JP2002220777A - 低通気織物の製造方法 - Google Patents

低通気織物の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】エアバッグ用織物として必要な基布物性を保持
しつつ、低通気度を有する高密度織物の製造方法を提供
する。 【解決手段】製織後の基布を60〜100℃の温水で収
縮処理後、90〜150℃で乾燥をする工程において基
布の経糸張力を0.040g/dtex以下に調節して
乾燥することを特徴とする低通気織物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車用安全装置の
一つであるエアバッグ用織物に関し、更に詳しくは、必
要な機械的特性を保持しつつ、低通気度を有する高密度
織物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車安全部品の一つとしてのエ
アバッグは乗員の安全意識の向上に伴い、急速に装着率
が向上している。エアバッグは自動車の衝突事故の際、
衝撃をセンサーが感知し、インフレーターから高温、高
圧のカ゛スを発生させ、このガスによってエアバッグを急
激に展開させ、乗員保護に役立つものである。
【0003】従来、エアバッグにはクロロプレン、クロ
ルスルフォン化オレフィン、シリコーンなどの合成ゴム
が塗布された基布が、耐熱性、空気遮断性(通気度)、
難燃性の目的から使用されていた。
【0004】しかしながら、これらのコーティング基布
は基布重量の増加、柔軟性の低下、製造コストの増加
、リサイクル不可のため、エアバッグ用基布に使用す
るには不具合な点が多かった。現在でも一部で使用され
ているシリコーンコーティング基布は上記不具合点がか
なり改善されてはきたが、まだ満足できるものではな
い。
【0005】そこで、最近はコーティングを施さないノ
ンコートエアバッグ用基布が主流になっており、軽量
化、良好な収納性、低通気度化のために様々な提案がな
されている。この中で、単糸繊度を細くし軽量、コンパ
クト化、低通気性を実現してきている。特開平3−13
7245号公報には、熱収縮による低通気度織物が開示
されているが満足行くものではない。このような現状に
おいて、高密度織物を製織する場合、加工工程でより通
気度を低下させる加工方法が求められるが満足のいくも
のはなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の方法では解
決できていない加工工程で低通気度の高密度織物を製造
する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段、即ち、本発明の第1は、製織後の基布を60〜
100℃の温水で収縮処理後、90〜150℃で乾燥を
する工程において基布の経糸張力を0.040g/dtex
以下に調節して乾燥することを特徴とする低通気織物の
製造方法であり、その第2は、基布の経糸張力が0.0
30g/dtex以下である請求項1記載の低通気織物の製
造方法であり、その第3は、基布の経糸張力が0.02
0g/dtex以下である請求項1記載の低通気度織物の製
造方法であり、その第4は、低通気織物のカバーファク
ターが2000〜2600である請求項1記載の低通気
織物の製造方法であり、尚、カバーファクターは、下式
2で求められる。
【数2】 A:経糸の太さ (dtex) B:緯糸の太さ (dtex) W1:経密度 (本/in.) W2:緯密度 (本/in.) その第5は、低通気織物の通気度が0.15cc/cm2
/sec以下である請求項1記載の低通気織物の製造方法
である。
【0008】ここで本発明のエアバッグに適した低通気
度な高密度織物の製造方法について特徴を詳細に説明す
ると、製織後の基布を温水で収縮加工する工程で温水の
温度は、60〜100℃が良い、更に好ましくは80〜
98℃である。60℃未満では、収縮により基布の細孔
を小さくすることができず通気度を下げることができな
い。また、水温を100℃以上にするためには、加圧系
の加工機を用いなければならず連続加工に適さない。乾
燥加工工程は、90〜150℃で乾燥することが必要で
ある。90℃未満では、乾燥時間がかかり、150℃を
越えると通気度が上がる傾向になり良くない。加工工程
において基布の経糸張力は、0.040g/dtex以下で
加工することが必要であり、好ましくは、0.030g
/dtex以下であり、更に好ましくは、0.020g/dt
ex以下である。加工張力は、0.040g/dtexを超え
ると通気度を下げることができなくなり好ましくない。
本発明における乾燥処理温度は90〜150℃であり、
好ましくは、120〜140℃で処理をするのが低通気
性を得るのにはよい。本発明における加工張力は、温水
での収縮工程及び乾燥工程での基布にかかる張力をい
い、どの工程でも張力が、規定値を越えてはいけない。
【0009】本発明に用いられる熱可塑性繊維の沸水収
縮率は、5〜15%で有ることが必要である。沸水収縮
率が、5%より小さいと低通気度が得られず、15%よ
り大きいと収縮後の織物の厚さが厚くなりコンパクト性
を損ねることとなり良くない。沸水収縮率の値は、5〜
15%程度の物を用いるのが好ましいが、さらに好まし
くは、8〜12%である。
【0010】製織の仕方としては特に限定するものでは
ないが、基布物性の均一性を勘案すると平織りが良く、
織機は、エアージェットルーム、レピアルーム、ウオー
タージェットルーム等特に限定するものでない。
【0011】本発明におけるエアバッグを構成する熱可
塑性繊維としては、特に素材を限定するものではない
が、特にナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナ
イロン12等の脂肪族ポリアミド繊維、ポリエチレンテ
レフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのホモ
ポリエステルが使用されるが特に限定するものではな
い。ただし、経済性や耐衝撃性を勘案するとナイロン6
6、ナイロン46、ナイロン6が特に好ましい。また、
これらの合成繊維には原糸製造工程や後加工工程での工
程通過性を向上させるために、各種添加剤を含有または
付与していても何ら問題はない。例えば、酸化防止剤、
熱安定剤、平滑剤、帯電防止剤、難燃剤等である。
【0012】また、使用する原糸の総繊度および単糸繊
度は総繊度が100〜550dtex、単糸繊度が6dtex以
下が好ましい。更に好ましくは総繊度200dtex〜47
0dtex、単糸繊度4.4dtex以下である。ここで、総繊
度が100dtex未満場合にはその部分での引張強力及び
引裂強力が不足し、550dtexを超える場合には織物の
柔軟性が損なわれ、収納性にとって不利になる。単糸繊
度が6dtexを超える場合には、これも織物の柔軟性が損
なわれ、収納性にとって不利になる。
【0013】本発明の高密度織物のカバーファクター
は、2000〜2600であり、好ましくは、2200
〜2500である。カバーファクターが2000未満で
あると収縮により細孔を小さくしても通気度を下げるこ
とができなくなり、2600を越えると製織時に打ち込
む密度が大きくなり、製織時のトラブルが多くなり好ま
しくない。
【0014】本発明の低通気性高密度織物は、差圧12
5Paで測定時、通気度は、0.15cc/cm2/sec以下
であり。好ましくは、0.10cc/cm2/sec以下であ
り、更に好ましくは、0.08cc/cm2/sec以下であ
る。0.15cc/cm2/secを越えるとエアバック基布
として好ましくない。
【0015】本発明に使用される原糸は実質的に無撚あ
るいは甘撚が好ましく、更に好ましくは無撚が使用され
る。これは低単糸繊度糸を使用して低通気度織物を得よ
うとした場合、撚りを加えると単糸の拡がりを阻害し、
低通気度化が困難になるためである。
【0016】
【実施例】次に実施例により、本発明を更に詳しく説明
する。なお、実施例中の物性は下記の方法で測定した。
【0017】織密度:JIS L1096 6.6
【0018】強度、伸度:JIS L1096
【0019】通気度:JIS L1096及び差圧50
0Paで測定。
【0020】沸水収縮率:JIS L1013 熱水収
縮率B法 100℃
【0021】実施例1〜実施例3及び比較例1〜比較例
2 経糸に無撚の470dtex/72f(単糸繊度6.5dte
x)、沸水収縮率=8.5%、緯糸には無撚の470dte
x/72f、沸水収縮率=8.5%をウォータージェットで
製織し、生機を、温水温度、乾燥温度及び加工張力を変
化させ実施例1〜3及び比較例1〜2のノンコート基布
を得た。このエアバッグ用織物の物性評価結果を表1に
示す。
【0022】
【表1】
【0023】実施例4〜実施例6及び比較例3〜比較例
4 経糸に無撚の350dtex/108f(単糸繊度3.2dte
x)沸水収縮率=9.5%1種類、緯糸は無撚の350d
tex/108f、沸水収縮率=9.5%をウォータージェ
ットで製織し、生機を、温水温度、乾燥温度及び加工張
力を変化させ実施例4〜6及び比較例3〜4のノンコー
ト基布を得た。このエアバッグ織物の物性評価結果を表
2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】表1、2から明らかなように、本発明の製
造方法が低通気性エアバック基布を得る方法として適し
ていることが判る。
【0026】
【発明の効果】本発明は、エアバッグ用織物として必要
な機械的特性を保持する低通気性高密度織物を得る方法
を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3B154 AA07 AA08 AB20 BA19 BB09 BF01 BF03 BF11 BF29 DA06 DA10 DA30 3D054 CC26 CC30 4L048 AA24 AB13 AC11 CA01 CA02 CA11 CA12 CA15 DA25 EA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】製織後の基布を60〜100℃の温水で収
    縮処理後、90〜150℃で乾燥をする工程において基
    布の経糸張力を0.040g/dtex以下に調節して乾燥
    することを特徴とする低通気織物の製造方法。
  2. 【請求項2】基布の経糸張力が0.030g/dtex以下
    である請求項1記載の低通気織物の製造方法。
  3. 【請求項3】基布の経糸張力が0.020g/dtex以下
    である請求項1記載の低通気度織物の製造方法。
  4. 【請求項4】低通気織物のカバーファクターが2000
    〜2600である請求項1記載の低通気織物の製造方
    法。尚、カバーファクターは、下式2で求められる。 【数1】 A:経糸の太さ (dtex) B:緯糸の太さ (dtex) W1:経密度 (本/in.) W2:緯密度 (本/in.)
  5. 【請求項5】低通気織物の通気度が0.15cc/cm2
    /sec以下である請求項1記載の低通気織物の製造方
    法。
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