JP2002265431A - アンモ酸化反応の停止方法 - Google Patents
アンモ酸化反応の停止方法Info
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Abstract
が燃焼範囲に入ることなく操業の安全性が確保され、か
つ触媒劣化を生じない流動層アンモ酸化反応の停止方
法。 【解決手段】流動層反応器を用いたプロピレンまたはイ
ソブチレンのアンモ酸化反応を停止するに際して、反応
器に供給している含酸素ガス、アンモニアおよびプロピ
レンまたはイソブチレンの供給を停止した後、反応器に
不活性ガスを触媒層容積の1〜1000倍量供給する、
または、アンモニアおよびプロピレンまたはイソブチレ
ンを停止した後、反応器に含酸素ガスの供給を触媒層容
積の0.5〜5倍量継続する、或いは、プロピレンまた
はイソブチレンを停止した後、反応器に含酸素ガスおよ
びアンモニアの供給を触媒層容積の3〜1000倍量継
続する。
Description
いたアンモ酸化反応によるアクリロニトリルまたはメタ
クリロニトリルの製造法に関する。更に詳しくは、流動
層反応器を用いたプロピレンまたはイソブチレンのアン
モ酸化反応によりアクリロニトリルまたはメタアクリロ
ニトリルを製造するアンモ酸化反応の停止方法に関す
る。
酸化反応は、反応熱が大きいことと厳密な温度制御が必
要とされることから、温度制御に優れた流動層反応器が
主に用いられる。流動層反応器におけるアンモ酸化反応
の改良に関しては、触媒、反応器構造、反応操作法につ
いて多くの提案がなされている。これらの提案はいずれ
もアクリロニトリル或いはメタクロリロニトリルを効率
的に製造することを目的としている。
ロピレンまたはイソブチレンおよびアンモニアを酸素と
反応させるために、操業の安全確保が重要である。この
点からも流動層反応器の使用が好ましい。しかし、流動
層反応器の場合でも反応の始動や停止時に反応器の上部
空間および出口において、ガス組成が燃焼範囲とならな
いよう配慮がいる。この時、触媒の劣化を起こさないこ
とも必要な条件である。
化反応の始動、或いは停止方法の具体的な提案はされて
いない。関連技術としては、例えば、此木恵三「プロセ
スシステムの設計(上)」(丸善 1974年68〜7
1頁 )には、メタンのアンモ酸化反応における反応の
始動、停止に際して燃焼範囲を回避する方法が紹介され
ている。しかし、この方法は安全面に配慮した操作法で
はあるが、触媒の劣化については全く考慮されておらず
満足できるものではない。特に、反応の停止操作におい
ては、安全性を重視した操作は触媒の劣化を生じ易く、
安全性確保と触媒劣化防止の両立が重要な課題である。
モ酸化反応の停止に際して、反応器の上部および出口に
おけるガス組成が燃焼範囲に入ることなく高い安全性を
保ち、かつ触媒劣化を生じさせない流動層アンモ酸化反
応の停止方法を提案するものである。
は、流動層反応器を用いたプロピレンまたはイソブチレ
ンのアンモ酸化反応を停止するに際して、反応器に供給
している含酸素ガス、アンモニアおよびプロピレンまた
はイソブチレンの供給を停止した後、反応器に不活性ガ
スを触媒層容積の1〜1000倍量供給することを特徴
とするアンモ酸化反応の停止方法に関する。
いたプロピレンまたはイソブチレンのアンモ酸化反応を
停止するに際して、反応器に供給しているアンモニアお
よびプロピレンまたはイソブチレンを停止した後、反応
器に含酸素ガスの供給を触媒層容積の0.5〜5倍量継
続することを特徴とするアンモ酸化反応の停止方法に関
する。
いたプロピレンまたはイソブチレンのアンモ酸化反応を
停止するに際して、反応器に供給しているプロピレンま
たはイソブチレンを停止した後、反応器に含酸素ガスお
よびアンモニアの供給を触媒層容積の3〜1000倍量
継続することを特徴とするアンモ酸化反応の停止方法に
関する。
る。流動層反応器に用いられる触媒粒子は粒径が小さく
表面積が大きく、激しく混合する流動状態にあるため、
反応温度の制御性が良好であり高濃度可燃性ガスでも目
的の反応を比較的安全に行える利点を有する。しかし、
反応器の上部空間および出口においては、ガス中の触媒
粒子量は少量もしくは殆ど存在しないためガス組成が燃
焼範囲に入ると制御困難な燃焼反応が起きる恐れがあ
る。通常の反応状態では反応条件が制御されているので
このような恐れは少ないが、特に反応の始動、停止操作
においては、短時間であるが反応器の上部空間または出
口においてガス組成が燃焼範囲となる可能性があり操業
の安全性に問題を生じる。
に際して、含酸素ガスの供給を停止した後、プロピレン
はたはイソブチレンおよびアンモニアの供給を停止する
方法が考えられる。しかし、このような方法は、触媒に
反応ガスが吸着されたり触媒粒子間に滞留したりして、
触媒は還元雰囲気に曝されるため劣化が起こるという問
題点を有する。
いる含酸素ガス、アンモニアおよびプロピレンまたは、
イソブチレンを停止した後、反応器に不活性ガスを触媒
容積の約1〜1000倍量供給するものである。反応器
に供給している含酸素ガス、アンモニアおよびプロピレ
ンまたはイソブチレンの停止は、同時ないしほぼ同時に
停止することが好ましい。本発明で反応器に供給する不
活性ガスとしては水蒸気、窒素、炭酸ガスまたは低酸素
濃度ガスなどが挙げられる。本発明で不活性ガスとして
用いられる低酸素濃度ガスは、空気または酸素を水蒸
気、窒素、炭酸ガスなどを用いて酸素濃度約10%以
下、好ましくは約6%以下としたものである。酸素濃度
が約10%以下であれは、通常は燃焼反応は起きないと
推定されるが、実際には反応器内にガス濃度の不均一が
あること、組成変動が起きることなどを考慮すると、酸
素濃度は約6%以下にすることが好ましい。
活性ガスが触媒層容積の約1倍量以下では、触媒層に残
留する反応ガスの追い出しは不十分で触媒が劣化するこ
とがあり、また約1000倍以上にしても特に大きな効
果は得られない。
プロピレンまたはイソブチレンの供給を停止した後、反
応器に含酸素ガスを触媒層容積の約0.5〜5倍量を継
続して供給する。反応器に供給する含酸素ガス量が触媒
層容積の約0.5倍量以下では触媒が劣化することがあ
り、含酸素ガス量が約5倍以上では反応器の上部空間ま
たは出口の酸素濃度が高くなり安全上問題となる。
イソブチレンを停止した後、反応器に含酸素ガスおよび
アンモニアの供給を継続して触媒層においてアンモニア
を燃焼させて、反応器の上部および出口ガス中の酸素濃
度を低く維持する。反応器出口の酸素濃度は、約10%
以下、好ましくは約6%以下にするために、含酸素ガス
およびアンモニア流量を必要により調節する。この時、
酸素対アンモニアのモル比は、アンモニアの燃焼性によ
り異なるが、おおよそ0.5〜1.5であり、水蒸気、
窒素、炭酸ガスなどの不活性ガスが共存しても良い。
は、通常空気であるが、酸素を加えた酸素富化空気の使
用や水蒸気、窒素などの不活性ガスを添加することがで
きる。
されるのもではないが、鉄およびアンチモン、またはモ
リブデンおよびビスマスを必須成分として含む触媒が好
ましい。本発明の3方法の選択に関しては、アンモニア
の燃焼性を考慮する。アンモニア燃焼性の小さい触媒に
は、第一または第二の方法を用いる。アンモニア燃焼性
の大きい触媒は何れの方法も使用できる。アンモニア燃
焼性は、厳密には空気などの含酸素ガスとアンモニアを
反応させて測定できるが、おおよその目安としては、通
常のアンモ酸化反応において、供給したアンモニアに対
する燃焼したアンモニアの割合が3〜4%より大きい触
媒は、アンモニア燃焼性が大きいと判定される。
おり、例えば、特公昭38―17967号公報にはモリ
ブデン、ビスマスおよび鉄を含む酸化物触媒が、特公昭
38―19111号公報には鉄およびアンチモンを含む
酸化物触媒が提案されており、これらの触媒系に対して
数々の改良提案がなされている。これらの改良例として
は、特開昭49―101335号、特公昭51―338
88号、特開昭52―125124号、特公昭53−1
8014号、特公昭57―26592号、特開昭57―
180431号、特公昭58―38424号、特開昭5
9―204163号、特公昭61―43094号、特公
昭61―26419号、特開平4―118051号、特
開平7―289901号、特開平7―328441号お
よび特開平10―43595号の各公報などに提案がな
されている。
が、本発明はこれら実施例に限定されるものでない。な
お、本明細書中の触媒層容積、プロピレン転化率、アク
リロニトリル収率は下記の式で定義する。 触媒層容積(m3)=反応器に充填した触媒量Kg)/
(静止状態の触媒嵩密度Kg/ m3) プロピレン転化率(%)=(反応したプロピレンのモル
数)/(供給したプロピレンのモル数)× 100 アクリロニトリル収率(%)=(生成アクリロニトリル
のモル数)/(供給したプロピレンのモル数)× 10
0
を、塔径3インチ、高さ2mの流動層反応器を用いて行
った。触媒は特公昭57―26592号公報実施例に記
載されている触媒4(鉄、アンチモン、モリブデン、タ
ングステン、テルル、銅およびナトリウムからなるシリ
カ担体金属酸化物)に準じた方法で製造した。この触媒
3.9リットルを反応器に充填して反応器にプロピレ
ン、アンモニアおよび空気を1.0:1.1:10.0
のモル比で供給して接触期間を4.0秒に、反応温度を
440℃に、反応器圧力を100kPaに調節して10
時間の反応を行った。活性試験における反応成績は、プ
ロピレン転化率98.5%、アクリロニトリル収率7
8.1%であった。
供給を同時に停止して、空気と窒素の混合ガスを酸素濃
度5%に調節して触媒層容積の400倍量を反応器内の
触媒層に供給した。その後、再度活性試験を行った結
果、反応成績は、プロピレン転化率98.2%、アクリ
ロニトリル収率78.2%であった。
に停止して、空気を触媒層容積の2倍量の供給を継続し
た。反応器への供給ガスをすべて停止してから、5時間
経過後に、実施例1と同様にして活性試験を行った。反
応成績は、プロピレン転化率97.8%、アクリロニト
リル収率78.0%であった。
供給を同時に停止してから、5時間経過後に実施例1と
同様にして活性試験を行った。反応成績は、プロピレン
転化率96.1%、アクリロニトリル収率75.7%で
あった。
を、実施例1と同じ反応器を用いて行った。触媒は特開
平4―118051号公報実施例1に記載されている触
媒(鉄、アンチモン、モリブデン、ビスマス、カリウ
ム、ニッケル、ホウ素およびリンからなるシリカ担体金
属酸化物)に準じた方法で製造した。この触媒3.5リ
ットルを反応器に充填して反応器にプロピレン、アンモ
ニアおよび空気を1.0:1.2:9.5のモル比で供
給して接触期間を3.5秒に、反応温度を430℃に、
反応器圧力を100kPaに調節して10時間の反応を
行った。活性試験における反応成績は、プロピレン転化
率98.8%、アクリロニトリル収率82.1%であっ
た。
アンモニアの流量をモル比で4.0:1.0に調節して
触媒層容積の約400倍量を触媒層に供給した。この
間、反応器出口ガス中の酸素濃度は4.5%であった。
その後、再度活性試験を行った結果、反応成績は、プロ
ピレン転化率98.2%、アクリロニトリル収率82.
4%であった。
供給を同時に停止してから、5時間経過後に実施例2と
同様にして活性試験を行った。反応成績は、プロピレン
転化率96.7%、アクリロニトリル収率79.7%で
あった。
の停止に際して、操業の安全性を確保することと、触媒
劣化の防止の両立が容易にできる。
Claims (4)
- 【請求項1】 流動層反応器を用いたプロピレンまた
はイソブチレンのアンモ酸化反応を停止するに際して、
反応器に供給している含酸素ガス、アンモニアおよびプ
ロピレンまたはイソブチレンの供給を停止した後、反応
器に不活性ガスを触媒層容積の1〜1000倍量供給す
ることを特徴とするアンモ酸化反応の停止方法。 - 【請求項2】 流動層反応器を用いたプロピレンまた
はイソブチレンのアンモ酸化反応を停止するに際して、
反応器に供給しているアンモニアおよびプロピレンまた
はイソブチレンを停止した後、反応器に含酸素ガスの供
給を触媒層容積の0.5〜5倍量継続することを特徴と
するアンモ酸化反応の停止方法。 - 【請求項3】 流動層反応器を用いたプロピレンまた
はイソブチレンのアンモ酸化反応を停止するに際して、
反応器に供給しているプロピレンまたはイソブチレンを
停止した後、反応器に含酸素ガスおよびアンモニアの供
給を触媒層容積の3〜1000倍量継続することを特徴
とするアンモ酸化反応の停止方法。 - 【請求項4】 触媒が鉄およびアンチモン、またはモ
リブデンおよびビスマスを必須成分とする請求項1〜3
の何れか1項に記載のアンモ酸化反応の停止方法。
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