JP4345206B2 - 磁気記録媒体用ポリエステルフィルム及び磁気記録テープ - Google Patents

磁気記録媒体用ポリエステルフィルム及び磁気記録テープ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、特にデジタルビデオカセットテープ用、データストレージテープ用等のデジタルデータを記録する強磁性金属薄膜型磁気記録媒体を高品質で製造するために好適な磁気記録媒体用ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
1995年に実用化された民生用デジタルビデオテープは厚さ6〜7μmのベースフィルム上にCoの金属磁性薄膜を真空蒸着により設け、その表面にダイヤモンド状カーボン膜をコーティングしてなり、デジタルビデオミニカセットを使用したカメラ一体型ビデオの場合には基本仕様(SD仕様)で1時間の録画時間をもつ。
【0003】
このデジタルビデオカセット(DVC)は、家庭用で世界で初のデジタルビデオカセットであり、a.小型ボディながら、膨大な情報が記録できる、b.信号が劣化しないから、何年たっても画質・音質が劣化しない、c.雑音の妨害を受けないから高画質・高音質が楽しめる、d.ダビングを繰り返しても映像が劣化しない、等のメリットを持ち、市場の評価は高い。
【0004】
また、この蒸着型デジタルビデオテープ、DVCをコンピューターのデータバックアップ用途に用いることが1996年より始まり、テープ幅8mmのデータ8mm(Exabyte社マンモス、ソニー社AITシステム)コンピューターデータバックアップ装置が実用化され、小型で大容量でデータ転送速度が早く好評である。
【0005】
そのベースフィルムとしては、
▲1▼ポリエステルフィルムと、該フィルムの少なくとも片面に密着されたポリマーブレンド体と粒径50〜500Åの微細粒子を主体とした不連続皮膜とからなり、該不連続皮膜には水溶性ポリエステル共重合体が含有され、微細粒子により不連続皮膜上に微細突起が形成されたポリエステルフィルム(例えば特公昭63−57238号公報)、
▲2▼熱可塑性樹脂からなる層Aと、微粒子が含有された熱可塑性樹脂からなる層Bとが積層された複合フィルム(例えば特公平1−26338号公報)、
等が使用されている。
【0006】
しかしながらこのようなベースフィルムでは、使用するポリエステル内に存在する異物とか、製膜の過程で入った表面傷、製膜の過程で付着した表面コンタミ物等による表面欠陥が存在しがちであり、該ベースフィルムより作成されるテープのドロップアウトが増加しがちであった。
【0007】
ドロップアウトの少ないDVCテープとなる磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを与える事を目的として、特開2000−25105号公報において、ポリエステルフイルムの一方の片側表面Aに高さ10〜50nmの微細表面突起が300万〜9000万個/mm2設けられてなるポリエステルフイルムであって、該ポリエステルフイルムの片側表面Aに存在する高さ50〜120nmの表面突起が4万個/mm2以下、高さ120nm以上の表面欠陥が400個/100cm2以下であることを特徴とする磁気記録媒体用ポリエステルフィルムおよび該ポリエステルフィルムの表面に強磁性金属薄膜層を設けてなる磁気記録テープが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのようなベースフィルムから作成した磁気テープはビデオテープ用としてはドロップアウトが低下したが、データバックアップ用途としてはエラーレート(データが正確に記録できなかったものの割合)の低下は未だ十分ではなく、特にデータ圧縮時にエラーレートが高くなりがちであることが判ってきた。
【0009】
従って本発明はドロップアウトの少ないビデオテープのみならず、エラーレートの低いデータバックアップ用の蒸着型磁気テープとできる磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを与える事を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムは、ポリエステルフイルムの一方の片側表面Aに微細粒子による微細表面突起が存在し、該微細粒子の粒径が10〜50nmであり、片側表面Aにおいて、微細表面突起の個数が300万〜9000万個/mm2、高さ50〜120nmの表面突起の個数が1000個/mm2以下、高さ50〜120nmの表面欠陥の個数が1000個/mm2以下、かつ、高さ120nm以上の表面突起と表面欠陥との個数合計が400個/100cm2以下であることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリエステルとは分子配向により高強度フィルムとなるポリエステルであればよいが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。即ち、その構成成分の80%以上がエチレンテレフタレート又はエチレンナフタレートであるポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。エチレンテレフタレート、エチレンナフタレート以外のポリエステル共重合体成分としては、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能ジカルボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸などが挙げられる。
【0012】
さらに、上記のポリエステルは、他にポリエステルと非反応性のスルホン酸のアルカリ金属塩誘導体、該ポリエステルに実質的に不溶なポリアルキレングリコールなどの少なくとも一つを5重量%を越えない程度に混合してもよい。
【0013】
本発明のポリエステルフィルムの片側表面Aには微細粒子による微細表面突起が存在し、該微細表面突起の個数が300万〜9000万個/mm2、該微細粒子の粒径が10〜50nmである。この微細表面突起の存在により、表面A上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜層の記録・再生時のビデオヘッドによる磨耗が少なくなる。微細粒子の粒径が10nmより小さいと、あるいは微細表面突起の個数が300万個/mm2より少ないと、強磁性金属薄膜層が記録・再生時に、ビデオヘッドにより磨耗してしまい適していない。微細粒子の粒径が50nmより大きいと、あるいは微細表面突起個数が9000万個/mm2より多いと、強磁性金属薄膜層が粗面すぎて、磁気テープの出力特性が低下するので適していない。
【0014】
微細表面突起は、ポリエステルフィルム層内に添加された微細粒子により形成されたものであってもよいし、微細粒子を有機化合物に含有させた被覆層をポリエステルフィルム層表面に設けることにより形成させたものであってもよい。即ち、表面突起は、フィルム表面のポリマー中に含有させた微細粒子に起因する突起状部分である。
【0015】
表面突起の形成のために含有させる微細粒子は、平均粒径が10〜50nm、好ましくは10〜30nmであり、その粒子種としてはシリカ、炭酸カルシウム、アルミナのような無機化合物、ポリアクリル酸球、ポリスチレン球等の有機化合物、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等の無機粒子を核として、有機高分子で被覆した粒子等が使用できるが、これらに限定されない。
【0016】
本発明のポリエステルフィルムの片側表面Aに存在する高さ50〜120nmの表面突起の個数は1000個/mm2以下であり、かつ、高さ50〜120nmの表面欠陥の個数は1000個/mm2以下である。上記高さ範囲の表面突起および表面欠陥が上記個数より多く存在すると、磁気テープのエラーレートが増大するので適していない。
【0017】
本発明のポリエステルフィルムの片側表面Aに存在する、高さ120nm以上の表面突起と表面欠陥との個数合計は400個/100cm2以下である。上記高さの表面突起と表面欠陥とが、上記個数より多く存在すると、磁気テープのドロップアウトが増大するので適していない。
【0018】
ここで、フィルム表面に存在する表面欠陥は、表面に存在する傷、コンタミ、付着物に起因する突起状欠陥部であり、ポリマー中に含有させた微細粒子に起因する表面突起とは異なるものである。
【0019】
本発明のポリエステルフィルムの片側表面B(上記した片側表面Aとは反対側の表面である)のSRa値は、ポリエステルフィルムを製膜した後、ポリエステルフィルムを所定の幅にスリットする際、巻姿の良い製品を採取しやすくし、ポリエステルフィルムの片側表面A上に強磁性薄膜を設けた後にロール状の巻取りにより片側表面Bの粗さが片側表面A側に転写されて強磁性薄膜層にうねり状の変形が起きることを最小限に抑えるために、8〜35nm、より好ましくは10〜25nmが望ましい。片側表面BのSRz値は、ポリエステルフィルムの製膜後、ポリエステルフィルムをスリットした後のロール状の製品の巻姿を良好に保ち、ポリエステルフィルムの片側表面A上に強磁性薄膜を設けた後にロール状の巻取りにより片側表面Bの粗さが片側表面A側に転写されて強磁性薄膜層にうねり状の変形が起きることを最小限に抑えるために、100〜700nm、より好ましくは140〜550nmが望ましい。
【0020】
本発明のポリエステルフィルムの片側表面B側には、シリコーン等の潤滑剤が含まれたより粗い被覆層が設けられるか、より大きな微細粒子を含有するポリエステルフィルム層が積層されて形成されたもの、あるいは更にその上に前記被覆層が設けられたものが好ましく用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。なおここで用いられる微細粒子としては炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、ポリスチレン等が例示される。この微細粒子としては、平均粒子径が好ましくは100〜1000nm、より好ましくは150〜900nmのものが用いられ、その添加量としては好ましくは0.05〜1.0重量%、より好ましくは0.08〜0.8重量%が望ましい。
【0021】
本発明のポリエステルフィルムはフィルム厚さ7μm以下が好ましく、さらに好ましくは厚さ3.5〜6.5μmが望ましい。
【0022】
本発明のポリエステルフィルムを磁気記録媒体用に用いるためには、表面A上に強磁性金属薄膜層が設けられるが、さらに、表面B上に固体微粒子および結合剤からなり必要に応じて各種添加剤を加えた溶液を塗布することにより形成されるバックコート層を設けることが好ましく、固体微粒子、結合剤、添加剤は公知のものを使用でき、特に限定されない。バックコート層の厚さは0.3〜1.5μm程度が好ましい。
【0023】
次に本発明の製法の一例を説明する。
【0024】
本発明のポリエステルフィルムは、そのA面側原料として含有粒子を可能な限り除いたポリエステルを用い、溶融、成形、二軸延伸、熱固定からなる通常のプラスチックフィルム製造工程で製造されるが、その延伸工程では90〜140℃で、縦、横方向に、2.7〜5.5倍、3.5〜7.0倍に延伸され、190〜220℃の温度で熱固定される。そして、下記の操作を行うことにより製造することができる。
【0025】
(1)一方向に延伸後の平滑なポリエステルフィルムのA面側に、平均粒径が10〜50nm、好ましくは10〜30nmの微細粒子を0.5〜12.0重量%、好ましくは0.6〜10.0重量%含む有機化合物からなる塗液を塗布して表面A側に被覆層を形成させ、表面Aに微細表面突起を形成する。被覆層に使用される有機化合物としてはポリビニルアルコール、トラガントゴム、カゼイン、ゼラチン、セルロース誘導体、水溶性ポリエステル、ポリウレタン等の有極性高分子、これらのブレンド体が使用できるが、これらに限定されない。該微細表面突起の個数は前記微細粒子の種類、平均粒径、固形分塗布濃度を調整することにより調節することができる。
【0026】
磁気テープの磁性層の耐久性を更に増すことが望まれる場合は、表面A側を形成するポリエステルフィルム層内に平均粒径が30〜150nm、好ましくは40〜100nmの微細粒子を1.0重量%以下、好ましくは0.8重量%以下、含ませることにより表面A上に表面突起をもたせることが好ましい。微細粒子としてはシリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、ポリアクリル酸球、ポリスチレン球等が使用できるが、これらに限定されない。
【0027】
(2)高さ50〜120nmの表面突起の個数を1000個/mm2以下、かつ、高さ50〜120nmの表面欠陥の個数を1000個/mm2以下の水準とするためには、A面側原料を溶融させる前の乾燥において、他の原料のコンタミを受けないように乾燥機を事前に清掃した後に乾燥すること、及び、上記(1)の微細粒子を含む有機化合物からなる塗液を塗布する前に、ろ過精度2.0μm以上のフィルターを用いてろ過することが有効である。
【0028】
(3)高さ120nm以上の表面突起と表面欠陥との個数合計を400個/100cm2以下の水準とするためには、1)溶融押出しの際に層A側溶融体を0.6μmカット(95%カット径)以上の性能を有する高精度フィルター内を通過させることによりフィルム内異物を減少させる、2)延伸ロール表面に傷が存在する場合は傷の高さが0.3μmを超えないよう管理する、表面汚れが延伸ロール表面からの高さとして0.3μmを超えないように管理することにより表面傷を減少させる、3)前述の延伸ロール表面傷、ロール表面汚れの管理に加え、他のすべての製膜ロールを同様に管理することにより高さ120nm以上の表面付着物を減少させる、ことが有効である。
【0029】
なお、共押出し技術の使用により、前記A層用の原料と積極的により大きな微粒子を含有させたB層用の原料とを用いてA/B積層フィルムを溶融押出しし製膜してもよいし、B層を用いなく、前記表面A側と反対の表面B側に滑剤を含む塗液を塗布しB面側に易滑処理をしてもよい。B層を用い、更に滑剤を含む塗液を塗布しB面側の易滑処理をしてもよい。
【0030】
二軸延伸は、例えば逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法で行うことができるが、所望するならば熱固定前にさらに縦あるいは横方向あるいは縦と横方向に再度延伸させ機械的強度を高めた、いわゆる強力化タイプとすることもできる。
【0031】
本発明のポリエステルフィルムは磁気記録媒体のベースフィルムとして、特にデジタルビデオテープ用途、またデータストレージテープ用途に使用すると優れた結果を得ることができ好適である。
【0032】
本発明の磁気記録テープは、本発明のポリエステルフィルムの表面A上に、真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜層を設け、そしてテープ状にしたものであり、使用する金属薄膜としては公知のものを使用でき、特に限定されないが、鉄、コバルト、ニッケル、またはそれらの合金の強磁性体からなるものが好ましい。金属薄膜層の厚さは100〜300nmが好ましい。
【0033】
即ち、本発明の磁気記録テープは、本発明のポリエステルフィルムの片側表面A上に、Co等からなる強磁性金属薄膜を、真空蒸着により膜厚み100〜300nm程度で形成し、この金属薄膜上に10nm程度の厚みのダイヤモンド状カーボン膜をコーティングし、さらにその上に、潤滑剤を塗布し、他方、片側表面Bに固体微粒子および結合剤からなり必要に応じて各種添加剤を加えた溶液を塗布することによりバックコート層を設け、そして、所定のテープ幅に切断することにより、製造することができる。
【0034】
【実施例】
本実施例で用いた測定法を下記に示す。
(1)微細粒子の粒径
電子顕微鏡(電顕)試験台上に微細粒子粉体を、この粒子ができるだけ重ならないように散在せしめ、電顕(好ましくは透過型電子顕微鏡)により倍率100万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子について面積円相当径を求め、この数平均値をもって粒径とした。
なお、この粒径をフィルムから求める場合には下記のa)手法等により求められる。
a)フィルムA面に金スパッター装置により金薄膜蒸着層を厚み20〜30nm(χnm)で設け、電子顕微鏡(好ましくは走査型電子顕微鏡)により倍率10万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子について面積円相当径を求め、この数平均値より2χnmを減じた値をもって粒径とする。
【0035】
(2)フィルム上の微細表面突起の個数
フィルムの表面に形成された微細突起の個数は走査型電子顕微鏡により3万倍程度の拡大倍率でフィルム表面を10視野以上観察し、突起状に見える突起が1mm2あたり何個あるかを求めることにより測定した。
【0036】
(3)高さ50〜120nmの表面突起および表面欠陥個数
フィルムの表面に対し5°の角度で銀を蒸着(シャドーイング)し、その後スパッタリングにより白金をコートする。シャドーイングしたフィルム表面を真上から走査型電子顕微鏡により5千倍程度の拡大倍率で10視野程度観察し、表面上に影をもつ表面突起(ポリエステルポリマーの中に存在する微粒子により形成されたもの)、その他表面欠陥(傷状、コンタミ・付着物状のもの)を探し、表面突起、表面欠陥の高さをh、影の長さHとし、tan5°=h/Hの関係を用いて、影の長さより高さを推定し、高さ50〜120nmの表面突起、表面欠陥の個数を求めた。1mm2あたり何個あるかを換算し、高さ50〜120nmの表面突起および表面欠陥の個数とした。
【0037】
(4)高さ120nm以上の表面突起と表面欠陥との個数合計
光学顕微鏡(観測倍率:100倍)を用いてフィルムA側表面を観察し、突起状に見えるもの、傷状に見えるもの、塵埃、コンタミ等の表面付着物を観測しマーキングし、マーキングされたそれら突起や欠陥の高さをキーエンス社製のレーザー顕微鏡(表面形状測定顕微鏡 VF−7500)を用いて120nm以上であるか否かを確認する。観測した面積より100cm2あたりの面積に換算し、高さ120nm以上の突起や欠陥の個数とした。
磁気テープからの判断は磁気記録した後に、磁性コロイドを磁気テープ表面に塗布し光学顕微鏡(観測倍率:100倍)により塗布表面観察することにより行う。塗布表面上の磁気記録が抜けた箇所をマーキングし、マーキングされたそれら欠陥の高さをキーエンス社製のレーザー顕微鏡(表面形状測定顕微鏡VF−7500)を用いて120nm以上であるか否かを確認する。観測した面積より100cm2あたりの面積に換算し、高さ120nm以上の突起や欠陥の個数とした。
【0038】
(5)SRa値、SRz値
小坂研究所製の光触針式(臨界角焦点エラー検出方式)の3次元粗さ計(ET−30HK)を使用して測定した。
SRa値: JIS B0601 Raに相当する中心線面平均粗さ。
【0039】
SRz値: JIS B0601 Rzに相当する十点平均面粗さ。粗さ曲面から基準面積分だけ抜き取った部分の平均面を基準面として、最高から5番目までの山の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の深さの平均値との距離を入力換算したもの。
【0040】
試験片は測定表面にAl蒸着を施した。
測定方向は幅方向とし、カットオフ値は0.08mm、測定長は0.1〜0.25mm、送りピッチは0.2μm、測定スピードは20μm/s、測定本数は100本とした。単位はnmとした。
【0041】
(6)磁気テープ(データ用テープ)の特性評価
市販のExabyte社製データ8mm装置、マンモスを用いて磁気テープのエラーレートを求めることによって行った。エラーレートは、2GBのデータをハードディスクよりテープにバックアップ記録した時の書き込みミスの割合、読み取った時の読み取りミスの割合を求めて測定した。(圧縮比を2.5倍にして行った。)エラーレートはテープ製造後の最初の使用時と、100回記録保存、読み取り後の値とを求めた。
【0042】
次に実施例に基づき、本発明を説明する。
【0043】
[実施例1]
実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートに平均粒径60nmのシリカを0.03重量%含有させた原料Aを事前に清掃を行った乾燥機中で乾燥後、同一のポリエチレンテレフタレートと平均粒径300nmのケイ酸アルミニウムを0.20重量%含有させた原料Bとを厚み比5:1の割合で共押出し、冷却ドラムに密着させシート化し、ロール延伸法で110℃で3.0倍に縦延伸した。原料Aの押し出し系には0.6μmカット(95%カット径)の性能を有する高精度フィルターを設けた。
【0044】
縦延伸の後の工程で、片側表面Aの外側に下記組成の水溶液を1.5μmのろ過精度を持つフィルターでろ過した後、固形分濃度20mg/m2 となるように塗布した。
【0045】
A面外側への塗布水溶液:
メチルセルロース 0.10重量%
水溶性ポリエステル(=テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体) 0.30重量%
アミノエチルシランカップリング剤 0.01重量%
平均粒径 17nmの極微細シリカ 0.04重量%
その後、ステンターにて横方向に102℃で4.2倍に延伸し、215℃で熱処理し中間スプールに巻き、スリッターで小幅にスリットし、円筒コアーにロール状に巻取り、厚さ6.3μmのロール状ポリエステルフィルムを得た。製膜工程においてフィルムにふれるすべてのロールの表面傷、表面汚れは傷の高さが0.3μmを超えないよう、また表面汚れが延伸ロール表面からの高さとして0.3μmを超えないように管理した。
【0046】
このポリエステルフィルムの表面A上に真空蒸着によりコバルト−酸素薄膜を150nmの膜厚で形成した。次にコバルト−酸素薄膜層上に、スパッタリング法によりダイヤモンド状カーボン膜を10nmの厚さで形成させ、フッ素含有脂肪酸エステル系潤滑剤を3nmの厚さで塗布した。続いて表面B上に、カーボンブラック、ポリウレタン、シリコーンからなるバックコート層を500nmの厚さで設け、スリッターにより幅8mmにスリットしリールに巻き取り磁気テープ(データ用テープ)を作成した。
【0047】
得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は20nm、270nmであった。
【0048】
[実施例2]
実施例1のベースフィルム製造において、原料Aより平均粒径60nmのシリカを除いたこと以外は実施例1と同様にして幅8mmの磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は20nm、270nmであった。
【0049】
[実施例3]
実施例2のベースフィルム製造において、ポリエチレンテレフタレートをポリエチレン−2,6−ナフタレートに変更し、原料B内のケイ酸アルミニウムの含有量を1.1重量%とし、縦延伸温度、倍率を135℃で5.0倍とし、横延伸温度、倍率を135℃、6.5倍とし、200℃で熱処理に変更し、その他は実施例2と同様にして、厚さ4.2μmのポリエステルフィルムロールを得た。得られたポリエステルフィルムから、実施例1と同様にして幅8mmの磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は22nm、280nmであった。
【0050】
[比較例1]
実施例1のベースフィルム製造において、水溶液塗布時の固形分濃度を5mg/m2とした。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエステルフィルムロールを得、幅8mmの磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は20nm、270nmであった。
【0051】
[比較例2]
実施例1のベースフィルム製造において、塗布水溶液中の極微細シリカの濃度を0.09重量%、水溶液塗布時の固形分濃度を80mg/m2とした。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエステルフィルムロールを得、幅8mmの磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は20nm、270nmであった。
【0052】
[比較例3]
実施例1のベースフィルム製造において、塗布水溶液中の極微細シリカの粒径を5nm、水溶液塗布時の固形分濃度を10mg/m2とした。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエステルフィルムロールを得、幅8mmの磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は20nm、270nmであった。
【0053】
[比較例4]
実施例1のベースフィルム製造において、塗布水溶液中の極微細シリカの粒径を60nm、シリカ添加濃度を0.09重量%とした。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエステルフィルムロールを得、幅8mmの磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は20nm、270nmであった。
【0054】
[比較例5]
実施例1において、原料Aを事前に清掃を行なわない乾燥機中で乾燥を行った。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエステルフィルムロールを得、幅8mmの磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は20nm、270nmであった。
【0055】
[比較例6]
実施例1において、水溶液のフィルターのろ過精度を3.5μmに変更した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエステルフィルムロールを得、幅8mmの磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は20nm、270nmであった。
【0056】
[比較例7]
実施例1において、原料Aの押し出し系に設けた高精度フィルターの異物カット性能を2.0μmカット(95%カット径)の性能のものと変更した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエステルフィルムロールを得、幅8mmの磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は20nm、270nmであった。
【0057】
[比較例8]
実施例1において、延伸ロール表面に高さが0.4μm程度の傷が100cm2あたり40個程度入っている延伸ロールを用いて製膜した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエステルフィルムロールを得、幅8mmの磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は20nm、270nmであった。
【0058】
[比較例9]
実施例1のベースフィルム製造において、製膜工程においてフィルムにふれるすべてのロールの表面清掃を行わなかった。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの複合ポリエステルフィルムロールを得、幅8mmの磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は20nm、270nmであった。
【0059】
【表1】
Figure 0004345206
表1の特性から明らかな様に、本発明によるポリエステルフィルムを用いて製造された磁気テープはエラーレートが低く、優れたデータテープであった。
【0060】
【発明の効果】
本発明によると、ドロップアウトの少ないビデオテープ用にも、エラーレートの低いデータバックアップ用の蒸着型磁気テープ用にも好適な磁気記録媒体用ポリエステルフィルムとすることができるので、特にデータバックアップ用の蒸着型磁気テープのエラーレートを低減させるために本発明は有効である。

Claims (5)

  1. ポリエステルフイルムの一方の片側表面Aに微細粒子による微細表面突起が存在し、該微細粒子の粒径が10〜50nmであり、片側表面Aにおいて、微細表面突起の個数が300万〜9000万個/mm2、高さ50〜120nmの表面突起の個数が1000個/mm2以下、高さ50〜120nmの表面欠陥の個数が1000個/mm2以下、かつ、高さ120nm以上の表面突起と表面欠陥との個数合計が400個/100cm2以下であることを特徴とする磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
  2. フィルムの厚さが7.0μm以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
  3. ポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2、6−ナフタレートであることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
  4. デジタル記録方式の磁気テープ用に用いられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルフィルムの片側表面Aに強磁性金属薄膜層を設けてなることを特徴とする磁気記録テープ。
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