JP2008119727A - 鋳造用金型及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋳造用金型における溶湯に接触する面に、鋳造作業を繰り返しても剥離し難い保護層を設ける。
【解決手段】鋳造用金型10における溶湯に接触する面には、保護層12が設けられている。この保護層12は、CoNiCrAlY合金からなる下層14と、中空ZrO2からなる上層16とを具備する。この中、下層14の頂面は、ブラスト処理等の粗面化処理が施されることで、表面粗さパラメータである最大高さRzが20μm以上に設定されている。なお、下層14は、CoNiCrAlY合金の粉末を溶射することで形成することができ、一方の上層16は、中空ZrO2の粉末を溶射することで形成することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、溶湯が接触する面に保護層を有する鋳造用金型及びその製造方法に関する。
アルミニウム合金の鋳造品を製造するに際しては、先ず、アルミニウム合金の溶湯を鋳造用金型に注湯し、次に、該溶湯を固化させる。この注湯時の湯廻り性を高めるとともに、前記鋳造用金型を溶湯の熱から保護して焼付きを防止するために、該鋳造用金型に、溶湯に接触する面にコーティングとしての塗型が設けられることがある。塗型により、鋳造用金型の耐久性も向上する。
この種の塗型としては、黒鉛等からなる下層と、セラミックスを主体とする上層とを有するものが例示される。この塗型は、黒鉛を混濁させた液を鋳造用金型に塗布した後、セラミックス主体の粉末をエアスプレーで塗布することで設けられる。
また、金属を溶射することで下層を設け、次に、セラミックスを溶射することで上層を設け、これによりコーティングを形成することも提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。この場合、下層(金属層)は、特許文献2にも記載されているように、鋳造用金型と上層(セラミックス層)との接着性を確保するバインダとして認識されており、その材質としては、Ni−Al、Ni−Crが知られている。
セラミックスからなる上層は、耐摩耗性が良好である。また、セラミックスは概してアルミニウム合金との反応性が小さく、化学的に安定であるという利点がある。
特開2000−87207号公報(段落[0020](表2)) 特開昭63−282249号公報(第2頁右下欄第13行〜第15行)
例えば、Ni−Alの下層とZrO2の上層を有するコーティングを設けた場合、鋳造作業を50〜200ショット程繰り返すと、前記コーティングに摩耗やクラックが生じたり、上層が下層から剥離したりすることがある。このような事態が生じると、鋳造品の外観にヒケ等の欠陥が発生するようになる。この不具合を解消するため、所定ショットの鋳造作業終了後等、定期的な再形成が行われている。しかしながら、この再形成作業時には鋳造作業を停止しなければならないため、鋳造品を製造することができない。また、再形成作業を行うこと自体、煩雑である。
すなわち、従来から知られている構成のコーティングには、耐久性が十分ではなく、このため、煩雑で、しかも、鋳造品の製造停止を伴う再形成作業を比較的短期間で行う必要があるという不具合がある。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、長期間にわたって十分な耐久性を示し、このために再形成作業が長期間不要である保護膜を有する鋳造用金型及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、溶湯が接触する面にコーティングが施されることで保護層が設けられた鋳造用金型であって、
前記保護層は、CoNiCrAlY合金からなる下層と、中空ZrO2からなる上層とを有し、
前記下層は、前記上層に臨む面の表面粗さを表す表面粗さパラメータである最大高さが20μm以上であることを特徴とする。なお、表面粗さパラメータの最大高さは、JIS B 0601(2001年)の規定に従って求められる。
下層の表面粗さパラメータの最大高さが上記のように設定されると、上層が下層に機械的に噛み合う度合いが大きくなる。従って、優れたアンカー効果が発現する。
しかも、本発明では、上層を中空ZrO2で構成するようにしている。中空ZrO2は、中空粉体が結合することで形成されたものであるのでポーラス(多孔質)状であり、このため、荷重が加えられると撓む性質がある。換言すれば、弾性を示し、軟質である。従って、鋳造用金型、ひいては下層が熱膨張等の変形を起こした際、その変形に追従して柔軟に変形する。
以上のような理由から、鋳造作業を繰り返しても上層が下層から剥離し難い保護層を構成することができる。換言すれば、この保護層は、長期間にわたって優れた耐久性を示す。従って、煩雑な保護層再形成作業の頻度が著しく軽減するとともに、保護層再形成作業のために鋳造作業を停止する頻度も著しく低減する。
その上、中空ZrO2は比重が小さいため、保護層を設けることで鋳造用金型の重量を過度に増大させることもない。
なお、下層の上層に臨む面の表面粗さパラメータの最大高さは、鋳造作業に用いる溶湯の種類に応じて設定すればよい。例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金の鋳造品を得る場合、表面粗さパラメータの最大高さは、150μm以下とすることが好ましい。
この鋳造用金型は、500〜1500℃の溶湯を用いて鋳造を行うための金型として好適である。
また、本発明は、溶湯が接触する面にコーティングを施すことで保護層を設ける鋳造用金型の製造方法であって、
前記鋳造用金型における溶湯が接触する前記面に、溶射によってCoNiCrAlY合金からなる下層を設ける工程と、
前記下層に対して粗面化処理を行い、表面粗さを表す表面粗さパラメータである最大高さを20μm以上とする工程と、
最大高さが20μm以上となった前記下層の上に、中空ZrO2からなる上層を設ける工程と、
を有することを特徴とする。
このように、下層に対して粗面化処理を施すことにより、上層を剥離し難くすることが可能となる。しかも、中空ZrO2から上層を設けるので、下層の変形に追従して柔軟に変形する上層を構成することができる。このことによっても、上層の剥離が抑制される。
粗面化処理においては、下層の表面粗さパラメータの最大高さを、例えば、150μm以下とすることもできる。この場合、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を用いて鋳造作業を行うに際して好適である。
なお、粗面化処理の具体的な手法としては、ブラスト処理を挙げることができる。この場合、下層に対して研磨材を吹き付けるという極めて簡便な操作を行うことにより、粗面化処理を実施することができる。換言すれば、下層の粗面化が極めて容易である。
上記したように、作製した鋳造用金型は、500〜1500℃の溶湯を用いて鋳造を行うための金型として好適である。
本発明によれば、CoNiCrAlY合金からなる下層と、中空ZrO2からなる上層とを具備するように保護層を構成し、且つ前記下層における前記上層に臨む面の最大高さを20μm以上に設定するようにしているので、アンカー効果と上層の柔軟性とが相俟って、上層が長期間にわたって剥離し難くなる。このため、長期間にわたって優れた耐久性を示す保護層を構成することができるとともに、煩雑な保護層再形成作業を行う頻度や、鋳造作業を停止する頻度を著しく低減することができる。
以下、本発明に係る鋳造用金型及びその製造方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態に係る鋳造用金型における溶湯に接触する面、すなわち、キャビティに臨む面の断面要部拡大図を図1に示す。この鋳造用金型10は、例えば、SKD61等の鋼材からなり、アルミニウム合金の溶湯を用いる鋳造作業に使用される。そして、図1から諒解されるように、該鋳造用金型10における溶湯に接触する面には、保護層12が設けられている。
保護層12は、金属からなる下層14と、セラミックスからなる上層16とを有する。すなわち、本実施の形態において、保護層12は2層構造である。ここで、下層14を構成する金属とは、純金属、合金、金属間化合物を含む広義の金属である。
下層14は、具体的には、CoNiCrAlY合金からなる。なお、CoNiCrAlY合金の粉末は市販されており、下層14は、この市販粉末を用いて溶射を行うことで形成することができる。CoNiCrAlY合金の組成は、特に限定されるものではないが、例えば、38.5%Co−32%Ni−21%Cr−8%Al−0.5%Y(数字は質量%)とすることができる。
本実施の形態では、Coを主成分とする合金からなる下層14が鋳造用金型10の表面上に設けられている。このようにCoを主成分とする下層14では、Coが硬質であるため、高剛性化を図ることができる。
ここで、NiAlは比較的軟質な金属であることから、Coの含有量が少ない場合では下層14が軟質となり、外力が作用した際、該下層14に変形が生じ易い。換言すれば、下層14の変形量が大きくなる。この変形量に対応する変形量で上層16を変形させる場合、換言すれば、上層16を大きく変形させる場合、該上層16が下層14から剥離する懸念がある。これに対し、Coの含有量が多い下層14では、上記したように剛性が大きい。このため、下層14の変形量が小さくなり、これに伴って上層16の変形量も小さくなるので、上層16が剥離し難くなる。
なお、Coの含有量が少ないために軟質な下層14を形成した場合、上記したように該下層14に変形が生じ易くなることから、該下層14は、鋳造用金型10(鋼材)の熱膨張に追従することが容易となる。さらに、下層14が軟質であると、上層16の熱膨張量が小さく且つ鋳造用金型10(鋼材)の熱膨張量が大きいとき、下層14がこの熱膨張量の差を吸収する。
しかしながら、上層16には、溶湯として注湯されたアルミニウム合金が凝固する際に抱き付く。従って、下層14が鋳造用金型10に追従して良好に撓む一方で、アルミニウム合金が抱き付いた上層16は撓み難くなる。上層16が過度に撓み難くなり、下層14の撓みに追従できなくなると、上層16が下層14から剥離することになる。
そこで、本実施の形態においては、上記したように、下層14の主成分をCoとすることで下層14の高剛性化を図るようにしている。すなわち、鋳造用金型10の変形に追従する下層14の変形の容易さの度合いを若干低減させ、これにより、上層16が下層14から剥離し難くなる。しかも、下層14の強度が向上するので、該下層14が鋳造用金型10から剥離し難くなる。以上の理由から、鋳造用金型10から保護層12が剥離することが著しく抑制される。
そして、この下層14における上層16を臨む面(以下、頂面という)は、後述するブラスト処理によって粗面化され、これにより、JIS B 0601(2001年)に規定される表面粗さパラメータの1種である最大高さRzが20μm以上に設定されている。すなわち、図2に拡大して示すように、下層14の頂面には起伏18が存在する。
頂面の表面粗さパラメータの最大高さRzがこのように設定された下層14は、上層16と機械的に噛み合う。すなわち、いわゆるアンカー効果が得られる。このため、下層14と上層16との物理的な結合力が大きくなり、結局、下層14から上層16が剥離し難くなる。
なお、アルミニウム合金の溶湯を注湯する本実施の形態においては、下層14の頂面の表面粗さパラメータの最大高さRzが150μm以下であることが好ましい。150μmを超えると、下層14の頂面の起伏(深さと高さ)の差異が大きくなるので、上層16の表面、すなわち、保護層12における溶湯に接触する部位にも、下層14の起伏18が転写される傾向がある。この場合、鋳造品の表面にも起伏が転写されることになるからである。
また、下層14の起伏が大きいと、場合によっては、上層16を設けるために溶射された溶解物が下層14の起伏面の頂部や縦壁にはじかれるようになり、溶解物が谷底に到達しない割合が大きくなることも考えられる。従って、下層14の頂面の表面粗さパラメータの最大高さRzは、60μm以下であることがより好ましい。勿論、この懸念がない場合には、前記最大高さRzを60μm超としてもよい。
下層14には、酸化皮膜の剥離を抑制する効果に優れるYが合金元素として含まれている。従って、上層16の形成工程(後述)において、下層14の頂面に酸化皮膜が仮に生成したとしても、酸化皮膜、ひいては上層16が剥離し難いものとなる。
一方の上層16は、中空ZrO2からなる。すなわち、上層16をなす各ZrO2粒子は、中空体である。なお、中空体であるか否かは、例えば、ZrO2粒子を粉砕することで確認することが可能である。この上層16は、市販品である中空ZrO2の粉末を用いて溶射を行うことで形成することができる。
上層16は、中空ZrO2からなるのでポーラス(多孔質)状であり、このため、荷重が加えられると撓む弾性を示す軟質な層である。従って、下層14が変形(例えば、熱膨張)を起こすと、その変形に追従して比較的容易に変形する。このため、下層14との変形の容易さが略整合するので、従来技術のように、上層16が下層14の変形に十分に追従できないことに起因して上層16が下層14から剥離することが回避される。
この鋳造用金型10は、例えば、アルミニウム合金の溶湯を用いて鋳造作業を行う際に使用される。すなわち、鋳造用金型10が型閉じされることで形成されたキャビティにアルミニウム合金の溶湯が注湯される。
上記したように、鋳造用金型10には、CoNiCrAlY合金からなる下層14と中空ZrO2からなる上層16とを具備する保護層12が形成されている。溶湯に接触した鋳造用金型10は、保護層12ごと熱膨張を起こす。
鋳造用金型10(例えば、鋼材)の熱膨張量は、下層14及び上層16に比して幾分大きい。そして、鋳造用金型10の直上の下層14は、鋳造用金型10の熱膨張に追従して膨張する。従って、下層14と上層16では、鋳造用金型10に追従して熱膨張を起こす下層14の方が上層16に比して膨張量(変形量)が大きい。
しかしながら、本実施の形態においては、上層16が中空ZrO2からなるので軟質であり、このため、該上層16は、下層14の熱膨張に追従して柔軟に変形する。このことと、下層14にYが含まれていること、さらには、下層14の頂面に、表面粗さパラメータである最大高さRzが20μm以上に設定された起伏18が存在することとが相俟って、上層16が下層14から著しく剥離し難くなる。
すなわち、下層14をCoNiCrAlY合金で構成するとともに上層16を中空ZrO2で構成し、且つ下層14の頂面に起伏18を設けることで、長期間にわたって優れた耐久性を示す保護層12を得ることができる。具体的には、500〜1000ショットの鋳造作業を繰り返しても、上層16には、剥離や摩耗、クラックが認められない。
従って、本実施の形態によれば、保護層12を長期間にわたって再形成する必要がないので、鋳造作業を連続して実施することができる。すなわち、鋳造作業を停止する必要がないので、鋳造品の生産効率が向上する。また、煩雑な再形成作業を行う必要もない。
次に、鋳造用金型10の製造方法につき説明する。
本実施の形態に係る製造方法は、鋳造用金型10における溶湯が接触する面に下層14を設ける第1工程と、該下層14に対して粗面化処理を行う第2工程と、粗面化処理が施された下層14の上に上層16を設ける第3工程とを有する。
第1工程に先んじて、鋳造用金型10に対しブラスト処理を行い、さらに、鋳造用金型10を100〜120℃程度に加熱する。その後、第1工程において、CoNiCrAlY合金からなる下層14を設ける。この際には、CoNiCrAlY合金(例えば、38.5%Co−32%Ni−21%Cr−8%Al−0.5%Y)の粉末を溶射すればよい。この粉末としては、平均粒径が60〜150μmのものが好ましい。
溶射は、例えば、アセチレンと酸素との6:4(体積比)の混合ガスをキャリアとしてCoNiCrAlY合金粉末の溶解物を溶射ガンから噴射することで実施すればよい。なお、シールドガスとしては、その圧力が前記アセチレンの供給圧力の2倍程度に設定された空気が好適である。また、溶射ガンと鋳造用金型10との距離は、前記溶解物が溶融状態を維持可能な距離に設定される。このように溶解物の溶融状態を保ちながら下層14を設けることにより、CoNiCrAlY合金粉末が互いに融着し合うので界面強度が向上する。
下層14の厚みは、例えば、30〜250μm程度に設定すればよい。下層14の厚みがこの程度であれば、例えば、500〜1500℃の溶湯を用いる低圧鋳造を行う際、注湯された溶湯からの熱の伝達によって鋳造用金型10が熱膨張を起こしても、該鋳造用金型10から剥離することが回避される。換言すれば、熱膨張による剥離に対応可能であり、加えて、凝固した溶湯の抱き付き力に対応可能である。遠心鋳造を行う場合には、凝固した溶湯の抱き付き力が低圧鋳造に比して小さくなるので、下層14を前記の厚みとすれば十分に対応することができる。
次に、第2工程において、下層14の粗面化処理を行う。本実施の形態では、粗面化を行う手法として、ブラスト処理を採用する。すなわち、例えば、圧縮エアをキャリアとして研磨材を下層14に吹き付ける。
ここで、この粗面化処理では、下層14の頂面の表面粗さパラメータの最大高さRzを20μm以上、好ましくは150μm以下とする必要がある。従って、研磨材としては、アルミナ研磨材が好適である。この場合、下層14の頂面の表面粗さパラメータの最大高さRzを20〜150μmとすることが容易であるからである。
しかも、ブラスト処理によれば、下層14に圧縮残留応力を付与することができるという利点が得られる。さらに、下層14に酸化物が存在する場合、該酸化物を除去することもできる。
そして、鋳造用金型10を下層14ごと100〜120℃程度に再加熱する。この再加熱により鋳造用金型10及び下層14の温度が上昇し、続く第3工程で溶射される粉末が下層14に容易に融着するようになる。
この状態で、第3工程を行う。すなわち、中空ZrO2の粉末を用いて下層14の頂面に溶射を行う。この際の溶射条件は、下層14を設ける際の溶射条件と略同様とすればよい。勿論、第3工程においても、上記と同様に高い界面強度を確保するという理由から、中空ZrO2の溶解物が溶融状態を維持可能な距離に設定される。
上記したように、上層16を設ける際には中空ZrO2の粉末が用いられる。中空であるので、単位体積当たりの重量、換言すれば、密度が著しく小さい。このため、溶射を行う際には、速やかに融解する。その一方で、粉末としての体積がある程度確保されているので、融解速度が大きいことと相俟って、上層16を迅速に作製することができる。
しかも、中空ZrO2の粉末を溶融した溶解物は、該粉末の平均粒径、溶射ガンと鋳造用金型10との距離、キャリアガスであるアセチレンと酸素との混合比等が適切に設定されているため、粉末内部に存在した空洞の体積が略同等に維持されて飛行し、下層14上に堆積する。従って、軟質な(弾性に富む)上層16を容易に得ることができる。
なお、中空ZrO2の粉末は、平均粒径が10〜75μmであることが好ましく、中空であることが必須である。
また、上層16の厚みは、例えば、30〜200μm程度に設定することができる。上層16の厚みがこの程度であれば、上記したような条件の低圧鋳造や遠心鋳造を行う場合に、注湯された溶湯からの熱の伝達によって鋳造用金型10が熱膨張を起こしても、該熱膨張による剥離に対応可能であり、凝固した溶湯の抱き付き力にも対応可能である。
このようにして形成された上層16は、下層14の頂面に表面粗さパラメータである最大高さRzが20μm以上である起伏18が存在するため、下層14に対して大きな力で機械的に噛み合う。すなわち、優れたアンカー効果が発現する。
また、上記したように、上層16はポーラス(多孔質)状であるために軟質であり、弾性に富む。従って、該上層16は、溶湯が流動する際や溶湯が凝固して収縮する際、さらには、溶湯が抱き付いた際に十分に撓む。このため、下層14から剥離することが回避される。
以上により、CoNiCrAlY合金からなる下層14と中空ZrO2からなる上層16とを具備し、長期間にわたって優れた耐久性を示す保護層12が形成されるに至る。上層16の形成後、該上層16に対して仕上げ加工を行うようにしてもよい。
なお、上記した実施の形態では、粗面化処理としてブラスト処理を採用するようにしているが、その他の物理的エッチングや化学的エッチングによって粗面化処理を行うようにしてもよい。例えば、下層14の一部をマスクで被覆した後、露光を行うようにしてもよい。
また、下層14の表面粗さパラメータの最大高さRzの上限は、溶湯の種類に応じて適宜変更すればよく、場合によっては、150μmを超えてもよい。
本実施の形態に係る鋳造用金型における溶湯に接触する面の断面要部拡大図である。 図1の更なる拡大説明図である。
符号の説明
10…鋳造用金型 12…保護層
14…下層 16…上層
18…起伏

Claims (6)

  1. 溶湯が接触する面にコーティングが施されることで保護層が設けられた鋳造用金型であって、
    前記保護層は、CoNiCrAlY合金からなる下層と、中空ZrO2からなる上層とを有し、
    前記下層は、前記上層に臨む面の表面粗さを表す表面粗さパラメータである最大高さが20μm以上であることを特徴とする鋳造用金型。
  2. 請求項1記載の金型において、当該鋳造用金型がアルミニウム又はアルミニウム合金の鋳造品を得るためのものであり、前記下層の前記上層に臨む面の前記最大高さが150μm以下であることを特徴とする鋳造用金型。
  3. 請求項1又は2記載の金型において、当該鋳造用金型は、前記保護層に500〜1500℃の溶湯が接触するものであることを特徴とする鋳造用金型。
  4. 溶湯が接触する面にコーティングを施すことで保護層を設ける鋳造用金型の製造方法であって、
    前記鋳造用金型における溶湯が接触する前記面に、溶射によってCoNiCrAlY合金からなる下層を設ける工程と、
    前記下層に対して粗面化処理を行い、表面粗さを表す表面粗さパラメータである最大高さを20μm以上とする工程と、
    前記最大高さが20μm以上となった前記下層の上に、中空ZrO2からなる上層を設ける工程と、
    を有することを特徴とする鋳造用金型の製造方法。
  5. 請求項4記載の製造方法において、前記粗面化処理で前記下層の前記最大高さを150μm以下とすることを特徴とする鋳造用金型の製造方法。
  6. 請求項4又は5記載の製造方法において、前記粗面化処理としてブラスト処理を行うことを特徴とする鋳造用金型の製造方法。
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