JP2003091810A - 磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法

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JP2003091810A
JP2003091810A JP2001286400A JP2001286400A JP2003091810A JP 2003091810 A JP2003091810 A JP 2003091810A JP 2001286400 A JP2001286400 A JP 2001286400A JP 2001286400 A JP2001286400 A JP 2001286400A JP 2003091810 A JP2003091810 A JP 2003091810A
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aqueous solution
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polyester film
recording medium
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Masahito Okuno
将人 奥野
Kazuyoshi Fukada
一吉 深田
Masaaki Ono
雅章 小野
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 DOの少ない高品質DVC用テープをフィル
ム製造のロット内やロット間の差なく安定的に製造でき
る磁気記録媒体用ポリエステルフィルム製造方法を提供
する。 【解決手段】 一方向延伸フイルムの表面に、水溶性高
分子と微細粒子とシリコーンを主成分として含有する水
溶液を塗布した後、乾燥、延伸、熱処理し、磁気記録媒
体用ポリエステルフィルムを製造する方法において、メ
タリングバーのフィルム接触表面部分のRaの幅方向平
均値が2.0〜8.0μm、幅方向の最大・最小差が
0.4μm以下であるメタリングバーを用いて前記水溶
液を塗布する。さらに、メタリングバー交換や前記水溶
液濃度変更時に、メタリングバーのフィルム接触表面部
分Raの幅方向平均値と前記水溶液濃度との積の変化割
合が±5%の範囲内となるようにそれら値を管理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体用ポ
リエステルフィルム、特にデジタルビデオカセット(D
VC)テープ、データストレージテープ用等のデジタル
データを大量に記録する強磁性金属薄膜型磁気記録媒体
を高品質で製造するために好適な磁気記録媒体用ポリエ
ステルフィルムを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】1995年に実用化された民生用デジタ
ルビデオテープは、厚さ6〜7μmのベースフィルム上
にCoの金属磁性薄膜を真空蒸着により設け、その表面
にダイヤモンド状カーボン膜をコーティングしてなり、
デジタルビデオミニカセットを使用したカメラ一体型ビ
デオの場合には基本仕様(SD仕様)で1時間の録画時
間をもつ。
【0003】このデジタルビデオカセット(DVC)
は、家庭用で世界で初のデジタルビデオカセットであ
り、a.小型ボディながら、膨大な情報が記録できる、
b.信号が劣化しないから、何年たっても画質・音質が
劣化しない、c.雑音の妨害を受けないから高画質・高
音質が楽しめる、d.ダビングを繰り返しても映像が劣
化しない、等のメリットを持ち、市場の評価は高い。
【0004】そのベースフィルムの製造方法としては、
特公平3−80410号公報に示されるごとく、一方向
に延伸されたポリエステルフィルムの金属磁性薄膜を形
成させる側の面に水溶性高分子と平均径5nm以上の微
細粒子を主成分として含有する水溶液を塗布し、乾燥
後、上記延伸方向と直角の方向に延伸し、熱処理を施
し、皮膜を形成せしめる等の製造方法が用いられてい
る。
【0005】その際の水溶液の塗布方式としては、ロッ
ドにワイヤーが巻かれたメタリングバー(メイヤーバー
とも呼ばれる)を用いて塗布する方式が一般的である。
ところが、ベースフィルムへの固形分塗布量が同一製造
ロット内で、また、製造ロット間でばらつき易く、結果
としてフィルム表面上の表面粗さにばらつきが生じ、そ
のベースフィルムから製造されるDVCテープの品質、
特にドロップアウト(DO)特性にばらつきが生じがち
であるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、DV
Cテープ用ベースフィルムの表面粗さのばらつきを同一
製造ロット内や製造ロット間において小さくすることが
でき、高品質のDVCテープを安定的に製造できる磁気
記録媒体用ポリエステルフィルムを製造する方法の提供
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの
製造方法は、溶融押出され、冷却され、一方向に延伸さ
れたポリエステルフイルムの表面Aに、水溶性高分子と
平均粒径5〜50nmの微細粒子とシリコーンとを主成
分として含有する水溶液を、固形分塗布量3〜1000
mg/m2 で塗布した後、乾燥した後あるいは乾燥させ
ながら、上記延伸方向と直角の方向に延伸した後に、熱
処理を行うことにより表面A側が強磁性金属薄膜形成面
である磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを製造する
方法において、前記水溶液をメタリングバーを用いる塗
布方式により所定の固形分塗布量で塗布する際、メタリ
ングバーのフィルム接触表面部分のRaの幅方向平均値
が2.0〜8.0μm、幅方向の最大と最小の差が0.
4μm以下であるメタリングバーを用い、かつ、メタリ
ングバーの交換及び/又は前記水溶液の濃度変更時に、
メタリングバーのフィルム接触表面部分のRaの幅方向
平均値(Raxbar)と前記水溶液の濃度(LC%)との
積の値の変化割合が±5%の範囲内となるように、前記
水溶液の濃度及び/又はメタリングバーのフィルム接触
表面部分のRaの幅方向平均値を管理することを特徴と
するものである。
【0008】このような製造条件をとることによって、
微細粒子を含有する水溶液の固形分塗布量を同一製造ロ
ット内で、また製造ロット間で均一化することができ、
そして、DVCテープ用ベースフィルムの表面粗さ、表
面突起個数に関する同一製造ロット内や製造ロット間で
のばらつきを小さく抑えることができるのである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明におけるポリエステルは、
分子配向により高強度フィルムとなるポリエステルであ
ればよいが、その中でもポリエチレンテレフタレートま
たはポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。
ここでいうポリエチレンテレフタレートまたはポリエチ
レン−2,6−ナフタレートとは、その構成成分の80
%以上がエチレンテレフタレート、またはエチレンナフ
タレートであるものである。エチレンテレフタレート、
エチレンナフタレート以外のポリエステル共重合体成分
としては、例えばジエチレングリコール、プロピレング
リコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリ
コール、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘ
キサンジメタノールなどのジオール成分、アジピン酸、
セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウム
スルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリ
ット酸、ピロメリット酸などの多官能ジカルボン酸成
分、p−オキシエトキシ安息香酸などが挙げられる。
【0010】さらに、上記のポリエステルには、他にポ
リエステルと非反応性のスルホン酸のアルカリ金属塩誘
導体、該ポリエステルに実質的に不溶なポリアルキレン
グリコールなどの少なくとも一つを5重量%を越えない
程度で混合していてもよい。
【0011】本発明法において、水溶性高分子と微細粒
子とを主成分として含有する水溶液は、溶融押出され冷
却され一方向に延伸された段階のポリエステルフィルム
に対し塗布されるが、このポリエステルフィルムは、ポ
リエステルを溶融してシートまたは円筒状に押出して冷
却し、これを一方向に延伸した時点のフィルムであり、
その延伸方向は通常縦方向である。その延伸倍率は2倍
以上が好ましく、その上限は特に規定されないが約6倍
が好ましい。
【0012】この水溶液で用いる水溶性高分子は、ポリ
ビニルアルコール、トラガントゴム、カゼイン、ゼラチ
ン、セルロース誘導体、水溶性ポリエステル、ポリウレ
タン等の有極性高分子、およびこれらのブレンド体が使
用できるが、これらに限定されない。
【0013】この水溶液で用いる微細粒子は、平均粒径
が5〜50nm、より好ましくは8〜30nmの微細粒
子であり、粒子種としてはシリカ、炭酸カルシウム、ア
ルミナのような無機化合物の粒子、ポリアクリル酸球、
ポリスチレン球等の有機化合物の粒子、シリカ、アルミ
ナ、炭酸カルシウム等の無機粒子を核として有機高分子
で被覆した粒子等が使用できるが、これらに限定されな
い。
【0014】微細粒子の平均粒径が5nm未満である
と、本発明法により製造されるポリエステルフィルムの
表面A上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜層
の表面が平滑になりすぎて、DVCカメラ内の記録、再
生時に磁気ヘッドにより強磁性金属薄膜層が磨耗してし
まうので適していない。微細粒子の平均粒径が50nm
を超えると、表面A上に形成される強磁性金属薄膜層が
粗面すぎて、磁気記録テープの出力特性が低下するので
適していない。
【0015】水溶液中に含まれる微細粒子の量は、固形
分に対し、0.5〜12.0重量%、さらに0.6〜1
0.0重量%が好ましく、水溶性高分子と微細粒子とを
主成分として含有する水溶液は固形分塗布量3〜100
0mg/m2の範囲で塗布される。その塗布面は、強磁
性金属膜が形成される側の表面Aであり、この表面A
は、ポリエステルフイルム含有粒子を可能な限り除いた
ポリエステルからなることが好ましい。
【0016】表面A側に塗布された上記水溶液の塗布量
が固形分塗布量で3mg/m2未満であると、本発明法
により製造されるポリエステルフィルムの表面A上に真
空蒸着により形成される強磁性金属薄膜層が、DVCカ
メラ内の多数回にわたる繰返し記録、再生において耐久
性不良となるので適していない。塗布量が固形分塗布量
で1000mg/m2を超えると、表面A上に形成され
る強磁性金属薄膜層が粗面化しDVCテープのDOが極
めて増大するので適していない。
【0017】水溶性高分子と微細粒子とを主成分として
含有する水溶液はフィルム表面Aに塗布されるが、この
塗布は、一般に、所望の表面塗布量の数倍量に相当する
量の液を一旦付着させた後、ロッドに一定径のワイヤー
が巻かれたメタリングバーにより、余分の液量をかきお
とすことにより、フィルム表面Aの塗布液量を所望量に
するという定量的塗布方法により行われる。
【0018】塗布水溶液中にはシリコーン化合物が0.
001〜0.1重量%、さらには0.001〜0.05
重量%含有されることが好ましい。シリコーン化合物の
含有により、塗布中にメタリングバー部より生じる塗布
スジが発生しなくなるので好ましい。塗布スジが存在す
るとそこでは微細突起個数が多くなりがちであって、表
面粗さが大きくなりがちであり、好ましくない。シリコ
ーン化合物としては、主鎖がSi−Oの結合で高分子と
なっておれば特に限定されないが、ポリジメチルシロキ
サン、メチルハイドロジエンポリシロキサン、ポリメチ
ルフェニルシロキサン、環状ジメチルシロキサン、ポリ
エーテル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アミ
ノ変性シリコーン等が使用できるがこれらに限定されな
い。シリコーン化合物の含有率が0.001重量%未満
であると、メタリングバー部より塗布スジの発生が多く
なりがちであり好ましくない。塗布スジが存在すると被
覆層の厚みむらができやすくなり、微細表面突起個数の
ばらつきが大きくなりがちとなり好ましくない。シリコ
ーン化合物の含有率が0.1重量%を越えると、被膜の
強磁性金属蒸着膜との接着性が不良となり好ましくな
い。
【0019】上記水溶液の塗布に用いるメタリングバー
は、ロッドに一定径のワイヤーが巻かれた棒状の物であ
り、その表面のポリエステルフィルムと接触する部分
(フィルム接触表面部分という)の表面粗さRaは、メ
タリングバーの幅方向の平均値(Raxbar)が2.0〜
8.0μm、より好ましくは3.0〜6.0μmであ
り、さらに、幅方向の最大と最小の差(R)が0.4μ
m、より好ましくは0.3μmである。メタリングバー
のフィルム接触表面部分のRaの平均値(Raxbar)が
2.0μmを下回ると塗布液の固形分塗布量を3mg/
2以上とすることが難しい。その場合でも塗布液濃度
をかなり上げること等によって強制的に塗布量を増やす
ことができるが、塗布時にメタリングバーより塗布すじ
が多量に発生し、塗布面の表面粗さのばらつきが大きく
なる。メタリングバーのフィルム接触表面部分のRaの
平均値(Raxbar)が8.0μmを越えると塗布液の固
形分塗布量が1000mg/m2を上回りがちとなる。
その場合でも、塗布液濃度を下げること等によって強制
的に塗布量を減少させることができるが、やはり塗布時
にメタリングバーより塗布すじが多量に発生し、塗布面
の表面粗さのばらつきが大きくなる。Raのメタリング
バーの幅方向の最大と最小の差(R)が0.4μmを上
回ると塗布液の幅方向の塗布量が異なってきて、同一製
造ロット内でのフィルム幅方向の表面粗さのばらつきが
大きくなる。
【0020】また、メタリングバーを交換する時、及び
/又は塗布水溶液の濃度を変更する時には、メタリング
バーのフィルム接触表面部分のRaの幅方向平均値(R
axbar)と前記水溶液の濃度(LC%)との積の値の変
化割合が±5%の範囲内となるように、好ましくは±3
%の範囲内となるように、交換・変更後の塗布水溶液の
濃度及び/又はメタリングバーのフィルム接触表面部分
のRaの幅方向平均値を管理する。これにより、メタリ
ングバー交換の前後、また、塗布水溶液の濃度変更の前
後における、固形分塗布量ばらつきを小さく抑えること
ができ、フィルム表面における表面粗さのばらつきを抑
制することが可能となる。即ち、ポリエステルフィルム
上に付着した固形分の塗布量の水準は、メタリングバー
が交換され、また塗布水溶液の濃度が変更されると変動
し易いが、RaxbarとLCとの積の値の変動幅を±5%
の範囲内に抑えるように管理することにより、固形分付
着量の水準のばらつきを抑制できる。例えば、メタリン
グバーの交換によってRaxbarの値が大きくなる場合に
は、RaxbarとLCとの積の変動幅がなるべく小さくな
るように、LCの値をより低く調整すればよい。このよ
うにRaxbarとLCとの積の値の変動幅が小さくなるよ
うに管理しない場合、固形分塗布量の水準は、メタリン
グバーのRa値のばらつきや塗布液濃度のばらつきによ
る直接的な影響を受けて、固形分塗布量の製造ロット間
ばらつきが大きくなり易い。固形分塗布量が変動すると
微細粒子により発現される表面被膜上の微細突起個数の
変動が顕著になり好ましくない。
【0021】上記水溶液の塗布の後に乾燥されるが、そ
の乾燥の後あるいは乾燥させながら、先の延伸方向と直
角の方向へ延伸される。その後さらに必要であれば再延
伸される。その直角方向への延伸は、通常横方向への延
伸であり、好ましくは90〜145℃で3.0〜7.5
倍で行われる。更に必要に応じて行われる再延伸は、1
00〜150℃で1.1〜3.0倍の縦方向延伸で行う
ことが好ましい。この後、190〜220℃の温度で熱
処理が行われる。次に、130〜190℃の温度で横方
向へ0.2〜2.5%程度で弛緩処理することが、フィ
ルム幅を縮めるために好ましい。なおフィルム横方向の
強度が更に大きいことが必要であれば熱固定と同時に横
方向に1.1〜2.0倍の延伸を行うことが好ましい。
【0022】磁気記録テープの磁気ヘッドによる耐久性
を更に増すためには、ポリエステルフィルムの表面A側
を形成するポリエステルフィルム層A内に、平均粒径が
50〜150nm、より好ましくは55〜100nmの
微細粒子を0.01〜1.0重量%、より好ましくは
0.02〜0.8重量%を含ませてもよい。
【0023】層A用の原料と、積極的に微細粒子を含有
させた層B用の原料を用いて、A/B積層フィルムを押
出し、A層側の表面Aに前記微細粒子を含有させた水溶
性高分子を主体とする水溶液を塗布してもよい。層B内
に用いられる微細粒子としては炭酸カルシウム、シリ
カ、アルミナ、ポリスチレン等が例示される。この微細
粒子としては、平均粒子径が好ましくは100〜100
0nm、より好ましくは150〜900nmのものが用
いられ、添加量としては好ましくは0.05〜1.0重
量%、より好ましくは0.08〜0.8重量%である。
【0024】なおB層を用いずに、滑剤を含む塗液をポ
リエステルフィルムのA面とは反対側のB面側に塗布し
易滑処理をしてもよい。
【0025】製造される磁気記録媒体用ポリエステルフ
ィルムの表面AのRa値は、表面A上に真空蒸着により
形成される強磁性金属薄膜層が記録・再生時の磁気ヘッ
ドにより受ける磨耗を極力少なくし、および磁気テープ
の出力特性を良好に保つために2〜5nm、より好まし
くは2〜4nmである。Ra値が2nm未満であると、
表面A上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜の
表面が平滑すぎて、DVCカメラ内での記録、再生時に
磁気ヘッドにより磁気記録テープが磨耗してしまい好ま
しくない。Ra値が5nmを超えると、表面A上の強磁
性金属薄膜層が粗面すぎて、磁気記録テープの出力特性
が低下し好ましくない。
【0026】本発明法により製造されるポリエステルフ
ィルムの表面B(表面Aとは反対側の表面)のRa値
は、ポリエステルフィルムを製膜した後、所定の幅にス
リットする際に、巻姿の良い製品を採取しやすくし、ポ
リエステルフィルムの表面A上に強磁性薄膜を設けた後
に、ロール状の巻取りにより表面Bの粗さが表面A側に
転写し強磁性薄膜層にうねり状の変形が起きるのを最小
限にするために、8〜35nm、より好ましくは10〜
25nmが望ましい。
【0027】本発明法により製造されるポリエステルフ
ィルムの厚さは12.0μm以下が好ましく、さらに好
ましくは厚さ3.0〜10.0μmが望ましい。
【0028】本発明により得られるポリエステルフィル
ムの表面Bには、シリコーン等の潤滑剤が含まれたより
粗い被覆層が設けられるか、より大きな微細粒子を含有
するポリエステルフィルム層が積層されて形成される
が、あるいは更にその上に前記被覆層が設けることが好
ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0029】DVC用磁気記録テープを製造する際に
は、本発明法によるポリエステルフィルムの表面A上に
真空蒸着により強磁性金属薄膜層を設けるが、使用する
金属薄膜は公知のものを使用でき、特に限定されない
が、鉄、コバルト、ニッケル、またはそれらの合金の強
磁性体からなるものが好ましい。金属薄膜層の厚さは2
0〜300nmが好ましい。金属薄膜層上には10nm
程度の厚みのダイヤモンド状カーボン膜がコーティング
され、更にその上に潤滑剤処理されることが好ましい。
さらに表面B上には、固体微粒子および結合剤からなり
必要に応じて各種添加剤を加えた溶液を塗布することに
より形成されるバックコート層を設けることが好まし
く、固体微粒子、結合剤、添加剤は公知のものを使用で
き、特に限定されない。バックコート層の厚さは0.3
〜1.5μm程度である。
【0030】
【実施例】本実施例で用いた測定法を下記に示す。
【0031】(1)微細粒子の平均粒径(d) 電子顕微鏡(電顕)試験台上に微細粒子粉体を、この粒
子ができるだけ重ならないように散在せしめ、電顕(好
ましくは透過型電子顕微鏡)により倍率100万倍程度
で観測し、少なくとも100個の粒子について面積円相
当径を求め、この数平均値をもって粒径とした。
【0032】なお、この粒径をフィルムから求める場合
には下記のa)手法等により求められる。
【0033】a)フィルムA面に金スパッター装置によ
り金薄膜蒸着層を厚み20〜30nm(χnm)で設
け、電子顕微鏡(好ましくは走査型電子顕微鏡)により
倍率10万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子
について面積円相当径を求め、この数平均値より2χn
mを減じた値をもって粒径とする。
【0034】(2)水溶液塗布時の固形分塗布量(単
位:mg/m2) 本発明法によりフィルムの表面Aに水溶液を塗布する
際、一定時間の塗液により消費される水溶液の量を求め
る。その一定時間内に水溶液が塗布された面積を、塗布
幅とフィルム速度と塗布時間とから算出し、塗布時の水
溶液消費量を塗布面積で除し、さらに、塗布した水溶液
中の固形分割合より、水溶液塗布時の固形分塗布量(単
位:mg/m2)を算出する。この固形分塗布量は、塗
布面積1m2あたりに何mgの固形分が塗られているか
を示す値である。
【0035】(3)メタリングバーのフィルム接触表面
部分のRa値 触針式表面粗さ測定器を用いて、メタリングバーのフィ
ルム接触表面部分の表面粗さRaを、メタリングバーの
幅方向に均等に5等分した各箇所についてそれぞれ5点
を測定し、その平均値をもってその箇所のRa値とし
た。
【0036】測定器としては“ホンメルテスター T−
1000C”G型を用い、下記測定条件を用いた。
【0037】触針半径 :2.5μm 測定長 :1.25mm カットオフ :0.25mm トレース速度:0.15mm/秒 メタリングバーの各5箇所のRa値について、その平均
値(Raxbar)と幅方向のRaの最大と最小の差(R)
を計算し、メタリングバーのフィルム接触表面部分のR
a値特性とした。
【0038】(4)フィルム表面のRa値 磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの表面粗さRa値
は、原子間力顕微鏡(走査型プローブ顕微鏡)を用いて
測定した。セイコーインスツルメント社製の走査型プロ
ーブ顕微鏡(SPI3800シリーズ)を用い、ダイナ
ミックフォースモードでフィルムの表面を30μm角の
範囲で原子間力顕微鏡計測走査を行い、得られる表面の
プロファイル曲線よりJIS・B0601・Raに相当
する算術平均粗さより求めた。面内方向の拡大倍率は1
万〜5万倍、高さ方向の拡大倍率は100万倍程度とし
た。
【0039】(5)磁気テープ(DVCテープ)の特性
評価(DO個数) 市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダー
(DVCビデオカメラ)を用いて静かな室内でDVCテ
ープ上に録画し、1分間の再生をして画面にあらわれた
ブロック状のモザイク個数(ドロップアウト(DO)個
数)を数えることによって、作成した磁気テープの特性
を評価した。
【0040】DO個数は常温(25℃)でテープ製造後
の初期特性を最初に調べた。次にテープの走行を100
回くり返した後のDO個数を測定し磁気テープの走行耐
久性を評価した。
【0041】次に実施例に基づき、本発明を説明する。
【0042】[実施例1]実質的に不活性粒子を含有し
ないポリエチレンテレフタレートに平均粒径60nmの
シリカを0.05重量%含有させた原料Aと同一のポリ
エチレンテレフタレートに平均粒径300nmのケイ酸
アルミニウムを0.30重量%含有させた原料Bとを厚
み比5:1の割合で共押出し、冷却ドラムに密着させシ
ート化し、ロール延伸法で110℃で3.0倍に縦延伸
した。
【0043】縦延伸の後の工程で、片側表面Aの外側に
下記組成の水溶液(濃度(LC)0.460重量%)を
固形分塗布量(SC)が25mg/m2となる量で塗布
した。その塗布方式としてはメタリングバー方式を用い
た。用いたメタリングバーのフィルム接触表面部分のR
aは、平均値(Raxbar)が4.7μm、幅方向の最大
値と最小値の差(R)が0.2μmであった。
【0044】 A面外側への塗布水溶液: メチルセルロース 0.110重量% 水溶性ポリエステル(=テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフ タル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体) 0.338重量% アミノ変性シリコーン 0.002重量% 平均粒径18nmの極微細シリカ 0.010重量% その後、ステンターにて横方向に102℃で4.0倍に
延伸し、215℃で熱処理し製膜機幅のジャンボロール
(中間スプール)状に一旦巻取った後、スリッターで6
00mm幅にスリットし、円筒コアーにロール状に巻取
り、厚さ6.3μmのロール状ポリエステルフィルムを
20本作成した。
【0045】得られた20本のロール状フィルム製品か
ら、製膜時の長手方向、幅方向の位置が異なるものをラ
ンダムに5本抜き取り、フィルム特性を調べた。さら
に、その5本のフィルム製品からのポリエステルフィル
ムの表面A(上記水溶液の塗布面側)に、真空蒸着によ
りコバルト−酸素薄膜を各80nmの膜厚で2層に形成
した。次にコバルト−酸素薄膜層上に、スパッタリング
法によりダイヤモンド状カーボン膜を10nmの厚さで
形成させ、フッ素含有脂肪酸エステル系潤滑剤を5nm
の厚さで塗布した。続いてカーボンブラック、ポリウレ
タン、シリコーンからなるバックコート層を表面B側に
490nmの厚さで設け、スリッターにより幅6.35
mmにスリットし、リールに巻き取り、ミニDVC用カ
セットに組み込み、DVCテープを作成した。
【0046】1か月後に、上記ポリエステルフィルムの
製造において、使用するメタリングバーを交換した。交
換後のメタリングバーのフィルム接触表面部分のRa
は、平均値(Raxbar)が4.5μm、幅方向の最大値
と最小値の差(R)が0.2μmであった。その他はそ
れ以前の実施条件と同様にして厚さ6.3μmのポリエ
ステルフィルムを製造し、5本のロール状フィルム製品
より幅6.35mmのDVCテープを作成した。
【0047】1か月おいた2回の生産で得られたポリエ
ステルフィルムの特性、その製造条件及びそのポリエス
テルフィルムをベースフィルムとして得られたDVCテ
ープの特性を、それぞれ表2、1、3に示す。得られた
フィルムは、同一製造ロット内でもロット間でもフィル
ムA面のRaばらつきが小さく、磁気特性の優れたDV
Cテープが得られた。
【0048】[実施例2]実施例1のベースフィルム製
造において、1か月後のポリエステルフィルム製造のメ
タリングバー及び塗布水溶液の条件を次のとおり変更し
た。
【0049】交換後のメタリングバーとして、フィルム
接触表面部分のRaの平均値(Raxbar)が4.0μ
m、幅方向の最大値と最小値の差(R)が0.2μmの
ものを用いた。このメタリングバーの表面のRa値の変
化を補うために、塗布水溶液の濃度が0.550重量%
の下記組成の水溶液に変更した。その他はそれ以前の実
施条件と同様にして厚さ6.3μmのポリエステルフィ
ルムを製造し、5本のロール状フィルム製品より幅6.
35mmのDVCテープを作成した。
【0050】 A面外側への塗布水溶液の組成: メチルセルロース 0.130重量% 水溶性ポリエステル(=テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフ タル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体) 0.406重量% アミノ変性シリコーン 0.002重量% 平均粒径18nmの極微細シリカ 0.012重量% 1か月おいた2回の生産で得られたポリエステルフィル
ムの特性、その製造条件及びそのポリエステルフィルム
をベースフィルムとして得られたDVCテープの特性
を、それぞれ表2、1、3に示す。得られたフィルム
は、同一製造ロット内でもロット間でもフィルムA面の
Raばらつきが小さく、磁気特性の優れたDVCテープ
が得られた。
【0051】[実施例3]実施例1のベースフィルム製
造において、原料Aとしてポリエチレン−2,6−ナフ
タレートのみを用い、原料Bとしてケイ酸アルミニウム
の含有量を1.2重量%と変更したポリエチレンテレフ
タレートを用いた以外は実施例1と同様にして未延伸シ
ートを製造し、次いで、縦延伸の温度、倍率を135
℃、5.0倍と変更し、さらに、水溶液塗布時の固形分
塗布量(SC)を41mg/m2と、A面外側への塗布
水溶液の組成を次のとおりと、塗布水溶液の濃度(L
C)を0.753重量%と変更して、縦延伸及び水溶液
塗布を行った。
【0052】 A面外側への塗布水溶液: メチルセルロース 0.180重量% 水溶性ポリエステル(=テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフ タル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体) 0.554重量% アミノ変性シリコーン 0.003重量% 平均粒径18nmの極微細シリカ 0.016重量% その後、横延伸温度、倍率を135℃、6.5倍と変更
し、200℃での熱処理に変更し、その他は実施例1と
同様にして、厚さ4.2μmのポリエステルフィルムロ
ールを製造した。その後、実施例1と同様にして、5本
のロール状フィルム製品より幅6.35mmのDVCテ
ープを作成した。
【0053】1か月後に、上記ポリエステルフィルムの
製造において、塗布水溶液の濃度(LC)を0.783
重量%に変更した。その他はそれ以前の実施条件と同様
にして厚さ4.2μmのポリエステルフィルムを製造
し、5本のロール状フィルム製品より幅6.35mmの
DVCテープを作成した。
【0054】1か月おいた2回の生産で得られたポリエ
ステルフィルムの特性、その製造条件及びそのポリエス
テルフィルムをベースフィルムとして得られたDVCテ
ープの特性を、それぞれ表2、1、3に示す。得られた
フィルムは、同一製造ロット内でもロット間でもフィル
ムA面のRaばらつきが小さく、磁気特性の優れたDV
Cテープが得られた。
【0055】[実施例4]実施例1のベースフィルム製
造において、塗布水溶液中のアミノ変性シリコーンの量
を0.15重量%、塗布水溶液の濃度(LC)を0.6
08重量%と変更した。さらに、フィルム接触表面部分
のRaの平均値が3.6μm、最大と最小の差が0.3
μmであるメタリングバーを用い、他は実施例1と同様
にして厚さ6.3μmのポリエステルフィルムを製造
し、5本のロール状フィルム製品より幅6.35mmの
DVCテープを作成した。
【0056】1か月後に、上記ポリエステルフィルムの
製造において、使用するメタリングバーを交換した。交
換後のメタリングバーのフィルム接触表面部分のRa
は、平均値(Raxbar)が3.5μm、幅方向の最大値
と最小値の差(R)が0.1μmであった。このメタリ
ングバーの表面のRa値の変化を補うために、塗布水溶
液の濃度を0.610重量%に変更した。その他はそれ
以前の実施条件と同様にして厚さ6.3μmのポリエス
テルフィルムを製造し、5本のロール状フィルム製品よ
り幅6.35mmのDVCテープを作成した。
【0057】1か月おいた2回の生産で得られたポリエ
ステルフィルムの特性、その製造条件及びそのポリエス
テルフィルムをベースフィルムとして得られたDVCテ
ープの特性を、それぞれ表2、1、3に示す。得られた
フィルムは、同一製造ロット内でもロット間でもフィル
ムA面のRaばらつきが小さかったものの、塗布水溶液
中のシリコーン含有濃度が高いので、DVCテープの磁
気特性はやや不十分であった。
【0058】[比較例1]実施例1のベースフィルム製
造において、水溶液のシリカの平均粒径を4nmと変更
した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの
ポリエステルフィルムを製造し、幅6.35mmのDV
Cテープを作成した。得られたポリエステルフィルムの
特性、製造条件及びそれから得られたDVCテープの特
性は、それぞれ表2、1、3に示す。磁気特性の耐久性
に劣るDVCテープとなり、磁気記録媒体用に適さない
フィルムであった。
【0059】[比較例2]実施例1のベースフィルム製
造において、水溶液のシリカの平均粒径を60nmと変
更した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μm
のポリエステルフィルムを製造し、幅6.35mmのD
VCテープを作成した。得られたポリエステルフィルム
の特性、製造条件及びそれから得られたDVCテープの
特性は、それぞれ表2、1、3に示す。磁気特性の劣る
DVCテープとなり、磁気記録媒体用に適さないフィル
ムであった。
【0060】[比較例3]実施例1のベースフィルム製
造において、水溶液塗布時の固形分塗布量を2mg/m
2と変更するために、メタリングバーを、フィルム接触
表面部分のRaの平均値が2.1μmのものに変更し、
A面外側への塗布水溶液の組成を次のとおりと変更し、
さらに塗布水溶液の濃度(LC)を0.083重量%と
変更した。
【0061】 A面外側への塗布水溶液の組成: メチルセルロース 0.019重量% 水溶性ポリエステル(=テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフ タル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体) 0.061重量% アミノ変性シリコーン 0.001重量% 平均粒径18nmの極微細シリカ 0.002重量% その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエ
ステルフィルムを製造し、幅6.35mmのDVCテー
プを作成した。得られたポリエステルフィルムの特性、
製造条件及びそれから得られたDVCテープの特性は、
それぞれ表2、1、3に示す。磁気特性の耐久性に劣る
DVCテープとなり、磁気記録媒体用に適さないフィル
ムであった。
【0062】[比較例4]実施例1のベースフィルム製
造において、水溶液塗布時の固形分塗布量を1500m
g/m2と変更するために、メタリングバーを、フィル
ム接触表面部分のRaの平均値が7.5μmのものに変
更し、A面外側への塗布水溶液の組成を次のとおりと変
更し、さらに塗布水溶液の濃度(LC)を17. 5重量
%と変更した。
【0063】 A面外側への塗布水溶液の組成: メチルセルロース 4.18 重量% 水溶性ポリエステル(=テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフ タル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体) 12.84 重量% アミノ変性シリコーン 0.076重量% 平均粒径18nmの極微細シリカ 0.38 重量% その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエ
ステルフィルムを製造し、幅6.35mmのDVCテー
プを作成した。得られたポリエステルフィルムの特性、
製造条件及びそれから得られたDVCテープの特性は、
それぞれ表2、1、3に示す。同一製造ロット内でもフ
ィルムA面のRaばらつきが大きく、DVCテープの磁
気特性はばらつきが大きく劣っていた。
【0064】[比較例5]実施例1のベースフィルム製
造において、塗布水溶液中にアミノ変性シリコーンを添
加しなかった。他は実施例1と同様にして厚さ6.3μ
mのポリエステルフィルムを製造し、幅6.35mmの
DVCテープを作成した。得られたポリエステルフィル
ムの特性、製造条件及びそれから得られたDVCテープ
の特性は、それぞれ表2、1、3に示す。同一製造ロッ
ト内でもフィルムA面のRaばらつきが大きく、DVC
テープの磁気特性はばらつきが大きく劣っていた。
【0065】[比較例6]実施例1のベースフィルム製
造において、メタリングバーを、フィルム接触表面部分
のRaの平均値が1.0μmのものに変更し、A面外側
への塗布水溶液の組成を次のとおりと変更し、さらに塗
布水溶液の濃度(LC)を2.162重量%と変更し
た。
【0066】 A面外側への塗布水溶液の組成: メチルセルロース 0.517重量% 水溶性ポリエステル(=テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフ タル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体) 1.589重量% アミノ変性シリコーン 0.009重量% 平均粒径 18nmの極微細シリカ 0.047重量% 水溶液塗布時の固形分塗布量(SC)は25mg/m2
となった。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μ
mのポリエステルフィルムを製造し、幅6.35mmの
DVCテープを作成した。得られたポリエステルフィル
ムの特性、製造条件及びそれから得られたDVCテープ
の特性は、それぞれ表2、1、3に示す。得られたポリ
エステルフィルムは長手方向に塗布すじが全面に発生し
ており、同一製造ロット内でもフィルムA面のRaばら
つきが大きく、DVCテープの磁気特性磁気特性はばら
つきが大きく劣っていた。
【0067】[比較例7]実施例1のベースフィルム製
造において、メタリングバーを、フィルム接触表面部分
のRaの平均値が9.0μmのものに変更し、A面外側
への塗布水溶液の組成を次のとおりと変更し、さらに塗
布水溶液の濃度(LC)を0.240重量%と変更し
た。
【0068】 A面外側への塗布水溶液の組成: メチルセルロース 0.057重量% 水溶性ポリエステル(=テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフ タル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体) 0.177重量% アミノ変性シリコーン 0.001重量% 平均粒径18nmの極微細シリカ 0.005重量% 水溶液塗布時の固形分塗布量(SC)は25mg/m2
となった。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μ
mのポリエステルフィルムを製造し、幅6.35mmの
DVCテープを作成した。得られたポリエステルフィル
ムの特性、製造条件及びそれから得られたDVCテープ
の特性は、それぞれ表2、1、3に示す。得られたポリ
エステルフィルムは長手方向に塗布すじが全面に発生し
ており、同一製造ロット内でもフィルムA面のRaばら
つきが大きく、DVCテープの磁気特性磁気特性はばら
つきが大きく劣っていた。
【0069】[比較例8]実施例1のベースフィルム製
造において、メタリングバーを、フィルム接触表面部分
のRa値の最大と最小の差を0.5μmのものに変更し
た。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポ
リエステルフィルムを製造し、幅6.35mmのDVC
テープを作成した。得られたポリエステルフィルムの特
性、製造条件及びそれから得られたDVCテープの特性
は、それぞれ表2、1、3に示す。同一製造ロット内で
もフィルムA面のRaばらつきが大きく、DVCテープ
の磁気特性はばらつきが大きく劣っていた。
【0070】[比較例9]実施例1のベースフィルム製
造において、1か月後のポリエステルフィルム製造のメ
タリングバーを次のとおり変更した。交換後のメタリン
グバーのフィルム接触表面部分のRaは、平均値(Ra
xbar)が5.2μm、幅方向の最大値と最小値の差
(R)が0.2μmであり、これに伴い、塗布水溶液の
固形分塗布量(SC)は28mg/m2となった。その
他はそれ以前の実施条件と同様にして厚さ6.3μmの
ポリエステルフィルムを製造し、5本のロール状フィル
ム製品より幅6.35mmのDVCテープを作成した。
【0071】1か月おいた2回の生産で得られたポリエ
ステルフィルムの特性、その製造条件及びそのポリエス
テルフィルムをベースフィルムとして得られたDVCテ
ープの特性を、それぞれ表2、1、3に示す。得られた
フィルムは、最初の製造ロット内ではフィルムA面のR
aばらつきが小さく磁気特性の優れたDVCテープが得
られたが、1か月後の製造ロットではフィルムA面のR
aばらつきは小さいものの、微細粒子による突起の個数
増加が原子間力顕微鏡像で確認され、DVCテープのD
O個数も増大した。
【0072】[比較例10]実施例1のベースフィルム
製造において、1か月後のポリエステルフィルム製造時
の塗布水溶液を、次の組成からなり、濃度(LC)が
0. 407重量%の水溶液に変更した。これに伴い、塗
布水溶液の固形分塗布量(SC)は22mg/m2とな
った。
【0073】 A面外側への塗布水溶液の組成: メチルセルロース 0.097重量% 水溶性ポリエステル(=テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフ タル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体) 0.300重量% アミノ変性シリコーン 0.001重量% 平均粒径18nmの極微細シリカ 0.009重量% 使用するメタリングバーも含め、その他は実施例1と同
様にして、1か月後に厚さ6.3μmのポリエステルフ
ィルムを製造し、5本のロール状フィルム製品より幅
6.35mmのDVCテープを作成した。
【0074】1か月おいた2回の生産で得られたポリエ
ステルフィルムの特性、その製造条件及びそのポリエス
テルフィルムをベースフィルムとして得られたDVCテ
ープの特性を、それぞれ表2、1、3に示す。得られた
フィルムは、最初の製造ロット内、1か月後の製造ロッ
トともに同一ロット内でのフィルムA面のRaばらつき
が小さかった。最初の製造ロットからは磁気特性の優れ
たDVCテープが得られたが、1か月後の製造ロットか
らはフィルムA面Raのばらつきは小さいものの、微細
粒子による突起の個数減少が原子間力顕微鏡像で確認さ
れ、DVCテープ磁性層の耐久性が低下し、100回走
行後のDO個数が増大した。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】表1〜表3から明らかな様に、本発明法に
より製造されたフィルムは、同一製造ロット内でもロッ
ト間でもフィルムA面のRa値ばらつき、表面突起個数
の変動が小さく、磁気特性の優れたDVCテープが得ら
れた。これに対し、本発明外の比較例で得られたフィル
ムでは、同一製造ロット内またはロット間でのフィルム
A面のRa値ばらつきがあったり、表面突起個数の変動
があったりして、磁気記録媒体用に適していないもので
あった。
【0079】
【発明の効果】本発明法によると、ベースフィルム製造
のロット内やロット間において品質差がなく、DOが少
なく高品質のDVCテープを安定的に製造することがで
きる磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを得ることが
できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 67:00 B29K 67:00 B29L 7:00 B29L 7:00 Fターム(参考) 4F006 AA35 AB02 AB03 AB16 AB20 AB24 AB37 AB74 AB76 BA06 CA02 DA05 EA05 EA06 4F100 AA03 AA20 AB10 AB11B AK01B AK41A AK42A BA02 BA07 DE01B EH46B EJ37A GB41 JB09B JL00 YY00B 4F210 AA24 AA26 AB22 AB24 AG01 AG03 AH38 AR15 QA02 QA03 QC06 QD08 QG01 QG15 QG18 QW05 5D006 CB01 CB07 CB08 EA03 FA09 5D112 AA02 BA01 BA07 BA09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融押出され、冷却され、一方向に延伸
    されたポリエステルフイルムの表面Aに、水溶性高分子
    と平均粒径5〜50nmの微細粒子とシリコーンとを主
    成分として含有する水溶液を、固形分塗布量3〜100
    0mg/m2 で塗布した後、乾燥した後あるいは乾燥さ
    せながら、上記延伸方向と直角の方向に延伸した後に、
    熱処理を行うことにより表面A側が強磁性金属薄膜形成
    面である磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを製造す
    る方法において、前記水溶液をメタリングバーを用いる
    塗布方式により塗布する際、メタリングバーのフィルム
    接触表面部分のRaの幅方向の平均値が2.0〜8.0
    μm、幅方向の最大と最小の差が0.4μm以下である
    メタリングバーを用いることを特徴とする磁気記録媒体
    用ポリエステルフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 溶融押出され、冷却され、一方向に延伸
    されたポリエステルフイルムの表面Aに、水溶性高分子
    と平均粒径5〜50nmの微細粒子とシリコーンとを主
    成分として含有する水溶液を、固形分塗布量3〜100
    0mg/m2で塗布した後、乾燥した後あるいは乾燥さ
    せながら上記延伸方向と直角の方向に延伸した後に、熱
    処理を行うことにより、表面A側が強磁性金属薄膜形成
    面である磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを製造す
    る方法において、前記水溶液をメタリングバーを用いる
    塗布方式により所定の固形分塗布量で塗布する際、メタ
    リングバーのフィルム接触表面部分のRaの幅方向平均
    値が2.0〜8.0μm、幅方向の最大と最小の差が
    0.4μm以下であるメタリングバーを用い、かつ、メ
    タリングバーの交換及び/又は前記水溶液の濃度変更時
    に、メタリングバーのフィルム接触表面部分のRaの幅
    方向平均値(Raxbar)と前記水溶液の濃度(LC%)
    との積の値の変化割合が±5%の範囲内となるように、
    前記水溶液の濃度及び/又はメタリングバーのフィルム
    接触表面部分のRaの幅方向平均値を管理することを特
    徴とする磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 塗布される水溶液中のシリコーン化合物
    の含有量が0.001〜0.1重量%である請求項1又
    は2記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 ポリエステルがポリエチレンテレフタレ
    ートまたはポリエチレン−2、6−ナフタレートである
    請求項1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエ
    ステルフィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 磁気記録媒体がデジタル記録方式の磁気
    記録テープである請求項1〜4のいずれかに記載の磁気
    記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 磁気記録媒体が、前記ポリエステルフィ
    ルムの表面A側の塗布皮膜上に強磁性金属薄膜層を設け
    てなる磁気記録テープである請求項1〜5のいずれかに
    記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方
    法。
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