると高価格となるのに加えて、プレス前に軟
化焼鈍を行った後の引張強さ、特にヤング率はマスクを
フラットにした場合の落下衝撃に耐えるには十分満足で
きるものではなかった。また、特許第1854642号(権利
者:日鉱金属株式会社)では、Niが34〜38%のFe−
Ni系合金にTi、Zr、B、Mo、Nb、N、P、C
uのうち1種又は2種以上を合計で0.01〜1.0%
含ませることで、組み立て時の衝撃で座屈が起きるのを
防ぐことが提案されているが、熱膨張係数が10×10
−7/℃を超えており、マスクをフラットにした場合の
色ズレ抑制の点では満足できるものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一般的にシャドウマス
クに使用されるFe−Ni系合金は、Niを36%含む
ものが使用されている。それはこの組成がシャドウマス
クの使用環境である室温から100℃の範囲での熱膨張
係数が最も小さくなるからである。この合金にNb等の
強度を向上させるための元素を添加すると熱膨張係数は
大きくなることから大量に添加することは好ましくな
い。また、添加によって原料費の増加を伴ってしまう。
Fe−32%Ni−5%Co合金をベースにすることで
熱膨張係数を抑えることは可能であるが、Coと添加元
素ことによって高価な材料になってしまう。
【0008】本発明の課題は、フラットブラウン管用に
使用可能なプレス成形型シャドウマスクを安価に供給す
るため、ごく少量の添加元素によって耐落下衝撃変形性
を向上すべくプレス軟化焼鈍後のヤング率を増大させ、
平面タイプのシャドウマスクに使用されているFe−N
i系合金薄帯を開発することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、ヤング率の
改善効果が知られているNb、Ti、Hf等の元素を利
用してできるだけ少量の添加でヤング率を大きくする方
法を鋭意調査研究した。その結果、シャドウマスクにプ
レス成形前軟化焼鈍後のヤング率が、圧延薄帯を軟化焼
鈍した後の板厚内部の結晶方位で大きく変わることを見
出した。
【0010】具体的には、上記元素を添加したFe−N
i系合金を、加工度を変化させた数種類の冷間圧延薄帯
に加工して800℃焼鈍後のヤング率を調べた。その結
果、Nb又はTiを含有させ、特定の範囲の加工度で冷
間圧延した場合にヤング率が大きくなることを見出し
た。詳細に調べた結果、ヤング率は軟化焼鈍後の薄帯を
表面から5μm以上除去した面で測定した(200)面X
線回折強度構成比率と強い相関を持ち、(200)面X線
回折強度比率が75%を超えるとヤング率が急激に減少
し、75%以下では、(200)面X線回折強度比率の減
少とともにヤング率がわずかに増加することがわかっ
た。なお、軟化焼鈍後の表面から5μm以上を除去した
板厚内部における(200)面X線回折強度比率は薄帯の
それで殆ど決定されることがわかった。
【0011】そして、薄帯を焼鈍軟化した後の板厚中央
部の(200)面X線回折強度比率を制御するには、最終
冷間圧延前の焼鈍で材料が800℃以上の温度で5秒間
以上保持されることが重要であることがわかった。これ
は、Nb又はTiとの濃度積との炭化物、窒化物、、硼
化物が焼鈍である程度解離して再固溶し、焼鈍後の冷却
過程で微細に再析出する事によるものと考えている。こ
の様にして最終焼鈍を行った後に30〜65%の冷間圧
延を行うことにより冷間圧延薄帯を軟化焼鈍した後の板
厚中央部の(200)面X線回折強度比率を所望の範囲に
することができ、本発明を完成するに至った。
【0012】かくして、本発明は、 (1)質量百分率(%)に基づいてNi:33〜37質量%、N
b及びTiを1種又は2種の合計で0.05〜0.5%含有し、更
にMn:0.01〜0.1%を含有し、残部Fe及び不可避的不純
物から成り、不可避的不純物のうち、C:0.0020〜0.0070
%、Si:0.001〜0.030%、N:0.0005〜0.0050%、S:0.0015%
以下である板厚が0.05mm以上0.3mm以下のF
e−Ni系合金薄帯であって、この薄帯を700℃以上
の温度で焼鈍した後の板厚5%以上を表面から除去した
面の(200)面X線回折強度構成比率α(200)を式
で表すと、α(200)が75%以下であり、軟化焼鈍
後のヤング率を向上させたことを特徴とするプレス成形
型フラットマスク用Fe−Ni系合金薄帯。
【0013】
【数3】
【0014】(2) 冷間圧延薄帯の板厚の5%以上を
表面から除去した面の(200)面X線回折強度構成比率β
(200)を式で表すと、β(200)が25%〜7
5%であり、軟化焼鈍後のヤング率を向上させた上記
(1)記載のプレス成形型フラットマスク用Fe−Ni
系合金薄帯。
【0015】
【数4】
【0016】(3) 最終冷間圧延前に薄帯の温度が5
秒間以上800℃以上になるように、かつ結晶粒径をJ
IS G 0551に規定のオーステナイト結晶粒度番
号で8.0以上の細粒になるように再結晶焼鈍し、最終
冷間圧延を30%〜65%の加工度で行うことにより、
軟化焼鈍後のヤング率を向上させた上記(1)〜(2)
記載のプレス成形型フラットマスク用Fe−Ni系合金
薄帯。
【0017】(4) 最終冷間圧延後に歪取り焼鈍を行
う上記(1)〜(3)記載のプレス成形型フラットマス
ク用Fe−Ni系合金薄帯。に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の基本は、プレス前に行う
軟化焼鈍後のヤング率を板厚内部の(200)面X線回折強
度構成比率を制御するすることで、強度上昇元素の添加
を極力抑えることにあり、C,N含有量を規制すること
が有効に働く。なお、製造方法としては最終圧延の加工
度とともに、その圧延前の焼鈍での材料温度と焼鈍後の
結晶粒径が重要になる。以下に本発明に関する成分元素
及び結晶方位並びに製造条件の限定理由を述べる。
【0019】Ni:Niは、プレス加工成形性、熱膨張
を増大させる等の有害なマルテンサイト組織を発生させ
ず、低熱膨張を達成するため、33〜37%、好ましく
は34〜36%の範囲とする。 Nb、Ti:熱膨張を上昇させずに希望する高耐力を得
ることができ、更にはヤング率を向上させる元素として
添加する。0.01%未満では、その効果がなく、他方
0.8%を超えるとエッチング性の低下及び熱膨張の上
昇をもたらす。単独で0.01%〜0.8%の範囲とす
ることが必要であるのみならず、それらの合計含有量が
0.01%〜0.8%の範囲とすることが必要である。 Mn:Mnは、溶湯への脱酸剤として添加されるが、そ
の添加により熱膨張係数を増大させるため、30〜10
0℃の平均熱膨張係数が12×10-7/℃以下を達成す
るためには、0.001〜0.1%とし、好ましくは
0.001〜0.05%とすることが必要とされる。 Si:Siは溶湯への脱酸効果があるが、0.02%を
超えるとエッチング性を大きく劣化させるので、0.0
2%以下とする。 C:Cは溶解原料や副原料及び溶解炉材から不可避的不
純物として入る。CはNb又はTiと炭化物を形成して
所望の結晶方位に制御するのに有効に働く。その効果
は、0.0020%以上で発現する。しかしながら、Cが0.007
0%を超えると炭化物を過剰に形成してエッチング穿孔性
を劣化させる。従って、0.0020%〜0.0070%、好ましくは
0.0020%〜0.0050%とする。
【0020】N:Nは主に溶解雰囲気からの汚染による
不可避的不純物として入る。NはNb又はTiと窒化物
を形成して所望の結晶方位に制御するのに有効に働く。
その効果は、0.0005%以上で発現する。しかしながら、
Nが0.0050%を超えると窒化物を過剰に形成してエッチ
ング穿孔性を劣化させるとともに焼鈍軟化温度が高くな
ってプレス成形性が劣化する。従って、0.0005%〜0.005
0%、好ましくは0.0005%〜0.0030%とする。
【0021】S:Sは溶解原料や副原料及び溶解炉材か
ら不可避的不純物として入る。Mn含有量が少ないFe
−Ni系合金においては、Sを含有する場合に熱間割れ
が起きやすくなる。熱間加工性を確保するために、0.00
15%以下、好ましくは0.0010%未満とする。
【0022】シャドウマスク素材は、所要の組成の合金
材料を例えば真空誘導溶解炉(VIM炉)で溶製後、インゴ
ットに鋳造し、鍛造後、熱間圧延および冷間圧延し、そ
の後光輝焼鈍と冷間圧延を繰り返し、最後に0.05〜
0.30mm範囲の所定の厚みにまでダル加工した圧延ロ
ールによる最終冷間圧延が施される。エッチング加工に
より製造される各種のシャドウマスク材の板厚は0.0
5〜0.30mmが一般的であり、特にプレス成形型の
フラットマスクには板厚0.1〜0.13mmの材料が
使用されている。その後、スリットして所定の板幅とし
てシャドウマスク素材を得る。シャドウマスク素材は、
脱脂後、フォトレジストを両面に塗布してパターンを焼
き付けて現像後、エッチング穿孔加工され、個々に切断
されシャドウマスク素材ユニットとなる。
【0023】シャドウマスク素材ユニットは、非酸化性
雰囲気、例えば還元性雰囲気中で700℃以上で焼鈍
(例えば、水素中、900℃にて30分間)されてプレス成形
性を付与される。プレアニール法では、上記の焼鈍がエ
ッチング前に最終冷間圧延材に対して行われる。レベラ
ー加工を経た後、プレスによりフラットマスク形態に成
形される。
【0024】そして最後に、プレス成形されたフラット
マスクは、脱脂後、大気またはCO/CO2ガス雰囲気中で黒
化処理を施されて表面に黒色酸化膜を形成する。本発明
のプレス成形型「フラットマスク」は、例えば、外面曲
率半径R:100,000mm以上そして平面度:画面曲面部の最大
高さ/有効画面対角寸法=0.1%以下のほぼ完全に近い平
面形態を有するものである。
【0025】本発明のプレス成形型フラットマスクは、
30〜100℃にわたっての平均熱膨張係数を12x10-7/℃以
下に維持したまま、上記プレス成形性を付与するための
焼鈍後、ヤング率が120,000N/mm2以上であることを特徴
とする。ヤング率が120,000N/mm2以上であると、前記
したブラウン管落下試験で完全平面ブラウン管にしても
マスク変形は起きない。ヤング率を向上させるために
は、本発明で規定した成分を満たす冷間圧延薄帯を70
0℃以上の温度で軟化焼鈍した後の板厚5%以上を表面
から除去した面の(200)面X線回折強度構成比率α
(200)を式で表すと、α(200)が75%以下
であることを規定する。
【0026】
【数5】
【0027】ここで、軟化焼鈍とはマスク加工メーカー
が材料にプレス成形性を確保するために実施するもので
あり、一方、材料表面から5%以上を表面から除去する
のは、材料の表面加工層の影響を取り除いた状態での(2
00)面X線回折強度構成比率α(200)と材料のヤン
グ率の間に良い相関があることを本発明者が見出した事
による。例えば、図1によればα(200)が75%以
下であれば、ヤング率は、 120,000N/mm2以上となり、
好ましいものが得られる。
【0028】薄帯の板厚の5%以上を表面から除去した
面の(200)面X線回折強度構成比率β(200)を式
で表すと、β(200)が25%〜75%であることを
規定する。α(200)とβ(200)の関係を示す図
2からもα(200)が75%以下の範囲であるのは、
β(200)25%〜75%であり、この範囲が好まし
いことが把握される。
【0029】
【数6】
【0030】薄帯の材料表面から5%以上を表面から除
去するのは、軟化焼鈍材の場合と同様に材料の表面加工
層の影響を取り除いた状態での(200)面X線回折強度構
成比率β(200)と材料のヤング率の間に良い相関が
あることを本発明者が見出した事による。
【0031】これまでに示したように、ヤング率を向上
させたシャドウマスク材を製造するための具体的な製造
条件の範囲を述べる。最終冷間圧延前に薄帯の温度が5
秒間以上800℃以上になるように、かつ結晶粒径をJ
IS G 0551に規定のオーステナイト結晶粒度番
号で8.0以上の細粒になるように再結晶焼鈍を行い、
最終の冷間圧延を30%〜65%の加工度で行う。更に
好ましくは最終冷間圧延後に歪取り焼鈍を行う。これに
より軟化焼鈍後のヤング率を向上させたプレス成形型フ
ラットマスク用Fe−Ni系合金薄帯が製造できる。
【0032】本発明のプレス成形型フラットマスクは、
ヤング率:135,000N/mm2以上を実現することができ、さ
らにはヤング率:140,000N/mm2以上を実現することが可
能である。
【0033】
【実施例】表1に実施例および比較例として用いた合金
の組成を示す。
【0034】
【表1】
【0035】これら組成の合金を真空誘導溶解炉(VIM
炉)で溶製した。溶製後、鍛造および熱間圧延にて3m
m厚にした後、冷間圧延と光輝焼鈍を繰り返し、約0.12
mm厚の冷間圧延材とした。その後、スリットして所定の
板幅としたシャドウマスク素材を還元性雰囲気中で焼鈍
(900℃×30分水素中)してプレス成形性を付与した。
【0036】この焼鈍材及び圧延材より試料を採取し、
表裏面の板厚の5〜6%をエッチング除去した後、当該
合金の主要回折格子面である、(111)、(20
0)、(220)及び(311)面についてX線回折強
度を測定し、式1及び式2によってα(200)及びβ
(200)を求めた。また、この焼鈍後の材料に対し
て、「JIS R 1605」に従う曲げ共振法により室温でヤ
ング率を測定した。
【0037】この方法は、自由な曲げ振動をなし得るよ
うに駆動器側および検出器側つりさげ糸によりつるした
試験片にその上下面に発振器からの駆動力を加え、検出
器を通して最大の振幅を生じ且つ振動の節を測定して一
次共鳴振動数を決定し、一次共鳴振動数と試験片の質量
および寸法から所定の式に基づいて動的弾性率を算出す
るものである。さらに、30〜100℃の間の平均熱膨張係
数を測定すると共に、その表面に60℃で45ボーメの塩化
第2鉄水溶液を0.3MPaの圧力で1分間スプレーしてエッ
チング面の状態を観察した。これらの結果を表2に示
す。
【0038】
【表2】
【0039】本発明の試料No.1〜7は、熱膨張係数を
許容水準とされている(12×10-7/℃)を超えることな
く、目標とするヤング率が120,000N/mm2以上を充分に実
現し、特に試料No.1〜6は、ヤング率140,000N/mm2
上を実現した。合金No.1の焼鈍材の(200)面のX
線回折強度構成比率α(200)とヤング率の関係を図1
に示す。横軸に焼鈍材後の(200)面のX線回折強度
構成比率α(200)、縦軸にヤング率を示し、焼鈍の条
件は、800℃×30分間、水素ガス雰囲気中とした。
図1からα(200)が、75%以下であれば、ヤング
率は、 120,000N/mm2以上となり、好ましいものが得ら
れる。
【0040】試料No.4〜7は、不純物元素C,Si, S,Nが
それぞれ請求項1の規定水準を超えるために、エッチン
グ面の状態が良好でなく、微小な凹凸および異物のエッ
チング痕が観察されたが、使用上問題のない範囲あっ
た。
【0041】これに対して、試料No.8〜9は、Ni含
有量が規定範囲を外れたため、平均熱膨張係数が高い。
試料No.10は、Mn含有量が高いため平均熱膨張係数
が高い。試料No.11はNb,Taを添加しないため、ヤング
率が低く、強度特性に非常に乏しい。試料No.12は、
Nb含有量が過大なため、平均熱膨張係数が高く、エッ
チング性が劣る。試料No.13〜16は、C,Si, S,N 含
有量が過大なため、エッチング面の状態が悪い結果を示
した。
【0042】試料No.17〜19は、焼鈍後の(200)
面のX線回折強度α(200)が強いため、ヤング率が
低い。
【0043】
【発明の効果】以上、適切なニッケル濃度を含むFe-Ni
系合金に含有するMn含有量を低く制御して低熱膨張を達
成しながら、不足する耐落下衝撃変形性をNb,Taの適量
添加する合金を基礎として、この材料の焼鈍後の(20
0)面のX線回折強度α(200 を制御することで、
プレス成形型フラットマスク用Fe-Ni系合金が製造でき
るようになった。こうして、今後のフラット型カラーブ
ラウン管に対処して、色づれが無く、取り扱いに際して
変形しない良好なプレス成形型フラットマスクの安定し
た効率的な製造が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で紹介した合金No.1の焼鈍材後の(2
00)面のX線回折強度構成比率α(200)とヤング率
の関係を示す図である。
【図2】合金No.1の圧延材と焼鈍材の(200)面の
X線回折強度構成比率β( 200)とα(200)の関係を
示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K037 EA05 EA15 EA18 EA19 EA21 EA25 EA27 EA31 EB02 EB03 FH05 FJ05 FJ06 FM01 5C027 HH02 5C031 EE05 EH04 EH06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量百分率(%)に基づいて(以下、%
    と表記する) Ni:33〜37質量%、Nb及びTiを1種又は2
    種の合計で0.05〜0.5%含有し、更にMn:0.01〜0.1%を
    含有し、残部Fe及び不可避的不純物から成り、不可避
    的不純物のうち、C:0.0020〜0.0070%、Si:0.001〜0.030
    %、N:0.0005〜0.0050%、S:0.0015%以下である板厚が
    0.05mm〜0.3mmのFe−Ni系合金薄帯であ
    って、この薄帯を700℃以上の温度で焼鈍した後の板
    厚5%以上を表面から除去した面の(200)面X線回折強
    度構成比率α(200)を式で表すと、α(200)
    が75%以下であり、軟化焼鈍後のヤング率を向上させ
    たことを特徴とするプレス成形型フラットマスク用Fe
    −Ni系合金薄帯。 【数1】
  2. 【請求項2】 薄帯の板厚の5%以上を表面から除去し
    た面の(200)面X線回折強度構成比率β(200)を式
    で表すと、β(200)が25%〜75%であり、軟
    化焼鈍後のヤング率を向上させたことを特徴とする請求
    項1に記載のプレス成形型フラットマスク用Fe−Ni
    系合金薄帯。 【数2】
  3. 【請求項3】 最終冷間圧延前に薄帯の温度が5秒間以
    上800℃以上になるように、かつ結晶粒径をJIS
    G 0551に規定のオーステナイト結晶粒度番号で
    8.0以上の細粒になるように再結晶焼鈍し、最終冷間
    圧延を30%〜65%の加工度で行うことにより軟化焼
    鈍後のヤング率を向上させたことを特徴とする請求項1
    から請求項2に記載のプレス成形型フラットマスク用F
    e−Ni系合金薄帯。
  4. 【請求項4】 最終冷間圧延後に歪取り焼鈍を行うこと
    を特徴とする請求項1から請求項3に記載のプレス成形
    型フラットマスク用Fe−Ni系合金薄帯。
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