JP2002205515A - 空気入りタイヤ - Google Patents
空気入りタイヤInfo
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Abstract
く、しかも十分な騒音低減効果を得ることができる空気
入りタイヤを提供する。 【解決手段】 一対の環状のビードコア1と、そのビー
ドコア1で端部側が折り返されたカーカス層5と、その
カーカス層5に側面が沿うようにビートコア1のタイヤ
外周側に配設されたビードフィラー2とを備える空気入
りタイヤにおいて、前記ビードフィラー2と前記カーカ
ス層5との間に、測定温度23℃、振動数100Hz、
動歪み0.15%での動的粘弾性測定における損失正接
(tanδ)が0.3以上の高減衰材料よりなる減衰層
10を介在させてある。
Description
カーカス層との間に高減衰材料よりなる減衰層を介在さ
せた空気入りタイヤに関し、特に、車両のロードノイズ
を低減するための技術として有用である。
行すると、車両室内にロードノイズと呼ばれる騒音が発
生することが知られている。このロードノイズは、タイ
ヤが関係する騒音の1つであり、路面の凹凸がタイヤト
レッドを介してタイヤを振動させ、この振動が車軸、サ
スペンション、車体といった伝播経路を伝播して、最終
的に車両室内で騒音を発生させるというものである。
zの周波数帯のものは高周波数ロードノイズと称されて
おり、タイヤの振動モードとしては断面2次モードが関
係していると考えられる。この高周波数ロードノイズの
対策としては、従来、主にトレッド部のベルト剛性に着
目し、ベルト剛性の向上やベルト端に補強層を設けるな
どの方法が採用されてきた。
っており、上記手法は何れも重量を増加させる手法であ
るため、タイヤのゴム材料の一部を高減衰ゴムで置き換
えることにより、ロードノイズを低減する手法が提案さ
れている。例えば特開平9−300911号公報には、
ベルト層の両端部を覆うトレッドゴム部分にシート状の
高減衰ゴムを使用したタイヤが提案されている。
ることにより、ロードノイズを低減するものであるが、
ビード部からサイドウォール部周辺の振動を減衰させる
発明としては、これまで特開平10−35229号公報
に記載の発明のみが知られている。この発明は、ビード
フィラーを3種類以上のゴム部から構成し、タイヤ径方
向外側に位置するものほど100%モジュラスを低く
し、最外側に位置するゴム部を損失正接(tanδ)が
0.3〜0.6の制振ゴム(高減衰材料)とした空気入
りタイヤに係わるものである。
フィラーの最外側に位置するゴム部を制振ゴムのような
モジュラスの低いゴムで形成すると、ロードノイズは低
減するものの、操縦安定性が大きく低下すると言う問題
が生じる。
加や操縦安定性の低下が小さく、しかも十分な騒音低減
効果を得ることができる空気入りタイヤを提供すること
にある。
を達成すべく、有限要素法による固有値解析により、高
周波数ロードノイズと関係するタイヤ断面2次モードに
おける振動時の歪エネルギーの分布を解析した結果、ビ
ードフィラー部分の歪エネルギーが大きいことを見出
し、この知見に基づいて、ビードフィラーとカーカス層
との間に高減衰材料よりなる減衰層を介在させてみたと
ころ、操縦安定性を維持しつつ十分な騒音低減効果が得
られることを見出し、本発明を完成するに至った。
環状のビードコアと、そのビードコアで端部側が折り返
されたカーカス層と、そのカーカス層に側面が沿うよう
に前記ビートコアのタイヤ外周側に配設されたビードフ
ィラーとを備える空気入りタイヤにおいて、前記ビード
フィラーと前記カーカス層との間に、測定温度23℃、
振動数100Hz、動歪み0.15%での動的粘弾性測
定における損失正接(tanδ)が0.3以上の高減衰
材料よりなる減衰層を介在させてあることを特徴とす
る。
0.5〜2.0mmであることが好ましい。
側側面とが、前記カーカス層の折り返し部と非折り返し
部とに沿って配設されると共に、その内側側面及び外側
側面と前記カーカス層との間に、前記減衰層を介在させ
てあることが好ましい。
略三角形であり、その断面形状の高さhbfに対する前記
減衰層の幅Wの比率(W/hbf)が0.3〜1.0であ
ることが好ましい。
ードノイズと関係するタイヤ断面2次モードにおいて、
振動時の歪エネルギーが局部的に大きくなるビードフィ
ラーと、振動時の応力を伝達させるカーカス層との間
に、高減衰材料よりなる減衰層を配設してあるため、振
動エネルギーを効率良く減衰させることができる。しか
も、減衰層が層状であるため、ビードフィラーによる補
強効果を殆ど低下させず、実施例の結果が示すように、
操縦安定性もかなり維持することができる。また、スチ
ール補強や重量コントロールによる防振作用を利用する
ものでないため、タイヤ重量を殆ど増加させずに済む。
その結果、タイヤ重量の増加や操縦安定性の低下が小さ
く、しかも十分な騒音低減効果を得ることができる空気
入りタイヤを提供することができる。
mである場合、操縦安定性の低下がより小さく、しかも
十分な騒音低減効果をより確実に得ることができる。
とが、前記カーカス層の折り返し部と非折り返し部とに
沿って配設されると共に、その内側側面及び外側側面と
前記カーカス層との間に、前記減衰層を介在させてある
場合、ビードフィラーの両側面に伝達する振動エネルギ
ーを減衰させることができ、騒音低減効果をより高める
ことができる。
であり、その断面形状の高さhbfに対する前記減衰層の
幅Wの比率(W/hbf)が0.3〜1.0である場合、
操縦安定性の低下がより小さく、しかも十分な騒音低減
効果を確実に得ることができる。
て、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の空
気入りタイヤの一例を示す片側断面図である。
うに、一対の環状のビードコア1と、そのビードコア1
で端部側が折り返されたカーカス層5と、そのカーカス
層5に側面が沿うようにビートコア1のタイヤ外周側に
配設されたビードフィラー2とを備える。本実施形態で
は、ビードフィラー2の断面形状が略三角形であり、そ
の内側側面2aと外側側面2bとが、カーカス層5の折
り返し部5aと非折り返し部5bとに沿って配設される
場合を例示する。ビードコア1としては、従来よりタイ
ヤに使用されているものが何れも使用でき、タイヤのサ
イズや種類に応じた形状、断面本数等が適宜採用され
る。ビードコア1は、通常、ビードワイヤーの集束体と
して形成され、ビードワイヤーとしては鋼線等が一般的
である。このビードコア1によりカーカス層5の端部側
が折り返されて係止することで、ビード部間がカーカス
層5で補強されると共に、ビード部によってタイヤがリ
ム上に強固に嵌着される。
上で、ビードコア1で折り返された折り返し部5aと、
ビードコア1に至るまでの非折り返し部5bと、ビード
コア1の周囲の周囲部5cとに区分できる。非折り返し
部5bは、ビード部から外周側へ延びるサイドウォール
部3からショルダ部、トレッド部4を経て、他方のビー
ド部へと連なる。
れ、チューブレスタイヤでは、最内層にインナーライナ
ー層が形成される。また、カーカス層5のタイヤ外周部
には、たが効果による補強を行うベルト層6が配置さ
れ、その外周表面にトレッドゴム4aによりトレッドパ
ターンが形成される。
ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエン
ゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム
(IIR)等が挙げられる。これらのゴムはカーボンブ
ラックやシリカ等の充填材で補強されると共に、加硫
剤、加硫促進剤、可塑剤、老化防止剤等が適宜配合され
る。
材料としては、スチールや、ポリエステル、レーヨン、
ナイロン、アラミド等の有機系繊維等が使用される。こ
れらの材料は、いずれもゴムとの接着性を高めるべく、
通常、表面処理や接着処理等がなされている。
ヤに使用されているものが何れも使用でき、タイヤのサ
イズや種類に応じた形状、硬度等が適宜採用できる。ビ
ードフィラー2は、ビード部を補強する機能を有するた
め、JIS A硬度で70〜90°のゴムを使用するの
が好ましい。
空気入りタイヤにおいて、図1に示すように、ビードフ
ィラー2とカーカス層5との間に、高減衰材料よりなる
減衰層10a、10bを介在させてあることを特徴とす
る。本実施形態では、ビードフィラー2の内側側面2a
と外側側面2bの全面を、シート状の減衰層10a、1
0bが覆う形でカーカス層5との間に介在させた例を示
す。
て、測定温度23℃、振動数100Hz、動歪み0.1
5%での動的粘弾性測定における損失正接(tanδ)
が0.3以上のものが使用される。0.3未満では、減
衰性が不十分となるため、騒音低減効果が乏しくなる。
このため、損失正接は0.5以上が好ましく、0.8〜
2.5が更に好ましい。なお、損失正接の測定方法の詳
細は実施例に記載の通りである。
は、各種のものがその製法と共に公知であり、それらを
何れも使用することができる。一般的には、ゴム、樹
脂、又は熱可塑性エラストマーから、嵩高い官能基を有
するものや極性基を有するものなど、適当な種類を選択
したり、架橋密度や分子量を小さく調製したり、適当な
可塑化剤又は軟化剤、可塑成分等を添加するなどすれば
よい。
性をある程度高く維持しながら、上記のような損失正接
を有する材料として、ポリノルボルネンゴム又はそのブ
レンド体などが好ましい。また、高減衰材料の硬度や剛
性をある程度高く維持する上で、上記の損失正接と同じ
測定条件において、高減衰材料の動的弾性率が5MPa
以上が好ましく、15MPa以上がより好ましい。
厚みが一定のものに限らず、その平均厚みが0.5〜
2.0mmであることが好ましく、1.0〜2.0mm
がより好ましい。
である。ビードフィラー2の断面形状の高さhbfに対す
る減衰層10a、10bの幅Wの比率(W/hbf)は
0.3〜1.0であることが好ましく、0.5〜1.0
がより好ましい。
hbfに対する内側の減衰層10aの高さh1の比率(h
1/hbf)は、操縦安定性と騒音低減効果の観点より、
0.5〜1.5であることが好ましく、0.7〜1.3
がより好ましい。内側の減衰層10aの高さh1と外側
の減衰層10bの高さh2との高さの差は、操縦安定性
と騒音低減効果の観点より、10mm以下が好ましく、
5mm以下がより好ましい。
面2aと外側側面2bの両面全体に設ける必要はなく、
少なくとも何れかの側面に設ければよい。但し、ビード
フィラー2の内側側面2aに設ける方がより効果的であ
る。また、側面の一部に設けてもよく、その場合、ビー
ドフィラー2の上端の位置を中央にして減衰層10を設
けるのが好ましい。
にまで延設されていてもよいが、カーカス層5による補
強機能を維持する上で、減衰層10の下端がビードフィ
ラー2の側面の下端より上方に位置するのが好ましい。
ラー2を形成するための部材に、減衰層10を形成する
部材を貼りつけてタイヤ成型を行うことにより、形成す
ることができるが、前者の部材を押し出し成型する際
に、共押し出しした複合部材を使用して形成することも
可能である。その場合、後述の図3(a)に示すような
V型の減衰層10が好ましい。
ず、軽量トラック、トラック・バスなどの幅広い重量の
車両の空気入りタイヤに適用できる。
形態について説明する。
うな形態でビードフィラー2とカーカス層5との間に減
衰層10を介在させる例を示したが、図3(a)〜
(c)に示すような構造にしてもよい。
角形のビードフィラー2の上側をV型の減衰層10が覆
うようにして、カーカス層5との間に介在させた例であ
る。従って、減衰層10の下端は、ビードフィラー2の
下端より上方に位置している。また、カーカス層5の折
り返し方向は、図1の場合と同じであるが、折り返し部
5aの先端がビードフィラー2の上端より下方に位置し
ている。このため、減衰層10は、ビードフィラー2と
カーカス層5との間に介在していない部分を有するが、
その部分においても周囲のゴム層から伝達する振動エネ
ルギーを減衰させることができる。
折り返し方向が図1の場合と異なる例であり、その非折
り返し部5bのみに減衰層10を介在させると共に、更
に非折り返し部5bの外側にも減衰層10cを設けてあ
る。このような減衰層10cによっても周囲のゴム層か
ら伝達する振動エネルギーを減衰させることができる。
なお、カーカス層5は1層のものに限られず、2層形成
したものでもよい。またカーカス層5を2層形成する場
合、ビードフィラー2の外側と内側との両側から折り返
すようにしてもよい。
2の高さが低く、カーカス層5の折り返し部5aの先端
がビードフィラー2の上端より上方に位置する例であ
る。この例では、減衰層10がビードフィラー2とカー
カス層5との間に介在すると共に、カーカス層5の折り
返し部5aと非折り返し部5bとの間にも介在してい
る。また、前述の実施形態では、減衰層10の厚みの分
だけビードフィラー2の体積を減少させていたが、この
例では、ビードフィラー2の体積を変化させずに、減衰
層10を設けてある。
ー2の断面形状が略三角形の例を示したが、 ビードフ
ィラー2の断面形状は、台形、その他の形状でもよい。
また、ビードフィラー2の構造は、2種以上の部分(材
料)からなる複合体であってもよい。また、ビードフィ
ラー2やビードコア1の近傍に、短繊維や長繊維等で補
強した補強層を設けてもよい。その場合、カーカス層5
のビードフィラー2とは逆側(介在しない側)に設ける
のが、騒音低減効果の観点から好ましい。
施例等について説明する。なお、損失正接(tan
δ)、ロードノイズレベル、操縦安定性、タイヤ重量
は、次のようにして測定・評価した。
て、動的粘弾性スペクトロメータ(レオロジ社製)を使
用し、幅5mm、厚さ1mm、試料長20mmの短冊状
試料により、初期歪み2.5%、振動数100Hz、動
歪み0.15%、23℃での条件で測定した。
条件にて動的弾性率を測定した(単位:MPa)。
ントとリア共に空気圧200kPaとし、テスト車両
(2000ccの国産FF乗用車)に装着し、マイクを
運転席の耳元に配して60km/hの定速走行で、25
0〜400Hzのロードノイズレベルを測定した。測定
値は、比較例1を100とする指数で表示した(数値が
低いほど良)。
モードにより走行した時のテストドライバーによるフィ
ーリングで評価した。評価は、比較例1を100とする
指数で表示した(数値が高いほど良)。
00として指数で表示した(数値が低いほど軽い)。
1、その断面形状を略三角形(底辺8.5mm、高さ3
5mm)とし、その両側面に同じ幅の表1に示すような
減衰層をh1−h2=5mmとなるように配置して、他
の部分は一般的な材料、構造よりなるサイズ205/6
5R15のラジアルタイヤを試作した。
ドフィラーと同じゴムで形成すること以外は同様にして
ラジアルタイヤを試作した。
料に代えること以外は同様にしてラジアルタイヤを試作
した。
料で同体積となる減衰部を断面台形のビードフィラー
(同体積)のタイヤ外周側頂部に設けること以外は、実
施例1と同様にしてラジアルタイヤを試作した。
示す。
操縦安定性を維持しつつ、十分な騒音低減効果を得るこ
とができる。これに対し、tanδ=0.2の材料を用
いた比較例2では、十分な騒音低減効果を得ることがで
きず、また、断面三角形状に高減衰材料を配置した比較
例3では、操縦安定性が大きく低下した。
図
の説明図
面図
Claims (4)
- 【請求項1】 一対の環状のビードコアと、そのビード
コアで端部側が折り返されたカーカス層と、そのカーカ
ス層に側面が沿うように前記ビートコアのタイヤ外周側
に配設されたビードフィラーとを備える空気入りタイヤ
において、 前記ビードフィラーと前記カーカス層との間に、測定温
度23℃、振動数100Hz、動歪み0.15%での動
的粘弾性測定における損失正接(tanδ)が0.3以
上の高減衰材料よりなる減衰層を介在させてあることを
特徴とする空気入りタイヤ。 - 【請求項2】 前記減衰層の平均厚みが0.5〜2.0
mmである請求項1記載の空気入りタイヤ。 - 【請求項3】 前記ビードフィラーの内側側面と外側側
面とが、前記カーカス層の折り返し部と非折り返し部と
に沿って配設されると共に、その内側側面及び外側側面
と前記カーカス層との間に、前記減衰層を介在させてあ
る請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。 - 【請求項4】 前記ビードフィラーの断面形状が略三角
形であり、その断面形状の高さhbfに対する前記減衰層
の幅Wの比率(W/hbf)が0.3〜1.0である請求
項3に記載の空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
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JP2001003428A JP4831868B2 (ja) | 2001-01-11 | 2001-01-11 | 空気入りタイヤ |
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