JP4492011B2 - 磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、特にデータストレージテープ用等のデジタルデータを大量に記録する強磁性金属薄膜型磁気記録媒体を高品質で製造するために好適な磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを生産性良く製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
1995年に実用化された民生用デジタルビデオテープは厚さ6〜7μmのベースフィルム上にCoの金属磁性薄膜を真空蒸着により設け、その表面にダイヤモンド状カーボン膜をコーティングしてなり、デジタルビデオミニカセットを使用したカメラ一体型ビデオの場合には基本仕様(SD仕様)で1時間の録画時間をもつ。
【0003】
このデジタルビデオカセット(DVC)は、家庭用で世界で初のデジタルビデオカセットであり、a.小型ボディながら、膨大な情報が記録できる、b.信号が劣化しないから、何年たっても画質・音質が劣化しない、c.雑音の妨害を受けないから高画質・高音質が楽しめる、d.ダビングを繰り返しても映像が劣化しない、等のメリットを持ち、市場の評価は高い。
【0004】
そのベースフィルムの製造方法としては、特公平3−80410号公報に示されるごとく、一方向に延伸されたポリエステルフィルムの金属磁性薄膜を形成させる側の面に水溶性高分子と平均径5nm以上の微細粒子を主成分として含有する水溶液を塗布し、乾燥後、上記延伸方向と直角の方向に延伸し、熱処理を施し、皮膜を形成せしめるもの等の製造方法が用いられている。
【0005】
その際の水溶液の塗布方式としては、ロッドにワイヤーが巻かれたメタリングバー(メイヤーバーとも呼ばれる)を用いて塗布する方式が一般的である。ところが、市場からのベースフィルム供給量増大の要請に応えるために製膜速度を増大させ塗布速度を増大させたときに、メタリングバー部より塗布すじが発生し、塗布すじ部分では塗布液が多量に付着され、その塗布部分では表面粗さが顕著に増大し、磁気テープにした場合、ドロップアウト(DO)が多くなるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、DVCテープ用ベースフィルムを高速で生産性良く製造するために、塗布速度を上げてもメタリングバー部からの塗布スジが発生せずに磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを製造できる方法を与えることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法は、溶融押出され、冷却され、一方向に延伸されたポリエステルフイルムの表面Aに、水溶性高分子と平均粒径5〜50nmの微細粒子とシリコーンとを主成分として含有する水溶液を、固形分塗布量3〜1000mg/m2で塗布した後、乾燥した後あるいは乾燥させながら、上記延伸方向と直角の方向に延伸した後に、熱処理を行うことにより、表面A側が強磁性金属薄膜形成面である磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを製造する方法であって、前記水溶液の塗布方式がメタリングバーを用いる方法であり、かつ、メタリングバーの直径D(mm)及び、塗布速度LS(m/分)が、D×LS≦1500を満足する条件をとることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリエステルは、分子配向により高強度フィルムとなるポリエステルであればよいが、その中でもポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。ここでいうポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートとは、その構成成分の80%以上がエチレンテレフタレート、またはエチレンナフタレートであるものである。エチレンテレフタレート、エチレンナフタレート以外のポリエステル共重合体成分としては、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能ジカルボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸などが挙げられる。
【0009】
さらに、上記のポリエステルには、他にポリエステルと非反応性のスルホン酸のアルカリ金属塩誘導体、該ポリエステルに実質的に不溶なポリアルキレングリコールなどの少なくとも一つを5重量%を越えない程度で混合していてもよい。
【0010】
本発明法において、水溶性高分子と微細粒子とを主成分として含有する水溶液は、溶融押出され冷却され一方向に延伸された段階のポリエステルフィルムに対し塗布されるが、このポリエステルフィルムは、ポリエステルを溶融してシートまたは円筒状に押出して冷却し、これを一方向に延伸した時点のフィルムであり、その延伸方向は通常縦方向である。その延伸倍率は2倍以上が好ましく、その上限は特に規定されないが約6倍が好ましい。
【0011】
この水溶液で用いる水溶性高分子は、ポリビニルアルコール、トラガントゴム、カゼイン、ゼラチン、セルロース誘導体、水溶性ポリエステル、ポリウレタン等の有極性高分子、およびこれらのブレンド体が使用できるが、これらに限定されない。
【0012】
この水溶液で用いる微細粒子は、平均粒径が5〜50nm、より好ましくは8〜30nmの微細粒子であり、粒子種としてはシリカ、炭酸カルシウム、アルミナのような無機化合物の粒子、ポリアクリル酸球、ポリスチレン球等の有機化合物の粒子、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等の無機粒子を核として有機高分子で被覆した粒子等が使用できるが、これらに限定されない。
【0013】
微細粒子の平均粒径が5nm未満であると、本発明法により製造されるポリエステルフィルムの表面A上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜層の表面が平滑になりすぎて、DVCカメラ内の録画、再生時に磁気ヘッドにより強磁性金属薄膜層が磨耗してしまうので適していない。微細粒子の平均粒径が50nmを超えると、表面A上に形成される強磁性金属薄膜層が粗面すぎて、磁気記録テープの出力特性が低下するので適していない。
【0014】
水溶液中に含まれる微細粒子の量は、固形分に対し、0.5〜12.0重量%、さらに0.6〜10.0重量%が好ましく、水溶性高分子と微細粒子とを主成分として含有する水溶液は固形分塗布量3〜1000mg/m2の範囲で塗布される。その塗布面は、強磁性金属膜が形成される側の表面Aであり、この表面Aは、ポリエステルフイルム含有粒子を可能な限り除いたポリエステルからなることが好ましい。
【0015】
表面A側に塗布された上記水溶液の塗布量が固形分塗布量で3mg/m2未満であると、本発明法により製造されるポリエステルフィルムの表面A上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜層が、DVCカメラ内の多数回にわたる繰返し録画、再生において耐久性不良となるので適していない。塗布量が固形分塗布量で1000mg/m2を超えると、表面A上に形成される強磁性金属薄膜層が粗面化し磁気記録テープのDOが極めて増大するので適していない。
【0016】
水溶性高分子と微細粒子とを主成分として含有する水溶液はフィルム表面Aに塗布されるが、この塗布は、一般に、所望の表面塗布量の数倍量に相当する量の液を一旦付着させた後、ロッドにワイヤーが巻かれたメタリングバーにより、余分の液量をかきおとすことにより、フィルム表面Aの塗布液量を所望量にするという定量的塗布方法により行われる。
【0017】
塗布水溶液中にはシリコーン化合物が0.001〜0.1重量%、より好ましくは0.001〜0.05重量%含有される。シリコーン化合物の含有により、塗布中にメタリングバー部より発生する塗布スジが発生しなくなるので好ましい。塗布スジが存在するとそこでは微細突起個数が多くなりがちであり好ましくない。シリコーン化合物としては主鎖が、Si−Oの結合で高分子となっておれば特に限定されないが、ポリジメチルシロキサン、メチルハイドロジエンポリシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、環状ジメチルシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等が使用できるがこれらに限定されない。シリコーン化合物の含有率が0.001重量%未満であると、被覆層の厚みむらができやすくなり、表面粗さのばらつきが大きくなりがちとなり好ましくない。シリコーン化合物の含有率が0.1重量%を越えると、被膜の強磁性金属蒸着膜との接着性が不良となり好ましくない。
【0018】
メタリングバーの直径をD(mm)、塗布速度をLS(m/分)としたときに、D×LS≦1700なる関係が成り立つように、好ましくはD×LS≦1500となるように、塗布速度LSを大きくするほどメタリングバー直径Dを細くする。D×LSが1700を超えると、塗布中にメタリングバー部より塗布すじが発生し易い。なおメタリングバー直径Dが5mm以下と細すぎる場合にはメタリングバーがたわみがちとなり塗液のスムージングが平滑になり難いので、メタリングバー直径Dは5mmより太いことが好ましい。
【0019】
上記水溶液の塗布の後に乾燥されるが、その乾燥の後あるいは乾燥させながら、先の延伸方向と直角の方向へ延伸される。その後さらに必要であれば再延伸される。その直角方向への延伸は、通常横方向への延伸であり、好ましくは90〜145℃で3.0〜7.5倍で行われる。更に必要に応じて行われる再延伸は、100〜150℃で1.1〜3.0倍の縦方向延伸で行うことが好ましい。この後、190〜220℃の温度で熱処理が行われる。次に、130〜190℃の温度で横方向へ0.2〜2.5%程度で弛緩処理することが、フィルム幅を縮めるために好ましい。なおフィルム横方向の強度が更に大きいことが必要であれば熱固定と同時に横方向に1.1〜2.0倍の延伸を行うことが好ましい。
【0020】
磁気記録テープの磁気ヘッドによる耐久性を更に増すためには、ポリエステルフィルムの表面A側を形成するポリエステルフィルム層A内に、平均粒径が50〜150nm、より好ましくは55〜100nmの微細粒子を0.01〜1.0重量%、より好ましくは0.02〜0.8重量%を含ませてもよい。
【0021】
層A用の原料と、積極的に微細粒子を含有させた層B用の原料を用いて、A/B積層フィルムを押出し、A層側の表面Aに前記微細粒子を含有させた水溶性高分子を主体とする水溶液を塗布してもよい。層B内に用いられる微細粒子としては炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、ポリスチレン等が例示される。この微細粒子としては、平均粒子径が好ましくは100〜1000nm、より好ましくは150〜900nmのものが用いられ、添加量としては好ましくは0.05〜1.0重量%、より好ましくは0.08〜0.8重量%である。
【0022】
なおB層を用いずに、滑剤を含む塗液をポリエステルフィルムのA面とは反対側のB面側に塗布し易滑処理をしてもよい。
【0023】
製造される磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの表面AのRa値は、表面A上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜層が記録・再生時の磁気ヘッドにより受ける磨耗を極力少なくし、および磁気テープの出力特性を良好に保つために2〜5nm、より好ましくは2〜4nmである。Ra値が2nm未満であると、表面A上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜の表面が平滑すぎて、DVCカメラ内での記録、再生時に磁気ヘッドにより磁気記録テープが磨耗してしまい好ましくない。Ra値が5nmを超えると、表面A上の強磁性金属薄膜層が粗面すぎて、磁気記録テープの出力特性が低下し好ましくない。
【0024】
本発明法により製造されるポリエステルフィルムの表面B(表面Aとは反対側の表面)のRa値は、ポリエステルフィルムを製膜した後、所定の幅にスリットする際に、巻姿の良い製品を採取しやすくし、ポリエステルフィルムの表面A上に強磁性薄膜を設けた後に、ロール状の巻取りにより表面Bの粗さが表面A側に転写し強磁性薄膜層にうねり状の変形が起きるのを最小限にするために、8〜45nm、より好ましくは10〜35nmが望ましい。
【0025】
本発明法により製造されるポリエステルフィルムの厚さは12.0μm以下が好ましく、さらに好ましくは厚さ3.0〜10.0μmが望ましい。
【0026】
本発明により得られるポリエステルフィルムの表面Bには、シリコーン等の潤滑剤が含まれたより粗い被覆層が設けられるか、より大きな微細粒子を含有するポリエステルフィルム層が積層されて形成されるが、あるいは更にその上に前記被覆層が設けることが好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0027】
DVC用磁気記録テープを製造する際には、本発明法によるポリエステルフィルムの表面A上に真空蒸着により強磁性金属薄膜層を設けるが、使用する金属薄膜は公知のものを使用でき、特に限定されないが、鉄、コバルト、ニッケル、またはそれらの合金の強磁性体からなるものが好ましい。金属薄膜層の厚さは20〜300nmが好ましい。金属薄膜層上には10nm程度の厚みのダイヤモンド状カーボン膜がコーティングされ、更にその上に潤滑剤処理されることが好ましい。さらに表面B上には、固体微粒子および結合剤からなり必要に応じて各種添加剤を加えた溶液を塗布することにより形成されるバックコート層を設けることが好ましく、固体微粒子、結合剤、添加剤は公知のものを使用でき、特に限定されない。バックコート層の厚さは0.3〜1.5μm程度である。
【0028】
【実施例】
本実施例で用いた測定法を下記に示す。
【0029】
(1)微細粒子の平均粒径(d)
電子顕微鏡(電顕)試験台上に微細粒子粉体を、この粒子ができるだけ重ならないように散在せしめ、電顕(好ましくは透過型電子顕微鏡)により倍率100万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子について面積円相当径を求め、この数平均値をもって粒径とした。
【0030】
なお、この粒径をフィルムから求める場合には下記のa)手法等により求められる。
【0031】
a)フィルムA面に金スパッター装置により金薄膜蒸着層を厚み20〜30nm(χnm)で設け、電子顕微鏡(好ましくは走査型電子顕微鏡)により倍率10万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子について面積円相当径を求め、この数平均値より2χnmを減じた値をもって粒径とする。
【0032】
(2)水溶液塗布時の固形分塗布量(単位:mg/m2)
本発明法によりフィルムの表面Aに水溶液を塗布する際、一定時間の塗布により消費される水溶液の量を求める。その一定時間内に水溶液が塗布された面積を、塗布幅とフィルム速度と塗布時間とから算出し、塗布時の水溶液消費量を塗布面積で除し、さらに、塗布した水溶液中の固形分割合より、水溶液塗布時の固形分塗布量(単位:mg/m2)を算出する。この固形分塗布量は、塗布面積1m2あたりに何mgの固形分が塗られているかを示す値である。
【0033】
(3)Ra値
磁気記録媒体用フィルムの表面粗さRa値は、原子間力顕微鏡(走査型プローブ顕微鏡)を用いて測定した。セイコーインスツルメント社製の走査型プローブ顕微鏡(SPI3800シリーズ)を用い、ダイナミックフォースモードでフィルムの表面を30μm角の範囲で原子間力顕微鏡計測走査を行い、得られる表面のプロファイル曲線よりJIS・B0601・Raに相当する算術平均粗さより求めた。面内方向の拡大倍率は1万〜5万倍、高さ方向の拡大倍率は100万倍程度とした。
【0034】
(5)磁気テープ(DVCテープ)の特性評価(DO個数)
市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダー(DVCビデオカメラ)を用いて静かな室内でDVCテープ上に録画し、1分間の再生をして画面にあらわれたブロック状のモザイク個数(ドロップアウト(DO)個数)を数えることによって、作成した磁気テープの特性を評価した。
【0035】
DO個数は常温(25℃)でテープ製造後の初期特性を最初に調べた。次にテープの走行を100回くり返した後のDO個数を測定し磁気テープの走行耐久性を評価した。
【0036】
次に実施例に基づき、本発明を説明する。
【0037】
[実施例1]
実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートに平均粒径60nmのシリカを0.03重量%含有させた原料Aと同一のポリエチレンテレフタレートに平均粒径300nmのケイ酸アルミニウムを0.20重量%含有させた原料Bとを厚み比5:1の割合で共押出し、冷却ドラムに密着させシート化し、ロール延伸法で110℃で3.0倍に縦延伸した。
【0038】
縦延伸の後の工程で、片側表面Aの外側に下記組成の水溶液を塗布濃度(固形分塗布量)30mg/m2となるように塗布した。
【0039】
塗布方式としてはメタリングバー方式を用いた。塗布速度は100m/分とした。メタリングバーには直径15mmのものを用いた。
【0040】
その後、ステンターにて横方向に102℃で4.0倍に延伸し、215℃で熱処理し中間スプールに巻き、スリッターで小幅にスリットし、円筒コアーにロール状に巻取り、厚さ6.3μmのロール状ポリエステルフィルムを得た。
【0041】
このポリエステルフィルムの表面Aに真空蒸着によりコバルト−酸素薄膜を各80nmの膜厚で2層に形成した。次にコバルト−酸素薄膜層上に、スパッタリング法によりダイヤモンド状カーボン膜を10nmの厚さで形成させ、フッ素含有脂肪酸エステル系潤滑剤を5nmの厚さで塗布した。続いてカーボンブラック、ポリウレタン、シリコーンからなるバックコート層を表面B側に490nmの厚さで設け、スリッターにより幅6.35mmにスリットし、リールに巻き取り、ミニDVC用カセットに組み込み、DVCテープを作成した。
【0042】
ポリエステルフィルム製造条件及びDVCテープの特性を表1に示す。なお、ポリエステルフィルムのA面のRa値は2.8nm、B面のRa値は22nmであった。
【0043】
[実施例2]
実施例1のベースフィルム製造において、原料Aより平均粒径60nmのシリカを除いたこと以外は実施例1と同様にして幅6.35mmのDVCテープを作成した。ポリエステルフィルム製造方法及びDVCテープの特性を表1に示す。なお、ポリエステルフィルムのA面のRa値は2.2nm、B面のRa値は17nmあった。
【0044】
[実施例3]
実施例2のベースフィルム製造において、ポリエチレンテレフタレートをポリエチレン−2,6−ナフタレートと変更し、原料B内のケイ酸アルミニウムの含有量を1.1重量%と変更し、縦延伸温度、倍率を135℃で5.0倍と変更し、水溶液塗布時の固形分塗布量を45mg/m2と変更し、横延伸温度、倍率を135℃、6.5倍と変更し、200℃で熱処理に変更し、その他は実施例2と同様にして、厚さ4.2μmのポリエステルフィルムのロールを作成した。その他は実施例1と同様にして幅6.35mmのDVCテープを作成した。ポリエステルフィルム製造条件及びDVCテープの特性を表1に示す。なお、ポリエステルフィルムのA面のRa値は2.1nm、B面のRa値は21nmであった。
【0045】
[実施例4]
実施例1のベースフィルム製造において、塗布水溶液中のアミノ変性シリコーンの濃度を0.1重量%としたこと以外は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエステルフィルムを得、幅6.35mmのDVCテープを作成した。ポリエステルフィルム製造条件及びDVCテープの特性を表1に示す。なお、ポリエステルフィルムのA面のRa値は2.8nm、B面のRa値は22nmであった。
【0046】
[実施例5]
実施例1のベースフィルム製造において、メタリングバーの直径を10mmに変え、塗布速度を130m/分と変更した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエステルフィルムを得、幅6.35mmのDVCテープを作成した。ポリエステルフィルム製造条件及びDVCテープの特性を表1に示す。なお、ポリエステルフィルムのA面のRa値は2.7nm、B面のRa値は22nmであった。
【0047】
[実施例6]
実施例1のベースフィルム製造において、メタリングバーの直径を5mmと変更した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエステルフィルムを得、幅6.35mmのDVCテープを作成した。ポリエステルフィルム製造条件及びDVCテープの特性を表1に示す。メタリングバーがたわみがちであり塗布液の塗りむらが起こりがちであった。なお、ポリエステルフィルムのA面のRa値は4.5nm、B面のRa値は18nmであった。
【0048】
[比較例1]
実施例1のベースフィルム製造において、水溶液のシリカの平均粒径を4nmと変更した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエステルフィルムを得、幅6.35mmのDVCテープを作成した。ポリエステルフィルム製造条件及びDVCテープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのA面のRa値は1.8nm、B面のRa値は18nmであった。
【0049】
[比較例2]
実施例1のベースフィルム製造において、水溶液のシリカの平均粒径を60nmと変更した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエステルフィルムを得、幅6.35mmのDVCテープを作成した。ポリエステルフィルム製造条件及びDVCテープの特性を表1に示す。なお、ポリエステルフィルムのA面のRa値は6.2nm、B面のRa値は23nmであった。
【0050】
[比較例3]
実施例1のベースフィルム製造において、水溶液塗布時の塗布濃度(固形分塗布量)を2mg/m2と変更した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエステルフィルムを得、幅6.35mmのDVCテープを作成した。ポリエステルフィルム製造条件及び磁気記DVCテープの特性を表1に示す。なお、ポリエステルフィルムのA面のRa値は1.3nm、B面のRa値は23nmであった。
【0051】
[比較例4]
実施例1のベースフィルム製造において、水溶液塗布時の塗布濃度(固形分塗布量)を1500mg/m2とした。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエステルフィルムを得、幅6.35mmのDVCテープを作成した。ポリエステルフィルム製造条件及びDVCテープの特性を表1に示す。なお、ポリエステルフィルムのA面のRa値は6.3nm、B面のRa値は17nmであった。
【0052】
[比較例5]
実施例1のベースフィルム製造において、塗布水溶液中にアミノ変性シリコーンを添加しなかった。他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエステルフィルムを得、幅6.35mmのDVCテープを作成した。ポリエステルフィルム製造条件及びDVCテープの特性を表1に示す。なお、ポリエステルフィルムのA面のRa値は5.1nm、B面のRa値は17nmであった。
【0053】
[比較例6]
実施例1のベースフィルム製造において、メタリングバーの直径を20mmと変更した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエステルフィルムを得、幅6.35mmのDVCテープを作成した。得られたポリエステルフィルムにはメタリングバー部より入った塗布スジが多かった。ポリエステルフィルムの製造方法及びDVCテープの特性を表1に示す。なお、ポリエステルフィルムのA面のRa値は5.3nm、B面のRa値は18nmであった。
【0054】
[比較例7]
実施例1のベースフィルム製造において、塗布速度を130m/分と変更した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエステルフィルムを得、幅6.35mmのDVCテープを作成した。得られたポリエステルフィルムにはメタリングバー部より入った塗布スジが多かった。ポリエステルフィルムの製造方法及びDVCテープの特性を表1に示す。なお、ポリエステルフィルムのA面のRa値は5.8nm、B面のRa値は18nmであった。
【0055】
【0056】
表1に示すデータテープ特性から明らかな様に、本発明法により製造されたポリエステルフィルムを用いてなるDVCテープは、DOが少なくDVCテープとして優れたものであった。
【0057】
【発明の効果】
本発明法によると、DOの少ないDVCテープを製造するために好適な磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを、高速度で生産性よく製造することができる。
Claims (4)
- 溶融押出され、冷却され、一方向に延伸されたポリエステルフイルムの表面Aに、水溶性高分子と平均粒径5〜50nmの微細粒子とシリコーンとを主成分として含有する水溶液を、固形分塗布量3〜1000mg/m2で塗布した後、乾燥した後あるいは乾燥させながら、上記延伸方向と直角の方向に延伸した後に、熱処理を行うことにより、表面A側が強磁性金属薄膜形成面である磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを製造する方法であって、前記水溶液の塗布方式がメタリングバーを用いる方法であり、かつ、メタリングバーの直径D(mm)及び、塗布速度LS(m/分)が、D×LS≦1500を満足する条件をとることを特徴とする磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法。
- ポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2、6−ナフタレートである請求項1記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法。
- 磁気記録媒体がデジタル記録方式の磁気記録テープである請求項1〜2のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法。
- 磁気記録媒体が、前記ポリエステルフィルムの表面A側の塗布皮膜上に強磁性金属薄膜層を設けてなる磁気記録テープである請求項1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法。
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