JP2002193378A - 透明な電子部品包装用成形体 - Google Patents

透明な電子部品包装用成形体

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JP2002193378A
JP2002193378A JP2001299950A JP2001299950A JP2002193378A JP 2002193378 A JP2002193378 A JP 2002193378A JP 2001299950 A JP2001299950 A JP 2001299950A JP 2001299950 A JP2001299950 A JP 2001299950A JP 2002193378 A JP2002193378 A JP 2002193378A
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紀弘 清水
Atsushi Watanabe
淳 渡辺
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真吾 花里
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Abstract

(57)【要約】 【課題】透明性を有し、衝撃強度と剛性が同時に優れ、
表面硬さが高いゴム変性スチレン系樹脂組成物からなる
電子部品包装用成形体及びそれに適する材料を提供する
こと。 【解決手段】芳香族ビニル系化合物と(メタ)アクリル酸
アルキルエステル化合物の混合物とのグラフト共重合に
最適な、特にその混合物と強い親和性を有する構造を持
ったスチレン−ブタジエンブロック共重合体構造をゴム
状重合体に用いてスチレン系モノマーと(メタ)アクリ
ル酸エステルとをグラフト重合して得られるゴム変性熱
可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物よりなる電子部品
包装用成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、改良された芳香族ビニ
ル系共重合樹脂を必須成分とした、耐衝撃性等の強度が
高く、透明性や剛性に優れ、表面硬度が硬い電子部品包
装用成形体に関するものである。詳しくは、特定の割合
からなる芳香族ビニル系構造単位と一種以上の(メタ)ア
クリル酸アルキルエステル系構造単位からなる芳香族ビ
ニル−(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体を
連続相とし、特定のガラス転移点を有するゴム状重合体
分散粒子を分散相として含有する透明性、衝撃強度等に
優れたゴム変性芳香族ビニル系共重合樹脂を必須成分と
して含有する樹脂組成物から成形された透明な電子部品
包装用成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ICマガジンあるいはICキャリヤーテ
ープなどの電子部品包装用成形体において、透明で耐衝
撃性、剛性、表面硬度などが同時に優れている点から、
透明性を必要とするものは、従来はほとんどが硬質塩化
ビニールが使用されている。しかし、最近特に、廃棄物
の焼却時に発生する酸性の腐食性ガス、あるいは有毒物
質の発生などの点からPVC代替え材料が求められてい
る。これらの欠点を解決する代替え材料としては、ポリ
スチレン、あるいはスチレン−(メタ)アクリル酸エス
テル共重合体から選ばれた1種以上の樹脂と、スチレン
−ブタジエンブロック共重合体とのブレンド系樹脂(特
開平8−12847号)が検討され、一部の市場で使用
されつつあるが、しかしこのものは電子部品包装用成形
体として必要な、剛性、耐衝撃性を同時に得る事が困難
な材料で充分満足すべきものとは言えない。つまりこの
ブレンド系樹脂は、剛性を上げると耐衝撃性が低下し、
耐衝撃性を上げると剛性が低下するといった二律背反の
関係にあり、電子包装用成形体として必要な、剛性と耐
衝撃性が同時に得られるバランスの良い材料とは言い難
い。またその他のPVC代替え材料として、上記性能は
ほぼ満たすポリカーボネート、透明ABSなどが一部市
場での実績はあるものの、両者ともにコストが高く低価
格のPVCの代替材料としての実用性に欠ける。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は透明性を有
し、衝撃強度と剛性が同時に優れ、表面硬さが高いゴム
変性スチレン系樹脂組成物からなる電子部品包装用成形
体に適する材料を提供するものである。そこで強度が高
く透明性や剛性に優れ、表面硬度も硬い透明な電子部品
包装用成形体を得る試みとして、ゴム変性スチレン系樹
脂組成物からなる透明な電子部品包装用成形体が開発さ
れている。例えば特開平9−301479号公報には、
スチレン、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび
ブタジエン系ゴム質重合体からなる混合溶液を重合させ
て得られるゴム変性スチレン系樹脂とテルペン系樹脂或
いはテルペン系水素添加樹脂とからなるゴム変性スチレ
ン系樹脂組成物からなる透明な電子部品包装用成形体が
記載されている。しかしこのようなゴム変性スチレン系
樹脂組成物からなる透明な電子部品包装用成形体につい
ても、強度や透明性等の諸物性は未だ満足の行くレベル
には達しておらず、表面硬度も不充分であり、さらなる
改良が望まれていた。
【0004】
【発明を解決するための手段】本発明者らは、かかる現
状に鑑み、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結
果、ゴム補強透明樹脂を得ることにおいて、芳香族ビニ
ル系化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物
の混合物とのグラフト共重合に最適な、特に混合物と強
い親和性を有する特定の構造を有するスチレン−ブタジ
エンブロック共重合体構造を見出した。そして、この特
定の構造を有するスチレンーブタジエンブロック共重合
体をゴム状重合体に用いてスチレン系モノマーと(メ
タ)アクリル酸エステルとをグラフト重合して得られる
ゴム変性熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物を異型
押出成形することにより、強度が高く透明性や剛性に優
れ、表面硬度も硬い透明な電子部品包装用成形体が得ら
れることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわ
ち本発明は、連続マトリクス樹脂中にゴム状重合体を分
散粒子として含有するゴム変性芳香族ビニル系共重合樹
脂において、(1)連続マトリクスは、屈折率がゴム
状重合体と実質的に同等のものを有し、構成単位が一
種以上の芳香族ビニル系化合物20〜80質量%と一種
以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物20
〜80質量%から成る混合溶液が共重合したものであ
り、(2)ゴム状重合体の含有量が、ゴム変性芳香族ビ
ニル系共重合樹脂に対して3〜20質量%であり、
(3)ゴム状重合体分散粒子の平均粒子径が0.3〜
2.1μmであり、(4)かつその分散粒子のガラス転
移点が−75〜−30℃の範囲にあるゴム変性芳香族ビ
ニル系共重合樹脂を必須成分とする樹脂組成物から成形
された透明な電子部品包装用成形体に関するものであ
る。好ましくはゴム状重合体が、スチレンとブタジエン
のランダムあるいはテーパード共重合体より成るブロッ
ク部(A)とスチレン単独重合体あるいは大部分がスチ
レンより構成されるスチレン−ブタジエン共重合体ブロ
ック部(B)から成るブロック共重合体である。
【0005】以下、本発明を詳細に説明する。本発明を
構成するゴム変性芳香族ビニル系共重合樹脂は、ゴム状
重合体の存在下で、芳香族ビニル系化合物および(メタ)
アクリル酸アルキルエステル化合物が共重合、あるいは
芳香族ビニル系化合物および(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル化合物と必要とあらばそれらと共重合しうる
1種あるいは2種以上の化合物が共重合した芳香族ビニ
ル系共重合体として得られたものである。ここで芳香族
ビニル系化合物としては、例えばスチレンの他、α−メ
チルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレンなどの
α−アルキル置換スチレン、o−メチルスチレン、m−
メチルスチレン、p−メチルスチレン、2、4−ジメチ
ルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルス
チレンのような核アルキル置換スチレン、o−クロルス
チレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、p
−ブロモスチレン、2−メチル−1、4−クロルスチレ
ン、2、4−ジブロモスチレン等のような核ハロゲン化
スチレン、ビニルナフタレン等、従来ゴム改質スチレン
系樹脂用として知られているスチレン系化合物の1種ま
たは2種以上の混合物が用いられるが、代表的なもの
は、スチレンの単独もしくは、その一部をスチレン以外
の上記ビニル芳香族単独体で置き換えた化合物である。
【0006】また(メタ)アクリル酸アルキルエステル化
合物としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシエチル、
メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタ
クリル酸パルミチン、メタクリル酸ペンタデシル、メタ
クリル酸ステアリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリ
ル酸トリデシル、アクリル酸パルミチン、アクリル酸ペ
ンタデシル、アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。
【0007】また、本発明の芳香族ビニル系共重合樹脂
を構成する、芳香族ビニル系化合物および(メタ)アク
リル酸アルキルエステル化合物と共重合可能な化合物と
は、例えばアクリロニトリル、メタクリルニトリル、フ
マロニトリル、マレオニトリル、α−クロロアクリロニ
トリル等のシアン化ビニルや、メタクリル酸、アクリル
酸、無水マレイン酸、フェニルマレイミドなどのマレイ
ミド、酢酸ビニル、ジビニルベンゼン等であり、芳香族
ビニル系化合物および(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル化合物との混合物として用いられる。また本発明の
ゴム変性芳香族ビニル系共重合樹脂で使用されるゴム状
重合体は、好ましくはスチレンとブタジエンのランダム
あるいはテーパード共重合体より成るブロック部(A)
とスチレン単独重合体あるいは大部分がスチレンより構
成されるスチレン−ブタジエン共重合体ブロック部
(B)から成るブロック共重合体である。
【0008】スチレンとブタジエンのランダムあるいは
テーパード共重合体より成るブロック部(A)とスチレ
ン単独重合体あるいは大部分がスチレンより構成される
スチレン−ブタジエン共重合体ブロック部(B)から成
るブロック共重合体の中でも、好ましくは、(イ)該ゴ
ム状重合体におけるスチレンとブタジエンのランダムあ
るいはテーパード共重合体より成るブロック部(A)の
占める質量割合が15〜95質量%、スチレン単独重合
体あるいは大部分がスチレンより構成されるスチレン−
ブタジエン共重合体ブロック部(B)の占める質量割合
が85〜5質量%であり、(ロ)スチレン5〜35質量
%とブタジエン65〜95質量%から成るブタジエンと
スチレンのランダムあるいはテーパード共重合体ブロッ
ク部(A)とスチレン90〜100質量%とブタジエン
0〜10質量%から成る、スチレン単独重合体あるいは
大部分がスチレンより構成されるスチレン−ブタジエン
共重合体ブロック部(B)から成り、(ハ)ブタジエン
とスチレンのランダムあるいはテーパード共重合体ブロ
ック部(A)のガラス転移点が−80〜−35℃の範囲
にあり、(ニ)ブタジエンに基づく不飽和結合のうち1,
2ビニル結合の割合が8.0〜20.0質量%であり、
(ホ)25℃における5質量%スチレン溶液の粘度が2
0〜50センチポイズの範囲にあるスチレン−ブタジエ
ン系ブロック共重合体が挙げられる。更にいっそう好ま
しくは、(イ)該ゴム状重合体におけるスチレンとブタ
ジエンのランダムあるいはテーパード共重合体より成る
ブロック部(A)の占める質量割合が60〜90質量
%、スチレン単独重合体あるいは大部分がスチレンより
構成されるスチレン−ブタジエン共重合体ブロック部
(B)の占める質量割合が40〜10質量%であり、
(ロ)スチレン10〜25質量%とブタジエン75〜9
0質量%から成るブタジエンとスチレンのランダムある
いはテーパード共重合体ブロック部(A)とスチレン9
5〜100質量%とブタジエン0〜5質量%から成るス
チレン単独重合体あるいはブタジエンとスチレンの共重
合体ブロック部(B)から成り、(ハ)ブタジエンとス
チレンのランダムあるいはテーパード共重合体ブロック
部(A)のガラス転移点が−80〜−40℃の範囲にあ
り、(ニ)ブタジエンに基づく不飽和結合のうちの1,2
ビニル結合の割合が10.0〜17.0質量%であり、
(ホ)25℃における5質量%スチレン溶液の粘度が20
〜40センチポイズの範囲にあるスチレン−ブタジエン
系ブロック共重合体であることが望ましい。該共重合体
ゴム中におけるブロック部(A)の占める質量割合が1
5質量%未満の場合、ゴム補強透明樹脂のゴム粒子径が
小さくなり、衝撃強度が低下して、透明性と衝撃強度の
バランスが劣るようになる。また該共重合体ゴム中にお
けるブロック部(A)の占める質量割合が95質量%を
超える場合も、ゴム補強透明樹脂中の分散ゴム粒子と連
続相との界面の接着性が下がるため、やはり衝撃強度が
低下し、透明性と衝撃強度のバランスが劣るようにな
る。
【0009】スチレンとブタジエンのランダムあるいは
テーパード共重合体より成るブロック部(A)とスチレ
ン単独重合体あるいは大部分がスチレンより構成される
スチレンーブタジエン共重合体ブロック部(B)から成
るブロック共重合体において、該ブロック部(A)を構
成するブタジエン単位とスチレン単位の組成が、それぞ
れブタジエン65〜95質量%、スチレン5〜35質量
%の範囲を外れると、透明な電子部品包装用成形体の耐
衝撃性、透明性、剛性、表面硬度が低下する。また該ブ
ロック部(B)を構成するスチレン単位とブタジエン単
位の組成が、それぞれスチレン90〜100質量%とブ
タジエン0〜10質量%の範囲から外れる時も、透明な
電子部品包装用成形体の耐衝撃性、透明性、剛性、表面
硬度が低下する。更に、該ブロック部(A)のガラス転
移点が−80〜−35℃の範囲から外れても、透明な電
子部品包装用成形体の耐衝撃性、透明性、剛性、表面硬
度が低下する。また1,2ビニルの結合割合は、20質
量%を超えるとゴム粒子の形態や粒子径が不揃いにな
り、一方8質量%未満ではグラフト率が低下してゴム形
態がやはり不揃いになるため、透明な電子部品包装用成
形体の耐衝撃性が劣る。そして25℃における5質量%
スチレン溶液の粘度が20センチポイズ未満、或いは5
0センチポイズを超える場合も、分散ゴム粒子の粒子径
が不揃いになり、得られる透明な電子部品包装用成形体
の透明性が劣り、耐衝撃性も低下する。
【0010】また、本発明の効果を損なわない範囲で、
スチレンとブタジエンのランダムあるいはテーパード共
重合体より成るブロック部(A)およびスチレン単独重
合体あるいは大部分がスチレンより構成されるスチレン
−ブタジエン共重合ブロック部(B)の境界部や(A)
および/あるいは(B)の両末端の一部にブタジエンブ
ロック部を有することもでき、また同様通常のスチレン
−ブタジエン系ブロック共重合体を併用することもでき
る。なお、ここでスチレンとブタジエンのランダム共重
合体ブロック部(A)とは、スチレンとブタジエンの結
合様式がポリマー鎖に沿ってランダムに均一に分布した
構造の共重合体ブロック部をいい、スチレンとブタジエ
ンのテーパード共重合体ブロック部(A)とは、スチレ
ンとブタジエンの結合様式がポリマー鎖に沿ってスチレ
ンとブタジエンの組成の傾斜構造ないしはそれに相当す
る構造を有する共重合体ブロック部をいう。
【0011】本発明のゴム変性芳香族ビニル系共重合樹
脂に使用されるゴム状重合体は、炭化水素溶媒中におい
て有機リチウム系触媒を用いた、通常のリビングアニオ
ン重合法により製造されるが、この方法に限定されるも
のではない。上記ゴム状重合体を、有機リチウム系触媒
を用い、炭化水素溶媒中において製造する場合、有機リ
チウム系触媒としては、たとえば、n−プロピルリチウ
ム、iso−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、
sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、
メチルリチウム、エチルリチウム、n−ヘキシルリチウ
ム、シクロヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、リチ
ウムナフタレン等が用いられ、好ましくは、n−ブチル
リチウム、sec−ブチルリチウム等が用いられる。炭
化水素溶媒としてはペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプ
タン、イソオクタン、n−デカン等の脂肪族炭化水素、
シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタ
ン等の脂環族炭化水素、ベンゼン、キシレン、トルエン
等の芳香族炭化水素が用いられる。また極性物質を重合
系に共存させて製造してもよい。極性物質としてはトリ
エチルアミン、トリn−ブチルアミン、ピリジン、N,
N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ヘキ
サメチルホスホルアミド、トリフェニルホスフィン、ジ
エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エ
チレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコー
ルジメチルエーテル、カリウムブトキシド、ナトリウム
ブトキシド等が挙げられ、好ましくはN,N,N’,
N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラヒドロフ
ラン等が用いられる。
【0012】本発明で用いられるゴム状重合体で、好ま
しくは、ブタジエンとスチレンのランダム或いはテーパ
ード共重合体ブロック部(A)とスチレン単独重合体あ
るいは大部分がスチレンより構成されるスチレン−ブタ
ジエン共重合体ブロック部(B)から成るスチレン−ブ
タジエン系ブロック共重合体が用いられるが、このよう
なスチレン−ブタジエン系ブロック共重合体を通常のリ
ビングアニオン重合法で製造する方法としては、例え
ば、有機リチウム系触媒の存在する炭化水素溶媒中に、
ブタジエンとスチレンの混合物を、設定された重合温度
における該モノマーの重合速度よりも遅い重合速度で供
給して重合する方法(例えば特公昭38−2394号公
報等に記載の方法)を応用することが挙げられる。即
ち、所望のブタジエンとスチレンの組成比を有するモノ
マー混合物を重合速度以下の速度で供給しながら重合
し、必要ならば、次いでブタジエンとスチレンの組成比
の異なるモノマー混合物を重合速度以下の速度で供給
し、必要ならば、この操作を1回以上繰り返すことによ
って、本発明のブロック共重合体を得ることができる。
また、有機リチウム系触媒を含む重合系に極性物質を添
加する方法(例えば特公昭36−15386号公報等に
記載の方法)を応用することも、リビングアニオン重合
法による製造方法として挙げることができる。即ち、有
機リチウム系触媒と極性物質を含有する重合系に、所望
のブタジエンとスチレンの組成比を有するモノマー混合
物を重合させ、必要ならば、その後にブタジエンとスチ
レンの組成比の異なるモノマー混合物を加えて重合し、
必要ならば、この操作を1回以上繰り返すことによって
も、本発明のブロック共重合体を得ることができる。ま
たこれらの方法の組み合わせによる方法も可能である。
【0013】本発明のゴム変性芳香族ビニル系共重合樹
脂の製造においては必要に応じて有機溶剤を用いること
が出来る。有機溶剤としてはベンゼン、トルエン、キシ
レン、エチルベンゼン、アセトン、イソプロピルベンゼ
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ
メチルホルムアミドなどが挙げられ、特に芳香族炭化水
素類、例えばトルエン、エチルベンゼン単独または2種
以上の混合物の使用が好ましく、さらに、ゴム状重合体
の溶解を損なわない範囲で、他の溶剤、例えば脂肪族炭
化水素類、ジアルキルケトン類を芳香族炭化水素類と併
用することもできる。ゴム状重合体は、芳香族ビニル系
化合物および(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合
物または芳香族ビニル系化合物および(メタ)アクリル
酸アルキルエステル化合物とそれらと共重合しうる単量
体、ないしは溶剤との混合物中に溶解される。有機溶剤
を使うと重合液中の単量体濃度および生成した共重合体
濃度が低くなるので、重合速度が制御の容易な程度にま
で低くなって重合反応の暴走を防止することができるう
えに、重合液の粘度が下がって重合液の均一な混合、さ
らには重合液の移動が容易になり製造プロセスとしての
操作性が向上する。
【0014】しかしながら、重合液中の有機溶剤濃度が
高くなる過ぎると、重合速度が低すぎて生産性が低下
し、さらにゴム状重合体を分散相に反転させる場合には
重合の過程でゴム状重合体粒子が凝集しやすく樹脂の透
明性が低下してしまい好ましくない。また、溶剤の回収
エネルギーが大となり経済性も劣ってくる。従って反応
槽での有機溶剤の濃度は重合液の総量100質量部に対
し通常5〜50質量部の範囲で使用される。溶剤は比較
的高粘度となる重合転化率となってから添加してもよ
く、重合前から添加しておいてもよい。重合前から添加
しておくほうが、品質の均一性、重合温度制御の点で好
ましい。単量体を重合する場合に、重合開始剤不存在下
に110〜190℃の温度範囲で重合してもよいし、重
合開始剤としてラジカルを発生する有機過酸化物を用い
て50〜180℃、好ましくは90〜150℃の温度範
囲で重合することができるが、過酸化物を存在させて重
合させることが好ましい。
【0015】本発明においては重合開始剤を用いること
が出来る。使用される有機過酸化物は、2、2−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2、2−ビス(t−
ブチルパーオキシ)オクタン、1、1−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)3、3、5−トリメチルシクロヘキサ
ン、n−ブチルー4、4−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)バリレート等のパーオキシケタール類、ジ−t−ブ
チルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイ
ド、ジ−クミルパーオキサイド、α、α’−ビス(t−
ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2、5−ジ
メチル−2、5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、2、5−ジメチル−2、5−ビス(t−ブチルパー
オキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド
類、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサ
イド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオ
キサイド、ラウロイルパーオキサイド、3、5、5−ト
リメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパー
オキサイド、2、4−ジクロロベンゾイルパーオキサイ
ド、m−トルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオ
キサイド類、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネー
ト、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネー
ト、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−
3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2
−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−メト
キシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−
メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネー
ト、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシ
ジカーボネート等のパーオキシカーボネート類、t−ブ
チルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソ
ブチレート、t−ブチルパーオキシピパレート、t−ブ
チルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネ
オデカノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノエート、t−ブチルパーオキシ3、5、5−トリ
メチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレー
ト、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチ
ルジパーオキシイソフタレート、2、5−ジメチル−
2、5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブ
チルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキ
シエステル類、アセチルアセトンパーオキサイド、メチ
ルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパー
オキサイド、3、3、5−トリメチルシクロヘキサノン
パーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイ
ド等のケトンパーオキサイド類、t−ブチルハイドロパ
ーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジ−イ
ソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メン
タンハイドロパーオキサイド、2、5−ジメチルヘキサ
ン2、5−ジハイドロパーオキサイド、1、1、3、3
−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイ
ドロパーオキサイド類、2塩基酸のポリアシルパーオキ
サイド類、2塩基酸とポリオールとのポリパーオキシエ
ステル類が挙げられ、開始剤を1種または2種以上を使
用できる。そして有機過酸化物の使用が、高いグラフト
効率が得られ易いので好ましい。その使用量について
は、特に制限はないが、モノマー混合物100質量部に
対して0.001〜5.0質量部がよい。
【0016】また、重合に際して、連鎖移動剤、例えば
メルカプタン類、αーメチルスチレンリニアダイマー、
モノテルペノイド系分子量調節剤(タービノーレン)、
また酸化防止剤として、ヒンダードフェノール類、ヒン
ダードビスフェノール類、ヒンダードトリスフェノール
類等、例えば2、6ージーt−ブチルー4ーメチルフェ
ノール、ステアリルーβー(3、5ージーt−ブチルー
4ーヒドロキシフェニル)プロピオネートを使用しても
よい。
【0017】また、上記各重合法で得られた樹脂には、
一般的に知られている添加剤、即ち、既知の酸化防止
剤、例えば2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチル
フェノール、2−(1−メチルシクロヘキシル)4、6
−ジメチルフェノール、2、2’−メチレン−ビス(4
−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4、
4’−チオビス−(6−tert−ブチル−3−メチル
フェノール)、ジラウリルチオジプロピオネート、トリ
ス(ジ−ノニルフェニル)ホスファイトやカルシウム、
錫などの無機安定剤;既知の紫外線吸収剤、例えばp−
tert−ブチルフェニルサリシレート、2、2’−ジ
ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノヘン、2−
(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクトキシフェニル)
ベンゾチアゾール;既知の難燃剤、例えば酸化アンチモ
ン、水酸化アルミニウム、硼酸亜鉛、トリクレジルホス
フェート、塩素化パラフィン、テトラブロモブタン、ヘ
キサブロモブタン、テトラブロモビスフェノールA;既
知の帯電防止剤、例えばステアロアミドプロピルジメチ
ルーβーヒドロキシエチルアンモニウムニトレート;既
知の着色剤、例えば酸化チタン、カーボンブラック、そ
の他の無機あるいは有機顔料;既知の充填剤、例えば炭
酸カルシウム、クレー、シリカ、ガラス繊維、ガラス
球、カーボン繊維、補強用エラストマーとしてMBS、
SBR,SBS,SIS,あるいはそれらの水添物;既
知の有機ポリシロキサン等を必要に応じて添加すること
ができるが、これらに限られるものではない。さらにこ
れらの添加剤を樹脂に配合する際に添加剤を単独で配合
してもよいし複数の種類の添加剤を配合してもよい。さ
らに他の樹脂とブレンドして成形に供することもでき
る。また、これらの添加剤は、重合プロセスの途中段階
で添加してもよい。
【0018】そして、本発明においては、連鎖移動剤の
種類や使用量および添加時期を変えることにより、マト
リックス樹脂の分子量を制御することができる。また、
連鎖移動剤の種類や使用量および添加時期の他、攪拌条
件を変えることにより、ゴム分散粒子の粒子径を制御す
ることができる。また、透明性を維持させるために、重
合過程で生成するポリマー組成を変化させないような方
法が用いられる。例えば、重合途中に必要に応じて単量
体を添加する方法や、連続的に追後添加するなどの方法
が用いられる。
【0019】本発明における連続マトリクス樹脂中にゴ
ム状重合体を分散粒子として含有するゴム変性芳香族ビ
ニル系共重合樹脂において、連続マトリクスは、屈折
率がゴム状重合体と実質的に同等のものを有し、構成
単位が一種以上の芳香族ビニル系化合物20〜80質量
%と一種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル化
合物20〜80質量%から成る混合溶液が共重合したも
のである。好ましくは、連続マトリクスは、屈折率が
ゴム状重合体と実質的に同等のものを有し、構成単位
が一種以上の芳香族ビニル系化合物40〜65質量%と
一種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物
35〜60質量%から成る混合溶液が共重合したものが
望ましい。一種以上の芳香族ビニル系化合物と一種以上
の(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物から成る
混合溶液が、上記の範囲から外れた組成である場合、得
られるゴム変性芳香族ビニル系共重合樹脂の成形加工性
が悪化して、電子部品包装用成形体の透明性や剛性が低
下したり、また耐熱性や表面硬度が低下する等の不具合
が起こり、好ましくない。
【0020】また連続マトリクスの屈折率を該ゴム状重
合体と実質的に同等とするには、使用する該ゴム状重合
体の化学組成に応じて連続マトリクスの芳香族ビニル系
化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの割合
を制御する方法が用いられる。例えば該ゴム状重合体に
含まれるスチレン構造単位の割合をX%、ポリスチレン
の屈折率をnPS、ポリブタジエンの屈折率をnPB、
連続マトリクスに含まれるスチレン系単量体構造単位の
割合をY%、スチレン系単量体構造単位の屈折率をn
S、(メタ)アクリル酸アルキルエステル構造単位の屈
折率をnMとしたとき、下記の式I、式II、式IIIを満
足させればよい。 |n1−n2|≦0.01 式I n1=nPS×X÷100+nPB×(100−X)÷100 式II n2=nS×Y÷100+nM×(100−Y)÷100 式III 式Iにおいてn1はゴム状重合体の屈折率であり、n2
は連続マトリクスの屈折率である。式II及び式IIIにお
けるnPS、nPB、nS、nMの値は、用いる単量体
の種類に基づいて、例えばポリマーハンドブック(Four
th Edition,VI/571)のような文献に記載されたものを
用いることができる。また該ゴム状重合体に含まれるス
チレン構造単位の割合X%、および該共重合体に含まれ
るスチレン系単量体構造単位の割合Y%は、体積分率、
重量分率、モル分率のいずれでも構わず、いずれかの場
合に式Iが満たされていればよい。この中でも好ましく
は、体積分率或いは重量分率が用いられ、特に好ましく
は重量分率が用いられる。このように式I、式II、式II
Iから、該共重合体の芳香族ビニル系化合物と(メタ)
アクリル酸アルキルエステルの割合を求めることができ
る。
【0021】本発明のゴム変性芳香族ビニル系共重合樹
脂において、ゴム状重合体の含有量が、ゴム変性芳香族
ビニル系共重合樹脂に対して3〜20質量%である。好
ましくはゴム状重合体の含有量が、ゴム変性芳香族ビニ
ル系共重合樹脂に対して5〜20質量%が望ましい。ゴ
ム状重合体の含有量が、ゴム変性芳香族ビニル系共重合
樹脂に対して3質量%未満の場合は、得られる透明な電
子部品包装用成形体の耐衝撃性が低下し、好ましくな
い。またゴム状重合体の含有量が、ゴム変性芳香族ビニ
ル系共重合樹脂に対して20質量%を超える場合は、得
られる電子部品包装用成形体の透明性、剛性、表面硬度
が低下し、好ましくない。また、ゴム変性芳香族ビニル
系共重合樹脂に由来するゴム状重合体の分散粒子の平均
径は0.3〜2.1μmの範囲にあり、また該分散粒子
のガラス転移点が−75〜−30℃の範囲にあることが
必要である。さらに好ましくは、ゴム変性芳香族ビニル
系共重合樹脂に由来するゴム状重合体の分散粒子の平均
径は、0.5〜1.0μmの範囲であり、また該分散粒
子のガラス転移点が−75〜−40℃の範囲にあること
が望ましい。平均粒子径が2.1μmを超えると、得ら
れる電子部品包装用成形体の透明性、剛性、表面硬度が
不良となり、0.3μm未満では透明な電子部品包装用
成形体の耐衝撃性が低下し、好ましくない。ここでいう
平均粒子径とは、LS−230(米国コールター社の分
散粒子径測定機の商標)により、ジメチルホルムアミド
を分散剤として測定し、体積平均値を求める。粒子径分
布状態は特に制限はなく、単峰分布である分布状態であ
っても、双山分布を有する分布状態であってもよい。さ
らに、ゴム変性芳香族ビニル系共重合樹脂に由来するゴ
ム状重合体の分散粒子のガラス転移点が−75〜−30
℃の範囲から外れる場合は、電子部品包装用成形体の透
明性、剛性、耐衝撃性、表面硬度が低下し、物性バラン
スが不充分になり、好ましくない。
【0022】更に本発明のゴム変性芳香族ビニル系共重
合樹脂に対しては、目的に応じて種種の可塑剤及び滑剤
を添加することが可能である。可塑剤としては、公知の
ものがいずれも使用できる。例えばジブチルフタレー
ト、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ブ
チルベンジルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコ
レート等のフタル酸系や、ジ−n−ブチルアジペート、
ジ−(2−エチルヘキシルアジペート)等のアジピン酸
系、アセチルトリ-n−ブチルシトレート等のクエン酸
系、ジ−n−ブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキ
シル)セバケート等のセバシン酸系、エポキシ化大豆
油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化脂肪酸エステル等
のエポキシ系、またコハク酸、グルタル酸、アジピン酸
等の二塩基酸と、エチレングリコール、1,2−プロピ
レングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,
2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコー
ル、1,4−ブチレングリコール等の分子量200以下
の2価アルコールからなるポリエステル系、等が挙げら
れる。またテルペン系樹脂や水素添加したテルペン系樹
脂も、可塑剤として用いられる。また滑剤としては、公
知のものがいずれも使用できる。例えば、金属石鹸系、
炭化水素系の流動パラフィン、ポリエチレンワックス等
や、脂肪酸系の高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等や、エステ
ル系のグリセリド、エステルワックス等や、脂肪酸アミ
ド系の脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミド等や、脂肪酸ケ
トン系、複合滑剤系等が挙げられる。具体例としては、
パラフィンワックス、ステアリン酸、硬化油、ステアロ
アミド、エチレンビスステアリルアミド、n−ブチルス
テアレート、ケトンワックス、オクチルアルコール、ラ
ウリルアルコール、ヒドロキシステアリン酸トリグリセ
リド、ポリシロキサン、アルキル燐酸エステル等があ
る。可塑剤及び滑剤の添加方法は特に制限されない。
【0023】得られたゴム変性芳香族ビニル系共重合樹
脂から透明な電子部品包装用成形体を製造する方法とし
ては、特に限定されるものではないが、以下に説明する
製造方法が好ましい。即ち、本発明のゴム変性芳香族ビ
ニル系共重合樹脂を必須成分とし、その他に必要に応じ
て、既知の添加剤等を配合した樹脂成分を用いて、従来
硬質塩化ビニール樹脂を主とした、その他のスチレン系
樹脂などにも使用されている一般的な押出し成形と、更
に必要であれば、その後熱成形(真空成形、圧空成形、
プレス成形など)を併用して製造される。押出成形条件
としては、樹脂温度が160〜250℃の範囲で冷却方
法により最適な温度を選ぶことが望ましい。一般にマガ
ジンの成形に用いられる異形押出成形はシート成形に比
べ成形時の樹脂温度が低い、160〜200℃、好まし
くは170〜190℃が適している。この方法により、
一辺の厚みが0.2〜1.5mmのICマガジンが作成
される。
【0024】また、ICキャリヤーテープの中間成形体
としてのシート押出し成形は、通常Tダイによる成形法
が行われる。このときの樹脂温度は、220〜260
℃、好ましくは220〜240℃が適している。この方
法により、厚みが0.15〜0.55mmのキャリヤー
テープが作成される。なお樹脂成分として、必須成分で
ある本発明のゴム変性芳香族ビニル系共重合樹脂の他
に、透明性、剛性、強度を損なわない範囲でスチレンと
ブタジエンのブロック共重合樹脂等の第2の樹脂を含有
させ、さらに必要に応じて既知の添加剤等を配合したも
のを用いて、透明な電子部品包装用成形体を製造するこ
とも差し支えない。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
する。まず、本発明のゴム状重合体を分散粒子として含
有するゴム変性芳香族ビニル系共重合樹脂は、従来から
公知の方法で製造することができる。すなわち、ゴム状
重合体を芳香族ビニル系化合物および(メタ)アクリル酸
アルキルエステル化合物、必要に応じ重合溶媒、重合開
始剤からなる原料溶液に溶解し、通常用いられるラジカ
ル系触媒の存在下、非存在下において、その原料を攪拌
機付き反応器に供給し重合を行う。重合温度はゴム変性
芳香族ビニル系共重合樹脂の流動性、生産性、反応器の
除熱能力等を考慮して決定することができる。重合終了
後、未反応単量体、重合溶媒などを除去するため、真空
下で処理を行い、ゴム変性芳香族ビニル系共重合樹脂を
得る。
【0026】以下に実施例を用いて本発明をより詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例により限定される
ものではない。尚、実施例および比較例において示すデ
ータは、下記方法に従って測定した。スチレン−ブタジ
エン系ブロック共重合体ゴムの分子量分布は、GPC法
により、次の条件で測定した。溶媒(移動相):TH
F、脱気装置:ERMA社製ERC−3310、ポン
プ:日本分光社製PU−980,流速1.0ml/min、オ
ートサンプラ:東ソー社製AS−8020、カラムオー
ブン:日立製作所製L−5030、設定温度40℃、カ
ラム構成:東ソー社製TSKgurdcolumn MP(×L)
6.0mmID×4.0cm 1本、および東ソー社製TSK−GE
L MULTIPORE HXL−M 7.8mmID×30.0cm
2本、計3本、検出器:RI 日立製作所製L−335
0、データ処理:SIC480データステーション。
【0027】スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体
ゴム(A)のガラス転移点は、セイコー電子工業社製D
SC−200、SSC−5000シリーズを使用し、次
の条件で測定した。室温から、ポリスチレンの融点プラ
スアルファの温度まで昇温し、その温度で約10分間保
持し、20〜25℃/分の冷却速度でポリブタジエンの
ガラス転移温度マイナスアルファの温度まで冷却し(n
=1)、再度ポリスチレンの融点プラスアルファの温度
まで昇温し、その温度で約10分間保持し、20〜25
℃/分の冷却速度でポリブタジエンのガラス転移温度マ
イナスアルファの温度まで冷却し(n=2)、2度の測
定結果の平均値を記録した。ゴム変性芳香族ビニルー
(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体中に分散し
た分散粒子のガラス転移点は、ゴム変性芳香族ビニル系
共重合樹脂試料a(約1gを精秤)をアセトン/メチル
エチルケトンの4/6(体積比)混合溶剤30ccに分
散し、不溶分を遠心分離法にて分離して乾燥したもの
を、セイコー電子工業社製DSC−200、SSC−5
000シリーズを使用し、次の条件で測定した。室温か
ら、ポリスチレンの融点プラスアルファの温度まで昇温
し、その温度で約10分間保持し、20〜25℃/分の
冷却速度でポリブタジエンのガラス転移温度マイナスア
ルファの温度まで冷却し(n=1)、再度ポリスチレン
の融点プラスアルファの温度まで昇温し、その温度で約
10分間保持し、20〜25℃/分の冷却速度でポリブ
タジエンのガラス転移温度マイナスアルファの温度まで
冷却し(n=2)、2度の測定結果の平均値を記録し
た。
【0028】また、スチレン−ブタジエン系ブロック共
重合体ゴムのミクロ構造、特にブタジエン部のビニル結
合含有量とスチレン含有率は、赤外分光分析法(Hampto
n,Anal.Chem.,21,923(1949))により、また、スチレン
溶液粘度は、オストワルド粘度計により測定した。ゴム
変性芳香族ビニル系共重合樹脂のグラフト率は試料S1
(約1gを精秤)をアセトン/メチルエチルケトンの4
/6(体積比)混合溶剤30ccに分散し、不溶分を遠
心分離法にて分離して乾燥し、不溶分の質量(S2)を
精秤し次の式1で求める。但しS3は試料S1中のゴム
状状重合体の含有率を示す。 {式1} グラフト率(g)=[(S2/S1)−S3]/S3×100 膨潤指数は、試料S4(約1gを精秤)をトルエン30
ccに投入し、1時間攪拌して溶解させた後、遠心分離
して上澄みを除去し、残存した膨潤物の質量(S5)を
精秤し、続いて残存した膨潤物を真空乾燥して得られる
乾燥固形分の質量(S6)を精秤した結果より、下記式
2により決定される特性値である。 {式2} 膨潤指数=S5/S6 また、ゴム変性スチレン系共重合樹脂中のポリブタジエ
ンゴム成分量は、二重結合に塩化ヨウ素を付加して測定
するハロゲン付加法により求めた。
【0029】透明な電子部品包装用成形体の諸特性は、
以下に基づき測定した。 1)耐衝撃性:デュポン式衝撃値を用いて、下記条件よ
り、試料の50%破壊するエネルギーを求めた。落錘先
端径:9.5φmm、受け台半円径:6.4Rmm、落
下高さ:20〜40cm、荷重:任意、試験片はICマ
ガジンの場合は成形品の剛性試験に同じ、ICキャリヤ
ーテープの場合は厚さ0.3mm、32mm幅の長尺シ
ート。 2)剛性:成形品の剛性(変形量)は、異形押出成形に
て厚さ0.50mmのヨコ20mm、タテ10mmの切
断面が四角状の押出成形品(以下ICマガジン形状成形
品)の長尺試験片を4インチのスパン上に、10mm幅
を上下方向になるように設置し、スパン中央部に5kg
の荷重をかけ、変形量を測定した。 3)透明性:曇価は、JIS K7105に準じて測定
した。 4)表面硬度:鉛筆硬度は、鉛筆引っかき値(JIS
K5400)に準ずる。鉛筆:JIS S6006規
定、重り:1.0kg、試験片と鉛筆の芯の角度45°
で試験した。
【0030】
【実施例1】該スチレン−ブタジエン系ブロック共重合
体ゴムを構成するスチレン−ブタジエンランダム共重合
体(A)は、US3、094、512をはじめとするス
チレン−ブタジエン系ランダム共重合体ゴムの製造方
法、すなわち、ある条件下において重合速度>スチレン
−ブタジエン混合モノマー供給速度である関係が成立す
る製造条件が大略利用される。具体的な実施方法は、内
容積1000Lのジャケット・コイル・撹拌機付きステ
ンレス製重合槽を、水分含量10ppm以下に脱水したシ
クロヘキサンで洗浄し窒素置換後、窒素ガス雰囲気下に
おいて水分含量10ppm以下に脱水しテトラヒドロフラ
ン141ppmを含むシクロヘキサン540kgを重合槽
に仕込み、内温80℃に昇温後、n−ブチルリチウム1
0質量%のシクロヘキサン溶液を0.8kg添加した。
次に、内温80℃一定の条件下で、水分含量10ppm以
下に脱水したスチレン8.75kg/hと、モレキュラ
ーシーブを通過させて脱水したブタジエン35kg/h
を同時に4時間フィードし重合した。その後、水分含量
10ppm以下に脱水したスチレンを80℃で55kg添
加し、最高温度が120℃を超えない範囲で10分間重
合し、仕込んだスチレンを全て重合させた。
【0031】その後、重合溶液を次の反応槽へ移送し、
水を重合体100質量部に対して0.08質量部加えて
重合を停止した後、次の反応槽に移行する間に炭酸ガス
を加え中和した。次に、安定剤として2,4、-ビス
[(オクチルチオ)メチル]−O−クレゾールをポリマー
に対し0.2質量%の割合で添加してからスチームスト
リッピングにより溶媒を除去し、100℃の熱ロールに
て乾燥してスチレン−ブタジエン系ブロック共重合体ゴ
ムを得た。このスチレン−ブタジエンブロック共重合体
ゴム7.9質量%をスチレンモノマー46.6質量%、
メタクリル酸メチル32.5質量%、アクリル酸ブチル
4.6質量%とエチルベンゼン8.4質量%に溶解した
溶液100質量部と1、1−ビス(tert−ブチルパ
ーオキシル)3、3、5−トリメチルシクロヘキサン
0.005質量部およびt−ドデシルメルカプタン0.
08質量部からなる溶液を第1重合機に連続的に送入
し、125℃の重合温度で平均滞留時間3時間で攪拌重
合反応した後、引き続きプラグフロー型反応器に滞留時
間が5時間になるように連続的に全量装入して重合し
た。こうして重合率85%まで重合し、その溶液をベン
ト式押出機に供給して230℃、減圧下で揮発性成分を
除去しダイスから溶融ストランドを引き出し、水冷し、
カッターにて切断してペレット状の樹脂を得た。次い
で、この樹脂を使用し、前記した条件内でICマガジン
形状成形品を得た。また、この樹脂を用いて、Tダイの
シート押出成形機で、0.3mm厚さ、600mm幅の
押出し方向に長尺のシートを成形した。そのシートを幅
方向にスリットして、32mm幅のICキャリヤーテー
プシートを得た。各種分析値および透明な電子部品包装
用成形体の物性評価結果を表1、表2に示す。
【0032】
【実施例2】該スチレン−ブタジエン系ブロック共重合
体ゴムを構成するスチレン−ブタジエンランダム共重合
体(A)は、US3、094、512をはじめとするス
チレン−ブタジエン系ランダム共重合体ゴムの製造方
法、すなわち、ある条件下において重合速度>スチレン
−ブタジエン混合モノマー供給速度である関係が成立す
る製造条件が大略利用される。具体的な実施方法は、内
容積1000Lのジャケット・コイル・撹拌機付きステ
ンレス製重合槽を、水分含量10ppm以下に脱水したシ
クロヘキサンで洗浄し窒素置換後、窒素ガス雰囲気下に
おいて水分含量10ppm以下に脱水しテトラヒドロフラ
ン141ppmを含むシクロヘキサン540kgを重合槽
に仕込み、内温80℃に昇温後、n−ブチルリチウム1
0質量%のシクロヘキサン溶液を0.8kg添加した。
次に、内温80℃一定の条件下で、水分含量10ppm以
下に脱水したスチレン3.89kg/hと、モレキュラ
ーシーブを通過させて脱水したブタジエン35kg/h
を同時に4時間フィードし重合した。その後、水分含量
10ppm以下に脱水したスチレンを80℃で75kg添
加し、最高温度が120℃を超えない範囲で10分間重
合し、仕込んだスチレンを全て重合させた。
【0033】その後、重合溶液を次の反応槽へ移送し、
水を重合体100質量部に対して0.08質量部加えて
重合を停止した後、次の反応槽に移行する間に炭酸ガス
を加え中和した。次に、安定剤として2,4、-ビス
[(オクチルチオ)メチル]-O-クレゾールをポリマーに
対し0.2質量%の割合で添加してからスチームストリ
ッピングにより溶媒を除去し、100℃の熱ロールにて
乾燥してスチレンーブタジエン系ブロック共重体ゴムを
得た。このスチレンーブタジエンブロック共重合体ゴム
7.9質量%をスチレンモノマー46.6質量%、メタ
クリル酸メチル32.5質量%、アクリル酸ブチル4.
6質量%とエチルベンゼン8.4質量%に溶解した溶液
100質量部と1、1-ビス(tert-ブチルパーオキ
シル)3、3、5-トリメチルシクロヘキサン0.00
5質量部およびt−ドデシルメルカプタン0.08質量
部からなる溶液を第1重合機に連続的に送入し、125
℃の重合温度で平均滞留時間3時間で攪拌重合反応した
後、引き続きプラグフロー型反応器に滞留時間が5時間
になるように連続的に全量装入して重合した。このよう
にして重合率85%まで重合し、その溶液をベント式押
出機に供給して230℃、減圧下で揮発性成分を除去し
ダイスから溶融ストランドを引き出し、水冷し、カッタ
ーにて切断してペレット状の樹脂を得た。次いで、この
樹脂を使用し、実施例1と同様にしてICマガジン形状
成形品を得た。また、この樹脂を用いて、Tダイのシー
ト押出成形機で、0.3mm厚さ、600mm幅の押出
し方向に長尺のシートを成形した。そのシートを幅方向
にスリットして、32mm幅のICキャリヤーテープシ
ートを得た。各種分析値および透明な電子部品包装用成
形体の物性評価結果を表1、表2に示す。
【0034】
【実施例3】該スチレン−ブタジエン系ブロック共重合
体ゴムを構成するスチレン−ブタジエンテーパード共重
合体ブロック部(A)は、US3、094、512をは
じめとするスチレン−ブタジエン系ランダム共重合体ゴ
ムの製造方法、すなわち、ある条件下において重合速度
>スチレン−ブタジエン混合モノマー供給速度である関
係が成立する製造条件を応用することにより得ることが
できる。即ち、所望のブタジエンとスチレンの組成比を
有するモノマー混合液を重合速度以下の速度で供給しな
がら重合し、次いでブタジエンとスチレンの組成比の異
なるモノマー混合液を重合速度以下の速度で供給し、こ
の操作を1回以上繰り返すことによって、本発明で用い
られるスチレン−ブタジエン系ブロック共重合体ゴムを
構成するスチレン−ブタジエンテーパード共重合体ブロ
ック部(A)を合成することができる。具体的な実施方
法を記載する。内容積1000Lのジャケット・コイル
・撹拌機付きステンレス製重合槽を、水分含量10ppm
以下に脱水したシクロヘキサンで洗浄し窒素置換後、窒
素ガス雰囲気下において水分含量10ppm以下に脱水し
テトラヒドロフラン141ppmを含むシクロヘキサン5
40kgを重合槽に仕込み、内温80℃に昇温後、n−
ブチルリチウム10質量%のシクロヘキサン溶液を0.
8kg添加した。
【0035】次に、内温80℃一定の条件下で、水分含
量10ppm以下に脱水したスチレンと、モレキュラーシ
ーブを通過させて脱水したブタジエンを、ある特定の供
給速度と重合時間とを6段階に変化させつつ同時にフィ
ードし重合させたが、この際の供給速度と重合時間は次
の通りとした。1段階目:スチレン2.6kg/h、ブ
タジエン32.9kg/h、重合時間1.3時間。2段
階目:スチレン6.1kg/h、ブタジエン32.8k
g/h、重合時間1.2時間。3段階目:スチレン8.
7kg/h、ブタジエン25.9kg/h、重合時間
1.0時間。4段階目:スチレン8.1kg/h、ブタ
ジエン14.9kg/h、重合時間1.0時間。5段階
目:スチレン8.7kg/h、ブタジエン10.5kg
/h、重合時間1.2時間。6段階目:スチレン7.8
kg/h、ブタジエン5.0kg/h、重合時間0.9
時間。
【0036】その後、水分含量10ppm以下に脱水した
スチレンを80℃で45kg添加し、最高温度が120
℃を超えない範囲で10分間重合し、仕込んだスチレン
を全て重合させた。その後、重合溶液を次の反応槽へ移
送し、水を重合体100質量部に対して0.08質量部
加えて重合を停止した後、次の反応槽に移行する間に炭
酸ガスを加え中和した。次に、安定剤として2,4、-
ビス[(オクチルチオ)メチル]−O−クレゾールをポリ
マーに対し0.2質量%の割合で添加してからスチーム
ストリッピングにより溶媒を除去し、100℃の熱ロー
ルにて乾燥してスチレンーブタジエン系ブロック共重体
ゴムを得た。このスチレン−ブタジエンブロック共重合
体ゴム7.9質量%をスチレンモノマー46.6質量
%、メタクリル酸メチル32.5質量%、アクリル酸ブ
チル4.6質量%とエチルベンゼン8.4質量%に溶解
した溶液100質量部と1、1−ビス(tert−ブチ
ルパーオキシル)3、3、5−トリメチルシクロヘキサ
ン0.005質量部およびt−ドデシルメルカプタン
0.08質量部からなる溶液を第1重合機に連続的に送
入し、125℃の重合温度で平均滞留時間3時間で攪拌
重合反応した後、引き続きプラグフロー型反応器に滞留
時間が5時間になるように連続的に全量装入して重合し
た。このようにして重合率85%まで重合し、その溶液
をベント式押出機に供給して230℃、減圧下で揮発性
成分を除去しダイスから溶融ストランドを引き出し、水
冷し、カッターにて切断してペレット状の樹脂を得た。
次いで、この樹脂を使用し、実施例1と同様にしてIC
マガジン形状成形品を得た。また、この樹脂を用いて、
Tダイのシート押出成形機で、0.3mm厚さ、600
mm幅の押出し方向に長尺のシートを成形した。そのシ
ートを幅方向にスリットして、32mm幅のICキャリ
ヤーテープシートを得た。各種分析値および透明な電子
部品包装用成形体の物性評価結果を表1、表2に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【比較例1】スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴ
ム(日本ゼオン社製NS−316S)7.9質量%をス
チレンモノマー46.6質量%、メタクリル酸メチル3
2.5質量%、アクリル酸ブチル4.6質量%とエチル
ベンゼン8.4質量%に溶解した溶液100質量部と
1、1−ビス(tert−ブチルパーオキシル)3、
3、5−トリメチルシクロヘキサン0.005質量部お
よびt−ドデシルメルカプタン0.08質量部からなる
溶液を第1重合機に連続的に送入し、125℃の重合温
度で平均滞留時間3時間で攪拌重合反応した後、引き続
きプラグフロー型反応器に滞留時間が5時間になるよう
に連続的に全量装入して重合した。このようにして重合
率85%まで重合し、その溶液をベント式押出機に供給
して230℃、減圧下で揮発性成分を除去しダイスから
溶融ストランドを引き出し、水冷し、カッターにて切断
してペレット状の樹脂を得た。次いで、この樹脂を使用
し、実施例1と同様にしてICマガジン形状成形品を得
た。また、この樹脂を用いて、Tダイのシート押出成形
機で、0.3mm厚さ、600mm幅の押出し方向に長
尺のシートを成形した。そのシートを幅方向にスリット
して、32mm幅のICキャリヤーテープシートを得
た。各種分析値および透明な電子部品包装用成形体の物
性評価結果を表3、表4に示す。
【0040】
【比較例2】スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴ
ム(日本ゼオン社製NS−312S)7.9質量%をス
チレンモノマー46.6質量%、メタクリル酸メチル3
2.5質量%、アクリル酸ブチル4.6質量%とエチル
ベンゼン8.4質量%に溶解した溶液100質量部と
1、1−ビス(tert−ブチルパーオキシル)3、
3、5−トリメチルシクロヘキサン0.005質量部お
よびt−ドデシルメルカプタン0.08質量部からなる
溶液を第1重合機に連続的に送入し、125℃の重合温
度で平均滞留時間3時間で攪拌重合反応した後、引き続
きプラグフロー型反応器に滞留時間が5時間になるよう
に連続的に全量装入して重合した。このようにして重合
率85%まで重合し、その溶液をベント式押出機に供給
して230℃、減圧下で揮発性成分を除去しダイスから
溶融ストランドを引き出し、水冷し、カッターにて切断
してペレット状の樹脂を得た。次いで、この樹脂を使用
し、実施例1と同様にしてICマガジン形状成形品を得
た。また、この樹脂を用いて、Tダイのシート押出成形
機で、0.3mm厚さ、600mm幅の押出し方向に長
尺のシートを成形した。そのシートを幅方向にスリット
して、32mm幅のICキャリヤーテープシートを得
た。各種分析値および透明な電子部品包装用成形体の物
性評価結果を表3、表4に示す。
【0041】
【比較例3】スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴ
ム(日本エラストマー社製670A)7.9質量%をス
チレンモノマー46.6質量%、メタクリル酸メチル3
2.5質量%、アクリル酸ブチル4.6質量%とエチル
ベンゼン8.4質量%に溶解した溶液100質量部と
1、1−ビス(tert−ブチルパーオキシル)3、
3、5−トリメチルシクロヘキサン0.005質量部お
よびt−ドデシルメルカプタン0.08質量部からなる
溶液を第1重合機に連続的に送入し、125℃の重合温
度で平均滞留時間3時間で攪拌重合反応した後、引き続
きプラグフロー型反応器に滞留時間が5時間になるよう
に連続的に全量装入して重合した。このようにして重合
率85%まで重合し、その溶液をベント式押出機に供給
して230℃、減圧下で揮発性成分を除去しダイスから
溶融ストランドを引き出し、水冷し、カッターにて切断
してペレット状の樹脂を得た。次いで、この樹脂を使用
し、実施例1と同様にしてICマガジン形状成形品を得
た。また、この樹脂を用いて、Tダイのシート押出成形
機で、0.3mm厚さ、600mm幅の押出し方向に長
尺のシートを成形した。そのシートを幅方向にスリット
して、32mm幅のICキャリヤーテープシートを得
た。各種分析値および透明な電子部品包装用成形体の物
性評価結果を表3、表4に示す。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【発明の効果】以上の通り、特定の構造を持ったゴム状
重合体を用いたゴム変性芳香族ビニル系共重合樹脂を必
須成分とする樹脂組成物を用いると、耐衝撃性等の強度
に優れ、透明性や剛性が良好で、表面硬度が高い透明な
電子部品包装用成形体が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C08L 51/04 C08L 53:02) 53:02) B65D 85/38 D (72)発明者 花里 真吾 東京都町田市旭町3−5−1 電気化学工 業株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 3E067 AA11 AB41 AC04 BA34A BB14A CA11 3E096 BA08 CA05 CA06 CA15 CC02 EA04 FA11 FA20 GA01 4F071 AA12 AA12X AA22X AA75 AA77 AF23 AF26 AF30 AH04 BB06 4J002 BC031 BN141 BP012 GG00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連続マトリクス樹脂中にゴム状重合体を分
    散粒子として含有するゴム変性芳香族ビニル系共重合樹
    脂において、(1)連続マトリクスは、屈折率がゴム状
    重合体と実質的に同等のものを有し、構成単位が一種
    以上の芳香族ビニル系化合物20〜80質量%と一種以
    上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物20〜
    80質量%から成る混合溶液が共重合したものであり、
    (2)ゴム状重合体の含有量が、ゴム変性芳香族ビニル系
    共重合樹脂に対して3〜20質量%であり、(3)ゴム
    状重合体分散粒子の平均粒子径が0.3〜2.1μmで
    あり、(4)かつその分散粒子のガラス転移点が−75
    〜−30℃の範囲にあるゴム変性芳香族ビニル系共重合
    樹脂を必須成分とする樹脂組成物から成形された透明な
    電子部品包装用成形体。
  2. 【請求項2】ゴム状重合体が、スチレンとブタジエンの
    ランダムあるいはテーパード共重合体より成るブロック
    部(A)とスチレン単独重合体あるいは大部分がスチレ
    ンより構成されるスチレン−ブタジエン共重合体ブロッ
    ク部(B)から成るブロック共重合体であることを特徴
    とする請求項1記載の透明な電子部品包装用成形体。
  3. 【請求項3】ゴム状重合体が、スチレンとブタジエンの
    ランダムあるいはテーパード共重合体より成るブロック
    部(A)の占める質量割合が15〜95質量%、スチレ
    ン単独重合体あるいは大部分がスチレンより構成される
    スチレン−ブタジエンのランダム共重合体ブロック部
    (B)の占める質量割合が85〜5質量%の範囲にある
    ことを特徴とする請求項2に記載の透明な電子部品包装
    用成形体。
  4. 【請求項4】芳香族ビニル系化合物がスチレンであり、
    (メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物がメタクリル
    酸メチル単独あるいはメタクリル酸メチルとアクリル酸
    ブチルの混合物であることを特徴とする請求項1〜3い
    ずれかに記載の透明な電子部品包装用成形体。
  5. 【請求項5】電子部品包装用成形体がICマガジンまた
    はICキャリアテープであることを特徴とする請求項1
    〜4記載の透明な電子部品包装用成形体。
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