JP2007138356A - エアバッグ用基布の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原糸強度が7.0cN/dtex〜12cN/dtexの繊維糸条A及び原糸強度が15cN/dtex以上の高強度繊維糸条Bを原糸として用い、前記繊維糸条Aの沸水収縮率が高強度繊維糸条Bの沸水収縮率より6%以上大きく、繊維糸条Aを用いて製織するに際し、経糸および/または緯糸の少なくとも一部に高強度繊維糸条Bを混用して製織する工程、熱水にて収縮加工を行う工程、並びに乾燥仕上げを行う工程を有し、得られたエアバッグ用基布中の繊維糸条のクリンプ率が特定の関係を満足することを特徴とするエアバッグ用基布の製造方法。
【選択図】なし
Description
(1)原糸強度が7.0cN/dtex〜12cN/dtexの繊維糸条A及び原糸強度が15cN/dtex以上の高強度繊維糸条Bを原糸として用い、前記繊維糸条Aの沸水収縮率が高強度繊維糸条Bの沸水収縮率より6%以上大きく、繊維糸条Aを用いて製織するに際し、経糸および/または緯糸の少なくとも一部に高強度繊維糸条Bを混用して製織する工程、熱水にて収縮加工を行う工程、並びに乾燥仕上げを行う工程を有し、得られたエアバッグ用基布中の繊維糸条のクリンプ率が以下の(式1)及び(式2)を満足することを特徴とするエアバッグ用基布の製造方法。
CWB−CWA≧4.0%――――(式1)
CTB−CTA≧4.0%――――(式2)
但し、CWA:基布中の繊維糸条Aの経糸クリンプ率、CWB:基布中の高強度繊維糸条Bの経糸クリンプ率、CTA:基布中の繊維糸条Aの緯糸クリンプ率、及び、CTB:基布中の高強度繊維糸条Bの緯糸クリンプ率をそれぞれ示す。
(2)繊維糸条Aがポリアミド繊維であり、高強度繊維糸条Bがポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、アラミド繊維、及び全芳香族ポリエステル繊維からなる群から選ばれる少なくとも一種の繊維であることを特徴とする上記(1)に記載のエアバッグ用基布の製造方法。
(3)繊維糸条A及び高強度繊維糸条Bの総繊度が50〜350dtexであることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のエアバッグ用基布の製造方法。
(4)高強度繊維糸条Bのエアバッグ用基布中の混率が1〜20%であることを特徴とする上記(1)から(3)のいずれかに記載のエアバッグ用基布の製造方法。
(5)得られたエアバッグ用基布の基布収納性が1400cm3以下であり、基布強度が経緯ともに400N/cm以上であることを特徴とする上記(1)から(4)のいずれかに記載のエアバッグ用基布の製造方法。
原糸強度が15cN/dtex以上の高強度繊維糸条Bを構成する繊維の種類としては、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリエーテルケトン繊維、炭素繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリアセタール繊維、高強度ポリビニルアルコール繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、金属繊維等がある。通常これらの糸条の破断伸度は0〜5%程度である。これらの繊維糸条のうち耐熱性の面から、全芳香族ポリエステル繊維、アラミド繊維やポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維が好ましい。更に好ましくは、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維である。一方、原糸強度が7.0cN/dtex〜12cN/dtexの繊維糸条Aを構成する繊維としては、通常のエアバッグ基布用原糸として用いられるポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維やポリプロピレン繊維が用いられる。通常これらの糸条の破断伸度は10〜30%程度である。これらの繊維糸条のうち、ポリアミド繊維、特にポリヘキサメチレンアジパミド繊維が機械特性、耐熱性、コストの面から最も好ましい。繊維糸条は高強度繊維糸条B及び繊維糸条Aの両者ともにマルチフィラメント糸条であることが、高密度織物を製織しやすい点などで好ましい。
CWB−CWA≧4.0%――――(式1)
CTB−CTA≧4.0%――――(式2)
但し、CWA:基布中の繊維糸条Aの経糸クリンプ率、CWB:基布中の高強度繊維糸条Bの経糸クリンプ率、CTA:基布中の繊維糸条Aの緯糸クリンプ率、及び、CTB:基布中の高強度繊維糸条Bの緯糸クリンプ率をそれぞれ示す。
(式1)及び(式2)を満たさない場合、高強度繊維の伸度が原糸強度7.0〜12cN/dtexの繊維の伸度と比べて小さい為に、基布の引張時に高強度繊維の強力を発現する前に破断する場合があり、必ずしも必要な強力を発揮できると限らないためあまり好ましくない。
原糸強度:JIS―L−1013 8.5.1
原糸繊度:JIS−L−1013 8.3.1
沸水収縮率:JIS−L−1013 熱水収縮率(100℃)
クリンプ率:JIS―L―1096 8.7.2B法
引張強度:JIS―L−1096 8.12.1A法
収納性試験:ASTM D6478
沸水収縮率9.5%、総繊度150dtex、単糸数36本、強度8.5cN/dtex、伸度21.0%のポリヘキサメチレンアジパミド繊維に対して、経緯とも10%の混率となるように沸水収縮率0.5%、総繊度200dtex、単糸数120本、強度35cN/dtex、伸度3.5%のポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維をウォータージェットルームで平織組織にて交織した。糸配列は経緯ともにポリヘキサメチレンアジパミド繊維9本に対してポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維が1本となるように等間隔に存在させた。これを沸水にて収縮加工し、乾燥熱セット(140℃)してエアバッグ用高密度織物を得た。得られた織物の物性の測定結果を表1に示す。実施例1の織物はエアバッグ用基布として十分な強力を有し、収納性にも優れた物であった。
沸水収縮率9.5%、総繊度200dtex、単糸数36本、強度8.5cN/dtex、伸度21.0%のポリヘキサメチレンアジパミド繊維に対して、経緯とも5%の混率となるように沸水収縮率0.5%、総繊度250dtex、単糸数150本、強度35cN/dtex、伸度3.5%のポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維をウォータージェットルームで平織組織にて交織した。糸配列は経緯ともにポリヘキサメチレンアジパミド繊維19本に対してポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維が1本となるように等間隔に存在させた。これを沸水にて収縮加工し、乾燥熱セット(140℃)してエアバッグ用高密度織物を得た。得られた織物の物性の測定結果を表1に示す。実施例2の織物はエアバッグ用基布として十分な強力を有し、収納性にも優れた物であった。
沸水収縮率7.5%、総繊度150dtex、単糸数36本、強度8.5cN/dtex、伸度21.0%のポリヘキサメチレンアジパミド繊維に対して、経緯とも10%の混率となるように沸水収縮率0.5%、総繊度200dtex、単糸数120本、強度35cN/dtex、伸度3.5%のポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維をウォータージェットルームで平織組織にて交織した。糸配列は経緯ともにポリヘキサメチレンアジパミド繊維9本に対してポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維が1本となるように等間隔に存在させた。これを沸水にて収縮加工し、乾燥熱セット(140℃)してエアバッグ用高密度織物を得た。得られた織物の物性の測定結果を表1に示す。実施例3の織物はエアバッグ用基布として十分な強力を有し、収納性にも優れた物であった。
沸水収縮率9.5%、総繊度200dtex、単糸数36本、強度8.5cN/dtex、伸度21.0%のポリヘキサメチレンアジパミド繊維に対して、経緯とも5%の混率となるように沸水収縮率0.5%、総繊度150dtex、単糸数90本、強度35cN/dtex、伸度3.5%のポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維をウォータージェットルームで平織組織にて交織した。糸配列は経緯ともにポリヘキサメチレンアジパミド繊維19本に対してポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維が1本となるように等間隔に存在させた。これを沸水にて収縮加工し、乾燥熱セット(140℃)してエアバッグ用高密度織物を得た。得られた織物の物性の測定結果を表1に示す。実施例4の織物はエアバッグ用基布として十分な強力を有し、収納性にも優れた物であった。
沸水収縮率5.5%、総繊度150dtex、単糸数36本、強度8.5cN/dtex、伸度21.0%のポリヘキサメチレンアジパミド繊維に対して、経緯とも10%の混率となるように沸水収縮率0.5%、総繊度200dtex、単糸数120本、強度35cN/dtex、伸度3.5%のポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維をウォータージェットルームで平織組織にて交織した。糸配列は経緯ともにポリヘキサメチレンアジパミド繊維9本に対してポリパラフェニレンベンゾビスオキサザゾール繊維が1本となるように等間隔に存在させた。これを沸水にて収縮加工し、乾燥熱セット(140℃)してエアバッグ用高密度織物を得た。得られた織物の物性の測定結果を表1に示す。比較例1の織物は収納性の優れた物であったが、クリンプ率差が小さい為に強力が劣り、エアバッグ用基布として満足できるものではなかった。
沸水収縮率9.5%、総繊度150dtex、単糸数36本、強度8.5cN/dtex、伸度21.0%のポリヘキサメチレンアジパミド繊維糸条をウォータージェットルームで平織組織にて製織した。これを沸水にて収縮加工し、乾燥熱セット(140℃)してエアバッグ用高密度織物を得た。得られた織物の物性の測定結果を表1に示す。比較例2の織物は収納性の優れた物であったが、強力が劣り、エアバッグ用基布として満足できるものではなかった。
沸水収縮率9.5%、総繊度350dtex、単糸数72本、強度8.5cN/dtex、伸度21.0%のポリヘキサメチレンアジパミド繊維糸条をウォータージェットルームで平織組織にて製織した。これを沸水にて収縮加工し、乾燥熱セット(140℃)してエアバッグ用高密度織物を得た。得られた織物の物性の測定結果を表1に示す。比較例3の織物は強力を満足するが、収納性が悪くエアバッグ基布として劣っていた。
繊維糸条B:ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維
クリンプ率A:等間隔である繊維糸条Bの2本の中心に位置する繊維糸条Aのクリンプ率。
クリンプ率B:繊維糸条Bのクリンプ率
Claims (5)
- 原糸強度が7.0cN/dtex〜12cN/dtexの繊維糸条A及び原糸強度が15cN/dtex以上の高強度繊維糸条Bを原糸として用い、前記繊維糸条Aの沸水収縮率が高強度繊維糸条Bの沸水収縮率より6%以上大きく、繊維糸条Aを用いて製織するに際し、経糸および/または緯糸の少なくとも一部に高強度繊維糸条Bを混用して製織する工程、熱水にて収縮加工を行う工程、並びに乾燥仕上げを行う工程を有し、得られたエアバッグ用基布中の繊維糸条のクリンプ率が以下の(式1)及び(式2)を満足することを特徴とするエアバッグ用基布の製造方法。
CWB−CWA≧4.0%――――(式1)
CTB−CTA≧4.0%――――(式2)
但し、CWA:基布中の繊維糸条Aの経糸クリンプ率、CWB:基布中の高強度繊維糸条Bの経糸クリンプ率、CTA:基布中の繊維糸条Aの緯糸クリンプ率、及び、CTB:基布中の高強度繊維糸条Bの緯糸クリンプ率をそれぞれ示す。 - 繊維糸条Aがポリアミド繊維であり、高強度繊維糸条Bがポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、アラミド繊維、及び全芳香族ポリエステル繊維からなる群から選ばれる少なくとも一種の繊維であることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ用基布の製造方法。
- 繊維糸条A及び高強度繊維糸条Bの総繊度が50〜350dtexであることを特徴とする請求項1または2に記載のエアバッグ用基布の製造方法。
- 高強度繊維糸条Bのエアバッグ用基布中の混率が1〜20%であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のエアバッグ用基布の製造方法。
- 得られたエアバッグ用基布の基布収納性が1400cm3以下であり、基布強度が経緯ともに400N/cm以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のエアバッグ用基布の製造方法。
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