JP4622096B2 - 磁気記録媒体用ポリエステルフィルム及び磁気記録テープ - Google Patents

磁気記録媒体用ポリエステルフィルム及び磁気記録テープ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、特にデジタルビデオカセットテープ用等、デジタルデータを記録する強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用のベースフィルムとして好適なポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
1995年に実用化された民生用デジタルビデオテープはベースフィルム上にCoの金属磁性薄膜を真空蒸着により設け、その表面にダイヤモンド状カーボン膜をコーティングしてなり、Hi8用ME(蒸着)テープに比べて表面性が更に平滑化したにもかかわらず、良好な耐久性をもつ。そのベースフィルムとしては▲1▼ポリエステルフィルムと、該フィルムの少なくとも片面に密着された不連続皮膜と該皮膜中及び皮膜表面に存在する微粒子からなるポリエステルフィルム
(例えば特公昭62−30105号公報)、
▲2▼熱可塑性樹脂からなる層Aと、微粒子が含有された熱可塑性樹脂からなる層Bとが積層された複合フィルム(例えば特公平1−26338号公報)、
▲3▼平滑なポリエステルフィルムであり非磁性面側表面に滑剤主体の被覆層が形成されたフィルム(例えば特開昭57−195321号公報、特公平1−49116号公報、特公平4−33273号公報)
等が用いられ、Hi8用MEテープベースに比べ、更に金属磁性膜形成表面粗度の小さいベースフィルムが利用されている。
【0003】
しかしながらこのように非常に平滑な民生用デジタルビデオテープは、その磁性面の表面性の変動により電磁変換特性が非常に変化し、また蒸着工程での冷却キャンに付着する異物の影響により、得られたテープのドロップアウト(DO)特性が非常に変化する。
【0004】
すなわち、デジタルビデオテープ用の強磁性金属薄膜を真空蒸着により設けてなるためのベースフィルムとして、
▲1▼は高密度磁気記録特特性を与えるが、ハンドリング性が不良で、大量生産には不適当である、
▲2▼より作成したテープはテープ磁性面の表面うねりのバラツキが大であり、電磁変換特性のバラツキが大となり、不適当である、
▲3▼の技術は非磁性面側表面の滑剤主体の被覆層が蒸着工程、特に真空蒸着の冷却キャンでけずれたり、剥離しがちであり、それによりDOが多くなる欠点があった。
【0005】
真空蒸着工程で冷却キャンに付着する汚れが少なく、真空蒸着により得られた磁気テープの表面うねりが小さく、電磁変換特性の良好な磁気テープとなり、しかもハンドリング性が良好で、大量生産に適した磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを与える事を目的として、特開平10−172127号公報において、ポリエステルフイルムの一方の片側表面aのSRa値が2〜4nm、SRz値が10〜40nmであり、他方の片側表面bのSRa値が5〜15nm、SRz値が50〜250nmであり、表面bの外側には塗布により形成された易滑被覆層がなく、また高さ540nm以上の突起個数が2〜20個/100cm2であるポリエステルフィルムであって、表面aの外側に強磁性金属薄膜層を設けて使用される磁気記録媒体用ポリエステルフィルムが提案されている。
【0006】
また真空蒸着工程で冷却キャンに付着する汚れが少なく、真空蒸着により得られた磁気テープの表面うねりが小さく、電磁変換特性の良好な磁気テープとなり、しかもハンドリング性が良好で、大量生産に適した磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを与える事を目的として、特開平10−172126号公報において、ポリエステルフイルムの一方の片側表面aのSRa値が2〜4nm、SRz値が10〜40nmであり、他方の片側表面bのSRa値が15〜35nm、SRz値が250〜500nmであり、表面bの外側には塗布により形成された易滑被覆層がないポリエステルフィルムであって、表面aの外側に強磁性金属薄膜層を設けて使用される磁気記録媒体用ポリエステルフィルムが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、民生用デジタルビデオ(DVC)テープは非常に好評であり、市場により多くのテープを投入することが望まれており、DVCテープを製造するための蒸着速度が従来の速度より速くなってきている。このため蒸着時間に比べ切替え時間が長くなってきており1回の蒸着操作でより多量のDVCテープが製造できるように、従来、ベースフィルム長さは15000m以下であったものが、20000m以上、更には24000m以上とより長尺化されてきている。
【0008】
かかる状況の変化の中で、特開平10−172127号公報、開平10−172126号公報に開示されたベースフィルムでは、共に、蒸着速度の上昇、すなわち蒸着機中のベースフィルムの走行速度の増大により、蒸着中、ベースフィルムが冷却不足となり、ベースフィルム上に成長するCo薄膜の結晶の成長が不揃いとなり、DVCテープの電磁変換特性が不良となりドロップアウトが多くなるという問題が明らかになってきた。
【0009】
従って本発明は、蒸着速度が速くなっても作成されるDVCテープの電磁変換特性が良好で、ドロップアウトが少ないDVCテープとなる磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを与える事を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる問題を解決するために、本発明は以下の構成からなる。
【0011】
すなわち、
1.片側表面aを形成する層A及び片側表面bを形成する層Bが積層されてなるポリエステルフィルムであって、片側表面aのSRa値が2〜5nm、SRz値が10〜40nmであり、層B中には片側表面bに表面突起を形成するための微細粒子αが含まれ、該微細粒子αの平均粒径が250nm以上、500nm未満であり、片側表面b上に150nm〜500nmの高さの表面突起が5千個/mm2〜10万個/mm2の頻度で形成されており、片側表面bの外側には塗布により形成された易滑被覆層がないポリエステルフィルムであって、片側表面aの外側に強磁性金属薄膜層を設けて使用されることを特徴とする磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、
2.ポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートであることを特徴とする1記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、
3.デジタル記録方式のビデオカセットレコーダーテープ用に用いられることを特徴とする1又は2に記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、
4.1に記載のポリエステルフィルムの表面aの外側に強磁性金属薄膜層を設けてなる磁気記録テープ、
とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリエステルとは分子配向により高強度フィルムとなるポリエステルであれば良いが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、即ち、その構成成分の80%以上がエチレンテレフタレート、エチレンナフタレートであるポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。エチレンテレフタレート、エチレンナフタレート以外のポリエステル共重合体成分としては、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能ジカルボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸などが挙げられる。
【0013】
さらに、上記のポリエステルは、他にポリエステルと非反応性のスルホン酸のアルカリ金属塩誘導体、該ポリエステルに実質的に不溶なポリアルキレングリコールなどの少なくとも一つを5重量%を越えない程度に混合してもよい。
【0014】
本発明におけるポリエステルフィルムは層Aと層Bとが積層されてなる。
【0015】
本発明による磁気記録テープは層Aの外側表面a上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜層を設けられてなるものであり、使用する金属薄膜は公知のものを使用でき、特に限定されないが、鉄、コバルト、ニッケル、またはそれらの合金の強磁性体からなるものが好ましい。金属薄膜層の厚さは一般に100〜300nmである。
【0016】
本発明のポリエステルフィルムの片側表面aのSRa値は2〜5nm、好ましくは2〜4nm、SRz値は10〜40nm、好ましくは20〜30nmである。
【0017】
SRa値が2nm未満であると、表面a上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜層が平滑すぎて、デジタルビデオテープレコーダー内の記録、再生時にビデオヘッドによりビデオテープの強磁性金属薄膜が磨耗してしまい好ましくない。SRa値が4nmを超えると、該強磁性金属薄膜層が粗面すぎて、ビデオテープの出力特性が低下し好ましくない。
【0018】
SRz値が10nm未満であると、該強磁性金属薄膜層が平滑すぎて、デジタルビデオテープレコーダー内の多数回にわたる繰返し記録、再生でビデオテープの強磁性薄膜の耐久性が低下し好ましくない。SRz値が40nmを超えると、該強磁性金属薄膜層が粗面になりすぎて、ビデオテープの小さなDO個数が増加し好ましくない。
【0019】
本発明のポリエステルフィルムの層Bの外側表面bには層B中の微細粒子αによる表面突起が形成されており、微細粒子αの平均粒径が250nm以上、500nm未満であり、微細粒子αにより150nm〜500nmの高さの表面突起が5千個/mm2〜10万個/mm2の頻度で形成されていて、表面bの外側には塗布により形成される易滑被覆層は形成されていない。
【0020】
微細粒子αの平均粒径は250nm以上、500nm未満、より好ましくは270nm以上、400nm以下である。表面bと冷却キャンは微細粒子αによる表面突起で接触するが、微細粒子αの平均粒径が250nm未満であると、表面bと冷却キャンの接触面積が小さくなりすぎて、蒸着時にポリエステルフィルムの冷却が不足しがちとなり好ましくない。微細粒子αの平均粒径が500nmを超えると、ポリエステルフィルムに磁性金属を真空蒸着した後、ロール状に磁性金属層が設けられたフィルムを巻き放置した時に、そのB面の粗さが磁性金属表面に転写し磁性金属層の表面うねりが大きくなり、DVCテープの電磁変換特性が悪化し、ドロップアウトが増大し好ましくない。
【0021】
微細粒子αによる150nm〜500nmの高さの表面突起は5千個/mm2〜10万個/mm2の頻度、より好ましくは1万個/mm2から7万個/mm2の頻度で形成されている。該表面突起個数が5千個/mm2未満であると、表面bと冷却キャンの接触面積が小さくなりすぎて、蒸着時にポリエステルフィルムの冷却が不足しがちとなり好ましくない。該表面突起個数が10万個/mm2を超えるとポリエステルフィルムに磁性金属を真空蒸着した後、ロール状に磁性金属層が設けられたフィルムを巻き放置した時に、そのB面の粗さが磁性金属表面に転写し磁性金属層の表面うねりが大きくなり、DVCテープの電磁変換特性が悪化し、ドロップアウトが増大し好ましくない。
【0022】
微細粒子αとしてはシリカ、炭酸カルシウム、アルミナのような無機化合物、ポリアクリル酸球、ポリスチレン球等の有機化合物、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等の無機粒子を核として、有機高分子で被覆した粒子等が使用できるが、有機化合物、有機高分子で被覆した粒子の方が、表面突起が冷却キャンとの接触で、圧縮され、接触面積を増やす傾向があり好ましい。
【0023】
ポリエステルフィルムのB面に、塗布による易滑層が形成されていると、ポリエステルフィルムに磁性金属を真空蒸着する際に冷却キャンとの間で易滑層が削れたり、易滑層が冷却キャンに付着したりして冷却キャンを汚し、フィルムに熱負けをおこしたり、また、汚れ物が真空蒸着されたフィルムに付いていきDVCテープのドロップアウトの一因となるなどのトラブルの原因となる。
【0024】
本発明におけるポリエステルフィルムは層Aと層Bとが積層されてなるが、層Bの厚みは全体厚みの5〜30%が好ましく、より好ましくは8〜25%である。層Bの厚みが全体厚みの5%未満であると、層B中の微細粒子が脱落しやすくなり好ましくない。層Bの厚みが全体厚みの30%より大であると、層B中の微細粒子の形状が層Aを通じて表面a上に突起状変形を作りやすくなり好ましくない。
【0025】
層B中の微細粒子は、1成分の微細粒子で粒子径のそろった微細粒子が使用されているのが好ましい。1成分の大きさのそろった微細粒子の方が、冷却キャンとの有効な接触面積が確保でき好ましい。
【0026】
次に本発明の製法の一例を例示する。
【0027】
本発明のポリエステルフィルムは、溶融、成形、二軸延伸、熱固定からなる通常のプラスチックフィルム製造工程において共押出し技術の使用によりA/B層が積層されたポリエステルフィルムを押出し、製膜し、巻取ることにより製造することができるが、より多層を設ける等も可能であり、以下の製法には限らない。
【0028】
片側表面aのSRa値、SRz値を前記値にするために、A層上に製膜中、コーティングにより平均粒子径10〜30nmの微細粒子を塗布し被覆層を設けても良いし、層A内に10〜40nmの微細粒子を添加し表面突起を形成させても良い。微細粒子の平均粒子径、その添加量の調整により、片側表面aのSRa値、SRz値を前記値に調整することができる。
【0029】
含有粒子を可能な限り除いた層A用の原料と平均粒径が250nm〜500nmの微細粒子αを0.1〜1.0重量%含有させた層B用の原料とを溶融共押出しし、キャスティングドラム上で冷却固化して未延伸フィルムシートを得、一軸延伸し、平均粒子径10〜30nmの微細粒子を含む塗液を層A側の表面aに塗布・乾燥し、その後に一軸延伸方向と直交する方向に延伸配向し、熱固定することによって本発明のフィルムを得ることができる。あるいは、層A内に10〜40nmの微細粒子を添加した層A用の原料と平均粒径が250nm〜500nmの微細粒子αを0.1〜1.0重量%含有させた層B用の原料とを溶融共押出しし、キャスティングドラム上で冷却固化して未延伸フィルムシートを得、一軸延伸し、その後に一軸延伸方向と直交する方向に延伸配向し、熱固定することによって本発明のフィルムを得ることができる。
【0030】
二軸延伸は例えば逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法で行うことができるが、所望するならば熱固定前にさらに縦あるいは横方向あるいは縦と横方向に再度延伸させ機械的強度を高めた、いわゆる強力化タイプとすることもできる。
【0031】
層A側の表面aに被覆層を形成する場合には、前述の通り1軸方向への延伸を終えた段階で所望の塗液を基層フィルム上に塗布する方法により形成される。その塗布方法としては、ドクターブレード方式、グラビア方式、リバースロール方式、メタリングバー方式のいずれであってもよい。表面aのSRa、SRzは被覆層の微粒子、成分、A層内部の微細粒子の調整により調整することができる。
【0032】
表面bに形成する150nmから500nmの高さの表面突起個数は、微細粒子αの平均粒子径を250nmから500nmとし、添加量を0.1〜1.0重量%とし、その中で、平均粒子径、添加量と層Bの厚さの調整により調整可能である。
【0033】
本発明のポリエステルフィルムは磁気記録媒体のベースフィルムとして、特にDVCテープ用途に使用すると優れた結果を得ることができ好適である。またデータストレージテープ用途に使用しても優れた結果を得ることができ好適である。
【0034】
本発明の磁気テープは、本発明のポリエステルベースフィルムの片側表面aにCo等の強磁性金属薄膜を真空蒸着により膜厚み100〜300nmで形成し、この金属薄膜上に10nm程度の厚みのダイヤモンド状カーボン膜をコーティングし、さらにその上に、潤滑剤を塗布し、他方、片側表面bに固体微粒子および結合剤からなり必要に応じて各種添加剤を加えた溶液を塗布することによりバックコート層を設け、そして、所定のテープ幅に切断することにより、製造することができる。
【0035】
[測定法]
(1) SRa値、SRz値
小坂研究所製の光触針式(臨界角焦点エラー検出方式)の3次元粗さ計(ET−30HK)を使用して測定した。
【0036】
SRa値: JIS B0601 Raに相当する中心線面平均粗さ。
【0037】
SRz値: JIS B0601 Rzに相当する十点平均面粗さ。粗さ曲面から基準面積分だけ抜き取った部分の平均面を基準面として、最高から5番目までの山の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の深さの平均値との距離を入力換算したもの。
【0038】
試験片は測定表面にAl蒸着を施した。
測定方向は幅方向とし、カットオフ値は0.08mm、測定長は0.1〜0.25mm、送りピッチは0.2μm、測定スピードは20μm/s、測定本数は100本とした。単位はnmとした。
【0039】
(2)微細粒子の平均粒径
電子顕微鏡(電顕)試験台上に微細粒子粉体を、この粒子ができるだけ重ならないように散在せしめ、電顕(好ましくは透過型電子顕微鏡)により倍率100万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子について面積円相当径を求め、この数平均値をもって平均粒径とした。
【0040】
なお、この粒径をフィルムから求める場合には下記のa)手法等により求められる。
a)フィルムの被膜表面a上に金スパッター装置により金薄膜蒸着層を20〜30nm(χnm)で設け、電子顕微鏡(好ましくは走査型電子顕微鏡)により倍率10万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子について面積円相当径を求め、この数平均値より2χnmを減じた値をもって粒径とする。
【0041】
(3)フィルム上の150nmから500nmの高さの表面突起個数
フィルム上の表面突起個数は走査型プローブ顕微鏡を用いて測定した。セイコーインスツルメント社製の走査型プローブ顕微鏡(SPI3800シリーズ)を用い、ダイナミックフォースモードでフィルムの表面を30μm角の範囲で原子間力顕微鏡計測走査を行い、原子間力顕微鏡像を採取し、突起状の突起で、高さが150nmから500nmのものを数え、1mm2あたりの個数に換算することにより求めた。面内方向の拡大倍率は2千倍、高さ方向の拡大倍率は10万倍程度とした。
(4)強磁性体薄膜を設けた磁気テープの特性
市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダー(DVC)を用いドロップアウト(DO)を観測することにより評価した。作成したDVCテープを、市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダーで録画し、1分間の再生をして画面にあらわれたブロック状のモザイク個数を数え、20巻の平均値を取ることによりDOの測定をした。なおDOは常温常湿(25℃、60%RH)でテープ製造後の初期特性を調べた。そして100回繰返し走行後のDOも測定した。DOは小さい値の方が良い。
【0042】
【実施例】
次に実施例に基づき、本発明を説明する。
【0043】
[実施例1]
実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート原料Aと実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートと平均粒径300nmのポリスチレン球を0.4重量%含有させた原料Bとを厚み比6:1の割合で共押出しし、ロール延伸法で110℃で3.0倍に縦延伸した。
【0044】
縦延伸の後の工程で、A層の外側に下記水溶液を塗布した。
Figure 0004622096
その後、ステンターにて横方向に110℃で3.3倍に延伸し、200℃で熱処理し、中間スプールに巻き、スリッターで小幅にスリットし、円筒コアーにロール状に巻取り、厚さ6.3μm、長さ24000mのロール状複合ポリエステルフィルムを得た。
【0045】
このポリエステルフィルムの表面a側に真空蒸着によりコバルト−酸素薄膜を110nmの膜厚で形成した。なお真空蒸着の速度は従来速度の1.5倍の速度、約150m/分とした。次にコバルト−酸素薄膜層上に、スパッタリング法によりダイヤモンド状カーボン膜を10nmの厚みで形成させ、フッ素含有脂肪酸エステル系潤滑剤を3nmの厚さで塗布した。続いてカーボンブラック、ポリウレタン、シリコーンからなるバックコート層を表面b側に400nmの厚さで設け、スリッターにより幅6.35mmにスリットしリールに巻き取り磁気テープを作成した。
【0046】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
【0047】
[実施例2]
実施例1のベースフィルム製造において、ポリエチレンテレフタレートをポリエチレン−2,6−ナフタレートと変更し、縦延伸温度、倍率を135℃で5.0倍とし、横延伸温度、倍率を135℃、6.0倍とし、更に160℃で1.2倍に横に延伸し、200℃での熱処理と変更し、原料B中の平均粒径300nmのポリスチレン球の添加量を2.0重量%とし、その他は同様にして、厚さ4.2μmの長さ24000mのロール状複合ポリエステルフィルムを得た。
【0048】
実施例1と同様にして幅6.35mmの磁気テープを作成した。得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
【0049】
[実施例3]
実施例1のベースフィルム製造において、原料Bに含有させた微細粒子をポリスチレン球から平均粒径300nmの炭酸カルシウム粒子とし、その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ24000mのロール状複合ポリエステルフィルムを得て、幅6.35mmの磁気テープを作成した。得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
【0050】
[比較例1]
実施例1のベースフィルム製造において、水溶液塗布時の固形分濃度を10mg/m2とした。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ24000mのロール状複合ポリエステルフィルムを得、幅3.65mmの磁気テープを作成した。得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
【0051】
[比較例2]
実施例1のベースフィルム製造において、塗布水溶液のメチルセルロース濃度を0.15重量%とした。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ24000mのロール状複合ポリエステルフィルムを得、幅6.35mmの磁気テープを作成した。得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
【0052】
[比較例3]
実施例1のベースフィルム製造において、塗布水溶液内の極微細シリカの濃度を0.02重量%とした。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ24000mのロール状複合ポリエステルフィルムを得、幅6.35mmの磁気テープを作成した。得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
【0053】
[比較例4]
実施例1のベースフィルム製造において、原料Aに平均粒径60nmのシリカを0.03重量%添加した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ24000mのロール状複合ポリエステルフィルムを得、幅6.35mmの磁気テープを作成した。得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
【0054】
[比較例5]
実施例1のベースフィルム製造において、原料Bに含有させたポリスチレン球の平均粒径を200nmとし、その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ24000mのロール状複合ポリエステルフィルムを得、幅6.35mmの磁気テープを作成した。得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
【0055】
[比較例6]
実施例1のベースフィルム製造において、原料Bに含有させたポリスチレン球の平均粒径を600nmとし、その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ24000mのロール状複合ポリエステルフィルムを得て、幅6.35mmの磁気テープを作成した。得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
【0056】
[比較例7]
実施例1のベースフィルム製造において、原料Bに含有させたポリスチレン球の含有量を0.2重量%とし、その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ24000mのロール状複合ポリエステルフィルムを得て、幅6.35mmの磁気テープを作成した。得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
【0057】
[比較例8]
実施例1のベースフィルム製造において、原料Bに含有させたポリスチレン球の含有量を1.2重量%とし、その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ24000mのロール状複合ポリエステルフィルムを得て、幅6.35mmの磁気テープを作成した。得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
【0058】
[比較例9]
実施例1のベースフィルム製造において、縦延伸後、B層外側にも下記水溶液を塗布した。
Figure 0004622096
その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのロール状複合ポリエステルフィルムを得、幅6.35mmの磁気テープを作成した。得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。蒸着工程の冷却キャンには僅かであるが白い汚れ物が付着していた。
【0059】
【表1】
Figure 0004622096
表1、表2の結果から明らかな様に、本発明のポリエステルフィルムの片側表面aに強磁性金属薄膜層を設けて製造した磁気テープは、蒸着速度を上げてもDOの少ないデジタルビデオテープであった。
【0060】
【発明の効果】
本発明によると、蒸着速度が速くなっても作成されるDVCテープの電磁変換特性が良好であって、ドロップアウトが少ないDVCテープ、を製造できる磁気記録媒体用ポリエステルフィルムとすることができる。

Claims (4)

  1. 片側表面aを形成する層A及び片側表面bを形成する層Bが積層されてなるポリエステルフィルムであって、片側表面aのSRa値が2〜5nm、SRz値が10〜40nmであり、層B中には片側表面bに表面突起を形成するための微細粒子αが含まれ、該微細粒子αの平均粒径が250nm以上、500nm未満であり、片側表面b上に150〜500nmの高さの表面突起が5千個/mm2〜10万個/mm2の頻度で形成されており、片側表面bの外側には塗布により形成された易滑被覆層がないポリエステルフィルムであって、片側表面aの外側に強磁性金属薄膜層を設けて使用されることを特徴とする磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
  2. ポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートであることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
  3. デジタル記録方式のビデオカセットレコーダーテープ用に用いられることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
  4. 請求項1に記載のポリエステルフィルムの表面aの外側に強磁性金属薄膜層を設けてなる磁気記録テープ。
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