JP3383592B2 - 溶融金属用容器およびその表面処理方法 - Google Patents

溶融金属用容器およびその表面処理方法

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JP3383592B2
JP3383592B2 JP25704098A JP25704098A JP3383592B2 JP 3383592 B2 JP3383592 B2 JP 3383592B2 JP 25704098 A JP25704098 A JP 25704098A JP 25704098 A JP25704098 A JP 25704098A JP 3383592 B2 JP3383592 B2 JP 3383592B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼製、銅製鋳型の
如き溶融金属用容器およびその表面処理方法に関し、特
に鋳鉄や鋳鋼の溶湯(溶鉄、溶鋼)を鋳造するときに用
いる鋳型を好適例とする容器内壁面の表面処理方法に関
するものである。
【0002】なお、本発明の技術は、鋳型の他、溶鋼等
と接する製鋼用ランスパイプ、連続鋳造用タンディッシ
ュ、取鍋などの製鋼炉付帯設備及び非鉄金属精錬用付帯
設備としての各種の容器、さらにはボイラ、ガスタービ
ン、加熱炉などにおいて、熱遮蔽皮膜、断熱皮膜を必要
とする分野の容器基材の表面処理技術としても応用でき
るものである。
【0003】
【従来の技術】以下、本発明の技術を主として遠心鋳造
法によって、鋼鋳物を生産するために用いられる鋳型内
壁面に適用した例で説明する。従来、鋳鉄、鋳鋼品の製
造に供される遠心鋳造用鋳型は、耐熱鋳鋼(JIS G5122
SCH-1〜3,SCH 11〜15) を用い、溶融金属(溶鉄)と
接する部分には珪藻土を塗布したもので構成されてい
る。また、珪藻土の塗布に代えて耐熱性金属とセラミッ
ク皮膜を形成する技術が、特開昭55−156643号公報、特
開昭62−13236 号公報などで提案されている。その他、
本発明者らもさきに、特開昭62−243615号公報、特開平
1−210152号公報において、鋳型の基材表面に、耐熱合
金溶射または耐熱合金と酸化物系セラミック皮膜を組合
わせた耐熱溶射皮膜を形成する技術を提案した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、遠心鋳造用
鋳型の内面、特に注入金属溶湯と接する鋳型内壁面は、
鋳造時に発生する遠心力によって大きな熱負荷を受け
る。したがって、このような用途に使われる鋳型内壁面
は、熱疲労による材質の劣化が激しく、亀裂の発生や亀
裂の成長に伴う局部的結晶粒子の脱落現象によって、激
しい損傷を受ける。その結果、鋳型としての機能が低下
し、寿命が著しく短かくなるという問題点があった。
【0005】さらに、溶射皮膜を施工しない方法では、
毎回の鋳造時には鋳型内壁面に珪藻土粉末の塗布が必要
である。ところが、この作業は多くの人手を要し、さら
に塗布した珪藻土を乾燥させるための時間も必要となる
うえ、作業環境上も好ましくないという問題もあった。
【0006】一方、珪藻土に代えて溶射皮膜を形成する
方法は、確かに生産性が向上するうえ鋳型本体の熱疲労
速度が低下するなどの一定の効果は得られている。しか
し、溶融金属が凝固する時に発生するガスによる微小気
泡(すなわち、鋳巣)を発生して品質の劣化を招くとい
う問題点があった。
【0007】そこで、本発明の主たる目的は、鋳型等容
器の寿命の向上に寄与する表面処理技術を提案すること
にある。本発明の他の目的は、溶融金属から発生するガ
スの吸収・発散特性に優れる表面処理皮膜を提案するこ
と、ならびに製品鋳物の品質向上にも寄与する容器の表
面構造を提案することにある。本発明のさらに他の目的
は、鋳型等の溶融金属用容器の表面処理の方法を提案す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上掲の目的を実現すべく
鋳型を取りまく上記課題について鋭意研究を重ねた結
果、とくに鋳巣の原因となるガスの発生は、この鋳型が
溶融金属の注入という高温環境下に曝されたとき、この
鋳型の内壁面に形成した酸化物系セラミック溶射皮膜が
焼結反応を起こして緻密化し、使用前の溶射時に維持し
た気孔率が次第に低下しその結果ガスの流通が妨げられ
て放散ができなくなることに起因していることをつきと
めた。すなわち、鋳型の内壁面に形成した従来のZrO2
射皮膜では、初期の気孔率を長期にわたって維持するこ
とができず、溶融金属から放出されるガス成分の逃げ場
を失い、これによって、鋳物中に気泡(鋳巣)を発生す
ることがわかってきたのである。しかも、ガス成分の逃
げ場がなくなった溶射皮膜は、しばしばガス圧によって
破壊されるという問題もあることがわかってきた。
【0009】そこで、本発明では、従来技術がかかえて
いる上述した問題点を克服する手段として、基本的に、
容器の溶融金属と接する基材面に、アンダーコートとし
て、Ni,Co,Cr,Al,YおよびTaのうちから選ばれた2
種以上の組合わせにかかる耐熱合金を溶射して得られる
緻密質金属溶射皮膜を有し、その上にトップコートとし
て、安定化成分の量が6〜30wt%である安定化ZrO 2 また
部分安定化ZrO2を主成分としてこれに、 安定化
成分を含まない純ZrO2を1〜5wt%または安定化
成分の量が5wt%未満である未安定化ZrO2を2〜20wt%
または、 安定化成分を含まない純ZrO 2 を1〜5wt%
および安定化成分の量が5wt%未満である未安定化ZrO 2
を2〜20wt%添加してなる混合ZrO2粉末を溶射して得ら
れる多孔質セラミック溶射皮膜を有することを特徴とす
る溶融金属用容器を提案する。
【0010】また、本発明は、容器の溶融金属と接する
基材面に、その基材側の下層が主として、Ni,Co,Cr,
Al,YおよびTaのうちから選ばれた2種以上の組合わせ
にかかる耐熱合金を溶射して得られる緻密質金属溶射層
からなり、表面側の上層が主として、安定化成分の量が
6〜30wt%である安定化ZrO 2 または部分安定化ZrO2を主
成分としてこれに、 安定化成分を含まない純ZrO2
を1〜5wt%または安定化成分の量が5wt%未満
である未安定化ZrO2を2〜20wt%または、 安定化成
分を含まない純ZrO 2 を1〜5wt%および安定化成分の量
が5wt%未満である未安定化ZrO 2 を2〜20wt%添加して
なる混合ZrO2を溶射して得られる多孔質セラミック溶射
層からなり、そして、上記各溶射層は基材側に近いほど
耐熱合金の含有量が多く、一方表面側に近いほどZrO2
含有量が多い濃度勾配をもつ単層の溶射皮膜であること
を特徴とする溶融金属用容器も有効な課題解決手段とな
り得る。
【0011】なお、本発明においては、アンダーコート
の緻密質金属溶射皮膜は、厚みが50〜500μmで気孔率が
5%以下であり、トップコートの多孔質セラミック溶射
皮膜は厚みが200〜1000μmで気孔率が5〜25%とするこ
とが好ましい。
【0012】上述した本発明の容器は、この容器の溶融
金属と接する基材面に、まず、Ni,Co,Cr,Al,Yおよ
Taのうちから選ばれた2種以上の組合わせにかかる耐
熱合金粉末を溶射して緻密質金属溶射皮膜を形成し、次
いで、その皮膜上に、安定化成分の量が6〜30wt%であ
る安定化ZrO 2 または部分安定化ZrO2を主成分として
れに、 安定化成分を含まない純ZrO2を1〜5wt%ま
たは安定化成分の量が5wt%未満である未安定化
ZrO2を2〜20wt%または、 安定化成分を含まない純
ZrO 2 を1〜5wt%および安定化成分の量が5wt%未満で
ある未安定化ZrO 2 を2〜20wt%添加してなる混合ZrO2
末を溶射することにより、気孔率が5〜25%の多孔質セ
ラミック溶射皮膜を形成するという表面処理方法を採用
することで得ることができる。
【0013】また、本発明は、容器の金属溶湯と接する
基材面に、まず始めに、Ni,Co,Cr,Al,YおよびTaの
うちから選ばれた2種以上の組合わせにかかる耐熱合金
粉末を溶射し、次いで、安定化成分の量が6〜30wt%で
ある安定化ZrO 2 または部分安定化ZrO2を主成分とし
れに、 安定化成分を含まない純ZrO2を1〜5wt%ま
たは安定化成分の量が5wt%未満である未安定化
ZrO2を2〜20wt%または、 安定化成分を含まない純
ZrO 2 を1〜5wt%および安定化成分の量が5wt%未満で
ある未安定化ZrO 2 を2〜20wt%添加してなる混合ZrO2
末を溶射し、このとき、上記基材側に近いほど耐熱合金
の含有量が多くなるようにすると共に表面側に近いほど
ZrO2含有量が多くなるようにした傾斜配合にかかる溶射
材料を溶射することにより、基材側を緻密質金属がリッ
チな溶射層とすると共に表面側を多孔質セラミックがリ
ッチな溶射層としてなる濃度勾配をもつ溶射皮膜を形成
するという表面処理方法を採用することで得ることがで
きる。
【0014】なお、本発明の好ましい実施態様では、溶
射皮膜を形成した後、実機での使用に先立ち、電気炉中
で1050℃〜1100℃の温度域において昇温と降温とを繰り
返す処理を行うことによって、溶射皮膜中の安定化成分
を含まない純ZrO2、安定化成分の含有量が1〜5wt%未
満の未安定化ZrO2の破壊、脱落を予め促進することによ
り、使用時の焼結反応による該溶射皮膜の緻密化を未然
に防止するような処理を行うことは有効である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる溶融金属用
容器について、遠心鋳造用鋳型に適用する場合につい
て、この鋳型のうちの溶鉄と接する内壁面に溶射する溶
射材料と、この材料を溶射することによって形成した複
合溶射皮膜の作用機構について説明する。
【0016】(1)溶射材料本発明で使用する溶射材料
としては、Ni,Co,Cr,Al,YおよびTaのうちから選ば
れた2種以上の組み合わせにかかる耐熱合金粉末と、純
ZrO2,未安定化ZrO2および安定化ZrO 2 または部分安定化
ZrO2の混合ZrO2セラミック粉末とを用いる。前者は主と
してアンダーコート用として、後者はトップコート用と
して施工する。 a.アンダーコート用溶射材料上掲のアンダーコート用耐
熱合金溶射材料の化学成分は表1に示すとおりであり、
いずれも高温環境下で耐熱性、耐高温酸化性に優れたCr
2O3,Al2O3などの酸化膜を形成させる合金である。
【0017】
【表1】
【0018】b.トップコート用溶射材料上掲のトップコ
ート用混合ZrO2溶射材料の例を表2に示す。この例示の
混合ZrO2溶射材料は、主成分として、Y2O3,CaO,CeO2
あるいはMgOなどの結晶安定化成分を、6〜30wt%含む
安定化ZrO 2 または部分安定化ZrO2を含み、そして、この
安定化ZrO 2 または部分安定化ZrO2に対し、さらに安定化
成分を含まない純ZrO2を1〜5wt%添加するか、安定化
成分の含有量が5wt%未満である未安定化ZrO2を2〜20
wt%添加するか、または安定化成分を含まない純ZrO 2
1〜5wt%および安定化成分の含有量が5wt%未満であ
る未安定化ZrO 2 を2〜20wt%添加したZrO2系セラミック
スである。
【0019】かかる混合ZrO2溶射材料において、安定化
ZrO 2 または部分安定化ZrO2に対する純ZrO2の添加量を1
〜5wt%の範囲にした理由は、1wt%以下ではトップコ
ートとしての必要な気孔率が得られず、一方その添加量
が5wt%以上だと逆に気孔率が大きくなりすぎて鋼が気
孔内に侵入のおそれがあるうえ、皮膜の機械的強度が低
下するからである。
【0020】また、安定化成分量の含有量が5wt%未満
である未安定化ZrO2の場合、2〜20wt%の範囲内で添加
することが必要であるが、その添加量が2wt%未満では
溶射皮膜の気孔率が小さくなり、一方20wt%以上の添加
は逆に気孔率が大きくなりすぎて該皮膜の機械的性質が
低下する。
【0021】なお、純ZrO2と未安定化ZrO2の両者を添加
する場合は、純ZrO2の添加量の範囲を優先(1〜5wt
%)し、残りを後者の未安定化ZrO2の含有量とすればよ
い。すなわち、両者が共存するトップコートでは両者の
含有量の最大は20wt%であり、この量から純ZrO2含有量
を差し引いた残りのものが未安定化ZrO2となる。
【0022】これらのトップコート用混合ZrO2系溶射材
料は粒径が3〜80μm の範囲のものが好適である。この
理由は、3μm より小さい粒径の粉末では溶射装置への
連続供給が難しい。一方、80μm より大きい粒径の粉末
では溶射熱源中で完全に溶融することがないため、皮膜
を構成する粒子同志の相互結合力が低下するので好まし
くないからである。
【0023】
【表2】
【0024】(2)溶射皮膜の形成 a.緻密質金属溶射皮膜によるアンダーコートの形成 溶鉄に接する製鉄用鋳型の基材面に、プラズマ溶射法ま
たは高速フレーム溶射法によって、Ni, Co, Cr, Al, Y
およびTaのうちから選ばれた2種以上からなる合金粉末
をアンダーコートとして、50〜500 μm の厚さになるよ
うに施工(被覆)する。一般に、鋳型の内壁面に施工さ
れるアンダーコートというのは、基材との密着性に優れ
るとともに、トップコートとの密着性にも優れているこ
とが必要である。また、鋳型に施工されるトップコート
というのは、断熱性を良くするために、外部からの高温
のガスや空気が侵入しやすい多孔質な溶射皮膜を形成す
る必要があるため、これらのガス体による酸化作用に対
して十分な抵抗性を発揮する皮膜にする必要がある。
【0025】このような理由から、かかるアンダーコー
トは、可能な限り緻密であることが求められ、本発明で
は気孔率が0.5〜5%の範囲内である溶射皮膜とする。
その理由は、0.5%以下の気孔率をもつ皮膜というの
は、溶射法では形成が困難であり、一方アンダーコート
溶射皮膜が5%を超える気孔率になると基材の酸化を阻
止することができなくなるからである。この意味におい
て、本発明では、溶射条件(熱源,雰囲気,溶射粒子の
飛行速度 etc.)を制御することの他、溶射材料粉末
(合金粉末の粒径を制御する。例えば、5〜80μm、好
ましくは10〜50μmの粒子径のものを用いる。粒径が5
μm未満では溶射ガンへの粉末の供給が悪く、一方80μm
以上では粒子結合力が弱くかつ上記の気孔率をもつ緻密
質合金溶射皮膜が得られないからである。
【0026】b.多孔質セラミック溶射皮膜によるトップ
コートの形成 アンダーコートの上に形成するトップコートは、溶鉄の
如き高温の溶融金属と接してもこれによく耐えるととも
に、その溶鉄からの熱がアンダーコートおよび基材に及
ぶことを防ぐ皮膜にする必要がある。このためトップコ
ートは、耐熱性に優れると共に熱伝導性が低く、かつ空
間による空気断熱性を利用すべく多孔質であることが重
要である。このような要請に応えるために本発明では、
耐熱性と熱伝導性に関する上記条件を満足するものとし
て、ZrO2系溶射材料に着目した。しかも、この材料は空
間を利用した空気断熱性に優れているものである。
【0027】なお、上記の空気断熱性に優れるというこ
とは、該皮膜の気孔中に十分な空気層を形成できること
を意味している。例えば、鋼の連続鋳造用鋳型では、鋳
造する溶鋼中にガス成分を含むことから、そのガスが溶
鋼の凝固に伴って放出される場合でも、該トップコート
であるセラミック溶射皮膜が多孔質であれば、前記放出
ガスを十分に吸収することができる。ところが、もし、
この溶射皮膜中に放出ガスを吸収するための気孔が少な
くかつガスの放出経路が形成されていないと、空気断熱
性が低下すると同時にガスは逃げ場を失い、鋳物にピン
ホールを生成したり該皮膜の脱落を招くことになる。
【0028】この点、もし従来技術のように、該トップ
コート溶射皮膜が、安定化成分を6〜30wt%を含むZrO2
系溶射材料のみで被覆形成されていたとしたら、使用初
期の皮膜気孔率がガス成分の放出に十分であったとして
も、使用中に焼結反応を起こしてその気孔率が低下して
くるため、ガス放出性能が次第に低下してくることにな
る。
【0029】そこで、本発明ではトップコートである緻
密質セラミック溶射皮膜として、次のような溶射材料に
よる溶射皮膜を被覆形成することにした。即ち、主成分
として、CaO,MgO,Y2O3あるいはCeO2などの安定化成分
を6〜30wt%を含む安定化ジルコニアまたは部分安定化
ジルコニア(ZrO2)粉末を用い、これに安定化成分を含ま
ない純ZrO 2 たは安定化成分を5wt%未満だけ含む未
安定化ZrO2 または、安定化成分を含まない純ZrO 2 および
安定化成分を5wt%未満だけ含む未安定化ZrO 2 を混合し
た混合ZrO2溶射材料をプラズマ溶射することによって、
トップコートを形成するようにした。一般にZrO2系溶射
材料というのは、これをプラズマ溶射すると、ZrO2は、
プラズマ熱源に接して加熱昇温する一方でアンダーコー
ト表面への付着に伴う冷却による降温とが起こり、ま
た、溶射皮膜にした後でも、溶鉄と接触することによる
昇温と鋳型の冷却に伴う降温という温度変化が発生す
る。しかも、この温度変化は、結晶型の変化が起こる10
50℃〜1100℃を通過することになる。このような場合、
ZrO2はまさにこの温度域で結晶型が単斜晶型から正方晶
型へと相転移し、またその逆の相転移を繰り返し受ける
こととなる。これらの結晶型の変化は同時に4〜7vol.
%に達する体積変化を伴うため、ZrO2の粒子そのものが
破壊されるのみならず、微粉末となって脱落し、その跡
が気孔となって皮膜の焼結反応による気孔率の低下を補
完することとなる。
【0030】なお、トップコート用溶射材料の主成分で
ある安定化成分を6〜30wt%含む安定化ZrO 2 または部分
安定化ZrO2は、加熱−冷却というヒートサイクルを受け
た場合には亀裂を発生する性質がある。ただしその亀裂
は、極めて微細であり、かつこれらの微細亀裂は加熱、
冷却時に発生する熱応力の吸収に好都合であり、それ故
にこそ耐熱性と、断熱性を兼ね備える溶射材料として有
用である。しかしながら、その亀裂があまりにも微細で
あるために、たとえば溶鋼と接触するような高温環境下
で使用されると、焼結反応によって、その亀裂が接合
し、気孔率の低下を招くのが実情であり、したがって、
このような安定化ZrO 2 または部分安定化ZrO2粉末だけを
溶射被覆するだけでは不十分である。
【0031】そこで、本発明のトップコート用溶射材料
としては、安定化成分を含まない純ZrO2粉末または、安
定化成分の含有量が5wt%未満の未安定化ZrO2粉末を混
合して用いることにした。これら純ZrO2および未安定化
ZrO2は、とくに前者の場合結晶型の変化をこれに伴う体
積変化率が大きく、後者の場合でも純ZrO2に比べると小
さいものの、安定化成分を6wt%以上含む安定化、部分
安定化ZrO2に比較するとはるかに大きく、加熱−冷却と
いうヒートサイクルを受けると、該皮膜中に明確な亀裂
が発生する。これが長期間にわたって繰返されると、や
がて粉末となって脱落し、この部分が気孔となって、ガ
ス成分の流通を容易に行なうようになる。つまり、この
ようなZrO2混合粉末を用いて形成した溶射皮膜は、時間
の経過と共に常に新らたな開気孔を生成することになる
ので、長期にわたって一定の気孔率を維持することがで
きる。
【0032】以上説明したように、トップコートは、こ
のような作用機構によって、溶射成膜時から、実機での
使用によって寿命が終了するまで、常にほぼ均等な気孔
率を維持することができる。上述したように、トップコ
ートの気孔率は、5〜25%の範囲がよく、5%未満では
ガス成分の流通が不十分になるうえ、皮膜そのものの耐
熱衝撃性が低下する。また、この気孔率が25%以上では
ガス成分の流通には優れているものの、皮膜の機械的強
度が低下してくるので、僅かな振動や衝撃によっても亀
裂が発生したり、局部的に剥離することが多くなるので
【0033】なお、かかるトップコートの厚さは100 〜
1000μm の範囲がよく100 μm より薄い場合は断熱効果
に乏しく、一方1000μm 以上の厚膜では皮膜の機械的強
度が低下するので好ましくない。好ましくは 200〜500
μm が推奨される。
【0034】上述した例は、溶射皮膜がアンダーコート
としての緻密質金属溶射皮膜(層)と、トップコートと
しての多孔質セラミック(ZrO2)溶射皮膜(層)との2層
構造をもつものについての説明である。本発明は、この
ような2層構造の例の他に、2種の粉末を傾斜配合した
溶射材料を溶射することにより、アンダーコートとトッ
プコートの境界がない、いわゆる濃度勾配をもつ単層の
溶射皮膜とすることもできる。
【0035】即ち、本発明の代表的な実施形態では、溶
射皮膜はアンダーコートとトップコートとの2層構造を
有するものであるが、濃度勾配のある単層溶射皮膜の例
では、基材側ほど耐熱合金成分の含有量が多く、一方、
皮膜表面側ほどZrO2成分の含有量が多くなるように、溶
射材料成分の配合割合を傾斜的に変化させた溶射層とす
るものである。従って、この場合、トップコートの最表
層は上記混合ZrO2粉末のみからなる溶射層が被覆形成さ
れた状態となる。
【0036】
【実施例】実施例1 この実施例では、プラズマ溶射方法によってアンダーコ
ートとトップコートを形成した後、電気炉中で加熱と降
温を繰返し、トップコートの表面と断面を光学顕微鏡及
び画像解析装置を用いて気孔率の変化を調査した。 (1)供試皮膜 アンダーコートの形成 プラズマ溶射法によって表1記載のA合金をSUS 304 鋼
基材 (50mm×50mm×8mm+)上に300 μm 厚に施工し
た。 トップコートの形成 プラズマ溶射法によって下記材料を300 μm 厚に形成し
た。 a.8wt%Y2O3−92wt%の部分安定化ZrO2粒子に、1wt
%、3wt%、5wt%の割合いでZrO2を添加したもの。 b.12wt%CeO2−88wt%部分安定化ZrO2粉末に純ZrO2粉末
を3wt%の割合いで添加したもの。 c.8wt%Y2O3−5wt% CaO−87wt%安定化ZrO2粉末に純
ZrO2粉末を3%の割合いで添加したもの d.8wt%Y2O3−92wt%部分安定化ZrO2粉末に2wt%Y2O3
−98wt%未安定化ZrO2粉末を15wt%の割合いで添加した
もの。 e.8wt%Y2O3−92wt%部分安定化ZrO2粉末に純ZrO2粉末
1wt%と5%CeO2−95wt%未安定化ZrO2粉末を12wt%添
加したもの。なお比較例として f.純ZrO2(安定化成分を含まないもの) g.8wt%Y2O3−92wt%部分安定化ZrO2粉末 h.8wt%Y2O3−8wt%CeO2−84wt%安定化ZrO2粉末 などのトップコートを同時に調査した。 加熱条件 電気炉中で1100℃×1h 加熱後、炉中において1000℃ま
で冷却した後再び1100℃に昇温する操作を15回繰返し
た。
【0037】実験結果 実験結果を表2に示した。この表に示す結果から明らか
なように、比較例のNo. 8は安定化成分が含まれていな
い純ZrO2であるため溶射皮膜が過度に多孔質で、アンダ
ーコートとの密着性も弱く、そして機械的な衝撃を加え
ると簡単に剥離する状況にあった。このため1回の昇温
−降温過程で溶射皮膜の一部が剥離した。また、8YZ,
(No.9)8Y8CeZ (No.10)のように安定化・部分ZrO2のみ
を用いた例では、溶射皮膜は適度な気孔率(8〜18%)
を有しているものの、加熱によって焼結反応を起し次第
に気孔率が低下した。これに対し、本発明に適合する溶
射皮膜 (No. 1〜7)のように、安定化・部分安定化Zr
O2の他に、純ZrO2と未安定化ZrO2を含む例では、純ZrO2
や未安定化ZrO2の存在によって加熱後も溶射直後の気孔
率を永く維持しており、長期間にわたって適度な気孔率
が確保できることがわかった。
【0038】実施例2 この実施例では、鋳鉄の遠心鋳造鋳型の内壁面に、本発
明に適合する溶射皮膜と比較例の溶射皮膜を形成して、
それぞれ実作業を繰り返し行ない、溶射皮膜の健全性、
鋳物の品質などを調査した。 (1)供試した鋳型の概要 供試した鋳型は図1に示す通りのものである。図示の符
号のうち、この鋳型1は、鋳枠2、前蓋3、後蓋4によ
って構成され、前蓋3の中心部開口部には溶鉄5を注入
するための注入箱6が設けられている。そして、鋳枠2
の外周部はローラ7と接触しており、該鋳枠2はこのロ
ーラ7の駆動力によって回転し、溶湯はそれによって鋳
型の内壁8に押しやられ中空鋳物をつくるようになって
いる。この実施例で用いる鋳型は、耐熱鋼鋳鋼品−JIS
G5122 (1980) SCH12を用いて成形した、内径300mm 、長
さ600mm のものであり、その溶鉄と接する内面には次の
ような皮膜を形成した。 (2)供試皮膜 表1記載のC合金を200 μm 厚にアンダーコート溶射し
た後、下記トップコートを300 μm 厚に施工した。 a.8wt%Y2O3−92wt%部分安定化ZrO2粉末に、3wt%の
割合いで純ZrO2粉末をブレンドしたもの。 b.同上に2wt%Y2O3−98wt%未安定化ZrO2粉末を3wt%
添加したもの。 c.同上に純ZrO21wt%と4wt%Y2O3−96wt%未安定化Zr
O2粉末10wt%とを添加したもの。 また、比較として、8wt%Y2O3−92wt%部分安定化ZrO2
粉末のみの溶射皮膜にて、300 μm 厚のトップコート形
成したものを用いた。参考のため珪藻土塗布法も試験し
た。
【0039】(3)調査項目と結果 鋳鉄(JIS G5501 相当品)を1380℃〜1420℃の温度で容
器に注入して製品とする操作を100 回連続繰返した後、
それぞれの溶射皮膜の気孔率の変化、皮膜の外観変化、
鋳造製品の欠陥率、容器本体の健全性などを調査した。
表3は、その結果を示したものである。この表に示す結
果から明らかなように、比較例の8YZ皮膜(No.4)で
は、溶射皮膜そのものに特に異常は認められなかったも
のの、該溶射皮膜の気孔率が使用回数の増加に伴って減
少し、その結果ガス成分の放出性能が悪くなって製品の
気泡が発生することが多くなり、不良率が大きくなる傾
向が認められた。これに対し、本発明に適合する溶射皮
膜(No. 1,2,3)は皮膜は健全であるうえ、気孔率
を永く低下せず、製品の不良率も比較例に比べ、小さい
結果となった。なお比較例の珪藻土塗布(No.5)は度々
塗布を繰り返す必要があるうえ、容器本体に熱疲労亀裂
の発生らしきものが確認され、性能的に最も低い被覆法
であった。
【0040】
【表3】
【0041】実施例3 この実施例では、アンダコートを80μm 厚に形成した
後、その上に施工するトップコートにアンダコート合金
と本発明のトップコート材料の混合物を用い、容器側ほ
ど耐熱合金量を多く、表面側ほど本発明のZrO2粉末が多
くなるような濃度勾配をもつ単相の溶射皮膜を形成した
ものを用い、実施例2と同条件で実験した。 (1)供試皮膜 アンダコートとして耐熱合金を、表1記載のB, D合金
をそれぞれ溶湯容器の内面に80μm 厚に施工した後、そ
の上に以下に示すような混合材料を300 μm 厚に被覆形
成し、最外層50μm はアンダーコート合金の全くない層
とした。 a.(B合金80wt%/8YZ・3ZrO2,20wt%)100 μm (B合金50wt%/8YZ・3ZrO2,50wt%)100 μm (B合金30wt%/8YZ・3ZrO2,70wt%)100 μm (8YZ・3ZrO2,100 wt%) 50 μm b.(D合金80wt%/8YZ・3ZrO2,20wt%)100 μm (D合金50wt%/8YZ・3ZrO2,50wt%)100 μm (D合金30wt%/8YZ・3ZrO2,70wt%)100 μm (8YZ・3ZrO2,100 wt%) 50 μm c.(B合金80wt%/8YZ・3ZrO2 +2YZ,20wt%)100 μ
m (B合金50wt%/8YZ・3ZrO2 +2YZ,50wt%)100 μm (B合金30wt%/8YZ・3ZrO2 +2YZ,70wt%)100 μm (8YZ・3ZrO2 +2YZ, 100wt%) 50 μm
【0042】このように濃度勾配をもつ溶射皮膜を用い
て、100 チャージの溶鉄を処理した結果においても、こ
の溶射皮膜は健全な状態を維持し、不良率も実施例2の
場合と同等の低い値を示した。
【0043】実施例4 本実施例では、安定化成分含有量の異なる各種のZrO2
用いてトップコートを形成した後、熱衝撃試験を行ない
高温環境下における耐久性を調査した。 (1)供試皮膜 アンダコートの形成 高速フレーム溶射法によって表1記載のA合金をSUS 30
4 鋼基材 (50mm×100mm ×8mm+)上に300 μm 厚に施
工した。 トップコートの形成 プラズマ溶射法によって下記材料を300 μm 厚に形成さ
せた。 a.1wt%Y2O3−99wt%ZrO2 b.5wt%Y2O3−95wt%ZrO2 c.1wt%Y2O3−2wt%CeO2−97wt%ZrO2 d.6wt%Y2O3−94wt%ZrO2 e.10wt%Y2O3−90wt%ZrO2 f.12wt%CeO2−88wt%ZrO2 g.24wt%MgO −76wt%ZrO2 h.28wt%CaO −72wt%ZrO2 未安定化ZrO2粉末(安定化成分量1〜5wt%)の特性を
利用し、これを安定化成分の含有量が6〜5wt%の部分
安定化ZrO2粉末に混合して使用した。 (2)熱衝撃試験条件 供試皮膜を電気炉中で1070℃×0.5h加熱後空冷して600
℃まで冷却の操作を1サイクルとして20サイクル実施し
た。
【0044】(3)実験結果実験結果を表4に要約し
た。この結果から明らかなように、安定化成分のY2O3
CeO2,MgO,CaOなどの含有量が、6wt%〜28wt%の安定
ZrO 2 または部分安定化ZrO2の溶射皮膜は、昇温−降温
のヒートサイクルを伴う結晶型の変化とそれによる体積
変化量が小さいため高い耐熱衝撃性を示している。この
点については、実施例1においても述べたように、これ
らの安定化ZrO 2 または部分安定化ZrO2のみを溶射した皮
膜は、加熱によって焼結反応が進むため皮膜の気孔率が
次第に低下し、鋳型の如き溶融金属用容器の皮膜として
は、ガス成分の放散が妨げられる不都合を生ずる。即
ち、このような溶射皮膜では熱衝撃に弱く実用化できな
いことがわかった。
【0045】
【表4】
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかる溶
融金属用容器は、高温環境下で長時間にわたって使用し
ても、基材表面に形成した溶射皮膜中に含まれている純
ZrO2あるいは未安定化ZrO2の存在によって、焼結反応に
よる緻密化現象を伴なわず常に適度な気孔率を維持し
て、溶鋼から放出される各種ガス成分の放散が促進され
る。従って、ガス成分に起因する鋳物製品の不良率の発
生を抑制することができる。その上、耐熱機能は従来皮
膜に比較して遜色がないため高品質製品の生産性向上と
生産コストの低減に大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋳造用鋳型を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 鋳型 2 鋳枠 3 前蓋 4 後蓋 5 溶鉄 6 注入箱 7 ローラ 8 鋳型の内壁
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−268594(JP,A) 特開 昭62−13236(JP,A) 特開 平3−170656(JP,A) 特開 平3−94052(JP,A) 特開 昭58−157974(JP,A) 特開 平6−218489(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 41/02 B22D 11/059 110 B22D 11/10 310 C23C 4/00 - 4/18 C23C 28/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器の溶融金属と接する基材面に、アン
    ダーコートとして、Ni,Co,Cr,Al,YおよびTaのうち
    から選ばれた2種以上の組合わせにかかる耐熱合金を溶
    射して得られる緻密質金属溶射皮膜を有し、その上にト
    ップコートとして、安定化成分の量が6〜30wt%である
    安定化ZrO2 または部分安定化ZrO2を主成分としてこれ
    に、 安定化成分を含まない純ZrO2を1〜5wt%または 安定化成分の量が5wt%未満である未安定化ZrO2
    2〜20wt%または、 安定化成分を含まない純ZrO 2 を1〜5wt%および安
    定化成分の量が5wt%未満である未安定化ZrO 2 を2〜20
    wt% 添加してなる混合ZrO2粉末を溶射して得られる多孔
    質セラミック溶射皮膜を有することを特徴とする溶融金
    属用容器。
  2. 【請求項2】 アンダーコートの緻密質金属溶射皮膜は
    厚みが50〜500μmで気孔率が5%以下であり、トップコ
    ートの多孔質セラミック溶射皮膜は厚みが200〜1000μm
    で気孔率が5〜25%である請求項1に記載の溶射金属用
    容器。
  3. 【請求項3】 容器の溶融金属と接する基材面に、その
    基材側の下層が主として、Ni,Co,Cr,Al,YおよびTa
    のうちから選ばれた2種以上の組合わせにかかる耐熱合
    金を溶射して得られる緻密質金属溶射層からなり、表面
    側の上層が主として、安定化成分の量が6〜30wt%であ
    る安定化ZrO 2 または部分安定化ZrO2を主成分として
    れに、 安定化成分を含まない純ZrO2を1〜5wt%または 安定化成分の量が5wt%未満である未安定化ZrO2
    2〜20wt%または、 安定化成分を含まない純ZrO 2 を1〜5wt%および安
    定化成分の量が5wt%未満である未安定化ZrO 2 を2〜20
    wt% 添加してなる混合ZrO2を溶射して得られる多孔質セ
    ラミック溶射層からなり、そして、上記各溶射層は基材
    側に近いほど耐熱合金の含有量が多く、一方表面側に近
    いほどZrO2の含有量が多い濃度勾配をもつ単層の溶射皮
    膜であることを特徴とする溶融金属用容器。
  4. 【請求項4】 基材側に位置する緻密質金属溶射層の気
    孔率は5%以下であり、表面側に位置する多孔質セラミ
    ック溶射皮膜の気孔率は5〜25%である請求項3に記載
    の溶融金属用容器。
  5. 【請求項5】 容器の溶融金属と接する基材面に、ま
    ず、Ni,Co,Cr,Al,YおよびTaのうちから選ばれた2
    種以上の組合わせにかかる耐熱合金粉末を溶射して緻密
    質金属溶射皮膜を形成し、次いで、その皮膜上に、安定
    化成分の量が6〜30wt%である安定化ZrO2 または部分安
    定化ZrO2を主成分として、これに、 安定化成分を含まない純ZrO2を1〜5wt%または 安定化成分の量が5wt%未満である未安定化ZrO2
    2〜20wt%または、 安定化成分を含まない純ZrO 2 を1〜5wt%および安
    定化成分の量が5wt%未満である未安定化ZrO 2 を2〜20
    wt% 添加してなる混合ZrO2粉末を溶射することにより、
    気孔率が5〜25%の多孔質セラミック溶射皮膜を形成す
    ることを特徴とする溶融金属用容器の表面処理方法。
  6. 【請求項6】 アンダーコートの緻密質金属溶射皮膜は
    厚みが50〜500μmで気孔率が5%以下であり、トップコ
    ートの多孔質セラミック溶射皮膜は厚みが200〜1000μm
    で気孔率が5〜25wt%である請求項1に記載の表面処理
    方法。
  7. 【請求項7】 容器の金属溶湯と接する基材面に、まず
    始めに、Ni,Co,Cr,Al,YおよびTaのうちから選ばれ
    た2種以上の組合わせにかかる耐熱合金粉末を溶射し、
    次いで、安定化成分の量が6〜30wt%である安定化ZrO2
    または部分安定化ZrO2を主成分としこれに、 安定化成分を含まない純ZrO2を1〜5wt%または 安定化成分の量が5wt%未満である未安定化ZrO2
    2〜20wt%または、 安定化成分を含まない純ZrO 2 を1〜5wt%および安
    定化成分の量が5wt%未満である未安定化ZrO 2 を2〜20
    wt% 添加してなる混合ZrO2粉末を溶射し、このとき、 上記基材側に近いほど耐熱合金の含有量が多くなるよう
    にすると共に表面側に近いほどZrO2含有量が多くなるよ
    うに傾斜配合にかかる溶射材料を溶射することにより、
    基材側を緻密質金属がリッチな溶射層とすると共に表面
    側を多孔質セラミック溶射層リッチとしてなる濃度勾配
    をもつ溶射皮膜としたことを特徴とする溶融金属用容器
    の表面処理方法。
  8. 【請求項8】 上記緻密質金属溶射層の部分は気孔率が
    5%で、多孔質セラミック溶射層の部分は気孔率が5〜
    25%である請求項7に記載の表面処理方法。
  9. 【請求項9】 混合ZrO2粉末を溶射した後、1050℃〜11
    00℃の温度域で昇温と降温とを1回以上繰り返すことを
    特徴とする請求項5または7に記載の表面処理方法。
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