JP2003112367A - 磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法

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JP2003112367A
JP2003112367A JP2001308338A JP2001308338A JP2003112367A JP 2003112367 A JP2003112367 A JP 2003112367A JP 2001308338 A JP2001308338 A JP 2001308338A JP 2001308338 A JP2001308338 A JP 2001308338A JP 2003112367 A JP2003112367 A JP 2003112367A
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film
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stretching
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Masaaki Ono
雅章 小野
Katsuya Okamoto
克哉 岡本
Kazuyoshi Fukada
一吉 深田
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Coの真空蒸着速度を上げても、走行耐久性
が良好でDOの少ないDVCテープを製造するために好
適な磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを製造する。 【解決手段】 溶融押出、冷却、一方向延伸されたポリ
エステルフイルムの表面Aに、水溶性高分子と平均粒子
径20〜200nmの微細有機粒子とを含有する水溶液
を、特定の固形分塗布量で塗布した後、乾燥させながら
上記延伸方向と直角の方向に延伸し、熱処理を施すこと
により、表面Aに、Rmaxが60nm以下の塗布被膜
が設けられた被覆ポリエステルフィルムを製造する方法
であって、微細有機粒子の平均粒子径が30nm未満の
場合は、直角の方向に延伸する際の延伸温度を、微細有
機粒子のガラス転移温度(Tg)よりも低い温度とし、
また、微細有機粒子の平均粒子径が30nm以上の場合
は、直角の方向に延伸する際の延伸温度を、微細有機粒
子のガラス転移温度(Tg)以上の温度とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体用ポ
リエステルフィルム、特にデジタルビデオカセットテー
プ、データストレージテープ等のデジタルデータを大量
に記録する強磁性金属薄膜型磁気記録媒体を、高品質で
製造するために好適な磁気記録媒体用ポリエステルフィ
ルムを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】1995年に実用化された民生用デジタ
ルビデオテープは厚さ6〜7μmのベースフィルム上に
Coの金属磁性薄膜を真空蒸着により設け、その表面に
ダイヤモンド状カーボン膜をコーティングしてなり、デ
ジタルビデオミニカセットを使用したカメラ一体型ビデ
オの場合には基本仕様(SD仕様)で1時間の録画時間
をもつ。
【0003】このデジタルビデオカセット(DVC)
は、家庭用で世界で初のデジタルビデオカセットであ
り、a.小型ボディながら、膨大な情報が記録できる、
b.信号が劣化しないから、何年たっても画質・音質が
劣化しない、c.雑音の妨害を受けないから高画質・高
音質が楽しめる、d.ダビングを繰り返しても映像が劣
化しない、等のメリットを持ち、市場での評価は高い。
【0004】そのベースフィルムを製造する方法として
は、 特公平3−18573号公報に示されるごとく、一方
向に延伸後の平滑なポリエステルフィルムの片面側に、
ポリスチレン、ポリエチレン等の疎水性有機化合物粒子
あるいは疎水性表面処理を施した無機化合物粒子を含有
した水溶性高分子水溶液を塗布し、乾燥した後、先の延
伸方向と直角の方向に延伸し、熱処理を施す、被覆フィ
ルムの製造方法、 特公平3−80410号公報に示されるごとく、一方
向に延伸されたポリエステルフィルムの金属磁性薄膜を
形成させる側の面に、水溶性高分子と微細無機化合物粒
子を主体とする水溶液を塗布し、乾燥後、上記延伸方向
と直角の方向に延伸し、熱処理を施し、不連続皮膜を形
成せしめる、被覆フィルムの製造方法、等が用いられて
いる。
【0005】上記の製造方法によると、フィルム表面
上に密着して、不連続被膜と、該不連続被膜の不連続部
のフィルム面に点在する微細粒子付着物とが存在し、該
微細粒子付着物は不連続被膜よりも高い突起高さを有す
るという被覆フィルムが作られる。
【0006】また、上記の製造方法によると、フィル
ム表面上に密着して不連続被膜が存在し、該不連続被膜
中及び被膜表面に微細粒子が存在するという被覆フィル
ムが作られる。
【0007】DVCテープは非常に好評のため、生産量
を増大させる要求がますます大きくなってきていて、D
VCテープの生産性を上げるためにベースフィルムへの
Coの真空蒸着速度を増大させることが検討され、実施
され始めてきている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記
あるいはの方法で製造されるベースフィルムを用いて
磁気記録テープを製造する場合、Coの真空蒸着速度を
上げると蒸着膜の表面形状が起伏の乏しい一様のものに
なりがちであって、ベースフィルム上に形成された微細
粒子による突起形状が蒸着膜上に発現されにくくなるの
で、製造されるDVCテープの磁気ヘッドとの走行耐久
性が低下しがちであることが判ってきた。
【0009】そこで本発明は、高速でCoを蒸着しても
走行耐久性の良いDVCテープを製造し得るベースフィ
ルムが得られる磁気記録媒体用ポリエステルフィルム製
造方法を与えることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの
製造方法は、溶融押出され、冷却され、一方向に延伸さ
れたポリエステルフイルムの表面Aに、水溶性高分子と
平均粒子径20〜200nmの微細有機粒子とを含有す
る水溶液を、固形分塗布量3〜1000mg/m2で塗
布した後、乾燥させながら、上記延伸方向と直角の方向
に延伸し、熱処理を施すことにより、表面Aに、Rma
xが60nm以下の塗布被膜が設けられた被覆ポリエス
テルフィルムを製造する方法であって、前記微細有機粒
子の平均粒子径が30nm未満の場合は、前記直角の方
向に延伸する際の延伸温度を、前記微細有機粒子のガラ
ス転移温度(Tg)よりも低い温度とし、また、前記微
細有機粒子の平均粒子径が30nm以上の場合は、前記
直角の方向に延伸する際の延伸温度を、前記微細有機粒
子のガラス転移温度(Tg)以上の温度とすることを特
徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明におけるポリエステルは、
分子配向により高強度フィルムとなるポリエステルであ
ればよいが、その中でもポリエチレンテレフタレートま
たはポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。
ここでいうポリエチレンテレフタレートまたはポリエチ
レン−2,6−ナフタレートとは、その構成成分の80
%以上がエチレンテレフタレート、またはエチレンナフ
タレートであるものである。エチレンテレフタレート、
エチレンナフタレート以外のポリエステル共重合体成分
としては、例えばジエチレングリコール、プロピレング
リコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリ
コール、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘ
キサンジメタノールなどのジオール成分、アジピン酸、
セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウム
スルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリ
ット酸、ピロメリット酸などの多官能ジカルボン酸成
分、p−オキシエトキシ安息香酸などが挙げられる。
【0012】さらに、上記のポリエステルには、他にポ
リエステルと非反応性のスルホン酸のアルカリ金属塩誘
導体、該ポリエステルに実質的に不溶なポリアルキレン
グリコールなどの少なくとも一つを5重量%を越えない
程度で混合していてもよい。
【0013】本発明において、水溶性高分子と平均粒径
20〜200nmの微細有機粒子を含有する水溶液は、
溶融押出され冷却され一方向に延伸された段階のポリエ
ステルフィルムに対し塗布されるが、このポリエステル
フィルムは、ポリエステルを溶融してシートまたは円筒
状に押出して冷却し、これを一方向に延伸した時点のフ
ィルムであり、その延伸方向は通常縦方向である。その
延伸倍率は2倍以上が好ましく、その上限は特に規定さ
れないが約6倍である。
【0014】この水溶液で用いる水溶性高分子は、ポリ
ビニルアルコール、トラガントゴム、カゼイン、ゼラチ
ン、セルロース誘導体、水溶性ポリエステル、イソフタ
ル酸エステル樹脂等の有極性高分子、およびこれらのブ
レンド体が使用できるが、これらに限定されない。ポリ
ウレタン、アクリル樹脂、アクリル−ポリエステル樹
脂、メタクリル酸エステル樹脂等の有極性高分子、これ
らのブレンド体の水分散体を用いてもよい。
【0015】この水溶液で用いる微細有機粒子は、平均
粒径が20〜200nm、より好ましくは20〜100
nmの微細粒子であり、その粒子種としてはポリアクリ
ル酸、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポ
リアクリル酸エステル、ポリメチルメタクリレート、ポ
リエポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、アクリル−スチレン
共重合体、アクリル系共重合体、各種変成アクリル系樹
脂、スチレン−ブタジエン共重合体、各種変成スチレン
ーブタジエン共重合体等の有機化合物粒子、シリカ、ア
ルミナ、炭酸カルシウム等の無機粒子を核として、有機
高分子で被覆した粒子等が使用できるが、これらに限定
されない。有機化合物としては末端基がエポキシ、アミ
ン、カルボン酸、水酸基等で変成された自己架橋性のも
のが好ましい。
【0016】微細有機粒子の平均粒径が20nm未満で
あると、本発明法により製造されるポリエステルフィル
ムの表面A上に設けた被膜上に真空蒸着により形成され
る強磁性金属薄膜層の表面が平滑になりすぎて、DVC
カメラ内の録画、再生時に磁気ヘッドにより強磁性金属
薄膜層が磨耗してしまうので適していない。微細有機粒
子の平均粒径が200nmを超えると、表面A上の被膜
上に形成される強磁性金属薄膜層が粗面となりすぎて、
磁気記録テープの出力特性が低下するので適していな
い。
【0017】水溶液中に含まれる微細有機粒子の量は、
固形分として0.5〜12.0重量%、さらに0.6〜
10.0重量%が好ましく、水溶性高分子と微細有機粒
子とを主成分として含有する水溶液は固形分塗布量3〜
1000mg/m2の範囲で塗布される。その塗布面
は、強磁性金属膜が形成される側の表面Aであり、この
表面Aは、ポリエステルフィルム含有粒子を可能な限り
除いたポリエステルからなることが好ましい。
【0018】表面A側に塗布された上記水溶液の塗布量
が固形分塗布量で3mg/m2未満であると、本発明法
により製造されるポリエステルフィルムの表面A上に真
空蒸着により形成される強磁性金属薄膜層が、DVCカ
メラ内の多数回にわたる繰返し録画、再生において耐久
性不良となるので適していない。塗布量が固形分塗布量
で1000mg/m2を超えると、表面Aに設けた被膜
上に形成される強磁性金属薄膜層が粗面化し磁気記録テ
ープのDOが極めて増大するので適していない。
【0019】上記水溶液の塗布の後に乾燥させながら、
先の延伸方向と直角の方向へ延伸される。その後さらに
必要であれば再延伸される。その直角方向への延伸は、
通常横方向への延伸であり、好ましくは3.0〜7.5
倍で行われる。
【0020】その直角方向への延伸の際の延伸温度は、
一般的に、90〜145℃程度がとられるが、本発明法
では、この延伸温度を、塗布水溶液に配合する微細有機
粒子の平均粒子径、そのガラス転移温度(Tg)との関
係で特定される範囲内とすることが必要である。即ち、
微細有機粒子の粒子径が30nm未満の場合は直角方向
の延伸温度を、微細有機粒子のガラス転移温度(Tg)
よりも低い温度とする。また、微細有機化合物の粒子径
が30nm以上の場合は直角方向の延伸温度をTg以上
の温度とする。このような温度で延伸することが、被膜
のRmax値を60nm以下とするために効果的であ
る、即ち、粒子径が30nm以上である大きな粒子の場
合は、延伸温度をTg以上とすることによって粒子が延
伸時に流動変形しやすくなり、粒子が偏平化し高さが下
がるので、Rmaxを60nm以下にすることができ
る。また、粒子径が30nm未満の場合は延伸温度をT
gより低くし延伸時に粒子が偏平化して高さが低下する
ことを抑制することが効果的である。
【0021】微細有機粒子のTgは40℃以上であるこ
とが好ましい。40℃を下回ると室温においても微細有
機粒子による突起が軟らかな状態となって、磁気テープ
の磁性面の走行耐久性が不良となり易く好ましくない。
延伸温度とTgの温度差は120℃以内、より好ましく
は105℃以内が望ましい。これ以上の温度差があると
ポリエステルフィルムの延伸が不安定となり製膜時に破
れが多発しがちとなり望ましくない。延伸温度がTgよ
り高いほど、被膜の表面粗さの低下が顕著となる。延伸
温度がTgより低いほど、微細有機粒子の製膜時の変形
が小さくなる。
【0022】表面Aに設けられる塗布被膜の表面のRm
ax値は60nm以下であることを要する。60nmを
超えると、塗布被膜上に形成される強磁性金属薄膜層が
粗面化しすぎ磁気記録テープのDOが極めて増大するの
で適していない。
【0023】更に必要に応じて行われる再延伸は、10
0〜150℃で1.1〜3.0倍の縦方向延伸で行うこ
とが好ましい。この後、190〜220℃の温度で熱処
理が行われる。なお横強度が更に大きいことが必要であ
れば熱固定と同時に横方向に1.1〜2.0倍の延伸を
行うことが好ましい。
【0024】磁気記録テープの磁気ヘッドによる耐久性
を更に増すためには、ポリエステルフィルムの表面A側
を形成するポリエステルフィルム層A内に、平均粒径が
50〜150nm、より好ましくは55〜100nmの
微細粒子を0.01〜1.0重量%、より好ましくは
0.02〜0.8重量%を含ませてもよい。
【0025】また、層A用の原料と、積極的に微粒子を
含有させた層B用の原料を用いて、A/B積層フィルム
を押出し、A層側の表面Aに前記微粒子を含有させた水
溶性高分子を主体とする水溶液を塗布してもよい。層B
内に用いられる微細粒子としては炭酸カルシウム、シリ
カ、アルミナ、ポリスチレン等が例示される。この微細
粒子としては、平均粒子径が好ましくは100〜100
0nm、より好ましくは150〜900nmのものが用
いられ、添加量としては好ましくは0.05〜1.0重
量%、より好ましくは0.08〜0.8重量%である。
なお、B層を用いずに、滑剤を含む塗液をポリエステル
フィルムのA面とは反対側のB面側に塗布し易滑処理を
してもよい。
【0026】製造される磁気記録媒体用ポリエステルフ
ィルムの表面AのRa値は、表面A上に真空蒸着により
形成される強磁性金属薄膜膜層が記録・再生時の磁気ヘ
ッドにより受ける磨耗を極力少なくし、および磁気テー
プの出力特性を良好に保つために1〜5nm、さらには
2〜4nmが好ましい。Ra値が1nm未満であると、
表面A上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜の
表面が平滑すぎて、DVCカメラ内での記録、再生時に
磁気ヘッドにより磁気記録テープが磨耗してしまい好ま
しくない。Ra値が5nmを超えると、表面A上の強磁
性金属薄膜層が粗面すぎて、磁気記録テープの出力特性
が低下し好ましくない。
【0027】塗布被膜表面AのRa、Rmax値は、微
細有機化合物粒子の粒子径、ガラス転移温度、塗布液濃
度、塗布量、延伸温度の調整により調節できる。
【0028】本発明法により製造されるポリエステルフ
ィルムの表面B(表面Aとは反対側の表面)のRa値
は、ポリエステルフィルムを製膜した後、所定の幅にス
リットする際に、巻姿の良い製品を採取しやすくし、ポ
リエステルフィルムの被膜表面A上に強磁性薄膜を設け
た後に、ロール状の巻取りにより表面Bの粗さが表面A
側に転写し強磁性薄膜層にうねり状の変形が起きること
を最小限に抑えるために、8〜45nm、より好ましく
は10〜35nmが望ましい。
【0029】本発明法により製造されるポリエステルフ
ィルムの厚さは12.0μm以下が好ましく、さらに好
ましくは厚さ3.0〜10.0μmが望ましい。
【0030】本発明により得られるポリエステルフィル
ムの表面Bには、シリコーン等の潤滑剤が含まれたより
粗い被覆層が設けられるか、より大きな微細粒子を含有
するポリエステルフィルム層が積層されて形成される
が、あるいは更にその上に前記被覆層が設けることが好
ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0031】DVC用磁気記録テープを製造する際に
は、本発明法によるポリエステルフィルムの表面A上に
真空蒸着により強磁性金属薄膜層を設けるが、使用する
金属薄膜は公知のものを使用でき、特に限定されない
が、鉄、コバルト、ニッケル、またはそれらの合金の強
磁性体からなるものが好ましい。金属薄膜層の厚さは2
0〜300nmが好ましい。金属薄膜層上には10nm
程度の厚みのダイヤモンド状カーボン膜がコーティング
され、更にその上に潤滑剤処理されることが好ましい。
さらに表面B上には、固体微粒子および結合剤からなり
必要に応じて各種添加剤を加えた溶液を塗布することに
より形成されるバックコート層を設けることが好まし
く、固体微粒子、結合剤、添加剤は公知のものを使用で
き、特に限定されない。バックコート層の厚さは0.3
〜1.5μm程度である。
【0032】
【実施例】本実施例で用いた測定法を下記に示す。
【0033】(1)微細有機粒子の平均粒子径(d) 電子顕微鏡(電顕)試験台上に微細有機粒子粉体を、こ
の粒子ができるだけ重ならないように散在せしめ、電顕
(好ましくは透過型電子顕微鏡)により倍率100万倍
程度で観測し、少なくとも100個の粒子について面積
円相当径を求め、この数平均値をもって粒径とした。
【0034】なお、この粒径をフィルムから求める場合
には下記のa)手法等により求められる。 a)フィルムA面に金スパッター装置により金薄膜蒸着
層を厚み20〜30nm(χnm)で設け、電子顕微鏡
(好ましくは走査型電子顕微鏡)により倍率10万倍程
度で観測し、少なくとも100個の粒子について面積円
相当径を求め、この数平均値より2χnmを減じた値を
もって粒径とする。
【0035】(2)水溶液塗布時の固形分塗布量(単
位:mg/m2) フィルムの表面Aに水溶液を塗布する際、一定時間の塗
布により消費される水溶液の量を求める。その一定時間
内に水溶液が塗布された面積を、塗布幅とフィルム速度
と塗布時間とから算出し、塗布時の水溶液消費量を塗布
面積で除し、さらに、塗布した水溶液中の固形分割合よ
り、水溶液塗布時の固形分塗布量(単位:mg/m2
を算出する。この固形分塗布量は、塗布面積1m2あた
りに何mgの固形分が塗られているかを示す値である。
【0036】(3)フィルム表面のRa値、Rmax値 フィルム表面の表面粗さRa値は、原子間力顕微鏡(走
査型プローブ顕微鏡)を用いて測定した。セイコーイン
スツルメント社製の走査型プローブ顕微鏡(SPI38
00シリーズ)を用い、ダイナミックフォースモードで
フィルムの表面を5μm角の範囲で原子間力顕微鏡計測
走査を行い、得られる表面のプロファイル曲線よりJI
S・B0601・Raに相当する算術平均粗さより求め
た。Rmax値は表面プロファイル曲線の最大値と最小
値の差より求めた。Ra値、Rmax値ともに3点の平
均値とした。面内方向の拡大倍率は1万〜5万倍、高さ
方向の拡大倍率は100万倍程度とした。
【0037】(4)微細有機粒子のガラス転移温度(T
g) 粒子粉体を試料として、示差走査熱分析における昇温時
の熱流束ギャップからJIS K7121に従って求め
る。示差走査熱分析による方法のみで判定しにくい場合
には、顕微鏡観察などの形態学的方法を併用してもよ
い。また、示差走査熱分析によってガラス転移温度を判
定する場合は、温度変調法や高感度法を使用することも
有効である。なお、ガラス転移温度は下記式により算出
した。ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補
外ガラス転移終了温度)/2
【0038】(5)磁気テープ(DVCテープ)の特性
評価(DO個数) 市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダー
(DVCビデオカメラ)を用いて静かな室内でDVCテ
ープ上に録画し、1分間の再生をして画面にあらわれた
ブロック状のモザイク個数(ドロップアウト(DO)個
数)を数えることによって、作成した磁気テープの特性
を評価した。DO個数は常温(25℃)でテープ製造後
の初期特性を最初に調べた。次にテープの走行を100
回くり返した後のDO個数を測定し磁気テープの走行耐
久性を評価した。
【0039】次に実施例に基づき、本発明を説明する。
【0040】[実施例1]実質的に不活性粒子を含有し
ないポリエチレンテレフタレート原料Aと、同一のポリ
エチレンテレフタレートに平均粒径300nmのケイ酸
アルミニウムを0.30重量%含有させた原料Bとを厚
み比5:1の割合で共押出し、冷却ドラムに密着させシ
ート化し、ロール延伸法で110℃で3.1倍に縦延伸
した。
【0041】縦延伸の後の工程で、片側表面Aの外側に
下記組成の水溶液を固形分塗布量20mg/m2 となる
ように塗布した。 A面外側への塗布水溶液: メチルセルロース 0.07重量% 水溶性ポリエステル(=テレフタル酸70モル%、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸30モル%の酸成分とエ
チレングリコールとの1:1の共重合体)0.30重量
% 平均粒径25nmのポリスチレン球(ガラス転移温度:
105℃)0.30重量%
【0042】その後、ステンターにて横方向に95℃で
4.2倍に延伸し、215℃で熱処理し中間スプールに
巻き、スリッターで小幅にスリットし、円筒コアーにロ
ール状に巻取り、厚さ6.3μmのロール状ポリエステ
ルフィルムを得た。
【0043】このポリエステルフィルムの被膜表面A上
に真空蒸着によりコバルト−酸素薄膜を160nmの膜
厚で形成した。なお真空蒸着は80nmの膜厚の蒸着を
2回繰り返し、各々の蒸着膜形成速度はライン速度16
0m/分(従来のライン速度100m/分の1.6倍)
とした。次にコバルト−酸素薄膜層上に、スパッタリン
グ法によりダイヤモンド状カーボン膜を10nmの厚さ
で形成させ、フッ素含有脂肪酸エステル系潤滑剤を3n
mの厚さで塗布した。続いて表面B上に、カーボンブラ
ック、ポリウレタン、シリコーンからなるバックコート
層を500nmの厚さで設け、スリッターにより幅6.
35mmにスリットしリールに巻き取り磁気テープ(D
VCテープ)を作成した。
【0044】得られたポリエステルフィルム及び磁気テ
ープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムの
B面のRa値は20nmであった。
【0045】[実施例2]実施例1のベースフィルム製
造において、ポリスチレン球を平均粒子径25nmのポ
リメチルメタクリレート球(ガラス転移温度:120
℃)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、厚さ
6.3μmのポリエステルフィルムと、幅6.35mm
の磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィル
ム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステ
ルフィルムのB面のRa値は20nmであった。
【0046】[実施例3]実施例1のベースフィルム製
造において、ポリエチレンテレフタレートをポリエチレ
ン−2,6−ナフタレートに変更し、原料B内のケイ酸
アルミニウムの含有量を1.1重量%と変更し、縦延伸
温度、倍率を135℃で5.0倍と変更し、塗布の固形
分濃度を50mg/m2と変更し、ポリスチレン球の粒
子径を40nmと変更し、横延伸温度、倍率を135
℃、6.5倍と変更し、200℃での熱処理と変更し、
その他は実施例1と同様にして、厚さ4.2μmのポリ
エステルフィルムロールを得た。得られたポリエステル
フィルムから、実施例1と同様にして幅6.35mmの
磁気テープ(DVCテープ)を作成した。得られたポリ
エステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
なおポリエステルフィルムのB面のRa値は22nmで
あった。
【0047】[実施例4]実施例1のベースフィルム製
造において、塗布水溶液中のポリスチレン球の平均粒子
径を50nmと変更し、横方向の延伸温度を110℃に
変更したこと以外は実施例1と同様にして、厚さ6.3
μmのポリエステルフィルムと、幅6.35mmの磁気
テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び
磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィ
ルムのB面のRa値は20nmであった。
【0048】[比較例1]実施例1のベースフィルム製
造において、塗布水溶液中のポリスチレン球の粒径を1
2nmと変更した。その他は実施例1と同様にして厚さ
6.3μmのポリエステルフィルムを得、幅6.35m
mの磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィ
ルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエス
テルフィルムのB面のRa値は20nmであった。
【0049】[比較例2]実施例1のベースフィルム製
造において、塗布水溶液中のポリスチレン球の粒径を2
50nmに変更し、横方向の延伸温度を115℃と変更
した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの
ポリエステルフィルムを得、幅6.35mmの磁気テー
プを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気
テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフィルム
のB面のRa値は20nmであった。
【0050】[比較例3]実施例1のベースフィルム製
造において、塗布水溶液の固形分塗布量を2mg/m2
と変更した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3
μmのポリエステルフィルムを得、幅6.35mmの磁
気テープを作成した。得られたポリエステルフィルム及
び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエステルフ
ィルムのB面のRa値は20nmであった。
【0051】[比較例4]実施例1のベースフィルム製
造において、塗布水溶液の固形分塗布量を1500mg
/m2と変更した。その他は実施例1と同様にして厚さ
6.3μmのポリエステルフィルムを得、幅6.35m
mの磁気テープを作成した。得られたポリエステルフィ
ルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なおポリエス
テルフィルムのB面のRa値は20nmであった。
【0052】[比較例5]実施例1のベースフィルム製
造において、横方向の延伸温度を115℃と変更した。
その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエ
ステルフィルムを得、幅6.35mmの磁気テープを作
成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープ
の特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面
のRa値は20nmであった。
【0053】また、得られたポリエステルフィルムを用
いてCo蒸着膜形成速度を従来速度(ライン速度100
m/分)に変更した以外は実施例1と同様にして幅6.
35mmの磁気テープを作成した。得られた磁気テープ
はDO個数がそれぞれ0個/分、0個/分と良好であっ
たが、蒸着膜形成速度の点から生産性向上が不満足なも
のであった。
【0054】[比較例6]実施例4のベースフィルム製
造において、横方向の延伸温度を95℃と変更した。そ
の他は実施例4と同様にして、厚さ6.3μmのポリエ
ステルフィルムを得、幅6.35mmの磁気テープを作
成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープ
の特性を表1に示す。なおポリエステルフィルムのB面
のRa値は20nmであった。
【0055】
【表1】 ポリエステルフィルム DVCテープ特性 製 造 条 件 塗布被膜 ドロップアウト 微細有 固形分 微細有 延伸 の表面 (DO)個数 機粒子 塗布量 機粒子 温度 Ra Rmax 初 期 100回後 平均径 のTg (nm) (mg/m2) (℃) (℃) (nm) (nm) (個/分) (個/分) 実施例1 25 20 105 95 2.5 45 0 0 〃 2 25 20 120 95 3.1 50 0 0 〃 3 40 50 105 135 2.0 40 0 0 〃 4 50 20 105 110 2.6 46 0 0 比較例1 12 20 105 95 2.0 30 0 20 〃 2 250 20 105 115 5.8 80 30 30 〃 3 25 2 105 95 0.5 15 12 40 〃 4 25 1500 105 95 7.2 90 40 50 〃 5 25 20 105 115 0.9 20 0 28 〃 6 50 20 105 95 6.5 65 22 25
【0056】表1の特性から明らかな様に、本発明法に
より製造されたポリエステルフィルムをベースフィルム
に用いると、真空蒸着速度を大幅に増大させてDVCテ
ープを製造しても、走行耐久性が良好であり、DOが少
なく、優れた特性のDVCテープを作成することができ
た。
【0057】
【発明の効果】本発明法によると、Coの真空蒸着速度
を上げても、走行耐久性が良好でDOの少ないDVCテ
ープを製造するために好適な磁気記録媒体用ポリエステ
ルフィルムを製造でき、本発明は、DVCテープの生産
性向上のために有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 67:00 B29K 67:00 B29L 7:00 B29L 7:00 9:00 9:00 C08L 67:02 C08L 67:02 Fターム(参考) 4F006 AA35 AB35 AB56 BA00 CA02 4F210 AA24 AA26 AG01 AG03 AH38 QC06 QD08 QG01 QG15 QG18 5D006 CB01 CB07 CB08 5D112 AA02 BA01 BA09

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融押出され、冷却され、一方向に延伸
    されたポリエステルフイルムの表面Aに、水溶性高分子
    と平均粒子径20〜200nmの微細有機粒子とを含有
    する水溶液を、固形分塗布量3〜1000mg/m2
    塗布した後、乾燥させながら、上記延伸方向と直角の方
    向に延伸し、熱処理を施すことにより、表面Aに、Rm
    axが60nm以下の塗布被膜が設けられた被覆ポリエ
    ステルフィルムを製造する方法であって、前記微細有機
    粒子の平均粒子径が30nm未満の場合は、前記直角の
    方向に延伸する際の延伸温度を、前記微細有機粒子のガ
    ラス転移温度(Tg)よりも低い温度とし、また、前記
    微細有機粒子の平均粒子径が30nm以上の場合は、前
    記直角の方向に延伸する際の延伸温度を、前記微細有機
    粒子のガラス転移温度(Tg)以上の温度とすることを
    特徴とする磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 ポリエステルがポリエチレンテレフタレ
    ートまたはポリエチレン−2、6−ナフタレートである
    請求項1に記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 磁気記録媒体がデジタル記録方式の磁気
    記録テープである請求項1〜2のいずれかに記載の磁気
    記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 磁気記録媒体が、前記ポリエステルフィ
    ルムの表面A側の塗布被膜上に強磁性金属薄膜層を設け
    てなる磁気記録テープである請求項1〜3のいずれかに
    記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方
    法。
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