JP3089155B2 - エアーバッグ用ポリエステルフィラメント織物 - Google Patents

エアーバッグ用ポリエステルフィラメント織物

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JP3089155B2
JP3089155B2 JP06051028A JP5102894A JP3089155B2 JP 3089155 B2 JP3089155 B2 JP 3089155B2 JP 06051028 A JP06051028 A JP 06051028A JP 5102894 A JP5102894 A JP 5102894A JP 3089155 B2 JP3089155 B2 JP 3089155B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エアーバッグ用ポリエ
ステルフィラメント織物に関する。更に詳しくは、本発
明は、長期間の乾熱エージング後もその通気度が極めて
低く、自動車や航空機が激突しても優れた破裂抵抗性を
示し自動車や航空機の乗員を火傷から守るなどの安全性
に優れた、自動車や航空機用のエアーバッグ用ノンコ−
トポリエステルフィラメント織物に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車及び航空機用のエアーバッグは、
これらが衝突した際に乗員を安全に保護するのに必要で
あるとともに、中に入っているインフレーションガスに
よる火災をもたらさず、かつ衝突の際に高い破裂抵抗性
を有することが必要である。
【0003】エアーバッグによって乗員に火災の危険を
もたらさないようにするには、エアーバッグを形成する
織物の通気度を低くすることが必要になる。また、エア
ーバッグの破裂抵抗性を高めるには、該織物の引張切断
強度、引張切断伸度、破裂強度がいずれも高いことが必
要である。カナダ特許第974,745号明細書には、
エアーバッグ用ノンコート、かつカレンダー加工を施さ
れていないナイロンフィラメント織物が開示されてい
る。しかし、上記ナイロンフイラメント織物から得られ
たエアーバッグは通気度、破裂強度とも不十分である。
何故なら、この織物では、経糸と緯糸の密度差が非常に
大きく、しかも織物に大きな残留応力と歪を残す原因と
なるテンターが使用されているからである。
【0004】また、特開平3−137245号公報に
は、エアーバッグに使えるカレンダー加工を施されてい
ないノンコ−トナイロン66フィラメント織物が開示さ
れている。この織物は、精練と熱セットを施すことによ
って、500pa下で測定した通気度が10l/dm2/min
(約0.4ml/cm2/sec/0.5inchAq) 以下と低くなってい
る。この公報の実施例には、通気度が3.4l/dm2/min
(約0.14ml/cm2/sec/0.5inchAq)のナイロン66フ
ィラメント織物が開示されているほか、引張切断強度
2,300〜3,300N/5cm(約141〜202
kg/3cm) の織物も開示されている。しかし、上記
公報においては、長期に亘るエアーバッグの通気度並び
に破裂強度の安定性については全く言及されていない。
【0005】エアーバッグ用ノンコートポリエステルフ
ィラメント織物の典型的な例として、米国特許第4,9
77,016号明細書(特開平4−2835号に対応)
に開示されている、樹脂を塗布または含浸されていな
い、通気度0.5ml/cm2/sec/0.5inchAq以下のノンコ−
トポリエステルフィラメント織物が知られている。
【0006】そのほか、米国特許第5,010,663
号明細書(特開平4−2835号に対応)には、通気度
1.5ml/cm2/sec/0.5inchAq以下のノンコ−トポリエス
テルフィラメント織物が開示されている。これらの明細
書には、ポリエステルフィラメントは吸湿性が低いため
ポリエステルフィラメント織物をカレンダー加工した場
合、加工後のポリエステルフィラメント織物は、従来の
カレンダー加工後のナイロンフィラメント織物に比べ、
嵩復元性が低く通気度の変化が小さい旨明記されてい
る。しかし、乾熱または湿熱エージング後のポリエステ
ルフィラメント織物の長期に亘る通気度安定性について
も、これを高める具体的な方法についても全く言及され
ていない。しかも、これらの明細書には、この織物の破
裂強度および耐久性も記されていない。
【0007】米国特許第4,921,735号明細書
(特開平1−122752号に対応)には、通気度0〜
0.53ml/cm2/sec/0.5inchAqのカレンダー加工を施さ
れたエアーバッグ用ノンコートポリエステルフィラメン
ト織物が開示されている。しかし、該明細書には、乾熱
または湿熱エージング後のこの織物の長期に亘る通気度
および破裂強度の安定化、およびその方法を教示する記
載は全くなく、示唆もされていない。
【0008】欧州特許第0,442,373A1号明細
書には、精練および熱セット加工を施した場合でも引張
切断伸度が25%のカレンダ−加工を施していないノン
コ−トポリエステルフィラメント織物が開示されてい
る。この欧州特許明細書の実施例には、通気度4.7〜
9.4l/dm2/min(約0.12〜0.23ml/cm2/sec/
0.5inchAq)のカレンダ−加工が施されていないノンコ
−トポリエステルフィラメント織物が得られた旨記され
ている。しかし、この明細書には、乾熱または湿熱エ−
ジング後のこの織物の長期に亘る通気度および破裂強度
の安定性には一切触れていない。
【0009】従来のポリエステルフィラメント織物から
作られたエアーバッグが長期間に亘って自動車や航空機
内で畳んだ状態のままになっている場合は、その間エア
ーバッグは、例えば夏期とか雨期などに高温高湿雰囲気
に何度かさらされ、エアーバッグの通気度は当初の値に
比べて著しく高まる。従来のナイロン66フィラメント
織物製エアーバッグではこの現象が起きており、そのた
め、インフレーションガスが古くなったエア−バッグ内
に噴出した場合、エアーバッグから外に漏れ出るインフ
レーションガスの量が増大して膨らんだエア−バッグの
内圧が希望値に達しないことがある。膨らんだエアーバ
ッグの内圧が充分高レベルになければ、自動車や航空機
内の乗員にとって満足な高い衝撃吸収効果を発揮でき
ず、そのため乗員は衝突でダメージを受けることにな
る。更にまた、エアーバッグから漏れ出るインフレーシ
ョンガス量が増えると、衝突の際にエア−バッグに当る
乗員の顔が火傷する危険が大きくなる。従って、エア−
バッグが高温で乾燥または湿った状態で長期間経過して
も、エアーバッグの通気度は低い値のまま不変に保たれ
ていることが肝要である。
【0010】もしも、エアーバッグの破裂強度保持率が
低く、このようなエアーバッグが長期間自動車や航空機
内に格納されていた場合、その破裂強度は低下し、その
ためエアーバッグに高圧のインフレーションがかかると
破裂することがある。それゆえ、エアーバッグが高温で
乾燥または湿った状態で長期間保存されても、エアーバ
ッグの破裂強度は高いレベルに不変に保たれていること
が必要である。
【0011】このように、長期間に亘って厳しい条件下
で保管された後でも通気度および破裂強度が充分な安定
性ないし持続性を示すエア−バッグ用のノンコ−ト織物
を提供することが長い間強く求められてきた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、高温、乾燥または湿潤状態でエージング後も通気度
および破裂強度が長期に亘って高い持続性を有するエア
−バッグ用のカレンダー加工を施されていないノンコー
トポリエステルフィラメント織物を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、エアーバ
ッグ用織物であって、その経糸および緯糸がともにポリ
エステルマルチフィラメント糸からなり、150℃/分
の昇温速度で初期荷重0.08g/de下で室温から該
糸の融点まで長さ50mmの糸片を加熱することによっ
て求めた該糸の最大熱応力が0.8g/de以下であ
り、同じ加熱条件下で求めた該糸の最大熱収縮率が25
%以下であり、25℃の温度でオルソクロロフェノール
中1.2g/100mlの濃度で測定した該糸の極限粘
度が0.80〜0.95dl/gであり、末端カルボキ
シル基含有率が5〜35当量/トンである、エアーバッ
グ用ノンコート、かつカレンダー加工を施されていない
ポリエステルフィラメント織物によって達成することが
できる。
【0014】また、この目的は、150℃における乾熱
収縮率が3〜13%のポリエステルマルチフィラメント
よりなる経糸と緯糸を製織して、経糸方向および緯糸方
向のカバーファクターが共に800〜1,200、好ま
しくは1,000〜1,200、経糸方向と緯糸方向の
カバーファクターの差が200以下である生機とし、金
属表面接触緊張型ロールセット方式により乾熱セットを
行うことにより製造されたノンコートでかれんだー加工
を施されていないポリエステルフィラメント織物によっ
て達成することができる。
【0015】本発明のポリエステルフィラメント織物
は、これを構成する経糸および緯糸がそれぞれ、室温か
ら該糸の融点まで加熱した場合の最大熱応力が0.8g
/de以下、最大熱収縮率が25%以下であることが必
要である。
【0016】該糸の最大熱応力は下記の方法で求める。
すなわち、糸片をエアーバッグまたは織物から抜取って
200mmの長さに切り、0.08g/deの初期荷重
をかけて50mmの長さに固定し、150℃/分の速度
で該糸片を室温から該糸片の融点まで昇温する。次に、
該糸片が熱収縮を起こさないようにして該糸片の最大熱
収縮応力を測定する。該糸片の最大熱応力は、測定した
最大熱収縮応力を該糸片のデニール値で割って得られた
g/deの数値によって表す。
【0017】また、該糸の最大熱収縮率は下記の方法で
求める。すなわち、糸片をエアーバッグまたは織物から
抜取って200mmの長さに切り、同様に50mm長さ
に0.08g/deの初期荷重をかけて緊張させた状態
にし、150℃/分の速度で該糸片を室温から該糸片の
融点まで昇温する。次に、該糸片を非固定の状態にして
その最大熱収縮率を測定する。
【0018】該糸の最大熱応力および最大熱収縮率は、
240〜260℃の範囲内の温度で発現する。
【0019】該糸の最大熱応力が0.8g/deを超え
ると、120℃、500時間の乾熱エージング後の織物
の通気度が0.5ml/cm2/sec/0.5inchAqを超える望まし
くないレベルに上昇する。糸密度が高いエアーバッグ用
織物では、糸同士は互に強く接触して動きが拘束され
る。しかし、実際には、この動きが拘束されるのは、互
に直接接触している糸表面部分にある単繊維だけであ
る。そのため、たとえ熱収縮率が小さくても該糸の熱応
力が大きければ、互に直接接触していない糸の部分にあ
る単繊維は上記拘束に打ち勝って相対的に自由に収縮で
きる。その結果、互に直接接触している糸の表面部分に
あって収縮が拘束されている単繊維によって該糸の表面
部分は嵩高となる。この現象により、織物内での糸同士
の接触の緊密度は低下し糸同士が互に離れるようになる
ため、該織物の通気度が大きくなり好ましくない。最大
熱応力は0.6g/de以下が好ましく、更に好ましく
は0.5g/de以下である。
【0020】該糸の最大熱収縮率が25%を超えると、
120℃、500時間の乾熱エージング後の織物の通気
度はが0.5ml/cm2/sec/0.5inchAqを超えるレベルに上
昇し、好ましくない。たとえ最大熱応力が充分低くて
も、最大熱収縮率が大き過ぎると、互に直接接触してい
ない糸の部分にある単繊維は前記と同様に自由に収縮で
きる。そのため、互に直接接触している糸の表面部分は
嵩高になって互に離れて行き該織物の通気度が上昇する
ようになる。最大熱収縮率は20%以下が好ましく、更
に好ましくは18%以下である。
【0021】糸の熱応力が低い場合でも、該糸の熱収縮
率は小さいとは限らない。また、糸の熱収縮率が小さく
てもそれによって該糸の熱応力が低くなるとは限らな
い。エアーバッグの熱収縮率が高度の安定性を示すよう
にするためには、該エアーバッグの経糸、緯糸とも、最
大熱応力が0.8g/de以下、最大熱収縮率が25%
以下と、いずれも低い値でなければならない。
【0022】本発明のポリエステルフィラメント織物に
おいては、これを構成するポリエステルマルチフィラメ
ントよりなる経糸、緯糸とも、オルソクロロフェノール
中25℃、1.2g/100mlの濃度で測定した極限
粘度が0.8〜0.95dl/gであることが必要であ
る。
【0023】該糸の極限粘度が0.8dl/g未満の場
合、乾熱、湿熱とも耐熱性が不十分なことがあり、その
ため、該ポリエステルフィラメント糸の最大熱応力およ
び最大熱収縮率、並びに乾熱エージング後のエアーバッ
グの通気度がいずれも増大して好ましくなく、また、乾
熱エージングまたは湿熱エージング後のエアーバッグの
破裂強度保持率が低下し、やはり好ましくない。
【0024】一方、極限粘度が0.95dl/gを超え
る場合、該フィラメント糸は力学的強度が低下すること
があり好ましくなく、そのため、これから得られたエア
ーバッグの破裂強度の耐久性も低く、やはり好ましくな
い。経糸および緯糸の極限粘度は0.82〜0.90d
l/gの範囲に抑えることが好ましい。この範囲の極限
粘度を有するポリエステルマルチフィラメント糸は重合
条件と溶融紡糸条件を適切に制御することにより製造す
ることができる。
【0025】また、本発明のポリエステルフィラメント
織物において、これを構成するポリエステルマルチフィ
ラメントよりなる経糸および緯糸は、末端カルボキシル
基含有率は5〜35当量/トンである。末端カルボキシ
ル基含有率が5当量/トン未満の場合は、得られたポリ
エステルマルチフィラメント糸の繊度および力学的特性
の均一性が低いことがあり、一方、末端カルボキシル基
含有率が35当量/トンを超える場合は、ポリエステル
マルチフィラメント糸は乾熱、湿熱とも、耐熱性が低い
ことがあり、織物は乾熱エージング後の通気度が上昇す
ると共に、乾熱または湿熱エージング後の破裂強度保持
率が低下し、いずれも好ましくない。末端カルボキシル
基含有率の好ましい範囲は、7〜30当量/トン、さら
に好ましい範囲は10〜25当量/トンである。末端カ
ルボキシル基含有率はポリエステルの重合条件と溶融紡
糸条件を適切に制御することによって調整することがで
きる。
【0026】本発明のポリエステル織物の経糸および緯
糸のポリエステルフィラメント糸はいずれも、その残留
ジエチレングリコ−ル含有率が0.1〜1.5重量%で
あることが好ましい。残留ジエチレングリコ−ル含有率
が0.1重量%未満であると、ポリエステルマルチフィ
ラメント糸は柔軟性が低く、これを用いたエア−バッグ
の破裂強度保持率は低くなりやすい。一方、残留ジエチ
レングリコ−ル含有率が1.5重量%を超えるとポリエ
ステルマルチフィラメント糸は乾熱、湿熱とも、耐熱性
が低くなり、最大収縮率が上昇して好ましくなく、ま
た、これから得られるエアーバッグは乾熱エ−ジング後
の通気度が増大すると共に乾熱または湿熱エージング後
の破裂強度保持率が低下する傾向がある。残留ジエチレ
ングリコール含有率は、さらに好ましくは0.2〜1.
0重量%であり、特に好ましくは0.3〜0.7重量%
である。ポリエステルマルチフィラメント糸の残留ジエ
チレングリコール含有率は重合条件と溶融紡糸条件を適
切に調整することによって制御することができる。
【0027】また、経糸および緯糸を構成するポリエス
テルマルチフィラメント糸は、酸化チタン含有率を0.
2重量%以下に抑えることが望ましい。酸化チタン含有
率が0.2重量%を超えると、ポリエステルマルチフィ
ラメント糸は耐熱性が低い場合があり、この場合、最大
熱応力が上昇し、これから得られるエアーバッグは乾熱
エージング後の通気度が増大すると共に破裂強度保持率
が低下する。ポリエステルマルチフィラメント糸の酸化
チタン含有率は0〜0.1重量%に抑えるのがさらに好
ましい。
【0028】さらに、経糸および緯糸を構成するポリエ
ステルマルチフィラメント糸は、その結晶化度が45〜
65%であることが好ましい。結晶化度が45%未満で
あると、織物は形状保持性が不十分かつ耐熱性が低く、
これから得られるエア−バッグは乾熱エ−ジング後の通
気度が増大し、また破裂強度保持率が低下して好ましく
ない。一方、結晶化度が65%を超えると、織物は形状
保持性がやはり低いことがあり、これから得られるエア
−バッグは、乾熱エ−ジング後の柔軟性が低下すると共
に通気度が増大し、いずれも好ましくない。ポリエステ
ルマルチフィラメント糸の結晶化度は、さらに好ましく
は48〜63%であり、特に好ましくは50〜60%で
ある。ポリエステルマルチフィラメント糸の結晶化度は
溶融紡糸条件、延伸条件および/または熱セット条件を
適切に調整することにより制御できる。
【0029】本発明のポリエステル織物の経糸および緯
糸を構成するマルチフィラメント糸は、結晶の (10
0)格子網面に垂直方向の結晶サイズが3.0〜9.0
nmであることが好ましい。前記結晶サイズが3.0n
m未満では、織物は形状保持性が低く、かつ耐熱性が低
く、これから得られるエア−バッグは、乾熱エ−ジング
後に通気度が増大すると共に破裂強度保持率が低下しや
すい。一方、前記結晶サイズが9.0nmを超える場合
には、織物は柔軟性が低くて形状保持性が低くなりやす
く、得られるエアーバッグは、乾熱エ−ジング後に通気
度が増大して好ましくない。ポリエステルマルチフィラ
メント糸の前記結晶サイズは、3.5〜8.5nmがさ
らに好ましく、特に好ましくは4.0〜8.0nmであ
る。ポリエステルマルチフィラメント糸の結晶の(10
0)格子網面に垂直方向の結晶サイズは溶融紡糸条件、
延伸条件および/または熱セット条件を適切に制御する
ことでコントロ−ルできる。
【0030】更に、本発明のポリエステル織物の経糸お
よび緯糸のポリエステルマルチフィラメント糸は、その
撚係数が2,500以下であることが好ましい。フィラ
メント糸の撚係数は次式(1)によって定義される。 撚係数=(D)1/2 ×T・・・・(1) (式中、Dは糸のデニール値で、T=巻数/mで表した
糸の撚数である。)
【0031】撚係数が2,500を超えると、織物は嵩
復元性が増大し、そのため、これから得られたエアーバ
ッグは乾熱エージング後の通気度が増大する。撚係数は
2,000以下に抑えるのがより好ましく、さらに好ま
しくは1,500以下、特に好ましくは0である。
【0032】更にまた、本発明のポリエステル織物の経
糸および緯糸を構成するマルチフィラメント糸は、メー
トル当りのインターレース数が10〜50ケであること
が好ましい。インターレース数が10ケ/m未満では、
製織しにくく、一方、インターレース数が50ケ/mを
超えると、得られる物は嵩復元性が増大し、そのため、
これから得られるエアーバッグは、乾熱エージング後通
気度が増大して好ましくない。ポリエステルマルチフィ
ラメント糸のインターレース数は15〜45ケ/mに抑
えるのがより好ましく、更に好ましくは20〜40ケ/
mである。
【0033】また、マルチフィラメント糸は、単繊維の
繊度として、0.5〜3.0デニールであることが好ま
しい。単繊維の繊度が0.5デニール未満では、マルチ
フィラメント糸に毛羽が生じ易くなり、そのため、高密
度の製織したり、充分に通気度の低いエアーバッグを得
ることが困難になる。一方、単繊維の繊度が3デニール
を超えると得られる織物は嵩復元性が増大し、これから
得られるエアーバッグは乾熱エージング後通気度が増大
して好ましくない。該ポリエステル単繊維の繊度は1.
0〜2.5デニールがさらに好ましく、特に好ましくは
1.2〜2.2デニールである。全繊度は200〜60
0デニールであるのが好ましく、更に好ましくは220
〜450デニールである。
【0034】本発明のポリエステルフィラメント織物
は、120℃、500時間乾熱エージング後の通気度が
0.5ml/cm2/sec/0.5inchAq以下であることが好まし
い。該織物の通気度が0.5ml/cm2/sec/0.5inchAqを超
えると、これから得られたエアーバッグにインフレーシ
ョンガスを吹込んで膨らませた場合、膨らんだエアーバ
ッグ内部のガス圧は急速に低下しそのためエアーバッグ
の性能は不十分なものとなる。また、エア−バッグから
漏れ出るインフレーションガスの量が増えるため、自動
車や航空機の内部空間が漏れ出たインフレーションガス
中の微粒子によって汚染され乗員が火傷する危険性が増
す。120℃、500時間の乾熱エ−ジング後の本発明
のポリエステルフィラメント織物の通気度は、0.4ml
/cm2/sec/0.5inchAq以下であることがさらに好ましい。
【0035】エアーバッグ用の本発明のノンコートかつ
カレンダー加工を施されていないポリエステルフィラメ
ント織物においては、該織物から得られた直径700m
mの2枚の円形織物の外周部を二重環縫製法により、縫
製線が該円形織物の形成する円と同心の直径670mm
の二重円を形成するように縫製接合されてなる袋状物を
形成し、該袋状物を120℃、500時間乾熱エージン
グし、または85℃、95%RH、500時間湿熱エー
ジングしたのち、該袋状物の一方の円形織物の中心部に
設けられた直径約106mmの円形穴から、常温で圧力
40kg/cm2 G、容積40リットルに蓄圧された高
圧空気を瞬時に注入して該袋状物を破裂させたときに得
られる破裂強度の保持率が、エージング前の該袋状物の
破裂強度に対し70%以上であることが好ましい。
【0036】破裂強度試験にかけるエアーバッグの作製
およびこのエアーバッグの破裂強度の測定は上記の方法
で行なう。ポリエステル織物の破裂強度保持率が70%
未満では、これを用いたエアーバッグを自動車や航空機
に長期間保管すると該エアーバッグの破裂強度が低下
し、そのため、高圧インフレーションをかけた際に破裂
する危険がある。しかし、本発明のポリエステルフィラ
メント織物から作製されたエアーバッグは、高温乾燥ま
たは高温高湿状態のもとでも長期間に亘って破裂強度が
極めて高い安定性を示すため、自動車や航空機の乗員を
怪我から守ることができる。ポリエステル織物の破裂強
度保持率は80%以上がさらに好ましい。
【0037】本発明において、ポリエステルとしては、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナ
フタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレン
ー1,2−ビス−(フェノキシ)エタン−4,4′−ジ
カルボキシレ−ト、および上記ポリマーの1種以上の繰
り返し単位からなる共重合体、例えば、ポリエチレンテ
レフタレ−ト/イソフタレート共重合ポリエステル、ポ
リブチレンテレフタレート/ナフタレート共重合ポリエ
ステル、ポリブチレンテレフタレ−ト/デカンジカルボ
キシレート共重合ポリエステル、または上記ポリエステ
ルおよび共重合ポリエステルの2種以上の混合物、から
なる群から選ぶのが好ましい。中でも、ポリエチレンテ
レフタレートは力学的特性と繊維形成性のバランスが良
いため、本発明の織物用ポリエステルとして好ましい。
【0038】前記のとおり、本発明のポリエステルフィ
ラメント織物は、これを構成するポリエステルマルチフ
ィラメント糸の最大熱応力、最大熱収縮率が共に低く、
120℃、500時間の乾熱エージング後も通気度が低
く、しかも長期間に亘る乾熱または湿熱エ−ジング後も
高い破裂強度保持率を示す。従って、該ポリエステルフ
ィラメント織物はこれからエアーバッグを製造するの
に、ノンコ−トかつカレンダー加工を施さない状態で使
用することができる。
【0039】本発明は、また、150℃における乾熱収
縮率が3〜13%のポリエステルマルチフィラメント糸
を経糸および緯糸として用いて製織し、経糸方向および
緯糸方向のカバーファクターが、ともに800〜1,2
00、経糸方向と緯糸方向のカバーファクターの差が2
00以下である生機とし、これを金属表面接触緊張型ロ
ールセット方式により乾熱セットを行うことにより製造
された、ノンコートでカレンダー加工を施されていない
エアーバッグ用ポリエステルフィラメント織物を提供す
るものである。
【0040】生機を得るための経糸および緯糸用のポリ
エステルマルチフィラメント糸は、150℃における乾
熱収縮率が3〜13%、好ましくは3.5〜12%であ
る。経糸および緯糸の乾熱収縮率は互に同じでもよく、
異なっていてもよい。乾熱収縮率が3%未満では得られ
た生機の精練工程および熱セット工程での収縮率が低過
ぎて、そのために、乾熱エージング後の織物の通気度が
不当に高くなり好ましくない。一方、乾熱収縮率が13
%を超えると、織物の通気度が不均一となり好ましくな
い。
【0041】また、経糸および緯糸を構成するポリエス
テルマルチフィラメント糸は、引張切断伸度が好ましく
は20%以下、更に好ましくは19%以下である。引張
切断伸度が20%を超えると、精練工程での熱収縮率が
低く不満足なものとなり、織物は引張切断伸度が低くて
望ましくない。引張切断強度は9g/de以上が好まし
く、さらに好ましくは9.2g/de以上である。
【0042】また、マルチフィラメント糸の構成単繊維
の本数は140〜840本が好ましく、さらに好ましく
は160〜600本、特に好ましくは180〜400本
とする。経糸および緯糸の全繊度は200〜600デニ
ールが好ましく、さらに好ましくは250〜550デニ
ール、特に好ましくは300〜500デニールとする。
【0043】本発明のポリエステルフィラメント織物
は、生機のカバーファクターが経糸方向、緯糸方向とも
800〜1,200、好ましくは1,000〜1,20
0である。両者の差は200以下であり、好ましくは互
に出来るだけ近く、両者が互に等しいことがさらに好ま
しい。
【0044】生機の経糸方向のカバーファクターCF1
は次式(2)で定義される。 CF1 =(D1 1/2 ×S1 ・・・(2) (式中、D1 はデニール値で表した経糸の繊度であり、
1 は糸本数/inchで表した織物の経糸の密度であ
る。)
【0045】また、緯糸方向のカバーファクターCF
は次式(3)で定義される。 CF2 =(D2 1/2 ×S2 ・・・(3) (式中、D2 はデニール値で表した緯糸の繊度であり、
2 は糸本数/inchで表した織物の緯糸の密度であ
る。)
【0046】CF1 および/またはCF2 が、800未
満の場合は、乾熱セットによる織物の収縮が糸間の隙間
を充分詰めるだけの大きさにならないため、乾熱エージ
ング後の織物の通気度は不当に増大する。一方、CF1
および/またはCF2 が1,200を超えると、繊維が
必要以上に詰ってしまい糸間の摩擦が大きくなるために
熱セット工程で一様な収縮が起りにくくなるので、これ
から得られたエアーバッグは、乾熱または湿熱エージン
グ後の破裂強度保持率が低下する。CF1 および/また
はCF2 は850〜1,150が更に好ましく、特に好
ましくは1,000〜1,200とする。
【0047】本発明のポリエステル織物では、生機の経
糸方向と緯糸方向のカバーファクターCF1 とCF2
のの差:ΔCFは200以下であることが望ましい。Δ
CFが200を超えた場合は、経糸と緯糸が互にバラン
ス良く収縮せず、織物に不当に大きな応力が残る。その
ため、乾熱エージング後の織物の通気度が増大する。ま
た、乾熱または湿熱エージングによってこの織物の破裂
強度保持率は低下する。ΔCFは150以下であること
がさらに好ましい。
【0048】本発明のポリエステル織物は、特定の織組
織のものに限定されない。すなわち、本発明の織物は1
/1の平織物や2/2のマット織物が好ましいが、2/
1または2/2の綾織物やリップストップ織物であって
もよい。
【0049】普通、最も好ましい織組織は平織で、これ
により、充分な初期通気度と、長期間に亘って高温で乾
熱または湿熱状態に置かれた後も充分な通気度安定性が
えられる。
【0050】本発明のポリエステルフィラメント織物
は、前記のような生機を、多段ロール式のロール表面接
触型熱セット方式により織物に収縮加工を施すことによ
り製造された低通気度、好ましくは0.5cc/cm2/sec/
0.5inchAq以下のノンコートでカレンダー加工をほどこ
されていないものである。
【0051】エアーバッグ用の低通気度織物を製造する
一般的な在来型熱セット方式では、例えば、カナダ特許
第974,745号明細書に記載されているようなテン
ター型熱セット機を事実上無緊張下の織物に適用してい
る。
【0052】この熱セット方式において、充分に低通気
度の織物が製造できるのは織物の経糸の密度が極めて高
くて無緊張下でも経糸の捲縮発生が大幅に抑えられるよ
うな特定の織組織の織物の場合に限られる。しかし、経
糸と緯糸の密度が大きく異なっていると、得られるエア
ーバッグの破裂強度保持率は低下し、同時に織物の緯糸
方向の捲縮構造が変化すると、織物の端部にかかった張
力が完全にはゼロにならないために織物の横方向の捲縮
構造が変化するので、得られるエアーバッグの通気度は
不均一となる。織物にこうした不均一組織がある場合、
乾熱エージングによってエアーバッグの通気度が増大し
好ましくない。乾熱エージング前だけでなく該エージン
グ後も通気度の低い織物を得るためには、経糸と緯糸の
単繊維の捲縮構造をできる限り一様に減らす必要があ
る。
【0053】従って、充分な緊張下に織物を高温の熱セ
ット機のロール表面に接触させた際に織物の経糸方向に
発生する熱収縮力よりも僅かに小さい特定の張力を経糸
方向にかけた状態で、ロール表面接触型熱セット機でポ
リエステルフィラメント織物に熱セットを施すのが好ま
しい。経糸方向に発生した上記張力と緯糸の経糸に対す
る接触抵抗によって緯糸方向に発生した張力により織物
にはあらゆる方向に緊張がかかり、これにより、織物は
熱セットの際適切に収縮する。この収縮により、望まし
くない不当に大きなかつ不均一な捲縮構造の発生を防ぐ
ことができ、こうして得られた織物は通気度が安定して
いると共に乾熱または湿熱エージング後の破裂強度保持
率も高くなる。
【0054】ロール表面接触型熱セットは少なくとも2
段階、すなわち、低温段階と高温段階で行うのが望まし
く、これによって安定かつ均一な組織の熱セット織物が
得られる。熱セット方法の好ましい例では、低温ロール
の温度が130〜170℃、高温ロールの温度が160
〜220℃でかつ低温ロールよりも高温である。更に好
ましくは、3 個以上の加熱ロールを備えた熱セット機を
用いて織物の温度を徐々に上昇するように3段階以上で
熱セットを行う。この熱セットは、上述範囲の表面温度
の加熱ロールにより、5〜30m/分の速度で約10〜
180秒行うのが好ましい。
【0055】本発明の織物を得るためには、生機を精練
して精練後の織物の目付が生機に比べて2〜15%、さ
らに好ましくは3〜13%増えるようにすることが望ま
しい。また、生機を熱セットして熱セット後の織物の目
付が熱セット前に比べて8〜40%、さらに好ましくは
10〜35%増えるようにすることが望ましい。しか
し、精練および熱セット工程によって生じる目付の増加
が著し過ぎると、これら加工後の織物の特性が不均一と
なって好ましくない。
【0056】一般的に言えば、在来型の織物にカレンダ
ー加工を施せば、得られた織物の初期通気度は極めて低
くなるためカレンダー加工を施した織物はエアーバッグ
に有用である。しかし、この種の織物の通気度は、時間
の経過とともに嵩が復元するためカレンダー加工前の対
応する織物の通気度と同程度まで増大する。この現象に
ついては、織物の組織が長い期間の間に変化して織物で
の糸同士の間隙が大きくなって織物の通気度が増大する
ものと考えられている。これに比べて、前記した特定の
性能と織物組織を有する本発明のポリエステルフィラメ
ント織物は、長期間に亘って非常に安定なため通気度を
小さい値に安定に維持できる。
【0057】本発明のポリエステルフィラメント織物
は、通気度が低く、しかも長期間に亘りその通気度が安
定である。従って、該ポリエステルフィラメント織物は
これからエアーバッグを製造するのに、ノンコートかつ
カレンダー加工を施さない状態で使用できる。すなわ
ち、本発明のノンコートかつカレンダー加工を施さない
織物から製造されたエアーバッグは、これを構成する糸
同士の拘束に打ち勝ってポリエステルマルチフィラメン
ト糸が収縮を起すことなく、エアーバッグの通気度が増
大することなく、かつ破裂強度保持率の低下を起さず
に、長期間に亘って高温状態の自動車や航空機内に置い
ておくことができる。従って、該エアーバッグにインフ
レーションガスを吹込んだ場合、膨らんだエアーバッグ
内に高圧のインフレーションガスが維持されて高温のイ
ンフレーションガスがエアーバッグから事実上漏れ出る
ことがなく、かつエアーバッグの破裂も起らず、自動車
や航空機の乗員の安全を保つことができる。
【0058】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明する。実施例中、繊維、織物の特性の測定とエアーバ
ッグの評価はそれぞれ下記の方法に従って行った。
【0059】通気度 通気度計FX3300(スイス国、テクステスト社製)
を用いて、100cm2 オリフィスにより0.5インチ
の水柱圧(125pa)で測定した。
【0060】最大熱応力 カネボウエンジニアリング(株)製、熱応力試験機TY
PE KE−2を使用した。織物から経糸および緯糸を
抜糸後、これを各々熱応力試験機に初期荷重0.08g
/deで試験長50mmに固定して、室温から該糸の融
点まで150℃/分で昇温したときの最大熱応力を測定
した。最大熱応力は240〜260℃で発現した。また
該値は初期荷重を含めた最大熱収縮力を糸デニールで除
した値とした。
【0061】最大熱収縮率 同様に、前記の熱応力試験機を使用した。織物から抜糸
した経糸および緯糸を固定せずに、初期荷重0.08g
/de、試験長50mmにセットして、室温から該糸の
融点まで150℃/分で昇温したときの最大熱収縮率を
測定した。該値はチャート上の最大熱収縮長を元の試験
長で除した値とした。
【0062】極限粘度 ポリエステルマルチフィラメント糸を使用し、これのオ
ルソクロロフェノール溶液濃度1.2g/100ml、
25℃で測定した。
【0063】末端カルボキシル基含有率 ポリエステルマルチフィラメント糸をベンジルアルコー
ルに190℃で7.5分間かけて溶解し、濃度1.0g
/100mlの溶液とし、これにクロロホルムを加え、
フェーノルレッド0.1%溶液を指示薬として、0.1
Nカセイソーダベンジルアルコール溶液で滴定して定量
した。
【0064】残留ジエチレングリコール含有率 ポリエステルをヒドラジンで分解し、分解生成物をガス
クロマトグラフィーで定量した。酸化チタン含有率 マルチフィラメント糸を用い、蛍光X線法でチタン金属
を定量し、酸化チタンに換算した。
【0065】結晶化度 n-ヘプタン/四塩化炭素混合液を使用した密度勾配管法
により測定した。結晶サイズ 広角X線回折法により、(100)格子網面に垂直の方
向の結晶サイズを測定した。
【0066】乾熱収縮率 ポリエステルフィラメント糸を無撚のまま150℃で3
0分間自由収縮させてから、下記式(4)により算出し
た。 乾熱収縮率(%)=〔(L−L0 )/L〕×100・・
・・(4) (式中、Lは収縮前の糸の長さ、L0 は収縮後の糸の長
さを示す。)
【0067】エアーバッグのインフレ−ション内圧 自動車の運転席用の約50リットルのエア−バッグを1
20℃、500時間乾熱エージングを行ったのち、モジ
ュールに収納し、Morton International社製TYPE4
型インフレータを装着して、常温でインフレーションテ
ストした。このときの内圧をストレーンゲージで測定し
た。
【0068】織物の引張切断強度(σ)と引張切断伸度(ε) JIS L−1096記載の織物の引張試験法のより測
定した。織物幅は3cm、試験長は20cm、引張速度
は20cm/分とした。
【0069】エアーバッグのインフレーションにおける火傷防止性 自動車の運転席用の約50リットルのエアーバッグを収
納したモジュールに Morton International 社製TYP
E4型インフレーターを装着してこれを95℃で6時間
以上加熱して直ちにインフレーションを実施した。この
ときのエアーバッグ表面からのガス通過発散性を高速ビ
デオを使用して観測し、火傷防止性を下記2段階で評価
した。 良好:エアーバッグ表面からの白煙の噴出、飛散が少な
い場合 不良:エアーバッグ表面からの白煙の噴出、飛散が多い
場合
【0070】エアーバッグの破裂強度 自動車の運転席用の約50リットルのエアーバッグ内に
高圧空気を高速で吹込むことにより、エアーバッグが破
裂するときの内圧を測定し、これを破裂強度とした。
【0071】破裂強度保持率 ポリエステル織物を裁断して直径70mmの2枚の円形
織物を得、それらを重ね合わせてその外周部を縫製線が
直径670mmの二重環を形成するように縫製接合して
袋状物を作成し、この袋状物の一方の円形織物の中心部
に設けられた直径約106mmの円形穴から、常温で圧
力40kg/cm2 G、容積40リットルに蓄圧された
高圧空気を瞬時に注入して該袋状物を破裂させたときの
破裂強度をストレーンゲージにより測定した。エアーバ
ッグの破裂強度は、破裂時の圧力を以てした。別に、前
記の方法で袋状物を作製し、これを、120℃、0%R
Hで500時間乾熱エージング、または、85℃、95
%RH、500時間湿熱エージングした。こうしてエ−
ジングした袋状物の破裂強度を同じ方法で測定した。袋
状物の破裂強度保持率は、乾熱または湿熱エージングし
ていない袋状物の破裂強度に対する該エージングを施し
た袋状物の破裂強度の比率(%)で表した。
【0072】実施例1 単繊維繊度1.7デニ−ル、糸繊度(全繊度)420デ
ニ−ル、および表1に記載の諸特性を有するポリエチレ
ンテレフタレートマルチフィラメント糸を経糸および緯
糸として用いて平織物(生機)を作成し、これを精練し
た。精練後の織物に、第一多段加熱ロールで150℃、
次いで第二多段加熱ロールで180℃の2段階熱セット
を施した。得られた織物のカバーファクターを表1に示
す。
【0073】また、この織物の乾熱エージング前後の通
気度は表1に記載の通りであった。更に、熱エージング
を施さない織物から、自動車運転席用の容積50リット
ルのエアーバッグを作成した。このエアーバッグのイン
フレーション試験を行ったところ、インフレーション内
圧は表1に示す通りであった。
【0074】表1には、ポリエステル織物の総合評価
(判定)として下記2段階に格付けした結果を記載し
た。 良好:乾熱エージング後の通気度が0.5ml/cm2/sec/
0.5inchAq以下の場合 不良:乾熱エ−ジング後の通気度が0.5ml/cm2/sec/
0.5inchAqを超えた場合
【0075】
【表1】
【0076】比較例1〜5 下記の諸点以外は、実施例1と同じ手順で実施した。ポ
リエステルマルチフィラメント糸は表2に記載の特性を
有するものを使用した。また、比較例2を除き、織物の
片面に温度180℃、圧力670kg/cm、速度6m
/分でカレンダー加工を施した。得られた熱セット織物
の特性を表2に示す。また、これらの織物から作成され
たエアーバッグのインフレーション内圧を表2に示す。
表2における判定は、表1と同様に評価した結果であ
る。
【0077】
【表2】
【0078】実施例2〜14および14A 高密度平織物を、実施例1と同じ方法で作成した。ただ
し、ポリエステルマルチフィラメント糸は表3および表
4に記載の特性を有するものを使用した。精練および熱
セットした織物にはカレンダー加工を施さなかった。得
られた織物およびこれから作成された容積50リットル
のエアーバッグの諸特性を表3および4に示す。
【0079】表3および表4には、エアーバッグの総合
評価結果を次に示す2段階に格付けしてある。 良好:火傷防止性が充分で破裂強度が0.8kg/cm
2 G以上の場合 不良:火傷防止性が不十分で破裂強度が0.8kg/c
2 G未満の場合
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】実施例15 極限粘度0.853dl/g、末端カルボキシル基含有
率17.4当量/トンのポリエチレンテレフタレートか
らマルチフィラメント糸を作成した。この糸に撚数10
0t/mの撚をかけて経糸とした。緯糸は無撚とした。
これらの経糸および緯糸から、ウオータージェット織機
で経糸密度53.2本/25.4mm、緯糸密度53本
/25.4mmの高密度平織物を作成した。得られた生
機を精練したのち、110℃で1分間乾燥した。乾燥後
の織物の経糸密度は54.8本/25.4mm、緯糸密
度は53本/25.4mm、目付は216g/m2 であ
った。乾燥後の織物を、金属シリンダーロール熱セット
機を使用し第一多段加熱ロ−ルで155℃で約1分間、
次いで第二多段加熱ロ−ルで180℃で約1.5分間の
二段階熱セットを行った。得られた織物の経糸密度は5
7本/25.4mm、緯糸密度は55.8本/25.4
mm、目付は238g/m2 であった。織物の乾燥工程
での目付の増加率は2.9%、熱セット工程でのそれは
13.3%であった。
【0083】熱セット後の織物から経糸および緯糸を抜
糸し、これを試験に供した。また、この織物からエアー
バッグを作成してこれの破裂強度を測定した。更に、エ
アーバッグを乾熱または湿熱条件下でエージングしたの
ち、破裂強度を測定し、エージング前後のエアーバッグ
の破裂強度からエアーバッグの破裂強度保持率を求め
た。以上の結果を表5に示す。また、熱セット後の織物
から容積50リットルのエアーバッグを作成し、これの
長期耐久性を調べて評価した。結果を表5に併せて示
す。
【0084】実施例16〜21および比較例6〜7 いずれも実施例15と同じ手順で実施した。ただし、使
用した経糸および緯糸、並びに織物のそれぞれの諸特性
は表5および表6に記載の通りであった。これから作成
されたエアーバッグの耐久性の結果を表5および6に示
す。
【0085】
【表5】
【0086】
【表6】
【0087】実施例22 表7に記載の諸特性を有するポリエチレンテレフタレー
トマルチフィラメント糸を経糸および緯糸として用い
て、ウオータージェット織機を使用して高密度平織生機
を作成した。この生機は、経糸方向のカバーファクター
が1,080、緯糸方向のそれが1,060、目付が1
99g/m2 であった。この生機を精練したのち、金属
ロール表面接触型乾燥機を使用して、経糸方向に緊張を
かけた状態で110℃で1分間乾燥した。乾燥後の織物
の目付は211g/m2 であった。乾燥した織物を、金
属ロール表面接触型熱セット機を使用して、経糸方向に
緊張をかけて下記3段階で熱セットした。すなわち、第
一多段加熱ロール上で155℃で約1分間、第二多段加
熱ロール上で165℃で1分間、そして第三多段加熱ロ
ール上で180℃で1.5分間である。熱セットした織
物の目付は255g/m2 であった。織物の目付の増加
率は、乾燥段階で6%、熱セット段階で28%であっ
た。熱セットした織物の通気度、引張切断強度、および
引張切断伸度は表7に記載の通りであった。
【0088】この織物から容積50リットルのエアーバ
ッグを作成した。このエアーバッグを試験して得られた
火傷防止性および破裂強度を表7に示す。
【0089】実施例23〜28および比較例8〜11 いずれの場合も、実施例22と同じ手順で実施した。た
だし、使用したポリエステルマルチフィラメント糸、生
機、乾燥後の織物、熱セットした織物、およびこれらか
ら作成したエアーバッグのそれぞれの諸特性は表7およ
び表8に記載の通りであった。
【0090】
【表7】
【0091】
【表8】
【0092】
【発明の効果】本発明のポリエステルフィラメント織物
は、乾燥または湿潤状態で高温下に保管された後におい
ても低通気度および破裂強度を安定に保持することがで
き、インフレーションに際しても乗員の火傷を防止で
き、激しい衝突の際にも破損することのない安全性の高
いエアーバッグ用織物として用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−272009(JP,A) 特開 平5−195419(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D03D 1/02

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エアーバッグ用織物であって、その経糸
    および緯糸がともにポリエステルマルチフィラメント糸
    からなり、150℃/分の昇温速度で初期荷重0.08
    g/de下で室温から該糸の融点まで長さ50mmの糸
    片を加熱することによって求めた該糸の最大熱応力が
    0.8g/de以下であり、同じ加熱条件下で求めた該
    糸の最大熱収縮率が25%以下であり、25℃の温度で
    オルソクロロフェノール中1.2g/100mlの濃度
    で測定した該糸の極限粘度が0.80〜0.95dl/
    gであり、末端カルボキシル基含有率が5〜35当量/
    トンである、エアーバッグ用ノンコート、かつカレンダ
    ー加工を施されていないポリエステルフィラメント織
    物。
  2. 【請求項2】 ポリエステルフィラメント糸がその残留
    ジエチレングリコール含有率0.1〜1.5重量%、酸
    化チタン含有率0.2重量%以下である、請求項1記載
    のエアーバッグ用ポリエステルフィラメント織物。
  3. 【請求項3】 ポリエステルフィラメント糸がその結晶
    化度45〜65%、結晶の(100)格子網面に垂直方
    向の結晶サイズ3.0〜9.0nmである、請求項1記
    載のエアーバッグ用ポリエステルフィラメント織物。
  4. 【請求項4】 ポリエステルフィラメント糸がその撚係
    数2,500以下、インターレース数10〜50ケ/m
    である、請求項1記載のエアーバッグ用ポリエステルフ
    ィラメント織物。
  5. 【請求項5】 ポリエステルフィラメント糸が、該糸を
    構成する単繊維の個々の繊度0.5〜3.0デニールで
    ある、請求項1記載のエアーバッグ用ポリエステルフィ
    ラメント織物。
  6. 【請求項6】 120℃、500時間の乾熱エ−ジング
    後の織物の通気度が0.5ml/cm2/sec/0.5inchAq以下で
    ある、請求項1記載のエアーバッグ用ポリエステルフィ
    ラメント織物。
  7. 【請求項7】 織物から得られた直径700mmの2枚
    の円形織物の外周部を二重環縫製法により、縫製線が該
    円形織物の形成する円と同心の直径670mmの二重円
    を形成するように縫製接合されてなる袋状物を形成し、
    該袋状物を120℃、500時間乾熱エージングまたは
    85℃、95%RH、500時間湿熱エージングしたの
    ち、該袋状物の一方の円形織物の中心部に設けられた直
    径約106mmの円形穴から、常温で圧力40kg/c
    2 G、容積40リットルに蓄圧された高圧空気を瞬時
    に注入して該袋状物を破裂させたときに得られる破裂強
    度保持率が、エージング前の該袋状物の破裂強度に対
    し、共に70%以上である、請求項1記載のエアーバッ
    グ用ポリエステルフィラメント織物。
  8. 【請求項8】 150℃における乾熱収縮率が3〜13
    %のポリエステルフィラメントよりなる経糸と緯糸を製
    織して経糸方向および緯糸方向のカバーファクターが共
    に800〜1,200、経糸方向と緯糸方向のカバーフ
    ァクターの差が200以下である生機とし、金属表面接
    触緊張型ロールセット方式により乾燥セットを行うこと
    により製造される、ノンコート、かつカレンダー加工を
    施されていないエアーバッグ用ポリエステルフィラメン
    ト織物。
  9. 【請求項9】 生機におけるポリエステルフィラメント
    糸が、その引張切断伸度20%以下である、請求項8記
    載のエアーバッグ用ポリエステルフィラメント織物。
  10. 【請求項10】 ポリエステルフィラメント糸が、その
    残留ジエチレングリコール含有率0.1〜1.5重量
    %、酸化チタン含有率0.2重量%以下である、請求項
    8記載のエアーバッグ用ポリエステルフィラメント織
    物。
  11. 【請求項11】 ポリエステルフィラメント糸が、その
    結晶化度45〜65%、結晶の(100)格子網面に垂
    直方向の結晶サイズ3.0〜9.0nmである、請求項
    1記載のエアーバッグ用ポリエステルフィラメント織
    物。
  12. 【請求項12】 ポリエステルフィラメント糸がその撚
    係数2,500以下、インターレース数10〜50ケ/
    mである、請求項8記載のエアーバッグ用ポリエステル
    フィラメント織物。
  13. 【請求項13】 ポリエステルフィラメント糸が、該糸
    を構成する単繊維の個々の繊度0.5〜3.0デニール
    である、請求項8記載のエアーバッグ用ポリエステルフ
    ィラメント織物。
JP06051028A 1993-02-26 1994-02-25 エアーバッグ用ポリエステルフィラメント織物 Expired - Fee Related JP3089155B2 (ja)

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