JP2005219012A - 磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 25,000mを超えるポリエステルフィルムをスリットし巻き取っても、巻き姿の良好な長尺ロール製品となり、その長尺ロール製品より、真空蒸着により磁気テープを製造しても全長にわたりドロップアウトの少ない良好な磁気テープが製造できる磁気テープ用ポリエステルフィルムを提供すること。
【解決手段】 走行面側(表面B側)にシランカップリング剤と水溶性または水分散性を有する高分子とを含む塗液を塗布して塗布層を設け、磁性面側(表面A側)に強磁性金属薄膜層を設けてなる磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法であって、一方向に延伸されたポリエステルシートの表面B側に、前記塗液を、その温度を20℃以下に保った状態で循環濾過しながら塗布する。
【選択図】 なし
【解決手段】 走行面側(表面B側)にシランカップリング剤と水溶性または水分散性を有する高分子とを含む塗液を塗布して塗布層を設け、磁性面側(表面A側)に強磁性金属薄膜層を設けてなる磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法であって、一方向に延伸されたポリエステルシートの表面B側に、前記塗液を、その温度を20℃以下に保った状態で循環濾過しながら塗布する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、特にデジタルビデオカセットテープ用等のデジタルデータを記録する強磁性金属薄膜型磁気記録媒体を生産性良く高品質で製造するために好適な磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを製造する方法に関する。
1995年に実用化された民生用デジタルビデオテープは厚さ6〜7μmのベースフィルム上にCoの金属磁性薄膜を真空蒸着により設け、その表面にダイヤモンド状カーボン膜をコーティングし、更にその上に潤滑剤層をコーティングにより設け、そのベースフィルムの反対面側にはビデオテープレコーダー内でのテープの走行性、耐久性を確保するためのバックコート層が設けられたものであり、デジタルビデオミニカセットを使用したカメラ一体型ビデオの場合には基本仕様(SD仕様)で1時間の録画時間をもつ。
このデジタルビデオカセット(DVC)は、家庭用で世界で初のデジタルビデオカセットテープであり、a.小型ボディながら、膨大な情報が記録できる、b.信号が劣化しないから、何年たっても画質・音質が劣化しない、c.雑音の妨害を受けないから高画質・高音質が楽しめる、d.ダビングを繰り返しても映像が劣化しない、等のメリットを持ち、市場の評価は高い。
そのベースフィルムの製造方法としては、一方向に延伸されたポリエステルフィルムの金属磁性薄膜を形成させる側の面に水溶性高分子と平均粒径5nm以上の微細粒子を主体とする水溶液を3〜1,000mg/m2塗布し、乾燥後、上記延伸方向と直角の方向に延伸し、熱処理を施し、皮膜を形成せしめるという製造方法(例えば特許文献1参照)等が用いられてきたが、蒸着面側の異物、コンタミを減少させる目的でその塗布液を濾過精度2.0μmより細かいフィルターで循環し、その温度を10〜30℃に保持される製造方法(例えば特許文献2参照)が提案され実施されている。
民生用デジタルビデオテープは非常に好評であり、市場により多くのテープを投入することが望まれており、1回の蒸着操作でより多量のデジタルビデオテープが製造できるように、ロールに巻かれるベースフィルムの長さが従来は10,000m以下であったものを、12,000m以上、更には15,000m以上とより長尺化することが行われてきた。また、磁気テープ製造時の蒸着速度の増速も行われており1日あたりのデジタルビデオテープの生産量は増加してきており、蒸着速度を増速させるためには一定時間内により多量のCoの金属薄膜をベースフィルム表面に設けなけれならず、これに伴い、真空蒸着の際のベースフィルムから冷却キャンへ逃げる熱量を増やさねばならないが、冷却キャンへ逃げる熱量を十分に増やすことは工業的生産においては難しい。従って、蒸着速度の増速に伴って、ベースフィルムの温度が上昇しがちとなってきた。
そのために、特許文献1、特許文献2等に記載された製造方法による従来の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムをベースフィルムとして用いた場合、ベースフィルムの非磁性面側表面に皮膜が形成されている場合には、蒸着工程、特に真空蒸着の冷却キャンとの接触走行により削れ、それによりDOが多くなる問題がある。また、ベースフィルムの非磁性面側表面に皮膜が形成されていない場合には、そのベースフィルムを使用して蒸着速度をより増速して民生用デジタルビデオテープを製造する際に、フィルムの非磁性面側表面よりポリエステルフィルムの分解物が析出し易くなり、分解物が蒸着面側に転写し、製造されたデジタルビデオテープの電磁変換特性が不良でドロップアウトが多くなるという問題があった。そのため、12,000mを超える長尺ロール製品のポリエステルフィルムを蒸着速度を上げて蒸着しても、ベースフィルムの非磁性面側表面が真空蒸着機内の冷却キャンで削れたりせず、さらに、ベースフィルムへかかる熱負荷が増した場合でも非磁性面側表面からのポリエステル分解物の析出がなくて冷却キャンが汚れず、そして、製造されたデジタルビデオテープの電磁変換特性が良好で、ドロップアウトが少ないデジタルビデオテープを製造することができる磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを製造する製造法として、表面B側には、水溶性高分子又は水分散性高分子を主成分として含有する水系塗液を、固形分塗布濃度[0.1×S〜30×S]mg/m2(Sは塗布後の延伸倍率(倍)である)で塗布する製造方法(例えば特許文献3参照)が実用化されてきた。
しかしながら巻長さが15,000m程度のベースフィルムでは表面Bの塗布は均一であったが、DVCテープの需要は好調で、1回の蒸着操作でより多くのDVCテープを作成するため、30,000m以上の巻長さのポリエステルフィルムロールが求められている。しかしながら、特許文献3の方法ではポリエステルフィルム全長にわたっては表面Bへ不純物がない塗液塗布が難しく、またロール巻き取り初期と後期とでは固形分塗布密度が異なってくるということが明らかになり、ロール表層から得られた磁気テープとロール巻芯から得られた磁気テープのドロップアウト個数に違いがみられるということが明らかになってきた。
特公平3−80410号公報
特開2002−050034号公報
特開2002−183935号公報
本発明の目的は、30,000mを超えるポリエステルフィルムロールのどの部分から作成された磁気テープであっても出力特性が良く、ドロップアウトの少ない磁気記録テープ用ポリエステルフィルムを提供することにある。
すなわち本発明は、
1.走行面側(表面B側)にシランカップリング剤と水溶性または水分散性を有する高分子とを含む塗液を塗布して塗布層を設け、磁性面側(表面A側)に強磁性金属薄膜層を設けてなる磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法であって、一方向に延伸されたポリエステルシートの表面B側に、前記塗液を、その温度を20℃以下に保った状態で循環濾過しながら塗布する磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法、
2.厚みが3〜10μmである、上記1記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法、
3.長さが20,000m以上である、上記1または2記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法、
4.ポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2、6−ナフタレートである、上記1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法、
5.表面B側に塗布される塗布液の塗布厚みが0.1〜30μmである、上記1〜4のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法、
6.濾過精度が7μmより細かいフィルターを用いて塗液を循環濾過する、上記1〜5のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法、
7.磁気記録媒体がデジタル記録方式の磁気記録テープである、上記1〜6のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法、
を特徴とするものである。
1.走行面側(表面B側)にシランカップリング剤と水溶性または水分散性を有する高分子とを含む塗液を塗布して塗布層を設け、磁性面側(表面A側)に強磁性金属薄膜層を設けてなる磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法であって、一方向に延伸されたポリエステルシートの表面B側に、前記塗液を、その温度を20℃以下に保った状態で循環濾過しながら塗布する磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法、
2.厚みが3〜10μmである、上記1記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法、
3.長さが20,000m以上である、上記1または2記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法、
4.ポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2、6−ナフタレートである、上記1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法、
5.表面B側に塗布される塗布液の塗布厚みが0.1〜30μmである、上記1〜4のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法、
6.濾過精度が7μmより細かいフィルターを用いて塗液を循環濾過する、上記1〜5のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法、
7.磁気記録媒体がデジタル記録方式の磁気記録テープである、上記1〜6のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法、
を特徴とするものである。
本発明の製造方法によると、30,000mを超える長尺ロール製品のポリエステルフィルムを蒸着した場合でも、冷却キャンが汚れず、DOが少なく電磁変換特性が良好なDVCテープを生産性よく製造することができる磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを得ることができる。このように、高品質のDVCテープを生産性良く製造する磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを得るために本発明法は有効である。
本発明におけるポリエステルフィルムの巻き長さは20,000m以上であることが好ましい。20,000m未満であると、1回の真空蒸着の操作で得られるDVCテープ量が少なくなり、磁気テープ製造コストが上昇するため生産効率が低下する。
本発明におけるポリエステルは、分子配向により高強度フィルムとなり得るポリエステルであればよいが、その中でもポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。ここでいうポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートとは、その構成成分の80重量%以上がエチレンテレフタレート、またはエチレンナフタレートであるものである。エチレンテレフタレート、エチレンナフタレート以外のポリエステル共重合体成分としては、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能ジカルボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸などが挙げられる。
さらに、上記のポリエステルには、他にポリエステルと非反応性のスルホン酸のアルカリ金属塩誘導体、該ポリエステルに実質的に不溶なポリアルキレングリコールなどの少なくとも一つを5重量%を超えない程度で混合していてもよい。
本発明法において、被覆層を設けるための塗液は、溶融押出され冷却され一方向に延伸された段階のポリエステルシートの表面B側(走行面となる側)に対し塗布されるが、必要に応じてもう一方の表面A側(強磁性金属薄膜が形成される側)に塗布してもよい。このポリエステルシートは、ポリエステルを溶融してシートまたは円筒状に押出して冷却し、これを一方向に延伸した時点のフィルムであり、その延伸方向は通常縦方向である。その延伸温度は90〜130℃であり、延伸倍率は2倍以上が好ましく、その上限は特に規定されないが約6倍である。ポリエステルフィルムは表面A側を形成する層A用の原料と、表面B側を形成する積極的に微粒子を含有させた層B用の原料を用いて、A/B積層フィルムを押出し、得るのが好ましい。
表面A側には、水溶性高分子又は水分散性高分子と平均粒径5〜50nmの微細粒子とを主成分として含有する水系塗液が固形分濃度3〜100mg/m2で塗布されてもよい。ここで、水系塗液は、溶媒として水を用いてなる塗布液、即ち、水溶液状塗液又は水分散液状塗液である。
微細粒子の平均粒径が5nm未満であると、本発明法により製造されるポリエステルフィルムの表面A上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜層の表面が平滑になりすぎて、DVCビデオテープレコーダー内の記録、再生時に磁気ヘッドにより強磁性金属薄膜層が磨耗してしまう傾向がある。微細粒子の平均粒径が50nmを超えると、表面A上に形成される強磁性金属薄膜層が粗面すぎて、磁気記録テープの出力特性が低下しやすい。なお、この表面Aを形成する層Aは、ポリエステルフイルム含有粒子を可能な限り除いたポリエステルからなることが好ましい。
表面A側に塗布された上記水系塗液の塗布量が固形分濃度で3mg/m2未満であると、本発明法により製造されるポリエステルフィルムの表面A上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜層が、DVCテープレコーダー内の多数回にわたる繰返し記録、再生において耐久性不良となりやすい。塗布量が固形分濃度で100mg/m2を超えると、表面A上に形成される強磁性金属薄膜層が粗面化しDVCテープのドロップアウトが増大する傾向にある。
表面Aとは反対側の表面B側には、シランカップリング剤と水溶性または水分散性を有する高分子とを含む塗液を塗布して塗布層を設ける。好ましくは、この塗液にシリコーンが加わった組成であるとよい。この表面B用の塗液は、上記表面A用の塗液と同様に、溶媒として水を用いた水溶液や水分散液などの水系塗液であることが好ましい。
塗布方式としてはドクターブレード方式、グラビア方式、リバースロール方式、メタリングバー方式、エアーナイフ方式のいずれの方法であってもよいが、表面B側への塗布は濃度の低い塗液を均一に塗布することが容易なエアーナイフ方式が好ましい。この塗布は、好ましい表面塗布量より数倍量の液を塗布し、エアーナイフにより、余分の液量をかきおとすことにより、好ましい塗布液量がフィルム表面AやBに定量的に塗布される。塗布装置内においてフィルム表面と接触した水溶液中には、フィルム表面に存在した異物が移行してきたり、また、経時的にゲル状異物が発生したりするので、水溶液の清浄度を良好に保つためには、消費分を補充しつつ循環供給することが好ましい。
表面B側の水系塗液は濾過精度が7μmより細かいフィルター、より好ましくは5μmより細かいフィルターで濾過しつつフィルム表面Bへの塗布に循環供給し、かつ、循環供給される塗液の温度を20℃以下に保った状態で、より好ましくは10〜20℃に保った状態とするとよい。
濾過精度が7μm以上の粗いフィルターを使用すると塗液中で生成するゲル状異物を十分に除去することが困難となり、塗液塗布によって形成される皮膜中に、塗布液中のゲル状異物に起因する微細異物が生じ、フィルム表面Bが真空蒸着中、冷却キャンと接触する際に冷却キャンに転写し、冷却キャンを汚し、特に巻き長さが25,000mを超えるころから該部分のフィルムの冷却ができなくなり、真空蒸着時のフィルム熱負けとなり、該部分のテープのドロップアウトに繋がる傾向がある。これを防ぐためには、ゲル状異物の捕集能力が高いフィルターを使用することが好ましいので、フィルターを構成する濾材メディアの孔径が外側から内側に向かって連続的に小さくなっている厚みのあるプレフィルター部と絶対濾過精度を確保する一定孔のアブソリュート層部とから構成されるフィルターが、ゲル状異物の捕集能力が高いことから好ましい。
また、循環供給される塗液は温度を20℃以下に保持することが重要であり、より好ましくは10〜20℃であることが望ましい。10℃未満の低温では塗布液が乾燥しにくくなるので、作業効率がやや落ちる。20℃を超えると塗液中に含有される水溶性や水分散性の高分子とシランカップリング剤との反応によるゲル状異物の生成量が増えるので、フィルターで濾過してもゲル状異物の量を十分に低減させることが難しくなる。
この塗布液の中には微細粒子が実質的に存在しないことが好ましい。塗布液中に微細粒子が塗布液固形分比重量分率で20%程度含まれていても製膜工程では表面B上に形成された被膜の削れの問題は生じ難いが、蒸着時における冷却キャンとの間では削られて脱落しがちとなるので、また磁気テープ加工工程での各種搬送ロールで削られ易くなるので、表面B側に塗布される塗布液中には微細粒子が実質的に存在しないことが好ましい。
表面B側用の塗布液で用いられる水溶性の高分子としては、ポリビニルアルコール、トラガントゴム、アラビアゴム、カゼイン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリエステルエーテル共重合体、水溶性ポリエステル共重合体等が使用できる。また、水分散性の高分子としてはポリメタクリル酸メチルエマルジョン、ポリアクリル酸エステルエマルジョン等が使用できる。なかでも、セルロース誘導体と水溶性ポリエステル共重合体の高分子ブレンド体が特に好ましい。水溶性ポリエステル共重合体としては、ジカルボン酸成分とグリコール成分が重縮合したポリエステルであって、例えばスルホン酸基を有するジカルボン酸成分のような機能性酸成分を全カルボン酸成分の5モル%以上共重合せしめること、及び/又は、グリコール成分としてポリアルキレンエーテルグリコール成分を2〜70重量%共重合せしめることによって水溶性を付与したものが好ましいが、これらに限定されるものではない。
スルホン酸基を有するジカルボン酸としては、好ましくは5−スルホイソフタル酸、2−スルホテレフタル酸などや、それらの金属塩、ホスホニウム塩などが使用でき、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が特に好ましい。5−ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合せしめる際の他のジカルボン酸成分としてはイソフタル酸、テレフタル酸などが好ましく、グリコール成分としてはエチレングリコール、ジエチレングリコールなどが好ましい。セルロース誘導体はポリエステル分解物が析出することを防ぐために寄与し、水溶性ポリエステル共重合体はセルロ−ス誘導体とポリエステルフィルム表面との接着性を増大させるために寄与する。
シリコーンとしては、ポリジメチルシロキサン等のシロキサン結合を分子骨格にもつ有機ケイ素化合物が共有結合で多数つながった重合体が使用できる。シリコーンとしては側鎖、末端にエポキシ基、アミノ基、メタアクリル基、水酸基等の官能性基で変性されたものがより好ましい。シリコーンにより被覆層の易滑性が向上し、冷却キャンとの走行性、耐削れ性が確保される。またポリエステルフィルムを巻いたときのフィルム間のブロッキングが防止される。なおフッ素化合物を易滑剤として用いても良い。
シランカップリング剤としては、その分子中に2個以上の異なった反応基をもつ有機ケイ素単量体が挙げられ、その反応基の一つはメトキシ基、エトキシ基、シラノール基などであり、もう一つの反応基はビニル基、エポキシ基、メタアクリル基、アミノ基、メルカプト基などである。反応基としては水溶性高分子の側鎖、末端基およびポリエステルと結合するものが選ばれるが、シランカップリング剤としてビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が適用できる。シランカップリング剤はシリコーンが被覆層より遊離されることを防ぐために寄与し、さらに、被覆層とポリエステルとの接着性を向上させるためにも寄与する。
本発明で用いる水系塗液は、固形分塗布濃度[0.1×S〜30×S]mg/m2、より好ましくは[0.3×S〜15×S]mg/m2で塗布するのが望ましい。ここでSは塗布液塗布後に延伸される倍率であり詳細については後述する。
表面B側に塗布された上記水系塗液の塗布量が固形分濃度で[0.1×S]mg/m2未満であると表面B上の被覆層の厚みが薄くなりすぎるので、得られたポリエステルフィルムをベースフィルムに使用して蒸着速度をより増速して民生用デジタルビデオテープを製造した場合、ポリエステルフィルムの分解物が表面Bより析出し易くなり、分解物が蒸着面側に転写し、製造されるDVCテープの電磁変換特性が不良となりドロップアウトが多くなる傾向がある。表面B側に塗布された上記水系塗液の塗布量が固形分濃度で[30×S]mg/m2を超えると、表面B上に形成された被覆層(塗布層)が冷却キャンで削られ易く、冷却キャンを汚しがちとなる。
表面B側に塗布される塗液(水系塗液)には、前述したとおり、水溶性または水分散性の高分子とシランカップリング剤とを含むもの、好ましくはさらにシリコーンを添加した水系塗液が好ましく用いられ、その水溶性高分子としては、前述したとおり、セルロース誘導体と水溶性ポリエステル共重合体とのブレンド体が特に望ましい。そのブレンド比は、セルロース誘導体[A]/水溶性ポリエステル共重合体[B]/シリコーン/シランカップリング剤の重量比率で、100/[60〜250]/[5〜20]/[5〜40]が好ましい。
表面B側に塗液が塗布された時の塗布厚み(WET厚み)は、0.1〜30μm、より好ましくは0.5〜15μmであることが望ましい。塗布厚みが0.1μmを下回ると、塗布スジが発生しやすくなる。塗布厚みが30μmを上回ると、この後の乾燥がしづらくなる。
上記水系塗液の塗布の後には塗液は乾燥されるが、その乾燥の後あるいは乾燥させながら、先の延伸方向とは直角の方向へ延伸されることが好ましい。その後さらに必要に応じて再延伸される。その直角の方向への延伸は、通常横方向への延伸で行われ、好ましくは90〜145℃で3.0〜7.0倍(=S1)で行われ、更に必要に応じて行われる再縦延伸は、100〜150℃で1.1〜3.0倍(=S2)の倍率で縦方向に延伸することが好ましい。この後、190〜220℃の温度で熱処理が行われる。次に、130〜190℃の温度で0.2〜2.5%程度の横方向への弛緩処理が、フィルムの熱収縮率を低下させるために行われることが好ましい。なお横強度が更に大であることが必要である場合には熱固定と同時に横方向に1.1〜2.0倍(=S3)の延伸(再横延伸)を行うことが好ましい。
本発明における「塗布後の延伸倍率」Sは、S1×S2×S3を意味する。再縦延伸や再横延伸を行なわない場合はS2=1、S3=1とみなす。表面Bへの塗布量は最終的には固形分濃度で0.1〜30mg/m2であることが望ましい。
本発明においては、層A用の原料と、積極的に微粒子を含有させた層B用の原料を用いて、A/B積層フィルムを押出すことが好ましい。磁気記録テープの磁気ヘッドによる耐久性を更に増すためには、ポリエステルフィルムの表面A側を形成するポリエステルフィルム層A内に、平均粒径が20〜100nm、より好ましくは25〜70nmの微細粒子を0.01〜1.0重量%、より好ましくは0.02〜0.8重量%を含ませてもよい。層B内に用いられる微細粒子としては炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、ポリスチレン等が例示される。この微細粒子としては、平均粒子径が好ましくは100〜1,000nm、より好ましくは150〜900nmのものが用いられ、添加量としては好ましくは0.05〜1.0重量%、より好ましくは0.08〜0.8重量%である。
これらの粒子は、天然品、合成品いずれでも良いが、シャープな粒径の不活性粒子を得るためには合成された粒子がより好ましい。市販の不活性粒子を利用できる。炭酸カルシウムは石灰石を石灰焼成炉で無煙炭又はコークスとともに焼成して、生石灰とし、その生石灰に水を加えてできた石灰乳に、石灰石を焼成した時に発生した炭酸ガスを反応させ、均一な粒子の沈降炭酸カルシウムを生成できる。燐酸カルシウムは賞賛カルシウム、燐酸2水素アンモニウム、尿素を含む酸性水溶液をアルギン酸アンモニウム、ウレアーゼを含む水溶液に添加することにより球状のゲル粒子が採取でき、それを乾燥することにより得ることができる。シリカ、コロイダルシリカは珪酸ソーダ水溶液の酸又はアルカリ金属塩による中和、分解反応により調製できる。アルミナは水酸化アルミニウムを焼成して得ることができる。ポリスチレン粒子としては架橋性硬化型ポリスチレン粒子が好ましく、粒子を構成する主要組成がスチレンまたはその誘導体である粒子であり、スチレンのソープフリー乳化重合によりシード粒子を合成し、オリゴマ程度の分子量の膨潤助剤を用いて膨潤させ、スチレン、ジビニルベンゼンを吸収して重合させることにより球形の粒子径のシャープな架橋したポリスチレン粒子が利用できる。シリカ−アルミナ複合体はケイ酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウムの反応により合成されたもの等を使用できる。シリコーンは金属ケイ素よりジメチルクロロシラン等のシランを作成し、この加水分解、重合によりポリシロキサンを合成することによりシリコーンが得られる。ポリアクリル、架橋ジビニルベンゼンはアクリル酸、ジビニルベンゼンのラジカルエマルジョン重合により調製できる。
本発明に用いる上記不活性粒子はポリエステルに公知の種々の方法によって添加、混合できる。中でもポリエステル 重合開始前から重合反応中の段階で添加するのが粒子分散性の点で特に好ましい。ポリエステル 組成物を製造する前駆段階または重縮合段階における粒子の添加は、エチレングリコールのスラリーとして添加するのが好ましい。そのスラリー濃度としては0.5〜20重量%程度が適当である。エチレングリコール等の分散媒への分散法は例えば高速分散機、サンドミル、ロールシール等を用いてもよい。また分散時にはリン酸、亜リン酸、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどのリン原子含有化合物、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、ヒドロキシルアミンなどの窒素原子含有化合物、アルカリ化合物、陽イオン、陰イオン、両性もしくは非イオン性などの界面活性剤あるいは水溶性高分子等の分散剤を使用するとスラリーおよびポリマー中の不活性粒子の分散性がさらに向上し、特に好ましい。
製造される磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの表面AのRa値は、表面A上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜層が記録・再生時の磁気ヘッドにより受ける磨耗を極力少なくし、および磁気テープの出力特性を良好に保つために2〜5nm、より好ましくは2〜4nmである。Ra値が2nm未満であると、表面A上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜の表面が平滑すぎて、DVCビデオテープレコーダー内での記録、再生時に磁気ヘッドによりDVCテープが磨耗しやすい。Ra値が5nmを超えると、表面A上の強磁性金属薄膜層が粗面すぎて、DVCテープの出力特性が低下する傾向にある。表面BのRa値は5〜30nm、より好ましくは6〜20nmである。Ra値が5nm未満であると平滑すぎて、ポリエステルフィルムの製造の際、特に製膜後のスリッターによるスリット工程で、フィルムを所定の幅にスリットしロール状に巻き製品化する時にしわが入りすぎ、ロール状に巻けなくなることがある。Ra値が30nmを上回ると、表面Bの粗さが増大し、ポリエステルフィルムを製造し、10,000m以上にスリットし製品として放置している期間に、ポリエステルフィルムの表面Bの粗さが表面Aに転写し、表面Aの表面うねりが増大し、真空蒸着後、強磁性金属表面層の表面うねりが大きくなり、DVCテープの電磁変換特性が悪化し、ドロップアウトが増大する傾向がある。
本発明法により製造されるポリエステルフィルムの厚みは3〜10μmが好ましく、さらに好ましくは厚さ3〜6.8μmが望ましい。厚さが10μmを上回ると、作成されるDVCテープが厚くなりすぎ、規定のカセットに収められなくなることがある。
DVCテープを製造する際には、本発明の製造方法により製造されたポリエステルフィルムの表面A上に真空蒸着により強磁性金属薄膜層を設けるが、使用する金属薄膜は公知のものを使用でき、特に限定されないが、鉄、コバルト、ニッケル、またはそれらの合金の強磁性体からなるものが好ましい。金属薄膜層の厚さは100〜300nmが好ましい。金属薄膜層上には10nm程度の厚みのダイヤモンド状カーボン膜がコーティングされ、更にその上に潤滑剤処理されることが好ましい。さらに表面B上には、固体微粒子および結合剤からなり必要に応じて各種添加剤を加えた溶液を塗布することにより形成されるバックコート層を設けることが好ましく、固体微粒子、結合剤、添加剤は公知のものを使用でき、特に限定されない。バックコート層の厚さは0.3〜1.5μm程度である。
[測定方法]
(1)微細粒子の平均粒径(d)
電子顕微鏡(電顕)試験台上に微細粒子粉体を、この粒子ができるだけ重ならないように散在せしめ、電顕(好ましくは透過型電子顕微鏡)により倍率100万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子について面積円相当径を求め、この数平均値をもって粒径とした。
(1)微細粒子の平均粒径(d)
電子顕微鏡(電顕)試験台上に微細粒子粉体を、この粒子ができるだけ重ならないように散在せしめ、電顕(好ましくは透過型電子顕微鏡)により倍率100万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子について面積円相当径を求め、この数平均値をもって粒径とした。
なお、この粒径をフィルムから求める場合には下記のa)手法等により求められる。
a)フィルムA面に金スパッター装置により金薄膜蒸着層を厚み20〜30nm(χnm)で設け、電子顕微鏡(好ましくは走査型電子顕微鏡)により倍率10万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子について面積円相当径を求め、この数平均値より2χnmを減じた値をもって粒径とする。
(2)水系塗液の塗布時の固形分濃度(単位:mg/m2)
フィルムの表面に水系塗液を塗布する際、一定時間内の塗布により消費される水系塗液の重量を求める。その一定時間内に水系塗液が塗布された面積を、塗布幅とフィルム速度と塗布時間とから算出する。その塗布時の水系塗液量を塗布面積で除し、さらに、塗布した水系塗液中の固形分割合より、水系塗液の塗布時の固形分濃度(単位:mg/m2)を算出する。この固形分濃度は、塗布面積1m2あたりに何mgの固形分が塗られているかを示す値である。
フィルムの表面に水系塗液を塗布する際、一定時間内の塗布により消費される水系塗液の重量を求める。その一定時間内に水系塗液が塗布された面積を、塗布幅とフィルム速度と塗布時間とから算出する。その塗布時の水系塗液量を塗布面積で除し、さらに、塗布した水系塗液中の固形分割合より、水系塗液の塗布時の固形分濃度(単位:mg/m2)を算出する。この固形分濃度は、塗布面積1m2あたりに何mgの固形分が塗られているかを示す値である。
(3)水系塗液の塗布時の塗布厚み(単位:μm)
上記(2)で求めた塗布時の塗液消費重量を塗布面積で除し、さらに、塗布した水系塗液の密度で除し、塗布厚み(μm)を計算する。
上記(2)で求めた塗布時の塗液消費重量を塗布面積で除し、さらに、塗布した水系塗液の密度で除し、塗布厚み(μm)を計算する。
(4)表面粗さRa値
フィルムの表面のRa値は原子間力顕微鏡(走査型プローブ顕微鏡)を用いて測定した。セイコーインスツルメント社製の走査型プローブ顕微鏡(SPI3800シリーズ)を用い、ダイナッミクフォースモードでフィルムの表面を30μm角の範囲で原子間力顕微鏡計測走査を行い、得られる表面のプロファイル曲線よりJIS B0601 Raに相当する算術平均粗さより求めた。面内方向の拡大倍率は1万から5万倍、高さ方向の拡大倍率は100万倍程度とした。
フィルムの表面のRa値は原子間力顕微鏡(走査型プローブ顕微鏡)を用いて測定した。セイコーインスツルメント社製の走査型プローブ顕微鏡(SPI3800シリーズ)を用い、ダイナッミクフォースモードでフィルムの表面を30μm角の範囲で原子間力顕微鏡計測走査を行い、得られる表面のプロファイル曲線よりJIS B0601 Raに相当する算術平均粗さより求めた。面内方向の拡大倍率は1万から5万倍、高さ方向の拡大倍率は100万倍程度とした。
(5)磁気テープの特性
市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダー(DVC)を用いドロップアウト(DO)を観測することにより評価した。作成したDVCテープに市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダーで録画し、1分間の再生をして画面にあらわれたブロック状のモザイク個数を数えることによりDOの測定をした。なおDOは常温常湿(25℃、60%RH)でテープ製造後の初期特性を調べた。さらに100回繰返し走行後のDOも測定した。DOは小さい値の方が良い。
市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダー(DVC)を用いドロップアウト(DO)を観測することにより評価した。作成したDVCテープに市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダーで録画し、1分間の再生をして画面にあらわれたブロック状のモザイク個数を数えることによりDOの測定をした。なおDOは常温常湿(25℃、60%RH)でテープ製造後の初期特性を調べた。さらに100回繰返し走行後のDOも測定した。DOは小さい値の方が良い。
[実施例1]
実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート原料Aと、実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートに平均粒径190nmのケイ酸アルミニウムと粒子径320nmのポリスチレン球とをそれぞれ0.36重量%、0.02重量%含有させた原料Bとを厚み比10:1の割合で共押出しし、ロール延伸法で110℃で3.0倍に縦延伸した。
実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート原料Aと、実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートに平均粒径190nmのケイ酸アルミニウムと粒子径320nmのポリスチレン球とをそれぞれ0.36重量%、0.02重量%含有させた原料Bとを厚み比10:1の割合で共押出しし、ロール延伸法で110℃で3.0倍に縦延伸した。
縦延伸の後の工程で、A層の外側に下記組成・濃度の水溶液を塗布濃度(固形分濃度)30mg/m2でメタリングバーを用いて塗布した。また、B層の外側に下記組成・濃度の水溶液を塗布濃度(固形分濃度)9.4mg/m2、塗布厚み3.0μmでエアーナイフ方式で塗布した。
A層外側:メチルセルロース 0.10重量%
水溶性ポリエステル 0.30重量%
アミノエチルシランカップリング剤 0.01重量%
平均粒径 12nmの極微細シリカ 0.03重量%
B層外側:メチルセルロース 0.10重量%
水溶性ポリエステル 0.13重量%
アミノエチルシランカップリング剤 0.01重量%
ポリジメチルシロキサン
(両末端アミノ基変性体) 0.02重量%
なお、ここでA層外側塗布に用いた水溶液は、濾過精度1.5μmのフィルターで濾過されつつ循環供給されており、フィルター前圧力は5kPa〜80kPaの範囲内に保った。水溶液温度は18℃〜22℃の範囲内に管理した。またフィルターとしては、フィルターを構成する濾材メディアの孔径が外側から内側に向かって連続的に小さくなっている厚みのあるプレフィルター部と濾過精度1.5μmを確保する一定孔のアブソリュート層部とから形成されている構造のフィルターを用いた。
水溶性ポリエステル 0.30重量%
アミノエチルシランカップリング剤 0.01重量%
平均粒径 12nmの極微細シリカ 0.03重量%
B層外側:メチルセルロース 0.10重量%
水溶性ポリエステル 0.13重量%
アミノエチルシランカップリング剤 0.01重量%
ポリジメチルシロキサン
(両末端アミノ基変性体) 0.02重量%
なお、ここでA層外側塗布に用いた水溶液は、濾過精度1.5μmのフィルターで濾過されつつ循環供給されており、フィルター前圧力は5kPa〜80kPaの範囲内に保った。水溶液温度は18℃〜22℃の範囲内に管理した。またフィルターとしては、フィルターを構成する濾材メディアの孔径が外側から内側に向かって連続的に小さくなっている厚みのあるプレフィルター部と濾過精度1.5μmを確保する一定孔のアブソリュート層部とから形成されている構造のフィルターを用いた。
B層外側塗布に用いた水溶液は、濾過精度5.0μmのフィルターで濾過されつつ循環供給されており、フィルター前圧力は40kPa〜250kPaの範囲内に保った。水溶液温度は13℃〜17℃の範囲内に管理した。またフィルターとしては、フィルターを構成する濾材メディアの孔径が外側から内側に向かって連続的に小さくなっている厚みのあるプレフィルター部と濾過精度5.0μmを確保する一定孔のアブソリュート層部とから形成されている構造のフィルターを用いた。
その後、ステンターにて横方向に98℃で3.5倍に延伸し、210℃で熱処理し、中間スプールに巻き、スリッターで小幅にスリットし、円筒コアーにロール状に巻取り、厚さ6.3μmの幅620mm、長さ30,000mのポリエステルフィルムロールを製造した。ポリエステルフィルムの表面A/BのRa値は3.0/11.0nmであった。
このポリエステルフィルムの表面Aに真空蒸着によりコバルト−酸素薄膜を110nmの膜厚で強磁性金属薄膜層を形成した。次にコバルト−酸素薄膜層上に、スパッタリング法によりダイヤモンド状カーボン膜を10nmの厚みで形成させた。続いて、表面B上に、カーボンブラック、ポリウレタン、シリコーンからなるバックコート層を400nm厚さで設け、スリッターにより幅6.35mmにスリットしリールに巻き取りDVCテープを作成した。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1、表2に示す。磁気テープの特性はポリエステルフィルム製品の表層部、表層からの長さ10,000m部、20,000m部、25,000m部、巻芯部から作成の磁気テープの特性を比較した。
[実施例2]
実施例1のベースフィルム製造において、ポリエチレンテレフタレートをポリエチレン−2,6−ナフタレートと変更し、原料B内のケイ酸アルミニウムの含有量を1.1重量%とし、縦延伸温度、倍率を135℃で5.0倍とし、A層外側の水溶液塗布濃度(固形分濃度)を40mg/m2とし、B層外側の水溶液塗布濃度(固形分濃度)を17.5mg/m2、塗布厚み5.6μmで塗布した。横延伸温度、倍率を135℃、6.5倍とし、200℃で熱処理に変更し、その他は同様にして、厚さ4.2μmの幅620mm、長さ30,000mのポリエステルフィルムロールを得た。ポリエステルフィルムの表面A/BのRa値は3.2/11nmであった。その他は実施例1と同様にして幅6.35mmのDVCテープを作成した。得られたポリエステルフィルム及びDVCテープの特性を表1、表2に示す。
実施例1のベースフィルム製造において、ポリエチレンテレフタレートをポリエチレン−2,6−ナフタレートと変更し、原料B内のケイ酸アルミニウムの含有量を1.1重量%とし、縦延伸温度、倍率を135℃で5.0倍とし、A層外側の水溶液塗布濃度(固形分濃度)を40mg/m2とし、B層外側の水溶液塗布濃度(固形分濃度)を17.5mg/m2、塗布厚み5.6μmで塗布した。横延伸温度、倍率を135℃、6.5倍とし、200℃で熱処理に変更し、その他は同様にして、厚さ4.2μmの幅620mm、長さ30,000mのポリエステルフィルムロールを得た。ポリエステルフィルムの表面A/BのRa値は3.2/11nmであった。その他は実施例1と同様にして幅6.35mmのDVCテープを作成した。得られたポリエステルフィルム及びDVCテープの特性を表1、表2に示す。
[実施例3]
実施例1のベースフィルム製造において、B層外側の水溶液組成を下記のように変更し、塗布濃度(固形分濃度)を8.0mg/m2、塗布厚みを0.08μmで塗布した。
実施例1のベースフィルム製造において、B層外側の水溶液組成を下記のように変更し、塗布濃度(固形分濃度)を8.0mg/m2、塗布厚みを0.08μmで塗布した。
B層外側:メチルセルロース 3.8重量%
水溶性ポリエステル 4.9重量%
アミノエチルシランカップリング剤 0.38重量%
ポリジメチルシロキサン 0.76重量%
その他は実施例1と同様にして、厚さ6.3μmの幅620mm、長さ30,000mのポリエステルフィルムロールを製造した。ポリエステルフィルムの表面A/BのRa値は3.0/11nmであった。B層外側塗布液の粘度が高く、塗布厚みが薄く、長手方向に塗布すじが発生しており、塗布すじ発生部分がフィルムロールにした時、長手方向のしわとなった。本フィルムロールを用いて実施例1と同様にして幅6.35mmのDVCテープを作成したが、長手方向のしわが発生している部分からはDVCテープが作成できず、収率は約80%であった。得られたポリエステルフィルム及びDVCテープの特性を表1、表2に示す。
水溶性ポリエステル 4.9重量%
アミノエチルシランカップリング剤 0.38重量%
ポリジメチルシロキサン 0.76重量%
その他は実施例1と同様にして、厚さ6.3μmの幅620mm、長さ30,000mのポリエステルフィルムロールを製造した。ポリエステルフィルムの表面A/BのRa値は3.0/11nmであった。B層外側塗布液の粘度が高く、塗布厚みが薄く、長手方向に塗布すじが発生しており、塗布すじ発生部分がフィルムロールにした時、長手方向のしわとなった。本フィルムロールを用いて実施例1と同様にして幅6.35mmのDVCテープを作成したが、長手方向のしわが発生している部分からはDVCテープが作成できず、収率は約80%であった。得られたポリエステルフィルム及びDVCテープの特性を表1、表2に示す。
[実施例4]
実施例1のベースフィルム製造において、B層外側の水溶液組成を下記のように変更し、塗布濃度(固形分濃度)を9.9mg/m2、塗布厚みを41μmで塗布した。
実施例1のベースフィルム製造において、B層外側の水溶液組成を下記のように変更し、塗布濃度(固形分濃度)を9.9mg/m2、塗布厚みを41μmで塗布した。
B層外側:メチルセルロース 0.007重量%
水溶性ポリエステル 0.009重量%
アミノエチルシランカップリング剤 0.001重量%
ポリジメチルシロキサン 0.002重量%
その他は実施例1と同様にして、厚さ6.3μmの幅620mm、長さ30,000mのポリエステルフィルムロールを製造しようとしたが、B層外側塗液の乾燥が困難であり、フィルムが横延伸時破れがちであり、製膜速度を3割下げることによって長さ30,000mのポリエステルフィルムロールを採取できた。ポリエステルフィルムの表面A/BのRa値は3.0/12nmであった。本フィルムロールを用い、実施例1と同様にして幅6.35mmのDVCテープを作成した。得られたポリエステルフィルム及びDVCテープの特性を表1、表2に示す。
水溶性ポリエステル 0.009重量%
アミノエチルシランカップリング剤 0.001重量%
ポリジメチルシロキサン 0.002重量%
その他は実施例1と同様にして、厚さ6.3μmの幅620mm、長さ30,000mのポリエステルフィルムロールを製造しようとしたが、B層外側塗液の乾燥が困難であり、フィルムが横延伸時破れがちであり、製膜速度を3割下げることによって長さ30,000mのポリエステルフィルムロールを採取できた。ポリエステルフィルムの表面A/BのRa値は3.0/12nmであった。本フィルムロールを用い、実施例1と同様にして幅6.35mmのDVCテープを作成した。得られたポリエステルフィルム及びDVCテープの特性を表1、表2に示す。
[実施例5]
実施例1のベースフィルム製造において、B層外側の塗布水溶液の循環供給に使用するフィルターの濾過精度を9.0μmとした。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの幅620mm、長さ30,000mのポリエステルフィルムロールを製造し、幅6.35mmのDVCテープを作成した。得られたポリエステルフィルム及びDVCテープの特性を表1、表2に示す。ポリエステルフィルムの表面A/BのRa値は3.0/11nmであった。
実施例1のベースフィルム製造において、B層外側の塗布水溶液の循環供給に使用するフィルターの濾過精度を9.0μmとした。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの幅620mm、長さ30,000mのポリエステルフィルムロールを製造し、幅6.35mmのDVCテープを作成した。得られたポリエステルフィルム及びDVCテープの特性を表1、表2に示す。ポリエステルフィルムの表面A/BのRa値は3.0/11nmであった。
[実施例6]
実施例1のベースフィルム製造において、循環しているB層外側の塗布水溶液を冷却して、温度を5〜8℃に保持した。横方向の延伸時に、フィルムは破れやすく、長さ30,000m以上のフィルムロールの製造は困難であった。そのためフィルム製膜速度を3割下げて、厚さ6.3μmの幅620mm、長さ30,000mのポリエステルフィルムロールを製造し、幅6.35mmのDVCテープを作成した。得られたポリエステルフィルム及びDVCテープの特性を表1、表2に示す。ポリエステルフィルムの表面A/BのRa値は3.0/11nmであった。
実施例1のベースフィルム製造において、循環しているB層外側の塗布水溶液を冷却して、温度を5〜8℃に保持した。横方向の延伸時に、フィルムは破れやすく、長さ30,000m以上のフィルムロールの製造は困難であった。そのためフィルム製膜速度を3割下げて、厚さ6.3μmの幅620mm、長さ30,000mのポリエステルフィルムロールを製造し、幅6.35mmのDVCテープを作成した。得られたポリエステルフィルム及びDVCテープの特性を表1、表2に示す。ポリエステルフィルムの表面A/BのRa値は3.0/11nmであった。
[比較例1]
実施例1のベースフィルム製造において、B層外側の塗布水溶液の循環供給にフィルターを使用しなかった。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの幅620mm、長さ30,000mのポリエステルフィルムロールを製造し、幅6.35mmのDVCテープを作成した。得られたポリエステルフィルム及びDVCテープの特性を表1、表2に示す。ポリエステルフィルムの表面A/BのRa値は3.0/11nmであった。
実施例1のベースフィルム製造において、B層外側の塗布水溶液の循環供給にフィルターを使用しなかった。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの幅620mm、長さ30,000mのポリエステルフィルムロールを製造し、幅6.35mmのDVCテープを作成した。得られたポリエステルフィルム及びDVCテープの特性を表1、表2に示す。ポリエステルフィルムの表面A/BのRa値は3.0/11nmであった。
[比較例2]
実施例1のベースフィルム製造において、循環しているB層外側の塗布水溶液を加温して温度25〜35℃に保持した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの幅620mm、長さ30,000mのポリエステルフィルムロールを製造し、幅6.35mmのDVCテープを作成した。得られたポリエステルフィルム及びDVCテープの特性を表1、表2に示す。ポリエステルフィルムの表面A/BのRa値は3.0/11nmであった。
実施例1のベースフィルム製造において、循環しているB層外側の塗布水溶液を加温して温度25〜35℃に保持した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの幅620mm、長さ30,000mのポリエステルフィルムロールを製造し、幅6.35mmのDVCテープを作成した。得られたポリエステルフィルム及びDVCテープの特性を表1、表2に示す。ポリエステルフィルムの表面A/BのRa値は3.0/11nmであった。
表1、表2の特性から明らかな様に、本発明の製造方法により製造されたポリエステルフィルムを用いて製造されたDVCテープは25,000mを超えたフィルム部分においてもDOが少なく優れていた。
本発明は、30,000mを超える長尺化品でも、全長に渡り電磁変換特性に優れ、DOの少ない耐久性の良いデジタルビデオテープを作成するために適切な磁気テープ用ポリエステルフィルムを提供するが、蒸着型磁気テープのみならず、塗布型磁気テープ用ポリエステルフィルムとしても使用できる。
Claims (7)
- 走行面側(表面B側)にシランカップリング剤と水溶性または水分散性を有する高分子とを含む塗液を塗布して塗布層を設け、磁性面側(表面A側)に強磁性金属薄膜層を設けてなる磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法であって、一方向に延伸されたポリエステルシートの表面B側に、前記塗液を、その温度を20℃以下に保った状態で循環濾過しながら塗布する磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法。
- 厚みが3〜10μmである、請求項1記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法。
- 長さが20,000m以上である、請求項1または2記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法。
- ポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2、6−ナフタレートである、請求項1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法。
- 表面B側に塗布される塗布液の塗布厚みが0.1〜30μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法。
- 濾過精度が7μmより細かいフィルターを用いて塗液を循環濾過する、請求項1〜5のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法。
- 磁気記録媒体がデジタル記録方式の磁気記録テープである、請求項1〜6のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法。
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