JP2002234956A - 磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、その製造方法および磁気記録テープ - Google Patents
磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、その製造方法および磁気記録テープInfo
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Abstract
DVCテープを製造しても、DOが少ないDVCテープ
とすることができる磁気記録媒体用ポリエステルフィル
ムを提供する。 【解決手段】 磁気記録媒体製造時に強磁性金属薄膜層
が設けられる表面Aは表面粗さRa値が1〜5nmであ
り、かつ、10MPaの張力をかけた状態で、大気圧
下、30日間放置した後のフィルム表面における長径
0.1μm以上のポリエステルオリゴマー個数が、前記
表面Aとは反対側の表面Bにおいて2万個/mm2 以下
である磁気記録媒体用ポリエステルフィルムである。
Description
リエステルフィルム、特にデジタルビデオカセットテー
プ用、データストレージテープ用等のデジタルデータを
記録する強磁性金属薄膜型磁気記録媒体を高品質で製造
するために好適な磁気記録媒体用ポリエステルフィルム
に関するものである。
ルビデオ(DVC)テープは、ベースフィルム上にCo
の金属磁性薄膜を真空蒸着により設け、その表面にダイ
ヤモンド状カーボン膜をコーティングし、更にその上に
コーティングにより潤滑剤層を設け、そして、そのベー
スフィルムの反対面側にビデオテープレコーダー内での
テープの走行性と耐久性を確保するために、バックコー
ト層が設けられたものである。この家庭用デジタルビデ
オ(DVC)テープは、1989年に実用化された世界
初の8ミリビデオ蒸着テープHi8用MEテープに比べ
て表面性がはるかに平滑化したにもかかわらず、良好な
耐久性をもっている。そのベースフィルムとしては、次
の(1)、(2)、(3)等のポリエステルフィルムが用いら
れ、Hi8MEテープ用ベースに比べ、はるかに表面粗
度の小さいベースフィルムが利用されている。
テルフィルムの少なくとも片面に密着された厚さ500
オングストローム以下の水溶性高分子化合物を主体とす
る不連続皮膜とからなるポリエステルフィルム(例え
ば、特公平2−1005号公報)。
の少なくとも片面に密着されたポリマーブレンド体と粒
径50〜500オングストロームの微細粒子を主体とし
た不連続皮膜とからなり、該不連続皮膜には水溶性ポリ
エステル共重合体が含有され、微細粒子により不連続皮
膜上に微細突起が形成されたポリエステルフィルム(例
えば、特公昭63−57238号公報)。
有し、該微細粒子により高さ50〜900オングストロ
ームの微細表面突起が形成されたポリエステルフィルム
と、該ポリエステルフィルムの少なくとも片面に密着さ
れた厚さ500オングストローム以下の有極性高分子化
合物を主体とする不連続被膜とからなり、該微細表面突
起の高さが該不連続被膜の高さよりも高いポリエステル
フィルム(例えば、特公平6−51401号公報)。
は製膜後、経時的にポリエステルフィルム内のオリゴマ
ーがフィルム表面に析出しがちであり、該ベースフィル
ムより作成されるテープのドロップアウト(DO)が増
加しがちであった。
ルム内のオリゴマーがフィルム表面に析出しにくい磁気
記録媒体用ポリエステルフィルムを与えることを目的と
して、次の(4)、(5)等の提案がなされている。
面Aに、高さ10〜50nmの微細表面突起が存在する
ポリエステルフイルムであって、高さ10〜50nmの
微細表面突起の密度が100万〜1億個/mm2であ
り、30℃、30日間の放置で片側表面A上に析出する
径0.5μm以上のポリエステルオリゴマーが500個
/mm2以下であるポリエステルフィルム(例えば、特
開2000−187830号公報)。
面Aが、セルロース誘導体を含有する被膜により被覆さ
れており、該セルロース誘導体の数平均分子量が1万〜
10万であるポリエステルフィルム(例えば、特開20
00−173044号公報)。等が提案されている。
(4)、(5)等のベースフィルムでは、通常条件下では、ポ
リエステルフィルム内のオリゴマーが製膜後に経時的に
フィルム表面Aから析出することはなく、該ベースフィ
ルムより作成されたDVCテープのDOが、ベースフィ
ルムの経時的要因により増加することはなかったが、D
VCテープのDOはDVCテープを製造する季節により
大幅に変動することが明らかになってきた。すなわち、
梅雨〜夏の時季に製造されたDVCテープはDOが増加
しがちであった。DOが増加したDVCテープを観察す
るとテープ表面に異物があり、その異物はポリエステル
フィルムの表面B側から析出した長径0.1μm以上の
ポリエステルオリゴマーに起因することが判ってきた。
れるDVCテープであってもDOが少ないDVCテープ
とすることができ、年間を通じて良品質のDVCテープ
を製造できる磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを与
えることを目的とするものである。
めに、本発明は以下の構成からなるものである。 [1]磁気記録媒体製造時に強磁性金属薄膜層が設けら
れる表面Aは表面粗さRa値が1〜5nmであり、か
つ、10MPaの張力をかけた状態で、大気圧下、30
日間放置した後のフィルム表面における長径0.1μm
以上のポリエステルオリゴマー個数が、前記表面Aとは
反対側の表面Bにおいて2万個/mm2 以下である磁気
記録媒体用ポリエステルフィルム。 [2]ポリエステルフィルムを構成するポリエステル
が、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−
2,6−ナフタレートである上記[1]記載の磁気記録
媒体用ポリエステルフィルム。 [3]デジタル記録方式のビデオカセットレコーダーテ
ープ用に用いられる上記[1]または[2]記載の磁気
記録媒体用ポリエステルフィルム。 [4]表面Bが、表面形態を持たない薄い皮膜からなる
上記[1]〜[3]のいずれかに記載の磁気記録媒体用
ポリエステルフィルム。 [5]ポリエステル原料を溶融押出し、冷却し、一方向
に延伸し、一方向延伸フィルムの表面Bに皮膜形成用の
塗液を塗布した後に、乾燥し、該乾燥の後あるいは乾燥
させながら、上記延伸方向と直角をなす方向に延伸し、
必要に応じて更なる延伸を任意方向に施した後に、熱処
理を行い、その後に小幅にスリットし、円筒コアー上に
ロール状に巻取り、請求項3に記載の磁気記録媒体用ポ
リエステルフィルムを製造する方法であって、かつ、小
幅スリット後に円筒コアー上に巻取る際のポリエステル
フィルムの巻取り張力を10MPa以下とする磁気記録
媒体用ポリエステルフィルムの製造方法。 [6]上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリエス
テルフィルムの表面Aの外側に強磁性金属薄膜層を設け
てなる磁気記録テープ。
テルフィルムを構成するポリエステルは、分子配向によ
り高強度フィルムとなり得るポリエステルであればよい
が、なかでもポリエチレンテレフタレートとポリエチレ
ン−2,6−ナフタレートが特に好ましく用いられる。
好適には、その構成成分の80%以上がエチレンテレフ
タレート、エチレンナフタレートであるポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレンナフタレートである。エチ
レンテレフタレート、エチレンナフタレート以外のポリ
エステル共重合成分としては、例えば、ジエチレングリ
コール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、ポリエチレングリコール、p−キシリレングリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオー
ル成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタ
ル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカル
ボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多
官能ジカルボン酸成分およびp−オキシエトキシ安息香
酸などが挙げられる。
リエステルと非反応性のスルホン酸のアルカリ金属塩誘
導体、該ポリエステルに実質的に不溶なポリアルキレン
グリコールなどの少なくとも一つを5重量%を超えない
程度に混合してもよい。
Aの表面粗さRa値は、1〜5nm、好ましくは2〜4
nmである。表面粗さRa値が1nm未満であると、表
面A上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜層が
平滑すぎて、DVCビデオテープレコーダー内の記録、
再生時にビデオヘッドによりDVCテープの強磁性金属
薄膜が磨耗してしまい好ましくない。また、Ra値が5
nmを超えると、該強磁性金属薄膜層が粗面すぎて、D
VCテープの出力特性が低下し好ましくない。
Paの張力をかけた状態で、大気圧下、30日間放置し
た後のフィルム表面における長径0.1μm以上のポリ
エステルオリゴマー個数(以下、単に析出オリゴマー個
数という)が、表面Aとは反対側の表面Bにおいて2万
個/mm2以下であり、好ましくは1.5万個/mm2以
下である。円筒コアー上に巻かれたロール状のポリエス
テルフィルムは、そのままのロール状で保管されるが、
特に梅雨から夏にかけての高温高湿の環境下では、ロー
ル状に巻かれて張力がかかっているために、フィルム表
面Bよりポリエステルオリゴマーが析出しやすくなる。
この表面Bに析出したオリゴマーは、ロール状に巻かれ
ている故にロール内において表面Bから表面Aへと転写
するので、蒸着時、その析出、転写したオリゴマー上に
強磁性膜が形成され、ポリエステルオリゴマー部が磁性
面上の粗大表面突起となり、DVCテープの電磁変換特
性を悪化させDOをおこすことになる。この現象は、特
に、梅雨から夏の高温・高湿環境時に加工する際に顕著
であって、問題が顕在化する。
問題となるポリエステルオリゴマーは、10MPaの張
力をかけた状態でポリエステルフィルムロールを放置し
ておくとポリエステルフィルム内から表面に析出してく
る低分子量物であり、具体的には、ポリエステル内に存
在するポリエステル形成モノマー、ダイマー、トリマ
ー、低分子量体、ポリエステル内粒子周りに存在するポ
リエステル破壊物、触媒残渣、ポリエステル加水分解物
等である。
万個/mm2以下に低減させるためには、その表面Bに
は、表面形態を持たない薄い皮膜を形成しておくことが
好ましい。皮膜の厚さは10nm以下、より好ましくは
5nm以下が望ましい。厚さが10nmを上回るとポリ
エステルフィルムを蒸着する際に皮膜が冷却キャンで削
られ、削れ物がDO発生の一因となるので好ましくな
い。
面形態を持たない薄い皮膜とし得る高分子化合物であれ
ば材質は問わないが、水溶性高分子化合物、水分散型高
分子にシリコーン化合物が混合されたものが好ましい一
例である。皮膜内には、皮膜表面に表面形態をもたらす
添加物類、例えば微細粒子等は、含まないことを要す
る。表面形態を持つと皮膜が薄い故にその形態を作る構
造部分が皮膜より脱落しやすくなり、ポリエステルフィ
ルムを蒸着する際に冷却キャンを汚し、汚れ物がDO発
生の一因となるので好ましくない。皮膜厚さの下限は、
フィルム表面Bの析出オリゴマー個数を2万個/mm2
以下とし得る限り特に限定されない。
は、横倍率1000倍の微分干渉顕微鏡観察を行なって
も皮膜の表面構造が確認されないことである。すなわ
ち、微分干渉顕微鏡レベルの分解能で調べても皮膜厚み
が全体的に一定で、フィルム表面の地肌を均一に覆って
いると観察され、横倍率1000倍の微分干渉顕微鏡写
真では、皮膜を設けていないフィルムの表面と同等の表
面形態が観察されるものである。これに対し、皮膜の表
面観察において、不連続部分がある、網目状、粒状、島
状、微細な突起状がみられる場合は、表面形態を持つも
のと言える。
ールにスリットする際の張力を下げる方がフィルム表面
Bの析出オリゴマー個数を低減させるのに有効である。
フィルムであってもよいし、層aとより大きな微細粒子
を含有する層bとが積層された積層フィルムであっても
よいし、更により多層の積層フィルムでもよい。
DVCテープのDVミニカセットの録画時間を1時間以
上とするために、厚さ7μm未満であることが好まし
く、さらに好ましくは、厚さ4.0〜6.5μmの範囲
内である。
均粒径が5〜30nm好ましくは8〜25nmの微細粒
子を、0.5〜12.0重量%好ましくは0.6〜1
0.0重量%含む有機化合物からなる被覆層が形成され
ていることが望ましい。微細粒子としては、シリカ、炭
酸カルシウム、アルミナ、ポリアクリル酸球、ポリスチ
レン球が挙げられ、また、有機化合物としては、ポリビ
ニルアルコール、トラガントゴム、カゼイン、ゼラチ
ン、セルロース誘導体、水溶性ポリエステル、ポリウレ
タン等の有極性高分子化合物とこれらのブレンド体を好
ましく使用することができる。被覆層の厚さは好ましく
は3〜50nmであり、より好ましくは5〜30nmで
ある。
久性をさらに増すためには、表面Aを形成するポリエス
テル層内に平均粒径が30〜90nm、好ましくは40
〜80nmの微細粒子を0.01〜1.0重量%、好ま
しくは0.02〜0.8重量%含ませ、表面A上に表面
突起をもたせることが好ましい。微細粒子としては、シ
リカ、炭酸カルシウム、アルミナ、ポリアクリル酸球、
ポリスチレン球等を好ましく使用することができる。
エステルフィルムの片側表面Aの外側表面上(前記被覆
層が設けられている場合、その被覆層上)に、真空蒸着
により形成される強磁性金属薄膜層を設けてなることを
特徴とするが、使用する金属薄膜は公知のものを使用す
ることができ、鉄、コバルト、ニッケル、またはそれら
の合金の強磁性体からなる金属薄膜が好ましい。金属薄
膜層の厚さは、好ましくは100〜300nmである。
テープレコーダー内の各種ガイド、ピンとの走行におけ
る走行性や、耐久性を確保するために、フィルム表面B
上に、固体微粒子および結合剤からなり、必要に応じて
各種添加剤を加えた溶液を塗布することにより形成され
るバックコート層を設けることが好ましく、バックコー
ト層を構成する成分としての固体微粒子、結合剤、添加
剤等は公知のものを使用することができる。バックコー
ト層の厚さは、通常0.3〜1.5μm程度である。
ルフィルムおよび磁気記録テープの製法を例示する。
側原料として含有粒子を可能な限り除いたポリエステル
を用い、溶融、成形、二軸延伸、熱固定、小幅スリット
からなる通常のプラスチックフィルム製造工程におい
て、縦、横方向に90〜140℃で、それぞれ2.7〜
5.5倍、3.5〜7.0倍に延伸し、190〜220
℃の温度で熱固定を行ない、円筒コアー上にロール状に
巻取るために小幅にスリットを行うプロセスによって、
さらに下記操作を行なうことにより製造することができ
る。
に延伸後の平滑なポリエステルフィルムの表面A側に、
平均粒径が5〜30nm好ましくは8〜25nmの微細
粒子を、0.5〜12.0重量%好ましくは0.6〜1
0.0重量%含む有機化合物からなる塗液を塗布して表
面A側に被覆層を形成させ、表面Aに微細表面突起を形
成する。被覆層は、連続皮膜形状あるいは不連続皮膜形
状のいずれであってもかまわない。被膜構成成分にその
滑り性、耐久性向上のためにシリコーン、シランカップ
リング剤、チタンカップリング剤を少量添加してもよ
い。
ことが望まれるときは、表面Aを形成するポリエステル
層内に平均粒径が30〜90nm、好ましくは40〜8
0nmの微細粒子を1.0重量%以下、好ましくは0.
8重量%以下、含ませることにより、表面A上に表面突
起をもたせることが好ましい。微細粒子としては、既述
のシリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、ポリアクリル酸
球、ポリスチレン球等を使用することができる。
ステル層内の微細粒子の種類、平均粒径、添加量を調整
することにより調節することができる。
数を2万個/mm2以下に低減させるためには、表面B
にポリエステルオリゴマーバリアー性皮膜を薄く、10
nm以下の厚さで設けられていて、さらに、小幅にスリ
ットする際のフィルムの巻取り張力を10MPa以下、
より好ましくは4MPa〜8MPaとすること、が有効
であり、その皮膜の条件や小幅スリットでの巻取張力を
調整することにより、フィルム表面Bにおける析出オリ
ゴマー個数を調整することができる。
後の平滑なポリエステルフィルムにおける表面B側に、
有機化合物を主体とする塗液を塗布して乾燥することに
より形成され、有機化合物の種類や塗布厚さを調整する
ことにより、その厚さや表面性状を調節することができ
る。有機化合物としては、セルロース誘導体等の水溶性
高分子化合物や、ポリ塩化ビニリデン等の水分散型高分
子化合物に、シリコーン化合物が混合されたものが好ま
しい例である。
と表面Bとをそれぞれの好ましい表面性状とするため
に、前記したA面側原料(a層用)と積極的により大き
な微粒子を含有させた原料(b層用)を用い、共押出し
技術によってa/b積層フィルムを溶融押出しし製膜し
てもよい。また、より多層の積層フィルムとしてもよ
い。
時二軸延伸法で行なうことができるが、必要に応じて、
熱固定前にさらに縦あるいは横方向あるいは縦と横方向
に再度延伸させ機械的強度を高めた、いわゆる強力化タ
イプとすることもできる。
方法については、前述のとおり、1軸方向への延伸を終
えた段階で、所定の塗液を基層フィルム上に塗布する。
塗布方法としては、ドクターブレード方式、グラビア方
式、リバースロール方式、メタリングバー方式、エアー
ナイフ方式のいずれであってもよい。
録媒体のベースフィルムとして、特にデジタルビデオテ
ープ用途に使用すると優れた結果を得ることができ好適
である。また、データストレージテープ用途に使用して
も優れた結果を得ることができ好適である。
温で1年程度の長期間保管した後に使用しても、また4
0℃程度の高温度、80%RH程度の高湿度下、保管し
た後に使用しても、DOが少ないDVCテープとするこ
とができる。
エステルベースフィルムの表面A側に、強磁性金属薄膜
を真空蒸着により設けて構成される。強磁性金属薄膜に
使用される強磁性金属は、既述のとおり、鉄、コバル
ト、ニッケル、またはそれらの合金の強磁性体からなる
ものが好ましく、強磁性金属薄膜の厚さは100〜30
0nmが好ましい。本発明においては、この強磁性金属
薄膜上に、保護のためにダイヤモンド状カーボン(DL
C)膜を保護膜として5〜20nm程度の厚みで設け、
さらにその上にフッ素系潤滑剤を2〜10nm程度の厚
みで潤滑層として形成することが好ましい。強磁性金属
薄膜厚み、DLC保護膜、潤滑層が107〜330nm
と極めて薄いため、強磁性金属薄膜表面はベースフィル
ム表面形状をそのまま反映する。
テープレコーダー内の各種ガイド、ピンとの走行におい
て走行性や、耐久性を確保するために、ベースフィルム
の層B側表面上に固体微粒子および結合剤からなり、必
要に応じて各種添加剤を加えた溶液を塗布することによ
り形成されるバックコート層を設けてなるが、固体微粒
子、結合剤、添加剤はカーボンブラック、ポリウレタン
樹脂、シリコーン等、公知のものを使用することができ
る。
力顕微鏡(走査型プローブ顕微鏡)を用いて測定した。
セイコーインスツルメント社製の走査型プローブ顕微鏡
(SPI3800シリーズ)を用い、ダイナミックフォ
ースモードでフィルムの表面を30μm角の範囲で原子
間力顕微鏡計測走査を行ない、得られる表面のプロファ
イル曲線よりJIS・B0601・Raに相当する算術
平均粗さより求めた。面内方向の拡大倍率は、1万〜5
万倍、高さ方向の拡大倍率は100万倍程度とした。
大気圧下、30日間放置した後のフィルム表面における
長径0.1μm以上のポリエステルオリゴマー個数(析
出オリゴマー個数) ポリエステルフィルムより、10mm幅、10cm有効
長の長さのサンプルを長手方向より切り出し、荷重W
(kg)を幅方向に均一にかける(フィルム幅方向全幅
に両面テープを貼り付け、荷重をぶらさげる)。Wをフ
ィルム厚さ(mm)とフィルム幅(10mm)で割り、
1kg/mm2=9.807MPa換算関係を用い、W
を調整することにより10MPaの張力をかける。大気
圧下で10MPaの張力をかけた状態で30日間放置す
る。放置後のフィルム表面を高分解能の走査型電子顕微
鏡を用いて倍率1万倍以上で観察する。最低10枚の写
真をとり、そのフィルム表面に析出した、長径0.1μ
m以上の異物を観測する。その異物をポリエステルオリ
ゴマーとみなし、フィルム表面1mm2あたりの個数に
換算し、析出オリゴマー個数とした。
を掛け、固形分密度、塗布後の延伸倍率で除して求め
る。なお、この皮膜厚さをフィルムから求める場合に
は、下記のa)、b)手法等により求めることができ
る。 a)フィルムの少片を樹脂で固定し、フィルムの長手方
向に平行に切断しフィルム断面の超薄切片を作成し、透
過型電子顕微鏡により10万倍程度以上の倍率で観察
し、皮膜/フィルム、皮膜/樹脂界面の距離より皮膜厚
さを求める。 b)フィルムB面表面より特定の無機元素(例えば、シ
リコン)の濃度分布を表面からの深さ方向に二次イオン
質量分析(SIMS)装置を用いて測定し、その濃度が
表面の10%程度になった深さを皮膜厚みとする。
を施し、微分干渉顕微鏡で1000倍の拡大倍率で写真
をとり観測する。表面形態を持たない皮膜では、形態、
構造は観測されない。すなわち、皮膜を設けていないフ
ィルム表面Bも、皮膜が設けられたフィルム表面Bも1
000倍の横倍率の微分干渉顕微鏡写真では表面形態の
差が判別できないし、また、皮膜が不連続であるとか、
網目状であるとか、粒状であるとか、島状であるとか、
微細な突起を含むとかも観察されない。さらにまた、微
分干渉顕微鏡レベルの分解能においては厚みが一定でフ
ィルム表面Bの地肌を均一に覆っていると、観察され
る。
評価 市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダーの
LPモードを用いて静かな室内で録画し、1分間の再生
をして画面にあらわれたブロック状のモザイク個数(ド
ロップアウト(DO)個数)を数えることによって、D
VCテープ特性を評価した。DO個数は、テープ製造後
の初期特性と100回繰返し走行後に、測定した。DO
個数は小さい値の方が良い。
ないポリエチレンテレフタレートに平均粒径60nmの
シリカを0.02重量%含有させた原料Aと、実質的に
不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートに
平均粒径210nmのケイ酸アルミニウムと粒子径30
0nmのポリスチレン球とをそれぞれ0.30重量%、
0.03重量%含有させた原料Bとを、厚み比5:1の
割合で共押出しし、ロール延伸法で110℃で3.0倍
に縦延伸した。縦延伸の後の工程で、原料Aからなる層
aの外側に下記組成・濃度の水溶液を塗布濃度(固形分
濃度)25mg/m2で塗布した。また、原料Bからな
るまた層bの外側に下記組成・濃度の水溶液を塗布濃度
(固形分濃度)0.8mg/m 2で塗布した。
で3.5倍に延伸し、210℃で熱処理し、中間スプー
ルに巻き、スリッターでm幅4.0kgの張力(6.2
MPa)をかけ、小幅にスリットし、円筒コアー上にロ
ール状に巻取り、厚さ6.3μm、幅600mmの蒸着
用のポリエステルフィルムの、長さ15000m巻取り
ロールを製造した。
ューブで包みダンボール箱で梱包し、温度25±5℃の
倉庫内に移動、保管した。一か月後、このロールから引
出したポリエステルフィルムの表面Aに、真空蒸着によ
りコバルト−酸素薄膜を110nmの膜厚で強磁性金属
薄膜層を形成した。次に、コバルト−酸素薄膜層上に、
スパッタリング法によりダイヤモンド状カーボン膜を1
0nmの厚みで形成させた。次に、フッ素系潤滑剤層を
6nmの厚みで設けた。続いて、表面B上に、カーボン
ブラック、ポリウレタン、シリコーンからなるバックコ
ート層を400nm厚さで設け、スリッターにより幅
6.35mmにスリットしリールに巻き取りDVCテー
プを作成した。
の特性を真空蒸着処理する前に測定し、表1(フィルム
表面AのRa値)及び表2(フィルム表面Bにおける析
出オリゴマー個数、製造月ごとの平均値)に示した。さ
らに、それから一か月後に製造したDVCテープの品質
を測定し、表3(その製造月ごとの平均値)に示した。
なお、1〜4月及び10〜12月に製造したポリエステ
ルフィルムは、表面Bにおける析出オリゴマー個数が
0.1万〜0.2万個/mm2と少なく、それから得ら
れたDVCテープは、DO値が初期、100回走行後とも
に0個/分と、優れた品質を有していた。
造において、原料Aより平均粒径60nmのシリカを除
いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ6.3μ
mの幅600mm、長さ15000mのポリエステルフ
ィルムロールを製造し、梱包して保管し、一か月後に、
幅6.35mmのDVCテープを製造した。得られたポ
リエステルフィルムの表面AのRa、表面Bの析出オリ
ゴマー個数、DVCテープの特性を実施例1と同様に測
定した結果は、下記の表1、2、3に示すとおりであっ
た。なお、1〜4月及び10〜12月に製造したポリエ
ステルフィルムからのDVCテープも実施例1と同様、
優れた品質を有していた。
造において、ポリエチレンテレフタレートをポリエチレ
ン−2,6−ナフタレートに変更し、原料B内のケイ酸
アルミニウムの含有量を1.1重量%とし、縦延伸温
度、倍率を135℃で5.0倍とし、層a外側の水溶液
塗布濃度(固形分濃度)を40mg/m2とした。層b
外側の水溶液塗布濃度(固形分濃度)を1.0mg/m
2とした。横延伸温度、倍率を135℃、6.5倍と
し、200℃での熱処理に変更し、その他は実施例2と
同様にして、厚さ4.2μmの幅600mm、長さ15
000mのポリエステルフィルムロールを製造した。そ
の他は実施例1と同様にして、梱包して保管し、一か月
後に、幅6.35mmのDVCテープを製造した。得ら
れたポリエステルフィルムの表面AのRa、表面Bの析
出オリゴマー個数、DVCテープの特性を実施例1と同
様に測定した結果は、下記の表1、2、3に示すとおり
であった。なお、1〜4月及び10〜12月に製造した
ポリエステルフィルムからのDVCテープも実施例1と
同様、優れた品質を有していた。
造において、層a外側水溶液のシリカの平均粒径を4n
mとした。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μ
mの幅600mm、長さ15000mのポリエステルフ
ィルムロールを製造した。その他は実施例1と同様にし
て、梱包して保管し、一か月後に、幅6.35mmのD
VCテープを製造した。得られたポリエステルフィルム
の表面AのRa、表面Bの析出オリゴマー個数、DVC
テープの特性を実施例1と同様に測定した結果は、下記
の表1、2、3に示すとおりであった。
造において、層a外側水溶液のシリカの平均粒径を60
nmとした。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3
μmの幅600mm、長さ15000mのポリエステル
フィルムロールを製造した。その他は実施例1と同様に
して、梱包して保管し、一か月後に幅6.35mmのD
VCテープを製造した。得られたポリエステルフィルム
の表面AのRa、表面Bの析出オリゴマー個数、DVC
テープの特性を実施例1と同様に測定した結果は、下記
の表1、2、3に示すとおりであった。
造において、スリッターでの小幅のスリットに際して、
m幅8.0kg(12.4MPa)の張力をかけスリッ
トした。その他は実施例1と同様にして、厚さ6.3μ
mの幅600mm、長さ15000mのポリエステルフ
ィルムロールを製造した。その他は実施例1と同様にし
て、梱包して保管し、一か月後に、幅6.35mmのD
VCテープを製造した。得られたポリエステルフィルム
の表面AのRa、表面Bの析出オリゴマー個数、DVC
テープの特性を実施例1と同様に測定した結果は、下記
の表1、2、3に示すとおりであった。
造において、層b側への塗布を行わなかった。またスリ
ッターでの小幅のスリットに際してm幅8.0kg(1
2.4MPa)の張力をかけスリットした。その他は実
施例1と同様にして、厚さ6.3μmの幅600mm、
長さ15000mのポリエステルフィルムロール製造し
た。その他は実施例1と同様にして、梱包して保管し、
一か月後に、幅6.35mmのDVCテープを製造し
た。得られたポリエステルフィルムの表面AのRa、表
面Bの析出オリゴマー個数、DVCテープの特性を実施
例1と同様に測定した結果は、下記の表1、2、3に示
すとおりであった。
うに、本発明のポリエステルフィルムの片側表面Aに強
磁性金属薄膜層を設けて製造したDVCテープは、5月
〜9月の梅雨から夏の高温多湿時期に製造保管されたフ
ィルムを用いて6月〜10月に製造された製品でも、D
Oの発生の無い優れたDVCテープであった。
ルムを製造、保管してDVCテープを製造しても、DO
が少ないDVCテープとすることができる。
Claims (6)
- 【請求項1】 磁気記録媒体製造時に強磁性金属薄膜層
が設けられる表面Aは表面粗さRa値が1〜5nmであ
り、かつ、10MPaの張力をかけた状態で、大気圧
下、30日間放置した後のフィルム表面における長径
0.1μm以上のポリエステルオリゴマー個数が、前記
表面Aとは反対側の表面Bにおいて2万個/mm2 以下
であることを特徴とする磁気記録媒体用ポリエステルフ
ィルム。 - 【請求項2】 ポリエステルフィルムを構成するポリエ
ステルが、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチ
レン−2,6−ナフタレートであることを特徴とする請
求項1記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。 - 【請求項3】 デジタル記録方式のビデオカセットレコ
ーダーテープ用に用いられることを特徴とする請求項1
または2記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。 - 【請求項4】 表面Bが、表面形態を持たない薄い皮膜
からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。 - 【請求項5】 ポリエステル原料を溶融押出し、冷却
し、一方向に延伸し、一方向延伸フィルムの表面Bに皮
膜形成用の塗液を塗布した後に、乾燥し、該乾燥の後あ
るいは乾燥させながら、上記延伸方向と直角をなす方向
に延伸し、必要に応じて更なる延伸を任意方向に施した
後に、熱処理を行い、その後に小幅にスリットし、円筒
コアー上にロール状に巻取り、請求項3に記載の磁気記
録媒体用ポリエステルフィルムを製造する方法であっ
て、かつ、小幅スリット後に円筒コアー上に巻取る際の
ポリエステルフィルムの巻取り張力を10MPa以下と
することを特徴とする磁気記録媒体用ポリエステルフィ
ルムの製造方法。 - 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載のポリエ
ステルフィルムの表面Aの外側に強磁性金属薄膜層を設
けてなる磁気記録テープ。
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---|---|---|---|
JP2001033958A JP2002234956A (ja) | 2001-02-09 | 2001-02-09 | 磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、その製造方法および磁気記録テープ |
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ID=18897638
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- 2001-02-09 JP JP2001033958A patent/JP2002234956A/ja active Pending
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