JP2002241920A - 溶射皮膜及び複合溶射材料 - Google Patents

溶射皮膜及び複合溶射材料

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JP2002241920A
JP2002241920A JP2001033343A JP2001033343A JP2002241920A JP 2002241920 A JP2002241920 A JP 2002241920A JP 2001033343 A JP2001033343 A JP 2001033343A JP 2001033343 A JP2001033343 A JP 2001033343A JP 2002241920 A JP2002241920 A JP 2002241920A
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Japan
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thermal spray
mass
thermal
layer
spray coating
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Tsujihiko Yasuda
辻彦 安田
Akiyoshi Hannou
章祥 阪納
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Chubu Sukegawa Kogyo Kk
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Chubu Sukegawa Kogyo Kk
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 繰り返し使用しても溶損が発生せず、さらな
る溶湯耐久性(長寿命)を有する溶射皮膜を提供するこ
と。 【構成】 被保護基体上に第1〜3溶射層が順次積層さ
れてなる溶射皮膜であって、第1溶射層が、被保護基体
と近似の熱膨張係数を有する耐熱合金で形成され、第2
溶射層が、 ほう化モリブデン(MoB):約30〜70質量%、 ニッケル(Ni)又はコバルト(Co):約20〜40
質量% クロム(Cr):約5〜20質量% Cr、W、Zr、Ni、及びNbのうちから選択される
少なくとも1種の金属ほう化物:約5〜10質量%の組
成を有し、第3溶射層が、溶融軽金属に対して非濡れ性
のセラミック粉末:約25〜75質量%、ほう化モリブ
デン(MoB)粉末:約75〜25質量%の組成を有し
ていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶射皮膜及び該溶
射皮膜を形成する複合溶射材料に関する。特に、アルミ
ニウム、亜鉛、それらの合金等の軽合金溶湯浸食から機
械設備を保護するための溶射皮膜及びその形成材料とし
て好適なものである。
【0002】
【従来の技術】従来、アルミニウム、亜鉛、マグネシウ
ム等の比較的融点の低い金属の鋳造には、ダイカスト
法、重力鋳造法、差圧鋳造法等が利用されている。
【0003】特に差圧鋳造法は、図1に示すような装置
が使用され、内部欠陥の少ない大型の鋳物を得るのに適
しているとされている。図1に示すように吸気口12を
利用して、金型14内の圧力を保持炉16内に比べて低
く保持し、保持炉16内の溶湯18をストークス20を
通して上昇させ、スリーブ22を経て溶湯18を層流と
し、層流充填によって金型14内に充満させる。そして
金型14の内面の溶湯18が凝固したならば、次の鋳造
作業に移るが、この際、スリーブ22内では溶湯18が
下方の保持炉16内に逆流する。
【0004】このように鋳造サイクル毎にスリーブ22
内を繰り返し溶湯18が通過するため、スリーブ22内
面は高温状態で溶湯18に洗われて、浸食を受けること
となる。その結果、スリーブ22はついには折損脱落し
てしまう。このスリーブ22の寿命は溶湯温度が高いほ
ど短命に終わることとなる。
【0005】そして、軽合金溶湯18を扱う温度は、約
700〜750℃と比較的低い温度であった。このよう
な操業条件の下では、例えば、特開平7−62516号
に見られる如くタングステンカーバイド・コバルト(W
C/Co12%)の溶射皮膜が使用されてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、昨今、溶湯の
操業温度を750〜850℃に上昇させて、より精密な
製品を製造しようとする差圧鋳造法が多くのメーカーに
取り入れられ始めた。
【0007】溶湯温度が上昇するにつれ、タングステン
カーバイドでは金属溶湯に対する耐久性(特にWCの耐
酸化性)がなく、スリーブのみならず金型表面の保護皮
膜の酸化消耗が激しく起こるようになった。このため、
金型寿命が極端に短くなり、コスト上昇につながる問題
が発生した。
【0008】そのため、本発明者らは、軽合金溶湯耐久
性に優れた溶射皮膜の構成を先に提案した(特許第30
23500号:下記参照)。「被保護基体上に第1〜3
溶射層が順次積層されてなる溶射皮膜であって、第1溶
射層が、前記保護基体と近似の熱膨張係数を有する耐熱
合金で形成され、第2溶射層が、 ホウ化モリブデン(MoB):30〜70wt%、 ニッケル(Ni)又はコバルト(Co):20〜40wt
% クロム(Cr):5〜20wt% Cr、W、Zr、Ni、及びNbのうちから選択される
少なくとも1種の金属ホウ化物:5〜10wt%の組成を
有し、第3溶射層が、溶融軽金属に対して非濡れ性のセ
ラミックで形成されてなることを特徴とする溶射皮
膜。」上記構成の溶射皮膜は、アルミ溶湯ディッピング
熱サイクルテストの結果、優れた溶湯耐久性を有するも
のであった。
【0009】しかし、上記溶射皮膜を実機に適応した場
合、溶湯の動きが上記サイクルテストの条件と比較して
激しいため、部分的に激しい圧力(衝撃)が加わること
となる。そのため、繰り返し使用するうちに溶射皮膜が
溶損(膨れ・割れ・剥離・浮き上がり等)することが分
かった。
【0010】本発明の目的は、繰り返し使用しても溶損
が発生しない、即ち、さらなる溶湯耐久性(長寿命)を
有する溶射皮膜を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】(1) 本発明の溶射皮膜
は、下記構成により上記課題を解決するものである。
【0012】被保護基体上に第1〜3溶射層が順次積層
されてなる溶射皮膜であって、第1溶射層が、被保護基
体と近似の熱膨張係数を有する耐熱合金で形成され、第
2溶射層が、 ほう化モリブデン(MoB):約30〜70質量%、 ニッケル(Ni)又はコバルト(Co):約20〜40
質量% クロム(Cr):約5〜20質量% Cr、W、Zr、Ni、及びNbのうちから選択される
少なくとも1種の金属ほう化物:約5〜10質量%の組
成を有し、第3溶射層が、 溶融軽金属に対して非濡れ性のセラミック粉末:約25
〜75質量%、 ほう化モリブデン(MoB)粉末:約75〜25質量
%、 の組成を有していることを特徴とする。
【0013】第1溶射層は、被保護基体とほう化モリブ
デン系複合溶射材料との緩衝層の役割を果たすもので、
基体とほう化モリブデン系溶射層との中間の熱膨張係数
を有するものが好ましい。あるいは、ホウ化モリブデン
系溶射層と近似の熱膨張係数を有し、基体とのなじみの
よい金属を溶射して形成するとよい。
【0014】第2溶射層は、高温の金属溶湯の流れによ
る浸食から基体を保護する主要な役割を担うもので、そ
の詳細は以下に説明する。
【0015】第3溶射層は、非常に硬い塗膜であるが故
に、激しい金属溶湯の流れ、あるいは打撃等の外力によ
り、前記第2溶射層が物理的に損傷するのを防止する役
割を果たす。先の特許第3023500号との違いは、
この第3溶射層の構成にある。
【0016】(2) 本発明の鋳造用成形品は、下記構成に
より上記課題を解決するものである。
【0017】第1〜3溶射層が順次積層されて形成され
た溶射皮膜を有する鋳造用成形品であって、第1溶射層
が、前記被保護基体と近似の熱膨張係数を有する耐熱合
金で形成され、第2溶射層が、 ほう化モリブデン(MoB):約30〜70質量%、 ニッケル(Ni)又はコバルト(Co):約20〜40
質量% クロム(Cr):約5〜20質量% Cr、W、Zr、Ni、及びNbのうちから選択される
少なくとも1種の金属ほう化物:約5〜10質量%の組
成を有し、第3溶射層が、 溶融軽金属に対して非濡れ性のセラミック粉末:約25
〜75質量%、 ほう化モリブデン(MoB)粉末:約75〜25質量
%、 の組成を有することを特徴とする。
【0018】(3) 本発明は、上記第3溶射層を形成する
のに好適な、下記構成の溶射材料により上記課題を解決
するものである。
【0019】即ち、溶融軽金属に対して非濡れ性のセラ
ミック粉末:約25〜75質量%と、ほう化モリブデン
(MoB)粉末:約75〜25質量%とを混合してなる
ことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
詳細に説明をする。本明細書中、配合単位は特に断らな
い限り質量パーセント(%)とする。
【0021】溶射皮膜 本発明の溶射皮膜の構成を図2に示す。
【0022】本発明の溶射皮膜は、被保護基体24上に
第1〜3溶射層が順次積層されてなる複層構造であっ
て、第1溶射層26が被保護基体24と近似の熱膨張係
数を有する耐熱合金で形成され、第2溶射層28が、ほ
う化モリブデン系複合溶射材料で形成され、第3溶射層
30が溶融軽金属に対して非濡れ性の硬いセラミックに
ほう化モリブデンを含有した溶射材料で形成されてなる
ことを基本的構成とする。
【0023】上記構成は、被保護基体24と、ほう化モ
リブデン系溶射膜との熱膨張係数の差が大きく、かつ、
より確実な溶湯軽金属に対する非濡れ性が要求される場
合、及び、溶湯が激しく運動することで溶射層を摩耗す
る場合に適応すると効果が顕著となる。
【0024】(1) 各層を構成する際に使用する溶射材料
は、通常下記のようにして調製する。
【0025】各成分の粉体(通常10μm以下の微粒
子)を均一に混合した後造粒し、階級分級して製造す
る。なお、造粒後の粒子は、必要に応じて焼結してもよ
いし、生材のまま使用してもよい。焼結したものを使用
したほうがより良好な溶射層の作成が可能である。
【0026】ここで、混合機・造粒装置・分級装置とし
ては、汎用のものが使用でき、焼結は、900〜135
℃×2〜4h、望ましくは1000〜1250℃×2〜
4hとする。また、分級後の粒度分布は、約125〜5
μmで、望ましくは約106〜10μmの粒子が70%
以上となるようにする。
【0027】また、上記粉状の材料以外に、溶射方法に
よっては線状、棒状材料を使用することもできる。
【0028】溶射方法は特に限定されず、フレーム溶
射、爆発溶射等のガス式溶射、またはアーク溶射、プラ
ズマ溶射等の電気式溶射等により、大気中又は減圧雰囲
気で行う。これらのうちで、プラズマ溶射が、溶射材料
の変質が少なく、かつ、被溶射体にたいする密着性も良
好で望ましい。
【0029】(2) 上記被保護基体24としては、特に限
定されないが、鋳鉄(熱膨張係数:10×10-6
℃)、鋼鉄(熱膨張係数:12×10-6/℃)、等の鉄
製材料、アルミニウム合金(熱膨張係数:20×10-6
/℃)等を好適に使用できる。
【0030】なお、上記材料からなる成形品としては、
従来技術で例示した鋳造用装置の他にも、溶湯が接触す
る部分を有する成形品であれば、適用可能である。
【0031】上記被保護基体24の表面は、第1溶射層
26の形成に先立ち、ショットブラスト等により粗面化
処理しておくことが望ましい。第1溶射層26を形成す
る溶射材料の粒子が被保護基体24の表面に機械的にか
み合い、第1溶射層26と被保護基体24間との密着性
が向上するからである(いわゆる投びょう効果)。
【0032】(3) 第1溶射層26を形成する耐熱合金と
しては、ニッケルクロムアルミニウム(Cr:18〜4
8%、Al:4〜10%、Ni残)、ニクラリー(C
r:16〜25%、Al:6〜13%、Y:0.5〜
1.0%、Ni残)コクラリー(Cr:20〜25%、
Al:11〜15%、Y:0.5〜1.0%、Co
残)、ステライト(Cr:20〜30%、C:0.1〜
2.5%、W:4〜18%、Mo:1〜6%、Ni:3
〜10%、Si:1〜2%、Fe:1〜3%、Co残)
等を挙げることができる。熱膨張係数は、おおむね(1
5〜16)×10-6/℃の範囲である。
【0033】特にニクラリー、コクラリーは、表面にC
23 、Al23 等の酸化被膜が形成されて、優れ
た耐熱酸化作用を示すとともに、Y23 が、実質的に
セラミックス質であるほう化モリブデン系複合溶射材料
からなる第2溶射層28に対して楔効果を奏し、第2溶
射層28に対して良好な密着性を示す。
【0034】この第1溶射層26の厚みは、約20〜2
00μm、望ましくは約40〜100μmとする。厚み
が上記範囲より薄いと、被保護基体24に対する保護作
用を奏し難いとともに、被保護基体24と、第2溶射層
28との間の緩衝層的作用を奏し難い。また、厚みが上
記範囲を超えても、それ以上の効果の増大を期待できな
いとともに、却って経済性が低下する。
【0035】(4) 第2溶射層28を形成するほう化モリ
ブデン系複合溶射材料は、ほう化モリブデン(Mo
B):約30〜70wt%(望ましくは、約40〜60wt
%)、ニッケル(Ni)又はコバルト(Co):約20
〜40wt%(望ましくは、約20〜30wt%)、クロム
(Cr):約5〜20wt%(望ましくは、約10〜15
wt%)、Cr、W、Zr、Ni、及びNbのうちから選
択される少なくとも1種の金属ほう化物:約5〜10wt
%(望ましくは、約5〜8wt%)からなる。
【0036】各構成成分の作用は下記の通りである。
【0037】MoBは、溶射層の硬質層を形成し、W
Cより高温における安定性に優れ、溶融軽金属に対する
耐浸食性を向上させるものである。30wt%未満では耐
浸食性に劣り、逆に70wt%を越えると脆化する。
【0038】Ni又はCoは、展性・延性を有し、結
晶層としての作用を担うものである。20wt%未満では
皮膜が脆くなり、逆に40wt%を越えると皮膜が軟らか
くなりすぎる。
【0039】CrはCoに耐酸化性を与える作用を担
う。5wt%未満では耐酸化性が発揮されず、20wt%を
越えると効果は飽和してしまう。
【0040】Cr、W、Zr、Ni、及びNbのいず
れかから選択される金属ほう化物は、Moと同族(6
族)ないしMoと同周期(5周期)の遷移金属のほう化
物であり、ほう化モリブデンとNiCr又はCoCr
(結合層)との結合性を増大させる作用を担う。これら
のうちで、特にCrB2 は、結合性の作用が大きい。こ
のようなほう化物が5wt%未満では、上記結合性増大作
用が発生し難く、10wt%を越えると効果が飽和してし
まう。
【0041】この第2溶射層28の厚みは、約20〜2
00μm、望ましくは約50〜150μmとする。厚み
が上記範囲より薄いと、被保護基体24に対する保護作
用を奏し難い。また、厚みが上記範囲を超えても、それ
以上の効果の増大を期待できないとともに却って経済性
が低下する。
【0042】(5) 第3溶射層30を形成する複合溶射材
料は、溶融軽金属に対して非濡れ性のセラミック粉末:
約25〜75質量%(望ましくは40〜60質量%)
と、ほう化モリブデン(MoB)粉末:約25〜75質
量%(望ましくは60〜40質量%)との混合物である
ことを基本的特徴とする。
【0043】セラミックを溶射材料の一部として使用す
ることで、形成された溶射層の耐熱(耐高温腐食を含
む)性が向上するため、被保護基体上に形成されたほう
化モリブデン系複合溶射層の損傷を防止可能な溶射層
(保護層)を形成することができる。
【0044】溶融軽金属に対して非濡れ性のセラミック
としては、アルミナ−ジルコニア(Al23 :約60
〜70%、ZrO2 :約30〜40%)又は部分安定ジ
ルコニア(ZrO2 ・Y23 又はZrO2 ・CaO
等)を好適に使用可能である。部分安定ジルコニアと
は、ジルコニアに希土類酸化物(例えば、Y23 )、
CaO、MgOなどを数%添加させて層転移を起こさな
いようにしたものである。
【0045】そして、ほう化モリブデン(MoB)を混
合することにより、更にほう化モリブデン系複合溶射層
の保護効果が向上する。ほう化モリブデンが、上記保護
効果を向上させる理由は、下記の如くと推定される。
【0046】ほう化モリブデンは、溶射層の硬質層を
形成可能であって、高温における安定性に優れている。
そのため、セラミックの耐熱性向上効果と相乗して、従
来以上の保護効果を奏することができる。
【0047】セラミック溶射膜は、通常微小孔を有
し、熱衝撃に弱くクラックが入り易いという欠点を有し
ている。ほう化モリブデンを含有することで上記微小孔
の空隙部が従来と比して減少し、その結果、溶湯が微小
孔に侵入するのをより防ぐことができる。よって、耐熱
衝撃性が向上する。
【0048】保護層がほう化モリブデンを混合するこ
とにより、ほう化モリブデン系複合溶射層との密着性が
向上する。そのため、層間のはがれが発生し難く、皮膜
の寿命が向上する。
【0049】ほう化モリブデンの組成比率が多過ぎて
も、逆に少な過ぎても本発明の効果を奏し難くなる。ま
た、該溶射材料は、物性に大きな影響を与えない限り、
微量成分を含有していてもよい。
【0050】この第3溶射層30の作用は、主として溶
融金属の非濡れ性を確保すること、そして、激しい金属
溶湯の流れ、あるいは打撃等の外力により、前記第2溶
射層28が物理的に損傷するのを防止する役割を果た
す。
【0051】この第3溶射層30の厚みは、約20〜2
00μm、望ましくは約50〜150μmとする。厚み
が上記範囲より薄いと、第3溶射層30の形成効果(溶
融金属の確実な非濡れ性の担保)を奏し難く、約200
μmを越えても効果のそれ以上の増大が期待できず、経
済的に不利となる。
【0052】(6) そして、上記第3溶射層30はセラミ
ック質であるため、従来程ではないが微小孔を有してお
り、溶湯が微小孔に侵入することにより皮膜にクラック
が入る可能性を有している。そのため、耐熱性有機けい
素材料で、含浸強化層32を少なくとも一部に形成して
おくことが望ましい。
【0053】上記第3溶射層30の含浸強化処理に使用
する耐熱性有機けい素材料は、ポリメタロカルボシラ
ン、ジフェニルシリコーン等を挙げることができる。こ
れらにおいて、ポリメタロカルボシランが、耐熱性及び
上記第3溶射層30に対する含浸性に優れており望まし
い。
【0054】含浸強化処理は、スプレー塗布、浸漬塗布
等により、有機けい素材料溶解液を含浸させた後、焼き
付けることが望ましい。この焼き付け条件は、通常、約
200〜500℃×10〜60min とする。
【0055】なお、第3溶射層を形成する溶射材料(溶
射粉末)は、上記のような三層溶射構成ばかりでなく、
単層又は二層構成等における最外溶射層(溶融軽金属接
触層)の溶射材料としての使用も期待できるものであ
る。
【0056】
【発明の効果】本発明の溶射材料は、軽合金溶湯耐久性
に優れた溶射皮膜の形成に寄与し、また、該溶射材料を
用いた溶射皮膜は、優れた溶湯耐久性を有する。
【0057】
【実施例】<実施例>下記記載の溶射材料を用いて約5
00mm×250mm×300mmの鋳型(材質Cr鋼、熱膨
張係数6.0×10-6/℃)に溶射皮膜を形成した。溶
射はプラズマ溶射(プラズマガス:Ar/H2 )により
行った。
【0058】第1溶射層:コクラリー(組成:Cr23
%、Al13%、Y0.6%、Co残)、厚み100μ
m 第2溶射層:ほう化モリブデン系複合溶射材料(組成:
Co30%、Cr15%、CrB2 5%、MoB残)、
厚み100μm 第3溶射層:複合溶射材料(組成:アルミナ−ジルコニ
ア(Al23 :ZrO2 =7:3)、MoB)、厚み
100μm (アルミナ−ジルコニア:MoBの組成比は下記表1に
示した3種類とした。)含浸強化処理:有機けい素樹脂
含浸乾燥(条件:300℃×120min )
【0059】<比較例>第3溶射層をセラミックの組成
をアルミナ−ジルコニアのみに変更する以外は、上記実
施例と同一の条件で鋳型に溶射皮膜を形成した(特許第
3023500号記載の酸化皮膜に相当)。
【0060】上記各鋳型を使用して実機稼働(Al鋳
造)を行った結果を表1に示す。全ての実施例におい
て、比較例よりも格段に耐久性が向上していることが分
かる。比較例の鋳型(従来の溶射皮膜)が600ショッ
ト前後で溶損したのに対して、実施例1及び3は600
0ショットで溶損し、実施例2の鋳型においては700
0ショットを越えても溶損せず、いずれも約10倍以上
もの寿命(耐久性能)を有することが分かる。
【0061】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】差圧鋳造法の装置の概略を示す断面図である。
【図2】本発明の溶射皮膜の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
12…吸気口 14…金型 16…保持炉 18…溶湯 20…ストークス 22…スリーブ 24…被保護基体 26…第1溶射層 28…第2溶射層 30…第3溶射層 32…含浸強化層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 4/18 C23C 4/18 26/00 26/00 K Fターム(参考) 4E093 NB08 4K031 AA03 AB04 AB08 CB22 CB43 CB44 CB49 DA01 DA03 DA04 FA05 FA08 4K044 AA02 AB10 BA02 BA06 BA12 BA13 BA18 BA19 BA21 BB04 BB05 BC01 BC11 CA11 CA59

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被保護基体上に第1〜3溶射層が順次積
    層されてなる溶射皮膜であって、 第1溶射層が、前記被保護基体と近似の熱膨張係数を有
    する耐熱合金で形成され、 第2溶射層が、 ほう化モリブデン(MoB):約30〜70質量%、 ニッケル(Ni)又はコバルト(Co):約20〜40
    質量% クロム(Cr):約5〜20質量% Cr、W、Zr、Ni、及びNbのうちから選択される
    少なくとも1種の金属ほう化物:約5〜10質量%の組
    成を有し、 第3溶射層が、 溶融軽金属に対して非濡れ性のセラミック粉末:約25
    〜75質量%、 ほう化モリブデン(MoB)粉末:約75〜25質量%
    の組成を有していることを特徴とする溶射皮膜。
  2. 【請求項2】 前記非濡れ性のセラミックがアルミナ−
    ジルコニア(Al23 −ZrO2 )であることを特徴
    とする請求項1記載の溶射皮膜。
  3. 【請求項3】 第1溶射層を形成する耐熱合金が、ニッ
    ケルクロムアルミニウム(NiCrAl)、ニクラリー
    (NiCrAlY)、コクラリー(CoCrAlY)、
    ステライト(CoCrW系)の中から選択される1種で
    あることを特徴とする請求項1記載の溶射皮膜。
  4. 【請求項4】 第3溶射層が耐熱性有機けい素材料で含
    浸強化されてなることを特徴とする請求項1、2又は3
    記載の溶射皮膜。
  5. 【請求項5】 前記耐熱性有機けい素材料がポリメタロ
    カルボシランであることを特徴とする請求項4記載の溶
    射皮膜。
  6. 【請求項6】 第1〜3溶射層が順次積層されて形成さ
    れた溶射皮膜を有する鋳造用成形品であって、 第1溶射層が、前記被保護基体と近似の熱膨張係数を有
    する耐熱合金で形成され、 第2溶射層が、 ほう化モリブデン(MoB):約30〜70質量%、 ニッケル(Ni)又はコバルト(Co):約20〜40
    質量% クロム(Cr):約5〜20質量% Cr、W、Zr、Ni、及びNbのうちから選択される
    少なくとも1種の金属ほう化物:約5〜10質量%の組
    成を有し、 第3溶射層が、 溶融軽金属に対して非濡れ性のセラミック粉末:約25
    〜75質量%、 ほう化モリブデン(MoB)粉末:約75〜25質量% の組成を有していることを特徴とする鋳造用成形品。
  7. 【請求項7】 溶融軽金属に対して非濡れ性のセラミッ
    ク粉末:約25〜75質量%と、ほう化モリブデン(M
    oB)粉末:約75〜25質量%とを混合してなること
    を特徴とする複合溶射材料。
  8. 【請求項8】 前記非濡れ性のセラミックがアルミナ−
    ジルコニア(Al23 −ZrO2 )であることを特徴
    とする請求項7記載の複合溶射材料。
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