JP4327969B2 - ラジアルタイヤ - Google Patents

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    • B60C11/005Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts comprising different tread rubber layers with cap and base layers
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    • B60C2011/0016Physical properties or dimensions
    • B60C2011/0025Modulus or tan delta

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、転がり抵抗性を減少させ、高速耐久性を高め、操縦安定性に優れ、ロードノイズを大幅に低減したラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
車輌の高級化、高品質化に伴い、特に乗用車においては車輌の低振動化、乗心地性の改良が近年急激に進みつつある中、タイヤとしての要求特性にも低騒音、高乗心地化が求められている。
【0003】
特に、車内に生じるノイズの低減が望まれており、かかるノイズの一つとして走行中のタイヤが路面の凹凸をひろい、その振動が伝達されて車内の空気を振動させることに基づいて発生する、いわゆるロードノイズの改良要求は、極めて高くなってきている。
【0004】
また、車輌の高級化に伴い、高出力化、高速化も同時に進められていることから、従来のタイヤのように乗心地やロードノイズのみを良くしたタイヤでは、対応できず高速耐久性、ユニフォミティー性能、操縦安定性、転がり抵抗性も同時に高いレベルを維持することが必要である。
【0005】
従来より存在するロードノイズ低減方法としては、最も基本的には(1)タイヤトレッド部のゴムを軟化させる手法、(2)タイヤカーカスの形状を変化させることにより、ベルト層の張力を強化させる手法、(3)交差ベルト層の全部または両端部を周方向に配置されたコードをゴム引きした例えばナイロンコードの補強層で、挟持することによりベルト周方向剛性を強化させる手法、および該コード補強層を周上でジョイントをなくすためにラセン状にベルト層外側に巻きつける手法(例えば、特開平6−24208)を挙げることができる。
【0006】
これらは、ごく一般的な手法として長所短所をそれぞれ有するため、目的に応じて各手法を選択あるいは、組み合わせて用いられており、特に(3)の手法はロードノイズ低減より、むしろ高速耐久性向上を満たす手法としても現在の高性能、高品質タイヤにおいては、特に主流となりつつもあるものである。
【0007】
また、特殊な方法としては(4)特開平5−238205に開示されているように、カーカス層とベルト層間に周方向コードと高モジュラスゴムシートをはさんだ新しい手法や(5)特開平3−253406に開示されているように、タイヤ振動モードに応じた部分補強を行う手法なども知られている。
【0008】
さらに、前記(3)のベルト最外層にナイロンコードをラセン状に巻きつけたタイヤの応用としては特に高速耐久性向上、高速レベル向上を目的として例えば、(6)高弾性率コードを巻きつける手法(例えば特開平2−147407、平1−145203)や(7)この加硫成型を向上させるために、最外層にラセン状に巻きつけるコードを高弾性率と低弾性率のフィラメントを撚り合わせ、応力一伸度曲線に変曲点をもたせた複合コードを用いる手法(例えば、特開平1−247204)などが挙げられ、さらには、(8)前記(7)の騒音性改良のために、撚り合わせる繊維材質を限定した例(特開平6−305304)、また(9)ベルト層のタイヤ径方向両側部分に、補強層として有機繊維を用いた例(特開平6−115312)等、多くの手法が知られており、これら一連の手法はすべて記載の有無によらず、多少なりともベルト部張力の強化がなされているため、ロードノイズ低減効果は若干ではあるが認められている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した手法によるロードノイズを低減する方法は前記(1)においては、トレッドゴムを軟化することによってロードノイズを低減できても、耐摩耗性が大きく低下し、また操縦安定性も大幅に悪化するため実用的でなく、また前記(2)においては、タイヤのベルト層の張力を強化することはできても、タイヤの横剛性及びコーナリング性能が低下し、トレッド部以外の部分までも接地し、外観上もよくない。
【0010】
さらに、前記(3)においては、高速耐久性向上と共にロードノイズ低減も若干の効果はあるものの依然として、この程度のものでは満足できるものではなかった。
【0011】
また(3)の応用例として、前記(4)及び(5)においては、(3)以上の効果はあるが、その改良度合は小さく高速性に対する耐久性は不十分であり、前記(6)においては、実用上作りにくい点と操縦安定性悪化が認められ、前記(7)および(8)のように複合コードを用いる方法も応力一伸度曲線に変曲線を持つため、いわゆる大入力、小入力でのコードの挙動が異なってしまうため、100〜400Hzといった広範囲でのロードノイズ低減には効果は不十分である。
【0012】
また、これら複合させたコードはロードノイズ低減の効果の速度依存性が大きいため、実用上好ましいものではない。
【0013】
さらに、前記(9)においては、ロードノイズ低減効果は若干あるものの、ベルト補強層に必要なコード特性が特定されておらず、またそのコード特性をタイヤ性能に生かしきれていないため、ロードノイズ低減効果も不十分であり、唯一実施例に記載の通常の芳香族ポリアミドのような高弾性率コードを単にラセン巻きにした場合、ロードノイズは十分低減できないと共に、操縦安定性は大巾に悪化する。
【0014】
上記の諸問題を解決するために、ベルト補強層に用いるコードの物性を限定したラジアルタイヤ(特開平9−66705号公報)が提案され、ある程度の効果が得られたが、更なるロードノイズの低減が求められている。
【0015】
従来、トレッドゴムのヤング率(E’:複素ヤング率の実数成分)を下げる、もしくは損失係数(tanδ)を上げることでロードノイズを低減できることが知られているが、ヤング率(E’)を下げるとゴムが柔軟になり操縦安定性が低下し、損失係数(tanδ)を上げるとトレッドの耐久性(耐摩耗性等)が低下してしまうという問題がある。 本発明は上記事実を考慮し、ロードノイズ、高速耐久性及び操縦安定性を両立しつつ、ロードノイズの一層の低減を図ることのできるラジアルタイヤを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく、ベルト補強層に用いる繊維コードの物性とタイヤ製造時−走行時のベルト補強層コードに加わる温度、張力、動的入力、トレッドゴムの構造、物性及び形状等との関係に着目し、鋭意検討した結果、上記、各要求特性がトレッドゴムの構造、物性及び形状、ベルト補強層、繊維コード及びベルト層の如何なる物性と密接に関係しているかが明確となり、すなわち下記の手段により上記諸要求特性を同時に満足できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
請求項1に記載の発明は、一対のビード部と、両ビード部にトロイド状に跨がると共に端部がビードコアの回りをタイヤ内側から外側へ巻き上げられるカーカスと、前記カーカスのクラウン部に位置するトレッド部と、前記カーカスのサイドウォール部と、を備えると共に、前記トレッド部の内側に配置された少なくとも二層のベルト層の外周側に少なくとも一枚よりなるベルト補強層をトレッド部全体及び/又は両端部に配設し、前記ベルト補強層が繊維コードを複数本含むゴム引きされた狭幅のストリップを前記コードがタイヤ周方向に実質上、平行になるようにラセン状にエンドレスに巻きつけることにより形成されるラジアルタイヤであって、前記ベルト補強層コードが有機繊維コードからなり、かつ前記有機繊維コードが50±5°Cにおいて、1.4g/d荷重下の伸度が1.5%以上2.5%以下であり、かつ170±5°Cにおいて、0.7g/d荷重下の伸度が2.0%以上3.3%以下であり、前記トレッド部は、各々タイヤ赤道面を中心としてタイヤ幅方向両側へ延びるベルト層側のベースゴムと、前記ベースゴム全体を覆いかつ前記ベルト層の幅方向端部よりも更にタイヤ幅方向外側へ延びる踏面側のキャップゴムとの2層構造であり、前記ベルト層の半幅をBW、前記ベースゴムの半幅をβWとしたときに、55%≦βW/BW≦80%を満足し、前記キャップゴムの30°Cにおける損失係数tanδは前記ベースゴムの30°Cにおける損失係数tanδより大きく、前記ベースゴムの30°Cにおけるヤング率E’は前記キャップゴムの30°Cにおけるヤング率E’よりも大きく設定されており、前記ベースゴムの厚さをa、前記トレッド部の厚さをbとしたときに、50%≦a/bとされていることを特徴としている。
【0018】
次に、請求項1に記載のラジアルタイヤの作用を説明する。
【0019】
本発明のラジアルタイヤでは、ベルト層の外周側にベルト補強層をトレッド部全体及び/又は両端部に配設し、ベルト補強層が繊維コードを複数本含むゴム引きされた狭幅のストリップをコードがタイヤ周方向に実質上平行になるようにラセン状にエンドレスに巻きつけられ、またベルト補強層のコードが有機繊維コードからなり、さらにこの繊維コードは50±5°C、1.4g/d(12.3mN/dtex)荷重下の伸度が1.5%以上2.5%以下であり、かつ170±5°C、0.7g/d(6.2mN/dtex)荷重下の伸度が2.0%以上3.3%以下としている。
【0020】
このように、トレッド部全体及び/又はトレッド部の両端のサイド部に近い位置に、ベルト補強層をラセン状に巻きつけ、さらにこの補強層に用いるコードのモジュラスを高めて、タイヤ周方向の張力の高いバリヤー状補強層が配置されることによって、トレッド部の周方向の張力剛性が大きくなり、ベルトのいわゆるタガ効果が高まるため、タイヤ走行中時に路面の大小の凹凸の振動をトレッド面でひろいにくく、タイヤサイド部−リム部−ホイールヘと伝達されて車内に伝わる振動が減少し、つまりロードノイズが低減される。
【0021】
ベルト補強層は前記のようなラセン状に巻回した構造でなければ、タイヤ周方向にジョイントができてしまうため、周方向の張力が向上するよりも、ジョイント部でのジョイント上、下の層間のズレが発生してしまい、前記のようなコード物性を限定しても効果が見られない上、ジョイントによるユニフォミティーも著しく悪化し好ましくない。
【0022】
本発明では、ベルト補強層の有機繊維コードは通常のタイヤ走行時にベルト補強層の受ける温度すなわち50±5°Cにおいて、1.4g/d荷重下の伸度が2.5%以下としている。
【0023】
これによって路面の凹凸によるベルトの振動を低減することができる。この伸度が2.5%を越えるとこのベルトの振動を抑えきれず、ロードノイズ低減効果は得にくくなる。
【0024】
また、ベルト補強層の繊維コードは50±5°Cにおける応力一伸度曲線の1.4g/d荷重下での接線の傾きN1 と0.25g/d荷重下での接線の傾きN2 との比N1 /N2 が0.8〜1.3であることが好ましい。
【0025】
これによって、ベルトの振動入力に対するバリアー効果に均一性が保たれ、大入力及び小入力に対するベルト層の振動抑制にばらつきが発生しない。
【0026】
例えば、N1 /N2 が0.8未満の場合、大きな入力に対するバリアー効果が低下し、振動低減効果が小さくなり、N1 /N2 が1.3を超える場合、小さな入力に対するバリアー効果が低下し、振動低減効果が小さくなる。
【0027】
その結果、トレッド部全体の振動が発生し、ロードノイズは悪化する。
【0028】
この大入力および小入力に対するバリアー効果、すなわちロードノイズ低減効果は補強層コードの大荷重下と小荷重下における各々モジュラスの絶対値より、その比によって大きく左右される。
【0029】
さらに、ベルト補強層の繊維コードはタイヤ加硫成型時にコードの受ける温度すなわち170±5°Cにおいて、0.7g/d荷重下の伸度が2.0%以上3.3%以下であることが必要である。
【0030】
タイヤ製造時に生タイヤを加硫金型に装着し、生タイヤに内圧を充填させ、金型内面に押しつける時、拡張率が一定でないトレッド各部を十分な伸びを持って金型に密着させるため、ラセン状に巻きつけられたベルト補強層のコードは、トレッドを加硫金型に適合できる2.0%以上3.3%以下のような伸びが必要となり、これによってタイヤの加硫成型性は良好となり、ベルト補強層の性状は均一となり、接地性も均一となるため、タイヤのロードノイズ性、操縦安定性、耐偏摩耗性は優れたものとなる。
【0031】
有機繊維コードは加硫時の150〜180°Cのような高温において、十分な伸びを有し、製品タイヤにおいては、ベルト層を強く保持する、高い弾性率を維持する性質を有することができるため、これらの効果を発現する。
【0032】
ここで、0.7g/dの荷重での伸度としているのは加硫金型内でのラセン状に巻きつけたベルド補強層繊維コード1本当りに加わる平均張力が一般に0.7g/d前後であることによる。
【0033】
この伸度が高弾性率の通常のアラミドコードのように2.0%未満である場合、上記の説明からわかるように、加硫金型内でトレッドの充分な伸びが得られず、加硫成型が不良となり、タイヤ接地性も不均一となり、ロードノイズ低減効果が十分でなく、また操縦安定性等も悪化する。
【0034】
また、伸度が3.3%を超える場合、タイヤを加硫金型から取りはずした後、内圧充填冷却(ポストキュアーインフレーション)時に、トレッド部の周方向の伸びが大きくなり、高速耐久性が悪くなる。
【0035】
さらに、本発明のラジアルタイヤでは、トレッド部を、各々タイヤ赤道面を中心としてタイヤ幅方向両側へ延びるベルト層側のベースゴムと、ベースゴム全体を覆いかつベルト層の幅方向端部よりも更にタイヤ幅方向外側へ延びる踏面側のキャップゴムとの2層構造とすると共に、キャップゴムの30°Cにおける損失係数tanδをベースゴムの30°Cにおける損失係数tanδより大きく設定すると共にベースゴムの半幅βWをベルト層の半幅BWの55%以上80%以下に設定したので、トレッド部全体が振動し難くなる。
【0036】
ベースゴムの幅方向端部からベルト層の端部、更にベルト層のタイヤ幅方向外側には、損失係数tanδを大きく設定したキャップゴムのみが配置されており、振動の腹となるベルト層の両端部付近がこのキャップゴムにより覆われているので振動が効果的に吸収される。
【0037】
ここで、キャップゴムの30°Cにおける損失係数tanδがベースゴムの30°Cにおける損失係数tanδと同等または小さい場合には、振動の腹となるベルト層端部付近の振動吸収性が低下する。
【0038】
また、ベースゴムの30°Cにおけるヤング率E’がキャップゴムの30°Cにおけるヤング率E’と同等または小さい場合には、トレッド部の剛性が低下してトレッド部全体が振動し易くなる。
【0039】
さらに、βW/BW>55%となると、ヤング率E’を高く設定したベースゴムの幅が狭くなり、ベルト層両端付近のトレッド部の剛性が低下してベルト層両端付近が振動し易くなる。
【0040】
一方、βW/BW>80%となると、損失係数tanδを大きく設定した振動吸収性に優れるキャップゴムの面積(体積)がベルト層両端付近で少なくなり、ベルト層両端付近の振動を吸収することが出来なくなる。
ベースゴムの厚さaがトレッド部の厚さbの50%よりも小さくなると、ヤング率E’を大きく設定したベースゴムが薄くなり、トレッド部の剛性が低下してトレッド部全体が振動し易くなる。
また、ベースゴムの厚さaは、トレッド部の厚さbの90%以下が好ましい。その理由は、キャップゴムの厚み(b−a)がトレッド部の厚さbの10%より小さくなると、トレッド面よりの振動入力を吸収する層が薄くなるため、騒音が発生し易くなる。
【0041】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のラジアルタイヤにおいて、前記キャップゴムの30°Cにおける損失係数tanδが0.3〜0.5の範囲内であることを特徴としている。
【0042】
次に、請求項2に記載のラジアルタイヤの作用を説明する。
【0043】
キャップゴムの30°Cにおける損失係数tanδが0.3未満になると、キャップゴムが振動を吸収し難くなる。
【0044】
一方、キャップゴムの30°Cにおける損失係数tanδが0.5を越えると、キャップゴムが軟らかくなり過ぎ、トレッド部の耐久性(耐摩耗性等)が低下する。
【0045】
したがって、キャップゴムの30°Cにおける損失係数tanδを0.3〜0.5の範囲内に設定することが好ましい。
【0046】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のラジアルタイヤにおいて、前記ベースゴムの30°Cにおけるヤング率E’が100×105 〜150×105 Paの範囲内であることを特徴としている。
【0047】
次に、請求項3に記載のラジアルタイヤの作用を説明する。
【0048】
ベースゴムの30°Cにおけるヤング率E’が100×105 Pa未満になると、ベースゴムが軟らかくなってトレッド部の剛性が低下し、操縦安定性の低下を招く。
【0049】
一方、ベースゴムの30°Cにおけるヤング率E’が150×105 Paを越えると、ベースゴムが硬くなって、トレッド部の摩耗によりベースゴムが踏面に露出した際に踏面との摩擦係数が低下してウエット性能等の低下を招く。
【0050】
したがって、ベースゴムの30°Cにおけるヤング率E’を100×105 〜150×105 Paの範囲内に設定することが好ましい。
【0051】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のラジアルタイヤにおいて、有機繊維コードは、50±5°Cにおいて、1.4g/d荷重下の伸度が1.6%以上2.3%以下であり、かつ170±5°Cにおいて、0.7g/d荷重下の伸度が2.3%以上3.0%以下であることを特徴としている。
【0052】
次に、請求項4に記載のラジアルタイヤの作用を説明する。
【0053】
有機繊維コードの50±5°Cにおける1.4g/d荷重下の伸度を1.6%以上2.3%以下としたので、路面の凹凸によるベルトの振動を確実に低減することができる。
【0054】
また、有機繊維コードの170±5°Cにおける0.7g/d荷重下の伸度を2.3%以上3.0%以下としたので、成型性、タイヤ接地性、ロードノイズ低減、操縦安定性、高速耐久性を確実に両立することができる。
【0055】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のラジアルタイヤにおいて、前記有機繊維コードは、総表示デニール数の30%以上がポリエチレン−2,6−ナフタレート繊維で構成される、ことを特徴としている。
【0056】
次に、請求項5に記載のラジアルタイヤの作用を説明する。
【0057】
本発明のラジアルタイヤは、ポリエチレン−2,6−ナフタレート繊維コードを含む有機繊維コードは前記諸物性を満足させることができるため、実用上一般的なコード熱処理及びタイヤ製造法を用いても、加硫金型内での成型性も良好であり、タイヤの操縦安定性、耐偏摩耗性も優れており、ロードノイズ性は大幅に低減される。
【0058】
ポリエチレン−2,6−ナフタレート繊維コードが有機繊維コードの総表示デニール数の30%以上含まれることにより、広範な周波数帯域、特に300〜400Hzのような高周波数帯域でのロードノイズの低減が可能となる。
【0059】
このような多くの効果は、ベルト補強層として同じように用いられる下記の他の繊維コードと対比することにより、一層明白となる。
【0060】
通常のナイロン66繊維コード、ナイロン46繊維コード等を用いた場合、タイヤロードノイズ(車内騒音)はベルト補強層のないものに比べると若干低減するがそのレベルは満足できるものではない。
【0061】
通常のアラミド繊維コード、炭素繊維コード、ガラス繊維コード等の高弾性率繊維コードを用いた場合、前記したように加硫成型性が不良であり、100〜400Hzの広範な周波数帯域、特に300〜400Hzの比較的高周波数帯域でのロードノイズは十分に低減できないうえ、接地性が不均一となり、操縦安定性や耐偏摩耗性は大巾に悪化する。
【0062】
通常のアラミド・ナイロンの複合繊維コードを用いた場合、応力ー伸度曲線が非線形のため路面入力の大小や走行速度によって、ロードノイズの悪化する点があり、実用的ではない。
【0063】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のラジアルタイヤにおいて、前記有機繊維コードは、総表示デニール数の80%以上がポリエチレン−2,6−ナフタレート繊維で構成される、ことを特徴としている。
【0064】
次に、請求項6に記載のラジアルタイヤの作用を説明する。
【0065】
ポリエチレン−2,6−ナフタレート繊維コードが有機繊維コードの総表示デニール数の80%以上含まれることにより、広範な周波数帯域、特に300〜400Hzのような高周波数帯域でのロードノイズをより低減することが可能となる。
【0066】
請求項7に記載の発明は、前記有機繊維コードは、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のラジアルタイヤにおいて、総表示デニール数の100%がポリエチレン−2,6−ナフタレート繊維で構成される、ことを特徴としている。
【0067】
次に、請求項7に記載のラジアルタイヤの作用を説明する。
【0068】
ポリエチレン−2,6−ナフタレート繊維コードが有機繊維コードの総表示デニール数の100%含まれることにより、広範な周波数帯域、特に300〜400Hzのような高周波数帯域でのロードノイズをより一層低減することが可能となる。
【0069】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のラジアルタイヤにおいて、前記ベースゴムにはシリカが配合されており、前記ベースゴム中に配合される配合剤中に示す前記シリカの割合が20%以上であることを特徴としている。
【0070】
次に、請求項8に記載のラジアルタイヤの作用を説明する。
【0071】
トレッド部が摩耗してベースゴムが踏面に露出する頃には、トレッド部に設けられた排水用の溝の断面積が減少してウエット性能が低下する。
【0072】
操縦安定性を確保するため、トレッド部にヤング率(E’)を高めに設定したベースゴムを用いるが、ヤング率(E’)の高いゴムは一般に硬くて路面との摩擦係数が小さい。
【0073】
しかしながら、本発明のようにベースゴムにシリカを配合することによってベースゴムの摩擦係数を上げることができ、ベースゴムの露出する摩耗後期のウエット性能の低下を抑えることができる。
【0078】
【発明の実施の形態】
次に、本発明のラジアルタイヤの一実施形態を図面にしたがって説明する。
【0079】
図1に示すように、ラジアルタイヤ10はビード部11に埋設されたビードコア12の周りにタイヤ内側から外側に折返して係止されるカーカス14と、カーカス14の本体部14Aと巻上部14Bとの間に配置されるビードフィラー15と、カーカス14のクラウン部に位置するトレッド部16と、カーカス14のサイド部に位置するサイドウォール部18と、トレッド部16の内側に配置された少なくとも二層のベルト層20を備えている。
【0080】
カーカス14は、繊維コードを実質的に周方向と直交する方向に配列されており、少なくとも一枚の層から構成されている。
【0081】
ベルト層20はアラミド繊維及びスチールコードに代表される非伸長性コードが周方向(またはタイヤ赤道面CL)に対し10°〜30°の傾斜角度で配列されており、少なくとも2枚、互いのコードが異なる方向に交差するように重ね合わされている。
【0082】
ベルト層20の外周側には、ベルト補強層22が設けられている。
【0083】
ベルト補強層22は、ベルト層20全体を覆う幅広の第1ベルト補強層22Aと、ベルト層20の端部付近を覆う幅狭の第2ベルト補強層22Bから構成されている。
【0084】
第1ベルト補強層22A及び第2ベルト補強層22Bは、各々繊維コードを復数本含むゴム引きされた狭幅のストリップを、前記繊維コードがタイヤ周方向に実質的に平行(0°〜5°)になるようにラセン状(スパイラル状)に、エンドレスに巻きつけられている。
【0085】
なお、第1ベルト補強層22A及び第2ベルト補強層22Bは、ベルト層20の幅方向外側にはみ出した方がよい。
【0086】
ここで、第1ベルト補強層22A及び第2ベルト補強層22Bに用いる繊維コードは、50±5°Cにおいて、1.4g/d荷重下の伸度が1.5%以上2.5%以下であり、かつ170±5°Cにおいて、0.7g/d荷重下の伸度が2.0%以上3.3%以下である有機繊維コードであり、50±5°Cにおいて、1.4g/d荷重下の伸度が1.6%以上2.3%以下であり、かつ170±5°Cにおいて、0.7g/d荷重下の伸度が2.3%以上3.0%以下である有機繊維コードであることが好ましい。
【0087】
有機繊維、例えば、ポリエチレン−2,6−ナフタレートは85モル%以上がポリエチレン−2,6−ナフタレートからなる重合体を用いることができる。
【0088】
この重合体は公知の方法例えば特開平5−163612の2欄26行〜3欄21行に従って合成することができ、同特許の4欄7行〜5欄35行に従って原糸を製造することができる。
【0089】
この重合体は通常の溶融重合、固相重合のいずれの方法によっても合成できる。
【0090】
また、有機繊維コードは、総表示デニール数の30%以上(残りは他の有機繊維)がポリエチレン−2,6−ナフタレート繊維で構成されることが好ましく、総表示デニール数の80%以上がポリエチレン−2,6−ナフタレート繊維で構成されることが更に好ましく、総表示デニール数の実質的に100%がポリエチレン−2,6−ナフタレート繊維で構成されることが最も好ましい。
【0091】
なお、このラジアルタイヤ10は、一般のラジアルタイヤと同様の行程を経て製造される。
【0092】
ここで、本実施形態のラジアルタイヤ10のトレッド部16は、ベースゴム16A及びキャップゴム16Bの2層からなるいわゆるキャップベース構造である。
【0093】
ベースゴム16A及びキャップゴム16Bは、各々タイヤ赤道面CLを中心としてタイヤ幅方向両側へ延びており、キャップゴム16Bはベースゴム16Aの全面を覆い、かつベースゴム16Aの端部よりもタイヤ幅方向両側へ延びている。
【0094】
キャップゴム16Bの30°Cにおける損失係数tanδは、ベースゴム16Aの30°Cにおける損失係数tanδよりも大きいことが必要である。
【0095】
キャップゴム16Bの30°Cにおける損失係数tanδは、0.3〜0.5の範囲内に設定されることが好ましい。
【0096】
また、ベースゴム16Aの30°Cにおけるヤング率E’はキャップゴム16Bの30°Cにおけるヤング率E’よりも大きいことが必要である。
【0097】
ベースゴム16Aの30°Cにおけるヤング率E’は100×105 〜150×105 Paの範囲内に設定されることが好ましい。
【0098】
さらに、トレッド部16が振動し難く、また振動を吸収し易いように、各部の寸法が以下のように決められている。
【0099】
先ず、ベルト層20の半幅(ベルト層20の最大幅の半分の長さ)をBW、ベースゴム16Aの半幅(ベースゴム16Aの最大幅の半分の長さ)をβW、ベースゴム16Aの幅方向端部からタイヤ幅方向外側へ延びるキャップゴム16Bの幅をαW、としたときに、55%≦βW/BW≦80%の関係を満足するように各部の幅が決められている。
【0100】
また、ベースゴム16Aとキャップゴム16Bとの2層構造となっている部分において、ベースゴム16Aの厚さをa、トレッド部16の厚さをbとしたときに、50%≦a/bの関係を満足するようにベースゴム16A及びキャップゴム16Bの厚さが決められている。また、ベースゴム16Aの厚さaは、トレッド部16の厚さbの90%以下に設定することが好ましい。
【0101】
本実施形態のラジアルタイヤ10では、キャップゴム16Bの30°Cにおける損失係数tanδが0.43、ベースゴム16Aの30°Cにおけるヤング率E’が120×105 Pa、ベルト層20の半幅BWが80mm、ベースゴム16Aの半幅βWが65mmに設定されている。
【0102】
ベースゴム16A及びキャップゴム16Bは、天然ゴム(NR)100重量部、カーボンブラック15〜40重量部、イオウ1〜3重量部、さらにオイル、老化防止剤、加硫促進剤、加工性改良剤を最適な量、最適な組み合わせで配合されている。
【0103】
また、ベースゴム16Aには、シリカが配合されている。トレッド部16の摩耗によりベースゴム16Aが踏面に露出した際の路面との摩擦を大きくするため、ベースゴム16Aに配合される配合剤中に占めるシリカの割合を20%以上とすることが好ましい。
【0104】
なお、トレッド部16には、ウエット性能を確保するために、周方向に沿って延びる主溝17が複数本形成されている。また、主溝17の底部はベースゴム16Aの上面よりも下側に位置しており、摩耗中期前後(〜摩耗後期)にはベースゴム16Aが踏面に露出するようになっている。
【0105】
なお、トレッド部16には、周方向に延びる主溝17の他にラグ溝が形成されていても良い。
【0106】
また、第1ベルト補強層22A及び第2ベルト補強層22Bの有機繊維コードは、原糸を下撚りし、これを2本又は3本合わせて、逆方向に上撚りし、後で定義する撚り係数Rが0.20〜0.72であることが好ましく、0.20〜0.50であることがさらに好ましい。
【0107】
これによって、コードに適度の集束性が与えられるため、高レベルのロードノイズ低減効果が得られる。
【0108】
撚り係数Rは、0.20未満ではコード−ゴム間の接着性が悪くなり、0.72を越えると伸びが増大し、初期モジュラスが低下するため、ベルト補強層のタガ効果を低下させる。
【0109】
なお、前記撚り係数Rとは、R=N×(0.139×D/ρ)1/2 ×10-3〔式中、N:コードの撚り数(回/10cm)、D:コードの総表示デニール数、ρ:コードの比重〕で定義される。
【0110】
なお、前述の各種の測定、試験方法は次の通りである。
・170±5°Cにおける0.7g/dの荷重下での伸度の測定
20〜30°C(室温)でコードに0.0167g/dの荷重をかけた状態からコードの雰囲気温度を80°C/分の速度で170±5°Cに昇温し、10分間安定させる。
【0111】
その後、30mm/分の速度で0.7g/dの荷重になるまで引っ張る。
【0112】
その状態で、10分間クリープさせた時点でのコードの長さを測定し、室温時にコードに0.0167g/dの荷重をかけた時の長さと比べ、その伸びた分を室温時のコードに0.0167g/dの荷重をかけた長さで除して、170±5°Cにおける0.7g/d荷重下での伸度(%)とした。
【0113】
尚、初期サンプル長さは、250mmで行った。
【0114】
・50±5°Cにおける1.4g/d荷重下での伸度の測定 20〜30°C(室温)でコードに0.0167g/dの荷重をかけた状態からコードの雰囲気温度を5°C/分の速度で50±5°Cに昇温し、5分間安定させる。
【0115】
その後、300mm/分の速度でコードが破断するまで引張り、応力一伸度曲線を描き、その応力一伸度曲線から1.4g/d応力時の伸度を読み取り、これを50±5°Cにおける1.4g/d荷重下での伸度とした。
【0116】
・50±5°Cにおける応力一伸度曲線の1.4g/d荷重下での接線の傾きN1 と0.25g/d荷重下での接線の傾きN2 の比N1 /N2 の測定 前項で作成した応力一伸度曲線の1.4g/d荷重点及び0.25g/d荷重点において、接線を描き、単位伸度当りの荷重(g/d)をそれぞれN1 及びN2 とする。
【0117】
これは、接線の傾きであり、N1 をN2 で除した値を求めた。
【0118】
・tanδの測定は粘弾性測定装置(東洋精機製作所社製)を使用し、温度30°C、歪1%、周波数50Hzでtanδを測定した。
(作用)
次に、ラジアルタイヤ10の作用を説明する。
【0119】
本実施形態のラジアルタイヤ10のように、ベルト層20の外周にベルト補強層22(第1ベルト補強層22A及び第2ベルト補強層22B)を設けたので、ベルト層20のいわゆるタガ効果が高まるため、タイヤ走行中時に路面の大小の凹凸の振動をトレッド面でひろいにくく、サイドウォール部18−リム部−ホイールヘと伝達されて車内に伝わる振動が減少、つまりロードノイズが低減される。
【0120】
また、ベルト補強層22に用いる有機繊維コードが通常のタイヤ走行時にベルト補強層22の受ける温度、すなわち50±5°Cにおける1.4g/d荷重下の伸度を2.5%以下としているので、路面の凹凸によるベルト層20の振動を低減することができる。
【0121】
また、ベルト補強層22に用いる有機繊維コードの50±5°Cにおける応力一伸度曲線の1.4g/d荷重下での接線の傾きN1 と0.25g/d荷重下での接線の傾きN2 との比N1 /N2 を0.8〜1.3としたので、ベルト層20の振動入力に対するバリアー効果に均一性が保たれ、大入力及び小入力に対するベルト層20の振動抑制にばらつきが発生しない。
【0122】
さらに、ベルト補強層22の有機繊維コードは、タイヤ加硫成型時にコードの受ける温度、すなわち170±5°Cにおける0.7g/d荷重下の伸度を2.0%以上3.3%以下としたので、タイヤの加硫成型性が良好となり、ベルト補強層22の性状が均一となり、接地性も均一となるため、タイヤのロードノイズ性、操縦安定性、耐偏摩耗性が優れたものとなる。
【0123】
有機繊維コードは、加硫時の150〜180°Cのような高温において、十分な伸びを有し、製品タイヤにおいては、ベルト層20を強く保持する、高い弾性率を維持する性質を有することができるため、これらの効果を発現する。
【0124】
ベルト補強層22の有機繊維コードは、原糸を下撚りし、これを2本又は3本合わせて、逆方向に上撚りし、撚り係数Rを0.20〜0.72の範囲内としたので、有機繊維コードに適度の集束性が与えられるため、高レベルのロードノイズ低減効果が得られる。
【0125】
さらに、このラジアルタイヤ10では、トレッド部16を、各々タイヤ赤道面CLを中心としてタイヤ幅方向両側へ延びるベルト層20側のベースゴム16Bと、踏面側のキャップゴム16Aとの2層構造とすると共に、キャップゴム16Aの30°Cにおける損失係数tanδをベースゴム16Bの30°Cにおける損失係数tanδより大きく設定すると共にベースゴム16Bの半幅βWをベルト層20の半幅BWの55%以上80%以下に設定したので、トレッド部16全体が振動し難くなる。
【0126】
なお、ベースゴム16Bの厚さaがトレッド部16の厚さbの50%よりも小さくなると、ヤング率E’を大きく設定したベースゴム16Bが薄くなり、トレッド部16の剛性が低下してトレッド部16全体が振動し易くなる。一方、キャップゴム16Aの厚み(b−a)がトレッド部16の厚さbの10%より小さくなると、トレッド面よりの振動入力を吸収する層が薄くなるため、騒音が発生し易くなる。
【0127】
また、ベースゴム16Bの幅方向端部からベルト層20の端部、更にベルト層20のタイヤ幅方向外側には、損失係数tanδを大きく設定したキャップゴム16Aが配置されており、振動の腹となるベルト層20の両端部付近がこのキャップゴム16Aにより覆われているので振動が効果的に吸収される。
【0128】
なお、キャップゴム16Bの30°Cにおける損失係数tanδが0.3未満になると、キャップゴム16Bが振動を吸収し難くなり、ロードノイズを低減することが出来なくなる。
【0129】
一方、キャップゴム16Bの30°Cにおける損失係数tanδが0.5を越えると、キャップゴム16Bが軟らかくなり過ぎ、トレッド部16の耐久性(耐摩耗性等)が低下する。
【0130】
ベースゴム16Aの30°Cにおけるヤング率E’が100×105 Pa未満になると、ベースゴム16Aが軟らかくなってトレッド部16の剛性が低下し、操縦安定性の低下を招く。
【0131】
一方、ベースゴム16Aの30°Cにおけるヤング率E’が150×105 Paを越えると、ベースゴム16Aが硬くなって、トレッド部16が摩耗してベースゴム16Aが踏面に露出した際に踏面との摩擦係数が低下してウエット性能等の低下を招く。
【0132】
βW/BW>55%となると、ヤング率E’を高く設定したベースゴム16Aの幅βWが狭くなり過ぎ、ベルト層両端付近の剛性が低下して振動し易くなる。
【0133】
一方、βW/BW>80%となると、損失係数tanδを大きく設定した振動吸収性に優れるキャップゴム16Bの面積(体積)がベルト層両端付近で少なくなり、ロードノイズを低減することが出来なくなる。
【0134】
また、βW/BW>55%となると、ヤング率E’を高く設定したベースゴム16Aの幅が狭くなり、ベルト層両端付近の剛性が低下して振動し易くなりロードノイズを低減することが出来なくなる。
【0135】
一方、βW/BW>80%となると、損失係数tanδを大きく設定した振動吸収性に優れるキャップゴム16Bの面積(体積)がベルト層両端付近で少なくなり、振動を抑えることが出来なくなりロードノイズを低減することが出来なくなる。
(試験例)
本発明の効果を確かめるため、比較例のタイヤ3種と本発明の適用された実施例のタイヤ1種とを用意し、走行音試験、操縦安定性試験及び耐久性試験を行った。
【0136】
(1) 後記の実施例及び比較例のタイヤは下記の通りである。
【0137】
使用タイヤサイズは、205/65R15のチューブレス構造であり、タイヤの製造は、加硫条件170°C×13分、ポストキュアインフレーション条件内圧250kPA、26分で行った。
【0138】
カーカスは、1000D/2 (1000デニール2本撚り)の撚り数(下撚り×上撚り)47×47(回/10cm)のポリエチレンテレフタレートコードを使用したものを2枚、打込み数は55.0本/5cmのものを用いた。
【0139】
ベルト層は、1×5×0.23構造のスチールコードからなるプライを2枚配置し、コードの打込み角度は周方向に対して左右それぞれ26°、コードの打込み数は40.0本/5cmである。
【0140】
ベルト補強層は、周方向に対して角度0°〜5°でベルト層外側にラセン状に巻きつけた。
【0141】
ベルト補強層は図1に示す配置とした。
【0142】
この際、1層の第1ベルト補強層をベルト層の径方向外側全体を覆うように、ベルト層の両端で各々2.5mm広く巻きつけ、さらにその外周側の両端部に1層の第2ベルト補強層を一層各25mm幅になるように巻き付けた。
【0143】
この補強層は5〜20mm程度の狭幅のストリップを用いて、前記方法によりベルト層上に形成した。
【0144】
・走行音試験:205/65R15、内圧200kPA、リムサイズ6J−15の供試タイヤを2000cc排気量セダンタイプの自動車(国産車)に4輪とも装着し、ロードノイズ評価路のテストコースで60km/時の速度で走行し、テストドライバーによるフィーリング評価を行った。なお、走行音試験は、新品タイヤと10000km走行後の摩耗タイヤとで行った。
【0145】
評価は、比較例1の新品時の走行音を100とする指数で表し、数値が大きい程走行音が小さいことを表している。
【0146】
・操縦安定性試験:乾燥したテストコースにて種々のモードで走行し、テストドライバーによるフィーリング評価を行った。
【0147】
評価は、比較例1の新品時を100とする指数で表し、数値が大きい程操縦安定性に優れていることを表している。
【0148】
・耐久性試験:米国規格FMVSS No.109のテスト方法に準じ、ステップスピード方式にて行い、即ち、30分ごとにスピードを増して故障するまで行い、故障したときの速度(km/h)及びその速度での経過時間(分)を測定した。評価は比較例1のコントロールタイヤを100とする指数で示しており、数値が大きいほど耐久性に優れていることを表している。
【0149】
実施例のタイヤ:ベルト補強層の有機繊維コードとして用いられるポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)コードは表示デニールが1670dtex/2、下撚りが39回/10cm、上撚りが39回/10cm〔撚り数が下×上(回/10cm)39×39と表示〕撚り係数が0.68であり、50±5°Cにおける1.4g/d荷重下の伸度が2.0%、170±5°Cにおける0.7g/d荷重下の伸度が3.0%、50±5°Cにおける応力一伸度曲線の1.4g/d荷重下での接線の傾きN1 と0.25g/d荷重下での接線の傾きN2 の比N1 /N2 が0.90である。
【0150】
また、ベースゴムのtanδ(30°C)は0.43である。
【0151】
比較例1のタイヤ:図2に示すように、トレッド部16が単一のゴムからなるタイヤである。
【0152】
ベルト補強層の有機繊維コードは、表示デニールが1400dtex/2、撚り数が下×上(回/10cm)13×13であるナイロンコードである。その他の諸元は以下の表1内に記載した通りである。
【0153】
比較例2のタイヤ:図2に示すように、トレッド部16が単一のゴムからなるタイヤである。その他の諸元は以下の表1内に記載した通りである。
【0154】
比較例3のタイヤ:図2に示すように、トレッド部16が単一のゴムからなるタイヤである。その他の諸元は以下の表1内に記載した通りである。
【0155】
このような材料及び構造を有するラジアルタイヤに関し、走行音、操縦安定性及び耐久性を評価した結果を以下の表1に示す。
【0156】
【表1】
Figure 0004327969
【0157】
試験の結果から、本発明の提供された実施例のタイヤは、ロードノイズ、操縦安定性及び耐久性が両立されていることが分かる。
【0158】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載のラジアルタイヤは上記の構成としたので、ロードノイズ、高速耐久性及び操縦安定性を両立しつつ、ロードノイズの一層の低減を図ることができる、という優れた効果を有する。さらに、操縦安定性と、新品時〜摩耗初期における振動抑制効果とを両立することができる。
【0159】
請求項2に記載のラジアルタイヤは上記の構成としたので、キャップゴムによる振動吸収性と、トレッド部の耐久性とを両立できる、という優れた効果を有する。
【0160】
請求項3に記載のラジアルタイヤは上記の構成としたので、操縦安定性を確保し、ベースゴムが踏面に露出した際のウエット性能等の低下を抑えることができる、という優れた効果を有する。
【0161】
請求項4に記載のラジアルタイヤは上記の構成としたので、路面の凹凸によるベルトの振動を確実に低減することができ、また、成型性、タイヤ接地性、ロードノイズ低減、操縦安定性、高速耐久性を確実に両立することができる、という優れた効果を有する。
【0162】
請求項5に記載のラジアルタイヤは上記の構成としたので、実用上一般的なコード熱処理及びタイヤ製造法を用いた場合の加硫金型内での成型性も良好であり、操縦安定性、耐偏摩耗性に優れ、ロードノイズ性を大幅に低減できる、という優れた効果を有する。
【0163】
請求項6に記載のラジアルタイヤは上記の構成としたので、特に300〜400Hzのような高周波数帯域でのロードノイズをより低減することができる、という優れた効果を有する。
【0164】
請求項7に記載のラジアルタイヤは上記の構成としたので、特に300〜400Hzのような高周波数帯域でのロードノイズをより一層低減することができる、という優れた効果を有する。
【0165】
請求項8に記載のラジアルタイヤは上記の構成としたので、ベースゴムの露出する摩耗後期のウエット性能の低下を抑えることができる、という優れた効果を有する。
【0166】
請求項9に記載のラジアルタイヤは上記の構成としたので、操縦安定性と、新品時〜摩耗初期における振動抑制効果とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るラジアルタイヤの断面図である。
【図2】比較例に係るラジアルタイヤの断面図である。
【符号の説明】
10 ラジアルタイヤ
11 ビード部
14 カーカス
15 ビードフィラー
16 トレッド部
16A ベースゴム
16B キャップゴム
18 サイドウォール部
20 ベルト層
22 ベルト補強層

Claims (8)

  1. 一対のビード部と、両ビード部にトロイド状に跨がると共に端部がビードコアの回りをタイヤ内側から外側へ巻き上げられるカーカスと、前記カーカスのクラウン部に位置するトレッド部と、前記カーカスのサイドウォール部と、を備えると共に、前記トレッド部の内側に配置された少なくとも二層のベルト層の外周側に少なくとも一枚よりなるベルト補強層をトレッド部全体及び/又は両端部に配設し、前記ベルト補強層が繊維コードを複数本含むゴム引きされた狭幅のストリップを前記コードがタイヤ周方向に実質上、平行になるようにラセン状にエンドレスに巻きつけることにより形成されるラジアルタイヤであって、
    前記ベルト補強層コードが有機繊維コードからなり、かつ前記有機繊維コードが50±5°Cにおいて、1.4g/d荷重下の伸度が1.5%以上2.5%以下であり、かつ170±5°Cにおいて、0.7g/d荷重下の伸度が2.0%以上3.3%以下であり、
    前記トレッド部は、各々タイヤ赤道面を中心としてタイヤ幅方向両側へ延びるベルト層側のベースゴムと、前記ベースゴム全体を覆いかつ前記ベルト層の幅方向端部よりも更にタイヤ幅方向外側へ延びる踏面側のキャップゴムとの2層構造であり、
    前記ベルト層の半幅をBW、前記ベースゴムの半幅をβWとしたときに、55%≦βW/BW≦80%を満足し、
    前記キャップゴムの30°Cにおける損失係数tanδは前記ベースゴムの30°Cにおける損失係数tanδより大きく、
    前記ベースゴムの30°Cにおけるヤング率E’は前記キャップゴムの30°Cにおけるヤング率E’よりも大きく設定されており、
    前記ベースゴムの厚さをa、前記トレッド部の厚さをbとしたときに、50%≦a/bとされていることを特徴とするラジアルタイヤ。
  2. 前記キャップゴムの30°Cにおける損失係数tanδが0.3〜0.5の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のラジアルタイヤ。
  3. 前記ベースゴムの30°Cにおけるヤング率E’が100×105 〜150×105 Paの範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラジアルタイヤ。
  4. 有機繊維コードは、50±5°Cにおいて、1.4g/d荷重下の伸度が1.6%以上2.3%以下であり、かつ170±5°Cにおいて、0.7g/d荷重下の伸度が2.3%以上3.0%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のラジアルタイヤ。
  5. 前記有機繊維コードは、総表示デニール数の30%以上がポリエチレン−2,6−ナフタレート繊維で構成されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のラジアルタイヤ。
  6. 前記有機繊維コードは、総表示デニール数の80%以上がポリエチレン−2,6−ナフタレート繊維で構成される、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のラジアルタイヤ。
  7. 前記有機繊維コードは、総表示デニール数の100%がポリエチレン−2,6−ナフタレート繊維で構成される、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のラジアルタイヤ。
  8. 前記ベースゴムにはシリカが配合されており、前記ベースゴム中に配合される配合剤中に示す前記シリカの割合が20%以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のラジアルタイヤ。
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