JP2004183152A - エアバッグ用基布およびエアバッグ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カバーファクターが2,050〜2,300の範囲内にある合成繊維織物の少なくとも片面が5〜25g/m2の付着量の樹脂で被覆されており、かつ残留油分量が0.1重量%以下であることを特徴とするエアバッグ用基布。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気遮断性、耐熱性、収納コンパクト性、難燃性を同時に兼ね備え、かつ機械的特性に優れたエアバッグ用基布およびそれからなるエアバッグに関するものであり、さらにはニーエアバッグに適したエアバッグ用基布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種交通機関、特に自動車の事故が発生した際に、乗員の安全を確保するために、種々のエアバッグが開発され、その有効性が認識され、急速に実用化が進んでいる。エアバッグが使用される環境は限定されるものではなく、高温または低温などの厳しい環境においても機械的性能が安定したエアバッグが求められている。
【0003】
従来、エアバッグには334〜1,112dtexのナイロン6・6またはナイロン6フィラメント糸を用いた平織物に、耐熱性、難燃性、空気遮断性などの向上のため、クロロプレン、クロルスルホン化オレフィン、シリコーンなどの合成ゴムなどのエラストマー樹脂を塗布、積層した基布を裁断し、袋体に縫製して作られていた。
【0004】
フィラメント織物に、たとえば、クロロプレンエラストマー樹脂を塗布して基布とする場合、耐熱性および難燃性の点から織物に90〜120g/m2塗布することが必要であったが、厚みが厚くなり、収納性の面においてもパッケージボリュームが大きくなる問題があった。クロロプレンエラストマー樹脂に比べ、より耐熱性、耐寒性の優れたシリコーンエラストマー樹脂の場合では、塗布量が40〜60g/m2で軽量化しつつ、収納性コンパクト性の面でもかなり向上したがまだ不十分であり、またバッグをパッケージに折り畳んで収納する際に折り畳みにくいという問題があった。
【0005】
そこで、近年、このような問題点を解消するために樹脂塗布量を減少させた薄引きシリコーンコート基布が検討されてきた。例えば、エラストマー樹脂が織物を構成する織糸部1.0に対して、織物目合い部に3.0以上の膜厚比で偏在していることを特徴とするエアバッグが提案されている(特許文献1参照)が、収納コンパクト性については改善させているものの、実施例によると使用されているベース基布のカバーファクターは1,565〜2,012の範囲であり、引張強力などの機械的特性面で十分とは言えなかった。また、単糸繊度5.5〜6.5デニールで、総繊度300〜500デニールの糸条からなるカバーファクターが1,800〜2,000の平組織の織物にシリコーンゴムがコーティングされているエアバッグ用基布が開示されている(特許文献2参照)が、やはりカバーファクターが小さいために、引張強力などの機械的特性面で十分とは言えなかった。
【0006】
特に、ニーエアバッグに使用する場合、従来の運転席用エアバッグや助手席用エアバッグに比べて、バッグが展開し乗員の衝撃を吸収するまでの時間が短いために、バッグを急速に展開させる必要があることから、高出力のインフレーターを使用する必要があるので、バッグに用いる基布としては、低通気性および高強力の基布が必要となり、これまでのエアバッグ用基布では使用するには十分とは言えないのが実状であった。
【0007】
【特許文献1】特許第2853936号公報
【0008】
【特許文献2】特開平7−300054号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来のエアバッグの欠点に鑑み、空気遮断性、耐熱性、収納コンパクト性、難燃性を同時に兼ね備え、かつ機械的特性に優れたエアバッグ用基布およびそれからなるエアバッグを提供せんとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用する。すなわち、
(1)カバーファクターが2,050〜2,300の範囲内にある合成繊維織物の少なくとも片面が5〜25g/m2の付着量の樹脂で被覆されており、かつ残留油分量が0.1重量%以下であることを特徴とするエアバッグ用基布。
(2)樹脂被覆前の合成繊維織物の残留油分量が0.1重量%以下である、(1)に記載のエアバッグ用基布。
(3)流体(空気)を19.6kPaの圧力に調整して流したときに通過する空気流量を測定した通気度が1cc/cm2/sec以下である、(1)または(2)に記載のエアバッグ用基布。
(4)FMVSS302に基づいて測定した難燃性が100mm/min未満である、(1)〜(3)のいずれかに記載のエアバッグ用基布。
(5)引張強力が650N/cm以上である、(1)〜(4)のいずれかに記載のエアバッグ用基布。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載のエアバッグ用基布を用いたエアバッグ。
(7)(1)〜(5)のいずれかに記載のエアバッグ用基布を用いたニーエアバッグ。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明における合成繊維織物としては、ナイロン6・6、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン4・6、ナイロン6とナイロン6・6との共重合体、ナイロン6にポリアルキレングリコール、ジカルボン酸やアミンなどを共重合したポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのホモポリエステル、ポリエステルの繰り返し単位を構成する酸成分にイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸またはアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを共重合した共重合体等からなるポリエステル繊維、パラフェニレンテレフタルアミドおよび芳香族エーテルとの共重合体に代表されるアラミド繊維、レーヨン繊維、ポリサルフォン系繊維、超高分子量ポリエチレン繊維および上記合成繊維を主体とする海島構造を有する高分子配列体繊維から構成される合成繊維織物が用いられる。これらの中でもポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維からなる織物が好ましく、さらにはナイロン6・6繊維、ナイロン6繊維が耐衝撃性の面から好ましい。かかる繊維には、原糸の製造工程や加工工程での生産性あるいは特性改善のために使用される各種添加剤を含んでもよい。たとえば熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、平滑剤、帯電防止剤、可塑剤、増粘剤、顔料、難燃剤などを含有せしめることができる。
【0012】
本発明のエアバッグ用基布は、カバーファクターが2,050〜2,300の範囲内にあることが、機械的特性面および収納コンパクト性面を両立させるために必要であり、好ましくは2,100〜2,300の範囲内がよく、さらに好ましくは2,200〜2,300の範囲内がよい。カバーファクターが2,050未満であると、特にニーエアバッグに用いたときには必要とされる引張強力が足らず、バッグ展開時にバッグが破断する恐れがある。逆にカバーファクターが2,300より大きいと機械的特性面では問題はないが、収納コンパクト性面で問題が生じる。
【0013】
ここで、カバーファクターとは基布のタテ糸総繊度をD1(dtex) 、タテ糸織密度をN1(本/2.54cm)とし、ヨコ糸総繊度をD2(dtex) 、ヨコ糸織密度をN2(本/2.54cm) とすると(D1×0.9 )1/2 ×N1 +(D2×0.9 )1/2 ×N2 で表される。
【0014】
本発明のエアバッグ用基布は、合成繊維織物の少なくとも片面が樹脂で被覆されていることが必要である。樹脂を被覆させることで空気遮断性を持たせ、さらにはインフレーターから発生する高温の窒素ガスから織物を守ることができる。樹脂としては、中でも耐熱性、耐寒性、難燃性を有する樹脂が好ましく使用される。かかる樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂などがあげられる。中でもシリコーン樹脂が、耐熱性や耐寒性に優れているので特に好ましい。かかるシリコーン樹脂としては、ジメチル系シリコーン、メチルビニル系シリコーン、メチルフェニル系シリコーン、フロロ系シリコーンが用いられる。また、該樹脂は難燃化合物を含有しているものが好ましい。かかる難燃化合物としては、臭素、塩素などを含有するハロゲン化合物、特にハロゲン化シクロアルカン、白金化合物、酸化アンチモン、酸化銅、酸化チタン、燐化合物、チオ尿素系化合物、カーボン、セリウムなどを使用することができ、これらの中でもハロゲン化合物、白金化合物、酸化銅、酸化チタン、カーボンが、シリコーン樹脂のもつ耐熱性などの特性を阻害せずに難燃性を向上させることができるので、より好ましい。
【0015】
該樹脂の付着量については5〜25g/m2の範囲内にあることが、空気遮断性面および収納コンパクト性面を両立させるために必要である。付着量が5g/m2未満であると、樹脂で織物表面全面を被覆させることが困難となり、空気遮断性面で良くない。また、付着量が25g/m2より大きいと空気遮断性面では問題ないが、基布が厚くなり収納性面で問題が生じる。
【0016】
また、本発明のエアバッグ用基布は、残留油分量が0.1重量%以下であることが難燃性面で必要である。なお、残留油分量は樹脂で被覆された基布について、次の方法で測定したものである。
【0017】
織物あるいは基布試料約10gを採取し、105℃の熱風乾燥機内に1時間30分放置した後の質量(S)を電子天秤を用いて測定し、三角フラスコに入れる。次にメスシリンダーを用いて量り採ったn−ヘキサン120mlを三角フラスコに注入、振とう機にて10分間攪拌し、油剤成分を抽出する。抽出後の溶液から基布試料を除き、メスシリンダーを用いて抽出液100mlを量り採り、重量既知(W0)の丸型フラスコに入れる。次にソックスレー抽出液を用いてフラスコ内容物からn−ヘキサンを回収除去した後、丸形フラスコを5mmHg、25℃の真空乾燥機内で1時間乾燥する。その後、デシケーターに移し15分間放冷した後、丸型フラスコ重量(W1)を測定し、下記式から基布中の油分量を算出する。
【0018】
特に本発明において、大きいカバーファクターの織物にシリコーン樹脂をコーティングする際には、カバーファクターが大きいと織物中の糸のクリンプ、つまり糸の曲がり構造が大きくなるので、樹脂が織物交絡部に多く付着し、織物を構成する糸条表面への樹脂の付着量が少なくなるので、基布の残留油分が難燃性に大きく影響することがわかった。そこで、カバーファクター、樹脂付着量、および残留油分量の関係を鋭意検討したところ、カバーファクター2,050〜2,300の範囲では、樹脂付着量を25g/m2以下で、エアバッグ用基布に必要な難燃性を満足させるには、残留油分量を0.1重量%以下にする必要があることを見いだした。
【0019】
また、基布の残留油分量を0.1重量%以下にするためには、樹脂を被覆する前の合成繊維織物の残留油分量が0.1重量%以下であることが好ましい。織物の残留油分量を0.1重量%以下にすることで、基布の残留油分量を少なくすることができ、カバーファクター2,050〜2,300の範囲で樹脂付着量が25g/m2以下であっても、エアバッグ用基布に必要な難燃性を満足させることができる。
【0020】
また、本発明において、樹脂をカバーファクターが大きい織物にコーティングする方法として、樹脂粘度が10,000〜30,000mPa・s(10,000〜30,000cps)の無溶剤系樹脂を用い、せき板ナイフを用いたフローティングナイフコートを用いることが好ましい。この方法を採ることで、織物交絡部に均一な樹脂膜を形成できるだけではなく、織物を構成する糸条表面にもできるだけ均一にかつ薄く樹脂膜を形成することができ、空気遮断性および難燃性面を確保できる。
【0021】
本発明におけるエアバッグ用基布を構成する合成繊維織物に用いられる糸の総繊度は100〜600dtexの範囲内にあることが好ましく、特に収納コンパクト性、強力面のバランスを考えると200〜500dtexがよい。また、この糸の単糸繊度は1〜7dtexの範囲内にあることが好ましく、特に好ましくは2〜5dtexであると収納コンパクト性面からよい。単糸繊度が本範囲内にあると織物表面にある単糸間から樹脂が浸透しにくくなるので、織物を構成する糸条表面にできるだけ均一にかつ薄く樹脂膜を形成することができ、難燃性面で好ましい。
【0022】
また、用いる糸はその単糸断面形状が丸に限らず扁平であってもよい。断面の長軸と短軸との比、即ちアスペクト比が1.5〜6の扁平断面である糸を用いると基布の厚みを薄くすることができ、収納性が向上する。扁平断面糸は通常は楕円形であるが、アスペクト比1.5〜6を満足するならば楕円形以外の形状であってもよい。たとえば、長方形、菱形、繭型のような左右対称型は勿論、左右非対称型でもよく、あるいは、それらの組み合わせ型でもよく、更に上記を基本型として突起や凹み、あるいは部分的に中空部があってもよい。
【0023】
また、布帛の構造としては、平織、綾織、朱子織およびこれらの変化織、多軸織などの織物が使用されるが、これらの中でも、特に、エアバッグ用基布に必要な機械的特性に優れることから平織物が好ましい。
【0024】
また、製織工程で用いられる織機としては、ウォータージェットルーム、エアージェットルーム、レピアルームなどが用いられるが、原糸油剤を積極的に除去するウォータージェットルームを用いることが難燃性の面で好ましい。
【0025】
また、本発明のエアバッグ用基布は、流体(空気)を19.6kPaの圧力に調整して流したときに通過する空気流量を測定した通気度が1cc/cm2/sec以下であることが好ましく、また、FMVSS302に基づいて測定した難燃性が100mm/min未満であることが好ましい。特に、ニーエアバッグ用としては、乗員の膝とエアバッグの距離が運転席用や助手席用に比べて短いためにエアバッグを高速展開させる必要があることと、自動車部品として使用することからも、上記通気度と上記難燃性をともに具備することが好ましい。
【0026】
また、本発明のエアバッグ用基布の引張強力は650N/cm以上であることが好ましく、特にニーエアバッグ用としては、乗員の膝とエアバッグの距離が運転席用や助手席用に比べて短いためにエアバッグを高速展開させる必要があることから、高出力のインフレータを使用するので好ましく、さらに好ましくは700N/cm以上であるのがよい。
【0027】
また、本発明のエアバッグ用基布の目付は、250g/m2以下であることが軽量化の面で好ましく、厚さについては0.33mm以下であることが収納コンパクト性の面から好ましく、剛軟度については、タテ糸方向およびヨコ糸方向ともに100mm以下であることが収納コンパクト性の面で好ましい。
【0028】
また、本発明のエアバッグ用基布は、運転席用エアバッグ、助手席用エアバッグ、後部座席用エアバッグ、サイド用エアバッグ、インフレータブルカーテン用エアバッグ、ニーエアバッグなどに使用することができ、とくに空気遮断性および機械的特性を必要とするニーエアバッグ用としては有用である。
【0029】
本発明のエアバッグ基布およびエアバッグの特徴は、空気遮断性、バッグ収納コンパクト性、難燃性を満足しつつ、機械的特性に優れているという点にある。
【0030】
【実施例】
次に実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。なお、実施例中における各種評価は、下記の方法に従って行なった。
目付(重量):JIS L1096 (8.4.2法)により求めた。
厚さ :JIS L1096 (8.5法)により求めた。
剛軟度 :JIS L1096(8.19.1A法)により求めた。
残留油分 :
織物あるいは基布試料約10gを採取し、105℃の熱風乾燥機内に1時間30分放置した後の質量(S)を電子天秤で測定し、三角フラスコに入れた。次にメスシリンダーを用いて量り採ったn−ヘキサン120mlを三角フラスコに注入、振とう機にて10分間攪拌し、油剤成分を抽出した。抽出後の溶液から基布試料を除き、メスシリンダーを用いて抽出液100mlを量り採り、重量既知(W0)の丸型フラスコに入れた。次にソックスレー抽出液を用いてフラスコ内容物からn−ヘキサンを回収除去した後、丸形フラスコを5mmHg、25℃の真空乾燥機内で1時間乾燥した。その後、デシケーターに移し15分間放冷した後、丸型フラスコ重量(W1)を測定し、下記式から基布中の油分量を算出した。
引張強力 :JIS L1096(8.12.1A法)に基づき、織物幅は3cm、引張つかみ間隔15cm、引張速度200mm/minで引っ張った時の破断強力を測定した。
破断伸度 :JIS L1096(8.12.1A法)に基づき、織物幅は3cm、引張つかみ間隔15cm、引張速度200mm/minで引っ張った時の破断伸度を測定した。
引裂強力 :JIS L1096(8.15.2A−2法)に基づき、引張速度200mm/minで引っ張ったときの引裂強力を求めた。
織物の通気度:流体(空気)を19.6kPaの圧力に調整して流し、その時通過する空気流量を測定した。
難燃性 :FMVSS302により求めた。
クリンプ率 :JIS L1096(8.7.2B法)により求めた。
実施例1
単糸断面のアスペクト比が1.0(丸断面)であり、総繊度が470dtexで72フィラメントである、強度8.4cN/dtex、伸度22%の無撚りのナイロン6・6繊維のフィラメント糸を用い、ウォータージェットルームにて、経糸と緯糸の織密度がともに54本/2.54cmになるように調整した平組織の織物を得た。次いで該織物をアルキルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5g/lおよびソーダ灰0.5g/lを含んだ80℃温水浴中に3分間浸漬した後、130℃で2分間乾燥させ、次いで190℃で1分間ヒートセットした。ヒートセット後の織物の残留油分量は0.04重量%であった。次いで該織物を粘度12,000mPa・s(12,000cps)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を用い、せき板ナイフを用いたフローティングナイフコーターにより、樹脂付着量が15g/m2になるようにコーティングを行った後、190℃で2分間加硫処理を行い、エアバッグ用基布を得た。該基布の残留油分量は0.04重量%であった。
【0031】
このようにして、得られたエアバッグ用基布の特性を表1に示した。本発明のエアバッグ用基布は、空気遮断性、バッグ収納コンパクト性、難燃性に優れ、かつ機械的特性についても優れていた。
実施例2
単糸断面のアスペクト比が1.0(丸断面)であり、総繊度が470dtexで72フィラメントである、強度8.4cN/dtex、伸度22%の無撚りのナイロン6・6繊維のフィラメント糸を用い、ウォータージェットルームにて、経糸と緯糸の織密度がともに54本/2.54cmになるように調整し、平組織の織物を得た。次いで該織物を160℃で1分間ヒートセットした。ヒートセット後の織物の残留油分量は0.08重量%であった。次いで該織物を粘度12,000mPa・s(12,000cps)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を用い、せき板ナイフを用いたフローティングナイフコーターにより、樹脂付着量が23g/m2になるようにコーティングを行った後、190℃で2分間加硫処理を行い、エアバッグ用基布を得た。該基布の残留油分量は0.08重量%であった。
【0032】
このようにして、得られたエアバッグ用基布の特性を表1に示した。本発明のエアバッグ用基布は、空気遮断性、バッグ収納コンパクト性、難燃性に優れ、かつ機械的特性についても優れていた。
比較例1
単糸断面のアスペクト比が1.0(丸断面)であり、総繊度が470dtexで72フィラメントである、強度8.4cN/dtex、伸度22%の無撚りのナイロン6・6繊維のフィラメント糸を用い、ウォータージェットルームにて、経糸と緯糸の織密度がともに54本/2.54cmになるように調整し、平組織の織物を得た。該織物の残留油分量は0.12重量%であった。次いで該織物を粘度12,000mPa・s(12,000cps)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を用い、せき板ナイフを用いたフローティングナイフコーターにより、樹脂付着量が23g/m2になるようにコーティングを行った後、190℃で2分間加硫処理を行い、エアバッグ用基布を得た。該基布の残留油分量は0.12重量%であった。
【0033】
このようにして得られたエアバッグ用基布の特性を表1に示した。本発明のエアバッグ用基布は空気遮断性、バッグ収納コンパクト性、機械的特性については問題なかったが、難燃性面が劣っていた。
比較例2
単糸断面のアスペクト比が1.0(丸断面)であり、総繊度が470dtexで72フィラメントである、強度8.4cN/dtex、伸度22%の無撚りのナイロン6・6繊維のフィラメント糸を用い、ウォータージェットルームにて、経糸と緯糸の織密度がともに49本/2.54cmになるように調整し、平組織の織物を得た。該織物の残留油分量は0.11重量%であった。次いで該織物を粘度12,000mPa・s(12,000cps)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を用い、せき板ナイフを用いたフローティングナイフコーターにより、樹脂付着量が23g/m2になるようにコーティングを行った後、190℃で2分間加硫処理を行い、エアバッグ用基布を得た。該基布の残留油分量は0.11重量%であった。
【0034】
このようにして得られたエアバッグ用基布の特性を表1に示した。本発明のエアバッグ用基布は空気遮断性、バッグ収納コンパクト性、難燃性については問題なかったが、機械的特性面が劣っていた。
比較例3
単糸断面のアスペクト比が1.0(丸断面)であり、総繊度が470dtexで72フィラメントである、強度8.4cN/dtex、伸度22%の無撚りのナイロン6・6繊維のフィラメント糸を用い、ウォータージェットルームにて、経糸の織密度が58本/2.54cm、緯糸の織密度が56本/2.54cmになるように調整し、平組織の織物を得た。次いで該織物をアルキルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5g/lおよびソーダ灰0.5g/lを含んだ80℃温水浴中に3分間浸漬した後、130℃で2分間乾燥させ、次いで190℃で1分間ヒートセットした。ヒートセット後の織物の残留油分量は0.04重量%であった。次いで該織物を粘度12,000mPa・s(12,000cps)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を用い、せき板ナイフを用いたフローティングナイフコーターにより、樹脂付着量が26g/m2になるようにコーティングを行った後、190℃で2分間加硫処理を行い、エアバッグ用基布を得た。該基布の残留油分量は0.04重量%であった。
【0035】
このようにして得られたエアバッグ用基布の特性を表1に示した。本発明のエアバッグ用基布は空気遮断性、機械的特性、難燃性については問題なかったが、厚さが厚く剛軟度が大きいため、バッグ収納コンパクト性面が劣っていた。
実施例3
単糸断面のアスペクト比が3.0(扁平断面)であり、総繊度が350dtexで96フィラメントである、強度8.4cN/dtex、伸度22%の無撚りのナイロン6・6繊維のフィラメント糸を用い、エアージェットルームにて、経糸と緯糸の織密度がともに63本/2.54cmになるように調整し、平組織の織物を得た。次いで該織物をアルキルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5g/lおよびソーダ灰0.5g/lを含んだ80℃温水浴中に3分間浸漬した後、130℃で2分間乾燥させ、次いで190℃で1分間ヒートセットした。ヒートセット後の織物の残留油分量は0.05重量%であった。次いで該織物を粘度8,000mPa・s(8,000cps)のトルエン希釈のメチルビニルシリコーン樹脂液(樹脂固形分80%)を用い、せき板ナイフを用いたフローティングナイフコーターにより、樹脂付着量が10g/m2になるようにコーティングを行った後、130℃で1分間乾燥し、200℃で2分間加硫処理を行い、エアバッグ用基布を得た。該基布の残留油分量は0.05重量%であった。
【0036】
このようにして、得られたエアバッグ用基布の特性を第1表に示した。本発明のエアバッグ用基布は、空気遮断性、バッグ収納コンパクト性、難燃性に優れ、かつ機械的特性についても優れていた。
比較例4
単糸断面のアスペクト比が3.0(扁平断面)であり、総繊度が350dtexで96フィラメントである、強度8.4cN/dtex、伸度22%の無撚りのナイロン6・6繊維のフィラメント糸を用い、エアージェットルームにて、経糸と緯糸の織密度がともに63本/2.54cmになるように調整し、平組織の織物を得た。該織物の残留油分量は0.15重量%であった。次いで該織物を粘度8,000mPa・s(8,000cps)のトルエン希釈のメチルビニルシリコーン樹脂液(樹脂固形分80%)を用い、せき板ナイフを用いたフローティングナイフコーターにより、樹脂付着量が10g/m2になるようにコーティングを行った後、130℃で1分間乾燥し、200℃で2分間加硫処理を行い、エアバッグ用基布を得た。該基布の残留油分量は0.15重量%であった。
【0037】
このようにして得られたエアバッグ用基布の特性を表1に示した。本発明のエアバッグ用基布は空気遮断性、バッグ収納コンパクト性、機械的特性については問題なかったが、難燃性面が劣っていた。
比較例5
単糸断面のアスペクト比が3.0(扁平断面)であり、総繊度が350dtexで96フィラメントである、強度8.4cN/dtex、伸度22%の無撚りのナイロン6・6繊維のフィラメント糸を用い、エアージェットルームにて、経糸と緯糸の織密度がともに57本/2.54cmになるように調整し、平組織の織物を得た。該織物の残留油分量は0.17重量%であった。次いで該織物を粘度8,000mPa・s(8,000cps)のトルエン希釈のメチルビニルシリコーン樹脂液(樹脂固形分80%)を用い、せき板ナイフを用いたフローティングナイフコーターにより、樹脂付着量が4g/m2になるようにコーティングを行った後、130℃で1分間乾燥し、200℃で2分間加硫処理を行い、エアバッグ用基布を得た。該基布の残留油分量は0.17重量%であった。
【0038】
このようにして得られたエアバッグ用基布の特性を表1に示した。本発明のエアバッグ用基布はバッグ収納コンパクト性については問題なかったが、空気遮断性、機械的特性、難燃性面が劣っていた。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、空気遮断性、耐熱性、収納コンパクト性、難燃性を同時に兼ね備え、かつ機械的特性に優れたエアバッグ用基布およびエアバッグを提供することができるので、エアバッグによる乗員保護システムを普及促進させることができる。
Claims (7)
- カバーファクターが2,050〜2,300の範囲内にある合成繊維織物の少なくとも片面が5〜25g/m2の付着量の樹脂で被覆されており、かつ残留油分量が0.1重量%以下であることを特徴とするエアバッグ用基布。
- 樹脂被覆前の合成繊維織物の残留油分量が0.1重量%以下である、請求項1に記載のエアバッグ用基布。
- 流体(空気)を19.6kPaの圧力に調整して流したときに通過する空気流量を測定した通気度が1cc/cm2/sec以下である、請求項1または2に記載のエアバッグ用基布。
- FMVSS302に基づいて測定した難燃性が100mm/min未満である、請求項1〜3のいずれかに記載のエアバッグ用基布。
- 引張強力が650N/cm以上である、請求項1〜4のいずれかに記載のエアバッグ用基布。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のエアバッグ用基布を用いたエアバッグ。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のエアバッグ用基布を用いたニーエアバッグ。
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