JP2002294406A - プレス成形型フラットマスク用Fe−Ni系合金薄帯 - Google Patents

プレス成形型フラットマスク用Fe−Ni系合金薄帯

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JP2002294406A
JP2002294406A JP2001100353A JP2001100353A JP2002294406A JP 2002294406 A JP2002294406 A JP 2002294406A JP 2001100353 A JP2001100353 A JP 2001100353A JP 2001100353 A JP2001100353 A JP 2001100353A JP 2002294406 A JP2002294406 A JP 2002294406A
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annealing
modulus
young
alloy
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Masatoshi Eto
雅俊 衛藤
Toshiyuki Ono
俊之 小野
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Eneos Corp
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Nippon Mining and Metals Co Ltd
Nippon Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】フラットブラウン管用に使用可能なプレス成形
型シャドウマスクを安価に供給するため、耐落下衝撃変
形性を向上すべくプレス軟化焼鈍後のヤング率を増大さ
せ、湾曲タイプのシャドウマスクに使用されているFe
−Ni系冷間圧延合金及び薄帯を提供する。 【解決手段】質量百分率(%)に基づいて Ni:33〜37
%、Mn:0.01〜0.1%、B:0.0003〜0.0020%、Nb及びTiを
1種又は2種の合計で0.05〜0.8%含有し、且つNb、T
i、B含有量が式を満たす合金であって、残部Fe及び
不可避的不純物からなる。 冷間圧延薄帯を700℃以上の温度で焼鈍した後の板厚
5%以上を表面から除去した面の(200)面X線回折強度
構成比率α(200)を式で表すと、α(200)
75%以下であり、軟化焼鈍後のヤング率を向上させた
プレス成形型フラットマスク用Fe−Ni系冷間圧延合
金薄帯。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シャドウマスクの
電子線透過部分の形状を完全フラットになるようにプレ
スしたとしても、ブラウン管に組み込んだ状態での落下
衝撃による耐変形性に優れ、かつドーミングが生じない
低熱膨張を維持できるフラットマスク用合金薄帯に関す
るもので、特にはNb、Ti及びBの含有量を制御し、
更に結晶方位を制御することにより、耐落下衝撃変形性
の指標となるヤング率を向上させ、かつ低熱膨張性を維
持した上記フラットマスク用Fe−Ni系合金に関す
る。
【0002】
【従来の技術】カラーブラウン管では、電子銃から打ち
出した電子ビームをガラスパネルの内側の蛍光体に当て
ることで画面を表示する。電子ビームの方向を磁力によ
り制御するのが偏向ヨークである。ガラスパネルの手前
には、電子ビームを所定の蛍光体に当たるように画素単
位に区切る機構が設けられており、マスクあるいは色選
別機構と呼ばれている。カラーブラウン管用のマスク
は、マスク素材をドット状若しくはスロット状にエッチ
ング加工した後プレス成形するシャドウマスク方式と、
すだれ状にエッチング後枠材に上下に強い引張り力をか
けて張り渡して架張するアパーチャグリル方式に大別さ
れる。それぞれの方式は一長一短があり、どちらの方式
も市場で用いられている。
【0003】ところで、表示画面を平坦にするフラット
画面の開発に向けて多くの試みが試されてきた。ここ
で、フラット画面とは、従来の球面表示画面がほぼ完全
に近い平面形態を有するものである。ブラウン管の画面
を平坦にしようとするとき大きな問題の一つになるの
は、シャドウマスクやアパーチャグリルをどのようにし
て平坦に近づけるかである。それぞれに難題を抱えてい
るが、プレスによりシャドウマスクの表面を平坦に近づ
けることは、アパーチャグリルのような架張方式のもの
よりも基本的に難しいとされている(例えば〔NIKKEI EC
TRONICS〕1999.7.26(No.748)128頁)。
【0004】これは、シャドウマスクは金属シートをプ
レス成形して製造するため、架張方式と違って、自己保
形カにより形状を維持する必要があり、基本的には、球
状でないと形状維持ができないためである。一方、フラ
ットマスクは、マスクをほとんど平坦にするため、形状
維持が困難である。これを解決するには、マスクの強度
を上げるしか方法がない。ここで云う「マスク強度」と
は、一般の金属の強度(例えば引張試験による強度)の意
味とは違い、ブラウン管組み立て後、ブラウン管全体に
衝撃を与え、マスクの変形が起きるかどうかである。具
体的には、ブラウン管を一定高さから落下させ、マスク
が変形するかどうかを試験する。このような衝撃変形に
対し強い、すなわち耐落下衝撃変形性を向上させたマス
クの開発が、フラット管には必要とされる。
【0005】そしてまた、フラット管には、優れたドー
ミング特性が要求される。つまり、マスクが球面からフ
ラットになるに従い、マスクの4隅での電子銃から放出
された電子ビームの入射角が鋭角となる。つまり、これ
は、マスクが熱膨張により僅かにずれるだけで、電子ビ
ームがミスランディングし、色ずれ害の問題が発生する
ことを意味する。これにより、熱膨張が従来のマスクよ
り格段に低い低膨張マスクの開発が必要となる。
【0006】フラットマスクを対象にしたものではない
が、熱膨張特性や耐衝撃性を改善する試みとして、特許
第2723718号(権利者:ヤマハ株式会社)では、2〜7
%のCoを含むFe−Ni−Co系合金(Super Inva
r)をシャドウマスクにすることで熱膨張係数を低下す
ることが提案されている。しかしながら、Coを2〜7
%含有させると高価格となるのに加えて、プレス前に軟
化焼鈍を行った後の引張強さ、特にヤング率はマスクを
フラットにした場合の落下衝撃に耐えるには十分満足で
きるものではなかった。
【0007】また、特許第1854642号(権利者:日鉱金
属株式会社)では、Niが34〜38%のFe−Ni系合金
にTi、Zr、B、Mo、Nb、N、P、Cuのうち1
種又は2種以上を合計で0.01〜1.0%含ませるこ
とで、組み立て時の衝撃で座屈が起きるのを防ぐことが
提案されているが、熱膨張係数が10×10−7/℃を
超えており、マスクをフラットにした場合の色ズレ抑制
の点では満足できるものではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】一般的にシャドウマス
クに使用されるFe−Ni系合金は、Niを36%含む
ものが使用されている。それはこの組成がシャドウマス
クの使用環境である室温から100℃の範囲での熱膨張
係数が最も小さくなるからである。この合金にNb等の
強度を向上させるための元素を添加すると熱膨張係数は
大きくなることから大量に添加することは好ましくな
い。また、添加によって原料費の増加を伴ってしまう。
Fe−32%Ni−5%Co合金をベースにすることで
熱膨張係数を抑えることは可能であるが、Coと添加元
素ことによって高価な材料になってしまう。
【0009】本発明の課題は、フラットブラウン管用に
使用可能なプレス成形型シャドウマスクを安価に供給す
るため、ごく少量の添加元素によって耐落下衝撃変形性
を向上すべくプレス軟化焼鈍後のヤング率を増大させ、
湾曲タイプのシャドウマスクに使用されているFe−N
i系冷間圧延合金薄帯を開発することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、ヤング率の
改善効果が知られているNb、Ta、Ti、V、Mo、
W、Zr及びHf等の元素を利用してできるだけ少量の
添加でヤング率を大きくする方法を鋭意調査研究した。
その結果、シャドウマスクにプレス成形前軟化焼鈍後の
ヤング率が、冷間圧延薄帯を軟化焼鈍した後の板厚内部
の結晶方位で大きく変わることを見出した。具体的に
は、上記元素を添加したFe−Ni系合金を、加工度を
変化させた数種類の冷間圧延薄帯に加工して900℃焼
鈍後のヤング率を調べた。その結果、Nb又はTiを含
有させ、特定の範囲の加工度で冷間圧延した場合にヤン
グ率が大きくなることを見出した。
【0011】詳細に調べた結果、ヤング率は軟化焼鈍後
の薄帯を表面から5μm以上除去した面で測定した(2
00)面X線回折強度構成比率と強い相関を持ち、(20
0)面X線回折強度比率が75%を超えるとヤング率が
急激に減少し、75%以下では、(200)面X線回折強
度比率の減少とともにヤング率がわずかに増加すること
がわかった。なお、軟化焼鈍後の表面から5μm以上を
除去した板厚内部における(200)面X線回折強度比率
は冷間圧延薄帯のそれで殆ど決定されることがわかっ
た。
【0012】そして、冷間圧延薄帯を焼鈍軟化した後の
板厚中央部の(200)面X線回折強度比率を制御するに
は、最終冷間圧延前の焼鈍で材料が800℃以上の温度
で5秒間以上保持されることが重要であることがわかっ
た。これは、Nb又はTiとの濃度積との炭化物、窒化
物、、硼化物が焼鈍である程度解離して再固溶し、焼鈍
後の冷却過程で微細に再析出する事によるものと考えて
いる。この様にして最終焼鈍を行った後に30〜65%
の冷間圧延を行うことにより冷間圧延薄帯を軟化焼鈍し
た後の板厚中央部の(200)面X線回折強度比率を所望
の範囲にすることができ、本発明を完成するに至った。
【0013】かくして、本発明は、 (1)質量百分率(%)に基づいて(以下、%と表記す
る) Ni:33〜37%、Mn:0.01〜0.1%、B:0.0003〜0.0020
%、Nb及びTiを1種又は2種の合計で0.05〜0.8%含有
し、且つNb、Ti、B含有量が式を満たす合金であっ
て、残部Fe及び不可避的不純物からなり、
【0014】
【数4】
【0015】不可避的不純物のうち、C:0.0020〜0.0070
%、Si:0.001〜0.030%、N:0.0005〜0.0050%、S:0.0015%
以下であり、板厚が0.05mm以上0.3mm以下の
Fe−Ni系冷間圧延合金薄帯であって、この冷間圧延
薄帯を700℃以上の温度で焼鈍した後の板厚5%以上
を表面から除去した面の(200)面X線回折強度構成比率
α(200)を式で表すと、α(200)が75%以
下である軟化焼鈍後のヤング率を向上させたプレス成形
型フラットマスク用Fe−Ni系冷間圧延合金薄帯。
【0016】
【数5】
【0017】(2)冷間圧延薄帯の板厚の5%以上を表
面から除去した面の(200)面X線回折強度構成比率β
(200)を式で表すと、β(200)が25%〜7
5%であるとが好ましい。
【0018】
【数6】
【0019】(3)最終冷間圧延前に薄帯の温度が5秒
間以上800℃以上になるように、かつ結晶粒径をJI
S G 0551に規定のオーステナイト結晶粒度番号
で8.0以上の細粒になるように再結晶焼鈍し、最終冷
間圧延を30%〜65%の加工度で行う上記(1)から
(2)に記載のプレス成形型フラットマスク用Fe−N
i系合金薄帯。 (4)最終冷間圧延後に歪取り焼鈍を行う上記(1)か
ら(3)に記載のプレス成形型フラットマスク用Fe−
Ni系合金薄帯。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の基本は、プレス前に行う
軟化焼鈍後のヤング率を板厚内部の(200)面X線回折強
度構成比率を制御するすることで、強度上昇元素の添加
を極力抑えることにあり、C,N含有量を規制すること
が有効に働く。更にNb、Ti、B含有量が式
【0021】
【数7】
【0022】を満たす事が重要である。なお、製造方法
としては最終圧延の加工度とともに、その圧延前の焼鈍
での材料温度と焼鈍後の結晶粒径が重要になる。以下に
本発明に関する成分元素及び結晶方位並びに製造条件の
限定理由を述べる。
【0023】(基本元素) Ni:Niは、マルテンサイト等の有害な組織を発生さ
せず、インバー型合金の低熱膨張特性を達成するため、
33〜37%、好ましくは34〜36%の範囲であるこ
とが必要である。 Mn:Mnは脱酸剤として添加されるが、その添加によ
り、熱膨張係数を増大させるため、30〜100℃の平
均熱膨張係数が12×10−7/℃以下を達成するため
には、0.001〜0.1%とし、好ましくは0.00
1〜0.05%とすることが必要とされる。
【0024】(添加元素) Nb:熱膨張係数を顕著に増大させずに高耐力及びヤン
グ率を上昇させ、材料の高強度化を実現させるために添
加される。0.01%未満では、その効果がなく、他方
0.8%を超えるとエッチング性の劣化及び熱膨張係数
の増大をもたらす。単独で、0.01〜0.8%の範囲
とすることが必要であるのみならず、それらの合計含有
量が0.01〜0.8%の範囲とすることが必要であ
る。
【0025】B:BはNb又はTiと硼化物を形成して
所望の結晶方位に制御するのに有効に働く。その効果は
0.0003%以上の含有で発現するが、0.0020
%以上ではエッチング穿孔性を劣化させる。従ってB
は、0.0003〜0.0020%とする。更に、Nb
又はTiの硼化物として所望の結晶方位に制御するため
には、式の範囲を満たす必要がある。
【0026】
【数8】
【0027】(不純物元素) C:Cは溶解原料や副原料及び溶解炉材から不可避的不
純物として入る。CはNb又はTiと炭化物を形成して
所望の結晶方位に制御するのに有効に働く。その効果
は、0.0020%以上で発現する。しかしながら、Cが0.007
0%を超えると炭化物を過剰に形成してエッチング穿孔性
を劣化させる。従って、0.0020%〜0.0070%、好ましくは
0.0020%〜0.0050%とする。
【0028】Si:Siは溶湯への脱酸効果があるが、
0.02%を超えるとエッチング性を大きく劣化させる
ので、0.02%以下とする。
【0029】N:Nは主に溶解雰囲気からの汚染による
不可避的不純物として入る。NはNb又はTiと窒化物
を形成して所望の結晶方位に制御するのに有効に働く。
その効果は、0.0005%以上で発現する。しかしながら、
Nが0.0050%を超えると窒化物を過剰に形成してエッチ
ング穿孔性を劣化させるとともに焼鈍軟化温度が高くな
ってプレス成形性が劣化する。従って、0.0005%〜0.005
0%、好ましくは0.0005%〜0.0030%とする。
【0030】S:Sは溶解原料や副原料及び溶解炉材か
ら不可避的不純物として入る。Mn含有量が少ないFe
−Ni系合金においては、Sを含有する場合に熱間割れ
が起きやすくなる。熱間加工性を確保するために、0.00
15%以下、好ましくは0.0010%未満とする。
【0031】シャドウマスク素材は、所要の組成の合金
材料を例えば真空誘導溶解炉(VIM炉)で溶製後、インゴ
ットに鋳造し、鍛造後、熱間圧延および冷間圧延し、そ
の後光輝焼鈍と冷間圧延を繰り返し、最後に0.05〜0.30
mm範囲の所定の厚みにまでダル加工した圧延ロールによ
る最終冷間圧延が施される。エッチング加工によって製
造される各種のシャドウマスク材の板厚は0.05〜
0.3mmが一般的であり、特にプレス成形型のフラッ
トマスクには板厚0.1〜0.13mmの材料が使用さ
れている。その後、スリットして所定の板幅としてシャ
ドウマスク素材を得る。シャドウマスク素材は、脱脂
後、フォトレジストを両面に塗布してパターンを焼き付
けて現像後、エッチング穿孔加工され、個々に切断され
シャドウマスク素材ユニットとなる。
【0032】シャドウマスク素材ユニットは、非酸化性
雰囲気、例えば還元性雰囲気中で材料が再結晶する温度
域である700℃以上の温度で焼鈍(例えば、水素中、9
00℃にて30分間)されてプレス成形性を付与される。
【0033】プレアニール法では、前記焼鈍がエッチン
グ前に最終冷間圧延材に対して行われる。レベラー加工
を経た後、プレスによりフラットマスク形態に成形され
る。そして最後に、プレス成形されたフラットマスク
は、脱脂後、大気またはCO/CO2ガス雰囲気中で黒化処理
を施されて表面に黒色酸化膜を形成する。
【0034】本発明のプレス成形型「フラットマスク」
は、例えば、外面曲率半径R:100,000mm以上そして平面
度:画面曲面部の最大高さ/有効画面対角寸法=0.1%以下
のほぼ完全に近い平面形態を有するものである。
【0035】本発明のプレス成形型フラットマスクは、
30〜100℃にわたっての平均熱膨張係数を12x10-7/℃以
下に維持したまま、上記プレス成形性を付与するための
焼鈍後、ヤング率が120,000N/mm2以上であることを特徴
とする。ヤング率が120,000N/mm2以上であると、前記
したブラウン管落下試験で完全平面ブラウン管にしても
マスク変形は起きない。
【0036】上記のヤング率の高い物を得る為には、本
発明に係る冷間圧延薄帯を700℃以上の温度で焼鈍し
た後の板厚5%以上を表面から除去した面の(200)面X
線回折強度構成比率α(200)を式で表すと、α
(200)が75%以下であることが望ましい。
【0037】
【数9】
【0038】前記の値は、図1から75%以下が望まし
い事が容易に把握できる。ここで、軟化焼鈍とはマスク
加工メーカーが材料にプレス成形性を確保するために実
施するものであり、一方、材料表面から5%以上を除去
するのは、材料の表面加工層の影響を取り除いた状態で
の(200)面X線回折強度構成比率α(20 0)と材料の
ヤング率の間に良い相関があることを本発明者が見出し
た事による。本発明のプレス成形型フラットマスクは、
ヤング率:140,000N/mm2以上を実現することができ、さ
らにはヤング率:150,000N/mm2以上を実現することが可
能である。
【0039】更に冷間圧延薄帯の板厚の5%以上を表面
から除去した面の(200)面X線回折強度構成比率β
(200)を式で表すと、β(200)が25%〜7
5%であることが望ましい。図2に示したβ(200)
α(200)の関係からわかるように、β(200)を25
〜75%とすることにより、α(200) が75%以
下、つまりヤング率: 120,000N/mm2以上、更にはヤング
率: 150,000N/mm2以上を達成できる。
【0040】
【数10】
【0041】薄帯の材料表面から5%以上を表面から除
去するのは、焼鈍材の場合と同様に材料の表面加工層の
影響を取り除いた状態での(hkl)面X線回折強度構成比
率β (200)と材料のヤング率の間に良い相関がある
ことを本発明者が見出した事による。
【0042】更に望ましくは、最終冷間圧延前に薄帯の
温度が5秒間以上800℃以上になるように、かつ結晶
粒径をJIS G 0551に規定のオーステナイト結
晶粒度番号で8.0以上の細粒になるように再結晶焼鈍
し、最終冷間圧延を30%〜65%の加工度で行う。
【0043】また最終冷間圧延後に歪取り焼鈍を行うこ
とが望ましい。これにより軟化焼鈍後のヤング率を向上
させたプレス成形型フラットマスク用Fe−Ni系合金
薄帯が製造できる。
【0044】
【実施例】表1に実施例および比較例として用いた合金
の組成を示す。
【0045】
【表1】
【0046】これら組成の合金を真空誘導溶解炉(VIM
炉)で溶製した。溶製後、鍛造および熱間圧延にて3m
m厚にした後、冷間圧延と光輝焼鈍を繰り返し、約0.12
mm厚の冷間圧延材とした。その後、スリットして所定の
板幅としたシャドウマスク素材を還元性雰囲気中で焼鈍
(900℃×30分水素中)してプレス成形性を付与した。
【0047】この焼鈍材及び圧延材より試料を採取し、
表裏面の板厚の5〜6%をエッチング除去した後、当該
合金の主要回折格子面である、(111)、(20
0)、(220)及び(311)面についてX線回折強
度を測定し、式1及び式2によってα(200)及びβ
(200)を求めた。また、この焼鈍後の材料に対し
て、「JIS R 1605」に従う曲げ共振法により室温でヤ
ング率を測定した。この方法は、自由な曲げ振動をなし
得るように駆動器側および検出器側つりさげ糸によりつ
るした試験片にその上下面に発振器からの駆動力を加
え、検出器を通して最大の振幅を生じ且つ振動の節を測
定して一次共鳴振動数を決定し、一次共鳴振動数と試験
片の質量および寸法から所定の式に基づいて動的弾性率
を算出するものである。さらに、30〜100℃の間の平均
熱膨張係数を測定すると共に、その表面に60℃で45ボー
メの塩化第2鉄水溶液を0.3MPaの圧力で1分間スプレー
してエッチング面の状態を観察した。これらの結果を表
2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】本発明の試料No.1〜7は、熱膨張係数を
許容水準とされている(12×10-7/℃)を超えることな
く、目標とするヤング率が120,000N/mm2以上を充分に実
現し、特に試料No.1〜6は、ヤング率150,000N/mm2
上を実現した。試料No.4〜7は、不純物元素C,Si, S,N
がそれぞれ請求項1の規定水準を超えるために、エッチ
ング面の状態が良好でなく、微小な凹凸および異物のエ
ッチング痕が観察されたが、使用上問題のない範囲あっ
た。
【0050】これに対して、試料No.8〜9は、Ni含
有量が規定範囲を外れたため、平均熱膨張係数が高い。
試料No.10は、Mn含有量が高いため平均熱膨張係数
が高い。試料No.11はBを添加していないため、ヤン
グ率が140000を超えず、低めである。試料No.12はB
添加量が本発明の許容範囲から外れて多すぎるため、エ
ッチング性が劣る。試料No.13はNb,Taを添加しないた
め、ヤング率が低く、強度特性に非常に乏しい。試料N
o.14はNbとTiの合計の含有量が過大なため、試料
No.15はNbの含有量が過大なため、共に平均熱膨張
係数が高く、エッチング性が劣る。試料No.16〜19
は、C,Si, S,N 含有量が過大なため、エッチング面の状
態が悪い結果を示した。
【0051】試料No.20〜24は、焼鈍後の(200)
面のX線回折強度α(200)が強いため、ヤング率が
低い。更に試料No.21、23及び24はβ(200)
が25%未満と本特許の許容範囲から外れるため、焼鈍
後のX線回折強度α(200 が90%超えている。
【0052】合金No.1の焼鈍材の(200)面のX線
回折強度構成比率α(200)とヤング率の関係を図1に
示した。横軸に焼鈍材後の(200)面のX線回折強度
構成比率α(200)、縦軸にヤング率を示し、焼鈍の条
件は、800℃×30分間、水素ガス雰囲気中とした。
α(200)が、75%以下であれば、ヤング率が12
0,000N/mm以上の好ましいものが得られる事
が把握できる。
【0053】図2は、実施例で紹介した合金No.1の圧
延材と焼鈍材の(200)面のX線回折強度構成比率β
(200) とα(200)の関係を示す図である。圧延材
の(200)面のX線回折強度構成比率β(200)を測
定し、800℃×30分間、水素ガス雰囲気中の軟化焼
鈍を行った後、(200)面のX線回折強度構成比率α
(200)を測定した結果である。
【0054】
【発明の効果】以上、適切なニッケル濃度を含むFe-Ni
系合金に含有するMn含有量を低く制御して低熱膨張を達
成しながら、不足する耐落下衝撃変形性をNb,Taの適量
添加する合金を基礎として、更にBを適量添加すること
で、この材料の焼鈍後の(200)面のX線回折強度α
(200)が大きくなることが抑制され、ヤング率を高
く制御され、プレス成形型フラットマスク用Fe-Ni系合
金が製造できるようになった。こうして、今後のフラッ
ト型カラーブラウン管に対処して、色づれが無く、取り
扱いに際して変形しない良好なプレス成形型フラットマ
スクの安定した効率的な製造が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で紹介した合金No.1の焼鈍材後の
(200)面のX線回折強度構成比率α(200)とヤン
グ率の関係を示す図である。
【図2】実施例で紹介した合金No.1の圧延材と焼鈍材
の(200)面のX線回折強度構成比率β(200)
α(200)の関係を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量百分率(%)に基づいて(以下、%
    と表記する) Ni:33〜37%、Mn:0.01〜0.1%、B:0.0003
    〜0.0020%、Nb及びTiを1種又は2種の合計で0.05〜0.
    8%含有し、且つNb、Ti、B含有量が式を満たす合金で
    あって、残部Fe及び不可避的不純物からなり、 【数1】 不可避的不純物のうち、C:0.0020〜0.0070%、Si:0.001
    〜0.030%、N:0.0005〜0.0050%、S:0.0015%以下であり、
    板厚が0.05mm以上0.3mm以下のFe−Ni系
    冷間圧延合金薄帯であって、この冷間圧延薄帯を700
    ℃以上の温度で焼鈍した後の板厚5%以上を表面から除
    去した面の(200)面X線回折強度構成比率α(200)
    を式で表すと、α(200)が75%以下であり、軟
    化焼鈍後のヤング率を向上させたことを特徴とするプレ
    ス成形型フラットマスク用Fe−Ni合金薄帯。 【数2】
  2. 【請求項2】 冷間圧延薄帯の板厚の5%以上を表面か
    ら除去した面の(200)面X線回折強度構成比率β
    (200)を式で表すと、β(200)が25%〜7
    5%であり、軟化焼鈍後のヤング率を向上させたことを
    特徴とする請求項1に記載のプレス成形型フラットマス
    ク用Fe−Ni系合金薄帯。 【数3】
  3. 【請求項3】 最終冷間圧延前に薄帯の温度が5秒間以
    上800℃以上になるように、かつ結晶粒径をJIS
    G 0551に規定のオーステナイト結晶粒度番号で
    8.0以上の細粒になるように再結晶焼鈍し、最終冷間
    圧延を30%〜65%の加工度で行うことを特徴とする
    請求項1から請求項2に記載のプレス成形型フラットマ
    スク用Fe−Ni系合金薄帯。
  4. 【請求項4】 最終冷間圧延後に歪取り焼鈍を行うこと
    を特徴とする請求項1から請求項3に記載のプレス成形
    型フラットマスク用Fe−Ni系合金薄帯。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014000623A (ja) * 2012-06-16 2014-01-09 Macoho Co Ltd ワーク表面処理装置

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