JPWO2018193982A1 - 溶射皮膜、積層管および溶射皮膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

タングステン相と、3元系硼化物相とを含有する溶射皮膜であって、X線回折法により前記溶射皮膜の表面を測定した場合における、前記タングステン相に由来する(110)面のピーク強度Iwに対する、前記3元系硼化物相に由来するピークの中で最も強度が大きいピークのピーク強度Imaxの比(Imax/Iw)が、1/100以上である溶射皮膜を提供する。

Description

本発明は、溶射皮膜、積層管および溶射皮膜の製造方法に関する。
溶融金属等の高温金属と直接接触して用いられる部品として、ダイカスト鋳造法、低圧鋳造法、重力金型鋳造法、またはホットスタンプに用いられる装置の部品などが知られている。たとえば、ダイカスト鋳造法に用いる装置(ダイカストマシン)は、主にプランジャー、スリーブ、成形金型などの部品で構成され、溶融状態にある金属(たとえば、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム等)と直接接触した状態で使用される。そのため、このような部品に共通して要求される特性としては、溶融金属等の高温金属に対する耐食性、すなわち、高温金属により溶損してしまうことや、高温金属と接触することで表面に反応層が形成されてしまうことを防止することができる特性が挙げられる。
従来、溶融金属と直接接触する部品用の部材として、機械部品に広く用いられている工具鋼や熱間工具鋼(SKD61等)を使用することも考えられるが、これらの部材は溶融金属に対する耐食性が十分ではないという問題がある。また、熱間工具鋼に対して、耐食性を向上させる目的で窒化処理を施して窒化層を形成する方法も知られているが、窒化処理により形成される窒化層は、厚みが20〜30μm程度と薄く、この材料を用いたとしても、長期間にわたって十分な耐食性を維持することは困難である。このように、耐食性が十分ではない部材を、ダイカストマシンの部品に適用した場合には、溶融金属によって劣化し易く、このような部品を頻繁に取り替えなくてはならず、ダイカストマシンのランニングコストが上昇することに加えて、連続生産性が著しく低下してしまうという問題がある。
一方、このような部品用の部材として、耐食性に優れ、常温および高温において高い硬度を有するセラミックス材料(たとえば、サイアロン(SiAlON)等。)も知られている。しかしながら、このようなセラミックス材料は製造コストが高いことに加えて被加工性に乏しく、また、必要以上に高硬度であるために、たとえばダイカストマシンのスリーブとして用いた場合に、プランジャーチップのような低硬度の材料に対して摺動すると、その低硬度の材料を摩耗させてしまうという問題がある。
これに対し、このような高温金属と直接接触して用いられる部品用の部材として、たとえば、特許文献1には、内層をタングステンを含む第1層により構成し、第1層の外層として、フェライト系ステンレス鋼材等からなる第2層と、マルテンサイト系ステンレス鋼材等からなる第3層とを形成してなる積層管が開示されている。
特開2017−014565号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の積層管では、タングステンを含む第1層は、高温金属と直接接触する部分における耐食性には優れるものの、高温環境において大気に接触した場合に、大気と接触している部分は酸化が進行して腐食してしまうという問題があった。
本発明の目的は、高温金属に対する耐食性、および高温環境における大気に対する耐食性に優れる溶射皮膜を提供することである。
本発明者等は、溶射皮膜について、タングステン相と、3元系硼化物相とを特定の割合で含有させることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、タングステン相と、3元系硼化物相とを含有する溶射皮膜であって、X線回折法により前記溶射皮膜の表面を測定した場合における、前記タングステン相に由来する(110)面のピーク強度Iに対する、前記3元系硼化物相に由来するピークの中で最も強度が大きいピークのピーク強度Imaxの比(Imax/I)が、1/100以上である溶射皮膜が提供される。
本発明の溶射皮膜において、前記3元系硼化物相が、主としてMoNiBを含み、前記ピーク強度Imaxが、前記MoNiBに由来する(211)面のピーク強度であることが好ましい。
本発明の溶射皮膜において、前記3元系硼化物相が、主としてWFeBを含み、前記ピーク強度Imaxが、前記WFeBに由来する(112)面のピーク強度であることが好ましい。
本発明の溶射皮膜において、2元系硼化物相をさらに含有することが好ましい。
本発明の溶射皮膜において、前記2元系硼化物相が、WBを含むことが好ましい。
本発明の溶射皮膜において、300〜700℃の範囲で測定されるビッカース硬さ(HV)が、400以上であることが好ましい。
また、本発明によれば、上記いずれかの溶射皮膜を内面に備える積層管が提供される。
本発明の積層管において、前記内面に備えられた前記溶射皮膜の内径Dに対する、前記積層管の長さLの比(L/D)が、2以上であることが好ましい。
さらに、本発明によれば、上記いずれかの溶射皮膜の製造方法であって、タングステンと3元系硼化物とを含有し、かつ、顆粒強度の平均が10MPa以上である溶射用粉末を準備する工程と、前記溶射用粉末を、高速フレーム溶射法により、金属母材上に溶射する工程と、を備える溶射皮膜の製造方法が提供される。
本発明では、高温金属に対する耐食性、および高温環境における大気に対する耐食性に優れる溶射皮膜を提供することができる。
本発明に係る積層管を適用したスリーブを用いたダイカスト装置の一実施の形態を示す断面図である。 本発明に係る積層管の一実施の形態を示す斜視図である。 図2に示す積層管の層構成を示す断面図である。 本発明に係る積層管を作製する方法の一例を説明するための図である。 比較例の溶射皮膜の断面を、SEMにより測定して得た写真である。 実施例および比較例の溶射皮膜の表面を、X線回折測定して得られた結果を示すグラフである。 実施例の溶射皮膜の断面を、SEMにより測定して得た写真である。 実施例の溶射皮膜の断面を、光学顕微鏡およびSEMにより測定して得た写真である。 実施例および比較例の溶射皮膜について、高温大気中での耐食性を評価した結果を示す写真である。 実施例の溶射皮膜および参考例の焼結体について、高温大気中での耐食性を評価した結果を示す写真である。 実施例および比較例の溶射皮膜、ならびに参考例の鋼材について、各温度環境におけるビッカース硬さを測定した結果を示すグラフである。 比較例の溶射皮膜の断面を、光学顕微鏡およびSEMにより測定して得た写真である。
以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態について説明する。本発明に係る溶射皮膜は、高温環境における耐食性や、高い硬度が求められる部品に形成することができる。たとえば、図1に示すようなダイカスト装置1のスリーブ11の内面に形成することができる。以下においては、ダイカスト装置1のスリーブ11として、本発明に係る溶射皮膜を内面に形成した積層管を用いた実施形態にて、本発明を説明する。
図1は、本発明に係る溶射皮膜を内面に形成した積層管を適用したスリーブ11を用いたダイカスト装置1の一実施の形態を示す断面図である。本例におけるダイカスト装置1は、アルミニウムなどの溶融金属を成形するためのダイカスト装置である。
図1に示すダイカスト装置1は、スリーブ11と、プランジャー12と、流路13と、ダイキャビティ14と、第1金型15と、第2金型16とを備えている。スリーブ11は、プランジャー12が移動するための通路を形成するものであり、スリーブ11が形成する通路は、流路13およびダイキャビティ14と連結されている。プランジャー12は、スリーブ11が形成する通路を前後に往復運動し、スリーブ11内に流し込まれた溶融金属を、スリーブ11から、流路13を通じて、ダイキャビティ14内に射出するものである。
本実施形態のスリーブ11は、図2に示す積層管2を用いて形成される。図2は、本発明に係る溶射皮膜を内面に形成した積層管の一実施の形態を示す斜視図である。図2においては、積層管2の内径をD、長さをLで示している。本実施形態の積層管2は、図3の断面図で示すように、内層を構成する溶射皮膜21と、溶射皮膜21の外周面に形成された第2層22と、さらに第2層22の外周面に形成された第3層23とからなる三層構造を有している。
本実施形態の積層管2は、たとえば、図4に示すように、鉄、銅、アルミニウムといった安価で加工が容易な材料からなる芯材3に対して、溶射により、溶射皮膜21、第2層22および第3層23をこの順で形成した後、芯材を機械加工で除去することにより得ることができる。
<溶射皮膜21>
内層を構成する溶射皮膜21は、主としてタングステンからなるタングステン相と、主として3元系硼化物からなる3元系硼化物相とを含有する。溶射皮膜21は、後述するように、タングステンと3元系硼化物とを含有する特定の溶射用粉末を溶射することによって、形成することができる。本実施形態の溶射皮膜21においては、タングステン相が主相を構成し、3元系硼化物相が結合相を構成する。
本実施形態の溶射皮膜21は、X線回折法により表面を測定した場合における、タングステン相に由来する(110)面のピーク強度Iに対する、3元系硼化物相に由来するピークの中で最も強度が大きいピークのピーク強度Imaxの比(Imax/I)が、1/100以上である。
本実施形態においては、溶射皮膜21について、タングステン相および3元系硼化物相に由来するピークの強度比Imax/Iを上記範囲に制御することにより、溶射皮膜21について、高温金属に対する耐食性、および高温環境における大気に対する耐食性を、顕著に向上させることができる。すなわち、溶射皮膜21において、上述したピークの強度比Imax/Iが上記範囲となるように制御することにより、溶射皮膜21中に適切に3元系硼化物相を含有させることができるようになり、この3元系硼化物相が、タングステン相同士を結合する結合相として作用し、溶射皮膜21が緻密化することにより、溶射皮膜21について、溶融金属等の高温金属と直接接触する際における耐食性を、顕著に向上させることができるようになる。また、3元系硼化物自体が耐食性に優れていることによっても、溶射皮膜21における高温金属と直接接触する際の耐食性を向上させることができる。さらに、本実施形態においては、3元系硼化物相によって溶射皮膜21が緻密化することにより、溶射皮膜21について、ガスの透過性を低下させることができるようになり、これにより、高温環境で大気と接触する際においても、溶射皮膜21の大気に対する耐食性を、顕著に向上させることができるようになる。
ここで、従来においては、溶射皮膜21に、3元系硼化物相を含有させることが困難であり、上述したような耐食性、特に、高温環境における大気に対する耐食性を向上させることができないという問題があった。
すなわち、従来、タングステンおよび3元系硼化物を含有する溶射用粉末を、プラズマ溶射法により、金属母材に溶射することで、溶射皮膜を形成する方法が知られている。しかしながら、プラズマ溶射法を用いた溶射では、溶射に使用するガスが高温であるため、溶射を行う際の熱により、溶射用粉末に含まれる3元系硼化物の組成が変化してしまうと考えられ、実際に形成される溶射皮膜は、走査型電子顕微鏡(SEM)により断面を観察した場合に、図5に示すように、タングステン(W)中に一部WBが観察され、実質的に3元系硼化物が観察されないものとなっていた。なお、図5は、後述する比較例1の溶射皮膜(B、Mo、Ni、Ti、およびWを含む溶射用粉末をプラズマ溶射法により溶射することで形成された溶射皮膜)をSEMにより測定して得られた写真を示すものである。同様に、このようなプラズマ溶射法によって形成された溶射皮膜について、X線回折法により測定した場合においても、図6に示すように、3元系硼化物に由来するピークは観測されなかった。なお、図6は、後述する実施例1の溶射皮膜(B、Mo、Ni、Ti、およびWを含む溶射用粉末を高速フレーム溶射法により溶射することで形成された溶射皮膜)、および上述した比較例1の溶射皮膜を、X線回折法により測定した結果を示すものであり、白丸が3元系硼化物(図6に示す例では、MoFeB、MoNiB、またはWFeB)に由来するピーク、黒丸がタングステン(W)に由来するピーク、黒三角が2元系硼化物(図6に示す例では、WB)に由来するピークを、それぞれ示す。
また、上述したプラズマ溶射法に代えて、溶射に使用するガスがより低温である溶射法(たとえば、高速フレーム溶射法)を用いて金属母材に対して溶射を行うと、溶射による3元系硼化物の組成の変化が抑制され、形成される溶射皮膜に3元系硼化物を含有させることができるようになるものの、溶射を行っている間に、金属母材に対して溶射する溶射用粉末が飛散してしまい、溶射用粉末の金属母材への付着効率が低下し、形成される溶射皮膜の厚みのばらつきが生じてしまうとともに、溶射皮膜の総厚が薄いものとなってしまうという問題があった。
これに対して、本発明者等は、タングステンおよび3元系硼化物を含有する溶射用粉末として、後述するように顆粒強度の平均が所定値以上であるものを用いることにより、高速フレーム溶射法を用いて溶射する場合でも、高い付着効率で、溶射皮膜を形成することができることを見出した。そして、本発明者等は、このような知見に基づいて、タングステンおよび3元系硼化物を含有する溶射用粉末を、高速フレーム溶射法により溶射することを可能とすることができること、これにより、形成される溶射皮膜について、タングステン相および3元系硼化物相を含有させることができることを見出したものである。実際に、タングステンおよび3元系硼化物を含有する溶射用粉末を、高速フレーム溶射法により溶射することで形成される溶射皮膜は、走査型電子顕微鏡(SEM)により断面を観察した場合に、図7に示すように、タングステン(W)の単相とともに、3元系硼化物(図7に示す例では、MoFeB、MoNiB、またはWFeB)が観察される。なお、図7は、後述する実施例1の溶射皮膜(B、Mo、Ni、Ti、およびWを含む溶射用粉末を高速フレーム溶射法により溶射することで形成された溶射皮膜)をSEMにより測定して得られた写真を示すものである。同様に、このような高速フレーム溶射法によって形成された溶射皮膜については、X線回折法により測定した場合においても、図6に示すように、3元系硼化物に由来するピークが観測される。本発明によれば、溶射皮膜に、タングステン相および3元系硼化物相を含有させることにより、上述したように、溶射皮膜について、高温金属に対する耐食性、および高温環境における大気に対する耐食性を、顕著に向上させることができるものである。
なお、本実施形態においては、溶射皮膜21の表面をX線回折法により測定した場合における、上述したピーク強度比Imax/Iは、1/100以上であればよいが、好ましくは1/50以上、より好ましくは1/25以上、さらに好ましくは1/20以上、特に好ましくは1/18以上である。強度比Imax/Iが低すぎると、溶射皮膜21中に3元系硼化物相が含まれることによる効果、すなわち、高温金属に対する耐食性、および高温環境における大気に対する耐食性を向上させるという効果が得られなくなってしまう。なお、ピーク強度比Imax/Iの上限は、特に限定されないが、通常、1(1/1)以下である。
3元系硼化物相を構成する3元系硼化物としては、特に限定されないが、MoFeB、MoCoB、MoNiB、WFeB、WCoB、WNiB、MoCoB、WFeB、WCoBなどが挙げられ、これらのなかでも、高温金属に対する耐食性、および高温環境における大気に対する耐食性がより向上するという観点より、MoNiB、WFeBが好ましい。これらの3元系硼化物は、1種単独、または2種以上を混合したものを用いることができる。
なお、3元系硼化物相を構成する3元系硼化物が、主としてMoNiBを含む場合には、3元系硼化物相に由来するピークの中で最も強度が大きいピークは、通常、MoNiBに由来する(211)面のピークとなる。そのため、この場合には、上述したピーク強度Imaxとしては、MoNiBに由来する(211)面のピーク強度を用い、これをピーク強度Imaxとすることができる。
同様に、3元系硼化物相を構成する3元系硼化物が、主としてMoFeB,WFeB,WNiB,MoCoB,WCoBのいずれかを含む場合には、3元系硼化物相に由来するピークの中で最も強度が大きいピークは、通常、MoFeB,WFeB,WNiB,MoCoB,WCoBのいずれかに由来する(211)面のピークとなる。そのため、この場合には、上述したピーク強度Imaxとしては、MoFeB,WFeB,WNiB,MoCoB,WCoBのいずれかに由来する(211)面のピーク強度を用い、これをピーク強度Imaxとすることができる。なお、3元系硼化物相を構成する3元系硼化物として、MoFeB,WFeB,MoNiB,WNiB,MoCoB,およびWCoBから選択される複数の3元系硼化物を含有する場合(たとえば、3元系硼化物相が、MoFeB,MoNiBおよびWFeBなどで構成される場合)には、これら複数の3元系硼化物に由来する(211)面のピーク強度の合計を用い、これをピーク強度Imaxとすればよい。また、この際に、複数の3元系硼化物に由来する(211)面のピークが同じ場所に現れる場合には、そのピーク強度をそのまま用いて、ピーク強度Imaxとすればよい。
一方、3元系硼化物相を構成する3元系硼化物が、主としてWFeBを含む場合には、3元系硼化物相に由来するピークの中で最も強度が大きいピークは、通常、WFeBに由来する(112)面のピークとなる。そのため、この場合には、上述したピーク強度Imaxとしては、WFeBに由来する(112)面のピーク強度を用いる。
同様に、3元系硼化物相を構成する3元系硼化物が、主としてMoCoB,WCoBのいずれかを含む場合には、3元系硼化物相に由来するピークの中で最も強度が大きいピークは、通常、MoCoB,WCoBのいずれかに由来する(112)面のピークとなる。そのため、この場合には、上述したピーク強度Imaxとしては、MoCoB,WCoBのいずれかに由来する(112)面のピーク強度を用い、これをピーク強度Imaxとすることができる。なお、3元系硼化物相を構成する3元系硼化物として、WFeB,MoCoB,およびWCoBから選択される複数の3元系硼化物を含有する場合には、これら複数の3元系硼化物に由来する(112)面のピーク強度の合計を用い、これをピーク強度Imaxとすればよい。また、この際に、複数の3元系硼化物に由来する(112)面のピークが同じ場所に現れる場合には、そのピーク強度をそのまま用いて、ピーク強度Imaxとすればよい。
本実施形態において、溶射皮膜21は、後述するように、タングステンと3元系硼化物とを含有し、顆粒強度Pの平均値(顆粒強度の平均)が10MPa以上である溶射用粉末を、高速フレーム溶射法により溶射することにより形成することができる。ここで、溶射用粉末に含有させる3元系硼化物としては、形成する溶射皮膜21に含まれる3元系硼化物相の組成に対応する組成を有するものを用いればよい。
溶射皮膜21を形成するための溶射用粉末における3元系硼化物の体積含有割合は、好ましくは1〜30体積%、より好ましくは3〜20体積%である。溶射用粉末に上記割合で3元系硼化物を含有させることにより、溶射皮膜21について、高温金属に対する耐食性、および高温環境における大気に対する耐食性を、より向上させることができる。
溶射皮膜21を形成するための溶射用粉末におけるタングステンの体積含有割合は、好ましくは70〜99体積%、より好ましくは80〜97体積%である。溶射用粉末に上記割合でタングステンを含有させることにより、溶射皮膜21について、高温金属に対する耐食性を、より向上させることができる。
また、溶射皮膜21を形成するための溶射用粉末は、タングステンと3元系硼化物とに加えて、2元系硼化物をも含有するものであってもよく、溶射皮膜21を形成するための溶射用粉末における2元系硼化物の体積含有割合は、好ましくは0〜20体積%、より好ましくは5〜15体積%である。溶射用粉末に上記割合で2元系硼化物を含有させることにより、溶射皮膜21について、耐食性を損なうことなく、常温環境下および高温環境下での硬度が高くなり、耐摩耗性をより向上させることができる。溶射用粉末に含有させる2元系硼化物としては、形成する溶射皮膜21に含まれる2元系硼化物相の組成に対応する組成を有するものを用いればよい。
溶射用粉末組成およびX線回折より算出した溶射皮膜21における3元系硼化物の重量割合は、好ましくは0.5〜16.0重量%、より好ましくは1.5〜10.0重量%である。溶射皮膜21に上記割合で3元系硼化物を含有させることにより、溶射皮膜21について、高温金属に対する耐食性、および高温環境における大気に対する耐食性を、より向上させることができる。
溶射用粉末組成およびX線回折より算出した溶射皮膜21におけるタングステンの重量割合は、好ましくは84.0〜99.5重量%、より好ましくは90.0〜98.5重量%である。溶射皮膜21に上記割合でタングステンを含有させることにより、溶射皮膜21について、高温金属に対する耐食性を、より向上させることができる。
また、溶射皮膜21には、常温環境下および高温環境下での溶射皮膜21の硬度をより向上させることができるという観点より、タングステン相および3元系硼化物相に加えて、2元系硼化物からなる2元系硼化物相が含まれていることが好ましい。2元系硼化物としては、たとえば、Mで表される硼化物(Mは、たとえば、W、Ti、Zr、Ta、Nb、Cr、Vのいずれかであり、x=1〜2、y=1〜4である。)が挙げられ、これらのなかでも、溶射皮膜21について、常温環境下および高温環境下での硬度をより高いものとし、耐摩耗性をより向上させることができるという観点より、WBが好ましい。これらの2元系硼化物は、1種単独、または2種以上を混合したものを用いることができる。
溶射用粉末組成およびX線回折より算出した溶射皮膜21における2元系硼化物の重量割合は、好ましくは0〜18.0重量%、より好ましくは5.0〜14.0重量%である。溶射皮膜21に上記割合で2元系硼化物を含有させることにより、溶射皮膜21について、耐食性を損なうことなく、常温環境下および高温環境下での硬度が高くなり、耐摩耗性をより向上させることができる。
さらに、溶射用粉末組成およびX線回折より算出した溶射皮膜21における3元系硼化物および2元系硼化物の合計の重量割合は、好ましくは0.5〜34.0重量%、より好ましくは6.5〜24.0重量%である。3元系硼化物および2元系硼化物の合計の含有割合を上記割合とすることにより、溶射皮膜21について、タングステンの持つ優れた耐食性および靭性を損なうことなく、常温環境下および高温環境下での硬度がより高くなるとともに、耐摩耗性、耐凝着性、熱衝撃抵抗および被加工性をより向上させることができる。
また、溶射用粉末組成およびX線回折より算出した溶射皮膜21における、Wの重量割合は3元系硼化物および2元系硼化物以外の成分の合計の重量割合として求められ割合は、好ましくは66.0〜99.5重量%、より好ましくは76.0〜93.5重量%である。3元系硼化物および2元系硼化物以外の成分の合計の含有割合を上記割合とすることにより、溶射皮膜21について、高温金属に対する耐食性、および高温環境における大気に対する耐食性を、より向上させることができる。
溶射皮膜21の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.1〜2mm、より好ましくは0.3〜1.5mmである。溶射皮膜21の厚みを上記範囲とすることにより、得られる積層管2について、溶融金属に対する耐食性により優れたものとすることができ、さらに、高価なタングステンの使用量を抑え、タングステンの溶射に要するエネルギーの使用量を低減できるという観点より、コスト的に有利となる。
また、溶射皮膜21は、300〜700℃の範囲で測定されるビッカース硬さ(HV)(すなわち、300〜700℃の範囲のうち、いずれかの温度で測定した場合のビッカース硬さ)が、好ましくは400以上、より好ましくは450以上、さらに好ましくは500以上である。300〜700℃の範囲で測定されるビッカース硬さを上記範囲とすることにより、溶射皮膜21の耐摩耗性をより向上させることができる。
<第2層22>
第2層22は、鋼材などの金属材料を、溶射皮膜21上に溶射することにより形成することができる。
本実施形態では、このような第2層22と、後述する第3層23とを積層することにより、積層管2における、第2層22および第3層23の総厚を厚くすることが可能となり、これにより、得られる積層管2の強度を向上させることができる。
第2層22を構成する金属材料としては、特に限定されないが、SUS430、SUS429などのフェライト系の鋼材、SUS420、SUS403などのマルテンサイト系の鋼材が挙げられ、これらのなかでも、溶射によって第2層22を形成する際に、溶射後に第2層22が冷却される過程で、溶射皮膜21と第2層22との界面における剥離や、第2層22におけるクラックの発生をより有効に防止することができるという観点より、フェライト系の鋼材が好ましい。
第2層22の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.1〜0.9mmである。第2層22の厚みを上記範囲とすることにより、溶射後に冷却されて収縮することによる第2層22のクラックをより有効に防止することができる。
<第3層23>
第3層23は、鋼材などの金属材料を、第2層22上に溶射することにより形成することができる。
第3層23を構成する金属材料としては、特に限定されないが、SUS430、SUS429などのフェライト系の鋼材、SUS420、SUS403などのマルテンサイト系の鋼材が挙げられ、これらのなかでも、溶射によって第3層23を形成する際に、溶射後に第3層23が冷却される過程で、第3層23におけるクラックの発生をより有効に防止することができるという観点より、マルテンサイト系の鋼材が好ましい。
第3層23の厚みは、特に限定されないが、好ましくは1.0〜5.0mmである。第3層23の厚みを上記範囲とすることにより、積層管2の強度をより高めることができる。
以上のようにして、本実施形態の積層管2は構成される。
なお、本実施形態の積層管2は、第3層23の外周面に、焼嵌めにより形成された鋼材層をさらに備えるものであってもよい。第3層23の外周面に焼嵌めする鋼材層としては、たとえば、日本工業規格(JIS G 4053)に規定されるSCM440相当のクロムモリブデン鋼鋼材からなる管状の部材が挙げられる。鋼材層は、ボルト締結やピン等によって、第3層23の外周面に固着されていてもよい。積層管2が鋼材層を有することで、積層管2の強度を高めることができる。
また、上述した例においては、本実施形態の積層管2が、溶射皮膜21の外面側に、第2層22および第3層23の2層を備える例を示したが、溶射皮膜21の外面側に形成する層は、単層であってもよいし、3層以上であってもよい。
<積層管2の製造方法>
次いで、本実施形態の積層管2の製造方法について、説明する。
まず、芯材3(図4参照)と、溶射皮膜21を形成するための溶射用粉末を準備する。溶射用粉末は、たとえば次のようにして形成することができる。まず、タングステン相を形成するためのタングステン粉末と、3元系硼化物相又は2元系硼化物相を形成するためのこれらの硼化物相を構成する元素の粉末を混合し、これにバインダーおよび有機溶剤を添加した後、ボールミル等の粉砕装置を用いて混合粉砕する。次いで、混合粉砕して得た粉末(数μmの1次粒子)をスプレードライヤーなどにより造粒して数十μmの2次粒子を形成する。次いで、この2次粒子を熱処理することで焼結させ、必要に応じて分級することで、顆粒強度Pの平均値(顆粒強度の平均)が10MPa以上である溶射用粉末を得る。
なお、顆粒強度Pは、溶射用粉末を構成する粒子の粒子径φ(単位はμm)と、該粒子が破壊される荷重(破壊荷重N(単位は(N))とを、微小圧縮試験機(島津製作所社製、MCT−510)を用いて測定し、測定した粒子径φと破壊荷重Nとに基づいて、下記式(1)により求めることができる。そして、顆粒強度の平均は、このような顆粒強度Pを複数回測定した結果の平均値であり、5回以上測定した結果の平均値とすることが好ましい。
P=(2.48×N)/(π×φ) ・・・(1)
なお、2次粒子を熱処理して焼結させて、顆粒強度Pの平均値(顆粒強度の平均)が10MPa以上である溶射用粉末を得る方法としては、たとえば、溶射用粉末を得る際における熱処理の条件を以下のように制御する方法が挙げられる。すなわち、溶射用粉末の原料組成にもよるが、熱処理温度を好ましくは1,100〜1,500℃、より好ましくは1,300〜1,500℃、さらに好ましくは1,300〜1,400℃、特に好ましくは1,350〜1,400℃とし、熱処理時間を好ましくは60〜120分間とする方法が挙げられる。熱処理温度が低すぎると、溶射用粉末を構成する粒子同士の結合が弱くなり、溶射用粉末は溶射時に崩壊し易くなり、溶射フレーム中で十分に加速されず、付着効率が低下するおそれがある。熱処理温度が高すぎると、焼結が進行して粉末間の結合が強固になり過ぎてしまい、焼結体を解砕し難くなり、溶射用粉末として取り出すことが困難となる。
溶射用粉末の顆粒強度の平均は、10MPa以上であればよいが、好ましくは50MPa以上である。ただし、400MPaを大きく超えると、粉末間の結合が強くなり過ぎる傾向が現れ、溶射時に基材から弾かれて付着効率が著しく低下するため、顆粒強度の平均の上限は、好ましくは400MPa以下である。溶射用粉末の顆粒強度の平均を上記範囲とすることにより、溶射用粉末の溶射を行う際に、溶射用粉末の金属母材への付着効率がより向上し、しかも、形成される溶射皮膜の厚みのばらつきを低減させることができる。
次いで、以上のようにして準備した溶射用粉末を、芯材3に対して溶射することにより溶射皮膜21を形成する(図4参照)。本実施形態においては、溶射皮膜21を形成するための溶射の方法としては、溶射に使用するガスが比較的低温であり(具体的には、3000℃以下であり)、溶射による3元系硼化物の組成の変化が抑制され、形成される溶射皮膜に3元系硼化物を含有させることができるようになるという観点より、高速フレーム溶射法を用いることが好ましい。
続いて、第2層22を形成するための金属材料を準備し、準備した金属材料を溶射皮膜21上に溶射することにより第2層22を形成する(図4参照)。さらに、第3層23を形成するための金属材料を準備し、準備した金属材料を第2層22上に溶射することにより第3層23を形成する(図4参照)。これにより、図4に示すように、芯材3上に、溶射皮膜21、第2層22および第3層23がこの順で形成される。なお、第2層22および第3層23を形成するための溶射の方法としては、特に限定されないが、第2層22や第3層23を構成する金属材料として、上述した鋼材を用いる場合には、ワイヤアーク溶射が好ましい。
本実施形態では、さらに、第3層23の外周面に、管状の鋼材を焼嵌めして鋼材層を形成してもよい。これにより、積層管2を補強し、積層管2の強度を向上させることができる。
続いて、芯材3を、ボール盤やBTA(Boring and Trepanning Association)深孔加工機等を用いて切削する。これにより、図4に示す芯材3が除去され、図2に示すような積層管2、具体的には、内面が溶射皮膜21となり、溶射皮膜21上に第2層22および第3層23が形成されてなる積層管2が得られる。
本実施形態の積層管2は、以上のようにして製造される。
なお、本実施形態の積層管2は、溶射皮膜21の内径Dに対する、積層管2の長さLの比(L/D)が、好ましくは2以上である。この際には、特に、溶射皮膜21の内径Dは、好ましくは40〜160mm、より好ましくは40〜120mmである。本実施形態の製造方法によれば、内径Dと長さLとの比(L/D)が上記範囲にあり、積層管2の形状が比較的細長いものであっても、積層管2を良好に製造することができる。
すなわち、内層のみを、タングステンを含む材料からなる積層管を製造する方法としては、予め準備した管状の部材の内面に、タングステンを含む材料を溶射する方法が考えられる。しかしながら、内径Dが小径であったり、長さLが長かったりすることで、内径Dと長さLとの比(L/D)が上記範囲となる積層管を製造する場合には、上記管状の部材の内部に、溶射用のトーチが入らず、溶射を行うことができないという問題がある。
溶射距離は100〜150mmが適切で、内径トーチを使用した場合でも100mm以下の内径には溶射を行うことができない。そのため、100mm以下の内径では積層管の両端側から角度をつけて溶射しなければならないが、一般的に溶射角度が45°よりも小さくなると皮膜特性は急激に低下するので、管材の内面に溶射する方法で積層管を製造する場合には、L/Dが2以上のものでは良質な溶射皮膜を得ることができないという問題がある。
これに対し、本実施形態では、図4に示すように、芯材3上に溶射皮膜21、第2層22および第3層23を形成した後、芯材3を除去するため、内径Dと長さLとの比(L/D)が上記範囲にある細長い形状の積層管を、良好に製造することができる。
本実施形態の積層管2は、上述したように、溶射皮膜21を内層とし、その上に第2層22および第3層23を備えるため、溶融金属に対する耐食性に優れたものであることに加えて、コスト的に有利である。すなわち、積層管2の全体を、タングステンを含む材料(硼化物系タングステン基合金など)により形成すれば、溶融金属に対する耐食性が向上するものの、タングステンを含む材料は高価であり、成形加工にコストがかかるという問題がある。これに対し、本実施形態の積層管2は、内層のみを、タングステンを含む層(溶射皮膜21)で構成し、その溶射皮膜21の外装を、鋼材などからなる第2層22および第3層23で形成するため、溶融金属に対する耐食性を向上させることができる一方で、比較的安価に製造することができるものである。加えて、本実施形態の積層管2は、第2層22および第3層23によって、その総厚を厚くすることができるため、積層管2の強度を向上させることができる。さらに、第2層22および第3層23の総厚を厚くすることで、第3層23の外周面に、上述したように焼嵌めにより鋼材層を形成することが可能となり、積層管2の強度をより向上させることもできる。
なお、上述した例においては、溶射皮膜21を内層とし、その上に第2層22および第3層23の2層を形成する例を示したが、溶射皮膜21上に形成する層は、単層であってもよいし、3層以上であってもよい。
また、上述した例においては、本発明の溶射皮膜を、ダイカスト装置のスリーブ(積層管)に適用する例を示したが、本発明の溶射皮膜の用途は、これに限定されない。たとえば、本発明の溶射皮膜は、ダイカスト装置の部品以外にも、低圧鋳造法、重力金型鋳造法、またはホットスタンプに用いられる装置の部品などのように、溶融金属等の高温金属と直接接触して用いられる部品として、好適に用いることができる。
以下に、実施例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
<実施例1>
まず、B:0.8重量%、Mo:3.5重量%、Ni:1.1重量%、Ti:0.9重量%、W:残部の比率で混合してなる原料100重量部に対して、5重量部のパラフィンを加え、これをアセトン中で、振動ボールミルにより25時間湿式粉砕を行うことで粉砕粉を作製した。次いで、作製した粉砕粉を、窒素雰囲気下において150℃で18時間乾燥することで1次粒子を得た。そして、得られた1次粒子を、アセトンと1:1の重量割合で混合した後に、スプレードライヤーによって造粒することで2次粒子を得た。次いで、得られた2次粒子を、真空中にて1,350℃で1時間保持して熱処理することにより焼結し、これを分級することにより、溶射用粉末を作製した。
次いで、溶射を行うための基材として、50×50×10mmのSKD61鋼を準備した。そして、高速フレーム溶射機(TAFA社製、型番:JP5000))により、基材に対して上記溶射用粉末を250mmの距離から高速フレーム溶射により溶射することにより、基材上に溶射皮膜を形成した。続いて、これを10mm×10mm×5mmのブロック形状に加工することで試験片を作製した。作製した試験片の断面について、光学顕微鏡(倍率100倍)により観察して得た写真を図8(A)に、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察して得た写真を図8(B)に、それぞれ示す。図8(A)、図8(B)の結果から、試験片の表面には、緻密な溶射皮膜が形成されていることが確認された。
また、作製した試験片について、断面をSEMにより観察して得た写真を、図7に示す。図7の結果から、試験片の断面には、タングステン相を構成するW、3元系硼化物相を構成するMoFeB、MoNiBおよびWFeB、2元系硼化物相を構成するWBが、それぞれ観察された。
さらに、作製した試験片の表面について、X線回折装置(リガク社製、型番:RINT-2500)を用いてX線回折法によりX線回折測定を行った。X線回折測定により得られたグラフを図6に示す。測定結果から、実施例1における、タングステン相に由来する(110)面のピーク強度I(図6における2θ=40.25°のピーク強度)に対する、3元系硼化物相に由来するピークの中で最も強度が大きいピークのピーク強度Imax(図6では、MoNiBに由来する(211)面のピーク強度であり、2θ=42.95°のピーク強度)の比(Imax/I)が、1/5.4であった。結果を表1に示す。
高温大気中での耐食性(その1)
続いて、作製した試験片を、大気炉にて、680℃、80分間の条件で保管した後、腐食の様子を目視で確認し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。また、評価後の試験片の写真を図9(A)に示す。
1:極表層部のみ酸化
2:皮膜内部に至る腐食が確認された
高温大気中での耐食性(その2)
また、作製した試験片を、大気炉にて、680℃、8時間の条件で保管した後、腐食の様子を目視で確認し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。また、評価後の試験片の写真を図10(A)に示す。
1:極表層部のみ酸化
2:皮膜内部に至る腐食が確認された
ビッカース硬さ
続いて、作製した試験片について、20℃の環境にて、ビッカース硬度計(明石製作所社製、品番:MVK−G2)を用いて、荷重200gにてビッカース硬さ(HV)を測定した。同様に、100℃、200℃、300℃、400℃、500℃、600℃、700℃、800℃の環境でも、試験片のビッカース硬さ(HV)を、高温硬度計(ニコン社製、型番:QM−2)を用いて測定した。結果を図11に示す。
<実施例2>
高速フレーム溶射を行う際における、溶射距離を250mmから300mmに変更した以外は、実施例1と同様にして、基材上に溶射皮膜を形成し、10mm×10mm×5mmのブロック形状の試験片を得た。なお、実施例1と同様にして、作製した試験片について、断面をSEMにより観察したところ、試験片の断面には、タングステン相を構成するW、3元系硼化物相を構成するMoFeB、MoNiBおよびWFeB、2元系硼化物相を構成するWBが、それぞれ観察された。さらに、実施例1と同様にして、作製した試験片について、X線回折測定を行ったところ、実施例2における、タングステン相に由来する(110)面のピーク強度Iに対する、3元系硼化物相に由来するピークの中で最も強度が大きいピークのピーク強度Imax(MoNiBに由来する(211)面のピーク強度)の比(Imax/I)は、1/9.5であった。また、得られた試験片について、実施例1と同様にして、高温大気中での耐食性の評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例3>
溶射用粉末を作製する際に、原料として、その組成が、B:0.4重量%、Mo:3.2重量%、Ni:1.0重量%、W:残部(Tiは実質的に0重量%)としたものを使用し、かつ、2次粒子の熱処理温度を1,350℃から1,150℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、溶射用粉末を作製した。そして、得られた溶射用粉末を使用した以外は、実施例1と同様にして、基材上に溶射皮膜を形成し、10mm×10mm×5mmのブロック形状の試験片を得た。なお、実施例1と同様にして、作製した試験片について、断面をSEMにより観察したところ、試験片の断面には、タングステン相を構成するW、3元系硼化物相を構成するMoFeB、MoNiBおよびWFeB、2元系硼化物相を構成するWBが、それぞれ観察された。さらに、実施例1と同様にして、作製した試験片について、X線回折測定を行ったところ、実施例3における、タングステン相に由来する(110)面のピーク強度Iに対する、3元系硼化物相に由来するピークの中で最も強度が大きいピークのピーク強度Imax(MoNiBに由来する(211)面のピーク強度)の比(Imax/I)は、1/16.9であった。また、得られた試験片について、実施例1と同様にして、高温大気中での耐食性の評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
まず、実施例1と同様にして溶射用粉末を作製した。次いで、溶射を行うための基材として、55×60×13mmのSKD61鋼を準備した。そして、プラズマ溶射機(日本ユテク社製、品番:EUTRONIC PLASMA SYSTEM 5000)により、基材に対して上記溶射用粉末を250mmの距離からプラズマ溶射により溶射することにより、基材上に溶射皮膜を形成した。続いて、これを55×12×13mmの形状に加工することで試験片を作製した。作製した試験片の断面について、光学顕微鏡(倍率100倍)により観察して得た写真を図12(A)に、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察して得た写真を図12(B)に、それぞれ示す。図12(A)、図12(B)の結果から、試験片の表面には、溶射皮膜が形成されていることが確認された。
また、作製した試験片の断面について、SEMにより観察して得た写真を、図5に示す。図5の結果から、試験片の断面には、タングステン相を構成するWが観察されたものの、3元系硼化物相は観察されなかったが、2元系硼化物相は一部観察された。
さらに、作製した試験片の表面について、実施例1と同様にして、X線回折測定を行った。結果を図6に示す。図6の結果から、比較例1においては、3元系硼化物相に由来するピークは観察できなかった。そのため、比較例1のピーク強度比Imax/Iは、1/247であった。結果を表1に示す。尚、比較例1において2元系硼化物に由来するピークは部分的に確認されたが、タングステン相に由来する(110)面のピーク強度Iに対する、2元系硼化物に由来するピークの中で最も強度が大きいピークのピーク強度Imax−2の比(Imax−2/I)は1/29.7であった。
続いて、作製した試験片を用いて、実施例1と同様にして、高温大気中での耐食性(その1)の評価、およびビッカース硬さの測定を行った。結果を表1、図9(B)および図11に示す。なお、比較例1については、ビッカース硬さの測定は、図11に示すように、100℃、200℃、300℃、400℃、500℃、600℃、700℃、800℃の環境でのみ行った。
<比較例2>
プラズマ溶射を行う際における、溶射距離を250mmから300mmに変更した以外は、比較例1と同様にして、基材上に溶射皮膜を形成し、10mm×10mm×5mmのブロック形状の試験片を得た。なお、実施例1と同様にして、X線回折測定を行ったところ、比較例2における、タングステン相に由来する(110)面のピーク強度Iに対する、3元系硼化物相に由来するピークの中で最も強度が大きいピークのピーク強度Imax(MoNiBに由来する(211)面のピーク強度)の比(Imax/I)は、1/148であった。また、得られた試験片について、実施例1と同様にして、高温大気中での耐食性の評価を行った。結果を表1に示す。
<参考例1>
まず、実施例1と同様にして、1次粒子を作製した。次いで、作製した1次粒子を、SPS(放電プラズマ焼結装置)で加圧焼結を行い1300〜1500℃の温度で10分間焼結することにより、硬質焼結合金からなる焼結体を得た。なお、焼結時の昇温速度は100℃/分とした。続いて、得られた焼結体について、15mm×15mm×5mmのブロック形状に加工することで試験片を作製した。そして、作製した試験片を用いて、実施例1と同様にして、高温大気中での耐食性(その2)の評価を行った。結果を表1、図10に示す。
<参考例2>
表面に窒化処理を施して窒化層を形成したSKD61鋼(SKD61窒化材)を、10mm×5mm×5mmのブロック形状に加工することで試験片を作製した。そして、作製した試験片を用いて、実施例1と同様にして、ビッカース硬さの測定を行った。結果を図11に示す。
表1、図9(A)、図10(A)に示すように、X線回折法により表面を測定した場合におけるピーク強度比Imax/Iが、1/100以上である溶射皮膜は、参考例1(焼結体の試験片)と同等に、高温大気中での耐食性に優れるものであった(実施例1〜3)。これは、実施例1〜3では、図7に示すように溶射皮膜中に3元系硼化物相が存在し、この3元系硼化物相が結合相となってタングステン相同士を結合することにより、結果として、図8に示すように溶射皮膜が緻密なものとなり、これによりガスの透過を抑制できることから、高温大気中での耐食性に優れるものとなったと考えられる。さらに、実施例1においては、図11に示すように、比較例1(プラズマ溶射法により形成した溶射皮膜)よりも硬度が高く、しかも、参考例2(SKD61窒化材)と比較して高温環境下での硬度の低下が抑制されており、これにより、溶融金属等の高温金属と直接接触した場合においても(特に、600〜700℃程度のアルミニウム溶湯と直接接触した場合においても)、耐摩耗性に優れるものであることが確認された。なお、実施例2,3についても、実施例1と同様に、比較例1よりも硬度が高く、さらには、参考例2と比較して高温環境下での硬度の低下が抑制されたものであった。
一方、表1、図9(B)に示すように、X線回折法により表面を測定した場合におけるピーク強度比Imax/Iが、1/100未満である溶射皮膜は、高温大気中での耐食性に劣るものであった(比較例1,2)。これは、比較例1,2では、図5に示すように、溶射皮膜中において結合相として作用する3元系硼化物相が存在せず、その結果、図12に示すように溶射皮膜が疎なものとなり、これによりガスが透過しやすくなってしまい、高温大気中での耐食性に劣るものとなったと考えられる。
<参考例3>
2次粒子に対する熱処理の条件を、真空中にて1,100℃で1時間保持する条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、溶射用粉末を作製した。
顆粒強度の平均
作製した溶射用粉末について、常温(20℃)における、溶射用粉末を構成する粒子の粒子径φ(単位はμm)と、該粒子が破壊される荷重(破壊荷重N(単位は(N))とを、微小圧縮試験機(島津製作所社製、品番:MCT−510)を用いて測定し、測定した粒子径φと破壊荷重Nとに基づいて、下記式(1)により、溶射用粉末の顆粒強度Pを求めた。そして、このようにして溶射用粉末の顆粒強度Pを5回求めて、得られた5回の顆粒強度Pの平均値を、顆粒強度の平均として求めた。結果を表2に示す。
P=(2.48×N)/(π×φ) ・・・(1)
次いで、溶射を行うための基材として、55mm×25mm×5mmのSKD61鋼を準備した。そして、高速フレーム溶射機(TAFA社製、型番:JP5000)により、基材に対して上記溶射用粉末を高速フレーム溶射することにより、基材上に溶射皮膜を形成した。そして、基材上に形成された溶射皮膜の重量W(単位はg)を測定し、実際に溶射した溶射用粉末の重量W(単位はg)に基づいて、溶射用粉末の基材への付着効率を、(溶射皮膜の重量W/溶射した溶射用粉末の重量W)×100を計算することで求めた。結果を表2に示す。
一方で、上記基材に対して、プラズマ溶射機(日本ユテク社製、品番:EUTRONIC PLASMA SYSTEM 5000)により、上記溶射用粉末をプラズマ溶射することにより、基材上に溶射皮膜を形成した試料も作成した。そして、このようにプラズマ溶射により溶射皮膜を形成した試料についても、上述した方法にしたがい、溶射用粉末の基材への付着効率を求めた。結果を表2に示す。
<参考例4>
2次粒子に対する熱処理の条件を、真空中にて1,250℃で1時間保持する条件に変更した以外は、参考例3と同様にして、プラズマ溶射による溶射皮膜を形成し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
<参考例5>
2次粒子に対する熱処理の条件を、真空中にて1,350℃で1時間保持する条件に変更した以外は、参考例3と同様にして、高速フレーム溶射による溶射皮膜、およびプラズマ溶射による溶射皮膜を形成し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
表2に示すように、高速フレーム溶射法により溶射皮膜を形成した場合においても、溶射用粉末の顆粒強度の平均が高いほど、溶射用粉末の基材への付着効率が向上することが確認された。特に、顆粒強度の平均が10MPa以上である溶射用粉末を用いることにより、高速フレーム溶射法により溶射皮膜を形成した場合においても、付着効率が十分なものとなることが確認された(参考例5)。なお、実施例3で使用した溶射用粉末についても、上記と同様にして、顆粒強度の平均を測定したところ、顆粒強度の平均が10MPa以上であり、同様に、高速フレーム溶射法により溶射皮膜を形成した場合においても、付着効率が十分なものであった。
1…ダイカスト装置
11…スリーブ
12…プランジャー
13…流路
14…ダイキャビティ
15…第1金型
16…第2金型
2…積層管
21…溶射皮膜
22…第2層
23…第3層
3…芯材

Claims (9)

  1. タングステン相と、3元系硼化物相とを含有する溶射皮膜であって、
    X線回折法により前記溶射皮膜の表面を測定した場合における、前記タングステン相に由来する(110)面のピーク強度Iに対する、前記3元系硼化物相に由来するピークの中で最も強度が大きいピークのピーク強度Imaxの比(Imax/I)が、1/100以上である溶射皮膜。
  2. 前記3元系硼化物相が、主としてMoNiB,MoFeB,WFeB,WNiB,MoCoB,WCoBのいずれかを含み、
    前記ピーク強度Imaxが、前記MoNiB,MoFeB,WFeB,WNiB,MoCoB,WCoBのいずれかに由来する(211)面のピーク強度である請求項1に記載の溶射皮膜。
  3. 前記3元系硼化物相が、主としてWFeB,MoCoB,WCoBのいずれかを含み、
    前記ピーク強度Imaxが、前記WFeB,MoCoB,WCoBのいずれかに由来する(112)面のピーク強度である請求項1に記載の溶射皮膜。
  4. 2元系硼化物相をさらに含有する請求項1〜3のいずれかに記載の溶射皮膜。
  5. 前記2元系硼化物相が、WBを含む請求項4に記載の溶射皮膜。
  6. 300〜700℃の範囲で測定されるビッカース硬さ(HV)が、400以上である請求項1〜5のいずれかに記載の溶射皮膜。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の溶射皮膜を内面に備える積層管。
  8. 前記内面に備えられた前記溶射皮膜の内径Dに対する、前記積層管の長さLの比(L/D)が、2以上である請求項7に記載の積層管。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の溶射皮膜の製造方法であって、
    タングステンと3元系硼化物とを含有し、かつ、顆粒強度の平均が10MPa以上である溶射用粉末を準備する工程と、
    前記溶射用粉末を、高速フレーム溶射法により、金属母材上に溶射する工程と、を備える溶射皮膜の製造方法。
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