JP2002266634A - 排気ガス浄化装置 - Google Patents

排気ガス浄化装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】HC吸着材の軽油に対する吸着脱離特性と、N
Ox触媒のNOx浄化におけるHC種への依存性とが適
切に組み合わさるように、HC吸着材とNOx触媒を選
択することにより、軽油を還元剤とした場合においても
浄化性能の優れている排気ガス浄化装置を提供する。 【解決手段】内燃機関の排気通路2に上流側から、排気
ガス中のHCを吸着及び脱離するHC吸着材3と、該H
C吸着材から脱離したHCを還元剤として排気ガス中の
NOxを浄化するNOx触媒4を配置する排気ガス浄化
装置1において、前記HC吸着材3をβ型ゼオライトと
ZSM−5型ゼオライトを組み合わせて形成すると共
に、前記NOx触媒4をゼオライトに白金を担持させて
形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関や燃焼装
置等の排気ガスに還元剤を添加して、触媒作用を利用し
て排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置に関するもので
ある。
【0002】より詳細には、HC吸着材とNOx触媒を
利用して、炭化水素及びNOxを効率良く浄化する排気
ガス浄化装置に関する。
【0003】
【従来の技術】自動車の内燃機関や据置式の内燃機関等
の排気ガスから、未燃のHC(炭化水素)やNOx(窒
素酸化物)を酸化及び還元して除去するための触媒型の
排ガス浄化装置について種々の研究や提案がなされてお
り、特に、自動車等の排気ガスを浄化するために、NO
x還元触媒や酸化触媒、或いは三元触媒が使用されてい
る。
【0004】NOx還元触媒としては、例えば、Cu−
ゼオライト等のゼオライト系触媒や、Pt等の貴金属を
アルミナ、シリカ、チタニア等に担持した貴金属系触媒
等が使用されており、COとHCの酸化反応を促進する
酸化触媒としての貴金属は、白金(Pt)、パラジウム
(Pd)やPt−Pdの混合が多用されている。
【0005】これらの触媒は、触媒作用を発揮するため
に、所定の活性開始温度以上に、昇温することが必要で
あるため、エンジンの低温始動(コールドスタート)時
等のように、触媒温度が十分に昇温されていない場合に
は、触媒の浄化性能が十分に発揮されず、排気ガス中の
有害成分(HC,NOx,CO等)が十分に浄化されな
いまま排出されることになる。この触媒の活性開始温度
は、例えば、NOx還元触媒のPt系触媒の場合には1
50℃〜200℃である。
【0006】また、HCは、特にエンジンの始動時には
大量に排出され、しかも、光化学スモッグの原因となる
ため、このHCの浄化が大きな課題となっている。
【0007】そのため、図1に示すように、内燃機関の
排気通路2において主触媒(排ガス浄化用触媒)4の上
流側に、HC吸着材3を配設し、低温時に排出されるH
Cを吸着し、外部に排出しないような試みがなされてい
る。
【0008】この低温時に吸着したHCは、エンジンの
暖機が終了して排気温度が上昇し、HC放出温度以上に
なるとHC吸着材から脱離するが、その時には主触媒が
活性状態になっているので、この主触媒により脱離した
HCは酸化されたり、NOx浄化のための還元剤として
使用されたりして浄化される。
【0009】このHC吸着材には、アルミナ、シリカ、
チタニア等も使用できるが、吸着性能の関係からZSM
−5等のゼオライト系が多く使用されている。このゼオ
ライトは、結晶性アルミノケイ酸塩とも呼ばれ、三次元
的網目構造に縮合したケイ酸アルミニウム塩の構造をし
ており、分子と同程度の大きさの均一な細孔入口を有す
る多孔性物質である。
【0010】このゼオライトには、ZSM−5型、Y
型、モルデナイト、β型、L型等多くの種類があり、そ
れぞれ、細孔径即ち有効入口孔径が異なり、混合物の中
からこの細孔入口を通過できる大きさの分子だけを選択
して細孔内に吸着する「形状選択的吸着」という性質を
有して、分子ふるい作用と大きな吸着能力を有してい
る。
【0011】そして、このHC吸着材は、主触媒と共に
一つのハニカムに二層にコーティングされている場合も
ある。また、HC放出開始温度の例を示すとZSM−5
型ゼオライトやβ型ゼオライトでは約100〜150
℃、Y型ゼオライトでは約200℃である。
【0012】一方、ディーゼルエンジンの排ガス中の有
害成分(NOx,HC,CO)の浄化触媒についても種
々な検討がなされているが、ディーゼルエンジンの排ガ
ス中にはNOxを還元除去するのに十分なHCが含まれ
ておらず、そのため、排ガス中に軽油やアンモニア等の
還元剤を添加する必要がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、還元剤
としてディーゼルエンジンの燃料である軽油以外のもの
を用いる場合には、それらを触媒に供給するために、自
動車の場合には車両内に燃料タンク以外に還元剤用の貯
蔵容器を設置したり、排気通路にその還元剤を供給する
ための装置や配管等を設ける必要があるという問題があ
る。
【0014】そのため、還元剤としては、ディーゼルエ
ンジンの燃料である軽油を用いることが多くの点で望ま
しいが、軽油を還元剤とする場合においては、性能の良
いHC吸着材とNOx触媒(NOx浄化触媒,NOx還
元触媒)が得られていないという問題がある。
【0015】また、HC吸着材に関しては、軽油の成分
は一般に炭素数10〜20程度の鎖状炭化水素と芳香族
炭化水素からなるが、表1に示すように、ZSM−5型
ゼオライトは、ZSM−5型ゼオライトは細孔径が約
0.5nm(5オングストローム)程度と小さいため、
軽油成分中の側鎖を持つイソパラフィンや芳香族炭化水
素等のサイズの大きい炭化水素を吸着することができ
ず、軽油の吸着率は48%程度である。一方、Y型、モ
ルデナイト、β型、L型等のゼオライトは細孔径が約
0.7nm(7オングストローム)以上と大きいため、
軽油を構成する炭化水素成分をほぼ100%吸着できる
ことが分かっている。
【0016】そして、ZSM−5型ゼオライトとβ型ゼ
オライトの組み合わせである「β型+ZSM−5型」,
「ZSM−5型+β型」も、軽油を構成する炭化水素成
分をほぼ100%吸着できる。
【0017】
【表1】
【0018】また、一般に、軽油中にはガソリンと異な
り、オレフィン分はほとんど含まれていない(試験に使
用した軽油ではオレフィンは0.1%程度)が、軽油が
一度ゼオライトに吸着されると改質され、脱離成分中に
は低級オレフィンを含むようになる。
【0019】そこで、このHC吸着材からの脱離成分中
のC6以下の低級オレフィンの生成量を調べたところ、
ゼオライトに吸着した軽油を昇温脱離させた場合のHC
種の割合を示す表2の結果が得られた。この表2はPt
触媒の一般的な活性温度域である200℃〜300℃に
おける脱離成分を示す。
【0020】この表2によれば、β型ゼオライト単独の
場合に比べて、「β型+ZSM−5型」,「ZSM−5
型+β型」のどちらもC6以下のオレフィン生成量が2
倍程度に増加していることが分かる。
【0021】
【表2】
【0022】また、「Pt/ゼオライト」触媒における
還元剤種による浄化性能の違いを調べたところ、表3に
示すように、パラフィン系炭化水素に比べて、オレフィ
ン系炭化水素の浄化性能が高いという結果が得られた。
【0023】
【表3】
【0024】本発明は、上述の知見を得て、従来技術の
問題を解決するためになされたものであり、その目的
は、HC吸着材に使用するZSM−5型ゼオライトとβ
型ゼオライトの組み合わせが持つ軽油に対する吸着脱離
特性と、NOx触媒に使用する「Pt/ゼオライト」触
媒のNOx浄化におけるHC種への依存性を適切に組み
合わせることにより、軽油を還元剤とした場合において
も浄化性能の優れている排気ガス浄化装置を提供するこ
とにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】以上のような目的を達成
するための排気ガス浄化装置は、内燃機関の排気通路に
上流側から、排気ガス中のHCを低温時に吸着し、高温
時に脱離するHC吸着材と、該HC吸着材から脱離した
HCを還元剤として排気ガス中のNOxを浄化するNO
x触媒を配置する排気ガス浄化装置において、前記HC
吸着材をβ型ゼオライトとZSM−5型ゼオライトを組
み合わせて形成すると共に、前記NOx触媒をゼオライ
トに白金を担持させて形成して構成される。
【0026】以上の構成の排気ガス浄化装置において
は、低温時ではHCを吸着し、高温時にはHCを脱離す
るHC吸着材をβ型ゼオライトとZSM−5型ゼオライ
トを組み合わせて形成することにより、軽油成分中の炭
化水素を、オレフィン系炭化水素に改質すると共に、N
Ox触媒をこのオレフィン系炭化水素に対するNOx還
元性能が良い「Pt/ゼオライト」触媒で形成すること
により、酸素過剰雰囲気で、排気ガス中のHC及びNO
xを効率良く浄化する。
【0027】なお、このβ型ゼオライトとZSM−5型
ゼオライトを組み合わせたHC吸着材のHC主脱離温度
域は、200℃〜300℃程度であり、Pt/ゼオライ
ト触媒の活性温度域とよく合致している。
【0028】また、「Pt/ゼオライト」触媒とは、β
型、Y型、モルデナイト、ZSM−5型等のゼオライト
に白金(Pt)を担持させて形成したNOx触媒であ
る。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本発明に係
る排気ガス浄化装置の実施の形態について説明する。
【0030】図1に示すように、この排気ガス浄化装置
1は、排気ガス中のHC(炭化水素)を酸化し、NOx
(窒素酸化物)を還元して排気ガスを浄化する装置であ
り、内燃機関の排気通路2に上流側から、HC吸着材3
と主触媒であるNOx触媒4を配置して構成され、必要
に応じて、図示しないがHC吸着材3の上流側に軽油が
還元剤として供給される。
【0031】このHC吸着材3は、β型ゼオライトとZ
SM−5型ゼオライトを組み合わせて形成し、排気ガス
中のHCを低温時に吸着し、高温時に脱離する。ここで
は、ZSM−5型ゼオライトを前段に、β型ゼオライト
を後段にした場合を「ZSM−5+β」とし、β型ゼオ
ライトを前段に、ZSM−5型ゼオライトを後段にした
場合を「β+ZSM−5」とする。
【0032】また、NOx触媒4は、β型、Y型、モル
デナイト、ZSM−5型等のゼオライトに白金(Pt)
を担持させて「Pt/ゼオライト」触媒として形成し、
HC吸着材3から脱離したHCや排気ガス中のHCや還
元剤噴射装置等から供給される軽油成分であるHC等を
還元剤として使用し、排気ガス中のNOxを還元して浄
化する。
【0033】これらのHC吸着材3やNOx触媒4は、
それぞれを有するハニカム構造の部材の流通セル内側に
コーティングされて形成される。
【0034】以上の構成の排気ガス浄化装置によれば、
次の効果を奏することができる。
【0035】先ず、HC吸着材3をZSM−5型ゼオラ
イトとβ型ゼオライトを組み合わせて「ZSM−5+
β」や「β+ZSM−5」として形成したので、β型ゼ
オライト単独の場合に比べて、C6以下の低級オレフィ
ンの生成量を2倍程度に増加させることができる。この
低級オレフィンは「Pt/ゼオライト」触媒において還
元剤として優れた還元作用を発揮する。
【0036】そして、NOx触媒4を主触媒としてゼオ
ライトにPtを担持した「Pt/ゼオライト」触媒で形
成したので、HC吸着材3から脱離してくる低級オレフ
ィンのHCを多く含む還元剤で、効率良くNOxを還元
浄化できる。
【0037】つまり、β型ゼオライトとZSM−5型ゼ
オライトを組み合わせたHC吸着材3と、「Pt/ゼオ
ライト」触媒によるNOx触媒4とを組み合わせること
により、「Pt/ゼオライト」触媒で還元作用の大きな
低級オレフィンを、HC吸着材3で軽油を吸着すること
により改質させて多量に発生させて、NOxの還元性能
を向上することができる。
【0038】このHC吸着材の役割が、単に触媒がHC
を酸化除去できない低温時に、排出されるHCを吸着す
るだけであれば、表1に示すように、細孔径がおよそ
0.7nm(7オングストローム)以上と大きく、軽油
を構成する炭化水素成分をほぼ100%吸着できるβ型
ゼオライトだけを使用すればよい。
【0039】しかし、このβ型ゼオライトに、ZSM−
5型ゼオライトを組み合わせることにより、表2に示す
ように、「Pt/ゼオライト」触媒において還元剤とし
て優れた還元作用を発揮する低級のオレフィンの生成量
を、β型ゼオライト単独の場合に比べて、2倍程度増加
することができる。
【0040】そして、表3に示すように、「Pt/ゼオ
ライト」触媒に対しては還元剤種として低級オレフィン
が有効であるので、非常に効率よく、NOxを浄化でき
ることになる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る排気
ガス浄化装置によれば、次のような効果を奏することが
できる。
【0042】HC吸着材をβ型ゼオライトとZSM−5
型ゼオライトを組み合わせて形成したので、排ガスの低
温時においては排ガス中のHC(炭化水素)を効率よく
吸着して排ガスを浄化できる。
【0043】また、HC吸着材をβ型ゼオライトとZS
M−5型ゼオライトを組み合わせて形成したので、排ガ
スの高温時には脱離されるHCを、オレフィン系炭化水
素に改質することができる。
【0044】そして、NOx触媒を、このオレフィン系
炭化水素に対するNOx還元性能が良い「Pt/ゼオラ
イト」触媒で形成したので、排気ガス中のHC及びNO
xを効率良く浄化することができる。
【0045】従って、還元剤に軽油を使用した場合で
も、NOxに対する触媒性能を向上させることができる
ので、効率よくNOxを還元して、排気ガス中のHC、
NOxを浄化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態の排気ガス浄化
装置の構成図である。
【符号の説明】
1 排気ガス浄化装置 2 排気通路 3 HC吸着材 4 主触媒(NOx触媒)
フロントページの続き Fターム(参考) 3G091 AA02 AA18 AA28 AB05 AB10 BA03 BA14 BA15 BA19 BA39 FA02 FA04 FA12 FB02 FB03 FC07 FC08 GB06W GB09X HA20 4D048 AA06 AA13 AA18 AB05 BA11X BA30X CD01 4G066 AA28D AA61B BA07 BA23 CA28 CA51 DA02 FA33

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の排気通路に上流側から、排気
    ガス中のHCを低温時に吸着し、高温時に脱離するHC
    吸着材と、該HC吸着材から脱離したHCを還元剤とし
    て排気ガス中のNOxを浄化するNOx触媒を配置する
    排気ガス浄化装置において、 前記HC吸着材をβ型ゼオライトとZSM−5型ゼオラ
    イトを組み合わせて形成すると共に、前記NOx触媒を
    ゼオライトに白金を担持させて形成したことを特徴とす
    る排気ガス浄化装置。
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