JP2002255776A

JP2002255776A - デオドラント剤

Info

Publication number: JP2002255776A
Application number: JP2001057137A
Authority: JP
Inventors: Masakatsu Hama; 正勝浜; Shunichi Akiba; 俊一秋葉; Katsutoshi Ara; 勝俊荒
Original assignee: Kao Corp
Current assignee: Kao Corp
Priority date: 2001-03-01
Filing date: 2001-03-01
Publication date: 2002-09-11
Anticipated expiration: 2021-03-01
Also published as: JP4723738B2

Abstract

(57)【要約】【解決手段】オウゴン、ゴバイシ、クチナシ、シコン、シ
ャクヤク、エンメイソウ、カミツレ、ツボクサ、コンフリ
ー、アマチャ、カンゾウ、センブリ、冬虫夏草、チンピ、イ
ラクサ及びハマメリスから選ばれる植物及び菌類又はそ
の抽出物からなるデオドラント剤及びβ−グルクロニダ
ーゼ阻害剤。【効果】本発明のデオドラント剤及びβ−グルクロニ
ダーゼ阻害剤は、皮膚の常在菌を殺すことなく、不快な体
臭の発生を持続的に抑制できることから、優れた消臭効
果と高い安全性を有する化粧料等として有用。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ヒトの不快な体臭
の発生を抑制するデオドラント剤に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ヒトの
不快な体臭の防除技術には、制汗機能を有する素材によ
る汗の制御技術、抗菌機能を有する素材による不快臭発
生原因菌の増殖の制御技術、発生した不快な体臭を消臭
する技術及び香りによるマスキング技術等がある。

【０００３】制汗技術としては比較的強い収斂作用を有
するパラフェノールスルホン酸亜鉛やクエン酸、各種の
アルミニウムやジルコニウム塩を用いて発汗を抑制する
方法が考案され、抗菌技術としては体臭の原因物質を作
り出す原因菌(皮膚常在菌を含む)の増殖を抑制する機能
を有するトリクロ酸、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼ
トニウム、塩酸クロルヘキシジン、ハロカルバン等の抗菌
剤を用いて臭気の発生を抑制する方法が考案されてい
る。

【０００４】また、消臭技術としては不快な体臭の原因
物質の―つである低級脂肪酸を亜鉛華(酸化亜鉛)などに
より金属塩に変えることでその特異的な臭気の発生を抑
制する方法やフラボノイドやクロロフィルなど消臭効果
を有する素材の配合が考案され、マスキング技術として
は、香水やオーデコロンにより程度の弱い体臭をマスキ
ングする方法等が考案されている。

【０００５】しかしながら、従来の制汗技術、消臭技術
及びマスキング技術は、効果の持続性という点で充分で
なく、また抗菌技術は不快臭の発生原因菌以外に皮膚常
在菌をも殺菌することで皮膚の一次バリアー機能を低下
させるおそれが示唆されている。

【０００６】本発明は、皮膚の常在菌を殺すことなく、不
快な体臭を持続的に抑制できるデオドラント剤を提供す
ることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、ヒトの不
快な体臭の原因の一つとされる揮発性ステロイド臭の原
因物質であるアンドロステ１６−エン類に着目し、その
生成抑制について検討したところ、特定の植物及び菌類
抽出物に優れたβ―グルクロニダーゼ阻害活性があり、
皮膚常在菌を殺すことなくアンドロステ１６−エン類に
由来する不快な体臭の発生を抑制でき、デオドラント剤
として有用であることを見出した。

【０００８】すなわち本発明は、オウゴン、ゴバイシ、ク
チナシ、シコン、シャクヤク、エンメイソウ、カミツレ、ツ
ボクサ、コンフリー、アマチャ、カンゾウ、センブリ、冬虫
夏草、チンピ、イラクサ及びハマメリスから選ばれる植
物及び菌類又はその抽出物からなるデオドラント剤及び
β−グルクロニダーゼ阻害剤を提供するものである。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明のオウゴンはシソ科（Labi
atae）のコガネバナScutellaria baicalensis Georgiの
周皮を除いた根を、ゴバイシはウルシ科（Anacardiacea
e)のヌルデRhus javanica L.の葉につくヌルデノシロア
ブラムシが寄生した虫えい（虫コブ）を、シコンはムラ
サキ科（Boraginaceae）のムラサキLithospermum eryth
rorhizon Siebold et Zuccariniの根を、シャクヤクは
キンポウゲ科（Ranunculaceae）のシャクヤクPaeonia l
actinora PALL.の根を、エンメイソウはシソ科（Labiat
ae）のヒキオコシIsodon japonicus Haraの茎葉を、ア
マチャはユキノシタ科（Saxifragaceae)のアマチャHydr
andea serrata Seringe var. thunbergii Makinoの葉及
び枝先を、チョウジはフトモモ科（Myrtaceae）のSyzyg
ium aromaticum Merrill et Perryのつぼみを、カンゾ
ウはマメ科（Leguminosae）のGlycyrrhiza uralensis F
ischer, Glycyrrhiza glabra L.又はその他同属植物の
根およびストロンを、センブリはリンドウ科（Gentiana
ceae）のセンブリSwertia japonica Makinoの開花期の
全草を、チンピはミカン科（Rutaceae）ウンシュウミカ
ンCitrusunshiu Markovich又はその他近縁植物の成熟し
た果皮をそれぞれ意味する。

【００１０】クチナシはアカネ科（Rubiaceae）のクチ
ナシGardenia jasminoides Elliであり、主としてその
花及び果実が用いられ、カミツレはキク科（Composita
e）のMatricaria chamomilla L.であり、主としてその
開花期の花弁が用いられ、ツボクサはセリ科（Umbllife
rae）のツボクサCentella asiatica (L. ) RUBANであ
り、主としてその全草が用いられ、コンフリーはムラサ
キ科（Boraginaceae）のヒレハリソウSymphytum offici
nale L.であり、主としてその葉及び根が用いられ、イ
ラクサはイラクサ科（Urtiaceae）のイラクサ（U.thumb
ergiana）であり、主としてその全草が用いられ、ハマ
メリスはマンサク科（Hamamelidsceae）アメリカマンサ
クHamamelis virginianaであり、主としてその葉及び樹
皮が用いられる。冬虫夏草は、バッカクキン科（Clavic
ipitaceae）の菌が昆虫に寄生したキノコである。

【００１１】斯かる植物又はその抽出物は、β−グルク
ロニダーゼ阻害活性を有し、皮膚上でのアンドロステ１
６−エン類の生成を抑制する（後記実施例１）。ここ
で、アンドロステ１６−エン類はヒトの体臭、主に腺臭
の原因臭とされる揮発性ステロイドであり、グルクロン
酸包合されて可溶性を増すことによって汗中に分泌さ
れ、皮膚に生息する細菌(アクネ菌(Propionibacterium a
cne)の代謝を介して生成される。従って、グルクロン酸包
合された前駆物質の代謝に関わるβ−グルクロニダーゼ
を阻害すればアンドロステ１６−エン類の生成が抑制さ
れ不快な体臭の発生を抑制できることから、デオドラン
ド剤として有用である。また、デオドラント剤として
は、皮膚のバリヤー機能の維持に関与する皮膚常在菌に
対して抗菌性、望ましくは殺菌性を示さないものが好ま
しいが、斯かる点においても上記植物及び菌類抽出物は
皮膚常在菌を殺すことがなく有用性が高い（図１）。
尚、ここでいう殺菌性を示さないとは、Ｔｗｅｅｎ８０
を０．５％含むＳＣＤ培地に、被験物質を添加したもの
に皮膚常在菌を接種し、３７℃、２４時間反応後に、胞
子形成菌(Bacillus subtilis)はコントロールに対し菌
数が１／１０以下に減少せず、通常細菌(Staphylococcu
s epidermidis)はコントロールに対し１／１００以下に
減少しないことをいう。

【００１２】本発明のデオドラント剤及びβ−グルクロ
ニダーゼ阻害剤の有効成分である上記植物及び菌類は、
その植物の全草又は葉、根、根茎、果実、種子、花及び
菌類のうちの１以上をそのまま又は粉砕して用いる。ま
た、本発明において抽出物とは、更にこれを常温又は加
温下にて抽出するか又はソックスレー抽出器等の抽出器
具を用いて抽出することにより得られる各種溶剤抽出
液、その希釈液、その濃縮液又はその乾燥末を意味する
ものである。ここで抽出物は、２種以上の植物から得ら
れた混合物であってもよい。

【００１３】抽出に用いる溶剤としては水；メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコ
ール類；プロピレングリコール、ブチレングリコール等
の多価アルコール；アセトン、メチルエチルケトン等の
ケトン類；酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類；テ
トラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状
エーテル類；ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭
素等のハロゲン化水素類；ヘキサン、シクロヘキサン、
石油エーテル等の炭化水素類；ベンゼン、トルエン等の
芳香族炭化水素類；ポリエチレングリコール等のポリエ
ーテル類；ピリジン類などが挙げられ、これらを単独又
は混合物として用いることができる。

【００１４】また、液々分配等の技術により、上記抽出
物から不活性な爽雑物を除去して用いることもでき、本
発明においてはこのようなものを用いることが好まし
い。これらは、必要により公知の方法で脱臭、脱色等の
処理を施してから用いてもよい。

【００１５】当該植物及び菌類又はその抽出物は、本発
明のデオドラント剤及びβ−グルクロニダーゼ阻害剤と
してそのまま用いることもできるが、当該抽出物を希釈
調製して又は濃縮若しくは凍結乾燥した後、粉末又はペ
ースト状に調製して用いることもできる。

【００１６】本発明のデオドランド剤及びβ−グルクロ
ニダーゼ阻害剤は、化粧料、外用医薬品又は医薬部外品
等の製剤、例えばクリーム、乳液、ローション、パウダ
ー、スプレー、スティック等として用いることができ、
またいくつかの使用方法を併用することも可能である。

【００１７】化粧料、外用医薬品又は医薬部外品として
用いる場合のデオドランド剤又はβ−グルクロニダーゼ
阻害剤の含有量は、一般的に０．１〜２０重量％とする
のが好ましく、特に０．５〜１０重量％とするのが好ま
しい。また、植物抽出物としての含有量は、一般的に固
形分換算で０．０００１〜１０重量％とするのが好まし
く、特に０．００１〜５重量％とするのが好ましい。

【００１８】これらの化粧料、外用医薬品又は医薬部外
品には、通常用いられる各種成分、例えば化粧料成分と
して一般的に使用される油分、界面活性剤、アルコール
類、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、増粘剤、色素類、
香料等の他、紫外線吸収剤、美白剤、しわ改善剤、保湿
剤、皮脂分泌抑制剤、柔軟剤、角質保護剤、薬効剤、酸
化防止剤、溶剤等の成分を任意に組み合わせ配合して製
剤化することができる。

【００１９】本発明のデオドランド剤及びβ−グルクロ
ニダーゼ阻害剤は、足、腋、頭部、陰部等不快臭の発生
しやすい箇所に局所的に適用することにより、不快臭の
発生を制御することができる。斯かる場合の製剤の使用
量は、有効成分の含有量により異なるが例えば液状製剤
の場合皮膚面１cm²当たり１〜２０mg、固形状の製剤の
場合、同じく１〜５０mgとするのが好ましい。

【００２０】

【実施例】植物及び菌類抽出物は、いずれも化粧品原料
基準に適合した下記の市販品を使用した。

【００２１】

【表１】

【００２２】実施例１ β−グルクロニダーゼ阻害活性０．１ｍｏｌ／Ｌ酢酸ナトリウム緩衝液（ｐＨ５．０）
０．４mL、０．０６％フェノールフタレイン−β−Ｄ−
グルクロニドナトリウム０．４mL及び１０％に希釈した
植物抽出物０．１mLを試験管に入れ、３７℃で予備加温
する（Ｂｌａｎｋも同じ）。０．２％塩化ナトリウム溶
液で２５０ｕｎｉｔｓ／mLに希釈したβ−グルクロニダ
ーゼ（和光純薬工業株式会社，ウシ肝臓製）を０．１mL
入れ（Ｂｌａｎｋには入れない）、反応を開始する。３
７℃で正確に３０分間加温し、５％トリクロロ酢酸溶液
０．１mLを加え反応を停止する（Ｂｌａｎｋにも入れ
る）。Ｂｌａｎｋに０．２％塩化ナトリウム溶液で２５
０ｕｎｉｔｓ／mLに希釈したβ−グルクロニダーゼ（和
光純薬工業株式会社，ウシ肝臓製）を０．１mL入れた
後、０．２ｍｏｌ／ｌグリシン溶液（ｐＨ１０．４）を
３mL加え発色させる。吸収セル１０ｍｍを用い、５４０
ｎｍにおける吸光度をＢｌａｎｋを対照液として測定す
る。サンプル（１０％に希釈した植物抽出物）の代わり
に蒸留水０．１ｍを入れた物をコントロールとし、コン
トロールの吸光度とサンプルの吸光度から、下記式に基
づきサンプル（１％植物抽出物）のβ−グルクロニダー
ゼ活性阻害率を計算した。

【００２３】β−グルクロニダーゼ活性阻害（％）＝
（１−（サンプルの吸光度／コントロールの吸光度））
×１００

【００２４】また、０．１％植物抽出物及び０．０１％
植物抽出物についても、それぞれ１％及び０．１％に希
釈した植物抽出物をサンプルとし、１％植物抽出物と同
様にβ−グルクロニダーゼ活性阻害率を測定した。結果
を図２に示す。

【００２５】実施例２臭い発生抑制効果（１）β−グルクロニダーゼ処理による臭い発生の確認滅菌処理した秤量ビンに、以下に示す方法により採取
し、濾過滅菌した汗を５mL入れ、０．２％塩化ナトリウ
ム溶液で９００ｕｎｉｔｓ／mLに希釈したβ−グルクロ
ニダーゼ（和光純薬工業株式会社，ウシ肝臓製）を０．
５mL入れ（対照は０．２％塩化ナトリウム溶液０．５mL
入れた）３７℃で２４時間インキュベートし、官能評価
をした。結果を図３に示す。

【００２６】（汗の採取法）一般男性２６人の脇の下
を、蒸留水１．５mLを湿らせた脱脂綿で拭き取った。脱
脂綿を絞り、回収した物（５０mL）を０．４５μｍのフ
ィルターで濾過した後、ＭＩＬＬＩＰＯＲＥのセントリ
プレップＹＭ−１０で濾過し、凍結乾燥をした。これに
５０ｍＭクエン酸緩衝液（ｐＨ５．０）１０mLを入れ汗
とする。

【００２７】（２）臭い発生抑制効果滅菌処理した秤量ビンに、以下に示す方法により採取
し、濾過滅菌した汗を２mL、濾過滅菌した１％ハマメリ
スエキスを０．２mL入れ（対照は、蒸留水０．２mL入
れ）、０．２％塩化ナトリウム溶液で９００ｕｎｉｔ
ｓ／mLに希釈したβ−グルクロニダーゼ（和光純薬工業
株式会社，ウシ肝臓製）を０．２mL入れ３７℃で２４時
間インキュベートし、官能評価をした。結果を図４に示
す。

【００２８】（汗の採取法）一般男性２５人の脇の下
を、蒸留水１．５mLを湿らせた脱脂綿で拭き取った。脱
脂綿を絞り、回収した物（５０mL）を０．４５μｍのフ
ィルターで濾過した後、ＭＩＬＬＩＰＯＲＥのセントリ
プレップＹＭ−１０で濾過をし、凍結乾燥をした。これ
に５０ｍＭクエン酸緩衝液（ｐＨ５．０）１０mLを入れ
汗とした。

【００２９】

【発明の効果】本発明のデオドラント剤及びβ−グルク
ロニダーゼ阻害剤は、皮膚の常在菌を殺すことなく、不快
な体臭の発生を持続的に抑制できることから、優れた消
臭効果と高い安全性を有する化粧料、外用医薬品又は医
薬部外品として有用である。

【図面の簡単な説明】

【図１】植物及び菌類抽出物の皮膚常在菌に対する影響
を示す図である。

【図２】植物及び菌類抽出物のβ−グルクロニダーゼ活
性阻害率を示す図である。

【図３】β−グルクロニダーゼによる汗臭の変化を示す
図である。

【図４】β−グルクロニダーゼ阻害による汗臭生成抑制
効果を示す図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考）Ａ６１Ｋ 35/78 Ａ６１Ｋ 35/78 ＴＪＫ 35/84 35/84 Ａ６１Ｐ 43/00 Ａ６１Ｐ 43/00 １１１１１１ (72)発明者荒勝俊栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会社研究所内Ｆターム(参考） 4C083 AA111 AA112 CC17 4C088 AB11 AB26 AB32 AB38 AB40 AB59 AB62 AC17 AD09 ZA89 ZC20

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】オウゴン、ゴバイシ、クチナシ、シコン、シ
ャクヤク、エンメイソウ、カミツレ、ツボクサ、コンフリ
ー、アマチャ、カンゾウ、センブリ、冬虫夏草、チンピ、イ
ラクサ及びハマメリスから選ばれる植物及び菌類又はそ
の抽出物からなるデオドラント剤。
【請求項２】オウゴン、ゴバイシ、クチナシ、シコン、シ
ャクヤク、エンメイソウ、カミツレ、ツボクサ、コンフリ
ー、アマチャ、カンゾウ、センブリ、冬虫夏草、チンピ、イ
ラクサ及びハマメリスから選ばれる植物及び菌類又はそ
の抽出物からなるβ−グルクロニダーゼ阻害剤。