JP2002291445A - 鶏卵粉末 - Google Patents
鶏卵粉末Info
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Abstract
い、風味劣化や溶解性の低下がなく、ホール卵の特性を
有する鶏卵粉末を提供することを目的とする。 【解決手段】 卵黄液又は全卵液を噴霧乾燥した後、1
μm以上15μm以下の粒子径のものを60重量%以上
含む卵白微粉末を付着させることにより上記課題を解決
する。
Description
卵粉末に1μm以上15μm以下の粒子径のものを60
重量%以上含む卵白微粉末を付着させたことを特徴とす
るホール卵の特性を有する鶏卵粉末に関する。
末という)は、鶏卵より分離された全卵液や卵黄液を殺
菌し、噴霧乾燥機で粉末とし製造されている。粉末化
後、卵黄脂質が粉末表面に溶出し、脂質の劣化が生じ、
風味や溶解性の低下が生じる。その防止にデキストリ
ン、乳糖、糖アルコールなどの糖類を添加したものが製
造されていた。しかしながら、糖類によるコーティング
は、完全に脂質をコーティングできないため、その効果
は十分ではない。その解決として従来、粉末の流動性を
改善するニ酸化ケイ素やリン酸カルシウムを混合してい
たが、これらの物質は食品添加物として使用量に制限が
あり、十分な効果を有するまで添加できなかった。その
ため、脂質の劣化が生じない、小麦粉との混合適性の改
善された鶏卵粉末が望まれていた。特に、ドーナツ、ケ
ーキ、パン等の加糖プレミックスやたこ焼きミックス、
天ぷら粉等の無糖ミックス等の製造において、小麦粉に
鶏卵粉末を混合した場合、鶏卵粉末が凝集した状態で存
在し、保管時に吸湿するとアメ状になり、鶏卵粉末は不
溶化してしまう。また、これらの食品への鶏卵の添加
は、卵白と卵黄を均質化しない状態の液卵(以下ホール
卵という)で添加しほうがソフトな食感に仕上がるた
め、ホール卵のような特性を有する鶏卵粉末が望まれて
いた。
く、卵黄脂質が粉末表面に溶出することの少ない、風味
劣化や溶解性の低下がなく、ホール卵の特性を有する鶏
卵粉末を提供するものである。
及び卵黄粉末(以下鶏卵粉末という)に1μm以上15
μm以下の粒子径のものを60重量%以上含む卵白微粉
末を付着させることにより、卵黄脂質の粉末表面への溶
出を抑制することを見い出し、本発明を完成した。
卵白液を乾燥して得られる粉末品のことである。卵白液
は、全卵より卵黄を除去したもののことであるが、殻付
卵を割卵したもの、凍結卵白を解凍したもの及びこれら
を濃縮したもののいずれであっても良い。本発明の1μ
m以上15μm以下の粒子径のものを60重量%以上含
む卵白微粉末を得る方法は、特に限定されるものではな
いが、上述の卵白液の稀薄溶液を噴霧乾燥する方法、卵
白液を乾燥後に篩別する方法、乾燥後にボールミルやジ
ェットミル等の乾式磨砕機、又は凍結粉砕機等、レーザ
ー回折型粒度分布測定により1μm以上15μm以下の
粒子径のものを60%以上含む微粉末化ができる性能の
ものを使用して微粉末化する方法等が挙げられる。中で
も、一般的な卵白粉末をジェットミル、凍結粉砕等によ
り微粉末化する方法が、生産性の面から好ましい。本発
明でいう卵黄粉末とは、特に限定されるものではない
が、鶏卵から分離された生卵黄液、冷凍卵黄液、殺菌卵
黄等の卵黄を噴霧乾燥等で粉末化されたもの等、従来よ
り製造されている卵黄粉末で何ら支障をきたさないが、
卵黄中に含まれるグルコースを自然発酵法、細菌発酵
法、酵母発酵法、酵素法にて0.1重量%以下まで低減
させたものが、保管時のメイラード反応を抑制すること
より好ましい。本発明でいう全卵粉末とは、特に限定さ
れるものではないが、鶏卵から分離された生全卵液、冷
凍全卵液、殺菌全卵等の全卵を噴霧乾燥等で粉末化され
たもの等、従来より製造されている全卵粉末で何ら支障
をきたさなが、全卵中に含まれるグルコースを自然発酵
法、細菌発酵法、酵母発酵法、酵素法にて0.05重量
%以下まで低減させたものが、保管時のメイラード反応
を抑制することより好ましい。
ブレンダー、ボールミル、高速ミキサー等の既知の混合
機を使用して、上述の卵白微粉末と鶏卵粉末を緊密混合
し、鶏卵粉末表面全体に卵白微粉末を均一に付着させ
る。特に限定されるわけではないが、卵白微粉末の付着
量は、5重量%以上40重量%以下が好ましい。5重量
%未満ではコーティングされる粉末に含まれる脂質のコ
ーティング効果が不十分となり、脂質の酸化安定性が悪
くなるために好ましくない。40重量%超えると卵白含
量が高くなるために、利用できる食品が制限されるため
に好ましくない。本発明でいうホール卵の特性とは、鶏
卵粉末の添加に比べ、ソフトな食感に仕上がることをい
う。以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、
本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。な
お、実施例中の%は特記しない限り重量%を示す。
母1.2gを添加して、グルコース量が0.02%以下
になるまで30℃で発酵した。噴霧乾燥して鶏卵粉末A
を得た。また、全卵液を噴霧乾燥して鶏卵粉末Bを得
た。卵白粉末(1μm以上15μm以下の粒子径のもの
が15重量%、卵白粉末HG、太陽化学(株)製)を凍
結粉砕機を用い粉砕温度−50℃にて粉砕し、1μm以
上15μm以下の粒子径のものを65重量%含む卵白微
粉末A得た。また、卵白粉末(1μm以上15μm以下
の粒子径のものが15重量%、サンキララSHG、太陽
化学(株)製)をジェットミルを用いて粉砕し、1μm
以上15μm以下の粒子径のものを80重量%含む卵白
微粉末B得た。鶏卵粉末A90重量部に、卵白微粉末B
10重量部をスーパーミキサーを用いて付着させ、本発
明品1を得た。また、鶏卵粉末B85重量部に、卵白微
粉末B15重量部をリボン型ブレンダーを用いて付着さ
せ、本発明品2を得た。本発明品1及び2と従来品であ
る鶏卵粉末A及びBを40℃、相対湿度70%の環境試
験機内に6カ月間保存した。保存後の粉末の溶解度と風
味を比較した。溶解度は、10%溶液を遠心分離(12
000rpm,20分)した時に分離した浮遊層(容量
%)を測定した。風味は、10%溶液の風味の官能検査
にて、生全卵液と同等の風味で劣化が認められないもの
を10点、生全卵液とは異質の風味で劣化が激しいもの
を0点として、10人のパネラーによる評点の平均値を
用いて評価した。結果を表1に示す。
のコーティング効果が向上し、保存時の溶解性低下の抑
制と風味劣化の抑制が認められた。
卵粉末Bをそれぞれ小麦粉に15%混合した後、40メ
ッシュ通篩したものを、35℃、相対湿度70%の環境
試験機内に1カ月間保存した。保存後、それぞれの粉末
を40メッシュの篩で篩別した結果、従来品である鶏卵
粉末Bを用いたものは、40メッシュを通過しない隗状
の凝集物が認められたが、本発明品1と2は保存前と変
わらない性状であり、明らかに本発明品は、保存時の脂
質の表面溶出による粒子凝集の抑制が認められた。
C75重量部に、実施例1で得られた卵白微粉末A25
重量部をスーパーミキサーを用いて付着させ、本発明品
3を得た。また、比較のため、鶏卵粉末C75重量部に
卵白粉末(1μm以上15μm以下の粒子径のものが1
5重量%、卵白粉末HG、太陽化学(株)製)25重量
部を混合して従来品1を調製した。
g、砂糖:6g、食塩:3g、粉末調味料:6gを混合
してたこ焼きミックス1を得た。また比較のために、本
発明品3を従来品1にして、同様にたこ焼きミックス2
を得た。得られたたこ焼きミックス1及び2を28℃、
相対湿度60%の環境試験機内に2カ月間保存した。
を均一になるまで良く混合し、次いで熱したたこ焼きプ
レートに生地を注入し、青ネギ、桜えび、天かす、ゆで
だこを加え、生地を返しながら8分間焼成し、本発明品
を用いたたこ焼きAを調製した。
を均一になるまで良く混合し、次いで熱したたこ焼きプ
レートに生地を注入し、青ネギ、桜えび、天かす、ゆで
だこを加え、生地を返しながら8分間焼成し、たこ焼き
Bを調製した。 比較例2 小麦粉:150g、澱粉150g、砂糖:6g、食塩:
3g、粉末調味料:6gを混合しホール卵68gと水4
29gを均一になるまで良く混合し、後は実施例3と同
様に調製してたこ焼きCを得た。 (評価方法)上記の実施例5及び比較例1、2で得られ
たたこ焼きを耐レンジ性のパックに詰め、5℃にて一晩
保管した。次に600Wの家庭用レンジで2分間温め、
パネラー20人にて、たこ焼きの食感を評価した。同じ
ように焼成直後の食感も評価する。食感の評価は、極め
て良いものを10点、かなり良いものを9点、やや良い
ものを8点、普通を7点、やや悪いものを6点、かなり
悪いものを5点、極めて悪いものを4点とし、パネラー
20人の平均値で示した。その結果を表2に示す。
得られたたこ焼きAは、焼成直後及び24時間冷蔵保管
後のホール卵を用いて得られたたこ焼きCと同等にソフ
トな食感であり、従来品を用いて得られたたこ焼きBに
比べ食感に優れていた。
料:小麦粉、砂糖、ブドウ糖、植物油脂、脱脂粉乳、食
塩、ベーキングパウダー、乳化剤、香料、着色料):2
00g、 実施例3で得られた本発明品3:12.5
g、水187.5gを均一になるまで良く混合し、次い
でうすく油をひいたフライパンで焼き、ホットケーキA
を調製した。
g、 実施例3で得られた従来品1:12.5g、水1
87.5gを均一になるまで良く混合し、次いでうすく
油をひいたフライパンで焼き、ホットケーキBを調製し
た。
g、ホール卵:50g、水150gを均一になるまで良
く混合し、次いでうすく油をひいたフライパンで焼き、
ホットケーキCを調製した。 (評価方法)上記の実施例6及び比較例3、4で得られ
たホットケーキをパネラー20人にて、食感を評価し
た。 食感の評価は、極めて良いものを10点、かなり
良いものを9点、やや良いものを8点、普通を7点、や
や悪いものを6点、かなり悪いものを5点、極めて悪い
ものを4点とし、パネラー20人の平均値で示した。そ
の結果を表3に示す。
得られたホットケーキAの食感は、ホール卵を用いて得
られたホットケーキCと同等のしっとりした柔らかなも
のであり、従来品用いて得られたホットケーキBに比べ
優れていた。
げれば以下のとおりである。 (1)卵黄液又は全卵液を噴霧乾燥した後、1μm以上
15μm以下の粒子径のものを60重量%以上含む卵白
微粉末を付着させたことを特徴とする鶏卵粉末。 (2)卵白微粉末の付着量が卵黄固形分に対して5%重
量以上40重量%以下であることを特徴とする(1)記
載の鶏卵粉末。 (3)1μm以上15μm以下の粒子径のものを60重
量%以上含む高蛋白微粉末を得る方法がジェットミル又
は凍結粉砕機を使用することを特徴とする(1)または
(2)記載の鶏卵粉末。 (4)卵黄液が卵黄中に含まれるグルコースを0.1重
量%以下まで低減させたものあることを特徴とする
(1)〜(3)いずれか記載の鶏卵粉末。 (5)全卵液が全卵中に含まれるグルコースを0.5重
量%以下まで低減させたものあることを特徴とする
(1)〜(4)いずれか記載の鶏卵粉末。 (6)ホール卵と同様の特性を有する鶏卵粉末であるこ
とを特徴とする(1)〜(5)いずれか記載の鶏卵粉
末。
ることのない、風味劣化や溶解性の低下がなく、ホール
卵の特性を有する鶏卵粉末の製造を可能にするため、従
来ホール卵の衛生状の問題があった食品に利用でき、食
品産業上におおいに貢献できるものである。
Claims (3)
- 【請求項1】卵黄液又は全卵液を噴霧乾燥した後、1μ
m以上15μm以下の粒子径のものを60重量%以上含
む卵白微粉末を付着させたことを特徴とする鶏卵粉末。 - 【請求項2】卵白微粉末の付着量が卵黄固形分に対して
5重量%以上40重量%以下であることを特徴とする請
求項1記載の鶏卵粉末。 - 【請求項3】ホール卵の特性を有する鶏卵粉末であるこ
とを特徴とする請求項1及び2記載の鶏卵粉末。
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