JP2000326468A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルム

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JP2000326468A
JP2000326468A JP2000073474A JP2000073474A JP2000326468A JP 2000326468 A JP2000326468 A JP 2000326468A JP 2000073474 A JP2000073474 A JP 2000073474A JP 2000073474 A JP2000073474 A JP 2000073474A JP 2000326468 A JP2000326468 A JP 2000326468A
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film
layer
biaxially oriented
polyester film
oriented polyester
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JP2000073474A
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Hiroshi Kubota
啓 窪田
Iwao Okazaki
巌 岡崎
Shoji Nakajima
彰二 中島
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドロップアウトとオリゴマのフィルム表面へ
の析出が極めて少なく、優れたハンドリング性、テープ
エッジの耐削れ性を発現する磁気記録媒体用として有用
な二軸配向ポリエステルフィルムを得る。 【解決手段】 ポリプロピレンテレフタレート、ポリプ
ロピレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
ポリブチレンナフタレートから選ばれる少なくとも一つ
のポリマを主成分とするフィルム層(A層)を少なくと
も一方の表層に有する積層ポリエステルフィルムであっ
て、幅方向のヤング率が6GPa以上であり、かつ幅方
向のヤング率が長手方向のヤング率より1GPa以上大
きく、フィルム表面の粗大突起数H1が200個/10
0cm2以下であることを特徴とする二軸配向ポリエス
テルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は二軸配向ポリエステ
ルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、デジタルビデオテープ用やコンピ
ュータ用のデータストレージ用テープなどの高性能磁気
記録媒体として、小型で高記憶容量高性能なテープが必
要とされている。小型化、記憶容量増加のためには、体
積記録密度を向上させるため、記録信号の微細化が有効
である。記録信号の微細化を行うためには、より高い表
面特性が必要となる。このため、そのベースフィルムと
して用いられるポリエステルフィルムには微細でかつ均
一な表面が求められる。
【0003】また、ポリエステルフィルムの加工工程、
例えば包装用途における蒸着、印刷工程、磁気記録媒体
用途における磁性層塗布・カレンダー工程などの工程速
度、工程張力の増大に伴い、ポリエステルフィルムに
は、一層良好な走行性、特にテープ走行方向の摩擦特性
が要求されている。
【0004】このような走行性の要求を満たすために、
例えば、表面突起形成のための粒子を含有する薄層を基
層に積層したポリエステルフィルム(例えば特開平2−
77431号公報)が知られている。
【0005】また、記録信号の小型化に伴い、カートリ
ッジ中で、磁気テープをより厳密に位置規制する必要が
ある。このテープの位置規制の厳密化の結果、テープの
エッジのガイドピンに押しつける力が増大し、ガイドピ
ンとの摩擦力が大きくなる。この摩擦力の増大とテープ
走行速度の増加の結果、ガイドピンにおけるテープエッ
ジ部の削れが起こりやすくなる。
【0006】テープエッジ削れを抑制するためには、テ
ープ幅方向の強力化が有効である。テープ幅方向を強力
化したポリエステルフィルムとしては、例えば特許第2
803772号公報や、特公平3−208641号公報
に記載された発明が知られている。
【0007】従来の粒子を含有した二軸配向ポリエステ
ルフィルムは、延伸によって粒子周りにボイドが生じや
すい。また、粒子の凝集により粗大突起を生じやすい。
特に幅方向に強力化を行った場合、延伸によるボイドは
より生じやすくなり、このボイドのため表面突起が脆弱
となるためや粗大突起が削れることによって、その削れ
粉によるドロップアウト等のトラブルを引き起こす。
【0008】さらに、これらの工程速度、工程張力の増
大や工程内の高温処理下あるいは高温高湿度化でのフィ
ルム輸送時、フィルム保存時に表面に析出する低分子量
体(以下オリゴマと言う)がフィルム加工後の性能低下
の原因となりやすく、表面析出オリゴマを抑制しうるフ
ィルム品質設計が求められている。
【0009】例えば、ポリエステルフィルムの表面に水
溶性ポリエステルを塗布することによって、オリゴマの
析出を抑止したり(例えば特開昭62−290535号
公報)、高級脂肪酸エステルをフィルム中に添加するこ
とによってオリゴマを抑止したフィルムが知られている
(例えば特開平9−131839号公報)。また、二軸
配向ポリプロピレンテレフタレートフィルムも知られて
いる(例えば特開平9−175055号公報)。
【0010】しかしながらこれらの提案は、上記の要求
特性すべてを総合的に満足させるものではなく、オリゴ
マ抑止のために積層フィルムに高機能層をコーティング
により付加したフィルムは、生産を効率的に、かつ低コ
ストで行う上では望ましくない。また、高級脂肪酸エス
テルをフィルム中に添加した二軸配向ポリエステルフィ
ルムは、フィルムの延伸時の挙動がポリエステルと高級
脂肪酸エステルとで異なるためと考えられる表面凹みな
どの表面欠点が問題となっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の諸問題
を解決し、微細でかつ均一な表面形成能を有し、テープ
走行方向のハンドリング性、磁気テープに加工した際の
テープエッジの耐削れ性に優れ、尚かつ、ドロップアウ
トとオリゴマのフィルム表面への析出が極めて少ない二
軸配向ポリエステルフィルムを提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の前記課題は、ポ
リプロピレンテレフタレート、ポリプロピレンナフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフ
タレートから選ばれる少なくとも一つのポリマを主成分
とするフィルム層(以下、A層という)を少なくとも一
方の表層に有する積層ポリエステルフィルムであって、
幅方向のヤング率が6GPa以上であり、かつ幅方向の
ヤング率が長手方向のヤング率より1GPa以上大き
く、フィルム表面の粗大突起数H1が200個/100
cm2以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステ
ルフィルムにより達成される。すなわち、本発明の二軸
配向ポリエステルフィルムにおいては、特定のポリマを
表層に積層し、表面に長手方向の微細で均一な表面突起
を多数形成し、ドロップアウトが少なく、良好なハンド
リング性を有し、また幅方向に強く延伸することによ
り、テープエッジの高い耐削れ性を有する。
【0013】
【発明の実施の形態】A層はポリプロピレンテレフタレ
ート(以下、PPTという)、ポリプロピレンナフタレ
ート(以下、PPNという)、ポリブチレンテレフタレ
ート(以下、PBTという)、ポリブチレンナフタレー
ト(以下、PBNという)を主成分とするポリマから構
成される。なお、本発明の目的を阻害しない範囲内で、
2種以上のポリマを混合してもよいし、共重合ポリマを
用いてもよい。また、本発明の目的を阻害しない範囲内
で酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤などの添加剤が
通常添加される程度添加されていてもよい。
【0014】なお、本発明のPPTは、ジカルボン酸成
分がテレフタル酸、ジオール成分が1,3―プロパンジ
オールで構成されるポリエステル単位を70重量%以上
含有するポリエステルである。
【0015】本発明のPBTは、ジカルボン酸成分がテ
レフタル酸、ジオール成分が1,4―ブタンジオールで
構成されるポリエステル単位を70重量%以上含有する
ポリエステルである。
【0016】本発明のPPNは、ジカルボン酸成分が
2,6―ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分が1,3
―プロパンジオールで構成されるポリエステル単位を7
0重量%以上含有するポリエステルである。
【0017】本発明のPBNは、ジカルボン酸成分が
2,6―ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分が1,4
―ブタンジオールで構成されるポリエステル単位を70
重量%以上含有するポリエステルである。
【0018】A層にこれらのポリエステルを用いること
によって、これらのポリエステル中に生成する非晶部と
結晶部のような延伸性の異なるドメインの効果であると
考えられるが、2軸延伸する際に、フィルム表面に高密
度な微細表面突起を形成する。
【0019】この様な、粒子の添加に依らない表面突起
は、粒子の凝集などに起因する粗大突起を形成すること
がないため、表面の粗大突起数を本発明の範囲内に制御
するために最適である。また、ポリマーとの親和性が良
好なため、延伸する際に、ボイドをつくることがなく、
粒子によって生成した突起と比較して、製膜工程や加工
工程において削り取られにくいため、磁気テープに加工
した際、ドロップアウトなどのトラブルの原因となりに
くく好ましい。
【0020】また、これらのポリエステルをA層に用い
ることにより、良好なオリゴマ抑止性を得ることができ
る。
【0021】また、本発明の二軸配向ポリエステルフィ
ルムのA層以外の層を構成するポリエステルとしては、
エチレンテレフタレート、エチレンα、β−ビス(2−
クロルフェノキシ)エタン−4、4′−ジカルボキシレ
ート、エチレン2、6−ナフタレンジカルボキシレート
単位から選ばれた少なくとも一種の構造単位を主要成分
とするポリマが好ましく例示される。中でも、ポリエチ
レンテレフタレート(以下、PETという)、ポリ(エ
チレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)(以
下、PENという)が特に好ましい。なお、本発明の目
的を阻害しない範囲内で、2種以上のポリマを混合して
もよいし、共重合ポリマを用いてもよい。また、本発明
の目的を阻害しない範囲内で酸化防止剤、熱安定剤、紫
外線吸収剤などの添加剤が通常添加される程度添加され
ていてもよい。
【0022】この場合、特に限定されないが、A層以外
の層を構成するポリエステルのガラス転移温度(Tg)
は、A層のポリエステルのTgより5〜50℃高いこと
が好ましい。さらに好ましくは、10〜40℃、最も好
ましくは、20〜30℃高いことが好ましい。この条件
の場合に、予熱工程において、A層の結晶化が促進さ
れ、上記の表面突起がより形成されやすくなり、粗大突
起数を本発明の範囲内に制御しやすく、良好な摩擦特性
を有する表面が得られやすい。
【0023】本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの
幅方向のヤング率は6GPa以上であり、好ましくは
6.5GPa以上、より好ましくは7GPa以上であ
る。幅方向のヤング率の上限は特に限定されないが通常
は10GPa程度である。幅方向のヤング率は長手方向
のヤング率より、1GPa以上大きくなければならな
い。幅方向のヤング率と長手方向のヤング率の差の上限
は特に限定されないが通常は5GPa程度である。幅方
向のヤング率が6GPaより小さい場合や、幅方向のヤ
ング率が長手方向のヤング率より1GPa以上大きくな
い場合には、テープエッジの耐摩耗性が低下するので好
ましくない。
【0024】本発明のフィルム表面の粗大突起数H1
は、200個/100cm2以下である。好ましくは1
00個/100cm2以下、さらに好ましくは50個/
100cm2以下である。H1が200個/100cm2
以上では、磁気テープに加工した場合、ドロップアウト
が多くなり、磁気テープとして十分な性能が得られなく
なるので好ましくない。
【0025】本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの
積層構成は特に限定されないが、A層を積層部に用い、
A層以外のフィルム層を基層部に用いた2層または3層
構成であることが好ましい。最も好ましくは、A層以外
のフィルム層で構成される基層部の両側にA層を設けた
A/B/A型3層構成である。ここにいう基層部とは、
積層フィルムにおいて、最も厚みの厚いフィルム層であ
り、主に、フィルムの強度、寸法安定性に対する影響が
大きく、積層部とは前記の基層部に積層されてなるフィ
ルム層であり、フィルムの走行性の良化や表面の耐削れ
性の向上、または磁性層に適した表面設計の役割を担う
ことが多い。
【0026】A層厚み(A層が2層以上ある場合にはそ
れぞれの層の厚み)は特に限定されないが、耐摩耗性の
点から0.01〜3μmが好ましく、より好ましくは
0.05〜2μm、さらに好ましくは0.1〜1μmで
ある。
【0027】本発明の二軸配向ポリエステルフィルム
は、A層に粒子を実質的に含有する必要はないが、加工
時のハンドリング性の点からA層に粒子を含有してもよ
い。その場合、用いる粒子の平均粒径は、0.01〜2
μmが好ましい。さらに好ましくは0.02〜1.5μ
m、最も好ましくは0.02〜1μmである。また、該
粒子含有量は0.01〜3重量%が好ましい。さらに好
ましくは0.02〜2重量%、最も好ましくは0.05
〜1重量%である。粒子の粒径が2μmより大きかった
り、添加量が3重量%より多い場合には出力特性が低下
する場合がある。また、粒子の粒径が0.01μmより
小さかったり、添加量が0.01重量%より少ないと、
加工工程においてロールとの耐削れ性が低下する場合が
ある。該粒子粒径の相対標準偏差は好ましくは0.5以
下、さらに好ましくは0.3以下、最も好ましくは0.
2以下であって、このような時に、特に磁気テープに加
工した際の、出力特性やハンドリング性に優れたフィル
ムを得ることが出来る。かかる粒子としては、特に限定
されないが、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ア
ルミナ、シリカ、リン酸カルシウム、酸化チタン、有機
粒子等から選ばれる粒子が好ましく例示される。これら
の粒子を複数併用して用いてもよい。
【0028】A層に粒子を含有する場合、A層厚みt
(nm)とA層含有粒子の平均粒径d(nm)の関係は
耐摩耗性の点から、0.2d≦t≦10dが好ましく、
より好ましくは0.3d≦t≦5d、さらに好ましくは
0.5d≦t≦3dの場合に、特に耐摩耗性が良好とな
る。A層が2層以上ある場合にはそれぞれの層について
上記の関係を満たすことが好ましい。
【0029】本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの
A層以外のポリエステルフィルム層(以下、B層とい
う)は粒子を含有していてもかまわない。平均粒径は
0.05〜2μm、含有量は0.05〜3重量%である
のが好ましい。かかる粒子としてはケイ酸アルミニウ
ム、炭酸カルシウム、アルミナ、シリカ、リン酸カルシ
ウム、酸化チタン、有機粒子等から選ばれる粒子が好ま
しく例示される。
【0030】本発明の二軸配向ポリエステルフィルム
は、磁気記録媒体用、包装用、プリペイドカード等のカ
ード用等、用途は特に限定されない。特に高出力が要求
されるデジタルビデオテープ用二軸配向ポリエステルフ
ィルムとしても好ましく用いることができる。また、本
発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、コンピュータ
用等のデータストレージ用にも好ましく用いることがで
きる。
【0031】次に本発明の二軸配向ポリエステルフィル
ムの好ましい製造方法を示し説明するが、これに限定さ
れるものではない。
【0032】A層には粒子を含有しない方が好ましい
が、含有させる場合には、粒子の水スラリーをベント式
2軸混練押出機を用いて、所定のペレットと混合し練り
込む方法等により行うことができる。
【0033】粒子の含有量を調節する方法としては、上
記方法で高濃度マスターを作っておき、それを製膜時に
粒子を実質的に含有しないポリマで希釈して調節する方
法が有効である。
【0034】次に、ペレットを必要に応じて乾燥したの
ち、溶融押出機に供給し、スリット状のダイからシ−ト
状に押出し、キャスティングロ−ル上で冷却固化させて
未延伸フィルムを作る。この時、複数の押出し機、複数
のマニホ−ルドまたは合流ブロックを用いて溶融状態の
ポリエステルを積層する。
【0035】次にこの未延伸フィルムを二軸延伸し、二
軸配向させる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法を用
いることが好ましい。摩擦特性や粗大突起数などを本発
明の範囲内に制御する方法として、キャストから縦延伸
前の工程において、フィルムがA層のポリエステルのT
g+10℃〜A層のポリエステルのTg+60℃の範囲
内で、2秒以上予熱熱処理されることが好ましく例示さ
れる。より好ましくはA層のポリエステルのTg+20
℃〜A層のポリエステルのTg+40℃の範囲内で、3
秒以上の予熱処理がよい。長手方向の延伸は3段階以上
に分けて、縦延伸温度70〜160℃、総縦延伸倍率3
〜6倍、縦延伸速度5,000〜50,000%/分の
範囲で行なうのが好ましく例示される。この時の予熱、
延伸ロール群の表面材質としては非粘着性のテフロン
(登録商標)、あるいはシリコンゴム等が好ましい。幅
方向の延伸方法としてはテンタ−を用いる方法が好まし
く、延伸温度80〜180℃、幅方向延伸倍率は場合に
より縦倍率より大きく3.5〜6.5倍が好ましく、よ
り好ましくは4〜6倍である。幅方向の延伸速度は1,
000〜20,000%/分の範囲で行なうのが好まし
い。さらに必要に応じて、再縦延伸、再横延伸を行な
う。その場合の延伸条件としては、長手方向の延伸は9
0〜180℃、延伸倍率1.1〜2倍、幅方向の延伸方
法としては、テンタ−を用いる方法が好ましく、延伸温
度90〜210℃、幅方向延伸倍率は1.1〜2倍で行
なうのが好ましい。
【0036】次にこの二軸配向フィルムを熱処理する。
この場合の熱処理温度は170〜220℃で時間は0.
5〜60秒の範囲が好適である。
【0037】[物性の測定方法ならびに効果の評価方
法]本発明の特性値の測定方法並びに効果の評価方法は
次のとおりである。
【0038】(1)ヤング率 JIS−Z−1702に規定された方法に従って、イン
ストロングタイプの引っ張り試験機を用いて、25℃、
65%RHにて測定した。
【0039】(2)粒子の平均粒径 フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1
万倍以上の倍率で観察する。TEMの切片厚さは約10
0nmとし、場所を変えて100視野以上測定する。粒
子の平均粒径dは重量平均径(等価円相当径)から求め
る。
【0040】(3)粒子の含有量 ポリマは溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択し、粒子
をポリマから遠心分離し、粒子の全体重量に対する比率
(重量%)をもって粒子含有量とする。
【0041】(4)フィルム積層厚さ 透過型電子顕微鏡(日立製H−600型)を用いて、加
速電圧100kVで、フィルム断面を、超薄切片法(R
uO4染色)で観察し、その界面をとらえ、その積層厚
さを求める。倍率は、判定したい積層厚さによって選ぶ
ことが通常であり、特に限定されないが、1万〜10万
倍が適当である。
【0042】(5)摩擦係数μK(ハンドリング性) フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたも
のをテープ走行性試験機TBT−300型((株)横浜
システム研究所製)を使用し、60℃、80%RH雰囲
気で走行させ、初期の摩擦係数を下記の式より求めた
(フィルム幅は1/2インチとした)。 μK=(2/π)ln(T2/T1) ここでT1は入側張力、T2は出側張力である。ガイド
径は6mmφであり、ガイド材質はSUS27(表面粗
度0.2S)、巻き付け角は90°、走行速度は3.3
cm/秒である。この測定によって得られたμKが0.
4以下の場合は摩擦係数:良好(○)、0.4を越える
場合は摩擦係数:不良(×)と判定した。このμKはフ
ィルムを磁気記録媒体、コンデンサ、包装用などの加工
する時のハンドリング性を左右する臨界点である。
【0043】(6)テープエッジ耐削れ性 フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたも
のをテープ走行性試験機TBT−300型((株)横浜
システム研究所製)を使用し、60℃、80%RH雰囲
気で、両端に位置規制板を有するガイドピン上(ガイド
ピン幅1/2インチ)を300m走行させ、位置規制板
に付着した削れ粉をルーペで観察し次の基準で判定を行
った。 全く粉が付着していない 5点 やや粉が付着している 3点 多量に粉が付着している 1点 5点と3点の間を4点、3点と1点の間を2点とし、3
点以上のものをテープエッジ耐削れ性良好とした。ガイ
ド径は6mmφであり、ガイド材質はSUS27(表面
粗度0.2S)、巻き付け角は90°、走行速度は20
0m/分である。
【0044】(7)ドロップアウト 本発明のフィルムに連続真空蒸着装置を用いて、微量の
酸素の存在下にコバルト・ニッケル合金(Ni20重量
%)の厚み200nmの蒸着層を設けた。さらに、蒸着層
表面にカーボン保護膜を公知の手段で形成させた後、8
mm幅にスリットし、パンケーキを作成した。次いで、
このパンケーキから長さ200m分をカセットに組み込
み、カセットテープとした。
【0045】このテープについて、市販のHi8用VT
R(SONY社製 EV-BS3000)を用いて評価を行っ
た。TV試験信号発生器から4.4MHzの信号を供給
し、ドロップアウトカウンターを用いて、再生信号の減
衰が−16dB以上、長さが15μsec以上のドロップ
アウトの個数を求めた。25℃、65%RH下で3分間
再生/巻き戻しを100回繰り返した後のドロップアウ
トの個数を1分間あたりの個数に換算し、 0〜15個/分 :◎ 16〜30個/分 :○ 31個/分以上 :× のように判定した。
【0046】(8)オリゴマ抑止性 フィルムを150℃で30分、オーブン中に放置し、低
分子量体を強制的にフィルム表面に析出させる。A層側
のフィルムの表面をアルミ蒸着して、微分干渉顕微鏡を
もちいて総合倍率400倍で、25視野観察する。各視
野での低分子量体の個数を数え、その総数を表面オリゴ
マ析出個数(個/mm2)とした。その個数が100個
/mm2以下であり、かつ、低分子量体の大きさが、表
面写真上で1mmより小さいものを良とした。1mm以上あ
るものや100個/mm2より多いものを不良とした。
【0047】(9)フィルム表面の粗大突起数H1 測定面(100cm2)同士を2枚重ね合わせて静電気
力(印加電圧5.4kv)で密着させた後、2枚のフィ
ルム間で粗大突起の光の干渉によって生じるニュートン
環から粗大突起の高さを判定し、1重環以上の粗大突起
数をH1とした。なお、光源はハロゲンランプに564
nmのバンドパスフィルタをかけて用いた。
【0048】(10)ガラス転移温度(Tg) 下記装置および条件でフィルム試料について比熱測定を
行い、JIS K7121に従って決定した。 装置 :TA Instrument社製温度変調DSC 測定条件: 加熱温度 :270〜570K(RCS冷却法) 温度校正 :高純度インジウムおよびスズの融点 温度変調振幅:±1K 温度変調周期:60秒 昇温ステップ:5K 試料重量 :5mg 試料容器 :アルミニウム製開放型容器(22mg) 参照容器 :アルミニウム製開放型容器(18mg)
【0049】
【実施例】次に実施例に基づき、本発明の実施態様を説
明する。
【0050】実施例1(表1) テレフタル酸ジメチルと1,3−プロパンジオールから
エステル交換反応、重縮合反応を行いPPTを重合し
た。なお、PPTのガラス転移温度は57℃であった。
【0051】この実質的に粒子を含有しないPPTペレ
ットを120℃で8時間減圧乾燥(3Torr)した後、P
PTポリマ(ポリマA)、実質的に粒子を含有しないP
ETポリマ(ポリマB)をそれぞれ押出機1、押出機2
に供給し250℃、275℃で溶融した。これらのポリ
マを高精度瀘過した後、矩形合流部にて3層積層とした
(A/B/A)。
【0052】これを静電印加キャスト法を用いて表面温
度20℃のキャスティング・ドラムに巻きつけて冷却固
化し、未延伸フィルムを作った。この時、口金スリット
間隙/未延伸フィルム厚さの比を10とした。また、そ
れぞれの押出機の吐出量を調節し総厚さ、およびA層の
厚さを調節した。
【0053】この未延伸フィルムを温度85℃にて長手
方向に2.5倍延伸した。この一軸延伸フィルムをテン
ターを用いて95℃で幅方向に3.7倍延伸した。この
2軸延伸フィルムを温度120℃にて長手方向に1.3
倍延伸した。このフィルムをテンターを用いて130℃
で幅方向に1.3倍延伸した。このフィルムを定長下で
200℃にて3秒間熱処理し、総厚さ11μm、A層厚
さ0.3μmの二軸配向フィルムを得た。この二軸配向
ポリエステルフィルムの特性は表1に示したとおりであ
り、ドロップアウトが少なく、テープエッジの耐削れ
性、ハンドリング性、オリゴマー抑止性がともに良好で
あった。
【0054】実施例2、3(表1) A層のポリマ種、長手方向、幅方向のヤング率、積層厚
さ、積層構成、添加粒子等を変更した以外は実施例1と
同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。実施
例3では押出機1、押出機2、押出機3を用いて矩形合
流部にて3層積層とした。表1に示すように本発明の範
囲内の二軸配向ポリエステルフィルムはドロップアウト
が少なく、エッジの耐削れ性、ハンドリング性、オリゴ
マー抑止性がともに良好であった。
【0055】実施例4,5(表1) B層ポリマとして、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレ
ンジカルボキシレート)を用い、A層のポリマ種、長手
方向、幅方向のヤング率、積層厚さ、積層構成、添加粒
子等を表1のように変更し二軸配向ポリエステルフィル
ムを得た。実施例4ではA層に粒子を含有させた。表1
に示すように本発明の範囲内の二軸配向ポリエステルフ
ィルムはドロップアウトが少なく、エッジの耐削れ性、
ハンドリング性、オリゴマー抑止性がともに良好であっ
た。
【0056】比較例1〜4(表1) A、B層のポリマ種、長手方向、幅方向のヤング率、積
層厚さ、粒子の種類、粒径、含有量等を変更した以外は
実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを
得た。ただし、比較例4は積層を行わなかった。この二
軸配向ポリエステルフィルムの特性は表1に示したとお
りであり、高密度磁気媒体用途として十分なテープエッ
ジの耐削れ性、ハンドリング性、ドロップアウト、オリ
ゴマー抑止性のすべてを満足させることはできなかっ
た。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】本発明の二軸配向ポリエステルフィルム
は積層部に特定のポリエステルを用い、また、フィルム
の幅方向のヤング率と長手方向のヤング率と幅方向のヤ
ング率の差およびフィルム表面の粗大突起数H1を規定
したので、ドロップアウトとオリゴマのフィルム表面へ
の析出が極めて少なく、また、テープエッジの高い耐削
れ性を有するフィルムを得ることができた。磁気記録媒
体用としても十分良好な特性を得ることができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレンテレフタレート、ポリプ
    ロピレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
    ポリブチレンナフタレートから選ばれる少なくとも一つ
    のポリマを主成分とするフィルム層(A層)を少なくと
    も一方の表層に有する積層ポリエステルフィルムであっ
    て、幅方向のヤング率が6GPa以上であり、かつ幅方
    向のヤング率が長手方向のヤング率より1GPa以上大
    きく、フィルム表面の粗大突起数H1が200個/10
    0cm2以下であることを特徴とする二軸配向ポリエス
    テルフィルム。
  2. 【請求項2】 A層の積層厚さが0.01〜3μmであ
    る請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 A層が実質的に粒子を含有しない請求項
    1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 A層が平均粒径0.01〜2μmの粒子
    を0.01〜3重量%含有する請求項1または2に記載
    の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】 粒子の平均粒径d(nm)とA層の積層
    厚さt(nm)との関係が0.2d≦t≦10dである
    請求項4記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配
    向ポリエステルフィルムからなる磁気記録媒体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002234957A (ja) * 2001-02-09 2002-08-23 Toray Ind Inc 磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、その製造方法および磁気記録テープ
JP2002234956A (ja) * 2001-02-09 2002-08-23 Toray Ind Inc 磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、その製造方法および磁気記録テープ
JP2011241316A (ja) * 2010-05-19 2011-12-01 Teijin Dupont Films Japan Ltd 配向フィルム

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