JP3604964B2 - 磁気記録媒体用ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、特にデジタルビデオカセットテープ、データストレージテープ等のデジタルデータを長時間、大量に記録する強磁性金属薄膜型磁気記録媒体のベースフィルムとして好適なポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
1995年に実用化された民生用デジタルビデオテープ(DVCテープ)は、Hi8MEテープよりも磁力をもたせるためにベースフィルムにHi8MEテープ用ベースフィルムよりも更に平滑なベースフィルムを用い、そのベースフィルム上にCo/Ni合金金属ではなく、Coの金属磁性薄膜が設けられ、その表面には良好な走行耐久性をもたせるためダイヤモンド状カーボン膜が付設されている。
【0003】
このベースフィルムとしては、例えばポリエステルフィルムと、該フィルムの少なくとも片面に密着されたポリマーブレンド体と粒径50〜500オングストロームの微細粒子を主体とした不連続皮膜とからなり、該不連続皮膜には水溶性ポリエステル共重合体が含有され、微細粒子により不連続皮膜上に微細突起が形成されたポリエステルフィルム(例えば特公昭63―57238号公報)等が用いられ、Hi8MEテープ用ベースフィルムに比べ、更に金属磁性膜形成表面粗度が小さくされてきている。また、ベースフィルムの厚さも7μm未満の薄いものが必要とされている。
【0004】
しかしながら、このように非常に薄く平滑なベースフィルムは製膜工程や蒸着工程でのハンドリングがしづらく、また作成した磁気テープはたとえ初期の出力は優れていたとしても、長期保存後の出力や、走行を繰り返した後の出力は低下しがちである。また従来のベースフィルムを長時間記録のビデオテープ用ベースとして使用した場合は、記録再生時にテープのエッジにダメージが発生し、テープの平面性が不良となり易い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ハンドリング性に優れ、且つ磁気テープとしたときに保存後や繰返し走行後の出力も優れ、且つテープのエッジダメージ発生が防止される磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、本発明によれば、ポリエステルフィルムの長手方向のヤング率が5.0GPa以下で、幅方向のヤング率が8.0GPa以上であり、磁性層を設ける側の表面(A面)の非接触式三次元表面粗さ計を用いて倍率2.5倍で測定した表面粗さWRa(2.5)Aが0.5〜3.0nmで、倍率25倍で測定した表面粗さWRa(25)Aが0.3〜1.5nmであり、かつ非磁性層側の表面(B面)の、前記表面粗さ計を用いて倍率2.5倍で測定した表面粗さWRa(2.5)Bが2.0〜5.0nm(但し、2.0nmは除く)で、倍率25倍で測定した表面粗さWRa(25)Bが0.6〜2.5nmであり、さらに105℃、30分の熱収縮率がフィルム長手方向で0.0〜1.5%、幅方向で0.5〜3.0%であり、かつ150℃、30分の熱収縮率がフィルム長手方向で2.0〜5.0%、幅方向で6.0〜11.0%であることを特徴とする磁気記録媒体用ポリエステルフィルムによって達成される。
【0007】
上記磁気記録媒体用ポリエステルフィルムは、さらに、フィルム厚さが2μm以上7μm未満であること、及び/またはポリエステルがポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートであることを好ましい態様として有する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリエステルとしては、分子配向により高強度フィルムを形成する芳香族ポリエステルが好ましく、さらにはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートが好ましい。このポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン―2,6−ナフタレンジカルボキシレートはホモポリーであることが特に好ましいが、構成成分の20%以下、好ましくは10%以下の割合で第三成分が共重合されたコポリマーであっても良い。第三成分としては、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、p―キシリレングリコール、1,4―シクロヘキサンジメタノールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5―ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能カルボン酸成分、p―オキシエトキシ安息香酸などが挙げられる。
【0009】
さらに、上記ポリエステルには、成膜性向上剤(例えば、アルカリ金属塩化合物、スルホン酸4級ホスホニウム塩化合物等)、熱安定剤(例えば、リン酸、亜リン酸、これらの誘導体等)、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール系化合物等)、他の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて含有させることができる。
【0010】
また、上記ポリエステルの固有粘度(オルソクロロフェノール、25℃、オスワルト粘度計を使用)は0.4〜0.9であることが好ましい。
【0011】
本発明におけるポリエステルフィルムは、長手方向のヤング率が5.0GPa以下、好ましくは4.8GPa以下で、幅方向のヤング率が8.0GPa以上、好ましくは9.0GPa以上である特性を有する。そして、この長手方向のヤング率は3GPa以上であることが好ましく、また幅方向のヤング率は18GPa以下であることが好ましい。この長手方向のヤング率が5.0GPaを超えると、デジタル用磁気テープにした際、デジタルビデオレコーダーの回転するヘッドがテープをたたく音が共鳴し出して好ましくない。また幅方向のヤング率が8.0GPa未満であると、磁気テープの幅強度が不充分で、テープが走行する際テープパスを規制するガイドピンによりテープが折れ易くなり、好ましくない。
【0012】
本発明におけるポリエステルフィルムは、さらに、磁性層を設ける側の表面(A面)の、非接触式三次元表面粗さ計を用いて倍率2.5倍で測定した表面粗さWRa(2.5)Aが0.5〜3.0nm、好ましくは0.5〜2.0nmで、倍率25倍で測定した表面粗さWRa(25)Aが0.3〜1.5nm、好ましくは0.4〜1.5nmである特性を有する。このWRa(2.5)A、WRa(25)Aとも下限を割ると、磁気テープとしたときの走行耐久性が不足し、一方上限を超えると磁気テープとしたときの出力が不足するために好ましくない。
【0013】
本発明におけるポリエステルフイルムは、さらに、非磁性層側の表面(B面)の、非接触式三次元表面粗さ計を用いて倍率2.5倍で測定したA面の表面粗さWRa(2.5)Bが2.0〜5.0nm、好ましくは2.5〜4.0nmで、倍率25倍で測定した表面粗さWRa(25)Bが0.6〜2.5nm、好ましくは0.8〜2.0nmである特性を有する。このWRa(2.5)B、WRa(25)Bとも下限を割ると、摩擦係数が上がってフィルムのハンドリング性が悪化し、一方上限を超えると、フィルムをロール上に巻き取った際にB面の粗さがA面側に裏移りや形状転写してA面側を粗くするため、好ましくない。
【0014】
前記ポリエステルフィルムの表面粗さは、蒸着処理より前にフィルム表面に塗布層が設けられている場合には該塗布層の表面の表面粗さであるが、WRa(2.5)の値はこの場合にも塗布層の影響を殆んど受けず、フィルム地肌の表面粗さと実質的に同じである。
【0015】
本発明におけるポリエステルフィルムの磁性層を設ける側の表面(A面)を形成するポリエステルは、実質的に粒子を含まないか、含むとしても平均粒径が30〜150nm、好ましくは40〜100nmの微細粒子を0.1重量%以下、好ましくは0.06重量%以下含むものが望ましい。磁性層の耐久性の点からは上記微細粒子を含ませるのが望ましい。
【0016】
前記ポリエステルフィルムのA面には、さらに、易滑性向上を目的として、平均粒径が5〜30nm、好ましくは8〜30nmの微細粒子を0.5〜12.0重量%、好ましくは0.6〜10.0重量%含む有機化合物からなる塗布層が形成されているのが望ましい。この微細粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、ポリアクリル粒子、ポリスチレン粒子が好ましく使用でき、また有機化合物としては水溶性(又は水分散性)のポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂等の有極性高分子、これらのブレンド体が好ましく使用できるが、これらに限定されない。この塗布層の厚みは1〜30nmが好ましい。
【0017】
本発明におけるポリエステルフィルムの非磁性層側の表面(B面)はWRa(2.5)BがWRa(2.5)Aより大きいのが好ましい。WRa(2.5)の2.5mm×1.9mmの広範囲なエリアでB面のみを粗くする方法は特に限定されないが、ポリエステルフィルムを製膜する際、溶融押出したポリエステルを微細な凹凸をつけたキャスティングドラム上で冷却固化することで、キャスティングドラムに接する面(B面)のみに凹凸形状を付ける方法が好ましく用いられる。また、WRa(25)のようなエリア(246.6μm×187.5μm)でB面のみを粗くする方法も特に限定されないが、ポリエステルフィルムのB面側にA面側よりも粗い表面を形成する塗布層を設ける方法、微細粒子を含有しないポリエステルフィルム層(A面の層)の片面に微細粒子を含有するポリエステルフィルム層(B面の層)を積層する方法、微細粒子の種類、平均粒径及び/又は含有量の違う2種のポリエステルフィルム層を互いに積層する方法等が例示される。
【0018】
前記塗布層を設ける方法は、A面に塗布層を設ける方法に準じて行うとよい。その際、平均粒径10〜200nm、さらには20〜100nmの微細粒子(例えば、ポリエチレン粒子、ポリアクリル粒子、シリコーン樹脂粒子、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ等)を5〜40重量%、さらには10〜30重量%用いることで、あるいはこれと併用してまたは単独で、バインダー樹脂の一部(5〜50重量%、さらには10〜40重量%)としてポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース、スルホン酸塩基含有スチレン共重合体等の延展性(延伸性)の貧しい樹脂を用いて、表面を粗化させるのが好ましい。
【0019】
前記バインダー樹脂としては従来から知られているバインダー樹脂を用いることができ、例えば水溶性(又は水分散性)のポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂等が挙げられる。塗布層の厚さは3〜50nm、さらには5〜30nmが好ましい。
【0020】
前記ポリエステルフィルム層を積層する方法としては、共押出し法が好ましく用いられる。その際、B面を形成するポリエステルフィルム層の厚さは、全フィルムの厚さの1/2〜1/10であることが好ましい。そして、B面を形成するポリエステルフィルム層に用いられる微細粒子としては、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、ポリスチレン粒子、シリコーン樹脂粒子等が例示される。平均粒径としては好ましくは80〜800nm、より好ましくは100〜700nmであり、添加量としては好ましくは0.05〜1.0重量%、より好ましくは0.08〜0.8重量%である。
【0021】
本発明におけるポリエステルフィルムは、さらに150℃、30分の熱収縮率が長手方向で2.0〜5.0%、幅方向で6.0〜11.0%である特性を有する。この熱収縮率がこの範囲外であると、蒸着テープを作成した際に磁性薄膜層と蒸着時に熱を受けたポリエステルフィルムとの収縮量に差が出て、テープにカールが生じ、ヘッド当たりが不良となって、好ましくない。
【0022】
前記ポリエステルフィルムは、さらに105℃、30分の熱収縮率が長手方向で0.01〜1.5%、幅方向で0.5〜3.0%である特性を有する。この熱収縮量がこの範囲外であると、高温下保存後に磁気テープが寸法変化を起こし、いわゆるトラックずれが発生し、出力が低下するので好ましくない。
【0023】
本発明におけるポリエステルフィルムの厚さは2μm以上7μm未満が好ましい。
【0024】
本発明におけるポリエステルフィルムは、従来から知られているあるいは当業界に蓄積されている方法に準じて製造することが出来る。例えば、公知の押出し機を用いて、ポリエステルを口金より融点(Tm)〜(Tm+70)℃の温度でシート状に押出した後、40〜90℃で急冷固化し未延伸フィルムを得る。しかる後に、該未延伸フィルムを常法に従って一軸方向(縦方向又は横方向)に(Tg−10)〜(Tg+70)℃付近の温度(但し、Tg:当該ポリエステルのガラス転移温度)で2.5〜4.5倍の倍率で、好ましくは2.8〜3.9倍の倍率で延伸し、次いでフィルムの片面又は両面に塗剤を塗布し、塗膜を乾燥させながら、あるいは乾燥させて所定の塗布層を設けた後、前記方向とは直角方向にTg〜(Tg+70)℃付近の温度で4.5倍〜8.0倍の倍率で、好ましくは4.5〜6.0倍の倍率で延伸し、更に必要に応じて縦方向及び/又は横方向に再度延伸し二軸配向フィルムを得る。即ち、二段、三段、四段、あるいは多段の延伸を行うとよい。全延伸倍率は、面積延伸倍率として通常12倍以上、好ましくは12〜32倍、更に好ましくは14〜26倍である。更に引き続いて、二軸配向フィルムは(Tg+70)〜(Tm−10)℃の温度、例えば180〜250℃で熱固定結晶化することによって優れた寸法安定性を付与される。尚、熱固定時間は1〜60秒が好ましい。この熱固定処理で、縦方向及び/又は横方向に3.0%以下、さらには0.5〜2.0%の割合で弛緩させて熱収縮率を調整することは好ましいことである。
【0025】
上記方法は単層フィルムの片面又は両面に塗布層を設ける場合であるが、フィルムのB面側に塗布層を設ける代りに微細粒子を含有するポリエステルフィルム層を積層する場合は共押出し法が好ましく用いられる。この共押出し法では、A面を形成するポリエステルとB面を形成するポリエステルとをダイ内で積層して共押出した後、40〜90℃で急冷固化し積層未延伸フィルムを得る以外は単層フィルムの場合と同様に行うと良い。
【0026】
本発明におけるポリエステルフィルムは、金属蒸着処理に供する前に上記した特性を有する必要があるが、このA面(塗布層が形成されている場合にはその塗布層)上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜層を設ける。使用する金属薄膜は公知のものを使用でき、特に限定されないが、鉄、コバルト、ニッケル、またはそれらの合金の強磁性体からなるものが好ましい。この金属薄膜上には、10nm程度の厚みのダイヤモンド状カーボン膜をコーティングするのが望ましい。金属薄膜層の厚さは100〜300nmである。
【0027】
また、前記ポリエステルフィルムのB面の上には、金属蒸着処理後に、固体微粒子および結合剤からなり、必要に応じて各種添加剤を加えた溶液を塗布することによりバックコート層を設けることができるが、固体微粒子、結合剤、添加剤は公知のものを使用でき、特に限定されない。バックコート層の厚さは0.3〜1.5μm程度である。
【0028】
本発明におけるポリエステルフィルムは磁気記録媒体のベースフィルムとして、特に長時間記録用のデジタルビデオテープ用途に使用すると優れた結果を得ることができ好適である。またデータストレージテープ用途に使用しても優れた結果を得ることができ好適である。
【0029】
本明細書において或いは実施例において用いられるフィルム特性及び他の特性は下記の方法で測定され、また定義される。
【0030】
(1)ポリエステルの固有粘度
オルソクロロフェノールに溶解し、オスワルト粘度計を用いて求める。粘度測定温度:25℃。
【0031】
(2)フィルムの表面粗さ
▲1▼WRa(2.5)
非接触式三次元表面粗さ計(WYKO社製:NT−2000)を用いて測定倍率2.5倍、測定面積2.5mm×1.9mm(=4.75mm2)の条件にて、測定数(n)10以上でフィルム表面(A面、B面)の粗さ測定を行ない、該粗さ計に内臓された表面解析ソフトにより、中心面平均粗さ(WRa(2.5))を求める。
【0032】
【数1】
【0033】
Zjkは測定方法(2.5mm)、それと直行する方法(1.9mm)をそれぞれm分割、n分割したときの各方向のj番目、k番目の位置における2次元粗さチャート上の高さである。
【0034】
▲2▼WRa(25)
非接触式三次元表面粗さ計(WYKO社製:NT−2000)を用いて測定倍率25倍、測定面積246.6μm×187.5μm(=0.0462mm2)の条件にて、測定数(n)10以上でフィルム表面(A面、B面)の粗さ測定を行ない、該粗さ計に内臓された表面解析ソフトにより、中心面平均粗さ(WRa(25))を求める。
【0035】
【数2】
【0036】
Zjkは測定方法(246.6μm)、それと直行する方法(187.5μm)をそれぞれm分割、n分割したときの各方向のj番目、k番目の位置における2次元粗さチャート上の高さである。
【0037】
(3)フィルムのヤング率
フィルムを試料巾10mm、長さ15cmに切り、チャック間100mmにして引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分にインストロンタイプの万能引張試験装置にて引張る。得られた荷重―伸び曲線の立上り部の接線よりヤング率を計算する。
【0038】
(4)フィルムの105℃及び150℃、30分の熱収縮率
各々の温度のオーブン中で幅10mm、長さ30cmの試料を30分熱処理し、原長から熱収縮後の長さの差をとり、原長で割り、100倍し、熱収縮率(%)とする。
【0039】
(5)フィルムの摩擦係数
重ね合わせた2枚のフィルムの下側に固定したガラス板をおき、重ね合わせたフィルムの下側(ガラスと接触しているフィルム)のフィルムを定速ロールにて引き取り(10cm/分)、上側のフィルムの一端(下側フィルムの引き取り方向と逆側)に検出器を固定してフィルム/フィルム間の引き張力(F)を検出する。尚、その時に用いる上側のフィルムの上に乗せてあるスレッドは、下側面積が50cm2(80mm×62.5mm)であり、フィルムに接する面は80゜のネオブレンゴムであり、その重さ(W)は1.2kgとする。
静摩擦係数は下記式で算出され、下記基準で評価する。
【0040】
【数3】
μs=F(g)/W(g)
評価基準:
○:0.4未満
△:0.4以上0.6未満
×:0.6以上
【0041】
(6)磁気テープの出力
フィルムに強磁性体薄膜を設けた磁気テープの出力特性は、市販のHi8方式8mmビデオテープレコーダーを用いて測定する。出力特性としてビデオS/N比を用いTV試験信号発生器から信号をHi8方式8mmビデオテープレコーダーに供給し、ビデオノイズメーターを用いて市販のスタンダードHi8MEテープを零デシベル(dB)として比較測定する。
【0042】
磁気テープ製造直後の出力を初期出力とし、60℃で10日間保管した後の出力を保管後出力、100回繰り返し走行後の出力を走行後出力とし、以下の基準で評価する。
○:+2dB以上
△:0〜+2dB未満
×:0dB未満
【0043】
また録画状態にて、ヘッドがテープをたたく音が共鳴するかどうかも観察する。
○:共鳴なし
×:共鳴あり
【0044】
【実施例】
次に実施例に基づき、本発明をさらに説明する。
【0045】
[実施例1]
実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度:0.6)のペレットを170℃で6時間乾燥後、押出し機に供給して305℃で溶融した。この溶融ポリマーを通常の方法で濾過し、ダイからシート状に押出し、これを静電印加キャスト法を用いて、表面に微細なクラックを形成した表面温度60℃のキャスティングドラム上に、ドラムと接触する面が非磁性面のB面側になるように巻き付けて冷却固化し、未延伸フィルムを作成した。続いて、この未延伸フィルムを120℃で予熱し、さらに低速、高速のロール間で15mm上方より900℃のIRヒーターにて加熱して縦方向に3.7倍に延伸し、続いて下記に示す組成の水溶液(塗剤)をそれぞれフィルムに塗布した。
【0046】
A面側の塗剤:
・共重合ポリエステル(テレフタル酸/イソフタル酸/5―ナトリウムスルホイソフタル酸//エチレングリコール/ビスフェノールAのプロピオンオキサイド2モル付加体=97/1/2//60/40)80重量部
・アクリル樹脂粒子(平均粒径20nm)5重量部
・日本油脂製 ノニオンNS−240 15重量部
・固形分濃度;1.0wt%
・塗布層の厚み(乾燥後);6nm
【0047】
B面側の塗剤:
・共重合ポリエステル(テレフタル酸/イソフタル酸/5―ナトリウムスルホイソフタル酸//エチレングリコール/ビスフェノールAのプロピオンオキサイド2モル付加体=97/1/2//60/40)60重量部
・シリカ粒子(平均粒径60nm)10重量部
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース;20重量部
・日本油脂製 ノニオンNS−208.5 10重量部
・固形分濃度;2.5wt%
・塗布層の厚み(乾燥後);15nm
【0048】
続いてステンターに供給し、150℃にて横方向に4.9倍に延伸し、更に200℃で1.14倍横方向に延伸(トーアウト)しながら熱処理し、その後180℃で、1.2%の横方向の弛緩処理を行い、厚み4.7μmの二軸配向フィルムを得た。このポリエステルフィルムの表面(A面)に真空によりコバルト―酸素薄膜を110nmの厚みで形成した。次にコバルト―酸素薄膜層上に、スパッタリング法によりダイヤモンド状カーボンを10nmの厚みで形成させた。続いてB面にカーボンブラック、ポリウレタン、シリコーンからなるバックコート層を500nmの厚みで設け、スリッターにより幅8mmにスリットし、リールに巻き取り、磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
【0049】
[実施例2]
実施例1のべースフィルムの製造において、ポリエチレン―2,6−ナフタレンジカルボキシレートをポリエチレンテレフタレート(固有粘度:0.54)に変更し、ペレットの乾燥時間を3時間とし、溶融押出温度を295℃とし、キャスティングドラムの表面温度を20℃とし、縦方向延伸温度、倍率を110℃、3.0倍とし、更には105℃で3.3倍に横延伸し、更に210℃で1.6倍横方向に延伸(トーアウト)しながら熱処理し、その後170℃で1.0%の横方向の弛緩処理を行うと変更し、その他は同様に行って厚さ6.4μmのポリエステルフィルムを得、さらに実施例1と同様に行って磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
【0050】
[実施例3]
実施例1のベースフィルムの製造において、実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートである原料Aと、実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートに平均粒径300nmのシリカを0.3重量%含有させた原料Bとを厚み5:1の割合で共押出しするのに変更し、その他は同様に行って厚さ4.7μmのポリエステルフィルムを得、さらに実施例1と同様にして磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
【0051】
[実施例4]
実施例2のベースフィルムの製造において、実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートである原料Aと、実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートに平均粒径200nmのシリカを0.3重量%含有させた原料Bとを厚み5:1の割合で共押出しするのに変更し、その他は同様に行って厚さ6.4μmのポリエステルフィルムを得、さらに実施例1と同様にして磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
【0052】
[比較例1]
実施例1のベースフィルムの製造において、表面にクラックのない平坦なキャスティングドラムを使用する以外は同様に行って厚さ4.7μmのポリエステルフィルムを得、さらに実施例1と同様にして磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
【0053】
[比較例2]
実施例1のベースフィルムの製造において、縦方向延伸倍率を4.0倍、横方向の延伸を、まず150℃にて横方向に4.5倍に延伸し、更に200℃で1.14倍横方向に延伸(トーアウト)する以外は同様に行って厚さ4.7μmのポリエステルフィルムを得、さらに実施例1と同様にして磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
【0054】
[比較例3]
実施例2のベースフィルムの製造において、縦方向延伸倍率を3.5倍、横方向の延伸を105℃で2.8倍、続いて210℃で1.6倍と変更する以外は同様に行って厚さ6.4μmのポリエステルフィルムを得、さらに実施例1と同様にして磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。走行後の磁気テープをみると、テープエッジがダメージを受けていた。
【0055】
[比較例4]
実施例2のベースフィルムの製造において、横方向の延伸を105℃で3.3倍、続いて195℃で1.6倍と変更する以外は同様に行って厚さ6.4μmのポリエステルフィルムを得、さらに実施例1と同様にして磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
【0056】
[比較例5]
実施例3のベースフィルムの製造において、原料Aに不活性粒子を含有しないポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートに平均粒径110nmのシリカを0.2重量%含有させた原料に変更する以外は同様に行って厚さ4.7μmのポリエステルフィルムを得、さらに実施例1と同様にして磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
【0057】
[比較例6]
実施例1のベースフィルムの製造において、横方向延伸後の熱処理温度を230℃と変更する以外は同様に行って厚さ4.7μmのポリエステルフィルムを得、さらに実施例1と同様に行って磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。得られたテープをみると、テープの長手方向、横方向とも、磁性層へのカールが大であった。
【0058】
【表1】
【0059】
表1から明らかなように、本発明のポリエステルフィルムは摩擦係数が少なくハンドリング性に優れ、また磁気テープとしたときに、保存後や繰返し走行後の出力が優れ、且つエッジダメージやカールがない磁気テープを製造することができる。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、ハンドリング性に優れ、且つ磁気テープとしたときに保存後や繰返し走行後の出力も優れ、且つテープのエッジダメージ発生が防止される磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを提供することができる。
Claims (6)
- ポリエステルフィルムの長手方向のヤング率が5.0GPa以下で、幅方向のヤング率が8.0GPa以上であり、磁性層を設ける側の表面(A面)の非接触式三次元表面粗さ計を用いて倍率2.5倍で測定した表面粗さWRa(2.5)Aが0.5〜3.0nmで、倍率25倍で測定した表面粗さWRa(25)Aが0.3〜1.5nmであり、かつ非磁性層側の表面(B面)の、前記表面粗さ計を用いて倍率2.5倍で測定した表面粗さWRa(2.5)Bが2.0nmを超え5.0nm以下で、倍率25倍で測定した表面粗さWRa(25)Bが0.6〜2.5nmであり、さらに105℃、30分の熱収縮率がフィルム長手方向で0.0〜1.5%、幅方向で0.5〜3.0%であり、かつ150℃、30分の熱収縮率がフィルム長手方向で2.0〜5.0%、幅方向で6.0〜11.0%であることを特徴とする磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
- フィルムの厚さが2μm以上7μm未満である請求項1記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
- ポリエステルがポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートである請求項1記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
- 磁気記録媒体がデジタル記録方式の磁気テープである請求項1記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
- 磁性層が強磁性金属薄膜層からなる請求項1または4記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルフィルムを支持体とする磁気記録媒体。
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